JP4298389B2 - 速度切換え式乗客コンベア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアに関し、特に、運転速度を多段階に切り換え可能な速度切換え式乗客コンベアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗客コンベアであるエスカレータは、無端状に連結された多数の踏段が、上下の階床間に傾斜して設けられたガイドレールに案内されて循環走行するものであり、踏段上に搭乗した乗客を上下の階床に亘って搬送するようになっている。
【0003】
踏段を案内するガイドレールは、主枠に設けられており、この主枠には踏段の幅方向両側に一対の欄干が立設され、この一対の欄干にそれぞれ踏段と同一速度で同一方向に移動する手すりベルトが設けられている。これらの踏段や手すりベルトは、主枠内に配置された駆動装置により駆動され、駆動装置は制御装置により制御されるようになっている。
【0004】
このようなエスカレータに代表される乗客コンベアの運転速度は、2000年に建築基準法が改正されるまでは、30m/分以下と規定されていたが、建築基準法の改正に伴い、傾斜角度30度以下のエスカレータにおいては、運転速度が45m/分以下と規定され、また、傾斜角度0度の動く歩道においては運転速度が50m/分以下と規定された。このため、近年では、例えば乗客コンベア管理者などの操作に応じて運転速度を多段階に切り換えられるようにした速度切換え式乗客コンベアが提供されるようになってきている。この速度切換え式乗客コンベアは、一般的には、駆動装置の電動機に供給する電力の周波数をインバータ等の電力変換装置を用いて操作者の操作に応じて切り換えることで、運転速度を切り換える構成となっている。
【0005】
ところで、乗客コンベアの保守点検時や据付作業中、或いは機器の調整等を行う際には、機械室の入口を閉塞する乗降板を開放した状態や、踏段が部分的に欠落した状態で連続運転や寸動運転を行う場合がある。乗降板を開放した状態では、踏段チェーンや駆動チェーン、駆動スプロケット、従動スプロケット等回転動作部分が開放状態であり、注意を怠ると、作業員が回転部分に誤って触れてしまう虞がある。また、踏段が欠落している状態では、注意を怠ると、作業員が誤ってトラス内部に転落する可能性もある。そのため、保守点検時等における運転には、通常、作業員が十分な注意を払いながら、乗客コンベア本体に設置された操作パネルを操作して寸動運転を行い、又は遠隔操作で乗客コンベアの運転制御を行うための遠隔操作箱を用いてトラス外部より遠隔運転を行うことで、安全の確保を図るようにしている。
【0006】
以上のように、保守点検時等においては、作業員の安全が確保できる状態で乗客コンベアを運転することが非常に重要であり、このような観点から、保守点検時等においては乗客コンベアの運転を低速度で行うことが望まれる。保守点検時等に乗客コンベアの運転速度を低速にする方法としては、従来、乗客コンベアに低速運転装置を設置して、保守点検時等にこの低速運転装置を用いて運転速度を低速にするようにしているのが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2等参照。)
【0007】
【特許文献1】
特開平8−208170号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平9−263381号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2にて開示される低速運転装置は、何れも速度切り換え機能を有しない速度固定式の乗客コンベアに設置することを前提としたものであり、速度切換え式乗客コンベアには不向きである。すなわち、速度切換え式乗客コンベアでは、周波数変換装置を用いて乗客コンベアの運転速度を多段階に切り換えられるので、この機能を用いて保守点検時等に低速運転を行うようにすれば、低速運転装置を別途設置する必要がない。
【0010】
また、従来の速度切換え式乗客コンベアにおいて、保守点検時等に低速運転を行うには、運転速度の切り換えが上述したように乗客コンベア管理者等の操作によって行われるようになっているため、保守点検時等に操作者がわざわざ手動で操作パネルの速度切換えスイッチを操作するか、若しくは周波数変換装置の設定周波数を変更して対応する必要があり、操作者の負担が大きい。
