JP2005001860A - 速度切換え式乗客コンベア - Google Patents
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Abstract
【課題】運転速度の切り換えを自動で行って管理者の負担を軽減させると共に、実際の利用者数の増減に応じて最適な運転速度で運転することができる速度切換え式乗客コンベアを提供する。
【解決手段】乗り口付近や降り口付近に利用者数検出装置20a,20bを設置して、その検出値が、制御部13に接続された利用者増減判定回路21に送られるようにする。利用者増減判定回路21は、利用者数検出装置20a,20bの検出値に基づいて利用者の増減を判定する。そして、制御部13は、利用者増減判定回路21の判定結果に応じて運転速度の加減速制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】乗り口付近や降り口付近に利用者数検出装置20a,20bを設置して、その検出値が、制御部13に接続された利用者増減判定回路21に送られるようにする。利用者増減判定回路21は、利用者数検出装置20a,20bの検出値に基づいて利用者の増減を判定する。そして、制御部13は、利用者増減判定回路21の判定結果に応じて運転速度の加減速制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアに関し、特に、運転速度を多段階に切り換え可能な速度切換え式乗客コンベアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗客コンベアであるエスカレータは、無端状に連結された多数の踏段が、上下の階床間に傾斜して設けられたガイドレールに案内されて循環走行するものであり、踏段上に搭乗した乗客を上下の階床に亘って搬送するようになっている。
【0003】
踏段を案内するガイドレールは、主枠に設けられており、この主枠には踏段の幅方向両側に一対の欄干が立設され、この一対の欄干にそれぞれ踏段と同一速度で同一方向に移動する手すりベルトが設けられている。これらの踏段や手すりベルトは、主枠内に配置された駆動装置により駆動され、駆動装置は制御装置により制御されるようになっている。
【0004】
このようなエスカレータに代表される乗客コンベアの運転速度は、2000年に建築基準法が改正されるまでは、30m/分以下と規定されていたが、建築基準法の改正に伴い、傾斜角度30度以下のエスカレータにおいては、運転速度が45m/分以下と規定され、また、傾斜角度0度の動く歩道においては運転速度が50m/分以下と規定された。このため、近年では、例えば乗客コンベア管理者などの操作に応じて運転速度を多段階に切り換えられるようにした速度切換え式乗客コンベアが提供されるようになってきている。この速度切換え式乗客コンベアは、一般的には、駆動装置の電動機に供給する電力の周波数をインバータ等の電力変換装置を用いて操作者の操作に応じて切り換えることで、運転速度を切り換える構成となっている。
【0005】
速度切換え式乗客コンベアは、駅のホームやイベントホール等、一定の時間帯に利用者が集中するような場所に設置されることが多く、通常、利用者が集中した場合、輸送効率の向上の目的から30m/分以上の高速運転に切り換えて使用されている。しかし、運転速度を切り換えるためには、管理者が乗客コンベアの設置場所まで出向き、手動で切り換え操作を行う必要があり、管理者にとっては、操作上の手間となっている。また、管理者が乗客コンベアまで行かずに、カメラ等で安全を確認して、遠隔操作で運転速度の切り換えを行う場合があるが、その場合にも運転速度の切り換え操作は管理者が自らの判断で手動で行う必要があるため、管理者の負担を大幅に低減させるには至っていない。
【0006】
このような観点から、時間帯毎に運転速度を予め定めておき、その時間帯になったときに運転速度を自動で設定速度に切り換えるようにした速度切換え式乗客コンベアも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の速度切換え式乗客コンベアでは、高齢者や体に障害を持つ人々が集中すると予測される時間帯となったときに運転速度が低速側に自動で切り換わるようにして、この時間帯では低速運転を行うことで、安全性を確保できるようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−198653号公報(第4頁、図4)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のように乗客コンベアの時間帯毎の利用状況を予測して時間帯毎に運転速度を定める方法は、安全性確保の観点からは有効であると考えられるが、特に輸送効率向上の観点からは不満が残るものとなることが想定される。すなわち、利用者が多くなる時間帯であると見積もってそれに応じた運転速度を設定していたとしても、実際は利用者が少ない場合があり、逆に利用者が少ないと見積もって運転速度を設定していても、実際には利用者が多くなる場合も考えられ、以上のように予測に基づいて運転速度を設定した場合には、実際の利用者数の増減に応じた最適な運転速度で運転できない場合も生じる。
【0009】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、運転速度の切り換えを自動で行って管理者の負担を軽減させると共に、実際の利用者数の増減に応じて最適な運転速度で運転することができる速度切換え式乗客コンベアを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る速度切換え式乗客コンベアは、乗り口付近又は降り口付近の少なくとも何れか一方に設置された利用者数検出手段と、この利用者数検出手段の検出値に基づいて利用者の増減を判定する利用者増減判定手段と、この利用者増減判定手段の判定結果に応じて運転速度の加減速制御を行う運転制御手段とを備えることを特徴としている。
【0011】
以上のよう構成される速度切換え式乗客コンベアでは、利用者数検出手段から利用者数に応じた検出値が得られ、この検出値に基づいて利用者増減判定手段により利用者の増減が判定される。そして、この利用者増減判定手段の判定結果に応じて、運転制御手段により運転速度の加減速制御が行われる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの具体的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの全体構成を図1に模式的に示す。この速度切換え式乗客コンベアは、上階1aと下階1bとに亘って一体に設けられた主枠2を備える。この主枠2の上階1a側の端部には機械室が設けられており、この機械室内に駆動装置3が設置されている。この駆動装置3は、電動機4や図示しない伝達機構、減速機構、動力駆動チェーン5等を有しており、この駆動チェーン5により駆動スプロケット6を駆動するようになっている。
【0014】
また、主枠2の下階1b側の端部にも機械室が設けられており、この機械室内には、従動スプロケット7が設けられている。そして、前記駆動スプロケット6と従動スプロケット7とに亘って無端状の踏段チェーン8が巻き掛けられており、この踏段チェーン8に多数の踏段9が等間隔で連結されている。
【0015】
踏段9は、その前後に前輪及び後輪が取り付けられており、これらの前輪及び後輪を介して主枠2内に設けられた往路ガイドレール、帰路ガイドレール及び反転ガイドレールからなるガイドレールに案内されることにより、多数の踏段9は踏段チェーン8の移動に連動して循環走行するようになっている。
【0016】
また、主枠2の幅方向両側にはスカートガード10及び欄干11が設けられており、欄干11の上部には踏段9と同期して走行する手すりベルト12が設けられている。これら踏段9及び手すりベルト12は、上階1a側の機械室内に設置された制御部(運転制御手段)13と、この制御部13に接続されたインバータ制御部14及びインバータ回路15とにより駆動制御される。インバータ制御部14及びインバータ回路15は、制御部13の指令に応じて、三相交流電源16から主要回路遮断器17を経て供給される交流電流の周波数を変換して、電動機4の運転周波数を制御するものである。
【0017】
また、特に、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいては、上階1a側と下階1b側(乗り口付近と降り口付近)との双方に、当該乗客コンベアの利用者数を検出するための利用者数検出装置20a,20bがそれぞれ設置されている。これら利用者数検出装置20a,20bは、例えば光電センサや超音波センサ等のセンサを用いて利用者の有無を直接検出する構成となっており、その検出値は利用者増減判定回路21へと送られるようになっている。
