JP2019209915A - ワイパ装置及びワイパ装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】実際の反転位置が予め設定された目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うワイパ装置及びワイパ装置の制御方法を提供する。【解決手段】マイクロコンピュータ58は、駆動回路56の制御信号を出力する制御器58Aと、当該制御信号に基づく理想回転角度及び理想回転角速度を算出する推定機能58Bと、理想回転角度と回転角度センサ54で検出されたワイパモータ18の出力軸32の実回転角度との偏差、又は理想回転角速度と実回転角度の微分値である実回転角速度との偏差から制御信号の補正値を算出する補正機能部58Cと、を含み、制御器58Aは、当該補正値に基づいて制御信号を補正する。【選択図】図5
Description
本発明は、ワイパ装置及びワイパ装置の制御方法に関する。
反転制御式のワイパ装置は、予め設定された反転位置に払拭動作中のワイパブレードが到達したか否かを判定して、反転動作を行う。具体的には、ワイパモータの出力軸の回転角度を検出するセンサと、当該センサが検出した回転角度に基づいてワイパモータを駆動する回路とを有し、当該回路が含むマイクロコンピュータ等の制御装置を用いて、ワイパモータの回転を反転位置で反転させる制御を行う。
しかしながら、ウィンドシールドガラス(ウィンドシールド)の表面には水滴及び汚れ等の付着物があり、かかる付着物によりワイパブレードの払拭動作が阻害され得る。また、走行風等の外的要因がワイパブレードの払拭動作に影響する場合もある。従って、予め設定された反転位置でワイパモータの回転を反転させる制御では、ワイパブレードが予め設定された反転位置で反転しないおそれがあった。
特許文献1には、反転位置を調整して反転位置におけるワイパアームの停止位置のばらつきを抑制するワイパ装置の制御方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のワイパ装置の制御方法は、反転位置を調整するものの、払拭速度の制御に特段の変更はないため、反転位置におけるワイパアームの停止位置のばらつきが依然として生じ得るという問題点があった。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、実際の反転位置が予め設定された目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うワイパ装置及びワイパ装置の制御方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載のワイパ装置は、ワイパブレードを払拭動作させるワイパモータを、供給された制御信号に基づいて駆動する駆動回路と、前記ワイパモータの出力軸の実回転角度を検出する回転角度検出部と、前記駆動回路に前記制御信号を供給する制御部と、前記制御信号に対する前記出力軸の理想的な回転角度と前記回転角度検出部で検出された前記実回転角度との間、又は前記制御信号に対する前記出力軸の理想的な回転角速度と前記実回転角度の微分値である実回転角速度との間に偏差が生じた場合に、前記制御信号を前記偏差の大きさに応じて補正する制御信号補正部と、を含んでいる。
このワイパ装置によれば、制御信号に対する前記出力軸の理想的な回転角度と実回転角度との偏差又は理想的な回転角速度と実回転角速度との偏差に基づいて駆動回路の制御信号を補正することにより、実際の反転位置が予め設定された目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うことができる。
請求項2に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記制御信号補正部は、前記制御信号から前記出力軸の理想的な回転角度及び回転角速度を算出する。
このワイパ装置によれば、制御部が出力した制御信号に基づいて出力軸の理想的な回転角度及び理想的な回転角速度を算出する。理想的な回転角度と実回転角度との偏差又は理想的な回転角速度と実回転角速度との偏差に基づいて駆動回路の制御信号を補正することにより、実際の反転位置が予め設定された目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うことができる。