【0011】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、操作者の操作負担を軽減しながら、保守点検時等における乗客コンベアの運転速度を低速にして作業員の安全確保が図られるようにした速度切換え式乗客コンベアを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る速度切換え式乗客コンベアは、周波数変換装置の出力周波数を制御することで運転速度の加減速制御を行う運転制御手段と、運転モードを連続運転モードから寸動運転モードに切り換えるための寸動運転切り換えスイッチとを備え、前記寸動運転切り換えスイッチが寸動運転モード側に操作されたことに連動して、前記運転制御手段が、運転速度を少なくとも通常運転速度よりも低速度となるように制御することを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る他の速度切換え式乗客コンベアは、周波数変換装置の出力周波数を制御することで運転速度の加減速制御を行う運転制御手段と、機械室への入口を閉塞する乗降板の開放を検知する乗降板開放検知スイッチとを備え、前記乗降板開放検知スイッチにより乗降板の開放が検知されたことに連動して、前記運転制御手段が、運転速度を少なくとも通常運転速度よりも低速度となるように制御することを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る更に他の速度切換え式乗客コンベアは、周波数変換装置の出力周波数を制御することで運転速度の加減速制御を行う運転制御手段と、必要に応じて前記運転制御手段に接続され、遠隔操作で運転制御を行うための遠隔操作箱とを備え、前記遠隔操作箱が前記運転制御手段に接続されたことに連動して、前記運転制御手段が、運転速度を少なくとも通常運転速度よりも低速度となるように制御することを特徴としている。
【0015】
以上のよう構成される速度切換え式乗客コンベアでは、寸動運転切り換えスイッチが操作されたとき、又は乗降板が開放されたとき、又は遠隔操作箱が運転制御手段に接続されたときに、操作者が運転速度切り換えのための操作を行うことなく、運転速度が自動的に通常運転速度よりも低速に切り換えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの具体的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの全体構成を図1に、制御系の要部構成を図2にそれぞれ示す。この速度切換え式乗客コンベアは、図1に示すように、上階1aと下階1bとに亘って一体に設けられた主枠2を備える。この主枠2の上階1a側の端部には機械室が設けられており、機械室内に駆動装置3が設置されている。駆動装置3は、電動機4や図示しない伝達機構、減速機構、動力駆動チェーン5等を有しており、この駆動チェーン5により駆動スプロケット6を駆動するようになっている。
【0018】
また、主枠2の下階1b側の端部にも機械室が設けられており、この機械室内には、従動スプロケット7が設けられている。そして、前記駆動スプロケット6と従動スプロケット7とに亘って無端状の踏段チェーン8が巻き掛けられており、この踏段チェーン8に多数の踏段9が等間隔で連結されている。
【0019】
踏段9は、その前後に前輪及び後輪が取り付けられており、これらの前輪及び後輪を介して主枠2内に設けられた往路ガイドレール、帰路ガイドレール及び反転ガイドレールからなるガイドレールに案内されることにより、多数の踏段9は踏段チェーン8の移動に連動して循環走行するようになっている。
【0020】
また、主枠2の幅方向両側にはスカートガード10及び欄干11が設けられており、欄干11の上部には踏段9と同期して走行する手すりベルト12が設けられている。これら踏段9及び手すりベルト12は、上階1a側の機械室内に設置された制御部(運転制御手段)13と、この制御部13に接続された周波数変換装置14とにより駆動制御される。周波数変換装置14は、図2に示すようにインバータ回路14a及びインバータ制御部14bを有し、制御部13の指令に応じて、三相交流電源15から主要回路遮断器16を経て供給される交流電流の周波数を変換して、電動機4の運転周波数を制御するものである。速度切換え式乗客コンベアでは、このように制御部13の指令に応じて動作する周波数変換装置14により電動機4の運転周波数が切り換えられることによって、運転速度が多段階で切り換えられるようになっている。
