JP6851196B2 - 杭構造体および杭構造体の施工方法 - Google Patents
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Description
1)鋼管を土壌中に埋設することなく、杭自体の強度を確保することができる。
2)周囲の土壌・地盤に対して強固な摩擦力、支持力を発現させることができる。具体的には、従前の杭構造体のような、芯部とその周囲との間に境界が形成されてしまうことによる摩擦力、支持力の低下を生じることなく、芯部とその周囲との間に強固な摩擦力、支持力を発現させることができる。
3)セメントミルクの固化物からなる芯部および芯部先端に支持部を備えているので杭自体の支持力を確保することができる。
4)1)〜3)の効果を簡単な構造および安価なコストで実現することができる。
しかしながら、特許文献3、4に記載されている技術は、鋼管杭を地中に打ち込んだままとなることから、杭自体は鋼管杭と鋼管杭の内部に充填したセメントミルクの固化物によって形成されることになるため、掘削土壌とセメントミルクの混合固化物と、杭との間には、はっきりとした境界が形成されてしまうことになり、摩擦力、支持力が低下してしまうという問題がある。
なお、この点については、鋼管の表面に凹凸や螺旋板を設けることによって摩擦力、支持力の低下を防止することが可能であるが、専用の杭を作製しなければならなかったり、鋼管杭は地中に打ち込んだままとなることからコスト高になってしまったりするなどの問題がある。
また、特許文献5に記載されている技術は、先端部を土壌中に残すものではないことから、杭の支持力を十分に確保することができないという問題もある。
1)鋼管を土壌中に埋設することなく、杭自体の強度を確保することができる。
2)周囲の土壌・地盤に対して強固な摩擦力、支持力を発現させることができる。具体的には、従前の杭構造体のような、芯部とその周囲との間に境界が形成されてしまうことによる摩擦力、支持力の低下を生じることなく、芯部とその周囲との間に強固な摩擦力、支持力を発現させることができる。
3)セメントミルクの固化物からなる芯部および芯部先端に支持部を備えているので杭自体の支持力を確保することができる。
4)1)〜3)の効果を簡単な構造および安価なコストで実現することができる。
1)鋼管を土壌中に埋設することなく、杭自体の強度を確保することができる。
2)周囲の土壌・地盤に対して強固な摩擦力、支持力を発現させることができる。具体的には、従前の杭構造体のような、芯部とその周囲との間に境界が形成されてしまうことによる摩擦力、支持力の低下を生じることなく、芯部とその周囲との間に強固な摩擦力、支持力を発現させることができる。
3)セメントミルクの固化物からなる芯部および芯部先端に支持部を備えているので杭自体の支持力を確保することができる。
4)1)〜3)の効果を簡単な構造および安価なコストで実現することができる。
図1は本発明の杭構造体を示す模式図であり、図2は本発明の杭構造体を作製する際に用いる掘削杭の模式図であり、図3は図2の掘削杭の断面図(図3(a)は分離時の断面図、図3(b)は連結時の断面図)であり、図4は図2の掘削杭を上方から見た状態を示す模式図であり、図5は図2の掘削杭を下方から見た状態を示す模式図であり、図6は図2の支持部4の側面図である。
まず、本発明の杭構造体の構成を図1に基づいて説明する。
本発明の杭構造体1は、セメントミルクの固化物からなる芯部2と、芯部2の外周に形成され、芯部2と一体となった摩擦部3と、芯部2の下端に接合された支持部4を備えることを基本構成とするものである。
そして、本発明の杭構造体はこのような構成を備えていることから[発明の効果]において記載の様々な技術的効果を発現させることができることになる。
すなわち、従前の杭構造体のように鋼管を土壌中に埋設した杭構造体では、鋼管の外周面とその周辺の土壌・地盤とはそもそも材質が異なることから、鋼管の外周面とその周辺の土壌・地盤との間には境界(面)が形成されてしまうことになる。また、鋼管を打ち込む際には鋼管の外周面が土壌・地盤と擦れ合いながら打ち込まれていくことから、鋼管の外周面とその周辺の土壌・地盤との間には擦れ合うことによる境界(面)が形成されてしまう場合もある。従って、従前の杭構造体においては、芯部(鋼管の材質や鋼管内部の構造)を強固なものとした場合でも、鋼管(芯部)の外周面とその周辺の土壌・地盤との間に形成されてしまう境界に起因する摩擦力、支持力の低下がどうしても生じてしまうことになる。