請求項3に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記出力軸の理想的な回転角度及び回転角速度を予め記憶した記憶部を含んでいる。
このワイパ装置によれば、記憶部に予め記憶した出力軸の理想的な回転角度と実回転角度との偏差又は記憶部に予め記憶した出力軸の理想的な回転角速度と実回転角速度との偏差に基づいて駆動回路の制御信号を補正することにより、実際の反転位置が予め設定された目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うことができる。
請求項4に記載のワイパ装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパ装置において、前記制御信号は、前記偏差を解消するPI制御を用いて補正される。
このワイパ装置によれば、出力軸の理想的な回転角度と実回転角度との偏差を解消するPI制御(Proportional-Integral Controller)によって駆動回路の制御信号を補正することにより、実際の反転位置が予め設定された目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うことができる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置100の構成を示す概略図である。ワイパ装置100は、例えば、乗用自動車等の車両に備えられたウィンドシールドガラス12を払拭するためのものであり、一対のワイパ14、16と、ワイパモータ18と、リンク機構20とを備えている。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置100の構成を示す概略図である。ワイパ装置100は、例えば、乗用自動車等の車両に備えられたウィンドシールドガラス12を払拭するためのものであり、一対のワイパ14、16と、ワイパモータ18と、リンク機構20とを備えている。
ワイパ14、16は、それぞれワイパアーム24、26とワイパブレード28、30とにより構成されている。ワイパアーム24、26の基端部は、後述するピボット軸42、44に各々固定されており、ワイパブレード28、30は、ワイパアーム24、26の先端部に各々固定されている。
ワイパ14、16は、ワイパアーム24、26の動作に伴ってワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12上を往復動作し、ワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12を払拭する。
ワイパモータ18は、主にウォームギアで構成された減速機構52を介して、正逆回転可能な出力軸32を有している。リンク機構20は、クランクアーム34と、第1リンクロッド36と、一対のピボットレバー38、40と、一対のピボット軸42、44と、第2リンクロッド46とを備えている。
クランクアーム34の一端側は、出力軸32に固定されており、クランクアーム34の他端側は、第1リンクロッド36の一端側に動作可能に連結されている。また、第1リンクロッド36の他端側は、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端寄りの箇所に動作可能に連結されており、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端及びピボットレバー40におけるピボットレバー38の当該端に対応する端には、第2リンクロッド46の両端がそれぞれ動作可能に連結されている。
また、ピボット軸42、44は、車体に設けられた図示しないピボットホルダによって動作可能に支持されており、ピボットレバー38、40におけるピボット軸42、44を有する端は、ピボット軸42、44を介してワイパアーム24、26が各々固定されている。
本実施の形態に係るワイパ装置100は、出力軸32が所定の範囲の回転角θ1で正逆回転されると、この出力軸32の回転力がリンク機構20を介してワイパアーム24、26に伝達され、このワイパアーム24、26の往復動作に伴ってワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12上における下反転位置P2と上反転位置P1との間で往復動作をする。θ1の値は、ワイパ装置100のリンク機構の構成等によって様々な値をとり得るが、本実施の形態では、一例として110°である。
