JP6360413B2 - 多加水パン類の製造方法及び多加水パン類 - Google Patents

多加水パン類の製造方法及び多加水パン類 Download PDF

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本発明は、多加水パン類の製造方法及び該製造方法を用いて製造された多加水パン類に関する。より詳しくは、湯種を作製する工程を含む多加水パン類の製造方法及び該製造方法を用いて製造された多加水パン類に関する。
従来、パンにしっとりとした食感を付与するために、通常よりも水分含有量を高めたパンを製造する試みがなされている。一般に、小麦粉100質量部に対して、水を80質量部以上含有するパンは、通常のパンよりも水分含有量が多いことから「多加水パン」と称されている。
しかし、小麦粉100質量部に対して70質量部以上の水を添加すると、得られるパン生地が流動状となり、成形を行うことが困難となる場合がある。また、小麦粉100質量部に対して80質量部以上の水を単純に添加すると、小麦粉中の澱粉が水和できずに離水して、パン生地の混捏が困難となる場合がある。そのため、通常、多加水パンを製造する際には、生地に保水性の高い原料などを配合することにより、生地の水分量を増加させる方法が用いられている。
例えば、特許文献1には、こんにゃく粉と澱粉と水とを、アルカリ性凝固剤とこんにゃく粉のグルコマンナンによる水和ゲル反応によってゼリー状固体に形成し、かつpHを調整した多加水パン用有形水を添加して、総水量割合を80〜200%まで向上させたパン生地を用いて多加水パンを製造する方法が開示されている。
特許文献2には、パン類生地を製造する際の原料穀粉の加水に使用する水の一部又は全量として、特定の物性を有する高含水寒天ゲルを使用し、原料穀粉に対する総加水量を、各種パン類生地における標準総加水量の1.1〜2.3倍に増加させたパン生地を形成する多加水パンの製造方法が開示されている。
特許文献3には、穀粉類100質量部に対して、水120〜500質量部及び増粘安定剤2〜30質量部を含有する湯種生地を使用した多加水パン生地が開示されている。
特開2006−320207号公報 特開2011−200140号公報 特開2011−87515号公報
しかし、従来の多加水パンは、ねちゃついた食感となってしまい、口どけが良好でしっとり感のあるものが得られないことがあった。また、多加水パン用の生地は、水分量が多いためにべたつきが生じやすく、作業性が劣る場合があった。
そこで、本発明では、口どけが良好でしっとり感があり、製造時の作業性が良好な多加水パン類の製造方法を提供することを主目的とする。
湯種とは、小麦粉などの穀粉に湯を加えて捏ねて、穀粉に含まれる澱粉をα化させた種である。従来、標準的な水分含有量である通常のパンに、モチモチとした食感を付与するために、湯種を用いる方法が知られている。しかし、本発明者は、鋭意研究を行った結果、穀粉に対して特定量の水を混捏して作製した湯種を用いることで、従来技術のように生地に保水性の高い原料などを配合しなくても、生地の水分含有量が通常よりも多い多加水パン類が得られること、そして、得られる多加水パン類の食感はしっとりとしていて、口どけがよく、製造時の作業性も良好であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、穀粉100質量部に対し、水100〜200質量部を含む多加水パン類の製造方法であり、(a)前記穀粉100質量部のうちの30〜60質量部の穀粉、及び、(b)前記(a)の30〜60質量部の穀粉を100質量部とした場合に、当該穀粉100質量部に対し、200〜250質量部の水を混捏して湯種を作製する湯種作製工程、及び、前記湯種作製工程で作成された湯種と湯種以外の原料とを混捏する本捏工程を含む、多加水パン類の製造方法を提供する。
本発明に係る多加水パン類の製造方法では、多加水パン類に含まれる水は、前記湯種に用いる穀粉100質量部に対し、300〜500質量部であってもよい。
本発明に係る多加水パン類の製造方法は、更に、前記湯種を用いて調製した生地を冷蔵する工程を含んでもよい。
また、本発明に係る多加水パン類の製造方法は、増粘安定剤を用いなくてもよい。