【0018】
利用者増減判定回路21は、利用者数検出装置20a,20bからの検出値に基づいて利用者の増減を判定するものであり、具体的には、例えば利用者数検出装置20a,20bによるセンサ検出時間を所定時間積算して、所定時間当たりの積算値が所定の閾値を越えた場合には利用者の増加と判定し、所定時間当たりの積算値が所定の閾値以下の場合には利用者の減少と判定する。この利用者増減判定回路21の判定結果は制御部13へと送られるようになっている。そして、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアでは、この利用者増減判定回路21の判定結果に応じて、制御部13が運転速度(踏段9や手すりベルト12の移動速度)の加減速制御を行うことを大きな特徴としている。
【0019】
なお、図1においては、一例として、利用者数検出装置20a,20bをポール形状として上階1a側の乗降板と下階1b側の乗降板とにそれぞれ設置した場合を図示しているが、これら利用者数検出装置20a,20bは、例えば欄干11やスカートガード10等、乗客コンベアの他の部位に設置するようにしてもよい。また、図1に示した例では、上階1a側と下階1b側(乗り口付近と降り口付近)との双方に利用者数検出装置20a,20bをそれぞれ設置しているが、上階1a側或いは下階1b側の何れか一方にのみ利用者数検出装置を設置するようにしてもよい。
【0020】
また、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいて、制御部13には、一定速度で運転を行う時間帯及びその時間帯での運転速度が設定される時間帯速度設定部22が接続されている。更に、制御部13には、この制御部13の加減速制御により運転速度の切り換えが行われる前に、運転速度が切り換わる旨をスピーカ23を通じて放送する音声案内装置24が接続されている。この音声案内装置24は、制御部13の指令に応じて、予め録音されたメッセージをスピーカ23から音声出力させる構成となっている。なお、図1においては、一例として、スピーカ23を乗客コンベア上方の適所に配置した場合を図示しているが、スピーカ23の設置場所は、乗客が放送を聞き取れる場所であればどこでもよく、例えば欄干11やスカートガード10等に設置することも可能である。
【0021】
次に、以上のように構成される速度切換え式乗客コンベアの動作について、本発明に特徴的な部分を中心に具体的に説明する。
【0022】
本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアでは、乗客コンベアの運転開始に合わせて、利用者数検出装置20a,20bによる利用者数の検出が開始される。利用者数の検出は、例えば乗客コンベアの乗り口側で行うものとし、乗客コンベアが上昇運転の場合には、下階1b側に設置された利用者数検出装置20bを用いて検出が行われ、乗客コンベアが下降運転の場合には、上階1a側に設置された利用者数検出装置20aを用いて検出が行われる。利用者数検出装置20a,20bは、光電センサや超音波センサ等のセンサにより利用者の有無を直接検出する構成となっており、例えば光電センサを用いた場合には、利用者の通過に伴うセンサ遮光時間を検出値として出力する。
【0023】
利用者数検出装置20a,20bの検出値は、利用者増減判定回路21に送られる。利用者増減判定回路21には、予め利用者数の増減を判定するための所定時間(以下、利用者判定時間という。)が設定されており、利用者増減判定回路21は、その利用者判定時間内における利用者数検出装置20a,20bのセンサ検出時間を積算し、利用者判定時間に対するセンサ検出時間積算値の割合によって利用者数の増加又は減少を判定する。
【0024】
利用者増減判定回路21の処理内容の一例を図2にフローチャートで示す。この図2のフローチャートは、乗客コンベアの運転速度を利用者数の増減に応じて4段階で切り換える場合の例であるが、2段階以上で運転速度の切り換えを行うあらゆる場合において同様の処理が可能である。
【0025】
図2に示すように、利用者増減判定手段21は、利用者判定時間が経過するまでは、利用者数検出装置20a,20bのセンサがオンされる度にセンサ検出時間を加算していく(ステップS1,ステップS2)。そして、利用者判定時間が経過したら、センサ検出時間の積算値と利用者判定時間とを比較して、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合を求める(ステップS3,ステップS4)。
【0026】
その結果、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が大きい(例えば70〜100%)場合には、利用者増加と判定して制御部13に利用者増信号を出力する(ステップS5〜ステップS7)。また、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が中程度(例えば30〜70%)の場合には、通常利用者数と判定して制御部13に通常利用者信号を出力する(ステップS8〜ステップS10)。また、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が小さい(例えば0以上〜30%)場合には、利用者減少と判定して制御部13に利用者減信号を出力する(ステップS11〜ステップS13)。また、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が0%、すなわち利用者判定時間内に利用者数検出装置20a,20bのセンサが全くオンされていない場合には、利用者なしと判定して制御部13に利用者無信号を出力する(ステップS14,ステップS15)。
【0027】
その後、センサ検出時間の積算値をクリアすると共に利用者判定時間をリセットした上でリターンし(ステップS16,ステップS17)、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0028】
以上の処理により、利用者増減判定回路21において利用者の増減が判定され、その判定結果に応じた信号が制御部13に出力されることになる。制御部13は、利用者増減判定回路21からの信号を受けて、運転速度の切り換えが必要と判断した場合には、インバータ制御部14に変速指令を出力する。そして、インバータ制御部14がこの変速指令に応じてインバータ回路15の出力周波数を変更し、これによって電動機4の回転数が制御されることで、例えば図3に示すように、乗客コンベアの運転速度が利用者の増減に合わせて加速側又は減速側に切り換えられることになる。
【0029】
図3は、輸送能力向上を目的とした場合の乗客コンベアの運転速度の切り換え例を示したものである。この図3に示す例では、乗客コンベアが基準速度(30m/分)で運転中に、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者増信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が加速側に切り換えられて高速運転が行われ、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者減信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が減速側に切り換えられて低速運転が行われる。また、利用者増減判定回路21から制御部13に通常利用者信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が基準速度に戻され、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者無信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が超低速或いは運転停止に切り換えられる。
【0030】
また、制御部13は、以上のような運転速度の加減速制御を行う際には、インバータ制御部14に対して変速指令を出力する前に、音声案内装置24に音声案内放送指令を出力する。そして、音声案内装置24が、制御部13からの音声案内放送指令に応じて、乗客コンベアの運転速度が実際に切り換えられる前に、運転速度が切り換わる旨をスピーカ23を通じて放送することで、乗客コンベアの運転速度が切り換わることを利用者に報知する。音声案内装置24による放送の例としては、例えば「速度が速くなります。ご注意ください。」や「速度が遅くなります。手すりにおつかまり下さい。」等が考えられる。放送が完了すると、音声案内装置24から制御部13へ音声案内終了信号が出力され、制御部13はその信号を受けた後、インバータ制御部14に対して変速指令を出力する。
