JP7435912B2 - 車両用ワイパ装置及び車両用ワイパ装置の制御方法 - Google Patents
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Description
本出願は、2021年5月14日に出願された日本出願番号2021-082264号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
本開示は、車両用ワイパ装置及びその制御方法に関する。
特開2005-231590号公報に記載されたワイパ制御装置では、ワイパモータの出力軸に連結されたクランクアームと、ピボット軸に軸支されたワイパとが、リンク機構によって連結されている。このリンク機構は、ワイパモータの一方向回転運動をワイパの往復回動運動に変換する。これにより、ワイパのブレードラバーがウインドシールドガラス上でリップ部を傾倒させながら往復回動し、ウインドシールドガラスの表面を払拭する。この払拭時には、クランクアームの回転角が検出手段によって検出され、当該検出結果に基づいて駆動制御手段がワイパモータの駆動を制御する。
上記の駆動制御手段は、ワイパの移動方向が切り換わる反転時に、ブレードラバーの反転開始位置と反転終了位置の間の中間位置において、ワイパモータの回転速度が最も低くなるように減速し、中間位置を過ぎた後に増速する。このとき、ワイパモータを停止させることなく設定している最小値でワイパモータを回転駆動することにより、ワイパの反転時の停止時間が長く感じられるのを抑えるようにしている。また、ブレードラバーの反転時にワイパを十分に減速させ且つ反転後にワイパの払拭速度が急激に高くなるのを防止することで、ブレードラバーのリップ部の傾倒方向の切り換わりに起因する反転音の発生を抑えるようにしている。
上記の先行技術のように、ワイパの反転位置付近でワイパモータの回転速度を単純に低下させると、反転時のワイパの回動速度が低下し、ウインドシールドに対するブレードラバーの摩擦係数が高くなるため、ブレードラバーのびびりが誘発される。このため、ワイパの反転位置からワイパモータの回転速度を極端に低下させることは困難である。その結果、ワイパブレードのリップ部の傾倒方向の切り換わり速度を十分に下げることができず、反転音の低減効果が限定的となる。さらに、上記の先行技術では、ワイパモータの一方向回転運動をワイパの往復回動運動に変換するリンク機構が大きな搭載スペース、特にクランクアームの360°回転を許容できる空間を必要とするため、車両への搭載性を向上する観点でも改善の余地がある。
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ワイパブレードの反転音を低減し、びびりを抑制できると共に、車両搭載性を向上させることができる車両用ワイパ装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る車両用ワイパ装置は、ワイパモータ(18、20)と、前記ワイパモータを往復回転駆動すると共に、前記ワイパモータの回転速度を制御する制御部(60、62)と、前記ワイパモータの往復回転が伝達されて往復回動することにより、車両の被払拭面(12A)をブレードラバー(31)で往復払拭すると共に、回動方向の反転時に前記ブレードラバーのリップ部(31A)の傾倒方向が切り換わるワイパ(14、16)と、を備え、前記制御部は、前記リップ部の傾倒方向が切り換わる第1加速区間(AS1)では、前記ワイパモータの回転速度をゼロから低速の第1速度(V1)まで第1平均加速度(AC1)で加速し、前記第1加速区間の次の第2加速区間(AS2)の前半では、前記第1速度より高速で且つ第2速度(V2)の1/2倍である速度まで前記回転速度を前記第1平均加速度の2倍以上の平均加速度で急加速させる。
また、上記目的を達成するために、本開示に係る車両用ワイパ装置の制御方法は、ワイパモータの往復回転が伝達されてワイパが往復回動することにより、車両の被払拭面を前記ワイパのブレードラバーで往復払拭すると共に、前記ワイパの回動方向の反転時に前記ブレードラバーのリップ部の傾倒方向が切り換わる車両用ワイパ装置の制御方法であって、前記リップ部の傾倒方向が切り換わる第1加速区間では、前記ワイパモータの回転速度をゼロから低速の第1速度まで第1平均加速度で加速し、前記第1加速区間の次の第2加速区間の前半では、前記第1速度より高速で且つ第2速度の1/2倍である速度まで前記回転速度を前記第1平均加速度の2倍以上の平均加速度で急加速させる。
本開示では、ブレードラバーのリップ部の傾倒方向が切り換わる第1加速区間では、ワイパモータの回転速度がゼロから低速の第1速度まで第1平均加速度で加速される。この第1速度が低速に設定されることにより、上記の切り換わりに起因する反転音を低減することができる。さらに、第1加速区間の次の第2加速区間では、第1速度より高速で且つ第2速度の1/2倍である速度までワイパモータの回転速度が第1平均加速度の2倍以上の平均加速度で加速される。この第2速度の1/2倍である速度までの加速により、被払拭面に対するブレードラバーの摩擦係数が低い状態になるため、ブレードラバーのびびりを抑制することができる。しかも、ワイパモータが往復回転駆動される構成であるため、ワイパモータの一方向回転運動をワイパの往復回動運動に変換する構成と比較して、リンク機構の廃止や動作空間の小型化が可能となる分、車両への搭載性を向上させることができる。
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
図1は、第1実施形態に係る車両用ワイパ装置の構成を示す概略図であり、
図2は、ブレードラバーの構成を示す断面図であり、
図3は、往復回動方向の一方側へ移動するブレードラバーを示す断面図であり、
図4は、往復回動方向の他方側へ移動するブレードラバーを示す断面図であり、
図5は、第1実施形態に係る車両用ワイパ装置の構成を示すブロック図であり、
図6は、ワイパモータの回転速度と時間との関係を示す線グラフであり、
図7は、図6の一部を図6とは縮尺を変えて示す線グラフであり、
図8は、ワイパモータの回転速度と出力軸の角度との関係を示す線グラフであり、
図9は、図7の一部を図7とは縮尺を変えて示す線グラフであり、
図10は、図8の一部を図8とは縮尺を変えて示す線グラフであり、
図11は、第1加速区間及び第2加速区間について説明するための断面図であり、
図12は、ワイパモータの回転速度と時間との関係を示す線グラフであり、
図13は、ピボット軸の回転速度と時間との関係を示す線グラフであり、
図14は、被払拭面に対するブレードラバーの滑り速度(移動速度)と時間との関係を示す線グラフであり、
図15Aは、一方の反転位置に到達する直前のブレードラバーを示す断面図であり、
図15Bは、一方の反転位置に到達したブレードラバーを示す断面図であり、
図15Cは、一方の反転位置での反転途中のブレードラバーを示す断面図であり、
図15Dは、一方の反転位置での反転が完了した直後のブレードラバーを示す断面図であり、
図15Eは、一方の反転位置から離れるブレードラバーを示す断面図であり、
図16は、ワイパモータの回転速度と時間との関係を示す線グラフであり、レインセンサ及び車速センサの検出結果に基づいてワイパモータの回転速度を変更する例を示す図であり、
