JP6848999B2 - 乗客コンベア - Google Patents

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Description

本発明は、乗客コンベアに関する。
特許文献1は、乗客コンベアに関する注意放送を行う放送装置を開示している。
特開2007−76847号公報
本発明は、乗客コンベアに関連するメッセージを、乗客コンベアの混雑の程度によらずに適切に利用者に認識させることができる乗客コンベアを提供する。
本発明の乗客コンベアは、
無端状に連結された踏段と、
踏段の乗り口近傍に配置され、乗り口に関連するメッセージを報知するための第1音声を出力する第1スピーカと、
踏段の乗り口と降り口との中間位置に配置され、中間位置に関連するメッセージを報知するための第2音声を出力する第2スピーカと、
踏段の降り口近傍に配置され、降り口に関連するメッセージを報知するための第3音声を出力する第3スピーカと、
制御装置と、を備え、
制御装置は、
当該乗客コンベアが利用者の多い所定の混雑状態にあるときは、第1スピーカ、第2スピーカ、及び第3スピーカに、第1音声、第2音声、及び第3音声の出力時期が重なることを許容するタイミングで、これらの音声を出力させ、
当該乗客コンベアが所定の混雑状態にないときは、第1スピーカ、第2スピーカ、及び第3スピーカに、第1音声及び第3音声の出力時期と、第2音声の出力時期とが重ならないタイミングで、これらの音声を出力させる。
本発明の乗客コンベアによれば、乗客コンベアが所定の混雑状態にあるか否かに応じて、第1スピーカ、第2スピーカ、及び第3スピーカからの音声の出力時期が切り換えられる。そのため、乗り口付近、降り口付近、乗り口と降り口との中間位置付近にいる各利用者に、乗客コンベアの混雑の程度によらずに、それぞれの位置に応じたメッセージを適切に認識させることができる。
実施の形態1におけるエスカレータの概略側面図である。 実施の形態1におけるエスカレータの制御システムの電気的構成を示したブロック図である。 実施の形態1におけるエスカレータの制御装置の電気的構成を示したブロック図である。 実施の形態1におけるエスカレータのインバータの電気的構成を示したブロック図である。 実施の形態1におけるエスカレータの乗込率及びエスカレータ利用状態の推定方法を説明した図である。 実施の形態1におけるエスカレータの制御装置による第1〜第3スピーカからの音声出力制御を説明したフローチャートである。 エスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」である場合の音声出力制御の一例を説明した図である。 エスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」である場合の音声出力制御の他の例を説明した図である。 エスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」である場合の音声出力制御の一例を説明した図である。 エスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」である場合の音声出力制御の他の例を説明した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
1.構成
図1は、実施の形態1におけるエスカレータの概略側面図である。エスカレータ1は、乗客コンベアの一例である。
エスカレータ1は、エスカレータ本体10、モータ20、インバータ30、制御装置40などを有する。
エスカレータ本体10は、建築物の2つの階床F1、F2間に架け渡された状態で設置される。エスカレータ本体10は、無端状に連結された複数の踏段11と、左右一対の無端状のハンドレール12と、モータ20の動力を踏段11及びハンドレール12に伝達する動力伝達機構(不図示)と、乗り口5及び降り口6の床面をそれぞれ構成するフロアプレート19等を有する。複数の踏段11及びハンドレール12は、インバータ30から供給される電力により駆動されるモータ20の動力により循環駆動される。本実施の形態のエスカレータ1では、階床F1に乗り口5が設けられ、階床F2に降り口6が設けられているものとして説明するが、本発明では階床F2に乗り口が設けられ、階床F1に降り口が設けられていてもよい。
制御装置40は、インバータ30の動作を制御することで、モータ20の駆動を制御し、もって、踏段11の駆動、つまりエスカレータ1の運転を制御する。