また、本発明は、穀粉100質量部に対し、水100〜200質量部を含む多加水パン類であり、(a)前記穀粉100質量部のうちの30〜60質量部の穀粉、及び、(b)前記(a)の30〜60質量部の穀粉を100質量部とした場合に、当該穀粉100質量部に対し、200〜250質量部の水を混捏して作製された湯種と湯種以外の原料とを混捏して得られた生地を用いて製造された、多加水パン類を提供する。



なお、本開示において、多加水パン類とは、穀粉100質量部に対して、水を80質量部以上含有するパン類をいう。また、本開示において、多加水パン類に含まれる水には、生地原料として用いる水に加えて、当該水以外で、パン類の加水率算出時に一般的に水分量が加味される生地原料、例えば、牛乳、濃縮乳、クリーム、練乳などの乳成分;全卵液、卵黄液、卵白液などの液卵;豆乳、糖液などの生地原料に含まれる水分も包含される。
本発明によれば、口どけが良好でしっとり感があり、製造時の作業性が良好な多加水パン類の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本発明に係る多加水パン類の製造方法は、穀粉100質量部に対し、水100〜200質量部を含む多加水パン類を製造する方法である。本発明に係る多加水パン類の製造方法により製造される多加水パン類に含まれる水は、上記穀粉100質量部に対し、下限は、好ましくは140質量部であり、より好ましくは150質量部であり、上限は、好ましくは180質量部であり、より好ましくは170質量部であり、更に好ましくは165質量部である。多加水パン類に含まれる水の割合をこのような範囲とすることで、口どけのよさやしっとり感が向上し、外観が良好で、内相が全体的にポーラスな多加水パン類を得ることができ、また、製造時の作業性がより良好となる。
本発明に係る多加水パン類の製造方法は、より詳細には、穀粉100質量部に対し、水100〜200質量部を含む多加水パン類の製造方法であり、(a)前記穀粉100質量部のうちの30〜60質量部の穀粉、及び、(b)前記(a)の30〜60質量部の穀粉を100質量部とした場合に、当該穀粉100質量部に対し、200〜250質量部の水を混捏して湯種を作製する工程(以下、「湯種作製工程」ともいう。)を含む。


湯種作製工程で用いられる上記(a)の穀粉の含有量は、多加水パン類に含まれる全穀粉100質量部のうち、30〜60質量部であり、下限は、好ましくは40質量部であり、上限は、好ましくは50質量部であり、より好ましくは45質量部である。上記(a)の穀粉の含有量をこの範囲とすることで、生地の形成が容易で、分割・丸め工程及び成形工程で扱いやすい生地、すなわち作業性が良好な生地が得られ、また、製造される多加水パン類は、口どけが良好でしっとり感があり、外観が良好で、内相が全体的にポーラスなものとなる。湯種に用いられる穀粉を、多加水パン類に含まれる全穀粉100質量部のうち、30質量部未満とすると口どけが悪くなり、60質量部超とすると、湯種とその他の原料を混捏しても生地がまとまらず、パン類を製造することができない。
湯種作製工程で用いられる穀粉は、特に限定されず、例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉及びとうもろこし粉などの公知の穀粉から、1種又は2種以上を選択して用いることができる。上記穀粉は、食感、風味及び製パン性が良好であることから、小麦粉を用いることが好ましい。
湯種作製工程で用いられる上記(b)の水の含有量は、上記(a)の30〜60質量部の穀粉を100質量部とした場合に、当該穀粉100質量部に対し、200〜250質量部であり、好ましくは225〜250質量部である。上記(b)の水の含有量をこの範囲とすることで、生地の形成が容易で、分割・丸め工程及び成形工程で扱いやすい生地、すなわち作業性が良好な生地が得られ、また、製造される多加水パン類は、口どけが良好でしっとり感があり、外観が良好で、内相が全体的にポーラスなものとなる。湯種に用いられる水の含有量が、上記(a)の30〜60質量部の穀粉を100質量部とした場合に、当該穀粉100質量部に対し、200質量部未満であると、湯種と湯種以外の原料を混捏して調製した生地はやわらかすぎて丸め及び成形を行うことができず、250質量部超であると、得られる多加水パン類の口どけが悪くなる。





湯種作製工程における混捏方法は、従来湯種の作製に用いられる方法であれば特に限定されず、例えば、穀粉に湯を加えて混捏する方法や、穀粉に水を加えて加温下で混捏する方法などが挙げられる。本発明に係る多加水パン類の製造方法では、湯種に用いられる穀粉に含まれる澱粉が十分にα化されて、食感がより良好な多加水パン類が得られることから、穀粉に湯を加えて混捏して湯種を作製することが好ましい。
