JP6847774B2 - インバータ装置、空気調和機、インバータ装置の制御方法及びプログラム - Google Patents
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Description
さらに、PWM信号を停止させると、出力可能なインバータ装置の出力電圧が低下してしまう。
さらに、停止指令を生成された電圧指令に加えた第一指令だけではなく、停止指令を含まず電圧指令を含む第二指令を選択できるため、第一指令によるインバータ出力電圧の低下を抑制することができる。
以下、第1の実施形態に係るインバータ装置について、図1〜図10を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るインバータ装置1の回路構成を示す図である。
インバータ装置1は、空気調和機(空調機)90の室外機に搭載される。インバータ装置1は、上記室外機の圧縮機を駆動するための3相モータ(モータ80)に対し、別途入力される速度指令に応じた負荷駆動用交流電圧(3相交流電圧)を出力する。インバータ装置1は、この負荷駆動用交流電圧に基づいて、負荷である3相モータ(モータ80)を所望の回転数で回転駆動させる。
インバータ装置1は、直流電源PSから供給される直流電圧Vdcを、モータ80を回転駆動させるための負荷駆動用交流電圧であるU相交流電圧、V相交流電圧及びW相交流電圧の3相交流電圧に変換する。
モータ電流検出部30は、インバータ装置1からモータ80に接続されている3相の各配線に設けられる。モータ電流検出部30は、インバータ装置1からモータ80に出力される3相交流電圧(交流電圧vu、vv、vw)に関連してモータ80に流れるU相、V相、W相の各電流iu、iv、iwを検出し、各電流iu、iv、iwの検出結果を制御装置10に通知する。
インバータ主回路20は、スイッチング素子群21と、正極DC端子Qaと、負極DC端子Qbと、PWM発生部22とを備える。
正極DC端子Qa、負極DC端子Qbは、直流電源PSの正極、負極にそれぞれ接続されている。
さらに、スイッチング素子群21は、正極DC端子Qaから負極DC端子Qbへ直列に接続された上アームのスイッチング素子21VH及び下アームのスイッチング素子21VLの対を有する。
さらに、スイッチング素子群21は、正極DC端子Qaから負極DC端子Qbへ直列に接続された上アームのスイッチング素子21WH及び下アームのスイッチング素子21WLの対を有する。
本実施形態では、PWM発生部22は、補正指令部18から、補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*を取得する。PWM発生部22は、取得した補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*の各波形の各タイミングの電圧に比例したオンデューティで、PWM制御のパルス信号(以下、「PWM信号」ともいう。)を発生させる。
具体的には、PWM発生部22は、後述するスイッチング素子21UH、スイッチング素子21UL、スイッチング素子21VH、スイッチング素子21VL、スイッチング素子21WH、スイッチング素子21WLの各ゲートに対して、ゲート信号SG(21UH)、ゲート信号SG(21UL)、ゲート信号SG(21VH)、ゲート信号SG(21VL)、ゲート信号SG(21WH)、ゲート信号SG(21WL)をそれぞれ出力する。
同様に、PWM発生部22は、補正交流電圧指令vvv*に基づいてゲート信号SG(21VH)及びゲート信号SG(21VL)を生成する。
同様に、PWM発生部22は、補正交流電圧指令vvw*に基づいてゲート信号SG(21WH)及びゲート信号SG(21WL)を生成する。
図2に示すように、制御装置10は、速度指令部11、電圧指令部12、2相/3相変換部13、3相/2相変換部14、力率角設定部15、速度補正部16、位相演算部17及び補正指令部18を機能的に備える。
本実施形態では、後述するプログラムを実行することにより、コンピュータシステムを制御装置10として機能させている。
本実施形態では、速度指令部11は、電圧指令として、δ軸電圧指令vδ*及びγ軸電圧指令vγ*を生成し、出力する。