エスカレータ1は、さらに、第1スピーカ51、第2スピーカ52、第3スピーカ53を有する。第1スピーカ51は、ハンドレール12の循環移動を案内する欄干18下方のスカートガード15に、乗り口5の近傍で配置され、踏段11に乗り込む利用者に、乗り口5に関連するメッセージを音声により報知する。第2スピーカ52は、スカートガード15に、乗り口5と降り口6との中間位置で配置され、踏段11に乗って中間位置付近にいる利用者に、乗り口5と降り口6の中間位置に関連するメッセージを音声により報知する。第3スピーカ53は、エスカレータ本体10のスカートガード15に降り口6の近傍で配置され、踏段11から降りる利用者に、降り口6に関連するメッセージを音声により報知する。
図2は、実施の形態1におけるエスカレータ1の制御システムの電気的構成を示したブロック図である。
制御装置40は、インバータ30からトルク状態信号MO1、MO2を入力し、入力したトルク状態信号MO1、MO2に基づいてインバータ制御信号を生成してインバータ30に出力する。
インバータ30は、制御装置40からインバータ制御信号を入力し、入力したインバータ制御信号に基づいて、モータ20に交流電力を供給する。具体的に、インバータ30は、インバータ制御信号に基づいて、モータ20への交流電力の供給及び停止を行うとともに、モータ20に供給する交流電力の周波数を変更する。また、インバータ30は、現在のモータ20のトルク状態を示すトルク状態信号MO1、MO2を制御装置40に出力する。トルク状態信号MO1、MO2信号については後に詳述する。
モータ20は、インバータ30から供給される交流電力の周波数に応じた回転数で動作する。これにより、踏段11の駆動速度が、インバータ30から供給される交流電力の周波数に応じて変更される。モータ20は、例えば誘導電動機により構成される。
図3は、実施の形態1におけるエスカレータ1の制御装置40の電気的構成を示したブロック図である。
制御装置40は、制御部41と記憶部42と入出力インタフェース43とを有する。制御装置40は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を利用して構成される。
記憶部42は、例えばフラッシュメモリにより構成され、プログラムや種々のデータを格納している。プログラムには、本実施の形態の制御装置40における各種機能を実現するためのプログラムが含まれている。
制御部41は、例えばCPU、MPUなどにより構成され、記憶部42からプログラム及びデータを読み出し、読み出したプログラム及びデータに基づく演算処理を行う。これにより、制御装置40における各種の機能が実現される。
入出力インタフェース43は、制御装置40に接続される各種装置との間で信号を入出力するためのインタフェースであり、信号形式の変換などを行う。
なお、制御装置40は、汎用的なコンピュータを利用して構成されてもよい。また、制御装置40は、電子回路やリレーシーケンス回路などのハードウェアのみにより構成されてもよい。
図4は、実施の形態1におけるエスカレータ1のインバータ30の電気的構成を示したブロック図である。
インバータ30は、コントローラ31、電力変換部32、出力電流検出器33、及び操作部34を有する。コントローラ31は、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などにより構成され、制御部、記憶部、及び入出力インタフェースを有する。電力変換部32は、トランジスタなどのスイッチング素子を備え、商用電力などの交流電力を入力し、制御部からの指令に応じてスイッチング素子を動作させることにより、交流電力の周波数を変換して出力する。出力電流検出器33は、電力変換部32から出力される交流電力の出力電流値を示す電流値信号をコントローラ31に出力する。操作部34は、インバータ30の動作などに関する種々のパラメータの設定操作を受け付ける。コントローラ31は、出力電流検出器33から出力される電流値信号が示す出力電流値と、モータ20の特性(モータ定格出力等)とに基づいて、運転方向に応じたモータ20の出力トルクの現在値を推定する。出力トルクの現在値は、モータの出力トルクに関する公知の演算式などを利用して、コントローラ31が演算により推定してもよいし、コントローラ31の記憶部などに、出力電流値と出力トルクとの関係を運転方向毎に規定したテーブルを予め記憶させておき、当該テーブルを参照して出力トルクを推定してもよい。モータ20の特性については、例えば予め操作部34を用いて設定し、コントローラ31の記憶部に記憶させておく。
図5は、実施の形態1におけるエスカレータ1の乗込率及びエスカレータ利用状態の推定方法を説明した図である。
モータ20の出力トルクと乗込率との間には、図5に示すような関係がある。すなわち、UP運転(上昇運転)においては、乗込率が高いほど出力トルクが大きくなる。これに対し、DOWN運転(下降運転)においては、乗込率が高いほど出力トルクが小さくなる。この関係に基づいて、現在の出力トルクから現在の乗込率を推定することが可能である。本実施の形態では、この関係を利用して、現在の出力トルクから現在の乗込率を推定し、推定した乗込率に応じて踏段11の駆動速度を制御する。なお、乗込率とは、エスカレータ1の踏段11に乗っている全利用者の数を全踏段数で除算した値に100を乗じた値である。