図17は、第1実施形態と従来とにおいて騒音レベルを比較した棒グラフであり、
図18は、第2実施形態に係る車両用ワイパ装置の構成を示す概略図であり、
図19は、第3実施形態に係る車両用ワイパ装置の部分的な構成を示すブロック図であり、
図20は、第4実施形態に係る車両用ワイパ装置のワイパモータの回転速度と時間との関係を示す図7に対応した線グラフであり、
図21は、第4実施形態に係る車両用ワイパ装置のワイパモータの回転速度と出力軸の角度との関係を示す図8に対応した線グラフである。
<第1の実施形態>
以下、図1~図17を参照して本開示の第1実施形態に係る車両用ワイパ装置10及びその制御方法について説明する。本実施形態に係る車両用ワイパ装置10は、自動車等の車両が有するウインドシールドガラス12の外表面に設定された被払拭面12Aを払拭するための装置である。この車両用ワイパ装置10は、一対のワイパ14、16と、ワイパモータ18と、リンク機構22と、制御部であるワイパ制御回路60とを備えている。このワイパ制御回路60によって上記の制御方法が実施される。
以下、図1~図17を参照して本開示の第1実施形態に係る車両用ワイパ装置10及びその制御方法について説明する。本実施形態に係る車両用ワイパ装置10は、自動車等の車両が有するウインドシールドガラス12の外表面に設定された被払拭面12Aを払拭するための装置である。この車両用ワイパ装置10は、一対のワイパ14、16と、ワイパモータ18と、リンク機構22と、制御部であるワイパ制御回路60とを備えている。このワイパ制御回路60によって上記の制御方法が実施される。
ワイパ14、16は、一例としてそれぞれが連動して同一方向に回動払拭するタンデム式であり、それぞれワイパアーム24、26とワイパブレード28、30とを有している。ワイパアーム24、26及びワイパブレード28、30は、何れも長尺状に形成されている。ワイパアーム24、26の長手方向一端部(基端部)は、ピボット軸42、44に固定されている。ピボット軸42、44は、車体に設けられた図示しないピボットホルダによって回転可能に支持されており、ワイパアーム24、26は、ピボット軸42、44回りに往復回動可能とされている。
ワイパブレード28、30は、ゴム等からなるブレードラバー31(図2参照)と、ブレードラバー31を保持する保持部材(図示省略)とを各々が備えている。各ブレードラバー31及び各保持部材は、何れも長尺状に形成されており、各保持部材の長手方向中間部がワイパアーム24、26の長手方向他端部(先端部)に連結されている。ワイパアーム24、26の先端部は、図示しない付勢手段によって被払拭面12A側へ付勢されており、ワイパブレード28、30の各ブレードラバー31は、図3及び図4に示されるように、被払拭面12Aに押し付けられている。なお、図3及び図4において矢印Rはブレードラバー31の回動方向(移動方向)を示している。
ワイパブレード28、30がワイパアーム24、26と一体でピボット軸42、44回りに往復回動することにより、被払拭面12Aが各ブレードラバー31により往復払拭される。図2~図4に示されるように、ブレードラバー31は、被払拭面12Aに接触して払拭する断面略逆三角形状のリップ部(払拭部)31Aと、上記の保持部材に保持される保持部31Bと、リップ部31Aと保持部31Bとを連結する薄肉状のネック部31Cを一体に有している。
ブレードラバー31の保持部31Bには、その長手方向(図2~図4では紙面に垂直な方向)に沿って一対の保持溝(符号省略)が形成されており、各保持溝内には、例えばバネ材によって長尺平板状に形成されたバッキング33が嵌め込まれている。このブレードラバー31は、被払拭面12Aにリップ部31Aの先端部を摺接させながら回動する。図3及び図4に示されるように、このブレードラバー31は、その回動方向(移動方向)に応じてリップ部31Aの傾倒方向が切り換わるように構成されている。
ワイパモータ18は、例えばウォームギアを含んで構成された減速機構52を有しており、当該減速機構52に設けられた出力軸32を正逆回転可能とされている。リンク機構22は、クランクアーム34と、第1リンクロッド36と、一対のピボットレバー38、40と、前述した一対のピボット軸42、44と、第2リンクロッド46とを備えている。
クランクアーム34の一端部は、出力軸32に固定されている。クランクアーム34の他端部は、第1リンクロッド36の一端部に回動可能に連結されている。第1リンクロッド36の他端部は、ピボットレバー38の中間部に連結されている。ピボットレバー38、40の一端部には、第2リンクロッド46の両端部がそれぞれ回動可能に連結されている。ピボットレバー38、40の他端部は、ピボット軸42、44に固定されている。
ワイパモータ18の出力軸32が所定の範囲の回転角θ1で往復回転(正逆回転)されると、この出力軸32の回転力がリンク機構22を介してワイパアーム24、26に伝達され、ワイパアーム24、26が往復回動する。これにより、ワイパアーム24、26の先端部に連結されたワイパブレード28、30が、ウインドシールドガラス12上に設定された下反転位置P2と上反転位置P1との間で往復回動する。上記回転角θ1の値は、リンク機構22の構成等によって様々な値をとり得るが、本実施形態では一例として140°に設定されている。
また、本実施形態では、図1に示されるように、下反転位置P2より下方の格納位置P3にワイパブレード28、30が配置された状態では、クランクアーム34と第1リンクロッド36とが直線状をなすように構成されている。ワイパブレード28、30が下反転位置P2に位置する状態から、出力軸32が回転角θ2だけ回転することにより、ワイパブレード28、30は格納位置P3へと回動される。上記回転角θ2の値は、リンク機構22の構成等によって様々な値をとり得るが、本実施形態では一例として10°に設定されている。なお、回転角θ2がゼロの場合、下反転位置P2と格納位置P3とが一致し、ワイパブレード28、30は下反転位置P2で停止し、格納される構成となる。
ワイパモータ18には、ワイパモータ18を往復回転駆動すると共に、ワイパモータ18の回転速度を制御するワイパ制御回路60が接続されている。ワイパ制御回路60は、例えばワイパモータ18の減速機構52内に設けられ、駆動回路60A及びワイパECU60Bを含んでいる。ワイパECU60Bには、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度及び回転角度を検知する回転角度センサ42が接続されている。回転角度センサ42は、例えばワイパモータ18の減速機構52内に設けられ、出力軸32に連動して回転する励磁コイル又はマグネットの磁界(磁力)を電流に変換して検出する。
上記のワイパモータ18は減速機構52を有しているので、出力軸32の回転速度及び回転角は、ワイパモータ18のモータ本体の回転速度及び回転角と同一ではない。しかしながら、本実施形態では、ワイパモータ18のモータ本体と減速機構52は一体不可分に構成されているので、以下、出力軸32の回転速度及び回転角を、ワイパモータ18の回転速度及び回転角とみなすものとする。