【0031】
以上説明したように、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアによれば、実際の利用者の増減を判定して、それに応じて運転速度を切り換えるようにしているので、実際の利用状況に応じた最適な運転速度で運転することができ、利用者の輸送効率の向上を実現することができる。また、運転速度の切り換えが利用者の増減に合わせて自動で行われるので、管理者の操作負担を軽減することができる。
【0032】
更に、運転速度が実際に切り換わる前に音声案内で運転速度が切り換わる旨を利用者に報知して、利用者への注意を促すようにしているので、安全に且つ利用者に戸惑いを与えることなく、運転速度の切り換えを適切に行うことができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の速度切換え式乗客コンベアは、上述した第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアと同様の構成を有し、利用者の増減と運転速度との対応が第1の実施形態とは異なるものである。すなわち、第1の実施形態では、輸送能力の向上を目的として、利用者が増加したと判定された場合に運転速度を加速側に切り換えると共に、利用者が減少したと判定された場合に運転速度を減速側に切り換えるようにしていたが、本実施形態では、これとは逆に、利用者が増加したと判定された場合に運転速度を減速側に切り換えると共に、利用者が減少したと判定された場合に運転速度を加速側に切り換えるようにしている。
【0034】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアにおける運転速度の切り換え例を図4に示す。この図4に示すように、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、基準速度(30m/分)での運転中に、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者増信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が減速側に切り換えられて低速運転が行われ、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者減信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が加速側に切り換えられて高速運転が行われる。また、利用者増減判定回路21から制御部13に通常利用者信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が基準速度に戻され、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者無信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が超低速或いは運転停止に切り換えられる。
【0035】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、利用者の増減に応じて運転速度を以上のように切り換えて、利用者が増加して踏段9上に利用者が密集した状態では低速運転を行うようにしているので、降り口付近における利用者の安全性を向上させることができる。また、利用者が増加した高負荷状態のときに低速運転を行うようにしているので、使用電力を軽減させて、省エネに寄与することができると共に、高負荷状態での過負荷検出により安全装置が頻繁に作動するといった不都合を有効に回避して、乗客コンベア停止時の再起動やメンテナンスコール等の管理者に要求される作業を軽減させ、管理者の負担を更に軽減させることができる。
【0036】
なお、利用者の増減と運転速度との対応関係を本実施形態のように設定するか、或いは上述した第1の実施形態のように設定するかは、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアが設置される環境に応じて選択すればよい。すなわち、輸送効率の向上が求められる環境に速度切換え式乗客コンベアを設置する場合には、利用者の増減と運転速度との対応関係を上述した第1の実施形態のように設定し、利用者の安全性向上が求められる環境に速度切換え式乗客コンベアを設置する場合には、利用者の増減と運転速度との対応関係を本実施形態のように設定すればよい。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の速度切換え式乗客コンベアは、上述した第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアと同様の構成を有し、制御部13での制御内容が、上述した第1の実施形態と若干異なるものである。すなわち、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、制御部13に接続された時間帯速度設定部22に、一定速度で運転を行う時間帯及びその時間帯での運転速度が予め設定されており、この時間帯速度設定部22に設定された時間帯となったときは、制御部13が利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を行わず、時間帯設定部22に設定された一定の運転速度での運転を継続させるようにしている。
【0038】
具体的に説明すると、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、図5に示すように、制御部13が上述した第1の実施形態と同様に利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を行っている状態(利用者数検出運転)で、予め時間帯速度設定部22に設定された時間帯に達すると、時間帯速度設定部22から制御部13に対して速度固定信号が出力される。そして、この速度固定信号を受けた制御部13は、利用者数検出装置20a,20bによる検出及び利用者増減判定回路21での処理を停止させると共に、予め時間帯速度設定部22に設定された固定速度の変速指令をインバータ制御部14に出力して、乗客コンベアの運転速度をその固定速度に切り換え、時間帯速度設定部22に設定された時間帯が経過するまで、運転速度の加減速制御を行わないようにする(速度固定運転)。
【0039】
その後、時間帯速度設定部22に設定された時間帯が経過して時間帯速度設定部22からの速度固定信号がオフすると、制御部13は、利用者数検出装置20a,20bによる検出及び利用者増減判定回路21での処理を開始させ、利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を再開する。なお、図5に示した例では、時間帯速度設定部22に設定された時間帯では高速で速度固定運転を行うようにしているが、速度固定運転での速度(固定速度)は任意に設定することが可能であり、また、時間帯毎にそれぞれ異なる速度を固定速度として設定しておくことも可能である。
【0040】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、以上のように、時間帯速度設定部22に予め設定された時間帯では、制御部13が利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を行わず固定速度での運転を継続させるようにしているので、例えば、朝のラッシュ時等、利用客の利用状況をある程度予測できる時間帯には、短時間での不用意な速度切り換えを行うことなく、その利用状況に応じた最適な固定速度で継続的に運転を行うことができる。また、この場合にも、固定速度への切り換えは自動的に行われるので、管理者の操作負担が増加することもない。