より具体的に、インバータ30のコントローラ31は、検出した出力電流値に基づいてモータ20の出力トルクを推定し、推定した出力トルクが属するトルク範囲を特定し、特定したトルク範囲を示す信号を出力する。トルク範囲は、UP運転では、出力トルクがLv0以上でLv1未満の第1範囲と、Lv1以上でLv2未満の第2範囲と、Lv2以上でLv3未満の第3範囲と、Lv3以上の第4範囲とに分類される。なお、Lv0、Lv1、Lv2、Lv3は、Lv0<Lv1<Lv2<Lv3の大小関係を有する。これに対し、DOWN運転では、トルク範囲は、出力トルクがLv0以下でLv4よりも大きい第5範囲と、Lv4以下でLv5よりも大きい第6範囲と、Lv5以下でLv6よりも大きい第7範囲と、Lv6以下の第8範囲とに分類される。なお、Lv0、Lv4、Lv5、Lv6は、Lv0>Lv4>Lv5>Lv6の大小関係を有する。
ここで、上記のLv0〜Lv6は、エスカレータ1の利用状況を判断可能なように設定されている。具体的に、上記のLv0は、乗込率0(%)のときつまり利用者が乗っていないとき(踏段11のみを駆動するとき)に出力される出力トルク値に設定され、Lv1、Lv4は、乗込率r1(%)に相当する人数の利用者を輸送する際に出力される出力トルク値に設定され、Lv2、Lv5は、乗込率r2(%)に相当する人数の利用者を輸送する際に出力される出力トルク値に設定され、Lv3、Lv6は、乗込率r3(%)に相当する人数の利用者を輸送する際に出力される出力トルク値に設定される。
以下では、r1(%)=10%、r2(%)=46.5%、r3(%)=80%とした例を説明する。乗込率が0(%)以上で10%(r1(%))未満である状態は、エスカレータの利用者が相対的に少ない状態であり、このエスカレータ利用状態を「閑散状態」という。乗込率が10%(r1(%))以上で46.5%(r2(%))未満である状態は、エスカレータの利用者数が中程度の状態であり、このエスカレータ利用状態を「普通状態」という。乗込率が46.5%(r2(%))以上で80%(r3(%))未満である状態は、エスカレータの利用者が相対的に多く、混雑している状態であり、このエスカレータ利用状態を「混雑状態」という。乗込率が80%(r3(%))以上である状態は、エスカレータの利用者が相対的にさらに多く、非常に混雑している状態であり、このエスカレータ利用状態を「過負荷状態」という。
ここで、利用者が少ない時間帯では、乗込率が10%以下となることが多い。これに基づいて、「閑散状態」の閾値であるr1(%)を上記のように10%としている。これにより、閑散状態を適切に認識できる。なお、乗込率が10%のときの乗客数は、例えば一般的なビルの隣接する階床間に設けられるエスカレータの場合には2〜3人程度である。
コントローラ31は、エスカレータ1の運転中、現在の出力トルク値が属するトルク範囲を示すトルク状態信号MO1、MO2を生成し、制御装置40に出力する。コントローラ31は、出力トルクが第1範囲及び第5範囲にあるとき、トルク状態信号MO1をLOW、トルク状態信号MO2をLOWとし、出力トルクが第2範囲及び第6範囲にあるとき、トルク状態信号MO1をLOW、トルク状態信号MO2をHIGHとし、出力トルクが第3範囲及び第7範囲にあるとき、トルク状態信号MO1をHIGH、トルク状態信号MO2をLOWとし、出力トルクが第4範囲及び第8範囲にあるとき、トルク状態信号MO1をHIGH、トルク状態信号MO2をHIGHとする。
なお、コントローラ31は、出力トルク値が第1範囲から第2範囲に遷移し、または第2範囲から第3範囲に遷移し、または第3範囲から第4範囲に遷移し、または第5範囲から第6範囲に遷移し、または第6範囲から第7範囲に遷移し、または第7範囲から第8範囲に遷移した場合、その状態が所定時間(例えば1、2秒程度)継続したことを条件として、遷移後の範囲に対応するトルク状態信号MO1、MO2を出力する。これに対し、コントローラ31は、出力トルク値が第2範囲から第1範囲に遷移し、または第3範囲から第2範囲に遷移し、または第4範囲から第3範囲に遷移し、または第5範囲から第4範囲に遷移し、または第6範囲から第5範囲に遷移し、または第7範囲から第6範囲に遷移し、または第8範囲から第7範囲に遷移した場合には、即座に遷移後の範囲に対応するトルク状態信号MO1、MO2を出力する。
制御装置40は、インバータ30から出力されたトルク状態信号MO1がLOWで、トルク状態信号MO2がLOWであるとき、現在のエスカレータ利用状態が「閑散状態」にあると判断し、インバータ30から出力されたトルク状態信号MO1がLOWで、トルク状態信号MO2がHIGHであるとき、現在のエスカレータ利用状態が「普通状態」にあると判断し、インバータ30から出力されたトルク状態信号MO1がHIGHで、トルク状態信号MO2がLOWであるとき、現在のエスカレータ利用状態が「混雑状態」にあると判断し、インバータ30から出力されたトルク状態信号MO1がHIGHで、トルク状態信号MO2がHIGHであるとき、現在のエスカレータ利用状態が「過負荷状態」にあると判断する。