【0021】
そして、特に本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいては、保守点検や機器の調整等を行う際に、制御部13がこれを判断して周波数変換装置14に低速指令を出力し、運転速度を通常速度よりも低速度とする制御を行って、作業員の安全確保を図るようにしている。なお、通常速度とは、乗客コンベアの基準となる速度として予め設定された速度であり、一般的には30m/分に設定される。
【0022】
踏段9が反転する位置の近傍は、利用客の乗降口となり、乗降口の主枠2上には、上階側1aの機械室への入口を閉塞する乗降板17aと、下階側1bの機械室への入口を閉塞する乗降板17bとがそれぞれ設けられている。これら乗降板17a,17bは、乗客コンベアの保守点検等を行う目的で作業員が機械室内に入り込む際に開放される。これら乗降板17a,17bの近傍にはそれぞれ乗降板開放検知スイッチ18a,18bが設けられており、乗降板17a,17bの開放は、これら乗降板開放検知スイッチ18a,18bによって検知され、その信号が制御装置13へと送られるようになっている。
【0023】
また、スカートガード10の上階1a側及び下階1b側には、作業員等によって操作される操作パネル19a,19bがそれぞれ設置されている。これら操作パネル19a,19bには、乗客コンベアの起動や停止を操作するための起動スイッチや停止スイッチ等、各種操作スイッチが設けられており、作業員等によって操作されたこれら操作スイッチの操作信号が、制御部13へと送られるようになっている。
【0024】
更に、制御部13には、接続コネクタ20を介して遠隔操作箱21が接続されるようになっている。接続コネクタ20には接続検出回路22が形成されており、この接続検出回路22によって遠隔操作箱21が接続コネクタ20を介して制御部13に接続されたことが検出できるようになっている。遠隔操作箱21は、作業員が乗客コンベアの保守点検等を行う際に、必要に応じて制御部13に接続されるものであり、乗客コンベアから離れた位置で遠隔操作により乗客コンベアの運転制御を行うためのものである。
【0025】
また、上階側1aの機械室内には、図2に示すように、寸動運転切り換えスイッチ23、低速運転解除スイッチ24、点検スイッチ類25、低速運転速度選択スイッチ26がそれぞれ設けられており、機械室内に入り込んだ作業員等がこれらの各スイッチ23,24,25,26を操作できるようになっている。これらの各スイッチ23,24,25,26は制御部13に接続されており、その信号が制御部13に送られるようになっている。
【0026】
寸度運転切り換えスイッチ23は、乗客コンベアの運転モードを連続運転モードから寸動運転モードに切り換えるためのスイッチであり、乗客コンベアの保守点検時等に、作業員がこの寸動運転切り換えスイッチ23を操作して寸動運転モードとした状態で、操作パネル19a,19bに設けられた起動スイッチを操作すると、起動スイッチを操作している時間だけ踏段9や手すりベルト12が駆動される、いわゆる寸動運転が行われることになる。
【0027】
低速運転解除スイッチ24は、乗客コンベアの保守点検時等に制御部13によって自動的に設定される低速運転を解除するためのスイッチである。すなわち、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいては、上述したように、制御部13が保守点検時等における運転速度を通常速度よりも低速度とする制御を行うようにしているが、この低速運転解除スイッチ24が操作されている状態では、保守点検時等であっても低速運転が解除されて、通常速度での運転が行われることになる。
【0028】
点検スイッチ類25は、乗客コンベアの保守点検時等に作業員によって各種点検のために操作されるスイッチである。
【0029】