ワイパECU60Bは、回転角度センサ42からの信号に基づいて、ウインドシールドガラス12上でのワイパブレード28、30の位置を算出する。また、ワイパECU60Bは、算出した位置に応じて出力軸32の回転速度が変化するように駆動回路60Aを制御する。
駆動回路60Aは、ワイパモータ18を駆動するための電力をPWM(Pulse Width Modulation)制御によって生成してワイパモータ18に供給する。駆動回路60Aは、例えばスイッチング素子としてMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)を使用した回路を含んでおり、ワイパECU60Bの制御によって所定のデューティ比の電圧を出力する。
ワイパECU60Bには、車両制御回路64を介してワイパスイッチ66が接続されている。ワイパECU60Bは、ワイパスイッチ66からの指令信号に基づいて、所望する往復払拭周期でワイパブレード28、30が回動するように、出力軸32の回転信号を読み取ってワイパモータ18に印加する電圧を制御する。
ワイパスイッチ66は、車両のバッテリからワイパモータ18に供給される電力をオン又はオフするスイッチである。ワイパスイッチ66は、一例として、ワイパ14、16を低速で回動させる低速作動モード選択位置(LO)と、ワイパ14、16を高速で回動させる高速作動モード選択位置(HI)と、ワイパ14、16を一定周期で間欠的に回動させる間欠作動モード選択位置(INT)と、車両の走行状態ないし車両の走行環境に応じてワイパ14、16の払拭動作のオン/オフや払拭速度を自動で変更する自動モード選択位置(AUTO)と、ワイパ14、16の回動を停止させる停止モード選択位置(OFF)とに切替可能である。
このワイパスイッチ66は、上記各モードの選択位置に応じてワイパモータ18を往復回転させるための指令信号を車両制御回路64を介してワイパECU60Bに出力する。例えば、ワイパスイッチ66は、高速作動モード選択位置ではワイパモータ18を高速で回転させ、低速作動モード選択位置ではワイパモータ18を低速で回転させ、間欠作動モード選択位置ではワイパモータ18を間欠的に回転させる。
ワイパスイッチ66から各モードの選択位置に応じて出力された信号がワイパECU60Bに入力されると、ワイパECU60Bがワイパスイッチ66からの出力信号に対応する制御を行う。具体的には、ワイパECU60Bは、ワイパスイッチ66からの指令信号に基づいて出力軸32の回転速度を算出する。さらにワイパECU60Bは、算出した回転速度で出力軸32が回転するように駆動回路60Aを制御する。
また、ワイパECU60Bには、車両制御回路64を介してレインセンサ67及び車速センサ68が接続されている。レインセンサ67は、車両の走行環境として雨量を検出する。車速センサ68は、車両の走行状態として車両の走行速度を検出する。ワイパECU60Bは、例えばワイパスイッチ66が自動モード選択位置に位置するときには、レインセンサ67や車速センサ68の検出結果に基づいて出力軸32の回転速度を制御する。
図5は、ワイパ制御回路60の構成の概略の一例を示すブロック図である。図5に示されるワイパモータ18は、一例としてブラシ付きDCモータである。図5に示されるワイパ制御回路60は、ワイパモータ18の巻線の端子に印加する電圧を生成する駆動回路60Aと、駆動回路60Aを構成するスイッチング素子のオン及びオフを制御するワイパECU60Bのマイクロコンピュータ48とを含んでいる。マイクロコンピュータ48には、ダイオード56を介してバッテリ80の電力が供給されると共に、供給される電力の電圧は、ダイオード56とマイクロコンピュータ48との間に設けられた電圧検出回路50によって検知され、検知結果はマイクロコンピュータ48に出力される。また、ダイオード56とマイクロコンピュータ48との間に一端が接続され、他端(-)が接地された電解コンデンサC1が設けられている。電解コンデンサC1は、マイクロコンピュータ48の電源を安定化するためのコンデンサである。電解コンデンサC1は、例えば、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することにより、マイクロコンピュータ48を保護する。
マイクロコンピュータ48には信号入力回路52を介してワイパスイッチ66及び車両制御回路64からワイパモータ18の回転速度を指示するための指令信号が入力される。ワイパスイッチ66から出力された指令信号がアナログ信号の場合には、当該信号は信号入力回路52においてデジタル化されてマイクロコンピュータ48に入力される。
また、マイクロコンピュータ48には、出力軸32の回転に応じて変化するセンサマグネット70の磁界を検知する回転角度センサ42が接続されている。マイクロコンピュータ48は、回転角度センサ42が出力した信号に基づいて、出力軸32の回転角度を算出することにより、ワイパブレード28、30のウインドシールドガラス12上での位置を特定する。
さらに、マイクロコンピュータ48は、メモリ54に記憶されているワイパブレード28、30の位置に応じて規定されたワイパモータ18の回転速度のデータを参照して、ワイパモータ18の回転が、特定したワイパブレード28、30の位置に応じた回転数になるように駆動回路60Aを制御する。
駆動回路60Aは、図5に示すように、スイッチング素子にN型のFET(電界効果トランジスタ)であるトランジスタTr1、Tr2、Tr3、Tr4を用いている。トランジスタTr1及びトランジスタTr2は、ドレインがノイズ防止コイル76を介してバッテリ80に各々接続されており、ソースがトランジスタTr3及びトランジスタTr4のドレインに各々接続されている。また、トランジスタTr3及びトランジスタTr4のソースは接地されている。
また、トランジスタTr1のソース及びトランジスタTr3のドレインは、ワイパモータ18の巻線の一端に接続されており、トランジスタTr2のソース及びトランジスタTr4のドレインは、ワイパモータ18の巻線の他端に接続されている。
トランジスタTr1及びトランジスタTr4の各々のゲートにハイレベル信号が入力されることにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr4がオンになり、ワイパモータ18には例えばワイパブレード28、30を車室側から見て時計回りに動作させるCW電流72が流れる。さらに、トランジスタTr1及びトランジスタTr4の一方をオン制御しているとき、他方をPWM制御により、小刻みにオンオフ制御することにより、CW電流72の電圧を変調できる。
また、トランジスタTr2及びトランジスタTr3の各々のゲートにハイレベル信号が入力されることにより、トランジスタTr2及びトランジスタTr3がオンになり、ワイパモータ18には例えばワイパブレード28、30を車室側から見て反時計回りに動作させるCCW電流74が流れる。さらに、トランジスタTr2及びトランジスタTr3の一方をオン制御しているとき、他方をPWM制御により、小刻みにオンオフ制御することにより、CCW電流74の電圧を変調できる。
本実施形態では、電源であるバッテリ80と駆動回路60Aとの間には逆接続保護回路58及びノイズ防止コイル76が設けられると共に、駆動回路60Aに対して並列になるように電解コンデンサC2が設けられている。ノイズ防止コイル76は、駆動回路60Aのスイッチングによって発生するノイズを抑制するための素子である。
