[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る車両用ワイパ装置100の構成を示す概略図である。車両用ワイパ装置100は、例えば、乗用自動車等の車両に備えられたウィンドシールドガラス(ウィンドシールド)12を払拭するためのものであり、一対のワイパ14、16と、ワイパモータ18と、リンク機構20と、ワイパ制御装置10とを備えている。
ワイパ14、16は、それぞれワイパアーム24、26とワイパブレード28、30とにより構成されている。ワイパアーム24、26の基端部は、後述するピボット軸42、44に各々固定されており、ワイパブレード28、30は、ワイパアーム24、26の先端部に各々固定されている。
ワイパ14、16は、ワイパアーム24、26の動作に伴ってワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12上を往復動作し、ワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12を払拭する。
ワイパモータ18は、永久磁石で構成されたロータの周方向に、印加される電圧の制御により回転磁界を生成する電磁石であるステータを備えたブラシレスDCモータである。ワイパモータ18は、主にウォームギアで構成された減速機構52を介して、正逆回転可能な出力軸32を有し、リンク機構20は、クランクアーム34と、第1リンクロッド36と、一対のピボットレバー38、40と、一対のピボット軸42、44と、第2リンクロッド46とを備えている。
クランクアーム34の一端側は、出力軸32に固定されており、クランクアーム34の他端側は、第1リンクロッド36の一端側に動作可能に連結されている。また、第1リンクロッド36の他端側は、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端寄りの箇所に動作可能に連結されており、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端及びピボットレバー40におけるピボットレバー38の当該端に対応する端には、第2リンクロッド46の両端がそれぞれ動作可能に連結されている。
また、ピボット軸42、44は、車体に設けられた図示しないピボットホルダによって動作可能に支持されており、ピボットレバー38、40におけるピボット軸42、44を有する端は、ピボット軸42、44を介してワイパアーム24、26が各々固定されている。
本実施の形態に係るワイパ制御装置10を含む車両用ワイパ装置100では、出力軸32が所定の範囲の回転角θ1で正逆回転されると、この出力軸32の回転力がリンク機構20を介してワイパアーム24、26に伝達され、このワイパアーム24、26の往復動作に伴ってワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12上における下反転位置P2と上反転位置P1との間で往復動作をする。θ1の値は、車両用ワイパ装置のリンク機構の構成等によって様々な値をとり得るが、本実施の形態では、一例として140°である。
本実施の形態に係るワイパ制御装置10を含む車両用ワイパ装置100では、図1に示されるように、ワイパブレード28、30が格納位置P3に位置された場合には、クランクアーム34と第1リンクロッド36とが直線状をなす構成とされている。
格納位置P3は、下反転位置P2の下方に設けられている。ワイパブレード28、30が下反転位置P2にある状態から、出力軸32がθ2回転することにより、ワイパブレード28、30は格納位置P3に動作する。θ2の値は、ワイパ装置のリンク機構の構成等によって様々な値をとり得るが、本実施の形態では、一例として10°とする。なお、θ2が「0」の場合は、下反転位置P2と格納位置P3は一致し、ワイパブレード28、30は、下反転位置P2で停止し、格納される。
ワイパモータ18には、ワイパモータ18の回転を制御するためのワイパ制御装置10が接続されている。本実施の形態に係るワイパ制御装置10は、例えば、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度及び回転角を検知する回転角度センサ54、ワイパモータ18を作動させるための電流をPWM(Pulse Width Modulation)制御によって生成してワイパモータ18に供給する駆動回路56、ワイパモータ18のロータの位置を検出するためのホールセンサ72を有している。また、ワイパ制御装置10の基板には、基板の温度を検知するためのサーミスタ102が実装されている。
本実施の形態ではワイパモータ18はブラシレスDCモータなので、駆動回路56は、スイッチング素子にMOSFETを使用したインバータ回路を含み、後述するマイクロコンピュータ58の制御によって、所定のデューティ比の電圧を生成する。
本実施の形態に係るワイパモータ18は、前述のように減速機構52を有しているので、出力軸32の回転速度及び回転角は、ワイパモータ本体の回転速度及び回転角と同一ではない。しかしながら、本実施の形態では、ワイパモータ本体と減速機構52は一体不可分に構成されているので、以下、出力軸32の回転速度及び回転角を、ワイパモータ18の回転速度及び回転角とみなすものとする。
回転角度センサ54は、ワイパモータ18の減速機構52内に設けられ、出力軸32に連動して回転するセンサマグネットの磁界(磁力)を電流に変換して検出する。