制御装置40は、上述のように判断した現在のエスカレータ利用状態に基づいて、エスカレータ1の運転を制御する。例えば、現在のエスカレータ利用状態に基づいて、ブレーキの締結タイミングを変更したり、踏段11の駆動を停止させたり、利用者に対する警告や注意喚起や案内などの音声をスピーカなどから出力させたり、踏段11の駆動速度を変更させたりする。本実施の形態では、エスカレータ利用状態に応じた音声出力制御について詳しく説明する。
2.動作
制御装置40は、インバータ30から出力されたトルク状態信号MO1、MO2に基づいて、現在のエスカレータ利用状態を推定し、推定したエスカレータ利用状態に基づいて、第1スピーカ51、第2スピーカ52、第3スピーカ53からの音声出力を制御する。
制御装置40の記憶部42は、第1音声データ、第2音声データ、及び第3音声データを格納している。制御装置40の制御部41は、記憶部42に格納されている第1音声データに基づいて第1音声信号を生成して第1スピーカ51に出力し、第1スピーカ51から第1音声を出力させる。第1音声は、乗り口5に関連するメッセージを報知するための音声である。乗り口5に関連するメッセージは、例えば「お乗りになる際、足元にご注意ください」などのメッセージである。また、制御装置40の制御部41は、記憶部42に格納されている第2音声データに基づいて第2音声信号を生成して第2スピーカ52に出力し、第2スピーカ52から第2音声を出力させる。第2音声は、乗り口5と降り口6の中間位置に関連するメッセージを報知するための音声である。中間位置に関連するメッセージは、例えば「ハンドレールの外に乗り出さないでください」、「歩かないでください」などのメッセージである。また、制御装置40の制御部41は、記憶部42に格納されている第3音声データに基づいて第3音声信号を生成して第3スピーカ53に出力し、第3スピーカ53から第3音声を出力させる。第3音声は、降り口6に関連するメッセージを報知するための音声である。降り口6に関連するメッセージは、例えば「お降りになる際、足元にご注意ください」などのメッセージである。なお、メッセージの内容は、上例のような注意喚起に限られず、警告や利用案内など、どのようなものでもよい。
図6は、実施の形態1におけるエスカレータの制御装置40による第1スピーカ51、第2スピーカ52、第3スピーカ53からの音声出力制御を説明したフローチャートである。このフローチャートの処理は、所定繰り返し時間毎に繰り返し実行される。所定繰り返し時間は、例えば、踏段11の1周時間の整数倍の時間である。整数の値は任意であるが、頻繁に音声出力タイミングが切り替わらないようにするために例えば10倍などに設定してもよいし、混雑の程度が頻繁に変わるような場合には、これに追従できるように例えば2倍や3倍などに設定してもよい。例えば、鉄道の駅の通勤時間帯などでは、数分間隔で電車が到着する都度、エスカレータの混雑の程度が変化するが、このような場合、上述の例えば2倍や3倍に設定することが考えられる。また、時間帯によって整数倍の値を変更してもよい。例えば、通勤時間帯では上述の2倍や3倍に設定し、それ以外の時間帯では10倍に設定してもよい。
制御装置40は、現在のエスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」であるか否かを判断する(S11)。「混雑状態」及び「過負荷状態」は、所定の混雑状態の一例である。
現在のエスカレータ利用状態が「混雑状態」と「過負荷状態」とのいずれでもない場合(S11でNO)、つまり、現在のエスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」である場合、制御装置40は、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に、第1音声及び第3音声の出力時期と、第2音声の出力時期とが重ならないタイミングで、これらの音声を出力させる(S12)。この具体例について図7を参照して詳しく説明する。
