JP2016173028A - 杭および杭の設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒状の本体部と、本体部の周面上に立設され、螺旋形状に沿って延在する羽根部材22とを有する先端部材20と、本体部の軸方向後端側に設けられ、本体部の軸方向後端側を密閉する平坦な円盤状の蓋部材23と、該蓋部材の軸方向後端側面の中心付近部分に一端が固着され、そこから本体部の軸方向に沿って伸びる棒状部材30と、本体部の内周面に固着し、本体部の先端側から突出する平板状の掘削刃24と、本体部の内部において該蓋部材の軸方向先端側面に固着し、該蓋部材を補強する補強部材241とを有する杭10において、該補強部材は、略直交し合う2枚の平板を含み、軸方向と垂直な方向における該棒状部材の断面積が、同方向における本体部の断面積よりも小であり、該蓋部材の外径は、該羽根部材の内径と略等しく、該蓋部材の外径は、本体部の軸方向後端の外径と等しい。
【選択図】図24−B
Description
そこで、本発明は、杭の製造コストを低減することをその目的の一つとする。
即ち、柱状の本体部を有する先端部材と、
本体部の軸方向後端側面の中心付近部分から、該本体部の軸方向に伸びる棒状部材と、を有する杭であって、
軸方向と垂直な方向における棒状部材の断面積が、同方向における本体部の断面積よりも小である杭である。
本発明の第3の局面によれば、上記杭において、軸方向と垂直な方向における本体部の断面積は軸方向において変化し、該本体部の最大の断面積に対する、棒状部材の断面積の比は、0.005〜0.79の範囲内である。こうすることにより、上記したコスト低減効果を効果的に発揮しつつ、杭全体として軸方向支持力を有効に発揮することができる。
本発明の第4の局面によれば、上記杭において、先端部材は、本体部の周面上に立設され、螺旋形状に沿って延在する羽根部材を有する。そのため、上述した特許文献2のように円錐状側面にスクリューを形成する場合と比べ先端部材の製造が容易であり、結果として杭全体の製造コストを低減することができる。
先端部材の本体部の単位面積当たりの軸方向支持力は、羽根部材の単位面積当たりの軸方向支持力の約2倍と見積もられている。そのため、上記寸法比とすることにより、羽根部材による推進力を十分に発揮させられる一方で、先端部材の本体部による軸方向支持力を効果的に発揮させることができる。
本発明の第6の局面によれば、上記杭は、本体部の軸方向先端側に設けられた平板状の掘削刃を更に有する。このような構成によれば、杭の回転による地中への杭の埋入をより効率的に行うことができる。
本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップと、
ガイドを回転させることにより杭を回転させ、該杭を地中に進入させるステップと、を有する杭の設置方法である。
このような方法によれば、筒状のガイドを用いることで、効率良く、かつ安定的に、杭を地中に埋入させることができる。ガイドの形状として、円筒形、多角筒状(四角柱状、八角柱状など)その他、任意である。
最初に図1−A〜図1−Hを参照し、本発明の第1実施形態に係る杭10を説明する。本実施形態に係る杭10は鋼製であり、図1−A〜図1−Fの6面図に示すように、先端部材20と、棒状部材30とからなる。先端部材20は、円筒状の本体部21と、本体部21の周面上に立設され、螺旋形状に沿って延在する羽根部材22とを有する。羽根部材22の下端は切刃として作用する。先端部材20は更に、軸方向後端側に円盤状の蓋部材23と、先端側に板状の掘削刃24を有する。なお、本実施形態においては羽根部材22を連続的なものとしたが、本発明はこれに限らず、途中で切り込みを有する形状や、分割部分を有する不連続な形状としても良い。
上記構成において、本体部21の軸方向と垂直な方向における棒状部材30の断面積(図1−Dにおいて、π×x2)が、本体部21の断面積(同図において、π×y2)よりも小となっている。本発明において棒状部材30の断面積、および、本体部21の断面積という場合、棒状部材30および本体部21が中空であるか中実であるかに関わらず、それらの外縁が画定する内側の領域の面積をいうものとする。
