JP6847608B2 - パンケーキの製造方法、及びそれに用いるパンケーキ用生地 - Google Patents

パンケーキの製造方法、及びそれに用いるパンケーキ用生地 Download PDF

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Description

本発明は、パンケーキの製造方法に関し、良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れるパンケーキを安定的に製造できる製造方法に関する。
パンケーキ(ホットケーキとも称する)は、小麦粉等の穀粉を主成分として、砂糖、卵、水、油脂等を混合した生地を、ホットプレート、フライパン、鉄板、銅板等の金属板を備える焼成機を使用して焼成することによって得られる焼き菓子である。近年、パンケーキは、大量生産され、日配品として流通し、スーパーやコンビニエンスストアー等の店頭で、常温又は冷蔵で販売されている。このようなパンケーキにおいては、生地の老化が抑制され、良好な食感、食味を維持することが好ましいが、通常、日配品としての保存性、大量生産における安定的な製造が優先される。一般に、日配品の焼成菓子は、「30℃、5日間保存で、一般生菌数105CFU(コロニー形成単位)/g未満」程度の保存性を満たす必要がある。しかしながら、鉄板、銅板等の金属板を備える焼成機で焼成するパンケーキは、オーブンで焼成するスポンジケーキ等と比較して加熱時間が短く、水分含量が高いため、一般生菌数の制御が困難である。特にもちもちとした食感のパンケーキは、より水分含量が高く、一般生菌数の抑制が困難となる。したがって、従来から、パンケーキについて上記保存性を達成するため、「水分活性」、「制菌物質」、「pH」の観点から種々検討が行なわれてきた。
水分活性の調整については、一般に、糖類等の水分活性調整剤の添加、及び水分除去の2種類の方法がある。前者の方法では、例えば、砂糖を主体として単糖類を併用することで効率的に水分活性を低下させることができるが、生地の糖含有率が高くなるため、焼成時にべたつきが生じ、焼成機の銅板等からの剥離性が低下して安定的な製造が困難になる場合がある。また後者の方法では、製品が潤いを失い、しっとりとした食感が損なわれ、生地の老化が進行することになる。制菌物質については、主に酢酸ナトリウムが使用されるが、添加量によっては、酢酸臭が生じ、食味が低下する場合がある。pHについては、特に上記の酢酸ナトリウムを添加する場合、酸性域に調整するほど、一般生菌数の増加を抑制することができるが、一方で酸味が助長され、さらに食味が低下することになる。したがって、生地の老化が抑制され、パンケーキとして良好な外観、食感、及び食味を有し、日配品に要求される優れた保存性、及び安定的な製造を同時に満たすことは、極めて困難であった。
一方、上述の「水分活性」、「制菌物質」、「pH」の調整だけでなく、その他の手段を組み合わせて、パンケーキの保存性を高める方法も検討されている。例えば、特許文献1には、焼成したホットケーキを常温で流通、販売、保存するための技術を開発することを目的とし、単糖類、ソルビトール及びグリセリンから1種又は2種以上選択した低分子多価アルコール類を配合し、焼成して水分活性を0.90以下としたホットケーキを、ホットケーキ重量の0.2〜6%(重量%、以下同じ)のエチルアルコールと共に密封包装することを特徴とする保存性の優れたホットケーキの製造法が開示されている。また、特許文献2には、調理が簡単であり、簡便性、保存性を有するホットケーキの製造法を提供することを目的とし、ホットケーキの原料に、小麦粉に対し糖質15〜25重量%及び有機酸0.05〜0.2重量%を配合し、乳酸菌を5万〜50万個/100g併用し、焼き上げ後のホットケーキの水分活性(AW値)を0.89〜0.94未満に調整することを特徴とするホットケーキの製造法が開示されている。
特開平03−290145号公報 特開平02−308751号公報
しかしながら、特許文献1では、単糖類の添加においては、上記の焼成時のべたつきの問題が生じる上、アルコールを用いるため、アルコール臭により食味が低下する場合がある。また、特許文献2では、有機酸や乳酸菌を用いるため、独特の風味が生じ、食味が損なわれる場合がある。
したがって、本発明の目的は、良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れるパンケーキを、安定的に製造できるパンケーキの製造方法、及びそれに用いるパンケーキ用生地を提供することにある。