【0041】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の速度切換え式乗客コンベアは、上述した第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアと同様の構成を有し、利用者増減判定回路21での処理内容及び制御部13での制御内容が、上述した第1の実施形態と若干異なるものである。すなわち、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、利用者増減判定回路21が、乗り口付近に設置された利用者数検出装置(例えば下階1b側の利用者数検出装置20b)の検出値に基づいて判定した乗り口側の利用者数と、降り口付近に設置された利用者数検出装置(例えば上階1a側の利用者数検出装置20a)の検出値に基づいて判定した降り口側の利用者数とを比較して、降り口側の利用者数が極端に多くなった場合に降り口に利用者が滞留していると判断するようにしている。そして、利用者増減判定回路21により降り口に利用者が滞留していると判断された場合には、制御部13が、運転速度の加速側への切り換えを禁止する、又は運転速度を減速側へ切り換える、又は運転を停止させるといった制御を行うようにしている。
【0042】
本実施形態に特徴的な降り口での利用者滞留を判断する処理及びそれに応じた運転制御の一例を図6にフローチャートで示す。本実施形態では、全体の処理が開始されると、降り口側と乗り口側とでそれぞれ利用者数の検出が行われ、利用者増減判定手段21は、利用者判定時間が経過するまでの間、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサがオンされる度にセンサ検出時間を加算すると共に(ステップS21,ステップS22)、降り口付近に設置された利用者数検出装置20aのセンサがオンされる度にセンサ検出時間を加算する(ステップS23,ステップS24)。そして、処理開始時には加速不可フラグはオフの状態であり、この状態で利用者判定時間が経過したら、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値に所定値αを加えた値と、降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値とを比較する(ステップS25〜ステップS27)。
【0043】
ここで、降り口に利用者が滞留していない通常状態においては、降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値よりも乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値に所定値αを加えた値の方が上回ることになる。この場合には、利用者増減判定手段21は降り口に利用者が滞留していないと判断し、加速不可フラグがオンの状態にあれば加速不可フラグをオフに切り換え(ステップS28)、強制減速フラグがオンの状態にあれば強制減速フラグをオフに切り換え(ステップS29)、また、降り口滞留時間のカウントが継続されていれば降り口滞留時間のカウントをリセットする(ステップS30)。なお、処理開始時においては、加速不可フラグや強制減速フラグはオフの状態にあり、また、降り口滞留時間のカウントも行われていないので、これらの処理は省略される。その後、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値及び降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値をクリアすると共に利用者判定時間をリセットした上でリターンし(ステップS31〜ステップS33)、ステップS21以降の処理を繰り返す。
【0044】
降り口に利用者が滞留していない通常状態においては、以上の処理が繰り返され、乗客コンベアの運転状態には変化が生じない。
【0045】
一方、降り口に利用者が滞留してくると、ステップS27の処理において、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値に所定値αを加えた値よりも降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値の方が上回ることになる。この場合には、利用者増減判定手段21は降り口に利用者が滞留していると判断して加速不可フラグをオンにし、制御部13は運転速度の加速側への切り換えを禁止する(ステップS34)。
【0046】
加速不可フラグがオンになると、上述したステップS25の判定がYESとなり、降り口滞留時間のカウントが開始される(ステップS35)。この降り口滞留時間は、降り口の滞留が一時的なもので直ぐに緩和されるものであるかどうかを判断する基準となるものであり、降り口滞留時間のカウントアップ前にステップS27の判定がNOになった場合には、ステップS28で加速不可フラグがオフに切り換えられると共に、ステップS30で降り口滞留時間のカウントがリセットされて、上述した通常状態での処理に復帰する。
【0047】
一方、降り口滞留時間のカウントが開始されてからステップS27でYESの判定が繰り返され、加速不可フラグがオンの状態で降り口滞留時間がカウントアップすると、利用者増減判定手段21は降り口の利用者の滞留が緩和されない状態にあると判断して、強制減速フラグがオンになっていなければこれをオンにし、制御部13は運転速度を強制的に減速側に切り換える(ステップS36〜ステップS39)。そして、降り口滞留時間のカウントがリセットされて(ステップS40)、再度、降り口での利用者の滞留を判定する処理に移行する。
【0048】
また、乗客コンベアの運転速度を減速側に切り換えた後にも、降り口での利用者の滞留が緩和されずに、ステップS27でYESの判定が繰り返される場合には、再度ステップS35で降り口滞留時間のカウントが開始される。そして、乗り口での利用者の滞留が緩和されない状態で降り口滞留時間がカウントアップすると、このときの強制減速フラグは既にオンとされており、乗客コンベアが低速運転を行っているにも拘わらず降り口の利用者の滞留が緩和されていない状態となっているので、制御部13は乗客コンベアの運転を停止させる制御を行って安全性の確保を図ると共に、異常を知らせる警報を発報して処理を終了する。(ステップS41、ステップS42)。
【0049】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、以上のように、降り口に利用者が滞留しているかどうかを判断して、滞留している場合には運転速度を加速側に切り換えることを禁止し、利用者の滞留が緩和されない場合には運転速度を減速側に切り換えたり運転を停止させたりといった対応を図るようにしているので、混雑時の安全性をより向上させることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る速度切換え式乗客コンベアによれば、実際の利用者の増減を判定して、それに応じて運転速度を切り換えるようにしているので、実際の利用状況に応じた最適な運転速度で運転することができ、利用者の輸送効率の向上を実現することができる。また、運転速度の切り換えが利用者の増減に合わせて自動で行われるので、管理者の操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの全体構成を模式的に示す概略構成図。
【図2】利用者増減判定回路の処理内容の一例を示すフローチャート。
【図3】第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアにおける利用者の増減と運転速度との対応関係を示す運転速度変位図。
【図4】第2の実施形態の速度切換え式乗客コンベアにおける利用者の増減と運転速度との対応関係を示す運転速度変位図。
【図5】第3の実施形態の速度切り換え式乗客コンベアにおける1日の時間単位による運転状態の変化を示す図。
【図6】第4の実施形態の速度切り換え式乗客コンベアにおける降り口での利用者滞留を判断する処理及びそれに応じた運転制御の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
3 駆動装置
4 電動機
13 制御部
14 インバータ制御部
15 インバータ回路
20a,20b 利用者数検出装置
21 利用者増減判定回路
22 時間帯速度設定部
23 スピーカ
24 音声案内装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアに関し、特に、運転速度を多段階に切り換え可能な速度切換え式乗客コンベアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗客コンベアであるエスカレータは、無端状に連結された多数の踏段が、上下の階床間に傾斜して設けられたガイドレールに案内されて循環走行するものであり、踏段上に搭乗した乗客を上下の階床に亘って搬送するようになっている。
【0003】
踏段を案内するガイドレールは、主枠に設けられており、この主枠には踏段の幅方向両側に一対の欄干が立設され、この一対の欄干にそれぞれ踏段と同一速度で同一方向に移動する手すりベルトが設けられている。これらの踏段や手すりベルトは、主枠内に配置された駆動装置により駆動され、駆動装置は制御装置により制御されるようになっている。
