JP6954319B2 - 乗客コンベア - Google Patents
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Description
無端状に連結された踏段と、
踏段を駆動するモータと、
外部から電力を入力し、モータに駆動用の電力を供給するインバータと、
制御装置と、を備え、
インバータは、
モータの出力電流値に基づいてモータの現在の出力トルクを推定し、
推定された出力トルクが属するトルク範囲を示す信号を出力し、
制御装置は、インバータから出力される信号が示すトルク範囲に基づいて、当該乗客コンベアの現在の乗込率が属する乗込率範囲を推定する。
1.構成
図1は、実施の形態1におけるエスカレータの概略側面図である。エスカレータ1は、乗客コンベアの一例である。
2.1 ソフトストップ制御
図9は、実施の形態1におけるエスカレータ1のソフトストップ制御を説明した図である。
図10は、電源有時におけるソフトストップ制御を説明した図である。
(1)UP運転時
現在の運転方向がUP方向であるときに、停電が発生した場合には、モータ20で回生電力が発生しないため、移動中の踏段11を乗客の重量を利用してフリーランで自然減速させる。ここで、フリーランでの自然減速の程度は、乗客数が少ないほど、つまり乗込率が小さいほど小さくなる。したがって、停止距離は、乗込率が小さいほど長くなる。エスカレータ1に乗っている乗客の安全などを考慮すると、乗込率に関係なく電源有時の450mmと同程度の停止距離で踏段11が停止することが望ましい。本願発明者は、これを実現するために、種々の検討及び実験などを行い、以下の構成の知見を得た。
図14は、停電発生時、DOWN方向、乗込率が0〜100%のときにおけるソフトストップ制御を説明した図である。
(1)UP運転時
現在の運転方向がUP方向であるときに、インバータ故障が発生した場合、インバータ30がモータ20に交流電力を供給できないため、制御装置40は、停電発生時と同様の制御を行う。
インバータ故障時には、停電時とは異なり、現在の運転方向がDOWN方向であっても、回生電力によるインバータ制御による減速を行うことができない。そのため、制御装置40は、以下の制御を行う。
2.2.1 ブレーキ締結タイミングの安全増し
上述したソフトストップ制御では、踏段11の移動速度が所定の速度に低下したときにブレーキ21の締結を行わせる場合がある。しかし、踏段11の移動速度が所定の速度に低下するまでの時間は、乗込率だけでなく駆動機構の状態によっても変化する。そのため、所定の速度に低下するまでの時間が想定よりも長くなり、踏段11の停止距離が長くなる虞がある。これに対処するため、本実施の形態では以下の構成を採用している。
電源有時に関しては、図9で示したようにブレーキ締結タイミング(第1タイミング)として3m/min検知が設定されているが、さらに、安全増しのためのブレーキ締結タイミング(第2タイミング)として、図21に示すように、運転停止条件の成立から1.8秒後という条件を設けている。これにより、制御装置40は、3m/min検知という条件と、1.8秒経過という条件とのいずれか一方が成立したときに、ブレーキ締結信号をブレーキ21に出力して、ブレーキ21の締結を行わせる。これにより、駆動速度が、1.8秒以内に3m/minに低下しなかったときは、1.8秒経過時にブレーキ21が締結されることとなる。そのため、駆動速度の低下が想定よりも遅くなった場合でも、適切にブレーキ21の締結を行わせて、踏段11の停止距離が450mmを大きく超えるのを抑制できる。
停電時に関しては、図9で示したようにブレーキ締結タイミング(第1タイミング)として16m/minまたは3m/min検知が設定されているが、さらに、安全増しのためのブレーキ締結タイミング(第2タイミング)として、図21に示すように、停電検知から1.8秒後という条件を設けている。これにより、制御装置40は、16m/minまたは3m/min検知という条件と、1.8秒経過という条件とのいずれか一方が成立したときに、ブレーキ締結信号をブレーキ21に出力して、ブレーキ21の締結を行わせる。これにより、駆動速度が、1.8秒以内に16m/minまたは3m/minに低下しなかったときは、1.8秒経過時にブレーキ21が締結されることとなる。そのため、駆動速度の低下が想定よりも遅くなった場合でも、適切にブレーキ21の締結を行わせて、踏段11の停止距離が450mmを大きく超えるのを抑制できる。