穀粉に湯を加えて混捏して湯種を作製する場合、湯種作製工程で用いられる上記(b)の水の温度は、70〜100℃が好ましく、80〜100℃がより好ましく、90〜100℃が更に好ましい。上記(b)の水の温度をこの範囲とすることで、湯種に含まれる澱粉が十分にα化されて、食感がより良好な多加水パン類が得られる。
湯種作製工程における捏上温度は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、食感がより良好な多加水パン類を得られることから、50〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましく、60〜70℃が更に好ましい。
湯種作製工程では、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(a)の穀粉及び上記(b)の水以外の原料を配合してもよく、例えば、糖類、油脂、食塩などの通常パン類の製造方法で使用される原料が挙げられる。
本発明に係る多加水パン類の製造方法は、湯種作製工程の後に湯種冷却工程を含むことが好ましい。湯種冷却工程は、湯種作製工程で作製した湯種を冷ます工程であり、これにより、湯種全体が締まってひとまとまりになって扱いやすくなるため、本捏工程での作業性を向上させることができる。
湯種冷却工程における冷却方法は、湯種を冷ますことができれば特に限定されない。例えば、湯種を室内条件下で冷ます方法、湯種を冷蔵する方法、湯種を室内条件下で冷ました後冷蔵する方法などを挙げることができるが、本捏工程での作業性をより向上させるため、湯種を冷蔵することが好ましい。また、本捏工程での作業性の向上及び冷却効率の観点からは、湯種作製工程の後、湯種を冷蔵する前に、湯種を室内条件下で冷ますことがより好ましい。
冷却温度は、室内条件下で湯種を冷ます場合、室温は20〜30℃とすることが好ましい。冷蔵して湯種を冷ます場合、冷蔵温度は0〜10℃が好ましく、0〜4℃がより好ましい。
冷却時間は、特に限定されないが、室内条件下で湯種を冷ます場合は2〜6時間が好ましく、冷蔵して湯種を冷ます場合は1〜24時間が好ましい。例えば、湯種を冷蔵で一晩おいた後、翌日に湯種冷却工程後の工程を行うこともできる。効率よく湯種を冷却することができ、また、本捏工程での作業性が良好な多加水パン類用生地が得られることから、湯種を室内条件下で1〜3時間冷ました後、1〜4時間冷蔵することがより好ましい。
本発明に係る多加水パン類の製造方法は、上述した湯種作製工程及び湯種冷却工程以外は、通常パン類の製造方法で用いられる方法を自由に選択して用いることができる。例えば、ストレート法、液種法、中種法、ノータイム法などを用いて、本捏、分割・丸め、成形、加熱などの工程を行うことにより、多加水パン類を製造することができる。以下、例を挙げて各工程について説明する。
本発明に係る多加水パン類の製造方法では、上述した湯種作製工程で作製された湯種と、湯種以外の原料とを混捏する本捏工程を設けることができる。本捏工程では、例えば、湯種と湯種以外の原料を一度に混合してから混捏する方法、湯種のみを混捏した後に湯種以外の原料を添加して混捏する方法、湯種以外の原料を混捏した後に湯種を添加して混捏する方法、湯種以外の原料の一部を混捏した後に湯種を添加し、その後残余の原料を加える方法などを採用することができる。また、湯種以外の原料を用いて液種又は中種などの中間生地を作製し、この液種又は中種などの中間生地と湯種とを混捏してもよい。本捏工程の捏上温度は、特に限定されないが、25〜29℃とすることが好適である。
本発明に係る多加水パン類の製造方法では、生地原料を混捏した後に得られる多加水パン類用生地を発酵させるフロアタイムを設けることが好ましい。温度、湿度、時間などの発酵条件は、特に限定されず、従来の製パン法の条件を採用することができ、例えば、室温(20〜30℃)で30〜60分とすることができる。
また、本発明に係る多加水パン類の製造方法では、上記湯種を含む生地を冷蔵する工程、すなわちリタード工程を含むことが好ましい。リタード工程を設けることにより、リタード工程後の作業性をより向上させることが可能である。リタード工程は、フロアタイムよりも後に設けることが好ましく、フロアタイムの後、分割・丸め工程の前に設けることがより好ましい。リタード工程の温度は0〜4℃が好適であり、時間は20〜180分が好ましく、30〜120分がより好ましい。