電解コンデンサC2は、駆動回路60Aから生じるノイズを緩和すると共に、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することにより、駆動回路60Aに過大な電流が入力されるのを防止するための素子である。
逆接続保護回路58は、バッテリ80の正極と負極が図5に示した場合とは逆に接続された場合に、ワイパ制御回路60を構成する素子を保護するための回路である。逆接続保護回路58は、一例として、自身のドレインとゲートを接続した、いわゆるダイオード接続されたFET等で構成される。
次に、図6~図17を参照して、ワイパ制御回路60が行うワイパモータ18の回転速度制御について説明する。図6は、ワイパモータの回転速度であるモータ速度と時間との関係を示す線グラフである。図7は、図6の一部を図6とは縮尺を変えて示す線グラフである。図8は、モータ速度と出力軸32の角度との関係を示す線グラフである。図9は、図7の一部を図7とは縮尺を変えて示す線グラフである。図10は、図8の一部を図8とは縮尺を変えて示す線グラフである。図6~図10において実線は、本実施形態におけるワイパモータ18の回転速度制御の一例を示している。図6~図10において二点鎖線は、ワイパモータを往復回転させる従来の一般的な車両用ワイパ装置におけるワイパモータの回転速度制御の一例(以下、「第1比較例」と称する)を示している。また、図7及び図10において一点鎖線は、ワイパモータを往復回転させる車両用ワイパ装置において、ワイパの反転位置付近で単純にモータ速度を低下させるタイプのワイパモータの回転速度制御の一例(以下、「第2比較例」と称する)を示している。図9及び図10において、Va1、Va2、Vb1、Vb2、Vc1、Vc3の各点は相互に対応している。
本実施形態では、ワイパ制御回路60は、図6及び図7に実線で示される線グラフのように、ワイパモータ18に対して第1加速区間AS1、第2加速区間AS2及び減速区間DSからなる回転速度制御を行うように構成されている。この回転速度制御により、ワイパモータ18の出力軸32の角度は、図8に実線で示されるように変化する。なお、上反転位置P1と下反転位置P2とでは、ワイパ14、16の反転方向が異なるのみで、基本的挙動は同じであるため、以下の説明では、上反転位置P1及び下反転位置P2を単に「反転位置P」と称する。
図11に示されるように、第1加速区間AS1は、反転位置Pでのワイパ14、16の反転時に、ブレードラバー31のリップ部31Aの傾倒方向が切り換わる区間であり、ワイパモータ18を極低速で回転させる区間である。本実施形態では、第1加速区間AS1では、ブレードラバー31の長手方向の中間においてリップ部31Aの傾倒方向が切り換わる。詳細には、本実施形態では、ワイパブレード30のブレードラバー31の方が、ワイパブレード28のブレードラバー31よりも長く形成されている。そして、上記の第1加速区間AS1では、上記複数のブレードラバー31のうち最も長いブレードラバー31(すなわちワイパブレード30のブレードラバー31)の長手方向の中間においてリップ部31Aの傾倒方向が切り換わる。第2加速区間AS2は、第1加速区間AS1に続く次の区間であり、ワイパモータ18の回転速度をワイパスイッチ66の選択位置に応じた最高速度まで加速させる区間である。減速区間DSは、第2加速区間AS2に続く次の区間であり、ワイパモータ18の回転速度を上記の最高速度からゼロまで減速させる区間である。図8に示されるように、第1加速区間AS1は、ブレードラバー31の反転動作区間ISと一致しており、第2加速区間AS2と減速区間DSとがブレードラバー31による被払拭面12Aの払拭区間WSとなっている。ブレードラバー31の反転動作区間ISでは、ブレードラバー31による被払拭面12Aの払拭は行われない。
上記の第1加速区間AS1は、ブレードラバー31が一方の反転位置Pに到達して反転を開始してからリップ部31Aの傾倒方向の切り換わりが完了するまでの区間である。この第1加速区間AS1は、ブレードラバー31の長手方向の全域(先端部から後端部までの全域)においてリップ部31Aの傾倒方向の切り換わりが完了する区間として設定されてもよい。この第1加速区間AS1では、ワイパ制御回路60は、モータ速度をゼロから低速の第1速度V1まで第1平均加速度AC1で加速する。詳細には、この第1加速区間AS1では、図6及び図7に示されるように、ワイパ制御回路60は、回転方向の反転により一旦ゼロとなったモータ速度を、低速の第1速度V1まで急加速させた後に、モータ速度の加速を抑制する。具体的には、ワイパ制御回路60は、モータ速度をゼロから極低速の第1速度V1まで急加速させた(第1急加速部分の)後、モータ速度を一定又は略一定にする(第1定速部分)。つまり、リップ部31Aの傾倒方向の切り換わりに伴い、ブレードラバー31が被払拭面12Aに対して垂直方向にも変位するが、この変位により生じる運動エネルギーが極力小さくなるよう、第1加速区間AS1でのモータ速度が極低速の第1速度V1またはそれと同等の速度に設定される。但し、ワイパ14、16の反転時の停止時間が長く感じられるのを抑えるため、第1速度V1まではモータ速度が急加速される。このため、図6~図10において本実施形態を示す実線の線グラフは、第1加速区間AS1において一段の階段状またはそれに近似する形状をなし、上に凸の屈曲部BP1(図6以外では符号省略)を有する形状となる。
上記の第1加速区間AS1では、ブレードラバー31のリップ部31Aの傾倒方向の切り換わりが極低速で行われるので、この切り換わりに起因する反転音を効果的に低減することができる。なお、図7及び図9のように横軸が時間軸である場合、単純に反転位置でのモータ速度を下げる第2比較例でも反転音の低減効果があるように見えるが、図8及び図10のように横軸を出力軸32の角度軸に変換すると、第2比較例では反転動作区間ISにおけるモータ速度が十分に低下しないため反転音の低減効果が小さいことが分かる。本実施形態のように第1加速区間AS1の初めにモータ速度を急加速させることにより、図10に示される反転動作中間位置及び反転動作完了位置でのモータ速度を第2比較例よりも大幅に低下させることができる。つまり、図10において、本実施形態におけるモータ速度Va1、Va2は、第2比較例におけるモータ速度Vb1、Vb2よりも大幅に低下している。これにより、本実施形態では反転音の低減効果が極めて高いことが分かる。
第1加速区間AS1に続く次の第2加速区間AS2では、ワイパ制御回路60は、第1速度V1より高速の第2速度V2までモータ速度を急加速させる(第2急加速部分)。この第2加速区間AS2の前半では、ワイパ制御回路60は、第1速度V1より高速で且つ第2速度V2の1/2倍である速度1/2V2までモータ速度を第1平均加速度AC1の2倍以上の平均加速度である第2平均加速度AC2で急加速させる。このため、図6~図10において本実施形態を示す実線の線グラフは、第1加速区間AS1と第2加速区間AS2との境界において、下に凸の屈曲部BP2(図6以外では符号省略)を有する形状となる。上記の第2速度V2は、ワイパスイッチ66の選択位置(LO、HI又はINT)に応じた最高速度またはそれに近い速度に設定される。また、本実施形態では、一例として、ワイパ制御回路60は、第2加速区間AS2においてモータ速度を第2速度V2まで急加速させた後に、モータ速度の加速を第2速度V2で一定又は略一定に抑制する(第2定速部分)。このため、図6~図8において本実施形態を示す実線の線グラフは、第2加速区間AS2において一段の階段状またはそれに近似する形状となる。したがって、図6~図8において本実施形態を示す実線の線グラフは、第1加速区間AS1及び第2加速区間AS2の全体としては、二段の階段状またはそれに近似する形状となる。