【0004】
このようなエスカレータに代表される乗客コンベアの運転速度は、2000年に建築基準法が改正されるまでは、30m/分以下と規定されていたが、建築基準法の改正に伴い、傾斜角度30度以下のエスカレータにおいては、運転速度が45m/分以下と規定され、また、傾斜角度0度の動く歩道においては運転速度が50m/分以下と規定された。このため、近年では、例えば乗客コンベア管理者などの操作に応じて運転速度を多段階に切り換えられるようにした速度切換え式乗客コンベアが提供されるようになってきている。この速度切換え式乗客コンベアは、一般的には、駆動装置の電動機に供給する電力の周波数をインバータ等の電力変換装置を用いて操作者の操作に応じて切り換えることで、運転速度を切り換える構成となっている。
【0005】
速度切換え式乗客コンベアは、駅のホームやイベントホール等、一定の時間帯に利用者が集中するような場所に設置されることが多く、通常、利用者が集中した場合、輸送効率の向上の目的から30m/分以上の高速運転に切り換えて使用されている。しかし、運転速度を切り換えるためには、管理者が乗客コンベアの設置場所まで出向き、手動で切り換え操作を行う必要があり、管理者にとっては、操作上の手間となっている。また、管理者が乗客コンベアまで行かずに、カメラ等で安全を確認して、遠隔操作で運転速度の切り換えを行う場合があるが、その場合にも運転速度の切り換え操作は管理者が自らの判断で手動で行う必要があるため、管理者の負担を大幅に低減させるには至っていない。
【0006】
このような観点から、時間帯毎に運転速度を予め定めておき、その時間帯になったときに運転速度を自動で設定速度に切り換えるようにした速度切換え式乗客コンベアも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の速度切換え式乗客コンベアでは、高齢者や体に障害を持つ人々が集中すると予測される時間帯となったときに運転速度が低速側に自動で切り換わるようにして、この時間帯では低速運転を行うことで、安全性を確保できるようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−198653号公報(第4頁、図4)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のように乗客コンベアの時間帯毎の利用状況を予測して時間帯毎に運転速度を定める方法は、安全性確保の観点からは有効であると考えられるが、特に輸送効率向上の観点からは不満が残るものとなることが想定される。すなわち、利用者が多くなる時間帯であると見積もってそれに応じた運転速度を設定していたとしても、実際は利用者が少ない場合があり、逆に利用者が少ないと見積もって運転速度を設定していても、実際には利用者が多くなる場合も考えられ、以上のように予測に基づいて運転速度を設定した場合には、実際の利用者数の増減に応じた最適な運転速度で運転できない場合も生じる。
【0009】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、運転速度の切り換えを自動で行って管理者の負担を軽減させると共に、実際の利用者数の増減に応じて最適な運転速度で運転することができる速度切換え式乗客コンベアを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る速度切換え式乗客コンベアは、乗り口付近又は降り口付近の少なくとも何れか一方に設置された利用者数検出手段と、この利用者数検出手段の検出値に基づいて利用者の増減を判定する利用者増減判定手段と、この利用者増減判定手段の判定結果に応じて運転速度の加減速制御を行う運転制御手段とを備えることを特徴としている。
【0011】
以上のよう構成される速度切換え式乗客コンベアでは、利用者数検出手段から利用者数に応じた検出値が得られ、この検出値に基づいて利用者増減判定手段により利用者の増減が判定される。そして、この利用者増減判定手段の判定結果に応じて、運転制御手段により運転速度の加減速制御が行われる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの具体的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの全体構成を図1に模式的に示す。この速度切換え式乗客コンベアは、上階1aと下階1bとに亘って一体に設けられた主枠2を備える。この主枠2の上階1a側の端部には機械室が設けられており、この機械室内に駆動装置3が設置されている。この駆動装置3は、電動機4や図示しない伝達機構、減速機構、動力駆動チェーン5等を有しており、この駆動チェーン5により駆動スプロケット6を駆動するようになっている。
【0014】
また、主枠2の下階1b側の端部にも機械室が設けられており、この機械室内には、従動スプロケット7が設けられている。そして、前記駆動スプロケット6と従動スプロケット7とに亘って無端状の踏段チェーン8が巻き掛けられており、この踏段チェーン8に多数の踏段9が等間隔で連結されている。
【0015】
踏段9は、その前後に前輪及び後輪が取り付けられており、これらの前輪及び後輪を介して主枠2内に設けられた往路ガイドレール、帰路ガイドレール及び反転ガイドレールからなるガイドレールに案内されることにより、多数の踏段9は踏段チェーン8の移動に連動して循環走行するようになっている。
【0016】
また、主枠2の幅方向両側にはスカートガード10及び欄干11が設けられており、欄干11の上部には踏段9と同期して走行する手すりベルト12が設けられている。これら踏段9及び手すりベルト12は、上階1a側の機械室内に設置された制御部(運転制御手段)13と、この制御部13に接続されたインバータ制御部14及びインバータ回路15とにより駆動制御される。インバータ制御部14及びインバータ回路15は、制御部13の指令に応じて、三相交流電源16から主要回路遮断器17を経て供給される交流電流の周波数を変換して、電動機4の運転周波数を制御するものである。
【0017】
また、特に、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいては、上階1a側と下階1b側(乗り口付近と降り口付近)との双方に、当該乗客コンベアの利用者数を検出するための利用者数検出装置20a,20bがそれぞれ設置されている。これら利用者数検出装置20a,20bは、例えば光電センサや超音波センサ等のセンサを用いて利用者の有無を直接検出する構成となっており、その検出値は利用者増減判定回路21へと送られるようになっている。
【0018】
利用者増減判定回路21は、利用者数検出装置20a,20bからの検出値に基づいて利用者の増減を判定するものであり、具体的には、例えば利用者数検出装置20a,20bによるセンサ検出時間を所定時間積算して、所定時間当たりの積算値が所定の閾値を越えた場合には利用者の増加と判定し、所定時間当たりの積算値が所定の閾値以下の場合には利用者の減少と判定する。この利用者増減判定回路21の判定結果は制御部13へと送られるようになっている。そして、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアでは、この利用者増減判定回路21の判定結果に応じて、制御部13が運転速度(踏段9や手すりベルト12の移動速度)の加減速制御を行うことを大きな特徴としている。
【0019】
なお、図1においては、一例として、利用者数検出装置20a,20bをポール形状として上階1a側の乗降板と下階1b側の乗降板とにそれぞれ設置した場合を図示しているが、これら利用者数検出装置20a,20bは、例えば欄干11やスカートガード10等、乗客コンベアの他の部位に設置するようにしてもよい。また、図1に示した例では、上階1a側と下階1b側(乗り口付近と降り口付近)との双方に利用者数検出装置20a,20bをそれぞれ設置しているが、上階1a側或いは下階1b側の何れか一方にのみ利用者数検出装置を設置するようにしてもよい。
【0020】
また、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいて、制御部13には、一定速度で運転を行う時間帯及びその時間帯での運転速度が設定される時間帯速度設定部22が接続されている。更に、制御部13には、この制御部13の加減速制御により運転速度の切り換えが行われる前に、運転速度が切り換わる旨をスピーカ23を通じて放送する音声案内装置24が接続されている。この音声案内装置24は、制御部13の指令に応じて、予め録音されたメッセージをスピーカ23から音声出力させる構成となっている。なお、図1においては、一例として、スピーカ23を乗客コンベア上方の適所に配置した場合を図示しているが、スピーカ23の設置場所は、乗客が放送を聞き取れる場所であればどこでもよく、例えば欄干11やスカートガード10等に設置することも可能である。