また、本体部21の先端部分の円形状の半径(図1−E中のa)(本実施形態においては、本体部21の軸方向と垂直な断面の半径に同じ)に対する、本体部21の周面から羽根部材22の外周縁までの距離(図1−E中のb)の比を、0.48〜2.61の範囲内とすることが好ましい。先端部材20の本体部21の単位面積当たりの軸方向支持力は、羽根部材22の単位面積当たりの軸方向支持力の約2倍と見積もられている。そのため、上記寸法比とすることにより、羽根部材22による推進力を十分に発揮させられる一方で、先端部材20の本体部21による軸方向支持力を効果的に発揮させることができる。
次に、図3−A〜図3−Fを参照して、本発明の第2実施形態に係る杭10を説明する。第2実施形態の杭10は、先端部材20の本体部21の蓋部材23近傍の周面上に設けられた突起部25を有する点でのみ、第1実施形態の杭10と異なる。図示するように、本体部21の周面上において互いに反対側となるように、一対の突起部25が備えられている。
図4−A、図4−Bに示すように、本実施形態の杭10は、突起部25を介して円筒状のガイド40と係合できるようになっている。即ち、円筒状の本体部41からなるガイド40は、その先端側端部から軸方向に延び更に垂直に屈曲して周方向に延びるように形成された切欠き42を有する。ガイド40と杭10とを係合させるためには、まず図4−Aに示すように、切欠き42の軸方向に延びる部分に対して、突出部25を挿入する。次に、図4−Bに示すように、ガイド40を周方向に相対回転させることで、突出部25を、切欠き42の周方向に延びる部分に係合させる。
このような方法によれば、円筒状のガイド40を用いることで、効率良く、かつ安定的に、杭10を地中に埋設することができる。
なお、本体部21の周面上に一対の突起部25を備えるものに限らず、3つ以上の突起部25を備えるものであっても良い。
本実施形態に係る杭10においても、先端部材20の本体部21と棒状部材30の断面積比や、本体部21と羽根部材24の寸法比を第1実施形態と同様に設定することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、図6−A〜図6−Fを参照して、本発明の第3実施形態に係る杭10を説明する。
本実施形態に係る杭10は、先端部材20の本体部21の先端側に掘削刃を有していない点でのみ、第1実施形態に係る杭10と異なる。このような構成であっても、先端部材20の本体部21と棒状部材30の断面積比や、本体部21と羽根部材24の寸法比を第1実施形態と同様に設定することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記した各実施形態に係る杭10の施工方法は、上記した施工方法に何ら限定されない。例えば、図2(D)や図5(D)で示したように、単に杭10周辺の地盤を締め固めることに代えて、孔Vに対してコンクリートや鉱さい等の充填材を投入して地盤の改良を行ったり、あるいは、セメントミルクを注入して、場所打ち杭を構築したりすることも可能である。あるいは、図7に示すように、孔Vから掘削土を一旦排出して、孔V内に鉄筋50を敷設し、コンクリートを打設することにより、場所打ち鉄筋コンクリート杭とすることも可能である。
上述した第2実施形態のガイド40に代えて、図8に示す本発明の第4実施形態に係るガイド40を用いても良い。図8に示すガイド40は、その周面上に螺旋形状のガイド羽根43を有している。このガイド羽根43により、ガイド40に付与された回転力を、軸方向への推進力に変換することができる。更に、杭10が予定深さまで到達し、ガイド40と杭10の係合を解除した後、ガイド40を逆回転させながら上方向へ引き抜くことにより、孔V内部の掘削土や充填材を、ガイド羽根43により締め固めつつ、ガイド40を引き抜くことができ、作業効率が向上する。更には、杭設置作業終了後、ガイド40を逆回転させて引き上げる際に、切欠き42からセメントミルクを棒状部材30の周囲に注入したり、ガイド40の上部から直接セメントミルクを注入し、バイブレータを用いて攪拌するなどの方法を用いることもできる。