補正指令部18は、後述するように、電圧指令に、PWM信号を交流電圧指令vu*、vv*、vw*のゼロ電圧領域において停止させる指令が加えられた補正指令を生成し、インバータ主回路20を制御する。
また、フィードバック制御の必要がなく、オープン制御を行う場合、3相/2相変換部14、力率角設定部15、速度補正部16がない構成としてもよい。
本実施形態において、補正指令部18は、交流電圧指令vu*、vv*、vw*から、補正指令として、それぞれ補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*を生成し、PWM発生部22に出力する。
補正指令部18は、交流電圧指令vu*、vv*、vw*として、所望の交流電圧vu、vv、vwの各波形に相似した電圧波形を取得する。
補正指令部18は、後述する2アーム方式の制御が行われると共に、各電圧波形のゼロ電圧領域においてPWMパルスが停止されるように、取得した交流電圧指令vu*、vv*、vw*の電圧波形を補正する。
本実施形態では、補正指令部18は、交流電圧指令vu*、vv*、vw*の電圧波形を、補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*として後述する波形J2に補正する。
まず、本実施形態における2アーム方式の制御について説明する。
電圧指令(δ軸電圧指令vδ*、γ軸電圧指令vγ*)及び位相θから生成された交流電圧指令vu*、vv*、vw*がそれぞれ正弦波である場合、インバータ装置1が、当該正弦波でそのままPWM制御を行うと、スイッチング素子群21におけるスイッチング損失が大きい。
スイッチング素子群21におけるスイッチング損失を抑制するため、各スイッチング素子をそれぞれ、PWM周期の複数周期の領域全てに亘ってオンさせる制御(2アーム方式の制御)を行う。
すなわち、2アーム方式の制御として、インバータ装置1は、3相交流電圧の各相電圧(の絶対値)の大きな領域で、上アームのスイッチング素子21UH、21VH、21WH、及び下アームのスイッチング素子21UL、21VL、21WLをそれぞれ、PWM周期の複数周期の領域全てに亘ってオン(ベタオン)させる制御を行う。
このため、スイッチング損失の大きい正弦波のピーク電圧(正のピーク電圧及び負のピーク電圧)を中心に所定の電気角に亘って、PWM信号のオンデューティが100%(ベタオン)となるように、制御装置10は電圧指令を補正する。
本実施形態では、2アーム方式の制御を行うために、補正指令部18が、交流電圧指令vu*、vv*、vw*の各電圧波形のピークを中心として所定の電気角に亘って、電圧を嵩上げして、PWM信号のデューティが100%となるように、電圧波形を補正する。このような波形に補正する理由は以下のとおりである。
インバータ主回路20に所定の電圧波形を出力させる場合、PWM発生部22は、発生させたい電圧波形の各瞬間の電圧に比例するようにPWM信号のデューティを変調させて、スイッチング素子群21に所定の電圧波形を出力させる。
図3の例に示すように、PWM発生部22において、PWM信号のデューティは、基準となる三角波(又はのこぎり形状は)の電圧波形と、制御装置10から得られる電圧指令の電圧波形と、を比較することによって決定される。
このため、電圧指令の電圧を変調させれば、PWM信号のデューティを変調させることができる。図3では、三角波の電圧より電圧指令の電圧が大きい場合にオンパルスとなっている。
さらに、複数のパルス周期に亘って、三角波の最大電圧より電圧指令の電圧が大きい場合、PWM信号のオンデューティが100%(ベタオン)となり、全領域でオン信号とすることができる(領域RGX)。
このように、制御装置10は、複数のパルス周期に亘って、三角波の電圧より電圧指令の電圧が大きくなるように、電圧指令の電圧を嵩上げすると、嵩上げした領域において、PWM信号のオンデューティを100%(ベタオン)することができ、全領域でオン信号とすることができる。
したがって、本実施形態では、制御装置10は、交流電圧指令vu*、vv*、vw*の電圧波形を、三角波の最大電圧より大きな電圧に嵩上げした電圧波形に補正して、2アーム方式の制御を行うことができる。
上記のとおり、本実施形態では、まず2アーム方式の制御を行うために、交流電圧指令vu*、vv*、vw*は、正弦波のピーク電圧を中心に60°の電気角(ピーク電圧領域RGP)において、電圧が嵩上げされた交流電圧指令に補正される。