低速運転速度選択スイッチ26は、乗客コンベアの保守点検時等に制御部13によって自動的に設定される低速度の度合いを少なくとも2段階以上で選択するためのスイッチである。すなわち、保守点検時等における低速運転の低速度の度合いは、作業員がこの低速運転速度選択スイッチ26を操作することによって選択できるようになっている。なお、ここでは、低速運転速度選択スイッチ26の操作によって低速度の度合いを「低速1」、「低速2」、「低速3」の3段階で切り換えられるようにした例について説明するが、これに限らず、2段階での切り換え、或いは4段階以上での切り換えが行われるようにしてもよい。
【0030】
次に、以上のように構成される速度切換え式乗客コンベアの動作について、本発明に特徴的な部分を中心に具体的に説明する。
【0031】
本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアでは、制御部13の速度指令に応じて周波数変換装置14の出力周波数が制御されることで、運転速度の加減速制御が行われるようになっているが、特に、保守点検や機器の調整等が行われる際には、制御部13によって運転速度が通常速度よりも低速度に設定されるようになっている。具体的には、制御部13は、寸動運転切り換えスイッチ23が寸動運転モード側に操作されたとき、或いは点検スイッチ類25が操作されたとき、或いは乗降板開放検知スイッチ18a,18bによって乗降板17a,17bの開放が検知されたとき、或いは遠隔操作箱21が当該制御部13に接続されたときに、保守点検等が行われるものと判断し、これらの操作に連動して、乗客コンベアの運転速度を通常速度よりも低速度となるように、周波数変換装置14に対して低速指令を出力するようにしている。
【0032】
保守点検等が行われる際の制御部13の制御内容の一例を図3にフローチャートで示す。
【0033】
この図3に示すように、制御部13は、寸動運転切り換えスイッチ23からの寸動運転信号の入力や、点検スイッチ類25からの点検スイッチ信号の入力、乗降板開放検知スイッチ18a,18bからの乗降板スイッチ信号の入力、接続コネクタ20からのコネクタ接続信号の入力を常時監視している(ステップS1〜ステップS4)。
【0034】
すなわち、保守点検時等に作業員によって寸動運転切り換えスイッチ23が寸動運転モード側に操作されると、寸動運転切り換えスイッチ23から制御部13に寸動運転信号が入力されることになり、制御部13はこの寸動運転信号の入力を常時監視している。また、保守点検時等に作業員によって点検スイッチ類25が操作されると、点検スイッチ類25から制御部13に点検スイッチ信号が入力されることになり、制御部13はこの点検スイッチ信号の入力を常時監視している。また、保守点検時等に作業員が乗降板17a,17bを開放すると、乗降板開放検知スイッチ18a,18bから制御部13に乗降板スイッチ信号が入力されることになり、制御部13はこの乗降板スイッチ信号の入力を常時監視している。また、保守点検時等に作業員が遠隔操作箱21を接続コネクタ20を介して制御部13に接続すると、接続コネクタ20の接続検出回路22から制御部13にコネクタ接続信号が入力されることになり、制御部13はこのコネクタ接続信号の入力を常時監視している。
【0035】
そして、制御部13は、以上の各信号のうちの何れかの入力を確認したときは、低速運転解除スイッチ24からの低速運転解除信号が入力されているかどうかを判断し(ステップS5)、低速運転解除信号が入力されていない場合、すなわち作業員によって低速解除スイッチ24が操作されていない場合には、低速運転速度選択スイッチ26からの速度信号に応じて、周波数変換装置14のインバータ制御部14bに低速指令を出力する(ステップS6〜ステップS10)。
【0036】
具体的には、低速運転速度選択スイッチ26からの速度信号が「低速1」を指定する信号である場合には、制御部13は、インバータ制御部14bに「低速1」での運転を指示する低速指令を出力し、低速運転速度選択スイッチ26からの速度信号が「低速2」を指定する信号である場合には、制御部13は、インバータ制御部14bに「低速2」での運転を指示する低速指令を出力し、低速運転速度選択スイッチ26からの速度信号が「低速3」を指定する信号である場合には、制御部13は、インバータ制御部14bに「低速3」での運転を指示する低速指令を出力する。