【0021】
次に、以上のように構成される速度切換え式乗客コンベアの動作について、本発明に特徴的な部分を中心に具体的に説明する。
【0022】
本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアでは、乗客コンベアの運転開始に合わせて、利用者数検出装置20a,20bによる利用者数の検出が開始される。利用者数の検出は、例えば乗客コンベアの乗り口側で行うものとし、乗客コンベアが上昇運転の場合には、下階1b側に設置された利用者数検出装置20bを用いて検出が行われ、乗客コンベアが下降運転の場合には、上階1a側に設置された利用者数検出装置20aを用いて検出が行われる。利用者数検出装置20a,20bは、光電センサや超音波センサ等のセンサにより利用者の有無を直接検出する構成となっており、例えば光電センサを用いた場合には、利用者の通過に伴うセンサ遮光時間を検出値として出力する。
【0023】
利用者数検出装置20a,20bの検出値は、利用者増減判定回路21に送られる。利用者増減判定回路21には、予め利用者数の増減を判定するための所定時間(以下、利用者判定時間という。)が設定されており、利用者増減判定回路21は、その利用者判定時間内における利用者数検出装置20a,20bのセンサ検出時間を積算し、利用者判定時間に対するセンサ検出時間積算値の割合によって利用者数の増加又は減少を判定する。
【0024】
利用者増減判定回路21の処理内容の一例を図2にフローチャートで示す。この図2のフローチャートは、乗客コンベアの運転速度を利用者数の増減に応じて4段階で切り換える場合の例であるが、2段階以上で運転速度の切り換えを行うあらゆる場合において同様の処理が可能である。
【0025】
図2に示すように、利用者増減判定手段21は、利用者判定時間が経過するまでは、利用者数検出装置20a,20bのセンサがオンされる度にセンサ検出時間を加算していく(ステップS1,ステップS2)。そして、利用者判定時間が経過したら、センサ検出時間の積算値と利用者判定時間とを比較して、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合を求める(ステップS3,ステップS4)。
【0026】
その結果、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が大きい(例えば70〜100%)場合には、利用者増加と判定して制御部13に利用者増信号を出力する(ステップS5〜ステップS7)。また、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が中程度(例えば30〜70%)の場合には、通常利用者数と判定して制御部13に通常利用者信号を出力する(ステップS8〜ステップS10)。また、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が小さい(例えば0以上〜30%)場合には、利用者減少と判定して制御部13に利用者減信号を出力する(ステップS11〜ステップS13)。また、利用者判定時間に対するセンサ検出時間の積算値の割合が0%、すなわち利用者判定時間内に利用者数検出装置20a,20bのセンサが全くオンされていない場合には、利用者なしと判定して制御部13に利用者無信号を出力する(ステップS14,ステップS15)。
【0027】
その後、センサ検出時間の積算値をクリアすると共に利用者判定時間をリセットした上でリターンし(ステップS16,ステップS17)、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0028】
以上の処理により、利用者増減判定回路21において利用者の増減が判定され、その判定結果に応じた信号が制御部13に出力されることになる。制御部13は、利用者増減判定回路21からの信号を受けて、運転速度の切り換えが必要と判断した場合には、インバータ制御部14に変速指令を出力する。そして、インバータ制御部14がこの変速指令に応じてインバータ回路15の出力周波数を変更し、これによって電動機4の回転数が制御されることで、例えば図3に示すように、乗客コンベアの運転速度が利用者の増減に合わせて加速側又は減速側に切り換えられることになる。
【0029】
図3は、輸送能力向上を目的とした場合の乗客コンベアの運転速度の切り換え例を示したものである。この図3に示す例では、乗客コンベアが基準速度(30m/分)で運転中に、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者増信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が加速側に切り換えられて高速運転が行われ、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者減信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が減速側に切り換えられて低速運転が行われる。また、利用者増減判定回路21から制御部13に通常利用者信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が基準速度に戻され、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者無信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が超低速或いは運転停止に切り換えられる。
【0030】
また、制御部13は、以上のような運転速度の加減速制御を行う際には、インバータ制御部14に対して変速指令を出力する前に、音声案内装置24に音声案内放送指令を出力する。そして、音声案内装置24が、制御部13からの音声案内放送指令に応じて、乗客コンベアの運転速度が実際に切り換えられる前に、運転速度が切り換わる旨をスピーカ23を通じて放送することで、乗客コンベアの運転速度が切り換わることを利用者に報知する。音声案内装置24による放送の例としては、例えば「速度が速くなります。ご注意ください。」や「速度が遅くなります。手すりにおつかまり下さい。」等が考えられる。放送が完了すると、音声案内装置24から制御部13へ音声案内終了信号が出力され、制御部13はその信号を受けた後、インバータ制御部14に対して変速指令を出力する。
【0031】
以上説明したように、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアによれば、実際の利用者の増減を判定して、それに応じて運転速度を切り換えるようにしているので、実際の利用状況に応じた最適な運転速度で運転することができ、利用者の輸送効率の向上を実現することができる。また、運転速度の切り換えが利用者の増減に合わせて自動で行われるので、管理者の操作負担を軽減することができる。
【0032】
更に、運転速度が実際に切り換わる前に音声案内で運転速度が切り換わる旨を利用者に報知して、利用者への注意を促すようにしているので、安全に且つ利用者に戸惑いを与えることなく、運転速度の切り換えを適切に行うことができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の速度切換え式乗客コンベアは、上述した第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアと同様の構成を有し、利用者の増減と運転速度との対応が第1の実施形態とは異なるものである。すなわち、第1の実施形態では、輸送能力の向上を目的として、利用者が増加したと判定された場合に運転速度を加速側に切り換えると共に、利用者が減少したと判定された場合に運転速度を減速側に切り換えるようにしていたが、本実施形態では、これとは逆に、利用者が増加したと判定された場合に運転速度を減速側に切り換えると共に、利用者が減少したと判定された場合に運転速度を加速側に切り換えるようにしている。