本発明に係る多加水パン類の製造方法では、得られた多加水パン類用生地を分割して丸める工程の後にベンチタイムを設けてもよく、成形工程の後にホイロを設けてもよい。ベンチタイム及びホイロの条件は、特に限定されず、従来の製パン法の条件を採用することができる。
本発明に係る多加水パン類の製造方法において、生地を加熱する加熱工程では、焼成、油ちょう、蒸煮などの従来の製パン法で用いられる加熱方法を採用することができるが、口どけやしっとり感がより良好な多加水パン類が得られることから、生地を焼成又は油ちょうにより加熱することが好ましい。上記加熱工程の条件は、特に限定されないが、70〜100gの生地では、焼成の場合、200〜240℃で15〜20分焼成すればよく、油ちょうの場合、180〜190℃で9〜12分油ちょうすればよい。また、油ちょうの場合、生地を反転させながら加熱することが好適であり、好ましくは30秒〜2分間隔、より好ましくは45秒〜1分30秒間隔で反転させることがより好適である。
本発明に係る多加水パン類の製造方法において用いられる原料は、前記湯種作製工程で用いられる穀粉及び水以外は、特に限定されず、通常パン類の製造方法で用いられる原料を使用することができるが、少なくとも、穀粉、イースト、食塩及び水を含むことが好適である。
本捏工程で加えられる穀粉は、特に限定されず、例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉及びとうもろこし粉などの公知の穀粉から、1種又は2種以上を選択して用いることができる。上記穀粉は、食感、風味及び製パン性が良好であることから、小麦粉を用いることが好ましい。本捏工程で加えられる穀粉の量は、上記湯種に用いる穀粉の量に応じて設定すればよく、多加水パン類に含まれる全穀粉量が100質量部となればよい。
前記イーストは、特に限定されず、インスタントドライイースト、生イースト、ドライイースト、天然酵母、液種など、通常パン類の製造方法で用いられるものを使用することができる。イーストの含有量は、特に限定されないが、例えば、インスタントドライイーストの場合、多加水パン類に含まれる全穀粉100質量部に対して、0.5〜1.0質量部が好ましい。
また、本発明に係る多加水パン類の製造方法では、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した原料以外に、任意の原料を用いてもよい。例えば、油脂、乳成分、卵成分、糖類、各種調味料などを、必要に応じて自由に選択することができる。
上記油脂としては、例えば、バター、マーガリン、ショートニング、ラード、菜種油、大豆油、オリーブ油などが挙げられ、バター、マーガリン、ショートニングを用いるのが好適である。これらの油脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。油脂の含有量は、特に限定されないが、多加水パン類に含まれる全穀粉100質量部に対して、3〜6質量部が好ましい。
上記乳成分としては、例えば、無糖練乳、脱脂粉乳、粉乳などが挙げられる。これらの乳成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記卵成分としては、例えば、卵黄、卵白、全卵、粉末卵などが挙げられる。これらの卵成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
従来の多加水パン類の製造方法では、生地の水分含有量を増加させたり生地の保形性を高めたりするために、生地に保水性の高い原料などを配合する方法が用いられている。例えば、上記の特許文献3には、特定量の増粘安定剤を含有する多加水パン生地が開示されている。
しかし、本発明に係る多加水パン類の製造方法によれば、増粘安定剤を含まない場合であっても、口どけが良好でしっとり感があり、製造時の作業性が良好な多加水パン類を得ることが可能である。このことは、健康志向の高まりから、増粘安定剤などの食品添加物の使用量低減を望む需要者のニーズにも応えることができる。また、増粘安定剤などの食品添加物を使用せずに多加水パン類が得られることから、本発明に係る多加水パン類の製造方法は、特にリテールベーカリー向けの技術として有用である。