本発明者らは、パンケーキ用生地の配合、特に制菌物質の配合について鋭意検討した結果、制菌物質として酢酸ナトリウム、及びグリシン、並びに砂糖、及び必要に応じてグリセリンを用い、これらを所定のバランスで配合することで上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、上記目的は、小麦粉、砂糖、必要に応じてグリセリン、及び水を含む生地を焼成するパンケーキの製造方法であって、前記生地が、前記生地の総質量を基準として、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計で0.5〜1.3質量%含み、前記グリシンの含有率が0.03〜0.15質量%であり、前記砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、前記生地の総質量を基準として23.2〜25.6質量%であり、前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.28以下であることを特徴とするパンケーキの製造方法によって達成される。砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が上記範囲である生地において、制菌物質として、酢酸ナトリウムを主剤として用い、上記の含有率の範囲で少量のグリシンを配合することで、制菌物質全体の配合量を低減して、酢酸ナトリウムに由来する酢酸臭等の発生を抑制し、且つグリシンを焼成菓子に用いた場合の焦げつきや焦げ臭等の発生を抑制するとともに、制菌効果を十分に発揮させることができる。この配合を組み合わせた生地を用いて焼成することで、良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れたパンケーキを安定的に製造できる。なお、本発明において、前記生地は、グリセリンを含有しなくてもよい。
本発明のパンケーキの製造方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記生地が、グリセリンを含み、前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.20以下である。水分活性調整剤として、グリセリンを上記の砂糖との質量比で配合することで、生地の糖含有率を大きく上げることなく水分活性を低下させることができ、焼成時のべたつきによる剥離性の低下を防止するとともに、さらに保存性を向上させることができる。これにより、さらに良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れたパンケーキを安定的に製造できる。
(2)前記パンケーキの水分活性を、0.87〜0.92に調整する。これにより、良好な食感を有し、保存性に優れたパンケーキを製造できる。
(3)前記パンケーキのpHを、6.5〜9.7に調整する。これにより、良好な外観、食感、及び食味を有するパンケーキを製造できる。
また、上記目的は、本発明のパンケーキの製造方法に用いる小麦粉、砂糖、必要に応じてグリセリン、及び水を含むパンケーキ用生地であって、前記生地の総質量を基準として、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計で0.5〜1.3質量%含み、前記グリシンの含有率が0.03〜0.15質量%であり、前記砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、前記生地の総質量を基準として23.2〜25.6質量%であり、前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.28以下であることを特徴とするパンケーキ用生地によって達成される。
本発明により、良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れるパンケーキを安定的に製造できるので、日配品として好ましいパンケーキを安定的に提供することができる。
本発明のパンケーキの製造方法は、小麦粉、砂糖、必要に応じてグリセリン、及び水を含む生地を焼成するパンケーキの製造方法であって、前記生地が、前記生地の総質量を基準として、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計で0.5〜1.3質量%含み、前記グリシンの含有率が0.03〜0.15質量%であり、前記砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、前記生地の総質量を基準として23.2〜25.6質量%であることを特徴とする。なお、本発明において、用語「パンケーキ」は、いわゆるパンケーキと同様な生地を同様な方法で焼成して製造されるどら焼きの皮、ワッフル、クレープ、チーズドッグ等の焼成菓子を含む。