交流電圧vu、vv、vwの各線間電圧を正弦波とするには、交流電圧指令は、嵩上げした補償として、ゼロ電圧領域RGZにおいてリンギングを有する波形に整形される必要がある。ここで「ゼロ電圧領域RGZ」とは、リンギングの2つのピーク及び2つの裾を含む電圧0から0までの領域である。
具体的には、交流電圧指令vu*、vv*、vw*が、図4の破線で示される波形J1に整形されれば、交流電圧vu、vv、vwの各線間電圧を正弦波形とすることができる。
そこで、本実施形態では、交流電圧指令vu*、vv*、vw*は、補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*として、図4の実線で示される波形J2に、それぞれ補正される。すなわち、交流電圧指令vu*、vv*、vw*は、ゼロ電圧領域RGZにおいてPWM信号を停止できる波形J2に、それぞれ補正される。
具体的には、交流電圧指令vu*、vv*、vw*は、補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*として、ゼロ電圧領域RGZ全体において電圧を0としたマスク期間を有する波形J2に、それぞれ補正される。
交流電圧指令vu*、vv*、vw*が波形J2に補正されると、交流電圧vu、vv、vwの各線間電圧は、正弦波から少し崩れるものの、正弦波に近似した波形で維持される。
したがって、補正指令部18は、交流電圧指令vu*、vv*、vw*を、補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*として、波形J2に補正する。
図5に示されるように、補正交流電圧指令vvu*は、ゲート信号SG(21UH)に変換される。図5の横軸は位相θを、縦軸は電圧を示す。
逆にゲート信号SG(21UL)は、全領域でオフ信号(PWMパルス停止)となる。
ゲート信号SG(21UL)は、ゲート信号SG(21UH)の逆パターンのパルス列となる。すなわち、ゲート信号SG(21UH)がオンパルスの時、ゲート信号SG(21UL)はオフパルスとなり、ゲート信号SG(21UH)がオフパルスの時、ゲート信号SG(21UL)はオンパルスとなるようなパルス列となる。
ゲート信号SG(21UL)は、ゲート信号SG(21UH)と同様に、全領域でオフ信号(PWMパルス停止)となる。
図5に示されるように、ゲート信号SG(21WH)、ゲート信号SG(21WL)は、ゲート信号SG(21UH)、ゲート信号SG(21UL)よりそれぞれ240°遅れた位相(120°進んだ位相)となる。
中間電圧領域RGMでは、ゲート信号SG(21UH)のデューティの減少に関連して電流iuは徐々に減少する。中間電圧領域RGMとゼロ電圧領域RGZとの間では電流iuが略流れない状態となる。
ゼロ電圧領域RGZでは、ゲート信号SG(21UH)及びゲート信号SG(21UL)オフ信号に関連して、マスク期間全領域で電流iuが略流れない状態が維持されている。
V相に関しても、ゲート信号SG(21VH)、ゲート信号SG(21VL)の位相に合わせて、図6に示すように、同様な電流ivが流れる。
W相に関しても、ゲート信号SG(21WH)、ゲート信号SG(21WL)の位相に合わせて、図6に示すように、同様な電流iwが流れる。
図6に示される本実施形態の電流iu、iv、iwは、図7に比べて、正弦波から少し崩れた波形となるが、概ね滑らかな交流波形となっており、モータ80を駆動することが可能となっている。
なお、図6及び図7の横軸は位相θを、縦軸は、電流を示す。
本実施形態におけるインバータ装置1の制御方法について、図8を参照して説明する。
まず、電圧指令部12が、モータ80の速度指令を用いて電圧指令を生成する(ST1:電圧指令生成ステップ)。
続いて、補正指令部18が、電圧指令のゼロ電圧領域の少なくとも一部の期間において、PWM制御のパルス信号を停止させる指令を電圧指令に加えた補正指令を生成する(ST2:補正指令生成ステップ)。
続いて、インバータ主回路20が、補正指令に基づいて生成されたパルス信号によって、スイッチング素子群21をスイッチングさせて、直流電圧を3相交流電圧に変換する(ST3:逆変換ステップ)。
そして、図8に示すように再び電圧指令生成ステップST1に戻って、同様にST1〜ST3の処理を繰り返す。