インバータ故障時に関しては、図9で示したようにブレーキ締結タイミング(第1タイミング)として16m/min検知または3m/min検知が設定されているが、さらに、安全増しのためのブレーキ締結タイミング(第2タイミング)として、図21に示すように、インバータ故障の検知から1.2秒後または0.7秒後という条件を設けている。これにより、第1タイミングとして16m/min検知が条件となっている場合には、制御装置40は、16m/min検知という条件と、1.2秒経過という条件とのいずれか一方が成立したときに、ブレーキ締結信号をブレーキ21に出力して、ブレーキ21の締結を行わせる。これにより、駆動速度が、1.2秒以内に16m/minに低下しなかったときは、1.2秒経過時にブレーキ21が締結されることとなる。そのため、駆動速度の低下が想定よりも遅くなった場合でも、適切にブレーキ21の締結を行わせて、踏段11の停止距離が450mmを大きく超えるのを抑制できる。また、第1タイミングとして0.7m/min検知が条件となっている場合には、制御装置40は、3m/min検知という条件と、0.7秒経過という条件とのいずれか一方が成立したときに、ブレーキ締結信号をブレーキ21に出力して、ブレーキ21の締結を行わせる。これにより、駆動速度が、0.7秒以内に3m/minに低下しなかったときは、0.7秒経過時にブレーキ21が締結されることとなる。そのため、駆動速度の低下が想定よりも遅くなった場合でも、適切にブレーキ21の締結を行わせて、踏段11の停止距離が450mmを大きく超えるのを抑制できる。
上述したソフトストップ制御では、踏段11の移動速度が所定の速度に低下したときにブレーキ21の締結を行わせる場合がある。しかし、DOWN運転中において乗客が非常に多い場合には、踏段11の速度が所定の速度に低下する前に増速に転じる虞がある。また、UP運転中において乗客が非常に多い場合には、ブレーキ21の微小な締結遅れが生じただけでも、UP方向からDOWN方向に運転方向が逆転する虞がある。これに対処するため、本実施の形態では以下の構成を採用している。
制御装置40は、踏段11の停止に向けて踏段11が減速中に、速度/方向検出装置110からの信号P1、P2に基づいて踏段11の駆動速度が増速し始めたことを検知した場合、増速検知と同時にブレーキ締結信号をブレーキ21に出力して、ブレーキ21の締結を行わせる。これにより、例えばDOWN運転中において、減速開始後に増速が発生した場合でも、速やかに踏段11の駆動を停止させて、乗客の安全を適切に確保することができる。
制御装置40は、踏段11の停止に向けて踏段11が駆動されているときに、速度/方向検出装置110からの信号P1、P2に基づいて踏段11の移動方向が逆転したことを検知した場合、逆転検知と同時にブレーキ締結信号をブレーキ21に出力して、ブレーキ21の締結を行わせる。これにより、例えばUP運転中において、減速開始後に踏段11の移動方向がDOWN方向に逆転した場合でも、速やかに踏段11の駆動を停止させて、乗客の安全を適切に確保することができる。
1.停電時、インバータ故障時などのソフトストップ制御
(1)実施の形態1のエスカレータ1(乗客コンベアの一例)は、
無端状に連結された踏段11と、
踏段11を駆動するモータ20と、
外部から電力を入力し、モータ20に駆動用の電力を供給するインバータ30と、
モータ20の駆動軸の回転を機械的に停止させるブレーキ21と、
ブレーキ21の作動を制御する制御装置40と、を備え、
制御装置40は、踏段11の駆動中に停電またはインバータ30の故障を検知すると、踏段11の駆動方向と、インバータ30の出力電流値に基づいて推定される乗込率とに応じたタイミングで、ブレーキ21を作動させる。
踏段11の駆動速度を検出する速度/方向検出装置110(速度検出装置の一例)をさらに備え、
制御装置40は、
踏段11をUP方向(上昇方向)に駆動中に停電を検知した際に、乗込率が第1所定乗込率(例えば10%)以下であるときは、停電検知から第1所定時間(例えば0.5秒)後にブレーキ21を作動させ、
踏段11をUP方向に駆動中に停電を検知した際に、乗込率が第1所定乗込率よりも大きく、かつ第1所定乗込率よりも大きい第2所定乗込率(例えば46.5%)以下であるときは、踏段11の駆動速度が定格速度(例えば30m/min)から第1所定速度(例えば16m/min)に低下したときにブレーキ21を作動させ、
踏段11をUP方向に駆動中に停電を検知した際に、乗込率が第2所定乗込率よりも大きいときは、踏段11の駆動速度が定格速度から第1所定速度以下の第2所定速度(例えば3m/min)に低下したときにブレーキ21を作動させる。