酢酸ナトリウムは、パンケーキ等の焼成菓子において、主に使用される制菌物質であるが、上述の通り、配合量やpHによっては、酢酸臭や酸味により食味が低下する場合がある。また、グリシンは、制菌物質として惣菜や菓子用のフィリング、蒸しケーキ、蒸しパン等の食品には一般に使用されている(例えば、特開平6−253794号公報、特開平8−256703号公報、特開2013−34434号公報等)。しかし、グリシンを焼成菓子の生地に配合した場合は、焼成時のメイラード反応による焦げつきや特有の焦げ臭、及びべたつきが生じ、食味や外観を損なったり、安定的な製造ができなくなったりすることがあるため、商品価値が低下することが考えられる。本発明においては、砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が上記範囲である生地において、制菌物質として、酢酸ナトリウムを主剤として用い、上記の含有率の範囲で少量のグリシンを配合することで、制菌物質全体の配合量を低減して、酢酸ナトリウムに由来する酢酸臭等の発生を抑制し、且つグリシンを焼成菓子に用いた場合の焦げつきや焦げ臭等の発生を抑制するとともに、制菌効果を十分に発揮させることができる。
後述の実施例に示す通り、パンケーキ用生地における酢酸ナトリウム及びグリシンの合計含有率が上記範囲より低い場合、パンケーキの十分な保存性を得難くなり、上記範囲より高い場合、酢酸臭等の影響でパンケーキの食味が損なわれる。また、グリシンの含有率が上記範囲より低い場合、相対的に酢酸ナトリウムの含有率が高くなり、酢酸臭の影響でパンケーキの食味が損なわれ、上記範囲より高い場合、グリシンに由来するべたつきが生じ、焦げつきの影響でパンケーキの食味及び外観が損なわれる。さらに、砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、上記範囲より低い場合、十分な保存性が得難くなる上、水分活性を下げるために水分を低くする必要が生じ、パンケーキのしっとりとした食感が得難くなる。また、砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、上記範囲より高い場合、焼成時のべたつきによる剥離性の低下が生じ易くなる。したがって、本発明のパンケーキの製造方法においては、これらの制菌物質を上記の適切なバランスで配合した生地を用いることで、初めて、生地の老化が抑制され、パンケーキとして良好な外観、食感、及び食味を有し、日配品に要求される優れた保存性、及び安定的な製造を同時に満たすことができる。本発明において、パンケーキ用生地における酢酸ナトリウム、及びグリシンの合計含有率は、生地の総質量を基準として、0.6〜1.2質量%が好ましく、0.7〜1.0質量%がさらに好ましい。また、前記グリシン含有率は、0.04〜0.13が好ましく、0.05〜0.10がさらに好ましい。さらに、パンケーキ用生地における砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率は、生地の総質量を基準として23.4〜25.5質量%が好ましく、23.5〜25.0質量%がさらに好ましい。
本発明において、前記生地は、グリセリンを含み、前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.20以下あることが好ましい。グリセリンは砂糖と比較して低分子であるため、水分活性を低下させる効果が高いが、配合量が多過ぎると苦味が生じ、食味が損なわれる場合がある。本発明においては、水分活性調整剤としてグリセリンを上記の砂糖との質量比で用いることで、生地の糖含有率を大きく上げることなく、水分活性を低下させることができ、上述の焼成時のべたつきによる剥離性の低下を防止するとともに、パンケーキの保存性をさらに向上させることができる。
後述する実施例に示す通り、前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が、上記範囲より高い場合、焼成時のべたつきによる剥離性の低下が生じ易くなる上、外観が損なわれる場合がある。したがって、本発明のパンケーキの製造方法において、これらの水分活性調整剤を上記の適切なバランスで配合した生地を用いることで、さらに良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れたパンケーキを安定的に製造できる。本発明において、前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)は、0.05〜0.20が好ましく、0.06〜0.16がさらに好ましく、0.06〜0.15が特に好ましい。