本実施の形態に係るワイパ装置100では、図1に示されるように、ワイパブレード28、30が格納位置P3に位置された場合には、クランクアーム34と第1リンクロッド36とが直線状をなす構成とされている。
格納位置P3は、下反転位置P2の下方に設けられている。ワイパブレード28、30が下反転位置P2にある状態から、出力軸32がθ2回転することにより、ワイパブレード28、30は格納位置P3に動作する。θ2の値は、ワイパ装置100のリンク機構の構成等によって様々な値をとり得るが、本実施の形態では、一例として10°とする。
なお、回転角θ2が「0」の場合は、下反転位置P2と格納位置P3は一致し、ワイパブレード28、30は、下反転位置P2で停止し、格納される。
ワイパモータ18には、ワイパモータ18の回転を制御するためのワイパモータ制御回路22が接続されている。本実施の形態に係るワイパモータ制御回路22は、マイクロコンピュータ58を含む。また、ワイパモータ制御回路22は、駆動回路56等と共に、ワイパ制御装置10を構成する。
ワイパモータ制御回路22のマイクロコンピュータ58は、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度及び回転角を検知する回転角度センサ54の検知結果に基づいてワイパモータ18の回転速度を制御する。回転角度センサ54は、ワイパモータ18の減速機構52内に設けられ、出力軸32に連動して回転するセンサマグネットの磁界(磁力)を電流に変換して検出する。
本実施の形態に係るワイパモータ18は、前述のように減速機構52を有しているので、出力軸32の回転速度及び回転角は、ワイパモータ本体の回転速度及び回転角と同一ではない。しかしながら、本実施の形態では、ワイパモータ本体と減速機構52は一体不可分に構成されているので、以下、出力軸32の回転速度及び回転角を、ワイパモータ18の回転速度及び回転角とみなすものとする。
マイクロコンピュータ58は、回転角度センサ54が検出した出力軸32の回転角からワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上での位置を算出可能で、当該位置に応じて出力軸32の回転速度が変化するように駆動回路56を制御する。駆動回路56は、ワイパモータ制御回路22の制御に基づいてワイパモータ18に印加する電圧を生成する回路であり、電源である車両のバッテリの電力をスイッチングしてワイパモータ18に印加する電圧を生成する。
また、ワイパモータ制御回路22のマイクロコンピュータ58には、車両のエンジンの制御等を行う車両ECU(Electronic Control Unit)92を介してワイパスイッチ50が接続されている。ワイパスイッチ50は、車両のバッテリからワイパモータ18に供給される電力をオン又はオフするスイッチである。ワイパスイッチ50は、ワイパブレード28、30を、低速で動作させる低速作動モード選択位置(LOW)、高速で動作させる高速作動モード選択位置(HIGH)、一定周期で間欠的に動作させる間欠作動モード選択位置(INT)、停止モード選択位置(OFF)に切替可能である。また、各モードの選択位置に応じてワイパモータ18を回転させるための指令信号を車両ECU92と信号入力回路62とを介してマイクロコンピュータ58に出力する。例えば、ワイパスイッチ50が、高速作動モード選択位置ではワイパモータ18を高速で回転させ、低速作動モード選択位置ではワイパモータ18を低速で回転させ、間欠作動モード選択位置ではワイパモータ18を間欠的に回転させる。
ワイパスイッチ50から各モードの選択位置に応じて出力された信号が車両ECU92と信号入力回路62とを介してマイクロコンピュータ58に入力されると、マイクロコンピュータ58はワイパスイッチ50からの指令信号に対応する制御を行う。具体的には、マイクロコンピュータ58は、ワイパスイッチ50からの指令信号に基づいて、所望する往復払拭周期でワイパブレード28、30が作動するように、出力軸32の回転信号を読み取ってワイパモータ18に印加する電圧を制御する。
車両ECU92には、車両の速度を検出する車速センサ94が接続されている。なお、車両ECU92と信号入力回路62との通信は、一例としてプロトコルにLIN(Local Interconnect Network)を用いる。