ワイパ制御装置10は、回転角度センサ54が検出した出力軸32の回転角からワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上での位置を算出可能で当該位置に応じて出力軸32の回転速度が変化するように駆動回路56を制御するマイクロコンピュータ58を有する。また、ワイパ制御装置10には、駆動回路56の制御に用いるデータ及びプログラムを記憶したメモリ48があり、ワイパ制御装置10のマイクロコンピュータ58には、上位ECU(Electronic Control Unit)90を介してワイパスイッチ50が接続されている。メモリ48は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置である。
マイクロコンピュータ58は、ホールセンサ72が出力した信号に基づいてワイパモータ18のロータの位置を算出する。また、マイクロコンピュータ58は、算出したロータの位置に基づいた位相を有する電圧を生成するように駆動回路56を制御する。
ワイパスイッチ50は、電源である車両のバッテリからワイパモータ18に供給される電力をオン又はオフするスイッチである。ワイパスイッチ50は、ワイパブレード28、30を、低速で動作させるLoモード選択位置、高速で動作させるHiモード選択位置、一定周期で間欠的に動作させるINTモード選択位置、格納(停止)モード選択位置に切替可能である。また、各モードの選択位置に応じた回転速度の指令の信号をマイクロコンピュータ58に出力する。
ワイパスイッチ50から各モードの選択位置に応じて出力された信号がマイクロコンピュータ58に入力されると、マイクロコンピュータ58はワイパスイッチ50からの出力信号に対応する制御を行う。
図2は、本実施の形態に係るワイパ制御装置10の構成の一例の概略を示すブロック図である。また、図2示したワイパモータ18は、一例として、三相6極のDCブラシレスモータである。ワイパモータ18のロータ88は、各々3つのS極及びN極の永久磁石で構成されている。ロータ88の磁界は、ホールセンサ72によって検知される。ホールセンサ72は、ロータ88の永久磁石の極性に対応してロータ88とは別に設けられたセンサマグネット70の磁界を検知してもよい。ホールセンサ72は、ロータ88又はセンサマグネット70の磁界を、ロータ88の位置を示す磁界として検知する。
ホールセンサ72が出力した信号は、制御回路であるマイクロコンピュータ58に入力される。マイクロコンピュータ58は、集積回路であり、スタンバイ回路60によって電源80から供給される電力が制御されている。
ホールセンサ72からマイクロコンピュータ58に入力される信号は、正弦波状のアナログ信号であるが、マイクロコンピュータ58内のホールセンサエッジ検出部66で矩形波状のデジタル信号に変換される。また、ホールセンサエッジ検出部66では、デジタル信号がハイレベルからローレベルへ、又はローレベルからハイレベルへ変化する箇所であるエッジが検出される。
デジタル信号及びエッジの情報はモータ位置推定部64に入力され、モータ位置推定部64でロータ88の位置が算出される。算出されたロータ88の位置の情報は、通電制御部68に入力される。
マイクロコンピュータ58の指令値算出部62には、上位ECU90からワイパスイッチ50の各動作モードの選択位置に応じた「Lo」「Hi」「Int」等の動作モードの信号が入力される。ワイパスイッチ50の各動作モードの選択位置に応じて上位ECU90から出力された信号がマイクロコンピュータ58に入力されると、マイクロコンピュータ58が当該信号に対応する制御をメモリ48に記憶されている速度マップに従って行うようになっている。メモリ48は、ワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上の位置に応じて出力軸32の回転速度を規定した速度マップを記憶している。なお、メモリ48には作動時間に応じて出力軸32の角度を規定した角度マップを記憶していてもよい。マイクロコンピュータ58の指令値算出部62は、上位ECU90から入力された動作モードの信号から動作モードに係る指令を抽出して、通電制御部68に入力する。また、通電制御部68には、回転角度センサ54の信号も入力される。通電制御部68は、回転角度センサ54の信号からワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上での位置を算出する。
通電制御部68は、モータ位置推定部64で算出されたロータ88の位置及びワイパブレード28、30の位置に応じて変化する電圧の位相を動作モードに応じた速度マップを参照して算出すると共に、算出した位相及び動作モードに応じたロータ88の回転速度に基づいて駆動デューティ値を決定する。また、通電制御部68は、駆動デューティ値に応じたパルス信号であるPWM信号を生成して駆動回路56に出力するPWM制御を行う。
駆動回路56は、三相(U相、V相、W相)インバータにより構成されている。図2に示すように、駆動回路56は、各々が上段スイッチング素子としての3つのNチャンネル電界効果トランジスタ(MOSFET)74U、74V、74W(以下、「FET74U、74V、74W」と言う)、各々が下段スイッチング素子としての3つのNチャンネル電界効果トランジスタ(MOSFET)76U、76V、76W(以下、「FET76U、76V、76W」と言う)とを備えている。なお、FET74U、74V、74W及びFET76U、76V、76Wは、各々、個々を区別する必要がない場合は「FET74」、「FET76」と総称し、個々を区別する必要がある場合は、「U」、「V」、「W」の符号を付して称する。