利用者によってインバータ装置1に終了指示が入力されると、ST1〜ST3の繰り返し処理は終了する。
インバータ装置1は、ゼロ電圧領域において、PWMのパルス信号を停止させるため、スイッチング損失を低減することができる。
インバータ装置1は、電圧指令に、PWM信号を停止させる指令を加えて、PWMパルス信号のオフを制御している。
上述したように、PWM信号のデューティは、三角波の電圧波形と、制御装置10から得られる電圧指令の電圧波形と、を比較することによって決定されるため、任意のタイミングでPWM信号を停止することができる。
このため、図9に示すように、PWMのパルス信号(キャリア信号)中の任意のタイミングで、PWM信号を停止することができ、PWM停止制御へ遅延なく切り替えることが可能である。
したがって、インバータ装置1は、PWM停止制御への切替時に遅延がないため、モータ出力電流波形の歪を抑制することができる。
これに対し、特許文献1のようなベクトル制御方式のインバータ装置は、電流のゼロクロスを検出してから、PWM制御のパルス信号を停止させている。このため、参考例として図10に示されるように、ベクトル制御方式のインバータ装置は、電流のゼロクロスを検出してから、少なくともPWMのパルス信号1つ(1キャリア)、最大で2つ(2キャリア分)遅れて、実際のPWM停止制御への切り替えが実施される。したがって、モータ出力電流波形の歪が発生する。
第1の実施形態では、補正指令部18は、交流電圧指令vu*、vv*、vw*を波形J2に補正している。この場合、補正指令部18は、交流電圧指令vu*、vv*、vw*を波形J1に補正してから、波形J2に補正してもよいし、交流電圧指令vu*、vv*、vw*から、1回の処理で波形J2に補正してもよい。
例えば、γ軸電圧指令vγ*が、交流電圧指令vu*、vv*、vw*の振幅に関連する場合、電圧指令部12において、γ軸電圧指令vγ*を大きな電圧に補正する。γ軸電圧指令vγ*を大きな電圧に補正すれば、交流電圧指令vu*、vv*、vw*の各振幅を大きくできるので、少なくともピーク電圧領域RGPにおいて嵩上げすることができる。
以下、第2の実施形態に係るインバータ装置について、図11を参照しながら詳細に説明する。
図11に示すように、インバータ装置1’は、補正指令部18’を有する制御装置10’と、パルス停止部23を有するインバータ主回路20’と、を備える。
補正指令部18’は、PWM信号を停止させる指令を埋め込まず、補正指令をインバータ主回路20’に送信する。すなわち、補正指令部18’は、補正交流電圧指令とパルスを停止する停止信号とを別々に、補正指令として、インバータ主回路20’に送信する。
本実施形態では、補正指令部18’は、補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*及び停止信号SHU,SHV、SHWを補正指令として、インバータ主回路20’に送信する。
補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*は、PWM発生部22に送信され、停止信号SHU,SHV、SHWは、パルス停止部23に送信される。
パルス停止部23は、PWM発生部22と各スイッチング素子の間の配線に、PWM発生部22及び各スイッチング素子と直列に設けられる。パルス停止部23は、停止信号SHU,SHV、SHWのオフパルスが入力されると、PWM発生部22から各スイッチング素子へ送信されるPWM信号を停止する。
パルス停止部23は、停止信号SHVがオフパルスとなると、ゲート信号SG(21VH)及びゲート信号SG(21VL)を停止する。
パルス停止部23は、停止信号SHWがオフパルスとなると、ゲート信号SG(21WH)及びゲート信号SG(21WL)を停止する。
結果として第1の実施形態と同様なゲート信号を各スイッチング素子に供給する。
以下において、このような補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*及び停止信号SHU,SHV、SHWを用いたPWM制御も、「部分二相通電制御」とも記載される。
以下、第3の実施形態に係るインバータ装置について、図12〜図18を参照しながら説明する。
図12は、実施形態に係るインバータ装置101の回路構成を示す図である。