【0037】
これにより、周波数変換装置14のインバータ回路14aの出力周波数が低速運転速度選択スイッチ26により選択された低速度に対応した周波数に設定され、電動機4がこの出力周波数で動作されて、乗客コンベアが選択された低速度で運転されることになる。
【0038】
一方、制御部13は、寸動運転切り換えスイッチ23からの寸動運転信号、点検スイッチ類25からの点検スイッチ信号、乗降板開放検知スイッチ18a,18bからの乗降板スイッチ信号、接続コネクタ20からのコネクタ接続信号が何れも入力されていないとき、又は低速運転解除スイッチ24から低速運転解除信号が入力されているときには、周波数変換装置14のインバータ制御部14bに通常運転速度指令を出力する(ステップS11)。
【0039】
これにより、周波数変換装置14のインバータ回路14aの出力周波数が通常運転速度に対応した周波数に設定され、電動機4がこの出力周波数で動作されて、乗客コンベアが通常運転速度(例えば30m/分)で運転されることになる。
【0040】
以上説明したように、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいては、寸動運転切り換えスイッチ23が寸動運転モード側に操作されたとき、或いは点検スイッチ類25が操作されたとき、或いは乗降板開放検知スイッチ18a,18bによって乗降板17a,17bの開放が検知されたとき、或いは遠隔操作箱21が当該制御部13に接続されたときに、これらの操作に連動して、制御部13が乗客コンベアの運転速度が通常速度よりも低速度となるように制御するようにしているので、保守点検時等に、作業員が操作パネル19a,19bの速度変更スイッチを操作したり、周波数変換装置14の設定周波数を変更する等の操作を行ったりすることなく低速運転することができ、作業員の負担を軽減しながら、作業時における安全性を向上させることができる。
【0041】
また、低速運転速度選択スイッチ26を設けて低速運転時における低速の度合いを作業員が選択できるようにしているので、状況に応じて最適な速度で低速運転を行うことができ、作業性の向上を図ることもできる。更に、低速運転解除スイッチ24を設けて、保守点検時等に自動的に設定される低速運転を作業員の操作によって解除できるようにしているので、保守点検時等であっても必要な場合には運転速度を通常速度に切り換えることもでき、動作確認等の試験も特に支障なく行うことができる。
【0042】
ところで、保守点検時等に寸動運転を行う場合、作業員が不用意に短い間隔での運転を繰り返すと、電動機4をはじめ駆動装置3に過度な負担がかかるばかりか、安全性を損なう要因となることも考えられる。そこで、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいては、寸動運転モードでの運転を行う際に、制御部13が寸動運転モード時における運転周期の中で最低限運転を停止させる時間を設定して、運転間隔を制御するようにしている。
【0043】
寸動運転モード時における制御部13の制御内容の一例を図4にフローチャートで示す。
【0044】
この図4に示すように、寸動運転切り換えスイッチ23が寸動運転モード側に操作されて寸動運転切り換えスイッチ23から制御部13に寸動運転信号が入力されている状態で、作業員により操作パネル19a,19bに設けられた起動スイッチが操作されて、この起動スイッチから制御部13に起動信号が入力されると、最低限運転を停止させる時間であることを示す最低限停止フラグがOFFとなっていることを条件に、制御部13は、起動信号が入力されている時間だけ乗客コンベアを低速度で運転させる(ステップ21〜ステップS24)。
【0045】
その後、作業員が操作パネル19a,19bの起動スイッチの操作を止め、起動スイッチから制御部13への起動信号の入力が途絶えると、制御部13は、最低限停止フラグをONさせ、同時に乗客コンベアの運転を停止させる(ステップS25〜ステップS27)。
【0046】