図2は、本実施の形態に係るワイパ制御装置10の構成の一例の概略を示すブロック図である。図2に示したワイパ制御装置10は、ワイパモータ18の巻線の端子に印加する電圧を生成する駆動回路56と、駆動回路56を構成するスイッチング素子のオン及びオフを制御するマイクロコンピュータ58を有するワイパモータ制御回路22とを含んでいる。マイクロコンピュータ58には、ダイオード68を介してバッテリ80の電力が供給されると共に、バッテリ80から供給される電力の電圧は、ダイオード68とマイクロコンピュータ58との間に設けられた電圧検出回路60によって検知され、検知結果はマイクロコンピュータ58に出力される。また、ダイオード68とマイクロコンピュータ58との間に一端が接続され、他端(−)が接地された電解コンデンサC1が設けられている。電解コンデンサC1は、マイクロコンピュータ58の電源を安定化するためのコンデンサである。電解コンデンサC1は、例えば、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することにより、マイクロコンピュータ58を保護する。
マイクロコンピュータ58には、ワイパスイッチ50から車両ECU92及び信号入力回路62を介してワイパモータ18の回転速度を指示するための信号が入力される。マイクロコンピュータ58には、車速センサ94からの信号も、車両ECU92及び信号入力回路62を介して入力される。
また、マイクロコンピュータ58には、出力軸32の回転に応じて変化するセンサマグネット70の磁界を検知する回転角度センサ54が接続されている。マイクロコンピュータ58は、回転角度センサ54が出力した信号に基づいて、出力軸32の回転角度を算出することにより、ワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上での位置を特定する。
さらに、マイクロコンピュータ58は、メモリ48に記憶されているワイパブレード28、30の位置に応じて規定されたワイパモータ18の回転速度のデータを参照して、ワイパモータ18の回転が、特定したワイパブレード28、30の位置に応じた回転数になるように駆動回路56を制御する。かかるデータは、メモリ48に格納される。
駆動回路56は、マイクロコンピュータ58が出力した駆動回路56の制御信号から、電圧生成回路56Bのスイッチング素子をオンオフさせる駆動信号を生成するプリドライバ56Aと、プリドライバ56Aが出力した駆動信号に従ってスイッチング素子を動作させてワイパモータ18のコイルに印加する電圧を生成する電圧生成回路56Bと、含む。
本実施の形態では、電源であるバッテリ80と駆動回路56との間には逆接続保護回路64及びノイズ防止コイル66が設けられると共に、駆動回路56に対して並列になるように電解コンデンサC2が設けられている。ノイズ防止コイル66は、駆動回路56のスイッチングによって発生するノイズを抑制するための素子である。
電解コンデンサC2は、駆動回路56から生じるノイズを緩和すると共に、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することにより、駆動回路56に過大な電流が入力されるのを防止するための素子である。
逆接続保護回路64は、バッテリ80の正極と負極が図2に示した場合とは逆に接続された場合に、ワイパ制御装置10を構成する素子を保護するための回路である。逆接続保護回路64は、一例として、自身のドレインとゲートを接続した、いわゆるダイオード接続されたFET等で構成される。
本実施の形態に係るワイパ制御装置10の基板上には、基板の温度を抵抗値として検知するチップサーミスタRTが実装されている。本実施の形態に用いられるチップサーミスタRTは、一例として、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC (Negative Temperature Coefficient)サーミスタである。なお、反転回路を併用することで、温度が上昇するにつれて抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタを使用してもよい。
チップサーミスタRTは一種の分圧回路を構成しており、チップサーミスタRTによって構成される分圧回路の出力端からは、チップサーミスタRTの抵抗値に基づいて変化する電圧が出力される。マイクロコンピュータ58は、チップサーミスタRTによって構成される分圧回路の出力端から出力された電圧に基づいてワイパ制御装置10の基板の温度を算出し、当該温度が所定の閾値温度を超えた場合は、ワイパ制御装置10の動作を停止させる処理を行う。