インバータ装置101は、空気調和機(空調機)190の室外機に搭載される。
インバータ装置101は、直流電源PSから供給される直流電圧Vdcを、モータ80を回転駆動させるための負荷駆動用交流電圧であるU相交流電圧、V相交流電圧及びW相交流電圧の3相交流電圧に変換する。
モータ電流検出部30は、インバータ装置101からモータ80に接続されている3相の各配線に設けられる。モータ電流検出部30は、インバータ装置101からモータ80に出力される3相交流電圧(交流電圧vu、vv、vw)に関連してモータ80に流れるU相、V相、W相の各電流iu、iv、iwを検出し、各電流iu、iv、iwの検出結果を制御装置110に通知する。
本実施形態において、インバータ主回路20の正極DC端子Qa、負極DC端子Qbは、直流電源PSの正極、負極にそれぞれ接続されている。
また、PWM発生部22は、制御装置110から受け付けた選択指令に関連して、スイッチング素子群21を駆動するゲート信号を発生させ、スイッチング素子群21をオンオフする。
PWM発生部22は、選択交流電圧指令vsu*に基づいてゲート信号SG(21UH)及びゲート信号SG(21UL)を生成する。
同様に、PWM発生部22は、選択交流電圧指令vsv*に基づいてゲート信号SG(21VH)及びゲート信号SG(21VL)を生成する。
同様に、PWM発生部22は、選択交流電圧指令vsw*に基づいてゲート信号SG(21WH)及びゲート信号SG(21WL)を生成する。
他の構成については、第1の実施形態と同様である。
図13に示すように、制御装置110は、速度指令部11、電圧指令部12、2相/3相変換部13、3相/2相変換部14、力率角設定部15、速度補正部16、位相演算部17及び選択部119と、を機能的に備える。
本実施形態では、後述するプログラムを実行することにより、コンピュータシステムを制御装置110として機能させている。
図14に示すように、選択部119は、切替部119aと、第一指令部119bと、第二指令部119cと、判定部119fと、を機能的に備える。
選択部119は、2相/3相変換部13から、交流電圧指令vu*、vv*、vw*を取得する。選択部119は、取得した交流電圧指令vu*、vv*、vw*から、選択指令として、それぞれ選択交流電圧指令vsu*、vsv*、vsw*を生成し、PWM発生部22に出力する。
選択交流電圧指令vsu*、vsv*、vsw*は、PWM発生部22において、それぞれPWM信号に変換される。さらに、PWM発生部22は、PWM信号に同期して各ゲート信号を発生させる。
切替部119aは、取得した交流電圧指令vu*、vv*、vw*を第一指令部119bへ出力するか、第二指令部119cへ出力するか、を切り替えることができる。
切替部119aは、判定部119fの指令に応じて、第一指令部119bへ出力と、第二指令部119cへ出力とを切り替える。
切替部119aによって、第一指令部119bへの出力が選択されると、第一指令部119bは、第一指令を生成する。
第一指令部119bは、電圧指令(交流電圧指令vu*、vv*、vw*)のゼロ電圧領域の少なくとも一部の期間であるマスク期間において、PWM制御のパルス信号を停止させる停止指令を、電圧指令部12で生成された電圧指令に加えた第一指令を生成する。
生成された第一指令は、選択指令として、PWM発生部22に出力される。
切替部119aによって、第二指令部119cへ出力が選択されると、第二指令部119cは、停止指令及び電圧指令のうち、停止指令を含まず、電圧指令のみを含む第二指令を生成する。生成された第二指令は、選択指令として、PWM発生部22に出力される。
本実施形態では、第二指令部119cは、交流電圧指令vu*、vv*、vw*の電圧波形を、2アーム方式の制御が行われるように、位相θを参照して、取得した交流電圧指令vu*、vv*、vw*の電圧波形を補正する。
具体的には、第二指令部119cは、交流電圧指令vu*、vv*、vw*の電圧波形を、図4の波形J1の各電圧波形に補正して第二指令とする。そして、第二指令部119cは、当該第二指令を、選択交流電圧指令vsu*、vsv*、vsw*として出力する。
判定部119fは、判定を行い、判定結果に関連した指令を切替部119aに送る。
判定部119fは、(直流電圧Vdc及び各指令に応じて)出力しようとしているインバータ出力電圧が、限界を超えているかどうかを判定する。