次に、図9を参照して、本発明の第5実施形態に係る杭110を説明する。図9(A)は杭110を概略的に表した正面図、図9(B)は、図9(A)の杭110を矢印IXB方向に見た側面図、図9(C)は、図9(A)の杭110を矢印IXCの方向に見た上面図、図9(D)は、図9(A)の杭110を矢印IXDの方向に見た下面図である。本実施形態に係る杭110は、螺旋状の羽根部材を備えない点でのみ、第2実施形態に係る杭10(図3−A参照)と異なる。即ち、本実施形態に係る杭110は図9に示すように、先端部材120と、棒状部材130とからなる。先端部材120は円筒状の本体部121と、軸方向後端側に円盤状の蓋部材123と、先端側に板状の掘削刃124を有する。杭110は更に先端部材120の本体部121の蓋部材123近傍の周面上に設けられた突起部125を有する。
このような構成の杭110であっても、図8に示すガイド羽根43付きのガイド40を用いることで、ねじ込み杭工法により地中に埋設することができる。
本実施形態に係る杭110においても、先端部材120の本体部121と棒状部材130の断面積比を第1実施形態と同様に設定することで、杭110の製造コスト低減の効果を得ることができる。
次に、図10を参照して、本発明の第6実施形態に係る杭210を説明する。図10(A)は杭210を概略的に表した正面図、図10(B)は、図10(A)の杭210を矢印XB方向に見た上面図、図10(C)は、図10(A)の杭210を矢印XCの方向に見た下面図である。本実施形態に係る杭210は、第4実施形態に係る杭110の掘削刃124および突起部125を備えないものである。このような構成の杭210は、圧入工法、打ち込み工法または埋め込み工法等によって地中に設置することができる。
本実施形態に係る杭210においても、先端部材220の本体部221と棒状部材230の断面積比を第1実施形態と同様に設定することで、杭210の製造コスト低減の効果を得ることができる。
図11は、本発明の第7実施形態に係るガイド40を表す概略図である。図示するように、本実施形態のガイド40は、複数段の羽根部材43を有する。また、羽根部材43が複数個所で分割されているものとしても良い。
図12は、本発明の第8実施形態に係るガイド40を表す概略図である。図12(A)は正面図、図12(B)は、図12(A)中のガイド40を、矢印XIIBの方向に見た部分断面図である。本実施形態に係るガイド40は、本体部41の軸方向の一部が、内側部分44と外側部分45の同軸二重円筒構造となっている。即ち、本体部41の軸方向の一部の径を小さくすることで内側部分44とし、その周囲に外側部分45を遊嵌している。内側部分44の外周面には軸方向に延びるレール46が形成され、外側部分45の内周面には、レール46と緩く係合する軸方向溝47が形成されている。このような構造により、内側部分44と外側部分45とが軸方向に所定距離だけ相対移動できるようになっている。そして、羽根部材43は、外側部分45の外周面にのみ定着されている。これにより、羽根部材43は、ガイド40の本体部41に形成された切欠き42に対して、軸方向に相対移動することができる。
図13は、本発明の第9実施形態に係るガイドを表す概略図である。図13(A)は正面図、図13(B)は、図13(A)中のガイド40を、矢印XIIIBの方向に見た部分断面図である。本実施形態に係るガイド40は、第8実施形態のものと異なり、外側部分45を有さず、羽根部材43の内周側に軸方向溝47を直接有している。これにより、羽根部材43と内側部分44とが遊嵌され、軸方向に相対移動可能となっている。結果として、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
図14は、本発明の第10実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。図14(A)は杭10とガイド40の係合状態を示す図、図14(B)は杭10の正面図、図14(C)は、図14(A)中のガイド40を、矢印XIVCの方向に見た部分断面図である。本発明の杭10とガイド40との係合方法は、第2実施形態のものに何ら限定されない。例えば、図14に示すものにおいては、ガイド40の先端側内周面上に、複数(図では3つ)の直方体状のガイド突起部48が設けられており、杭10の先端部材20の蓋部材23上には複数のかぎ状の係止部材26が設けられている。そして、杭10の上部側からガイド40を同軸状に配置して嵌め合わせ、上部から見て時計回りにガイド40を杭10に対して回転させることで、複数のガイド突起部48と複数の係止部材26とが係合するようになっている。