本発明において、パンケーキ用生地は、小麦粉、及び水、並びに上記の通り、酢酸ナトリウム、グリシン、砂糖、及び必要に応じてグリセリンを含む。小麦粉としては、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等どのようなものでもよい。酢酸ナトリウム、グリシン、砂糖、及びグリセリンは、市販の食品用のものを適宜使用することができる。賦形剤等のその他の材料とともに、これらの物質を含む製剤を使用してもよい。また、本発明において、パンケーキ用生地は、通常パンケーキに用いられるその他の材料を適宜配合することができる。例えば、大麦粉、大豆粉、そば粉、ライ麦粉、米粉、トウモロコシ粉等の小麦粉以外の穀粉類;コーンスターチ、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、これらのでん粉に物理的、化学的な加工を単独又は複数組み合わせて施した加工でん粉等のでん粉類;デキストリン、オリゴ糖、ぶどう糖、粉末水あめ、糖アルコール等の砂糖以外の糖質;グアガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム等の増粘剤;大豆油、ひまわり油、なたね油等の食用油脂;重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム等の膨張剤;膨張剤を組み合わせて用いる酒石酸、酒石酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等の酸性剤;牛乳、脱脂粉乳等の乳製品;液卵、卵白粉、卵黄粉、全卵粉等の卵製品; グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤;有機酸、有機酸塩等のpH調整剤、その他、食塩、色素、香料、甘味料、種々の品質改良剤等が挙げられる。
本発明において、パンケーキ用生地を調製する工程は、特に制限はなく、従来公知の方法で行なうことができる。例えば、上記生地材料を混合機に投入して撹拌して生地を調製する。各生地材料は、別々に投入してもよく、一部を予め混合したミックス製品を用いてもよい。生地の水分は、焼成時の生地の状態や、焼成後のパンケーキの食感、水分活性、pH等を考慮して適宜調整する。パンケーキを焼成する工程も、特に制限はなく、従来公知の方法で行なうことができる。例えば、焼成機の銅板、鉄板等の金属板に、生地を所定の大きさになるように流し置き、所定の時間焼成した後、反転させて両面を焼成する。本発明において、焼成温度、焼成時間は特に制限はない。例えば、170〜180℃、1分30秒〜2分間焼成する。
本発明のパンケーキの製造方法において、焼成後のパンケーキの水分活性は、0.87〜0.92に調整することが好ましい。本発明においては、上記の制菌物質の効果により、やや高い水分活性でも高い保存性が得られるが、水分活性が高過ぎると、必要な保存性が得られない場合がある。上記の範囲の水分活性とすることにより、さらにもちもちとした食感を有し、且つ保存性に優れるパンケーキを製造することができる。パンケーキの水分活性の調整は、上記のパンケーキ用生地の水分、砂糖、及びグリセリン、並びにその他の水分活性調整に用いられる材料の含有率、及び/又は焼成時間を調節することによって行なうことができる。なお、パンケーキの水分活性の測定は、例えば、焼成後のパンケーキを30℃で1日保管後、水分活性測定装置AQUALAB Series3TE(アイネクス株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明のパンケーキの製造方法において、焼成後のパンケーキのpHは、6.5〜9.7に調整することが好ましい。パンケーキのpHは、低過ぎると、上述の通り、酢酸ナトリウムに由来する酢酸臭や、酸味により食味が損なわれる場合がある。また、pHが高すぎると、グルテンが弱くなり、もちもちとした食感が損なわれる場合がある。上記の範囲のpHとすることで、生地の老化が抑制され、パンケーキとして良好な食感、食味を有するパンケーキを製造することができる。パンケーキのpHの調整は、上記のパンケーキ用生地の酢酸ナトリウム、その他の有機酸や有機酸塩等のpH調整剤の含有率を調整することによって行なうことができる。なお、パンケーキのpHの測定は、焼成後のパンケーキを30℃で1日保管後、精製水で10倍希釈をし、懸濁したものを検体として、pH METER F52(株式会社堀場製作所製)で測定することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.パンケーキ用ミックス粉の調製
各表に記載の配合で、ミックス粉を調製した。なお、製品のpHを調整するため、フマル酸(川崎化成工業株式会社製)を適宜添加した。
2.パンケーキ用生地の調製
たて型ミキサーKTM−10(関東混合機工業株式会社製)を用いて、均一に混合した粉体に、各表に記載の量の水を加え、均一になるまで混合し、さらに、各表に記載の量の全卵とサラダ油、配合する場合はグリセリンを添加し、均一に混合した。なお、混合は、生地の最終温度が18〜20℃になるように実施した。
3.パンケーキの焼成
どら焼き焼成機SDR−SGA(株式会社マスダック製)を用いて、上記のように調製したパンケーキ用生地(1枚当たり30g)を、180℃で2分間焼成した。
4.パンケーキの評価