第2加速区間AS2の次の減速区間DSでは、ワイパ制御回路60は、上記の最高速度まで上昇させたモータ速度をゼロまで減速させる。本実施形態では、一例として、ワイパ制御回路60は、減速区間DSの後半において、モータ速度をゼロまで急減速させる。具体的には、ワイパ制御回路60は、減速区間DSにおいて、モータ速度を上記の最高速度またはそれと同等の速度に一定時間維持した後、モータ速度をゼロまで急減速させる。この減速区間DSの後半において、ワイパ制御回路60は、モータ速度を第2速度V2の1/2倍である速度1/2V2からゼロまで第1平均加速度AC1の2倍以上の平均加速度である第2平均加速度AC2で急減速させる。この減速区間DSの終点であって、モータ速度がゼロになる時点は、ブレードラバー31が他方の反転位置に到達した時点であり、次の第1加速区間AS1の始点である。なお、図12に実線で示されるように、第1加速区間AS1、第2加速区間AS2及び減速区間DSにおいて、モータ速度を滑らかに変化させる構成してもよい。
以下、図12~図14を一例として、本実施形態におけるモータ速度と、ピボット軸の回転速度(以下、「ピボット速度」と称する」)と、被払拭面12Aに対するブレードラバー31の滑り速度(以下、「ラバー滑り速度」と称する)との関係について説明する。図12に実線で示されるようにモータ速度が制御される場合、ピボット速度と時間との関係は、図13に実線で示されるようになり、ラバー滑り速度と時間との関係は、図14に実線で示されるようになる。なお、図12~図14において二点鎖線は、前述した第1比較例の場合を示している。
本実施形態では、減速区間DSの後半においてモータ速度が急減速される(図12において符号DS1を付した区間参照)。この減速区間DSの後半では、ピボット速度及びラバー滑り速度も急減速する(図13及び図14において符号DS1を付した区間参照)。これにより、図15Aに示されるように、一方の反転位置Pに到達する直前のブレードラバー31は、被払拭面12Aに対する摩擦係数が低い状態に保たれる。その結果、ブレードラバー31が低速度で被払拭面12Aと摺動することに起因して生じるブレードラバー31のびびりが抑制される。なお、図15A~図15EにおいてWは雨水である。
第1加速区間AS1では、モータ速度が極低速の第1速度V1まで急加速された後にモータ速度の加速が抑制される(図12において符号AS1を付した区間参照)。この第1加速区間AS1では、ピボット速度が極低速に保たれる一方、ラバー滑り速度がゼロに保たれる(図13及び図14において符号AS1を付した区間参照)。これにより、図15B~図15Dに示されるように、ブレードラバー31のリップ部31Aの傾倒方向の切り換えが極低速で行われるので、被払拭面12Aに対するブレードラバー31の垂直方向の運動エネルギー、すなわちブレードラバー31の振動(びびり)の原因となる運動エネルギーが生じ難くなる。
第2加速区間AS2の前半では、モータ速度が第1速度V1より高速の第2速度V2まで急加速される(図12において符号AS21を付した区間参照)。この第2加速区間AS2の前半では、ピボット速度及びラバー滑り速度がともに急加速される(図13及び図14において符号AS21を付した区間参照)。これにより、図15Eに示されるように、ブレードラバー31のリップ部31Aの傾倒方向の切り換えが既に完了した傾倒姿勢となっているので、ブレードラバー31が被払拭面12Aに対する垂直方向の振動Vを抑制されたまま急加速される。この急加速により、被払拭面12Aに対するブレードラバー31の摩擦係数が低い状態となり、ブレードラバー31のびびりが抑制される。
また、本実施形態では、ワイパ制御回路60は、ワイパスイッチ66で選択される払拭モードの情報と、レインセンサ67によって検出される雨量の情報と、車速センサ68によって検出される車両速度の情報(すなわち環境音であるロードノイズの情報)とに基づいて、第1加速区間AS1、第2加速区間AS2及び減速区間DSにおけるモータ速度を変更(微調整)する。図16には、このモータ速度の変更制御の一例が線グラフにて示されている。
図16に示される例では、ワイパスイッチ66が低速作動モード選択位置(LO)に位置する状態において、ワイパ制御回路60は、レインセンサ67及び車速センサ68の検出結果に基づいてモータ速度を三段階(LO+、LO、LO-)に変更する。これにより、LOモードの作動時の払拭回数(cpm)が状況に応じて調整される。 つまり、雨量が多い時や、ロードノイズ(環境音)が大きい状況では、所謂マスキング効果により、車両の乗員がワイパ作動音を気になり難くなるため、ワイパ制御回路60は、モータ速度を上げ、払拭速度を高くする。
具体的には、図16に示される例では、雨量が多い時や、高速走行時等は、ワイパ制御回路60は、図16に一点鎖線で示されるLO+のモードとする。このLO+のモードでは、第1加速区間AS1でのモータ速度が上がり、払拭速度が高くなる。一方、雨量が少ない低速走行時や、雨量が多い停車時等は、ワイパ制御回路60は、図16に実線で示されるLOのモードとする。このLOのモードでは、LO+のモードよりも第1加速区間AS1でのモータ速度が下がり、払拭速度が低くなる。また一方、雨量が少ない停車時等は、ワイパ制御回路60は、図16に二点鎖線で示されるLO-のモードとする。このLO-のモードでは、LOのモードよりも第1加速区間AS1でのモータ速度が下がり、払拭速度が低くなる。LO+のモードの払拭周期T1は、LOのモードの払拭周期Tより短く、LO-のモードの払拭周期T2は、LOのモードの払拭周期Tより長い。
図17には、本実施形態と前述した第2比較例(図7及び図8の一点鎖線参照)とにおける騒音レベルの比較が棒グラフにより示されている。図17において破線は、環境音の大きさを示している。雨量が少なく、環境音が小さい状況において、第2比較例のINTのモードではモータ作動音の音圧に比してワイパ反転音の音圧が高くなるが、本実施形態ではINTのモード及びLO-のモードでともにワイパ反転音の音圧が第2比較例よりも低くなる。これは、第2比較例のようにワイパ反転位置付近でモータ速度を単純に低くすると、ブレードラバーのびびりが発生するため、ワイパ反転音を十分に下げることができないためである。この第2比較例では、例えば間欠時間の調整等で騒音を調整することとなる。
一方、雨量および環境音がともに中位の状況において、第2比較例のLOのモードではモータ作動音の音圧に比してワイパ反転音の音圧が高くなるが、本実施形態のLOのモードではモータ作動音の音圧が第2比較例よりも若干高くなるものの、ワイパ反転音の音圧が第2比較例よりも十分に低くなる。これにより、本実施形態ではモータ作動音及びワイパ反転音の音圧が最適にバランスされ、全体としての騒音レベルが低くなる。