図15は、本発明の第11実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。図15に示す例ではガイド40の先端に蓋がされており、その蓋に複数の矩形のキー穴113と、中心に丸い穴115が穿設されている。
他方、蓋部材23の上面には、棒状部材30を中心にしてキー穴113の数に相当する数のキー119が設けられている。棒状部材30を穴115へ挿入し、キー119をそれぞれ矩形のキー穴113へ挿着することにより、蓋部材23とガイド40とが組付けられる。
ガイド40による掘削作業が完了したら、ガイド40を引き抜きながら、セメント材料を注入することができる。セメント材料の注入は、矩形のキー穴113を介して行える。セメント材料注入専用の穴を設けてもよい。
図16は、本発明の第12実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。図16の例では、ガイド40側に複数のキー129を設け、キー129の数に相当する数のキー穴133を蓋部材23側に設けている。
図17は、本発明の第13実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。図17の例では、蓋部材23において複数のキー139と棒状部材30とが連設されており、それに応じて、ガイド40側の穴145の形状が調整されている。
図18は、本発明の第14実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。図18の例では、蓋部材23上に、薄型矩形のキー149に重ねて棒状部材30が立設されている。他方、ガイド40側には、キー149に対応した穴155が形成されている。この穴155へ棒状部材30も通される。
キー149が穴155から外れた段階で、棒状部材と穴155の周縁との間に隙間ができるので、そこからセメント材料を容易に注入できる。
図19は、本発明の第15実施形態に係る杭10およびガイド40を表す概略図である。図19の例では、蓋部材23に丸穴形状のキー穴153を設ける。このキー穴153は蓋部材23の軸を中心として、等距離かつ同じ角度(この例では90度)をあけて設けられている。
他方、ガイド40の先端側には、キー穴153に対向する位置に、4つの円柱状のキー156が配設されている。
ガイドの先端のキー156が蓋部材のキー穴153へ抜き差しされる。ここに、4つのキー穴153が蓋部材23の軸を中心として均等に分配されているので、各キー穴に対してキー156をそれぞれ挿入する際、両者の位置合わせが容易である。
また、ガイドの形状についても、先に説明した円筒状のものに限定されず、多角筒状(四角柱状、八角柱状など)その他、任意である。
棒状部材をコンクリート製(鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製含む)としても良い。
上記において、固化材撹拌時のガイド40の回転方向は、地盤除去時の回転方向と逆方向であることが好ましいが、撹拌を促進させるために、ガイド40の回転方向を作業途中に切り替えることもできる。本例において、棒状部材30の周辺の地盤を除去せずに、セメントミルクと地盤とを撹拌混合することで、杭10(特に棒状部材30)周辺の地盤改良を行うものとしても良い。
次に、図21−Aおよび図21−Bを参照して、本発明の第16実施形態に係る杭10について説明する。図21−A、図21−Bは、第1実施形態の杭10の部分断面図である図1−G、図1−Hにそれぞれ対応する、第16実施形態の杭10の部分断面図である。図示するように、本実施形態においては、掘削刃24が、本体部21の内周面上、本体部21の先端部付近から後端部付近にまで至る長さ方向の全域に延び、掘削刃24は、蓋部材23の内面に対して、固着している。このような構成とすることで、蓋部材23の補強を図ることができる。つまり、蓋部材23の曲げ耐力を向上することができる。結果として、蓋部材23の変形を抑制することができる。掘削刃24は、本体部21の内周面に対し、本体部21の先端部付近から後端部付近にまで至る長さ方向の全域において固着していてもよく、部分的に固着していてもよい。掘削刃24が蓋部材23の内面に対して固着する構成に代えて、単に接触する構成としてもよい。