(1)水分活性
焼成後、30℃にて1日間保管したパンケーキについて、水分活性測定装置AQUALAB Series3TE(アイネクス株式会社製)を用いて測定した(n=2)。2点の平均値を測定結果とした。
(2)pH
焼成後、30℃にて1日間保管したパンケーキについて、精製水で10倍希釈をし、懸濁したものを検体として、pH METER F52(株式会社堀場製作所製)で測定した(n=2)。2点の平均値を測定結果とした。
(3)一般生菌数
焼成後、30℃にて5日間保管したパンケーキについて、食品衛生検査指針・微生物編(2004)の方法に従って、一般生菌数(CFU/g)を測定した(n=2)。結果は2点の平均値で以下の通り評価した。
◎(合格) :104CFU/g未満
○(合格) :104CFU/g以上、105CFU/g未満
×(不合格):105CFU/g以上
(4)焼成時の作業性
パンケーキの焼成時の銅板からの剥がれ易さを以下の基準で評価した。焼成作業者3名の評価点の平均値を評価結果とした。なお、評価点は小数点第2位を四捨五入して示した。
5:銅板からの剥がれが非常に良好
4:銅板からの剥がれが良好
3:普通
2:銅板からの剥がれが悪く、作業性が悪い
1:銅板からの剥がれが非常に悪く、作業性が悪い
(5)パンケーキの外観
焼成後、30℃で1日間保管したパンケーキの外観を観察し、表面状態について以下の基準で評価した。パネラー10名の評価点の平均値を評価結果とした。
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
(6)パンケーキの食感
焼成後、30℃で1日間保管したパンケーキを試食し、生地の老化について評価した。なお、「生地の老化」とは、生地が硬くなり、柔軟性がなくなった状態をいう。パネラー10名の評価点の平均値を評価結果とした。
5:生地の老化が全く感じられず、食感が非常に良好
4:生地の老化が感じられず、食感が良好
3:やや生地の老化は感じられるが、許容範囲である
2:生地の老化が感じられ、食感が悪い
1:生地の老化が強く感じられ、食感が非常に悪い
(7)パンケーキの食味
焼成後、30℃で1日間保管したパンケーキを試食し、酸味について評価した。パネラー10名の評価点の平均値を評価結果とした。
5:酸味がなく、非常に良好
4:酸味がほぼ感じられず、良好
3:酸味がやや感じられるが、許容範囲である
2:酸味があり、悪い
1:酸味が強く、非常に悪い
表1〜3に評価結果を示す。
Figure 0006847608
Figure 0006847608
Figure 0006847608
表1〜3に示した通り、小麦粉、砂糖、必要に応じてグリセリン、及び水を含み、さらに、生地の総質量を基準として、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計で0.50〜1.29質量%含み、グリシンの含有率が、0.03〜0.15であり、砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、生地の総質量を基準として23.2〜25.6質量%であるパンケーキ用生地を用いて焼成した実施例1〜14のパンケーキは、焼成時の作業性、外観が良好で、生地の老化が抑制された好ましい食感、酸味がない良好な食味を有し、且つ保存性に優れていた。これに対し、制菌物質として酢酸ナトリウムのみを含む比較例1〜3、及び5の場合は、実施例1、及び2と同程度の含有率では、一般生菌数が不合格であり(比較例1、5)、砂糖含有率を高めた場合は、一般生菌数は合格であったが、焼成時の作業性、及び外観が非常に悪く(比較例2)、酢酸ナトリウムの含有率を高めた場合は、一般生菌数は合格であったが、パンケーキの食味が悪かった(比較例3)。一方、制菌物質として、グリシンのみを含む比較例4、及び6の場合、実施例1、及び2と同程度の含有率では、一般生菌数が不合格であり(比較例6)、グリシンの含有率を高めた場合は、一般生菌数は合格であったが、焼成時の作業性、及び外観が悪かった(比較例4)。
酢酸ナトリウム、及びグリシンの合計含有率については、生地の総質量を基準として、0.36質量%の比較例7では、一般生菌数が不合格であるのに対し、0.50質量%の実施例3では、一般生菌数が合格(○)であった。また、生地の総質量を基準として、1.38質量%の比較例8では、一般生菌数は合格であったが、パンケーキの食味が非常に悪かった。一方、グリシンの含有率については、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計含有率が0.74質量%であってもグリシンを含まない比較例9では、一般生菌数が不合格であるのに対し、0.03質量%の実施例5、及び8では、一般生菌数が合格であった。また、グリシンの含有率が0.18質量%の比較例10では、一般生菌数は合格であったが、焼成時の作業性が悪く、外観も悪かったのに対し、0.15質量%の実施例9では、焼成時の作業性、外観とも良好であった。