本実施形態において判定部119fは、部分二相通電制御におけるインバータ出力電圧の限界を超えているかどうかを判定する。
以下において、「インバータ出力電圧」とは、「インバータ装置」から「モータ」に出力される3相交流電圧の実効電圧である。
限界を超えていないと判定すると、判定部119fは、切替部119aに、第一指令部119bへ出力を切り替えるように指令を送る。
判定部119fは、直流電圧Vdcに関連して、部分二相通電制御で出力できるインバータ出力電圧を予め記憶しておく。そして、判定部119fは、所望の速度指令で要求されるインバータ出力電圧が、検出された直流電圧Vdcで出力できるインバータ出力電圧を超えているか否かを判定することで、限界を超えているかどうかを判定する。
本実施形態におけるインバータ装置101の制御方法について、図15を参照して説明する。
利用者によってインバータ装置101に終了指示が入力されると、ST101〜ST103の繰り返し処理は終了する。
第1の実施形態の作用及び効果に加え、本実施形態のインバータ装置101は、部分二相通電制御を行っている際に、インバータ出力電圧の限界に達すると、2アーム制御(又は3アーム制御)に切り替えることによって、インバータ出力電圧を更に上昇させることができる。
具体的には以下のとおりである。
3アーム制御は、3つの相共に、すべて期間に亘って、それぞれ上アームのスイッチング素子及び下アームのスイッチング素子(上下アーム)を、PWM制御させている。
3アーム制御に対して、2アーム制御は、スイッチング損失を低減させるため、3つの相のうち、1つの相の上下アームのどちらかをオンに固定した期間を持ち、残る二つの相の上下アームのみをPWM制御させている。
2アーム制御に対して、部分二相通電制御は、スイッチング損失をさらに低減させるため、マスク期間を設けている。しかし、マスク期間を設けることで、3アーム制御や2アーム制御に比べて、出力可能なインバータ出力電圧が低下する。このため、3アーム制御や2アーム制御に比べて、低回転での弱め磁束制御が必要となり、損失が増加してしまう。
ただし、3アーム制御を実施する場合、インバータ出力電圧の限界に達した場合において、3相交流電圧波形を矩形波に近づける「過変調制御」を実施することで、インバータ出力電圧は、若干上昇させることができる。
いずれにしても、インバータ出力電圧の限界に達した場合において、回転数を上昇させるには、d軸電流を増やし、d軸方向の磁束を減少させる「弱め磁束制御」を実施する必要がある。
図17の各グラフの横軸は回転数、縦軸はインバータ出力電圧を示す。図17には、回転数及びインバータ出力電圧に関連して、(1)にV/f制御、(2)に過変調制御、(3)に弱め磁束制御の各制御を適用する範囲が一例として示される。また、図17には、回転数及びインバータ出力電圧に関連して、(A)2アーム制御、(B)3アーム制御、(C)部分二相通電制御の各制御を適用する範囲が示される。
このように、部分二相通電制御では、2アーム制御や3アーム制御に比べて、出力可能なインバータ出力電圧が小さい。このため、2アーム制御や3アーム制御に比べて、低い回転数において、弱め磁束制御を適用する必要があり、損失が大きくなる。その結果、部分二相通電制御は、2アーム制御や3アーム制御に比べて効率が悪くなる。
したがって、インバータ装置101は、損失の増加を抑え、インバータ効率を向上させることができる。
以下、第4の実施形態に係るインバータ装置について、図19〜図21を参照しながら詳細に説明する。
図19に示すように、インバータ装置201は、選択部219を有する制御装置210と、インバータ主回路20と、モータ電流検出部30と、を備える。
マスク期間設定部219dは、マスク期間を設定し、設定されたマスク期間を第一指令部219bに出力する。
マスク期間変更部219eは、判定部219fの指令に応じて、マスク期間設定部219dにおいて設定されたマスク期間を変更する。
判定部219fは、判定を行い、判定結果に関連した指令をマスク期間変更部219eに出力する。
本実施形態において、判定部219fは、出力しようとしているインバータ出力電圧が、部分二相通電制御におけるインバータ出力電圧の限界を超えているかどうかを判定する。