次に、図22−Aおよび図22−Bを参照して、本発明の第17実施形態に係る杭10について説明する。第17実施形態は第16実施形態の変形例であり、図22−A、図22−Bは、図21−A、図21−Bにそれぞれ対応する部分断面図である。第16実施形態の杭10においては、掘削刃24を延長して蓋部材23に対して接触または固着させることにより、蓋部材23の補強を図った。これに対して、本実施形態の杭10においては、掘削刃24とは別体の鋼板である補強部材241を蓋部材23の内面に対して固着させる。こうして蓋部材23の補強を図る。なお、補強部材241は鋼板に限定されず、形鋼や鋼管の鋼材としてもよく、それらの場合には、補強部材241の長手方向の側面を蓋部材23の内面に対して固着させることが好ましい。
次に、図23を参照して、本発明の第18実施形態に係る杭10について説明する。本実施形態の杭10は、第1実施形態に係る杭10の本体部21の内部にコンクリートやモルタルまたは樹脂といった固化材242を充填し、固化させたものである。図23は、第1実施形態の図1−Hに対応する部分断面図である。固化材242は本体部21の内周面および蓋部材23の内面に固着した状態で固化している。このような固化材242を備えることによっても、蓋部材23の補強を図ることができる。
次に、図24−A、図24−B、図24−Cを参照して、本発明の第19実施形態に係る杭10について説明する。本実施形態の杭10は、図22−A、図22−Bに示す第17実施形態の杭10に対して、交差補強部材243を追加したものである。図示するように、交差補強部材243は、補強部材241と略直交するように設置されている。交差補強部材243は、蓋部材23の内面に対して固着している。例えば、交差補強部材243は2つの部分からなり、補強部材241の両側を挟んで一直線になるように設置される。交差補強部材243と補強部材241とが固着していてもよい。
このように、補強部材241に加えて、交差補強部材243を備えることにより、蓋部材23の曲げ耐力を更に向上させることができる。
本発明に係る杭10の先端部材20の本体部21の直径に対する羽根部材22の直径を比(以下、軸翼比と呼ぶ)は、施工条件や要求性能等に応じて様々に設定することができる。
例として、本体部21の直径が比較的小さい(直径例:89.1mm)杭10の場合において、軸翼比が比較的小さい杭10の6面図を図25に示し(第20実施形態、軸翼比例:1.68)、軸翼比が中程度の杭10の6面図を図26に示し(第21実施形態、軸翼比例:2.42)、軸翼比が比較的大きい杭10の6面図を図27に示した(第22実施形態、軸翼比例:3.18)。別の例として、本体部21の直径が比較的大きい(直径例:165.2mm)杭10の場合であって、軸翼比が比較的小さい杭10の6面図を図28に示し(第23実施形態、軸翼比例:1.48)、軸翼比が中程度の杭10の6面図を図29に示し(第24実施形態、軸翼比例:2.10)、軸翼比が比較的大きい杭10の6面図を図30に示した(第25実施形態、軸翼比例:2.72)。図25〜30のそれぞれにおいて、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は上面図、(E)は下面図、(F)は背面図を表す。
次に、図31、図32を参照して、本発明の別の変形例について説明する。図31に示す杭110は、図9に示す第5実施形態の変形例である。図31(A)は杭110を概略的に表した正面図、図31(B)は、図31(A)の杭110を矢印XXXIB方向に見た側面図、図31(C)は、図31(A)の杭110を矢印XXXICの方向に見た上面図、図31(D)は、図31(A)の杭110を矢印XXXIDの方向に見た下面図である。本変形例の先端部材120はコンクリート製(鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製を含む)の本体部121を有し、蓋部材を有さない。