【0034】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアにおける運転速度の切り換え例を図4に示す。この図4に示すように、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、基準速度(30m/分)での運転中に、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者増信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が減速側に切り換えられて低速運転が行われ、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者減信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が加速側に切り換えられて高速運転が行われる。また、利用者増減判定回路21から制御部13に通常利用者信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が基準速度に戻され、利用者増減判定回路21から制御部13に利用者無信号が出力されると、制御部13の加減速制御により乗客コンベアの運転速度が超低速或いは運転停止に切り換えられる。
【0035】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、利用者の増減に応じて運転速度を以上のように切り換えて、利用者が増加して踏段9上に利用者が密集した状態では低速運転を行うようにしているので、降り口付近における利用者の安全性を向上させることができる。また、利用者が増加した高負荷状態のときに低速運転を行うようにしているので、使用電力を軽減させて、省エネに寄与することができると共に、高負荷状態での過負荷検出により安全装置が頻繁に作動するといった不都合を有効に回避して、乗客コンベア停止時の再起動やメンテナンスコール等の管理者に要求される作業を軽減させ、管理者の負担を更に軽減させることができる。
【0036】
なお、利用者の増減と運転速度との対応関係を本実施形態のように設定するか、或いは上述した第1の実施形態のように設定するかは、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアが設置される環境に応じて選択すればよい。すなわち、輸送効率の向上が求められる環境に速度切換え式乗客コンベアを設置する場合には、利用者の増減と運転速度との対応関係を上述した第1の実施形態のように設定し、利用者の安全性向上が求められる環境に速度切換え式乗客コンベアを設置する場合には、利用者の増減と運転速度との対応関係を本実施形態のように設定すればよい。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の速度切換え式乗客コンベアは、上述した第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアと同様の構成を有し、制御部13での制御内容が、上述した第1の実施形態と若干異なるものである。すなわち、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、制御部13に接続された時間帯速度設定部22に、一定速度で運転を行う時間帯及びその時間帯での運転速度が予め設定されており、この時間帯速度設定部22に設定された時間帯となったときは、制御部13が利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を行わず、時間帯設定部22に設定された一定の運転速度での運転を継続させるようにしている。
【0038】
具体的に説明すると、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、図5に示すように、制御部13が上述した第1の実施形態と同様に利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を行っている状態(利用者数検出運転)で、予め時間帯速度設定部22に設定された時間帯に達すると、時間帯速度設定部22から制御部13に対して速度固定信号が出力される。そして、この速度固定信号を受けた制御部13は、利用者数検出装置20a,20bによる検出及び利用者増減判定回路21での処理を停止させると共に、予め時間帯速度設定部22に設定された固定速度の変速指令をインバータ制御部14に出力して、乗客コンベアの運転速度をその固定速度に切り換え、時間帯速度設定部22に設定された時間帯が経過するまで、運転速度の加減速制御を行わないようにする(速度固定運転)。
【0039】
その後、時間帯速度設定部22に設定された時間帯が経過して時間帯速度設定部22からの速度固定信号がオフすると、制御部13は、利用者数検出装置20a,20bによる検出及び利用者増減判定回路21での処理を開始させ、利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を再開する。なお、図5に示した例では、時間帯速度設定部22に設定された時間帯では高速で速度固定運転を行うようにしているが、速度固定運転での速度(固定速度)は任意に設定することが可能であり、また、時間帯毎にそれぞれ異なる速度を固定速度として設定しておくことも可能である。
【0040】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、以上のように、時間帯速度設定部22に予め設定された時間帯では、制御部13が利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を行わず固定速度での運転を継続させるようにしているので、例えば、朝のラッシュ時等、利用客の利用状況をある程度予測できる時間帯には、短時間での不用意な速度切り換えを行うことなく、その利用状況に応じた最適な固定速度で継続的に運転を行うことができる。また、この場合にも、固定速度への切り換えは自動的に行われるので、管理者の操作負担が増加することもない。
【0041】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の速度切換え式乗客コンベアは、上述した第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアと同様の構成を有し、利用者増減判定回路21での処理内容及び制御部13での制御内容が、上述した第1の実施形態と若干異なるものである。すなわち、本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、利用者増減判定回路21が、乗り口付近に設置された利用者数検出装置(例えば下階1b側の利用者数検出装置20b)の検出値に基づいて判定した乗り口側の利用者数と、降り口付近に設置された利用者数検出装置(例えば上階1a側の利用者数検出装置20a)の検出値に基づいて判定した降り口側の利用者数とを比較して、降り口側の利用者数が極端に多くなった場合に降り口に利用者が滞留していると判断するようにしている。そして、利用者増減判定回路21により降り口に利用者が滞留していると判断された場合には、制御部13が、運転速度の加速側への切り換えを禁止する、又は運転速度を減速側へ切り換える、又は運転を停止させるといった制御を行うようにしている。
【0042】
本実施形態に特徴的な降り口での利用者滞留を判断する処理及びそれに応じた運転制御の一例を図6にフローチャートで示す。本実施形態では、全体の処理が開始されると、降り口側と乗り口側とでそれぞれ利用者数の検出が行われ、利用者増減判定手段21は、利用者判定時間が経過するまでの間、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサがオンされる度にセンサ検出時間を加算すると共に(ステップS21,ステップS22)、降り口付近に設置された利用者数検出装置20aのセンサがオンされる度にセンサ検出時間を加算する(ステップS23,ステップS24)。そして、処理開始時には加速不可フラグはオフの状態であり、この状態で利用者判定時間が経過したら、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値に所定値αを加えた値と、降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値とを比較する(ステップS25〜ステップS27)。
【0043】