踏段11の駆動速度を検出する速度/方向検出装置110(速度検出装置の一例)をさらに備え、
制御装置40は、
踏段11をDOWN方向(下降方向)に駆動中に停電を検知した場合、モータ20の回生電力を利用して踏段11の駆動速度を所定時間(例えば1.6秒)で所定速度(例えば0m/min)に低下させるように、インバータ30にモータ20の駆動を制御させ、
踏段11の駆動速度が定格速度(例えば30m/min)から第3所定速度(例えば3m/min)に低下したときにブレーキ21を作動させる。
制御装置40は、回生電力の不足が発生した場合、停電検知から第1所定時間後にブレーキ21を作動させる。
踏段11の駆動速度を検出する速度/方向検出装置110(速度検出装置の一例)をさらに備え、
制御装置40は、
踏段11をUP方向に駆動中にインバータ30の故障を検知した際に、乗込率が第1所定乗込率(例えば10%)以下であるときは、故障検知から第1所定時間(例えば0.5秒)後にブレーキ21を作動させ、
踏段11をUP方向に駆動中にインバータ30の故障を検知した際に、乗込率が第1所定乗込率よりも大きく、かつ第1所定乗込率よりも大きい第2所定乗込率(例えば46.5%)以下であるときは、踏段11の駆動速度が定格速度(例えば30m/min)から第1所定速度(例えば16m/min)に低下したときにブレーキ21を作動させ、
踏段11をUP方向に駆動中にインバータ30の故障を検知した際に、乗込率が第2所定乗込率よりも大きいときは、踏段11の駆動速度が定格速度から第1所定速度以下の第2所定速度(例えば3m/min)に低下したときにブレーキ21を作動させる。
制御装置40は、
踏段11をDOWN方向に駆動中にインバータ30の故障を検知した際に、乗込率が第1所定乗込率(例えば10%)以下であるときは、故障検知から第1所定時間(例えば0.5秒)後にブレーキ21を作動させ、
踏段11をDOWN方向に駆動中にインバータ30の故障を検知した際に、乗込率が第1所定乗込率よりも大きいときは、故障検知と同時にブレーキ21を作動させる。
乗込率が第1所定乗込率(例えば10%)以下であることは、エスカレータ利用状態(乗客コンベアの利用状態)が閑散状態にあることを示す。
乗込率が第1所定乗込率(例えば10%)よりも大きく、かつ第1所定乗込率よりも大きい第2所定乗込率(例えば46.5%)以下であることは、エスカレータ利用状態(乗客コンベアの利用状態)が閑散状態よりも乗客が多い普通状態にあることを示す。
乗込率が第2所定乗込率(例えば46.5%)よりも大きいことは、エスカレータ利用状態(乗客コンベアの利用状態)が混雑状態または過負荷状態にあることを示す。
(1)実施の形態1のエスカレータ1(乗客コンベアの一例)は、
無端状に連結された踏段11と、
踏段11を駆動するモータ20と、
モータ20の駆動軸の回転を機械的に停止させるブレーキ21と、
踏段11の駆動速度を検出するための速度/方向検出装置110(速度検出装置の一例)と、
ブレーキ21の作動を制御する制御装置40と、を備え、
制御装置40は、
踏段11の駆動を停止させる所定条件が成立して踏段11の駆動速度を低下させる際、踏段11の駆動速度と、所定条件の成立からの経過時間とを監視し、
踏段11の駆動速度が所定速度(例えば16m/minまたは3m/min)まで低下した第1タイミングと、所定条件の成立から所定時間(1.2秒または0.7秒)が経過した第2タイミングと、のうち先に成立したほうのタイミングでブレーキ21を作動させる。
制御装置40は、所定条件が成立して踏段11の駆動速度を低下させる途中で、踏段11の駆動速度が低下から上昇に転じた場合、即時にブレーキ21を作動させる。
踏段11の移動方向を検出する速度/方向検出装置110(移動方向検出装置の一例)をさらに備え、
制御装置40は、踏段11の駆動中に、踏段11の移動方向が逆転した場合、即時にブレーキ21を作動させる。
外部から電力を入力し、モータ20に駆動用の電力を供給するインバータ30をさらに備え、
制御装置40は、踏段11の駆動方向と、インバータ30の出力電流値に基づいて推定される乗込率とに応じて、第1タイミング及び第2タイミングを設定する。
所定条件は、踏段11のUP方向(上昇方向)への駆動中に停電が発生し、停電発生時における乗込率が所定乗込率よりも大きいことである。
所定条件は、踏段11のDOWN方向(下降方向)への駆動中に停電が発生したことである。