また、電圧生成回路56Bを構成するスイッチング素子の各々のソースとバッテリ80との間にはワイパモータ18のコイルと電圧生成回路56Bとの電流(モータ電流)を検知するための電流検知部82が設けられている。電流検知部82は、抵抗値が0.2mΩ〜数Ω程度のシャント抵抗82Aと、電圧生成回路56Bの電流に応じて変化するシャント抵抗82Aの両端の電位差を検知すると共に検知した電位差の信号を増幅するアンプ82Bとを含む。マイクロコンピュータ58は、アンプ82Bが出力した信号からモータ電流の電流値を算出し、当該電流値が所定の閾値を超えた場合に、電圧生成回路56Bによる電圧生成を停止してワイパモータ18の回転を停止させる処理を行う。
図3は、ワイパモータ18がブラシ付きモータの場合の駆動回路56の一例を示したブロック図である。駆動回路56は、マイクロコンピュータ58から入力された制御信号に基づいて、電圧生成回路56BHのスイッチング素子を動作させる駆動信号を生成して電圧生成回路56BHに出力するプリドライバ56APと、駆動信号に基づいたスイッチング素子の動作によりワイパモータ18に供給する電力を生成する電圧生成回路56BHと、を備えている。
電圧生成回路56BHは、図3に示すように、スイッチング素子にN型の電界効果トランジスタ(FET)であるトランジスタT1、T2、T3、T4を用いたHブリッジ回路である。トランジスタT1及びトランジスタT2は、ドレインがバッテリの正極に各々接続されており、ソースがトランジスタT3及びトランジスタT4のドレインに各々接続されている。また、トランジスタT3及びトランジスタT4のソースは接地されている。
また、トランジスタT1のソース及びトランジスタT3のドレインは、ワイパモータ18の巻線の一端に接続されており、トランジスタT2のソース及びトランジスタT4のドレインは、ワイパモータ18の巻線の他端に接続されている。
トランジスタT1及びトランジスタT4の各々のゲートにHレベルな駆動信号が入力されることにより、トランジスタT1及びトランジスタT4がオンになり、ワイパモータ18には例えばワイパブレード28、30を車室側から見て時計回りに動作させる電流が流れる。さらに、トランジスタT1及びトランジスタT4の一方をオン制御しているとき、他方をPWMにより、小刻みにオンオフ制御することにより、当該電流の電圧を変調できる。
また、トランジスタT2及びトランジスタT3の各々のゲートにHレベルな駆動信号が入力されることにより、トランジスタT2及びトランジスタT3がオンになり、ワイパモータ18には例えばワイパブレード28、30を車室側から見て反時計回りに動作させる電流が流れる。さらに、トランジスタT2及びトランジスタT3の一方をオン制御しているとき、他方をPWMにより、小刻みにオンオフ制御することにより、当該電流の電圧を変調できる。
図4は、ワイパモータ18がブラシレスモータの場合の電圧生成回路56Bの一例を示したブロック図である。電圧生成回路56BIは、三相(U相、V相、W相)インバータにより構成されている。
ワイパモータ18がブラシレスモータの場合、ワイパモータ18の回転制御は、回転するロータ118の永久磁石の磁極の位置に応じた位相の三相交流に近似した電圧を生成して、ステータ114のコイル116U、116V、116Wに印加することを要する。当該電圧が印加されたコイル116U、116V、116Wには、ロータ118を回転させる回転磁界が生じ、ロータ118は、回転磁界に応じて回転する。
ロータ118の磁極の位置は、ロータ118又はロータ118に対応した磁極を備えるセンサマグネットの磁界の変化を、ホール素子を用いたホールセンサ等(図示せず)で検出し、検出した磁界の変化からマイクロコンピュータ58が算出する。
マイクロコンピュータ58には、車両ECU92を介して、ワイパスイッチ50からワイパモータ18(ロータ118)の回転速度を指示するための信号が入力される。マイクロコンピュータ58は、ロータ118の磁極の位置に基づいて、ワイパモータ18のコイルに印加する電圧の位相を算出すると共に、算出した位相及びワイパスイッチ50により指示されたロータ118の回転速度に基づいて電圧生成回路56Bを制御する制御信号を生成してプリドライバ56AQに出力する。
プリドライバ56AQは、入力された制御信号に基づいて、電圧生成回路56BIのスイッチング素子を動作させる駆動信号を生成し、電圧生成回路56BIに出力する。