FET74、FET76のうち、FET74Uのソース及びFET76Uのドレインは、コイル86Uの端子に接続されており、FET74Vのソース及びFET76Vのドレインは、コイル86Vの端子に接続されており、FET74Wのソース及びFET76Wのドレインは、コイル86Wの端子に接続されている。なお、コイル86U、86V、86Wは、各々、個々を区別する必要がない場合は「コイル86」と総称し、個々を区別する必要がある場合は、「U」、「V」、「W」の符号を付して称する。
FET74及びFET76のゲートは通電制御部68に接続されており、PWM信号が入力される。FET74及びFET76は、ゲートにHレベルのPWM信号が入力するとオン状態になり、ドレインからソースに電流が流れる。また、ゲートにLレベルのPWM信号が入力されるとオフ状態になり、ドレインからソースへ電流が流れない状態になる。
本実施の形態では、スイッチング素子であるFET74U、74V、74W、76U、76V、76Wで構成された駆動回路56の近くにサーミスタ102を実装している。サーミスタ102は温度によって抵抗値が変化する素子であり、抵抗104と共に分圧回路を構成する。抵抗104とサーミスタ102によって分圧された電圧は通電制御部68に入力される。通電制御部68は、入力された電圧に基づいて、FET74U、74V、74W、76U、76V、76Wが実装されている基板の温度を検知し、基板の温度が所定の閾値以上になった場合は、ワイパモータ18の回転速度を低下させることにより、基板等の過熱を解消する。
また、本実施の形態のワイパ制御装置10には、電源80、ノイズ防止コイル82、及び平滑コンデンサ84A、84B等が構成されている。電源80、ノイズ防止コイル82及び平滑コンデンサ84A、84Bは略直流電源を構成している。
図3は、矩形波駆動方式におけるホールセンサ72の出力信号110U、110V、110WとブラシレスDCモータの各相に印加される電圧の波形である通電波形112U、112V、112Wとを対比させたタイムチャートの一例である。
前述のように、ワイパモータ18はブラシレスDCモータなので、ワイパモータ18のロータの位置に応じて通電する相を変化させることを要する。ブラシレスDCモータのような三相同期モータでは、正回転させる場合に、一例として以下の様な通電処理を行う。以下、オンにすると言及してないFETはオフの状態である。
(1)出力信号110Uの立ち下がりエッジを検出した場合、FET74U、76VをオンにしてU相のコイル86UからV相のコイル86Vへ通電。
(2)上記(1)の手順開始後、出力信号110Wの立ち上りエッジを検出した場合、FET74U、76WをオンにしてU相のコイル86UからW相のコイル86Wへ通電。
(3)上記(2)の手順開始後、出力信号110Vの立ち下がりエッジを検出した場合、FET74V、76WをオンにしてV相のコイル86VからW相のコイル86Wへ通電。
(4)上記(3)の手順開始後、出力信号110Uの立ち上がりエッジを検出した場合、FET74V、76UをオンにしてV相のコイル86VからU相のコイル86Uへ通電。
(5)上記(4)の手順開始後、出力信号110Wの立ち下がりエッジを検出した場合、FET74W、76UをオンにしてW相のコイル86WからU相のコイル86Uへ通電。
(6)上記(5)の手順開始後、出力信号110Vの立ち上がりエッジを検出した場合、FET74W、76VをオンにしてW相のコイル86WからV相のコイル86Vへ通電。
上記(1)〜(6)の手順を反復することで、ワイパモータ18への通電を継続する。その結果、ブラシレスDCモータの各相に印加される電圧の波形は、図3に示した通電波形112U、112V、112Wのように矩形波状となる。従って、図3に示した通電波形の電圧を生成してモータを駆動させる駆動方式を矩形波駆動方式と称する。図3の通電波形112U、112V、112Wは連続する矩形波として示したが、PWMによりワイパモータ18の各相に印加する電圧を制御した場合、通電波形112U、112V、112Wは、小刻みに変化するパルス状の波形となる。
矩形波駆動方式は、ワイパモータ18の各相に印加する電圧の正負の切り替えが瞬時かつ明瞭なので、電圧利用率が高く電源の電力を有効に活用できる。しかしながら、ワイパモータ18の各相に印加する電圧の正負の切り替えが瞬時かつ明瞭であるため、ワイパモータ18のコイル86に生じる回転磁界の変化が急激であり、その結果、ワイパモータ18から生じる磁気音が大きいという難点がある。かかる磁気音を低減するには、後述する台形波駆動方式または正弦波駆動方式によってワイパモータ18を駆動させる。
図4は、台形波駆動方式におけるホールセンサ72の出力信号110U、110V、110WとブラシレスDCモータの各相に印加される電圧の波形である通電波形114U、114V、114WとブラシレスDCモータの各相に印加される電圧の実効電圧値波形116U、116V、116Wとを対比させたタイムチャートの一例である。