また一方、雨量が多く、環境音が大きい状況において、第2比較例のLOのモードではモータ作動音の音圧に比してワイパ反転音の音圧が高くなるのに対し、本実施形態のLO+のモードではモータ作動音及びワイパ反転音の音圧が第2比較例よりも若干高くなる。これは、マスキング効果が得られる状況であるため、本実施形態ではワイパ反転音の低減効果を下げる一方、多めの雨量に応じて払拭回数(cpm)を上げるものである。
(本実施形態のまとめ)
本実施形態では、ブレードラバー31のリップ部31Aの傾倒方向が切り換わる第1加速区間AS1では、モータ速度がゼロから低速(ここでは極低速)の第1速度V1まで急加速された後にモータ速度の加速が抑制される。この第1速度V1までの急加速により、ワイパ14、16の反転時の停止時間が長く感じられるのを抑えることができる。また、上記の第1速度V1が低速に設定され第2加速区間AS2に至るまでは加速が抑制されることにより、上記の切り換わりに起因する反転音を低減することができる。さらに、第1加速区間AS1に続く次の第2加速区間AS2では、第1速度V1より高速の第2速度V2までモータ速度が急加速される。この第2速度V2までの急加速により、被払拭面12Aに対するブレードラバー31の摩擦係数が低い状態になるため、ブレードラバー31のびびりを抑制することができる。
本実施形態では、ブレードラバー31のリップ部31Aの傾倒方向が切り換わる第1加速区間AS1では、モータ速度がゼロから低速(ここでは極低速)の第1速度V1まで急加速された後にモータ速度の加速が抑制される。この第1速度V1までの急加速により、ワイパ14、16の反転時の停止時間が長く感じられるのを抑えることができる。また、上記の第1速度V1が低速に設定され第2加速区間AS2に至るまでは加速が抑制されることにより、上記の切り換わりに起因する反転音を低減することができる。さらに、第1加速区間AS1に続く次の第2加速区間AS2では、第1速度V1より高速の第2速度V2までモータ速度が急加速される。この第2速度V2までの急加速により、被払拭面12Aに対するブレードラバー31の摩擦係数が低い状態になるため、ブレードラバー31のびびりを抑制することができる。
しかも、ワイパモータ18が往復回転駆動される構成であるため、ワイパモータの一方向回転運動をワイパの往復回動運動に変換する構成と比較して、リンク機構22の廃止や動作空間の小型化が可能となる分、車両への搭載性を向上させることができる。また、ワイパ14、16の払拭角をワイパモータ18の回転制御で調整することができるため、ワイパブレード28、30のオーバーランやショートランの抑制が容易になる。さらに、ワイパ14、16の格納位置P3を低い位置に設定することも容易である。
また、本実施形態では、減速区間DSの後半においてモータ速度が急減速される。これにより、反転位置Pに到達する直前のブレードラバー31は、被払拭面12Aに対する摩擦係数が低い状態に保たれる。その結果、ブレードラバー31が低速度で被払拭面12Aと摺動することに起因して生じるブレードラバー31のびびりを抑制することができる。
また、本実施形態では、第1加速区間AS1においてモータ速度を低速の第1速度V1まで急加速させた後に加速を抑制してモータ速度を一定又は略一定にする。これにより、リップ部31Aの傾倒方向の切り換わり時に、モータ速度が低速に維持されるので、当該切り換わりに起因する反転音を効果的に低減することができる。しかも、モータ速度を一定又は略一定にすることで、第1加速区間AS1の終点における出力軸32の回転角度を精度良く検出し易くなるため、モータ速度の制御を精度良く行うことが可能となる。
さらに、本実施形態では、ワイパスイッチ66で選択される払拭モードの情報と、レインセンサ67によって検出される雨量の情報と、車速センサ68によって検出される車両速度の情報とに基づいて、第1加速区間AS1、第2加速区間AS2及び減速区間DSにおけるモータ速度が変更される。これにより、雨量やロードノイズ(環境音)に応じて払拭速度を最適化することができ、車両走行時の乗員の目障り感を低減できると共に、モータ作動音とワイパ反転音とを最適にバランスさせることができる。
次に、本開示の他の実施形態について説明する。なお、説明済みの実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、説明済みの実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
<第2の実施形態>
図18には、本開示の第2実施形態に係る車両用ワイパ装置90の構成が概略図にて示されている。この車両用ワイパ装置90では、左右のワイパ14、16がそれぞれ別々のワイパモータ18、20によって個別に往復回転駆動される構成になっている。ワイパモータ18の出力軸32には、ワイパ14のワイパアーム24の長手方向一端部が固定されており、ワイパモータ20の出力軸34には、ワイパ16のワイパアーム26の長手方向一端部が固定されている。
図18には、本開示の第2実施形態に係る車両用ワイパ装置90の構成が概略図にて示されている。この車両用ワイパ装置90では、左右のワイパ14、16がそれぞれ別々のワイパモータ18、20によって個別に往復回転駆動される構成になっている。ワイパモータ18の出力軸32には、ワイパ14のワイパアーム24の長手方向一端部が固定されており、ワイパモータ20の出力軸34には、ワイパ16のワイパアーム26の長手方向一端部が固定されている。
ワイパモータ18、20には、ワイパモータ18、20の回転を制御するためのワイパ制御回路60、62が各々接続されている。ワイパ制御回路60は駆動回路60A及びワイパECU60Bを含んでおり、ワイパ制御回路62は、駆動回路62A及びワイパECU62Bを含んでいる。ワイパECU60Bには、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度及び回転角度を検知する回転角度センサ42が接続されており、ワイパECU62Bには、ワイパモータ20の出力軸34の回転速度及び回転角度を検知する回転角度センサ44が接続されている。駆動回路62A、ワイパECU62B及び回転角度センサ44は、駆動回路60A、ワイパECU60B及び回転角度センサ42と同様の構成とされている。
ワイパECU60BとワイパECU62Bとは、例えば、LIN(Local Interconnect Network)等のプロトコルを用いた通信で連携することにより、ワイパモータ18、20の動作を同期させる。これにより、ワイパモータ18、20は、第1実施形態と同様に回転速度を制御される。この実施形態では、上記以外の構成は第1実施形態と基本的に同様とされている。よって、この実施形態においても、第1実施形態と基本的に同様の作用効果が得られる。しかも、この実施形態では、リンク機構22が不要となるため、車両搭載性を一層向上させることができる。
<第3の実施形態>
図19には、本開示の第3実施形態に係る車両用ワイパ装置の部分的な構成がブロック図にて示されている。この実施形態では、ワイパモータ18がブラシレスモータとされており、ワイパ制御回路60の構成が第1実施形態とは異なっている。このワイパ制御回路60は、ワイパモータ18の固定子(ステータ)のコイル18U、18V、18Wの端子に印加する電圧を生成する駆動回路60Aと、駆動回路60Aを構成するスイッチング素子のオン及びオフを制御するワイパECU60Bとを含んでいる。
