JP5515854B2 - 乗客コンベアの制動装置及び制動方法 - Google Patents
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Description
正常動作とは安全装置が想定された危険状態を検知して動作することであり、誤動作とは例えばいたずらや手荷物の一時的な接触等の危険状態であるとは想定されていない状況において不意に安全装置が動作してしまうことである。
図1から図4は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は乗客コンベアの制動装置の要部を拡大して模式的に示す図、図2は乗客コンベアの制動装置の回路構成を説明する図、図3は乗客コンベアの制動装置及び制動方法の制動動作時における速度変化を示す図、図4は乗客コンベアの制動装置及び制動方法の制動動作の流れを示すフロー図である。
なお、ここでは、説明の便宜上、乗客コンベアとして一般的なエスカレーターの場合を取り上げて説明する。
この踏段2の往路側の移動経路は、上下の乗降口近傍において隣り合う踏段2の踏板同士がほぼ平坦に配置される上下の水平部、これら上下の水平部の間で踏段2が階段状に配置される傾斜部、並びに、傾斜部の上下端と上下の水平部とを接続し踏段2が階段状から平坦状又は階段状から平坦状に遷移する上下の曲部、から構成されている。
移動手摺4は、大まかに言って、往路側において欄干3の外周で露出しており復路側において欄干3の下部に設けられたスカートガード5内に貫入している。そして、移動手摺4がスカートガード5内へと入る箇所及び移動手摺4がスカートガード5内から出る箇所には、それぞれ開口部が設けられて手摺出入口部が形成されている。
まず、1つ目の安全装置として踏段挟まれ検出装置6がある。この踏段挟まれ検出装置6は、踏段2の移動経路の曲部に配設されており、階段状から平坦状に遷移する踏段2の間に靴等の異物が挟まれた場合における踏段2の浮き上がりを検知して、停止指令となる踏段挟まれ検出信号を出力する。
そして、3つ目の安全装置として停止操作スイッチ8がある。この停止操作スイッチ8は、乗客コンベアの乗降口近傍のスカートガード5に設けられた操作盤に配設されており、この停止操作スイッチ8が操作されると停止指令となる停止操作スイッチ信号が出力される。なお、この操作盤には当該乗客コンベアの運転方向や運転速度等の調整を行うための運転操作スイッチも設けられている。
駆動機9へはインバータ11を介して電力が供給される。このインバータ11は、電源から供給された交流電力を後述する制御演算部13による制御の下で所望の周波数・電圧の交流電力へと変換して駆動機9へと出力する。そして、インバータ11により駆動機9に供給される周波数・電圧が可変されることにより、駆動機9の回転速度(回転数)が制御され、踏段2及び移動手摺4の移動速度が制御される。
当該エスカレーターの運転全般は制御演算部13により制御されており、エスカレーターを運転させる際には、駆動機電源接点12a及び制動機電源接点12bの双方を閉成させ駆動機9及び制動機10に電力を供給するとともに、インバータ11に制御指令を出力して駆動機9の回転速度を制御する。
この各安全装置から停止指令が出力された際の停止動作には、最大の制動力で制動する急停止動作と、この急停止動作よりは緩やかな減速度で停止させる緩停止動作と、がある。
また、緩停止動作においては、駆動機電源接点12a及び制動機電源接点12bは閉成され駆動機9及び制動機10への電力供給は維持されたまま、停止制御部13aの制御の下インバータ11により駆動機9へと供給する交流電力の周波数・電圧を可変させることにより、駆動機9の回転速度を緩やかに減速させて踏段2及び移動手摺4の移動が緩停止される(図3のb)。
踏段挟まれ検出装置6からの停止指令(踏段挟まれ検出信号)の出力は、踏段挟まれ検出接点14aが閉成することに対応しており、制御演算部13の備える異常検出判定部13bへと入力される。また、手摺引込まれ検出装置7からの停止指令(手摺引込まれ検出信号)の出力は、手摺引込まれ検出接点14bが閉成することに対応しており、異常検出判定部13bへと入力される。そして、停止操作スイッチ8からの停止指令(停止操作スイッチ信号)の出力は、停止操作スイッチ接点14cが閉成することに対応しており、異常検出判定部13bへと入力される。
そして、停止制御部13aは、この異常検出判定部13bによる停止動作の判定結果に基づいて、駆動機電源接点12a及び制動機電源接点12b並びにインバータ11を制御して、停止動作を行わせる。
いずれにしても、本当に異物が踏段2の間に挟まれ又は手摺出入口部に引き込まれ、エスカレーターの運転を停止させるべき事態が発生している場合には、安全装置の動作時間は比較的長いものとなり、従って、安全装置からの停止指令はある程度の長時間にわたって継続して出力される。これに対し、上述した誤動作の場合には、安全装置の動作時間は比較的短く安全装置からの停止指令出力継続時間は短時間なものとなる。
そして、入力された停止指令が急停止動作の必要がないものであった場合には、当該停止指令毎に対応する所定の停止判定時間を設定する。この所定の停止判定時間とは、入力された停止指令が、安全装置の誤動作によるものであり停止動作は不要であるのか、安全装置の正規動作によるものであり停止動作が必要であるのかの判定を行うための時間であり、停止指令毎に定められる停止制動距離内での停止を妨げない範囲で長めに設定することが好ましい。
一方、停止指令が入力され始めてから当該停止指令の種類に応じた所定の停止判定時間が経過する前に当該停止指令の入力が途絶えた場合、異常検出判定部13bは、当該停止指令は安全装置の誤動作によるものであると判定し、最終的には停止動作は行われずにエスカレーターの運転が継続される。
また、停止判定中及び停止判定後の各減速度(又は加速度)は、入力された停止指令の種類に応じて、必要な停止距離に収まる範囲内において、それぞれ異なる設定とするようにしてもよい。