さらに、砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率については、生地の総質量を基準として、23.0質量%の比較例12では、一般生菌数が不合格であるのに対し、23.2質量%の実施例13では、一般生菌数が合格であった。また、生地の総質量を基準として、25.8質量%の比較例13では、焼成時の作業性、及びパンケーキの外観の評価が悪かったのに対し、25.6質量%の実施例12では、焼成時の作業性、及びパンケーキの外観の評価が良好であった。したがって、本発明の効果を得るためには、パンケーキ用生地が、前記生地の総質量を基準として、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計で0.5〜1.3質量%含み、前記グリシンの含有率が0.03〜0.15質量%であり、砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、生地の総質量を基準として23.2〜25.6質量%であることが必要であることが示唆された。
また、パンケーキ用生地が、さらにグリセリンを含み、グリセリンの砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.05〜0.28であるパンケーキ用生地を用いて焼成した実施例2〜14のパンケーキは、グリセリンを含まない実施例1と比較して、パンケーキの食感が良好であった。ただし、グリセリンの砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.28である実施例14では、他の実施例と比較して、焼成時の作業性、及びパンケーキの外観の評価がやや劣っていた。したがって、本発明において、グリセリンの砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)は、0.20以下であることが好ましく、0.05〜0.20であることがさらに好ましいことが示唆された。
以上の結果から、本発明によって、良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れたパンケーキを安定的に製造できることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、良好な外観、食感、及び食味を有し、且つ保存性に優れるパンケーキを安定的に製造できるので、日配品として好ましいパンケーキを安定的に提供することができる。

Claims (5)

  1. 小麦粉、砂糖、必要に応じてグリセリン、及び水を含む生地を焼成するパンケーキの製造方法であって、
    前記生地が、前記生地の総質量を基準として、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計で0.5〜1.3質量%含み、
    前記グリシンの含有率が0.03〜0.15質量%であり、
    前記砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、前記生地の総質量を基準として23.2〜25.6質量%であり、
    前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.28以下であることを特徴とするパンケーキの製造方法。
  2. 前記生地が、グリセリンを含み、
    前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.20以下である請求項1に記載のパンケーキの製造方法。
  3. 前記パンケーキの水分活性を、0.87〜0.92に調整する請求項1又は2に記載のパンケーキの製造方法。
  4. 前記パンケーキのpHを、6.5〜9.7に調整する請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンケーキの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンケーキの製造方法に用いる小麦粉、砂糖、必要に応じてグリセリン、及び水を含むパンケーキ用生地であって、
    前記生地の総質量を基準として、酢酸ナトリウム、及びグリシンを合計で0.5〜1.3質量%含み、
    前記グリシンの含有率が0.03〜0.15質量%であり、
    前記砂糖、及び含有する場合はグリセリンの合計含有率が、前記生地の総質量を基準として23.2〜25.6質量%であり、
    前記グリセリンの前記砂糖に対する質量比(グリセリン/砂糖)が0.28以下であることを特徴とするパンケーキ用生地。
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