棒状部材130、掘削刃124、突起部125の一体的な金属部材を作成する方法は任意であるが、一例として、まず掘削刃124および突起部125を一体的な平板状金属部材として作成し、次に棒状部材130と溶接することが考えられる。
次に、図33〜図39を参照して、本発明の第26実施形態を説明する。図33は、本発明の第26実施形態に係る杭を概略的に表す図であり、図33(A)は杭10の正面図、図33(B)は図33(A)の杭10を矢印XXXIIIBの方向に見た側面図、図33(C)は図33(B)の杭10を矢印XXXIIICの方向に見た背面図である。本実施形態に係る杭10は、図33に示すように、蓋部材23の上面に、かぎ状の係止部材27を有する。図示例では係止部材27は、回転軸を中心とした点対称の位置に2つ設けられているが、これに限らず、1つまたは3つ以上の係止部材27を備えるものとして良い。各係止部材27は、蓋部材23の上面から立設される垂直部271と、垂直部271の上端から水平方向に延びる水平部272とを有する。これにより、係止部材27は、杭10の逆回転方向に開口を有する。
また、係止部材27の形状は上述のかぎ状に限らず、同様の機能を奏し得る限り、どのような形状としても良い。また、図35の施工例においては、杭10をガイド40に挿入する際、杭10およびガイド40を横倒しとしたが、これは必須の要件ではなく、例えば、両者を縦または斜めにした状態で挿入し、その後、挿入状態の杭10とガイド40を保持具200に取り付けても良い。特に杭10およびガイド40が比較的短い場合には、両者を縦にした状態で挿入し、その後、挿入状態の杭10とガイド40を保持具200に取り付けても良い。
次に、図40〜図43を参照して、本発明の第27実施形態を説明する。図40(A)は本実施形態に係る杭10の斜視図、図40(B)は棒状部材30の上面図である。図40に示すように、本実施形態の杭10は、棒状部材30の上端部内周面から周方向内側へ突出する係合突起31を有する。
図41A〜図41Cに、本実施形態に係る保持具200を示す。図41Aは正面図、図41Bは下面図、図41Cは斜視図である。本実施形態の保持具200は、周方向開口として、第1周方向開口207と第2周方向開口208を有する点で、第26実施形態の保持具200と異なる。また、後に述べるように、心棒204の形状も異なっている。
心棒204は、ヘッド部202側の大径部250と、反ヘッド部202側の小径部260とからなる。大径部250の最大径アは小径部260の径イより大きく(図41B参照)、棒状部材30の内径より小さい。大径部250の最大径アと小径部260の径イは、棒状部材30をガイド40に挿入したときに、係合突起31が小径部260とは干渉せず、大径部250の最大径アの部分とは干渉するように設定されている。大径部250の外周には、軸方向に伸び、反ヘッド部202側に開口する軸方向溝251と、軸方向溝251から正回転方向に伸びる周方向溝252とが形成されている。大径部250の軸方向溝251は、カバー201の1つの軸方向開口205の径方向内側に形成されている。棒状部材30をガイド40に挿入したときに、係合突起31は、軸方向溝251および周方向溝252部分において大径部250とは干渉しない。
図35の方法と同様に本実施形態の杭10をガイド40に挿入し、ガイド下部突起部481を係止部材27に係合したとき、杭10の棒状部材30およびガイド40の上端部を上方向から観察すると、図42(A)のようになる。すなわち、ガイド40の一方のガイド上部突起部482の位置に対応する棒状部材30の内周面上の位置に係合突起31が位置することとなる。この状態で、図36と同様に杭10およびガイド40を保持具200に取り付ける際、図42(B)に示すように、ガイド上部突起部482をカバー201の軸方向開口205に進入させ、棒状部材30の係合突起31を、心棒204の大径部250の軸方向溝251に進入させる。そして、図42(C)のようにガイド40の上端がヘッド部202に到達すると、杭10およびガイド40を正回転方向に回転させるか、または保持具200を逆回転方向に回転させることにより、図42(D)に示すようにガイド上部突起部482をカバー201の第1周方向開口207に進入させる。このとき、図42(E)に示すように、係合突起31は、心棒204の大径部250の周方向溝252内へ進入する。図42(E)は心棒204と係合突起31の相対的な位置関係を示す説明図である。