最低限停止フラグがONになっている状態では、制御部13は、起動スイッチから起動信号が入力されても、これを無効として乗客コンベアの運転は停止させた状態に維持する。そして、制御部13は、最低限停止フラグがONしてから予め設定された最低限停止時間をカウントして、最低限停止時間がカウントアップされた段階で最低限停止フラグをOFFに切り換える(ステップS28〜ステップS31)。
【0047】
制御部13は、寸動運転切り換えスイッチ23が寸動運転モード側に操作されている間、以上の処理を繰り返し行って、寸動運転モード時における運転間隔を制御する。そして、寸動運転切り換えスイッチ23が連続運転モード側に切り換えられると、一連の寸動運転モード時における制御が終了することになる。
【0048】
以上のように、寸動運転モード時においては、制御部13が最低限停止させる時間を設定して運転間隔を制御することにより、作業員による不用意な運転が制限されて、駆動装置3への負担低減や安全性の更なる向上を図ることが可能となる。
【0049】
ところで、速度切換え式乗客コンベアの保守点検時等に作業員が遠隔操作箱21を用いる場合、作業効率の向上を図るためには、遠隔操作箱21での操作によって乗客コンベアの運転速度が自在に切り換えられるようにすることが望ましい。また、遠隔操作箱21での操作によって運転速度の切り換えを適切に行うためには、作業者が現在の運転速度を確実に把握できるようにすることが望ましい。そこで、本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアにおいては、遠隔操作箱21に、図5に示すように、通常設けられている上昇運転スイッチ31、下降運転スイッチ32、停止スイッチ33の他、加速スイッチ34、減速スイッチ35、速度表示器36をそれぞれ設けるようにしている。
【0050】
ここで、以上のような遠隔操作箱21を用いて、作業員が遠隔操作にて乗客コンベアの運転制御を行う場合の手順について説明する。
【0051】
作業員は、遠隔操作箱21を用いて乗客コンベアの運転制御を行う場合、先ず、遠隔操作箱21を接続コネクタ20を介して制御部13に接続させる。このとき、上述したように、乗客コンベアの運転速度が自動的に低速度に設定されるため、作業員は低速運転解除スイッチ24も合わせて操作する。
【0052】
そして、乗客コンベアを起動する場合、作業員は遠隔操作箱21の上昇運転スイッチ31又は下降運転スイッチ32を操作する。これにより、任意の運転方向が選択されて、乗客コンベアの運転が開始される。本例においては、運転開始時は常に通常運転速度(30m/分)で運転が開始されるものとする。
【0053】
その後、作業員は、必要に応じて遠隔操作箱21の加速スイッチ34や減速スイッチ35を操作する。これにより、予め設定されている多段階の運転速度へ、一段階ずつの加速又は減速が行われることになる。このとき、遠隔操作箱21に設けられた速度表示器36には、現在の運転速度が表示されるので、作業員はこの速度表示器36を参照することで現在の運転速度を確実に把握することができ、所望の運転速度への切り換えを適切に行うことができる。速度表示器36の表示例としては、「30m/分」、「40m/分」といったような運転速度をそのまま表示する例や、「低速」、「中速」、「高速」といったように速度の度合いを表示するする例が考えられる。
【0054】
また、乗客コンベアを停止させる場合には、作業員は遠隔操作箱21の停止スイッチ33を操作する。これにより、乗客コンベアの運転が停止される。なお、その後の再起動時には、運転開始時の運転速度は通常運転速度(30m/分)となり、作業員が遠隔操作箱21の加速スイッチ34や減速スイッチ35を操作することによって、その操作に応じて運転速度が切り換えられることになる。
【0055】
以上のように遠隔操作箱21に加速スイッチ34や減速スイッチ35を設け、遠隔操作箱21の操作によって乗客コンベアの加減速制御できるようにすることで、保守点検時等における作業効率を更に向上させることができる。また、以上の例では、一段階ずつの加速、減速となるように運転速度の切り換えが行われるため、運転速度を何段階で切り換え可能かといった仕様によらず、いかなる仕様の速度切換え式乗客コンベアであっても適用が可能である。また、速度表示器36を遠隔操作箱21に設置することにより、作業員は手元で乗客コンベアの現在の運転速度を確実に把握することができるため、所望の運転速度への切り換えを適切且つ容易に行うことができる。