図7は、ステップS12における、現在のエスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」である場合の音声出力制御の一例を説明した図である。制御装置40は、現在のエスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」である場合、第1スピーカ51及び第3スピーカ53に第1音声信号及び第3音声信号を同時に出力して、第1スピーカ51及び第3スピーカ53から第1音声及び第3音声を同時に出力させる。そして、制御装置40は、第1音声及び第3音声の出力が完了した後のタイミングで、第2スピーカ52に第2音声信号を出力して、第2スピーカ52から第2音声を出力させる。そのため、先に出力された第1音声及び第3音声と、後に出力された第2音声とは重ならない。そして、制御装置40は、第2音声の出力が完了した後のタイミングで、第1スピーカ51及び第3スピーカ53に第1音声信号及び第3音声信号を同時に出力して、第1スピーカ51及び第3スピーカ53から第1音声及び第3音声を同時に出力させる。そのため、先に出力された第2音声と、後に出力された第1音声及び第3音声とは重ならない。制御装置40は、このような音声出力制御を、上記所定繰り返し時間の間、繰り返し実行する。
なお、図7では、第1スピーカ51及び第3スピーカ53から第1音声及び第3音声の出力を同時に開始する例を示したが、これは一例である。例えば、第1音声及び第3音声の出力時期と第2音声の出力時期とが重ならない限り、図8に示すように、第1音声の出力開始時期と第3音声の出力開始時期とをずらしてもよい。
ステップS11において、現在のエスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」である場合(S11でYES)、制御装置40は、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に、第1音声、第2音声、及び第3音声の出力時期が重なることを許容するタイミングで、これらの音声を出力させる(S13)。この具体例について図9を参照して詳しく説明する。
図9は、ステップS13における、現在のエスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」である場合の音声出力制御の一例を説明した図である。制御装置40は、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に、第1音声信号、第2音声信号、及び第3音声信号を同時に出力して、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53から第1音声、第2音声、及び第3音声を同時に出力させる。そして、制御装置40は、第1音声、第2音声及び第3音声の出力が完了した後のタイミングで、再度、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に第1音声信号、第2音声信号、及び第3音声信号を同時に出力し、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53から第1音声、第2音声、及び第3音声を同時に出力させる。制御装置40は、このような音声出力制御を、上記所定繰り返し時間の間、繰り返し実行する。
なお、図9では、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53から第1音声、第2音声、及び第3音声の出力を同時に開始するが、これは一例である。第1音声、第2音声、及び第3音声の出力の開始は同時でなく任意でもよい。例えば、図10に示すように、第1音声、第2音声、及び第3音声のそれぞれについて、音声出力完了後、例えば数秒程度の一定時間をおいて、次の音声出力を開始してもよい。この方法では、第1音声、第2音声、及び第3音声の出力時間が互いに異なる場合、各音声の出力開始タイミングが、第1音声、第2音声、及び第3音声の間で徐々にずれていくが、「混雑状態」または「過負荷状態」においては、特に問題は生じない。
3.本実施の形態のエスカレータの作用
本実施の形態のエスカレータ1の作用を説明する。エスカレータ1では、運転中、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53から、エスカレータ1の利用上の注意などのメッセージを報知するための第1音声、第2音声、及び第3音声が出力される。
具体的には、エスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」であるときは、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53から、第1音声、第2音声、及び第3音声が重なることを許容するタイミングで出力される。これに対し、エスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」であるときは、第1スピーカ51及び第3スピーカ53から第1音声及び第3音声が出力されることと、第2スピーカ52から第2音声が出力されることとが交互に行われ、第1音声及び第3音声と、第2音声とは重ならない。