台形波駆動方式の通電波形114U、114V、114Wは、矩形波駆動方式の通電波形112U、112V、112Wに対して、通電パルス114UT、114VT、114WTを有する点で相違する。台形波駆動方式では、通電パルス114UT、114VT、114WTにより、実効電圧値波形116U、116V、116Wが正弦波ほどではないものの、台形波状に緩やかに変化するので、矩形波駆動方式に比して回転磁界の急激な変化が抑制される。しかしながら、電圧利用率は、矩形波駆動方式に比して若干及ばない。
図5は、正弦波駆動方式におけるホールセンサ72の出力信号110U、110V、110WとブラシレスDCモータの各相に印加される電圧の波形である通電波形118U、118、118WとブラシレスDCモータの各相に印加される電圧の実効電圧値波形120U、120V、120Wとを対比させたタイムチャートの一例である。
正弦波駆動方式では、図5に示したように、各相への通電は、通電開始時はパルス状の波形で印加される電圧のパルス幅を小さくして実効電圧値を低下させ、その後、電圧のパルス幅を徐々に大きくして実効電圧値を大きくし、パルス幅が極大すなわち実効電圧値が極大になった後、電圧のパルス幅を徐々に小さくして実効電圧値を低下させる通電処理が行われる。図5の通電波形118U、118、118Wは、通電開始時にはパルス幅が小さく、その後、パルス幅が徐々に大きくなりパルス幅が極大になった後は、パルス幅が徐々に小さくなっている。
その結果、ブラシレスDCモータの各相のコイルに印加される電圧の実効電圧値は、実効電圧値波形120U、120V、120Wのように正弦波となる。実効電圧値波形120U、120V、120Wの各々の位相差は120°なので、ブラシレスDCモータの各相のコイルに印加される電圧の実効電圧値は、実質的には三相交流と同様の波形を呈する。
正弦波駆動方式では、実効電圧値波形120U、120、120Wが正弦波状に緩やかに変化し、矩形波駆動方式及び台形波駆動方式に比して回転磁界の急激な変化が抑制される。しかしながら、電圧利用率は、台形波駆動方式よりもさらに低下する。
正弦波駆動方式では、正弦波電圧に3次高調波成分(ワイパモータ18の電気角の周期の3分の1の周期で変化する成分)を重畳して得られる重畳後電圧を各相の電圧指令として用いることが考えられている。図6は、正弦波電圧122U、3次高調波成分126U、重畳後電圧124Uの関係の一例を示した説明図である。図6は一例としてU相における電圧指令を示している。図6に示したように、重畳後電圧124Uを各相の電圧指令として用いる場合、正弦波電圧122Uを各相の電圧指令として用いる場合に比して電気角90°付近及び電気角270°付近で電圧の絶対値が若干小さくなるが、それら以外の電気角の範囲では重畳後電圧124Uの電圧の絶対値が正弦波電圧122Uの電圧の絶対値を上回る。その結果、重畳後電圧124Uを各相の電圧指令として用いる正弦波駆動方式では、図5に示した通常の正弦波駆動方式よりも電圧利用率が向上する。
また、三相のうち、二相のみでPWMを行う二相変調方式によっても、正弦波駆動方式での電圧利用率を向上させることができる。図7は、二相変調方式による各相の電圧指令128U、128V、128Wの一例を示した説明図である。電圧指令128U、128V、128Wの各々の極大値及び極小値は一定値で連続する。極大値及び極小値を示した相のスイッチング素子ではPWMを行わず、オン状態を継続し、他の二相のスイッチング素子でPWMを行う。その結果、二相変調方式の電圧指令128U、128V、128Wの電圧の絶対値は、通常の正弦波駆動方式の電圧指令の電圧の絶対値を上回り、図5に示した通常の正弦波駆動方式よりも電圧利用率が向上する。
図8は、本実施の形態に係る車両用ワイパ装置100のワイパモータ18の始動時、Loモード及びHiモードでの駆動方式の例を示した表である。本実施の形態で用いる駆動方式は、矩形波駆動方式、台形波駆動方式及び正弦波駆動方式の3種類である。また、車両用ワイパ装置100の払拭速度が高速のHiモードと低速のLoモードとである場合、払拭速度のモードによって用いられる駆動方式は、図8のようになる。
図8において、始動時には、いずれの場合も矩形波駆動方式を用いる。ブラシレスDCモータを始動するには、ロータ88の位置を検出し、ロータ88の位置に応じた電圧をブラシレスDCモータのコイルに印加し、印加する電圧を徐々に上げていく通電制御を行うので、かかる制御においては、電源電圧を単純にオンオフしてブラシレスDCモータへの印加電圧を生成する矩形波駆動方式が適しているからである。
図8に示したように、本実施の形態では、払拭速度が高速のHiモードでは電圧利用率が高い矩形波駆動方式または台形波駆動方式を用い、払拭速度が低速のLoモードではワイパモータ18から発生する磁気音が小さい正弦波駆動方式または台形波駆動方式を用いる。一般的には、Loモードでは静粛性に優れる正弦波駆動方式を用い、Hiモードでは電圧利用率が高い矩形波駆動方式を用いる(図8左列)。また、Hiモードでもワイパモータ18から発生する磁気音を抑制したい場合には、Loモードで正弦波駆動方式を用い、Hiモードで台形波駆動方式を用いる(図8中列)。さらに、Loモードでも磁気音の抑制よりも電圧利用率の向上を優先する場合には、Loモードで台形波駆動方式を用い、Hiモードで矩形波駆動方式を用いてもよい(図8右列)。または、Loモード及びHiモードで台形波駆動方式を用いてもよい。図8は、LoモードとHiモードとの2段階で払拭速度を変更する場合を示したが、LoモードとHiモードとの間に、中間速度のMidモードを設けてもよい。かかる場合には、Loモードで正弦波駆動方式を、Midモードで台形波駆動方式を、Hiモードで矩形波駆動方式を各々用いる。