まず、各安全装置(踏段挟まれ検出装置6、手摺引込まれ検出装置7及び停止操作スイッチ8)から出力された停止指令(踏段挟まれ検出信号、手摺引込まれ検出信号又は停止操作スイッチ信号)が制御演算部13の異常検出判定部13bへと入力されると(ステップS0)、ステップS1において、異常検出判定部13bは、入力された停止指令の種類すなわち当該停止指令がどの安全装置の動作により出力されたものであるのかを判定し、当該停止指令に対して急停止動作が必要であるか否かについて判定を行う。
一方、ステップS1において、入力された停止指令に対して急停止動作が必要でないと判定した場合には、ステップS3へと移行して停止制御部13aの制御の下インバータ11により所定の減速度でもってエスカレーターの運転の減速を開始するとともに、停止指令の入力が開始されてからの経過時間の計測が開始される。
このステップS4において、停止指令の入力継続時間が所定の停止判定時間以上である場合には、入力された停止指令は安全装置の正規動作によるものであると判定してステップS5へと移行し、この異常検出判定部13bの判定結果に基づく停止制御部13aの制御の下、インバータ11による緩停止動作が行われ、運転が緩停止される(図3のb)。
そして、このステップS6において、停止指令の入力が継続されていることが確認された場合には、ステップS4へと戻り、前述したステップS4、S5、S6の動作が繰り返される。
これに対し、ステップS6において、停止指令の入力が途絶えて継続されていないことが確認された場合には、入力された停止指令は安全装置の誤動作によるものであると判定してステップS7へと移行し、この異常検出判定部13bの判定結果に基づく停止制御部13aの制御の下、減速を中止してインバータ11により所定の加速度でもって駆動機9の回転速度を加速させ当該停止指令の入力前の運転速度にまで復帰させてエスカレーターの運転を継続させる(図3のc)。
また、停止判定中における減速度を緩やかなものとすることで、特に安全装置の誤動作であった場合の速度変化に伴い乗客に不快感を与えてしまうことや乗客を転倒させてしまうことを未然に防止することができる。
2 踏段
3 欄干
4 移動手摺
5 スカートガード
6 踏段挟まれ検出装置
7 手摺引込まれ検出装置
8 停止操作スイッチ
9 駆動機
10 制動機
11 インバータ
12a 駆動機電源接点
12b 制動機電源接点
13 制御演算部
13a 停止制御部
13b 異常検出判定部
14a 踏段挟まれ検出接点
14b 手摺引込まれ検出接点
14c 停止操作スイッチ接点
Claims (5)
- 乗客コンベアの運転を駆動する駆動機と、前記駆動機の回転数を変化させるためのインバータと、を有する乗客コンベアにおいて、
前記乗客コンベアの運転を停止させる旨の停止指令を出力する安全装置と、
前記安全装置から出力された前記停止指令が所定の停止判定時間以上継続して入力された場合に、前記インバータを制御して前記駆動機の回転数を減少させて前記乗客コンベアの運転を緩停止させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記停止指令の入力が開始されると前記インバータを制御して前記乗客コンベアの運転速度の減速を開始させ、前記停止指令が前記停止判定時間以上継続して入力された場合に、減速を継続して前記乗客コンベアを緩停止させ、前記停止指令が前記停止判定時間以上継続して入力されなかった場合に、前記インバータを制御して前記乗客コンベアの運転速度を加速し、前記停止指令の入力開始前の運転速度へと復帰させて前記乗客コンベアの運転を継続させることを特徴とする乗客コンベアの制動装置。 - 前記停止指令の入力が開始された後前記停止指令が前記停止判定時間以上継続して入力される前における前記乗客コンベアの減速度を、前記停止指令が前記停止判定時間以上継続して入力された後における前記乗客コンベアの減速度より緩やかにしたことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの制動装置。
- 前記安全装置は複数設けられ、
前記制御手段は、複数の前記安全装置からの前記停止指令毎に応じて、所定の前記停止判定時間を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの制動装置。 - 前記駆動機の回転を制動する制動機をさらに備え、
前記安全装置は複数設けられ、
前記制御手段は、複数の前記安全装置からの前記停止指令毎に急停止が必要であるか否かを判定し、急停止が必要である場合には、前記制動機への電力供給を遮断するとともに前記制動機により前記乗客コンベアの運転を急停止させ、急停止が不要である場合には、前記停止指令が前記停止判定時間以上継続して入力されたときに、前記インバータを制御して前記乗客コンベアの運転を緩停止させる請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの制動装置。 - 乗客コンベアの運転を駆動する駆動機と、前記駆動機の回転数を変化させるためのインバータと、を有する乗客コンベアにおいて、
安全装置から出力された前記乗客コンベアの運転を停止させる旨の停止指令が入力されると、前記インバータを制御して前記乗客コンベアの運転速度の減速を開始させる第1のステップと、
前記第1のステップで入力された前記停止指令が所定の停止判定時間以上継続して入力されたか否かを判定する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて前記停止指令が前記停止判定時間以上継続して入力されたと判定された場合に、減速を継続して前記乗客コンベアの運転を緩停止させる第3のステップと、
前記第2のステップにおいて前記停止指令が前記停止判定時間以上継続して入力されなかったと判定された場合に、前記インバータを制御して前記乗客コンベアの運転速度を加速し、前記停止指令の入力開始前の運転速度へと復帰させて前記乗客コンベアの運転を継続させる第4のステップと、を備えたことを特徴とする乗客コンベアの制動方法。
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