上述した多加水パン類の製造方法により得られる多加水パン類に含まれる水は、湯種に用いる穀粉100質量部に対し、300〜500質量部であることが好ましい。多加水パン類の水分含有量の割合をこのような範囲とすることで、口どけのよさやしっとり感が向上し、外観が良好な多加水パン類を得ることができ、また、製造時の作業性がより良好となる。また、上述した多加水パン類の製造方法により得られる多加水パン類は、気泡がクラム全体に多数存在する状態、すなわち、内相が全体的にポーラスなものとなる。
上述した多加水パン類の製造方法により得られる多加水パン類は、特に限定されないが、口どけがよく、しっとり感が良好であることから、生地を焼成又は油ちょうして得られるものが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実験例1>
実験例1では、湯種に含まれる穀粉の好適な割合を検討した。
(製造例1〜6)
A.下記表1に示す湯種の原料をボウルに入れ、ミキサーの中速で30秒、高速で1〜2分ミキシングし、湯種を作製した。湯種の捏上温度は60〜70℃であった。
B.Aの湯種を25℃で3時間おいて粗熱をとった後、4℃で2時間冷蔵した。
C.Aとは別のボウルに、下記表1に示した製造例1の湯種以外の原料のうち油脂を除いた小麦粉、塩、インスタントドライイースト及び水を入れ、ミキサーの低速で2分ミキシングした後、Bを加え、ミキサーの低速で2分、中高速で10分ミキシングした。その後、下記表1に示した製造例1の油脂を加え、更に低速で2分、中高速で10〜14分ミキシングして生地を調製した。生地の捏上温度は、26〜28℃であった。
D.Cで調製した生地を28℃で30分おいた後、4℃で1時間冷蔵し、製造例1〜6の生地を得た。
なお、表1に示した数値の単位は「質量部」であり、表1に記載の小麦粉は強力粉を、油脂はショートニングを使用した。
(製造例7)
上記製造例1〜6と同様の手順で製造例7の生地を調製したが、上記Cの手順で調製した生地は、流動状で分割・丸めができず、製パンが不可能な状態であったため、上記Dの手順は実施しなかった。
(実施例1)
製造例1の生地を一玉70gに分割してバンズ型に丸め、38℃、相対湿度85%で30分ホイロをとった後、220℃で18分間焼成して、実施例1の小型パンを製造した。
(実施例2〜5)
製造例1の生地の代わりに、製造例2〜5の生地を用いた以外は、実施例1と同様の手順で実施例2〜5の小型パンを製造した。
(比較例1)
製造例1の生地の代わりに、製造例6で得られた生地を用いた以外は、実施例1と同様の手順で比較例1の小型パンを製造した。
(実施例6)
製造例1の生地を一玉70gに分割し、丸めた後に薄くつぶし、25℃で40分ホイロをとった後、185℃で1〜2分毎に生地を上下反転させながら9分間油ちょうして実施例6のドーナツを製造した。
(実施例7〜10)
製造例1の生地の代わりに、製造例2〜5の生地を用いた以外は、実施例6と同様の手順で実施例7〜10のドーナツを製造した。
(比較例2)
製造例1の生地の代わりに、製造例6で得られた生地を用いた以外は、実施例6と同様の手順で比較例2のドーナツを製造した。
上記製造例1〜7の生地について、以下の評価基準に従って作業性を評価した。評価は、生地形成の容易さと、分割・丸め及び成形時の作業のしやすさの観点から行った。なお、生地形成に要する時間が短いほど生地形成が容易であると評価した。結果を下記表1に示す。
[作業性]
A:非常に良好
B:良好
C:やや不良
D:不良
Figure 0006360413
製造例1〜4の生地は、作業性が非常に良好であった。製造例5の生地は、製造例1〜4と比較すると、生地形成時の混捏時間が若干長く、生地表面に若干べたつきがあったが、作業性は良好であった。製造例6の生地は、通常のパン類と比較してやや固い生地であったが、作業性は良好であった。製造例7の生地は、上述したように、流動状で、製パンが不可能であった。
実施例1〜5及び比較例1の小型パンと、実施例6〜10及び比較例2のドーナツについて、以下の評価基準に従って、外観、内相及び食感を評価した。
[外観]
A:非常に良好
B:良好
C:やや不良
D:不良
[内相]
A:全体的にポーラスで、大きい気泡が存在する
B:全体的にポーラスで、やや大きい気泡が存在する
C:部分的にポーラスではあるが、気泡はやや小さい
D:小さい気泡はあるが、全体として目は細かい
[食感]
A:口どけがよく、しっとり感が非常に良好
B:口どけがよく、しっとり感が良好
C:口どけ、しっとり感がやや劣る
D:口どけ、しっとり感が劣る