所定条件は、踏段11のUP方向への駆動中にインバータ30の故障が発生し、かつ故障発生時における乗込率が所定乗込率(例えば10%)よりも大きいことである。
(1)実施の形態1のエスカレータ1(乗客コンベアの一例)は、
無端状に連結された踏段11と、
踏段11を駆動するモータ20と、
外部から電力を入力し、モータ20に駆動用の電力を供給するインバータ30と、
制御装置40と、を備え、
インバータ30は、
モータ20の出力電流値に基づいてモータ20の現在の出力トルクを推定し、
推定された出力トルクが属するトルク範囲を示す信号を出力し、
制御装置40は、インバータ30から出力される信号が示すトルク範囲に基づいて、当該エスカレータ1の現在の乗込率が属する乗込率範囲を推定する。
乗込率範囲は、乗客が少ない閑散状態を示す範囲(例えば10%以下の範囲)と、閑散状態よりも乗客が多い普通状態を示す範囲(例えば10%よりも大きく46.5%以下の範囲)と、普通状態よりも乗客が多い混雑状態を示す範囲(例えば46.5%よりも大きく80%以下の範囲)と、混雑状態よりも乗客が多い過負荷状態を示す範囲(例えば80%よりも大きい範囲)とに区分される。
(A)
上記の実施の形態では、エスカレータの運転速度(踏段11の駆動速度)が、30m/min(一般的な定格速度)である場合について説明した。しかし、本発明ではこれに限られない。本発明は、エスカレータの運転速度(踏段11の駆動速度)が20m/min(遅めの定格速度)の場合にも適用可能である。この場合、ブレーキ21の締結タイミングについては、図23に示すように、20m/minに適したタイミングとすればよい。なお、図23において、30m/minの場合と相違する部分に網がけを施している。なお、図21を用いて説明した安全増しのためのブレーキ締結タイミング(第2タイミング)についてはそのまま適用できる。
上記の実施の形態では、制御装置40は、記憶部42に格納されている制御内容テーブルを参照して、エスカレータ1の運転方向や乗込率に応じたソフトストップ制御を行う。しかし、本発明においては、ソフトストップ制御は、例えば、上記制御内容テーブルに記載された内容を、フローチャートに沿って運転方向や乗込率に応じて場合分けしながら実行するようにしてもよい。
上記の実施の形態では、速度及び運転方向の検出を速度/方向検出装置110により行う。しかし、本発明では、速度及び運転方向の検出を、公知の速度検出装置や運転方向検出装置により行ってもよい。
5 乗り口
6 降り口
10 エスカレータ本体
11 踏段
12 ハンドレール
12n ニュエル部
16 インレット
17 インレットガード
18 欄干
19 フロアプレート
20 モータ
21 ブレーキ
22 減速機
23 駆動スプロケット
24 メインドライブチェーン
25 従動スプロケット
26 メインドライブスプロケット
26a 歯
27 踏段ドライブチェーン
28 被ドライブスプロケット
30 インバータ
31 コントローラ
32 電力変換部
33 出力電流検出器
34 操作部
40 制御装置
41 制御部
42 記憶部
110 速度検出装置
111 第1検出部
112 第2検出部
120 安全装置監視装置
130 電源電圧監視装置
F1 階床
F2 階床
Claims (2)
- 無端状に連結された踏段と、
前記踏段を駆動するモータと、
外部から電力を入力し、前記モータに駆動用の電力を供給するインバータと、
制御装置と、を備え、
前記インバータは、
当該インバータの出力電流値に基づいて前記モータの出力トルクを推定し、
推定された出力トルクが属するトルク範囲を示す信号を出力し、
前記信号は、前記トルク範囲に応じてLOWまたはHIGHに設定される第1トルク状態信号と、前記トルク範囲に応じてLOWまたはHIGHに設定される第2トルク状態信号と、の2つの信号を含み、
前記制御装置は、前記第1トルク状態信号及び前記第2トルク状態信号の2つの信号におけるLOWまたはHIGHの設定の組み合わせに基づいて、当該乗客コンベアの現在の乗込率が属する乗込率範囲を推定する、
乗客コンベア。 - 前記乗込率範囲は、乗客が少ない閑散状態を示す範囲と、前記閑散状態よりも乗客が多い普通状態を示す範囲と、前記普通状態よりも乗客が多い混雑状態を示す範囲と、前記混雑状態よりも乗客が多い過負荷状態を示す範囲とに区分される、
請求項1に記載の乗客コンベア。
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