ここで、エスカレータ1の利用者が多く、混雑しているときには一般に暗騒音が大きい。そのため、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53から第1音声、第2音声、及び第3音声を重なるタイミングで出力しても、利用者には最も近い位置にあるスピーカ以外の音声は聞こえにくい。また、エスカレータ1が混雑しているときには、利用者が注意喚起などの音声を適切に聞き取ることができるように、できるだけ頻繁に音声を出力することが好ましい。
上記に鑑み、エスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」であるときは、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に、第1音声、第2音声、及び第3音声の出力時期が重なることを許容するタイミングで、これらの音声を出力させる。これにより、エスカレータ利用状態が「混雑状態」または「過負荷状態」であるときに、乗り口5付近、降り口6付近、乗り口5と降り口6との中間位置付近にいる各利用者に、それぞれの位置に応じたメッセージを適切に認識させることができる。
これに対し、エスカレータ1の利用者が少ないときには一般に暗騒音が小さい。そのため、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53から第1音声、第2音声、及び第3音声を重なるタイミングで出力すると、乗り口5と中間位置との間、及び降り口6と中間位置との間はエスカレータ1の長さの半分程度しか離れていないため、これらの間での音声の減衰量が少なく、乗り口5付近の利用者には第1音声と第2音声とが混ざって聞こえ、降り口6付近の利用者には第3音声と第2音声とが混ざって聞こえ、中間位置付近の利用者には、第1音声、第2音声、第3音声の全てが混ざって聞こえやすい。そのため、利用者が、それぞれの位置に応じた注意喚起などのメッセージを認識しづらくなる虞がある。なお、減衰量はエスカレータの長さにより異なるが、例えばエスカレータが、図1に示すような一般的な階高を有する建築物の2つの階床F1、F2間に架け渡されるエスカレータである場合、上述した音声の混ざりが生じやすい。一方、乗り口5と降り口6とはエスカレータ1の長さ程度離れているため、音声の減衰量が大きく、乗り口5付近の利用者には、第3スピーカ53から出力される第3音声は聞こえにくく、また、降り口6付近の利用者には、第1スピーカ51から出力される第1音声は聞こえにくい。
上記に鑑み、エスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」であるときは、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に、第1音声及び第3音声の出力時期と、第2音声の出力時期とが重ならないタイミングで、これらの音声を出力させる。これにより、エスカレータ利用状態が「閑散状態」または「普通状態」であるときに、乗り口5付近、降り口6付近、乗り口5と降り口6との中間位置付近にいる各利用者に、それぞれの位置に応じたメッセージを適切に認識させることができる。
このように、本実施の形態のエスカレータ1によれば、エスカレータ1の混雑の程度によらずに、乗り口5付近、降り口6付近、乗り口5と降り口6との中間位置付近にいる利用者に、それぞれの位置に応じたメッセージを適切に認識させることができる。
また、エスカレータ1が利用者の多い「混雑状態」または「過負荷状態」にあるか否かが、エスカレータの実利用状況が反映されるインバータ30の出力電流値に基づいて推定されるので、エスカレータ1が利用者の多い「混雑状態」または「過負荷状態」にあるか否かを精度よく判断できる。そのため、エスカレータの実利用状況に応じた音声案内方法の切り換えを適切に行うことができる。
(実施の形態についてのまとめ)
(1)実施の形態1のエスカレータ1(乗客コンベアの一例)は、
無端状に連結された踏段11と、
踏段11の乗り口5近傍に配置され、乗り口5に関連するメッセージを報知するための第1音声を出力する第1スピーカ51と、
踏段11の乗り口5と降り口6の中間位置に配置され、中間位置に関連するメッセージを報知するための第2音声を出力する第2スピーカ52と、
踏段11の降り口6近傍に配置され、降り口6に関連するメッセージを報知するための第3音声を出力する第3スピーカ53と、
制御装置40と、を備え、
制御装置40は、
当該エスカレータ1が利用者の多い所定の混雑状態にあるときは、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に、第1音声、第2音声、及び第3音声が相互に重なることを許容するタイミングで、これらの音声を出力させ、
当該エスカレータ1が所定の混雑状態にないときは、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53に、第1音声及び第3音声と、第2音声とが重ならないタイミングで、これらの音声を出力させる。