図4に示すように、電圧生成回路56BIは、各々が上段スイッチング素子としての3つのN型の電界効果トランジスタ(FET)111U、111V、111W(以下、「FET111U、111V、111W」と言う)、各々が下段スイッチング素子としての3つのN型の電界効果トランジスタ112U、112V、112W(以下、「FET112U、112V、112W」と言う)とを備えている。なお、FET111U、111V、111W及びFET112U、112V、112Wは、各々、個々を区別する必要がない場合は「FET111」、「FET112」と総称し、個々を区別する必要がある場合は、「U」、「V」、「W」の符号を付して称する。
FET111、FET112のうち、FET111Uのソース及びFET112Uのドレインは、コイル116Uの端子に接続されており、FET111Vのソース及びFET112Vのドレインは、コイル116Vの端子に接続されており、FET111Wのソース及びFET112Wのドレインは、コイル116Wの端子に接続されている。
FET111及びFET112のゲートはプリドライバ56AQに接続されており、駆動信号が入力される。FET111及びFET112は、ゲートにHレベルの駆動信号が入力されるとオン状態になり、ドレインからソースに電流が流れる。また、ゲートにLレベルの駆動信号が入力されるとオフ状態になり、ドレインからソースへ電流が流れない状態になる。
電圧生成回路56BIのFET111、112の各々を、駆動信号に応じてオンオフさせるPWMにより、ロータ118の磁極の位置に応じて変化し、かつ、ワイパスイッチ50により指示された回転速度でロータ118を回転させる電圧を生成する。
図5は、本実施の形態に係るワイパ装置100のワイパ制御装置10の、払拭動作補正処理に係る機能ブロック図の一例である。マイクロコンピュータ58は、駆動回路56に対して、ワイパモータ18に供給する電力を生成させる制御信号を出力(制御出力)する制御器58Aと、制御器58Aが出力した制御信号(制御出力)に対するワイパモータ18の出力軸32の理想的な回転角度(理想回転角度)及び出力軸32の理想的な回転角速度(理想回転角速度)を算出する、一種のシミュレータである推定機能58Bと、回転角度センサ54が実測した出力軸32の回転角度(実回転角度)と、推定機能58Bが算出した理想回転角度との偏差(ズレ量)、並びに出力軸32の実際の回転角速度(実回転角速度)と、推定機能58Bが算出した理想回転角速度との偏差に基づいて、制御信号の補正値を算出する補正機能部58Cと、を含む。制御信号の補正値を算出するに際して、理想回転角度及び理想回転角速度は、教師情報として扱われる。なお、角速度は、角度の微分値なので、本実施の形態では、マイクロコンピュータ58により理想回転角度及び実回転角度の各々を微分することにより、理想回転角速度及び実回転角速度を算出する。
補正機能部58Cは、実回転角度と理想回転角度との偏差、及び実回転角速度と理想回転角速度との偏差の各々を解消するように、補正値を算出する。偏差解消の補正値の算出は、一例として、PI制御等が用いられる。
図6は、本実施の形態に係るワイパ装置100において、払拭動作補正処理による実回転角度120と理想回転角度122との、時系列での変化を示したタイムチャートである。図6に示したように、実回転角度120と理想回転角度122とには、偏差ΔDが存在するが、補正機能部58Cにおいて、偏差ΔDに基づく補正値を算出し、制御器58Aが補正値に基づいて制御信号を補正することにより、偏差ΔDは徐々に解消される。
図7は、本実施の形態に係るワイパ装置100において、ワイパモータ18に印加する電圧のDuty比の、補正なしの制御信号に基づいたDuty比124と、補正後の制御信号に基づいたDuty比126との、時系列での変化を示したタイムチャートである。
Duty比126は、図6に示した偏差ΔDを解消する補正値で制御信号を補正することにより、補正なしのDuty114との乖離が生じるが、補正により、実回転角度120が理想回転角度122と略同じ位相を呈するようになると、補正されたDuty比126も、補正なしのDuty比124と略同じ位相を呈するようになる。
図6及び図7では、実回転角度120と理想回転角度122との偏差ΔDを解消する場合を示したが、実回転角速度と理想回転角速度との偏差を解消するようにしてもよい。本実施の形態では、一例として、実回転角度120と理想回転角度122との偏差ΔDを解消した後も、実回転角速度と理想回転角速度との偏差が解消していない場合は、当該偏差が解消するまで制御信号の補正を継続する。