これに対して、本願発明の杭構造体1は、芯部2の外周に形成される摩擦部3が芯部2と一体となった構造であることから、芯部2の外周面とその周辺の土壌・地盤との間に境界が形成されてしまうことがなく、摩擦力、支持力を保持することができるのである。
また、本願発明の杭構造体1は、図1に示すとおり、芯部2や摩擦部3の外周面には凹凸が形成されることになる(従前の杭構造体のように鋼管によるきれいな円柱が形成されるのではない)ため、係る凹凸によるアンカー効果や表面積が大きくなる効果によって摩擦力、支持力を発現させることもできるのである。
本発明の杭構造体1の芯部2は、セメントミルクの固化物からなるものである。なお、本発明における「セメントミルクの固化物からなるもの」との意は、添加物までをも排除する意ではなく、必要に応じて流動化剤、増粘剤などの添加物を混合したものを含む意である。また、セメント、水などの各原料成分の混合比率についても必要に応じて適宜決定することができるものである。
本発明の杭構造体1の摩擦部3は、芯部2の外周に形成され、芯部2と一体となっているものである。具体的には、杭構造物1を作製する際に掘削される掘削土壌とセメントミルクとの混合固化体となっているものである。このように本発明の杭構造体1の摩擦部3は、掘削土壌とセメントミルクとの混合固化体となっていることから、芯部2と摩擦部3とは同じセメントミルク成分によって連続した(一体化した)状態を形成することになり、従前の杭構造体のように芯部2の外周面とその周辺の土壌・地盤との間に境界が形成されることがなく、摩擦力、支持力を発現することができるのである。
なお、掘削土壌とセメントミルクとが均一な混合状態となって固化している場合には、芯部2の外周面とその周辺に位置する摩擦部3との間や、摩擦部3の外周面とその周辺に位置する土壌・地盤との間には、明確な材質の違いによる境界が存在してしまう可能性がある一方、均一な組成となることから強度が確保されることになり、セメントミルクと掘削土壌が不均一な混合状態となって固化している場合には、上記のような材質の違いによる境界が明確には存在しない箇所も形成されることから、芯部2と摩擦部3との間、摩擦部3とその周辺に位置する土壌・地盤との間が連続した(一体化した)状態を形成することになり、摩擦力、支持力を発現することができる。
本発明の杭構造体1の支持部4は、図1、2、3、5〜7に示すように、円柱状または底面を有する円筒状の部材5(掘削の際には先端部材5bとなるもの)に、突出部6a(掘削の際には掘削刃6bとなるもの)を備えたものである。また、突出部6aは、円柱状または底面を有する円筒状の部材5の外周面よりも外側に突出したものである。なお、図1、2、3、5〜7に示す支持部4は、掘削刃6b(突出部6a)の他に、円柱状または底面を有する円筒状の部材5の先端(下端)にも掘削刃7、掘削刃8を設けた構造となっている。
なお、支持部4と鋼管9との着脱方式については、特に限定されるものではなく各種の方式を採用することができる。そしてその中でも、図3、4、6、7に示すように、一対の係止部11を支持部4の内面に対向するように設けるとともに、係る係止部11に係止される一対の突起部12を鋼管9の内面に対向するように設けた形態を採用すれば、簡単な構造でありながら、掘削の際に鋼管9にかかる力に活用して支持部4と鋼管9とを連結することができ、また支持部4と鋼管9との分離も簡単に行うことができるので好適である。すなわち、係る構造を採用すれば、鋼管9を特定の回転方向(図3、4、6、7においては、上方から下方(地上から地中)に向かって見た場合に時計回り方向)で回転した場合には、突起部12が係止部11に係止されて支持部4と鋼管9とが連結された状態となって掘削がなされることになり、鋼管9を逆の回転方向(図3、4、6、7においては、上方から下方(地上から地中)に向かって見た場合に反時計回り方向)で回転した場合には、突起部12と係止部11との係止状態が解除されて支持部4を鋼管9から分離させることができるのである。
次に、本発明の杭構造体の施工方法を図8に基づいて説明する。図8は本発明の杭構造体の施工方法を示す説明図である。なお、本発明の杭構造体の施工方法は、掘削工程、分離残置工程、引抜工程を備えるものである。