この構成によれば、エスカレータ1が所定の混雑状態にあるか否かに応じて、第1スピーカ51、第2スピーカ52、及び第3スピーカ53からの音声の出力時期が切り換えられるので、乗り口5付近、降り口6付近、乗り口5と降り口6との中間位置付近にいる各利用者に、エスカレータ1の混雑の程度によらずに、それぞれの位置に応じたメッセージを適切に認識させることができる。
(2)実施の形態1のエスカレータ1において、
踏段11を循環駆動するモータ20と、
モータ20に駆動用の電力を供給するインバータと、をさらに備え、
インバータ30は、
モータ20への出力電流値に基づいてモータ20の出力トルクを推定し、
推定された出力トルクが属するトルク範囲を示すトルク状態信号を出力し、
制御装置40は、インバータ30から出力されるトルク状態信号が示すトルク範囲に基づいて、当該エスカレータ1が所定の混雑状態にあるか否かを判断する。
この構成によれば、インバータ30から出力される信号が示すトルク範囲に基づいて、エスカレータ1が所定の混雑状態にあるか否かを判断できる。
(その他の実施の形態)
(A)
前記実施の形態のエスカレータ1は、本発明の乗客コンベアの一例である。本発明において、乗客コンベアは、一の階床において水平あるいは斜めに配置されたいわゆる動く歩道等の乗客コンベアであってもよい。
(B)
前記実施の形態では、制御装置40の制御部41が、記憶部42に格納されている第1音声データ、第2音声データ、第3音声データに基づいて第1音声信号、第2音声信号、第3音声信号を生成して第1スピーカ51、第2スピーカ52、第3スピーカ53から第1音声、第2音声、第3音声を出力させる。しかし、本発明はこれに限られない。例えば、第1スピーカ、第2スピーカ、及び第3スピーカ自体が、音声データに基づいて音声信号を生成する音声合成回路を備え、制御装置40の制御部41は、上述したタイミングで音声出力指令を各スピーカに出力して、音声を出力させるようにしてもよい。
(C)
前記実施の形態では、乗客コンベアが利用者の多い所定の混雑状態にあるか否かを、モータに駆動用の電力を供給するインバータの出力電流値に基づいて推定しているが、本発明ではこれに限られない。例えば、エスカレータの乗り口付近を撮像装置で撮像し、撮像画像を画像処理することにより時間当たりの利用者数を検出し、検出した利用者数に基づいて所定の混雑状態にあるか否かを判断してもよい。また、乗り口付近に踏段の移動方向に垂直なビームを出力するビームセンサを設け、ビームが遮断された回数に基づいて時間当たりの利用者数を検出し、検出した利用者数に基づいて所定の混雑状態にあるか否かを判断してもよい。
1 エスカレータ
5 乗り口
6 降り口
10 エスカレータ本体
11 踏段
12 ハンドレール
15 スカートガード
18 欄干
19 フロアプレート
20 モータ
30 インバータ
31 コントローラ
32 電力変換部
33 出力電流検出器
34 操作部
40 制御装置
41 制御部
42 記憶部
51 第1スピーカ
52 第2スピーカ
53 第3スピーカ
F1 階床
F2 階床

Claims (2)

  1. 無端状に連結された踏段と、
    前記踏段の乗り口近傍に配置され、乗り口に関連するメッセージを報知するための第1音声を出力する第1スピーカと、
    前記踏段の乗り口と降り口との中間位置に配置され、中間位置に関連するメッセージを報知するための第2音声を出力する第2スピーカと、
    前記踏段の降り口近傍に配置され、降り口に関連するメッセージを報知するための第3音声を出力する第3スピーカと、
    制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    当該乗客コンベアが利用者の多い所定の混雑状態にあるときは、前記第1スピーカ、前記第2スピーカ、及び前記第3スピーカに、前記第1音声、前記第2音声、及び前記第3音声の出力時期が重なることを許容するタイミングで、これらの音声を出力させ、
    当該乗客コンベアが前記所定の混雑状態にないときは、前記第1スピーカ、前記第2スピーカ、及び前記第3スピーカに、前記第1音声及び前記第3音声の出力時期と、前記第2音声の出力時期とが重ならないタイミングで、これらの音声を出力させる、
    乗客コンベア。
  2. 前記踏段を循環駆動するモータと、
    前記モータに駆動用の電力を供給するインバータと、をさらに備え、
    前記インバータは、
    前記モータへの出力電流値に基づいて前記モータの出力トルクを推定し、
    推定された出力トルクが属するトルク範囲を示す信号を出力し、
    前記制御装置は、前記インバータから出力される前記信号が示すトルク範囲に基づいて、当該乗客コンベアが前記所定の混雑状態にあるか否かを判断する、
    請求項1に記載の乗客コンベア。
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