図9は、本実施の形態に係る車両用ワイパ装置100のワイパモータ18の回転速度に応じた駆動方式の一例を示した表である。図9は図8と異なり、払拭動作のモードで起動方式を切り替えるのではなく、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度、すなわちワイパブレード28、30の払拭速度の高低に応じて駆動方式を切り替える。
始動時には、図8の場合と同様に矩形波駆動方式を用いるが、以後、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度が高くなるに従って駆動方式を正弦波駆動方式、次いで台形波駆動方式、さらには矩形波駆動方式に変更する。
図10は、ワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上の位置に応じた払拭速度(すなわちワイパモータ18の出力軸32の回転速度)の制御に用いる速度マップの例を示した概略図である。図10の各図において、横軸はワイパブレード28、30の位置であり、縦軸は目標払拭速度すなわち出力軸32の目標回転速度である。本実施の形態では、図10に示した速度マップを参照して、回転角度センサ54で検出した出力軸32の回転角度に対応したワイパブレード28、30の位置に応じて出力軸32の回転速度を制御する。
図10(A)は、Loモードで使用する速度マップの一例である。下反転位置P2から開始される区間S01は、ワイパモータ18の始動時であるので、回転速度が閾値回転速度ST0に達するまで図9に示したように矩形波駆動方式でワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
区間S01に後続する区間S02は第1速度ST1未満の低速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成し、続く区間S03は第1速度ST1以上かつ第2速度ST2未満の中速度域に相当するので台形波駆動方式で電圧を生成する。区間S03に後続する区間S04は低速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成する。
区間S05は、始動時における区間S01の回転速度と同じなので、区間S01同様に矩形波駆動方式を用いてもよいし、区間S04で用いた正弦波駆動方式で電圧を生成してワイパブレード28、30が上反転位置P1に到達するようにワイパモータ18の回転を制御してもよい。
ワイパブレード28、30が上反転位置P1で反転した後は、図10(A)に示した速度マップを横軸方向でP1からP2(右から左)に向かって参照し、区間S05で矩形波駆動方式、区間S04で正弦波駆動方式、区間S03で台形波駆動方式、区間S02で正弦波駆動方式、そして区間S01で矩形波駆動方式または正弦波駆動方式を各々用いてワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
図10(B)は、Hiモードで使用する速度マップの一例を示した概略図である。下反転位置P2から開始される区間S11は、ワイパモータ18の始動時であるので、図9に示したように矩形波駆動方式でワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
区間S11に後続する区間S12は低速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成し、続く区間S13は中速度域に相当するので台形波駆動方式で電圧を生成する。
区間S14は第2速度ST2以上の高速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成し、区間S15は中速度域に相当するので台形波駆動方式で戦圧を生成し、区間S16は低速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成し、区間S17は始動時である区間S11と同様に矩形波駆動方式で電圧を生成してもよいし、区間S16と同様に正弦波駆動方式で電圧を生成してもよい。
ワイパブレード28、30が上反転位置P1で反転した後は、図10(B)に示した速度マップを横軸方向でP1からP2(右から左)に向かって参照し、区間S17で矩形波駆動方式、区間S16で正弦波駆動方式、区間S15で台形波駆動方式、区間S14で矩形波駆動方式、区間S13で台形波駆動方式、区間S12で正弦波駆動方式、そして区間S11で矩形波駆動方式または正弦波駆動方式を各々用いてワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
図10(C)は、Hiモードで使用する速度マップの他の例を示した概略図である。図10(C)は、回転速度の最大値が図10(B)の場合よりも大きくなっている。図10(C)に示した区間S21は、ワイパモータ18の始動時であるので、図9に示したように矩形波駆動方式でワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