実施例1〜5及び比較例1の小型パンと、実施例6〜10及び比較例2のドーナツの結果を下記表2に示す。
Figure 0006360413
表2に示すように、湯種に含まれる穀粉の割合を、小型パン又はドーナツに含まれる全穀粉100質量部のうちの30〜60質量部とした場合、外観及び内相が良好で、口どけがよく、しっとり感が良好な小型パン及びドーナツが得られた。
<実験例2>
実験例2では、湯種に含まれる水の好適な割合を検討した。
(製造例8〜11)
実験例1の製造例1〜6で用いた原料の代わりに、下記表3に示す製造例8〜11の原料を用いた以外は、実験例1の製造例1〜6と同様の手順で製造例8〜11の生地を得た。なお、表3に示した数値の単位は「質量部」であり、表3に記載の小麦粉は強力粉を、油脂はショートニングを使用した。
(実施例11〜13)
実験例1の実施例1で用いた製造例1の生地の代わりに、実験例1の製造例2の生地及び上記製造例8、9の生地を用いた以外は、実験例1の実施例1と同様の手順で実施例11〜13の小型パンを製造した。
(比較例3)
実験例1の実施例1で用いた製造例1の生地の代わりに、上記製造例10の生地を用いた以外は、実験例1の実施例1と同様の手順で比較例3の小型パンを製造した。
(実施例14〜16)
実験例1の実施例6で用いた製造例1の生地の代わりに、実験例1の製造例2の生地及び上記製造例8、9の生地を用いた以外は、実験例1の実施例6と同様の手順で実施例14〜16のドーナツを製造した。
(比較例4)
実験例1の実施例6で用いた製造例1の生地の代わりに、上記製造例10で得られた生地を用いた以外は、実験例1の実施例6と同様の手順で比較例4のドーナツを製造した。
上記製造例11の生地は、やわらかすぎて、丸め及び成形作業が不可能であり、小型パン又はドーナツを製造することができなかった。
上記製造例8〜11の生地について、実験例1と同様の評価基準で作業性を評価した。結果を下記表3に示す。
Figure 0006360413
製造例8〜10の生地は、作業性が非常に良好であった。製造例11の生地は、上述したように、やわらかすぎて丸め及び成形を行うことができなかった。
実施例11〜13及び比較例3の小型パンと、実施例14〜16及び比較例4のドーナツについて、実験例1と同様の評価基準で、外観、内相及び食感を評価した。結果を下記表4に示す。
Figure 0006360413
表4に示すように、湯種に含まれる水の割合を、湯種に含まれる穀粉100質量部に対し、200〜250質量部とした場合、外観及び内相が良好で、口どけがよく、しっとり感が良好な小型パン及びドーナツが得られた。
本発明に係る多加水パン類の製造方法は、リテールベーカリーにおける多加水パン類の製造技術として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 穀粉100質量部に対し、水100〜200質量部を含む多加水パン類の製造方法であり、
    (a)前記穀粉100質量部のうちの30〜60質量部の穀粉、及び
    (b)前記(a)の30〜60質量部の穀粉を100質量部とした場合に、当該穀粉100質量部に対し、200〜250質量部の水
    を混捏して湯種を作製する湯種作製工程、及び
    前記湯種作製工程で作成された湯種と湯種以外の原料とを混捏する本捏工程
    を含む、多加水パン類の製造方法。
  2. 前記多加水パン類に含まれる水は、前記湯種に用いる穀粉100質量部に対し、300〜500質量部である、請求項1記載の多加水パン類の製造方法。
  3. 更に、前記湯種を用いて調した生地を冷蔵する工程を含む、請求項1又は2記載の多加水パン類の製造方法。
  4. 増粘安定剤を用いない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多加水パン類の製造方法。
  5. 穀粉100質量部に対し、水100〜200質量部を含む多加水パン類であり、
    (a)前記穀粉100質量部のうちの30〜60質量部の穀粉、及び
    (b)前記(a)の30〜60質量部の穀粉を100質量部とした場合に、当該穀粉100質量部に対し、200〜250質量部の水
    を混捏して作製された湯種と湯種以外の原料とを混捏して得られた生地を用いて製造された、多加水パン類。


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