この状態でクレーンを持ち上げることで、保持具200とガイド40との相対的位置関係を図43の(A−3)に示すようにする。すなわち、ガイド上部突起部482が、保持具200の軸方向開口205を通って、第2周方向開口208と水平方向に隣り合う位置まで来るようにする。そのとき、棒状部材30の係合突起31は、図43の(B−3)に示すように、心棒204の大径部250の軸方向溝251を通って大径部250を脱出し、小径部260と面するようになる。
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
(付記1)
円筒状の本体部と、該本体部の周面上に立設され、螺旋形状に沿って延在する羽根部材と、を有する先端部材と、
前記本体部の軸方向後端側に設けられ、前記本体部の前記軸方向後端側を密閉する平坦な円盤状の蓋部材と、
前記蓋部材の軸方向後端側面の中心付近部分に一端が固着され、そこから前記本体部の軸方向に沿って伸びる棒状部材と、
前記蓋部材の軸方向先端側面に対して接触または固着し、前記本体部の軸方向先端側から突出する平板状の掘削刃と、を有する杭であって、
前記軸方向と垂直な方向における前記棒状部材の断面積が、同方向における前記本体部の断面積よりも小であり、
前記蓋部材の外径は、前記羽根部材の内径と略等しく、
前記蓋部材の外周部分はその全周において、前記本体部の前記軸方向後端と前記軸方向に重なり、
前記蓋部材の外径は、前記本体部の前記軸方向後端の外径と等しい、杭。
(付記2)
前記本体部の断面積に対する前記棒状部材の断面積の比は、0.005〜0.79の範囲内である、付記1に記載の杭。
(付記3)
前記軸方向と垂直な前記本体部の断面形状の半径に対する、該本体部の周面から前記羽根部材の外周縁までの距離の比は、0.48〜2.61の範囲内である、付記1または付記2に記載の杭。
(付記4)
前記本体部の内部において前記蓋部材の軸方向先端側面に固着し、該蓋部材を補強する補強部材を更に備える、付記1〜3のいずれか一項に記載の杭。
(付記5)
付記1〜4のいずれか一項に記載の杭を地中に設置する杭の設置方法であって、
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップと、
前記ガイドを回転させることにより前記杭を回転させ、該杭を地中に進入させるステップと、を有する杭の設置方法。
(付記6)
前記進入させるステップにより形成された孔の内部空間に対して、充填材を投入するステップを、更に有する付記5に記載の杭の設置方法。
(付記7)
前記進入させるステップにより形成された孔の内部空間において、コンクリート構造物を構築するステップを、更に有する付記5または付記6に記載の杭の設置方法。
(付記8)
前記進入させるステップの後、前記ガイドを逆の方向に回転させながら引き抜くステップを更に有し、
前記ガイドはその周面上に螺旋状の羽根部材を備える、付記5〜7のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記9)
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップは、前記杭と前記ガイドとを横倒しにした状態で、前記棒状部材を前記ガイドに挿入し、前記本体部と前記ガイドを係合させる、付記5〜8のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記10)
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップの後に、前記ガイドの端部を回転機械に取り付けるステップを更に含む付記5〜9のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記11)
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップの後に、係合した前記杭と前記ガイドとを略鉛直状態となるように持ち上げるステップを更に含む付記5〜10のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