図19には、本開示の第3実施形態に係る車両用ワイパ装置の部分的な構成がブロック図にて示されている。この実施形態では、ワイパモータ18がブラシレスモータとされており、ワイパ制御回路60の構成が第1実施形態とは異なっている。このワイパ制御回路60は、ワイパモータ18の固定子(ステータ)のコイル18U、18V、18Wの端子に印加する電圧を生成する駆動回路60Aと、駆動回路60Aを構成するスイッチング素子のオン及びオフを制御するワイパECU60Bとを含んでいる。
ワイパモータ18のロータ92は、各々3つのS極及びN極の永久磁石で構成されており、ステータのコイルに生じた回転磁界に追随して回転するように構成されている。ロータ92の磁界は、ホールセンサ94によって検知される。ホールセンサ94は、ロータ92の永久磁石の極性に対応してロータ92とは別に設けられたセンサマグネットの磁界を検知してもよい。ホールセンサ94は、ロータ92又はセンサマグネットの磁界を、ロータ92の位置を示す磁界として検知する。
ホールセンサ94は、ロータ92又はセンサマグネットにより形成された磁界を検出することにより、ロータ92の位置を検出するためのセンサである。ホールセンサ94は、U、V、Wの各相に対応する3つのホール素子を含んでいる。ホールセンサ94は、ロータ92の回転によって生じた磁界の変化を、正弦波に近似した電圧の変化の信号として出力する。
ホールセンサ94が出力した信号は、制御回路であるワイパECU60Bに入力される。ワイパECU60Bは、集積回路であり、スタンバイ回路100によって電源であるバッテリ80から供給される電力が制御されている。
ホールセンサ94からワイパECU60Bに入力されたアナログ波形の信号は、ワイパECU60B内にある、コンパレータ等のアナログ信号をデジタル信号に変換する回路を備えたホールセンサエッジ検出部106に入力される。ホールセンサエッジ検出部106では、入力されたアナログ波形をデジタル波形に変換し、デジタル波形からエッジ部分を検出する。
デジタル波形及びエッジの情報はモータ位置推定部104に入力され、ロータ92の位置が算出される。算出されたロータ92の位置の情報は、通電制御部108に入力される。
また、ワイパECU60Bの指令値算出部102には、ワイパスイッチ66からワイパモータ18(ロータ92)の回転速度を指示するための信号が入力される。指令値算出部102は、ワイパスイッチ66から入力された信号からワイパモータ18の回転速度に係る指令を抽出して、通電制御部108に入力する。
通電制御部108は、モータ位置推定部104で算出されたロータ92の磁極の位置に応じて変化する電圧の位相を算出すると共に、算出した位相及びワイパスイッチ66により指示されたロータ92の回転速度に基づいて駆動デューティ値を決定する。また、通電制御部108は、駆動デューティ値に応じたパルス信号であるPWM信号を生成して駆動回路60Aに出力するPWM制御を行う。当該PWM制御により、駆動回路60Aは、ロータ92の磁極の位置に基づいたタイミングで変化する電圧を生成し、ステータ18のコイル18U、18V、18Wに印加する。当該電圧が印加されたコイル18U、18V、18Wには、ロータ92を回転させる回転磁界が生じる。
駆動回路60Aは、三相(U相、V相、W相)インバータにより構成されている。図19に示されるように、駆動回路60Aは、各々が上段スイッチング素子としての3つのNチャンネル電界効果トランジスタ(MOSFET)96U、96V、96W(以下、「FET96U、96V、96W」と言う)、各々が下段スイッチング素子としての3つのNチャンネル電界効果トランジスタ98U、98V、98W(以下、「FET98U、98V、98W」と言う)とを備えている。なお、FET96U、96V、96W及びFET98U、98V、98Wは、各々、個々を区別する必要がない場合は「FET96」、「FET98」と総称し、個々を区別する必要がある場合は、「U」、「V」、「W」の符号を付して称する。
FET96、FET98のうち、FET96Uのソース及びFET98Uのドレインは、コイル18Uの端子に接続されており、FET96Vのソース及びFET98Vのドレインは、コイル18Vの端子に接続されており、FET96Wのソース及びFET98Wのドレインは、コイル18Wの端子に接続されている。
FET96及びFET98のゲートは通電制御部108に接続されており、PWM信号が入力される。FET96及びFET98は、ゲートにHレベルのPWM信号が入力するとオン状態になり、ドレインからソースに電流が流れる。また、ゲートにLレベルのPWM信号が入力されるとオフ状態になり、ドレインからソースへ電流が流れない状態になる。
また、本実施の形態のワイパ制御回路60には、バッテリ80、ノイズ防止コイル110、及び平滑コンデンサ112A、112B等が構成されている。バッテリ80、ノイズ防止コイル110、及び平滑コンデンサ112A、112Bは略直流電源を構成している。
また、本実施の形態のワイパ制御回路60の基板上には、抵抗R1を介して一端に制御電圧Vccが印加されると共に他端が接地され、基板の温度を抵抗値として検知するチップサーミスタRTが実装されている。本実施の形態に用いられるチップサーミスタRTは温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC (Negative Temperature Coefficient)サーミスタであり、温度が上昇するにつれてチップサーミスタRTの抵抗値は減少する。なお、反転回路を併用することで、温度が上昇するにつれて抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタを使用してもよい。
チップサーミスタRT及び抵抗R1は、一種の分圧回路を構成しており、抵抗R1と接続されているチップサーミスタRTの一端からは、チップサーミスタRTの抵抗値に基づいて変化する電圧が出力される。チップサーミスタRTの一端から出力された電圧は通電制御部108において過熱判定値と比較され、チップサーミスタRTの一端から出力された電圧が過熱判定値以下の場合には、ワイパ制御回路60が過熱状態であると判定する。前述のように、本実施の形態に係るチップサーミスタRTは、温度の上昇に対して抵抗が減少するタイプなので、抵抗R1とチップサーミスタRTとで構成された分圧回路の出力端でもあるチップサーミスタRTの一端から出力される電圧は、温度の上昇に応じて低下する。通電制御部108は、チップサーミスタRTの一端から出力された電圧が過熱判定値以下の場合に回路が過熱していると判定する。過熱判定値は基板に実装される素子及びチップサーミスタRTの位置等によって変化するが、一例として145℃においてチップサーミスタRTと抵抗R1との分圧回路が出力する電圧である。