次に、図8(b)に示すように、昇降ヘッド16および回転モータ17を用いて掘削刃6b(突出部6a)、掘削刃7、掘削刃8、撹拌部材13を回転させながら、強化・改良を行いたい場所に掘削杭10を打ち込んでいく。そしてこの際、供給装置(図示せず)からセメントミルクを掘削杭10(鋼管9)内に供給し、吐出口からセメントミルクを吐出しながら掘削杭10を打ち込んでいく。
そうすると、掘削刃6b(突出部6a)および撹拌部材13によって、掘削土壌と吐出口されたセメントミルクとが混合されることになり、掘削土壌とセメントミルクとの混合物19(固化することによって摩擦部3となるもの)が鋼管9の周囲に形成されていくことになる。
そして、掘削土壌とセメントミルクとの混合物19(固化することによって摩擦部3となるもの)を作製しながら、図8(c)に示すように、先端部材5b(支持部4)が所定の深度になるまで掘削杭10(鋼管9)の打ち込みを行う。
次に、先端部材5b(支持部4)を所定の深度まで打ち込んだ後、セメントミルクの供給を停止する。そして、鋼管9の回転を逆回転することによって係止状態の解除を行い、先端部材5bと掘削刃6bを地盤の所定深度に残置することによって、支持部4(円柱状または底面を有する円筒状の部材5aおよび突出部6a)の形成を行う。
次に、図8(d)に示すように、係止状態の解除を行った鋼管9を土壌中から引き抜きながら、鋼管9の先端からセメントミルクを吐出することによって、セメントミルクの円柱物20(固化することによって芯部2となるもの)を作製する。
そうすると、図3(a)に示すように、支持部4(先端部材5bと掘削刃6b)を分離した後(地盤の所定深度に残置した後)の鋼管9は円筒状となることから、供給されたセメントミルクは円柱状または略円柱状のセメントミルクの円柱物20となりながら、支持部4の上部に形成されていくことになる。従って、供給されたセメントミルクが固化物となった際には、支持部4が土台となった芯部2が形成されることになり、支持力を発現させることができることになる。また、支持部4には円柱状または底面を有する円筒状の部材5a(先端部材5b)の外周面よりも外側に突出した突出部6a(掘削刃6b)が設けられていることから、この点からも安定した土台の上に芯部2が形成されることになる。
2 芯部
3 摩擦部
4 支持部
5a 円柱状または底面を有する円筒状の部材
5b 先端部材
6a 突出部
6b 掘削刃
7 掘削刃
8 掘削刃
9 鋼管
10 掘削杭
11 係止部
12 突起部
13 撹拌部材
14 作業車両
15 ガイド柱
16 昇降ヘッド
17 回転モータ
18 配管
19 掘削土壌とセメントミルクとの混合物
20 セメントミルクの円柱物
Claims (5)
- セメントミルクの固化物からなる芯部と、
前記芯部の外周に形成され、前記芯部と一体となった摩擦部と、
前記芯部の下端に接合された支持部を備え、
前記支持部が、
円柱状または底面を有する円筒状の部材に、
前記部材の外周面よりも外側に突出した掘削刃を設けたものであることを特徴とする杭構造体。
- 前記摩擦部が、
掘削土壌とセメントミルクとの混合固化体であることを特徴とする請求項1に記載の杭構造体。
- 前記摩擦部が、
掘削土壌とセメントミルクとが不均一な混合状態となって固化しているものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の杭構造体。
- 掘削刃を備えた先端部材と、吐出口を有する鋼管を用いて前記吐出口からセメントミルクを吐出して、掘削した土壌と前記セメントミルクを混合しながら土壌を掘削する掘削工程と、
前記先端部材を所定深度になるまで前記鋼管を土壌に挿入した後、前記先端部材を分離して前記先端部材のみを土壌中に残置する分離残置工程と、
前記分離残置工程の後に、前記鋼管の先端からセメントミルクを吐出しながら前記鋼管を土壌から引き抜く引抜工程を備えることを特徴とする杭構造体の施工方法。
- 前記掘削刃が、
前記鋼管の外周面よりも外側に突出するように設けられたものであることを特徴とする請求項4に記載の杭構造体の施工方法。
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