(付記12)
係合した前記杭と前記ガイドとを略鉛直状態となるように持ち上げるステップは、前記杭と前記ガイドとを持ち上げたときの高さが前記杭の高さと略等しい、ことを特徴とする付記11に記載の杭の設置方法。
(付記13)
前記進入させるステップの後、前記ガイドを逆の方向に回転させることで前記本体部と前記ガイドの係合を解消するステップと、
次に前記杭を地中に残置しつつ、前記ガイドのみを鉛直上方へ引き抜くステップと、を更に含む付記5〜7、9〜12のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
20、120、220 先端部材
21、121、221 本体部
22 羽根部材
23、123、223 蓋部材
24、124 掘削刃
25、125 突起部
26、27 係止部材
30、130、230 棒状部材
31 係合突起
40 ガイド
41、400 ガイド本体部
43 ガイド羽根
44 内側部材
45 外側部材
46 レール
47 軸方向溝
48 ガイド突起部
50 鉄筋
113、133、153 キー穴
115、145、155 穴
119、129、139、149、156 キー
200 保持具
241 補強部材
242 固化材
243 交差補強部材
481 ガイド下部突起部
482 ガイド上部突起部
Claims (9)
- 円筒状の本体部と、該本体部の周面上に立設され、螺旋形状に沿って延在する羽根部材と、を有する先端部材と、
前記本体部の軸方向後端側に設けられ、前記本体部の前記軸方向後端側を密閉する平坦な円盤状の蓋部材と、
前記蓋部材の軸方向後端側面の中心付近部分に一端が固着され、そこから前記本体部の軸方向に沿って伸びる棒状部材と、
前記本体部の内周面に固着し、前記本体部の先端側から突出する平板状の掘削刃と、
前記本体部の内部において前記蓋部材の軸方向先端側面に固着し、該蓋部材を補強する補強部材と、を有する杭であって、
前記補強部材は、略直交し合う2枚の平板を含み、
前記軸方向と垂直な方向における前記棒状部材の断面積が、同方向における前記本体部の断面積よりも小であり、
前記蓋部材の外径は、前記羽根部材の内径と略等しく、
前記蓋部材の外周部分はその全周において、前記本体部の前記軸方向後端と前記軸方向に重なり、
前記蓋部材の外径は、前記本体部の前記軸方向後端の外径と等しい、杭。 - 前記掘削刃と前記補強部材とは互いに離隔している、請求項1に記載の杭。
- 前記本体部の断面積に対する前記棒状部材の断面積の比は、0.005〜0.79の範囲内である、請求項1または請求項2に記載の杭。
- 前記軸方向と垂直な前記本体部の断面形状の半径に対する、該本体部の周面から前記羽根部材の外周縁までの距離の比は、0.48〜2.61の範囲内である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の杭。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の杭を地中に設置する杭の設置方法であって、
前記本体部に対して筒状のガイドを係合させるステップと、
前記ガイドを回転させることにより前記杭を回転させ、該杭を地中に進入させるステップと、を有する杭の設置方法。 - 前記進入させるステップにより形成された孔の内部空間に対して、充填材を投入するステップを、更に有する請求項5に記載の杭の設置方法。
- 前記進入させるステップにより形成された孔の内部空間において、コンクリート構造物を構築するステップを、更に有する請求項5または請求項6に記載の杭の設置方法。
- 前記進入させるステップの後、前記ガイドを逆の方向に回転させながら引き抜くステップを更に有し、
前記ガイドはその周面上に螺旋状の羽根部材を備える、請求項5〜7のいずれか一項に記載の杭の設置方法。 - 前記進入させるステップの後、前記ガイドを逆の方向に回転させることで前記本体部と前記ガイドの係合を解消するステップと、
次に前記杭を地中に残置しつつ、前記ガイドのみを鉛直上方へ引き抜くステップと、を更に含む請求項5〜7のいずれか一項に記載の杭の設置方法。
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