【0056】
なお、ここでは、以上のような遠隔操作箱21を、保守点検時等に運転速度が自動的に低速度へと切り換えられる速度切換え式乗客コンベアに用いた例について説明したが、以上のような遠隔操作箱21は、保守点検時等に自動的に低速運転が行われる機能を有しない速度切換え式乗客コンベアに対しても、有効に適用可能である。
【0057】
【発明の効果】
本発明に係る速度切換え式乗客コンベアによれば、寸動運転切り換えスイッチが操作されたとき、又は乗降板が開放されたとき、又は遠隔操作箱が運転制御手段に接続されたときに、操作者が運転速度切り換えのための操作を行うことなく、運転速度が自動的に通常運転速度よりも低速に切り換えられるので、操作者の操作負担を軽減しながら、保守点検や据付作業、機器の調整等を行う際の運転を低速で行って、作業員の十分な安全確保を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアの全体構成を模式的に示す概略構成図。
【図2】前記速度切換え式乗客コンベアの制御系の要部構成を示すブロック図。
【図3】保守点検等が行われる際の制御部の制御内容の一例を示すフローチャート。
【図4】寸動運転モード時における制御部の制御内容の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明を適用した速度切換え式乗客コンベアに用いられる遠隔操作箱を示す斜視図。
【符号の説明】
3 駆動装置
4 電動機
13 制御部
14 周波数変換装置
17a,17b 乗降板
18a,18b 乗降板開放検知スイッチ
21 遠隔操作箱
23 寸動運転切り換えスイッチ
24 低速運転解除スイッチ
25 点検スイッチ類
26 低速運転速度選択スイッチ
Claims (6)
- 運転速度を多段階に切換え可能な速度切換え式乗客コンベアにおいて、
周波数変換装置の出力周波数を制御することで運転速度の加減速制御を行う運転制御手段と、
運転モードを連続運転モードから寸動運転モードに切り換えるための寸動運転切り換えスイッチとを備え、
前記寸動運転切り換えスイッチが寸動運転モード側に操作されたことに連動して、前記運転制御手段が、運転速度を少なくとも通常運転速度よりも低速度となるように制御することを特徴とする速度切換え式乗客コンベア。 - 運転速度を多段階に切換え可能な速度切換え式乗客コンベアにおいて、
周波数変換装置の出力周波数を制御することで運転速度の加減速制御を行う運転制御手段と、
機械室への入口を閉塞する乗降板の開放を検知する乗降板開放検知スイッチとを備え、
前記乗降板開放検知スイッチにより乗降板の開放が検知されたことに連動して、前記運転制御手段が、運転速度を少なくとも通常運転速度よりも低速度となるように制御することを特徴とする速度切換え式乗客コンベア。 - 運転速度を多段階に切換え可能な速度切換え式乗客コンベアにおいて、
周波数変換装置の出力周波数を制御することで運転速度の加減速制御を行う運転制御手段と、
必要に応じて前記運転制御手段に接続され、遠隔操作で運転制御を行うための遠隔操作箱とを備え、
前記遠隔操作箱が前記運転制御手段に接続されたことに連動して、前記運転制御手段が、運転速度を少なくとも通常運転速度よりも低速度となるように制御することを特徴とする速度切換え式乗客コンベア。 - 操作者の操作によって、前記運転制御手段により設定される低速度の度合いを少なくとも2段階以上で選択するための低速運転速度選択スイッチを更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の速度切換え式乗客コンベア。
- 操作者の操作によって、前記運転制御手段により設定される低速度での運転を解除する低速運転解除スイッチを更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の速度切換え式乗客コンベア。
- 前記運転制御手段は、寸動運転モード時における運転周期の中で最低限運転を停止させる時間を設定して、寸動運転の運転間隔を制御することを特徴とする請求項3に記載の速度切換え式乗客コンベア。
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