また、FET98U、98V、98Wの各々のソースとバッテリ80との間には電流検知部114が設けられている。電流検知部114は、抵抗値が0.2mΩ~数Ω程度のシャント抵抗と、シャント抵抗の両端の電位差を増幅してシャント抵抗の電流に比例する電圧値を信号として出力するアンプとを含み、アンプが出力した信号は、通電制御部108に入力される。通電制御部108では、電流検知部114が出力した信号と過電流判定値とを比較し、電流検知部114が出力した信号が過電流判定値以上の場合にモータ電流が過電流であると判定する。なお、図19には図示していないが、ワイパ制御回路60、60の基板上には、バッテリ80の電圧を検出する電圧センサ等が実装されている。この実施形態では、上記以外の構成は第1実施形態と同様とされている。この実施形態においても、第1実施形態と基本的に同様の作用効果を奏する。
<第4の実施形態>
図20には、本開示の第4実施形態に係る車両用ワイパ装置のモータ速度と時間との関係が線グラフにて示されている。図21には、第4実施形態に係る車両用ワイパ装置のモータ速度と出力軸角度との関係が線グラフにて示されている。この実施形態では、第1実施形態と同様に、ワイパ制御回路60は、第1加速区間AS1において、モータ速度をゼロから低速の第1速度V1まで第1平均加速度AC1で加速する。但し、第1実施形態とは異なり、ワイパ制御回路60は、第1加速区間AS1において、モータ速度をゼロから第1速度V1まで急加速させた後にモータ速度の加速を抑制するのではなく、モータ速度をゼロから第1速度V1まで略一定の加速度で加速する。
図20には、本開示の第4実施形態に係る車両用ワイパ装置のモータ速度と時間との関係が線グラフにて示されている。図21には、第4実施形態に係る車両用ワイパ装置のモータ速度と出力軸角度との関係が線グラフにて示されている。この実施形態では、第1実施形態と同様に、ワイパ制御回路60は、第1加速区間AS1において、モータ速度をゼロから低速の第1速度V1まで第1平均加速度AC1で加速する。但し、第1実施形態とは異なり、ワイパ制御回路60は、第1加速区間AS1において、モータ速度をゼロから第1速度V1まで急加速させた後にモータ速度の加速を抑制するのではなく、モータ速度をゼロから第1速度V1まで略一定の加速度で加速する。
また、この実施形態では、第1実施形態と同様に、ワイパ制御回路60は、第2加速区間AS2の前半では、第1速度V1より高速で且つ第2速度V2の1/2倍である速度1/2V2までモータ速度を第1平均加速度AC1の2倍以上の平均加速度である第2平均加速度AC2で急加速させる。減速区間DSにおいても第1実施形態と同様に、ワイパ制御回路60は、減速区間DSの後半において、モータ速度を第2速度V2の1/2倍の速度1/2V2からゼロまで第1平均加速度AC1の2倍以上の平均加速度である第2平均加速度AC2で急減速させる。
この実施形態においても、第1速度V1が低速に設定されることにより、リップ部31Aの傾倒方向の切り換わりに起因する反転音を低減することができる。また、第2加速区間AS2では、第2速度V2の1/2倍である速度1/2V2までモータ速度が第1平均加速度の2倍以上の平均加速度である第2平均加速度AC2で加速される。この速度1/2V2までの加速により、被払拭面に対するブレードラバー31の摩擦係数が低い状態になるため、ブレードラバー31のびびりを抑制することができる。
なお、前記各実施形態では、レインセンサ67及び車速センサ68の検出結果を用いてモータ速度を変更する構成にしたが、これに限るものではない。本開示に係る車両用ワイパ装置は、レインセンサ及び車速センサのうちの両方又は一方を備えない車両に対しても適用可能である。
また、前記第1実施形態におけるリンク機構22の構成は、単なる一例であり、適宜変更可能である。
また、前記各実施形態では、ワイパ14、16がタンデム式である場合について説明したが、ワイパはそれぞれが反対方向に回動して払拭するシンメトリカル式であってもよい。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
Claims (10)
- ワイパモータ(18)と、
前記ワイパモータを往復回転駆動すると共に、前記ワイパモータの回転速度を制御する制御部(60)と、
前記ワイパモータの往復回転が伝達されて往復回動することにより、車両の被払拭面(12A)をブレードラバー(31)で往復払拭すると共に、回動方向の反転時に前記ブレードラバーのリップ部(31A)の傾倒方向が切り換わるワイパ(14、16)と、
を備え、
前記制御部は、前記リップ部の傾倒方向が切り換わる第1加速区間(AS1)では、前記ワイパモータの回転速度をゼロから低速の第1速度(V1)まで第1平均加速度(AC1)で加速し、前記第1加速区間の次の第2加速区間(AS2)の前半では、前記第1速度より高速で且つ第2速度(V2)の1/2倍である速度まで前記回転速度を前記第1平均加速度の2倍以上の平均加速度で急加速させる車両用ワイパ装置。 - 前記第1加速区間では、前記ブレードラバーの長手方向の中間において前記リップ部の傾倒方向が切り換わる請求項1に記載の車両用ワイパ装置。
- 前記制御部は、前記第2加速区間の次の減速区間(DS)の後半において、前記回転速度を前記第2速度の1/2倍の速度からゼロまで前記第1平均加速度の2倍以上の平均加速度で急減速させる請求項1又は請求項2に記載の車両用ワイパ装置。
- 前記制御部は、前記第1加速区間において前記回転速度を前記第1速度まで急加速させた後に加速を抑制して前記回転速度を一定又は略一定にする請求項1又は請求項2に記載の車両用ワイパ装置。
- 前記制御部は、ワイパスイッチ(66)で選択される払拭モードの情報と、レインセンサ(67)によって検出される雨量の情報と、車速センサ(68)によって検出される車両速度の情報とに基づいて、各前記区間における前記回転速度を変更する請求項1又は請求項2に記載の車両用ワイパ装置。
- ワイパモータの往復回転が伝達されてワイパが往復回動することにより、車両の被払拭面を前記ワイパのブレードラバーで往復払拭すると共に、前記ワイパの回動方向の反転時に前記ブレードラバーのリップ部の傾倒方向が切り換わる車両用ワイパ装置の制御方法であって、
前記リップ部の傾倒方向が切り換わる第1加速区間では、前記ワイパモータの回転速度をゼロから低速の第1速度まで第1平均加速度で加速し、前記第1加速区間の次の第2加速区間の前半では、前記第1速度より高速で且つ第2速度の1/2倍である速度まで前記回転速度を前記第1平均加速度の2倍以上の平均加速度で急加速させる車両用ワイパ装置の制御方法。 - 前記第1加速区間では、前記ブレードラバーの長手方向の中間において前記リップ部の傾倒方向が切り換わる請求項6に記載の車両用ワイパ装置の制御方法。
- 前記第2加速区間の次の減速区間の後半では、前記回転速度を前記第2速度の1/2倍の速度からゼロまで前記第1平均加速度の2倍以上の平均加速度で急減速させる請求項6又は請求項7に記載の車両用ワイパ装置の制御方法。
- 前記第1加速区間において前記回転速度を前記第1速度まで急加速させた後に加速を抑制して前記回転速度を一定又は略一定にする請求項6又は請求項7に記載の車両用ワイパ装置の制御方法。
- ワイパスイッチで選択される払拭モードの情報と、レインセンサによって検出される雨量の情報と、車速センサによって検出される車両速度の情報とに基づいて、各前記区間における前記回転速度を変更する請求項6又は請求項7に記載の車両用ワイパ装置の制御方法。
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