図8は、本実施の形態に係るワイパ装置100における、払拭動作補正処理の一例を示したフローチャートである。ステップ800では、理想値(理想回転角度、理想回転角速度)と実測値(実回転角度、実回転速度)との偏差を演算する。偏差は、上述のように、理想回転角度122と、実回転角度120と差、及び理想回転角速度と実回転角速度との差に基づく。
ステップ802では、ステップ800で算出した偏差に基づき、補正値を演算し、ステップ804では、当該補正値によって補正した制御信号の出力を実行して、処理をリターンする。
以後は、なおも偏差が生じる場合には、生じた偏差に基づいて制御信号を補正する処理を行い、理想回転角度122と実回転角度120との偏差、及び理想回転角速度と実回転角速度との偏差が生じないようにする。
以上説明したように、本実施の形態に係るワイパ装置及びワイパ装置の制御方法よれば、制御信号に基づいた理想回転角度122と実回転角度120との偏差、及び制御信号に基づいた理想回転角速度と実回転角速度との偏差を算出し、算出した各々の偏差を解消するように算出された補正値によって制御信号を補正することにより、実際の反転位置が目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うことができる。
また、一般にワイパ装置は、製品のばらつきにより払拭動作の反転位置に個体差が生じ得るのみならず、経年変化によっても、反転位置に変化が生じ得るが、本実施の形態によれば、教師情報である理想回転角度122及び理想回転角速度と、実回転角度120及び実回転角速度との各々の偏差を解消する補正値に基づいて制御信号を補正することにより、ワイパ装置の経年変化による反転位置の変化も抑制できる。
なお、教師情報である理想回転角度及び理想回転角速度は、本実施の形態のように、制御信号から逐次算出するのみならず、後述する第2の実施の形態のように、メモリ48に予め保持していてもよいし、メモリ48以外の、外部の記憶装置に保持し、マイクロコンピュータ58が、当該外部の記憶装置に保持された教師情報を参照してもよい。
また、理想回転角度122と実回転角度120との偏差の解消、及び理想回転角速度と実回転角速度との偏差の解消に加えて、理想回転角速度の微分値である理想回転角加速度と実回転角速度の微分値である実回転角加速度との偏差を解消するようにしてもよい。
また、制御を簡略化するために、理想回転角度122と実回転角度120との偏差の解消のみ、又は理想回転角速度と実回転角速度との偏差の解消のみ、を行うようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、後述するように、メモリ48に、理想的な状態でワイパ装置100を作動させた場合の回転角度センサ54のセンサ情報を教師情報として保持する点で相違する。
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、後述するように、メモリ48に、理想的な状態でワイパ装置100を作動させた場合の回転角度センサ54のセンサ情報を教師情報として保持する点で相違する。
図9は、本実施の形態に係るワイパ装置100のワイパ制御装置210の、払拭動作補正処理に係る機能ブロック図の一例である。マイクロコンピュータ158は、駆動回路56に制御信号を出力する制御器158Aと、理想的な状態でワイパ装置100を作動させた場合の回転角度センサ54のセンサ情報から予め算出した理想回転角度及び理想回転角速度を教師情報として保持するメモリ48と、回転角度センサ54が実測した出力軸32の実回転角度及び実回転角速度とメモリ48が保持する教師情報との偏差(ズレ量)に基づいて、制御信号の補正値を算出する補正機能部158Bと、を含む。
補正機能部158Bは、実回転角度と教師情報との偏差を解消するように、補正値を算出する。偏差解消の補正値の算出は、一例として、PI制御等が用いられる。
以上説明したように、本実施の形態に係るワイパ装置及びワイパ装置の制御方法によれば、メモリ48に保持された教師情報と、回転角度センサ54によって検出された実回転角度及び実回転角速度との偏差を算出し、算出した偏差を解消するように算出された補正値によって制御信号を補正することにより、実際の反転位置が目標反転位置から逸脱した場合に、実際の反転位置を目標反転位置に近付ける制御を行うことができる。