区間S21に後続する区間S22は低速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成し、続く区間S23は中速度域に相当するので台形波駆動方式で電圧を生成する。
区間S24は高速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成し、区間S25は中速度域に相当するので台形波駆動方式で戦圧を生成し、区間S26は低速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成し、区間S27は始動時である区間S21と同様に矩形波駆動方式で電圧を生成してもよいし、区間S26と同様に正弦波駆動方式で電圧を生成してもよい。
ワイパブレード28、30が上反転位置P1で反転した後は、図10(C)に示した速度マップを横軸方向でP1からP2(右から左)に向かって参照し、区間S27で矩形波駆動方式、区間S26で正弦波駆動方式、区間S25で台形波駆動方式、区間S24で矩形波駆動方式、区間S23で台形波駆動方式、区間S22で正弦波駆動方式、そして区間S21で矩形波駆動方式または正弦波駆動方式を各々用いてワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
図11は、本実施の形態に係る車両用ワイパ装置100の処理の一例を示したフローチャートである。図11に示した処理は、ワイパスイッチ50がオンになってワイパブレード28、30が下反転位置P2または上反転位置P1から払拭動作を開始する際に開始される。ステップ900では、ホールセンサ72が出力したホールセンサ信号の立ち上がりまたは立ち下がりのエッジを検出する。ステップ902では、検出したエッジに応じて通電相を切り替え、ステップ904ではホールセンサ72が出力したホールセンサ信号からワイパモータ18のロータ88の回転速度を算出する。
ステップ900〜904の手順は、図9、10に示した始動時の矩形波駆動方式で電圧を生成する段階である。ステップ906では、ロータ88の回転速度が閾値回転速度以上になったか否かを判定する。閾値回転速度ST0は、始動時の矩形波駆動方式に後続する正弦波駆動方式でのロータ88の回転速度の下限値である。閾値回転速度ST0は、例えば、図10(A)に示した区間S01と区間S02との境界線における回転速度である。ステップ906では、回転速度が閾値回転速度ST0以上の場合には手順をステップ908に移行し、回転速度が閾値回転速度ST0未満の場合には手順をステップ918に移行する。
ステップ908では、回転角度センサ54が出力した回転角度センサ情報を取得し、ステップ910では、取得した回転角度センサ情報からワイパモータ18の出力軸32の回転角度及び回転速度を算出する。
ステップ912では、図10に例示したような速度マップが示す目標回転速度とステップ910で算出した出力軸32の回転速度(実回転速度)との偏差を算出し、ステップ914では、ステップ912で算出した偏差を解消し得る回転速度に応じた駆動方式を選択する。偏差の解消は、例えばPI(Proportional-Integral)制御等の既知の方法によって行う。ステップ916では、選択した駆動方式に応じた制御を行って、手順をステップ906に移行する。
ステップ918では、ワイパブレード28、30が反転位置(上反転位置P1または下反転位置P2)に到達したか否かを判定し、反転位置に到達した場合は処理を終了する。ステップ918でワイパブレード28、30が反転位置に到達していない場合には手順をステップ900に移行して、始動時の矩形波駆動方式による電圧生成を継続する。なお、図11に示した処理は、ワイパブレード28、30が反転位置に到達した場合に処理を終了するが、ワイパブレード28、30が当該反転位置で反転した場合には、再スタートし、ステップ900の手順を開始する。
図12は、図11のステップ916で選択した駆動方式に応じた制御の一例を示したフローチャートであり、一例として正弦波駆動方式の場合の手順を示している。ステップ100では、ホールセンサ72が出力したホールセンサ信号の立ち上がりまたは立ち下がりのエッジを検出する。
ステップ102では、ホールセンサ信号からワイパモータ18のロータ88の回転速度を算出し、ステップ102では、ホールセンサ信号のエッジから算出したロータ88の位置及びロータ88の回転速度に従った各相の駆動デューティ比を算出し、ステップ106では、算出した駆動デューティ比に従った駆動指令を駆動回路56に出力する。
ステップ108では、ホールセンサ信号にエッジが存在するか否かを判定し、エッジが存在する場合は処理をリターンし、エッジが存在しない場合には手順をステップ104に移行して、駆動デューティ比の算出及び駆動指令の出力を継続する。
図12では、正弦波駆動方式の場合について説明したが、台形波駆動方式、矩形波駆動方式も手順自体は正弦波駆動方式の場合と大差ないので、それらについての詳細な説明は省略する。
以上説明したように、本実施の形態では、払拭速度が低速度域の場合は、ワイパモータ18から発生する磁気音が少ない正弦波駆動方式によってワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。そして、払拭速度が中速度域に到達した場合は、正弦波駆動方式よりも電圧利用率が良好な台形波駆動方式によってワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成し、払拭速度が高速度域に到達した場合は、台形波駆動方式よりも電圧利用率が良好な矩形波駆動方式によってワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