ここで、降り口に利用者が滞留していない通常状態においては、降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値よりも乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値に所定値αを加えた値の方が上回ることになる。この場合には、利用者増減判定手段21は降り口に利用者が滞留していないと判断し、加速不可フラグがオンの状態にあれば加速不可フラグをオフに切り換え(ステップS28)、強制減速フラグがオンの状態にあれば強制減速フラグをオフに切り換え(ステップS29)、また、降り口滞留時間のカウントが継続されていれば降り口滞留時間のカウントをリセットする(ステップS30)。なお、処理開始時においては、加速不可フラグや強制減速フラグはオフの状態にあり、また、降り口滞留時間のカウントも行われていないので、これらの処理は省略される。その後、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値及び降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値をクリアすると共に利用者判定時間をリセットした上でリターンし(ステップS31〜ステップS33)、ステップS21以降の処理を繰り返す。
【0044】
降り口に利用者が滞留していない通常状態においては、以上の処理が繰り返され、乗客コンベアの運転状態には変化が生じない。
【0045】
一方、降り口に利用者が滞留してくると、ステップS27の処理において、乗り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値に所定値αを加えた値よりも降り口付近に設置された利用者数検出装置20bのセンサ検出時間の積算値の方が上回ることになる。この場合には、利用者増減判定手段21は降り口に利用者が滞留していると判断して加速不可フラグをオンにし、制御部13は運転速度の加速側への切り換えを禁止する(ステップS34)。
【0046】
加速不可フラグがオンになると、上述したステップS25の判定がYESとなり、降り口滞留時間のカウントが開始される(ステップS35)。この降り口滞留時間は、降り口の滞留が一時的なもので直ぐに緩和されるものであるかどうかを判断する基準となるものであり、降り口滞留時間のカウントアップ前にステップS27の判定がNOになった場合には、ステップS28で加速不可フラグがオフに切り換えられると共に、ステップS30で降り口滞留時間のカウントがリセットされて、上述した通常状態での処理に復帰する。
【0047】
一方、降り口滞留時間のカウントが開始されてからステップS27でYESの判定が繰り返され、加速不可フラグがオンの状態で降り口滞留時間がカウントアップすると、利用者増減判定手段21は降り口の利用者の滞留が緩和されない状態にあると判断して、強制減速フラグがオンになっていなければこれをオンにし、制御部13は運転速度を強制的に減速側に切り換える(ステップS36〜ステップS39)。そして、降り口滞留時間のカウントがリセットされて(ステップS40)、再度、降り口での利用者の滞留を判定する処理に移行する。
【0048】
また、乗客コンベアの運転速度を減速側に切り換えた後にも、降り口での利用者の滞留が緩和されずに、ステップS27でYESの判定が繰り返される場合には、再度ステップS35で降り口滞留時間のカウントが開始される。そして、乗り口での利用者の滞留が緩和されない状態で降り口滞留時間がカウントアップすると、このときの強制減速フラグは既にオンとされており、乗客コンベアが低速運転を行っているにも拘わらず降り口の利用者の滞留が緩和されていない状態となっているので、制御部13は乗客コンベアの運転を停止させる制御を行って安全性の確保を図ると共に、異常を知らせる警報を発報して処理を終了する。(ステップS41、ステップS42)。
【0049】
本実施形態の速度切換え式乗客コンベアでは、以上のように、降り口に利用者が滞留しているかどうかを判断して、滞留している場合には運転速度を加速側に切り換えることを禁止し、利用者の滞留が緩和されない場合には運転速度を減速側に切り換えたり運転を停止させたりといった対応を図るようにしているので、混雑時の安全性をより向上させることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る速度切換え式乗客コンベアによれば、実際の利用者の増減を判定して、それに応じて運転速度を切り換えるようにしているので、実際の利用状況に応じた最適な運転速度で運転することができ、利用者の輸送効率の向上を実現することができる。また、運転速度の切り換えが利用者の増減に合わせて自動で行われるので、管理者の操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの全体構成を模式的に示す概略構成図。
【図2】利用者増減判定回路の処理内容の一例を示すフローチャート。
【図3】第1の実施形態の速度切換え式乗客コンベアにおける利用者の増減と運転速度との対応関係を示す運転速度変位図。
【図4】第2の実施形態の速度切換え式乗客コンベアにおける利用者の増減と運転速度との対応関係を示す運転速度変位図。
【図5】第3の実施形態の速度切り換え式乗客コンベアにおける1日の時間単位による運転状態の変化を示す図。
【図6】第4の実施形態の速度切り換え式乗客コンベアにおける降り口での利用者滞留を判断する処理及びそれに応じた運転制御の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
3 駆動装置
4 電動機
13 制御部
14 インバータ制御部
15 インバータ回路
20a,20b 利用者数検出装置
21 利用者増減判定回路
22 時間帯速度設定部
23 スピーカ
24 音声案内装置
Claims (8)
- 運転速度を多段階に切換え可能な速度切換え式乗客コンベアにおいて、
乗り口付近又は降り口付近の少なくとも何れか一方に設置された利用者数検出手段と、
前記利用者数検出手段の検出値に基づいて利用者の増減を判定する利用者増減判定手段と、
前記利用者増減判定手段の判定結果に応じて運転速度の加減速制御を行う運転制御手段とを備えることを特徴とする速度切換え式乗客コンベア。 - 前記運転制御手段は、前記利用者増減判定手段により利用者が増加したと判定された場合に運転速度を加速側に切り換えると共に、前記利用者増減判定手段により利用者が減少したと判定された場合に運転速度を減速側に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の速度切換え式乗客コンベア。
- 前記運転制御手段は、前記利用者増減判定手段により利用者が増加したと判定された場合に運転速度を減速側に切り換えると共に、前記利用者増減判定手段により利用者が減少したと判定された場合に運転速度を加速側に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の速度切換え式乗客コンベア。
- 前記利用者数検出手段は、利用者の検出をセンサで行い、
前記利用者増減判定手段は、所定時間内におけるセンサ検出時間を積算して、その積算値の所定時間に対する割合に基づき利用者の増減を判定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の速度切換え式乗客コンベア。 - 前記利用者数検出手段が乗り口付近及び降り口付近の双方に設置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の速度切換え式乗客コンベア。
- 前記利用者増減判定手段は、乗り口付近に設置された利用者数検出手段の検出値に基づいて判定した乗り口側の利用者数と、降り口付近に設置された利用者数検出手段の検出値に基づいて判定した降り口側の利用者数とを比較して、降り口側の利用者数が極端に多くなった場合、降り口に利用者が滞留していると判断し、
前記運転制御手段は、前記利用者増減判定手段により降り口側に利用者が滞留していると判断された場合には、運転速度の加速側への切り換えを禁止する、又は運転速度を減速側へ切り換える、又は運転を停止させることを特徴とする請求項5に記載の速度切換え式乗客コンベア。 - 一定速度で運転を行う時間帯及びその時間帯での運転速度が設定される時間帯速度設定手段を更に備え、
前記運転制御手段は、前記時間帯速度設定手段に予め設定された時間帯では利用者の増減に応じた運転速度の加減速制御を行わず、設定された一定速度での運転を継続させることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の速度切換え式乗客コンベア。 - 前記運転制御手段の加減速制御により運転速度が切り換わる前に運転速度が切り換わる旨の放送を行う音声案内装置を更に備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の速度切換え式乗客コンベア。
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