また、第1の実施の形態では本実施の形態の教師情報に相当する理想回転角度及び理想回転角速度を、ワイパ装置100が動作中に算出していいたが、本実施の形態では、教師情報は予めメモリ48に保持されているので、理想回転角度及び理想回転角速度を算出する負荷がマイクロコンピュータ158にかからない。従って、本実施の形態に係るマイクロコンピュータ158は、第1の実施の形態のマイクロコンピュータ58よりも低スペックでもよいので、ワイパ装置100の製品の製造コストを抑制することができる。
本実施の形態では、教師情報として、理想回転角度及び理想回転角速度をメモリ48に保持したが、さらに、理想回転角速度の微分値である理想回転角加速度をメモリ48に保持し、理想回転角加速度と実回転角速度の微分値である実回転角加速度との偏差を解消するようにしてもよい。
また、制御を簡略化するために、理想回転角度のみ、又は理想回転角速度のみ、をメモリ48に保持するようにしてもよい。
10…ワイパ制御装置、12…ウィンドシールドガラス、14,16…ワイパ、18…ワイパモータ、20…リンク機構、22…ワイパモータ制御回路、24,26…ワイパアーム、28,30…ワイパブレード、32…出力軸、34…クランクアーム、36…リンクロッド、38,40…ピボットレバー、42,44…ピボット軸、46…リンクロッド、48…メモリ、50…ワイパスイッチ、52…減速機構、54…回転角度センサ、56…駆動回路、56A,56AP,56AQ…プリドライバ、56B,56BH,56BI…電圧生成回路、58…マイクロコンピュータ、58A…制御器、58B…推定機能、58C…補正機能部、60…電圧検出回路、62…信号入力回路、64…逆接続保護回路、66…ノイズ防止コイル、68…ダイオード、70…センサマグネット、80…バッテリ、82…電流検知部、82A…シャント抵抗、82B…アンプ、92…車両ECU、94…車速センサ、100…ワイパ装置、111U,111V,111W,112U,112V,112W…電界効果トランジスタ、114…ステータ、116U,116V,116W…コイル、118…ロータ、120…実回転角度、122…理想回転角度、124,126…Duty比、158…マイクロコンピュータ、158A…制御器、158B…補正機能部、210…ワイパ制御装置、ΔD…偏差、θ1,θ2…回転角、C1,C2…電解コンデンサ、P1…上反転位置、P2…下反転位置、P3…格納位置、RT…チップサーミスタ、T1,T2,T3,T4…トランジスタ
Claims (4)
- ワイパブレードを払拭動作させるワイパモータを、供給された制御信号に基づいて駆動する駆動回路と、
前記ワイパモータの出力軸の実回転角度を検出する回転角度検出部と、
前記駆動回路に前記制御信号を供給する制御部と、
前記制御信号に対する前記出力軸の理想的な回転角度と前記回転角度検出部で検出された前記実回転角度との間、又は前記制御信号に対する前記出力軸の理想的な回転角速度と前記実回転角度の微分値である実回転角速度との間に偏差が生じた場合に、前記制御信号を前記偏差の大きさに応じて補正する制御信号補正部と、
を含むワイパ装置。 - 前記制御信号補正部は、前記制御信号から前記出力軸の理想的な回転角度及び回転角速度を算出する請求項1に記載のワイパ装置。
- 前記出力軸の理想的な回転角度及び回転角速度を予め記憶した記憶部を含む請求項1に記載のワイパ装置。
- 前記制御信号は、前記偏差を解消するPI制御を用いて補正される請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパ装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018109764A JP2019209915A (ja) | 2018-06-07 | 2018-06-07 | ワイパ装置及びワイパ装置の制御方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111580512A (zh) * | 2020-04-28 | 2020-08-25 | 平安科技(深圳)有限公司 | 移动控制方法、装置、存储介质及计算机设备 |
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2018
- 2018-06-07 JP JP2018109764A patent/JP2019209915A/ja active Pending
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