矩形波駆動方式ではワイパモータ18から発生する磁気音が顕著になるが、電圧利用率が良好なので、Hiモード等の高速度域に対応するようにワイパモータ18を高出力で回転させることが可能となる。また、Hiモード等で払拭速度を高速にした場合は、ワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12を擦過する音、及びワイパブレード28、30が反転位置で反転する音が顕著となるので、ワイパモータ18から発生する磁気音がこれらの音に紛れて、それほど耳障りではなくなる場合がある。
また、Loモード等の低速度域では、ワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12を擦過する音、及びワイパブレード28、30が反転位置で反転する音がHiモード等の高速度域よりも低下するが、正弦波駆動方式によりワイパモータ18から発生する磁気音も抑制されるので、車室内の静粛性が維持されるという効果を奏する。
[第2の実施の形態]
続いて本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、払拭速度が高速度域の場合に正弦波駆動方式を行うと共に、払拭速度が低速度域の場合に正弦波駆動方式を行う点で第1の実施の形態と相違する。その他、構成については、第1の実施の形態の車両用ワイパ装置100と同様なので、本実施の形態に係る車両用ワイパ装置の構成についての詳細な説明は省略する。
図13は、本実施の形態に係る車両用ワイパ装置100のワイパモータ18の始動時、Loモード及びHiモードでの駆動方式の例を示した表である。車両用ワイパ装置100の払拭速度が高速のHiモードと低速のLoモードとである場合、払拭速度のモードによって用いられる駆動方式は、図13のようになる。本実施の形態でも始動時には、第1の実施の形態と同様に矩形波駆動方式を用いる。
図13に示したように、本実施の形態では、払拭速度が低速のLoモードでは矩形波駆動方式または台形波駆動方式を用い、払拭速度が高速のHiモードでは正弦波駆動方式または台形波駆動方式を用いる。低速度域ではワイパモータ18のコイル86に印加される電圧は低いので、磁気音が発生しやすい矩形波駆動方式でも、生じた磁気音の大きさは高速度域よりも小さくなる。また、高速度域で正弦波駆動方式を行うことにより、ワイパモータ18から発生する磁気音を矩形波駆動方式よりも低下させることができ、低速度域から高速度域まで、磁気音を抑制したワイパモータ18の回転制御が可能になる。
一般的には、Loモードでは矩形波駆動方式を用い、Hiモードでは静粛性に優れる正弦波駆動方式を用いる(図13左列)。また、Loモードでもワイパモータ18から発生する磁気音を抑制したい場合には、Loモードで台形波駆動方式を用い、Hiモードで正弦波駆動方式を用いる(図13中列)。さらに、Hiモードでも磁気音の抑制よりも電圧利用率の向上を優先する場合には、Hiモードで台形波駆動方式を用い、Loモードで矩形波駆動方式を用いてもよい(図13右列)。または、Loモード及びHiモードで台形波駆動方式を用いてもよい。図13は、LoモードとHiモードとの2段階で払拭速度を変更する場合を示したが、LoモードとHiモードとの間に、中間速度のMidモードを設けてもよい。かかる場合には、Loモードで矩形波駆動方式を、Midモードで台形波駆動方式を、Hiモードで正弦波駆動方式を各々用いる。
図14は、本実施の形態に係る車両用ワイパ装置100のワイパモータ18の回転速度に応じた駆動方式の一例を示した表である。図14は図13と異なり、払拭動作のモードで起動方式を切り替えるのではなく、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度、すなわちワイパブレード28、30の払拭速度の高低に応じて駆動方式を切り替える。
始動時には、図13の場合と同様に矩形波駆動方式を用いるが、以後、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度が高くなるに従って駆動方式を矩形波駆動方式、次いで台形波駆動方式、さらには正弦波駆動方式に変更する。図14に示したように駆動方式を変更する場合、図10に示した各区間での駆動方式は下記のようになる。
図10(A)は、Loモードで使用する速度マップの一例であるが、下反転位置P2から開始される区間S01は、ワイパモータ18の始動時であるので、回転速度が閾値回転速度ST0に達するまで図14に示したように矩形波駆動方式でワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
区間S01に後続する区間S02は第1速度ST1未満の低速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成し、続く区間S03は第1速度ST1以上かつ第2速度ST2未満の中速度域に相当するので台形波駆動方式で電圧を生成する。区間S03に後続する区間S04は低速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成する。
区間S05は、始動時における区間S01の回転速度と同じなので、区間S01同様に矩形波駆動方式を用いて電圧を生成してワイパブレード28、30が上反転位置P1に到達するようにワイパモータ18の回転を制御する。
ワイパブレード28、30が上反転位置P1で反転した後は、図10(A)に示した速度マップを横軸方向でP1からP2(右から左)に向かって参照し、区間S05で矩形波駆動方式、区間S04で矩形波駆動方式、区間S03で台形波駆動方式、区間S02で矩形波駆動方式、そして区間S01で矩形波駆動方式を各々用いてワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
図10(B)は、Hiモードで使用する速度マップの一例を示した概略図である。下反転位置P2から開始される区間S11は、ワイパモータ18の始動時であるので、図14に示したように矩形波駆動方式でワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
区間S11に後続する区間S12は低速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成し、続く区間S13は中速度域に相当するので台形波駆動方式で電圧を生成する。
区間S14は第2速度ST2以上の高速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成し、区間S15は中速度域に相当するので台形波駆動方式で戦圧を生成し、区間S16は低速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成し、区間S17は始動時である区間S11と同様に矩形波駆動方式で電圧を生成する。
ワイパブレード28、30が上反転位置P1で反転した後は、図10(B)に示した速度マップを横軸方向でP1からP2(右から左)に向かって参照し、区間S17で矩形波駆動方式、区間S16で矩形波駆動方式、区間S15で台形波駆動方式、区間S14正弦波駆動方式、区間S13で台形波駆動方式、区間S12で矩形波駆動方式、そして区間S11で矩形波駆動方式を各々用いてワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
図10(C)は、Hiモードで使用する速度マップの他の例を示した概略図である。図10(C)に示した区間S21は、ワイパモータ18の始動時であるので、図14に示したように矩形波駆動方式でワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
区間S21に後続する区間S22は低速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成し、続く区間S23は中速度域に相当するので台形波駆動方式で電圧を生成する。
区間S24は高速度域に相当するので正弦波駆動方式で電圧を生成し、区間S25は中速度域に相当するので台形波駆動方式で戦圧を生成し、区間S26は低速度域に相当するので矩形波駆動方式で電圧を生成し、区間S27は始動時である区間S21と同様に矩形波駆動方式で電圧を生成する。
ワイパブレード28、30が上反転位置P1で反転した後は、図10(C)に示した速度マップを横軸方向でP1からP2(右から左)に向かって参照し、区間S27で矩形波駆動方式、区間S26で矩形波駆動方式、区間S25で台形波駆動方式、区間S24で正弦波駆動方式、区間S23で台形波駆動方式、区間S22で矩形波駆動方式、そして区間S21で矩形波駆動方式を各々用いてワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
以上説明したように、本実施の形態では、払拭速度が高速度域の場合は、ワイパモータ18から発生する磁気音が少ない正弦波駆動方式によってワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。そして、払拭速度が中速度域の場合は台形波駆動方式によってワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成し、払拭速度が低速度域の場合は矩形波駆動方式によってワイパモータ18のコイル86に印加する電圧を生成する。
低速度域では回転磁界の変化が高速度域に比して緩慢なので、矩形波駆動方式でも磁気音の発生は高速度域よりも抑制される。また、Hiモード等で払拭速度を高速にした場合は、ワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12を擦過する音、及びワイパブレード28、30が反転位置で反転する音が顕著となるので、正弦波駆動方式によりワイパモータ18から発生する磁気音を抑制することによって車両用ワイパ装置100全体から生じる騒音を低下させることが可能になるという効果を奏する。
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、1モータリンク付のタンデム払拭方式の車両用ワイパ装置100に本発明を適用したが、2モータDD(ダイレクトドライブ)のタンデム払拭方式の車両用ワイパ装置及び対向払拭方式の車両用ワイパ装置に本発明を各々適用してもよい。