第一指令部219bは、電圧指令(交流電圧指令vu*、vv*、vw*)のゼロ電圧領域の少なくとも一部の期間であるマスク期間において、PWM制御のパルス信号を停止させる停止指令を、電圧指令部12で生成された電圧指令に加えた第一指令を生成する。生成された第一指令は、選択指令として、PWM発生部22に出力される。
本実施形態におけるインバータ装置201の制御方法について、図21を参照して説明する。
第1の実施形態の作用及び効果に加え、マスク期間を小さくすることによって、インバータ装置201は、部分二相通電制御において、出力可能なインバータ出力電圧を上昇させることができる。
以下、第5の実施形態に係るインバータ装置について、図22〜図24を参照しながら説明する。
インバータ装置301は、空気調和機(空調機)390の室外機に搭載される。
モータ回転数検出部40は、モータ80の回転数fdを検出し、制御装置310に通知する。
切替部319aは、第3の実施形態の切替部119aと同様に、第一指令部319bへ出力と、第二指令部319cへ出力と、を切り替えることができる。
切替部319aは、判定部319fの指令に応じて、第一指令部319bへ出力と、第二指令部319cへ出力とを切り替える。
本実施形態において、判定部319fは、インバータ装置301は、部分二相通電制御を行っている際に、脱調の可能性のあるかどうかを判定する。脱調の可能性のあると判定したときは、判定部319fは、切替部319aに、第二指令部319cへ出力を切り替えるように指令を送り、2アーム制御や3アーム制御に切り替える。
判定部319fは、予め脱調の可能性のあるモータ80の回転数と、モータ80に流れる電流値との関係を記憶しておく。
モータ80において、脱調は、低回転及び高負荷時に発生する。他方で、モータ80への負荷が大きくなると、モータ80に流れる電流値が大きくなる。このため、モータ80の回転数と、モータ80に流れる電流値との関係を記憶しておけば、判定部319fは、脱調の可能性のある条件を判定することができる。
2アーム制御時のモータ80に流れる電流(図7参照)に対して、部分二相通電制御のモータ80に流れる電流(図6参考)は、矩形波に近い波形を有する。そのため、低回転、高負荷領域では、トルクが不足し、モータ80における脱調の可能性が高くなる。3アーム制御に対しても同様である。
具体的には、インバータ出力電圧が限界であるときに加えて、脱調の可能性があるときにも、部分二相通電制御のマスク期間が小さくされてもよい。インバータ装置301において、マスク期間を小さくすれば、モータ80に流れる電流が、2アーム制御や3アーム制御における波形に近づくため、脱調が抑制される。
以下、第6の実施形態に係るインバータ装置について、図25〜図29を参照しながら詳細に説明する。
図25は、実施形態に係るインバータ装置401の回路構成を示す図である。
インバータ装置401は、空気調和機(空調機)490の室外機に搭載される。
判定部419fは、(直流電圧Vdc及び各指令に応じて)出力しようとしているインバータ出力電圧が、限界を超えているかどうかを判定する。
本実施形態において、判定部419fは、部分二相通電制御におけるインバータ出力電圧の限界を超えているかどうかを判定する。
限界を超えていないと判定すると、判定部419fは、切替部419aに、第一指令部419bへ出力を切り替えるように指令を送る。
例えば、2アーム制御から部分二相通電制御への切り替えは、次のような制御を行う。
切替部419aが、第二指令部419cへの出力を、第一指令部419bへの出力に切り替えた後で、マスク期間変更部419eは、マスク期間設定部419dに設定されているマスク期間を、設定したいマスク期間に向かってマスク期間を徐々に大きくする。マスク期間変更部419eは、インバータ主回路20における直流電圧Vdcから3相交流電圧への変換(逆変換)を行いながら、マスク期間設定部419dに設定されているマスク期間を、設定したいマスク期間に向かってマスク期間を徐々に大きくする。
例えば、インバータ周期360°に対し、10bit(1024)で制御すると、0.35°の分解能で変化させることができる。
具体的には、マスク期間を徐々に変化させる各段階において、マスク期間の両側に1分解能(1制御周期で2×0.35°=0.7°)を加えることによって、マスク期間を大きくする。
すなわち、切替部419aが、第一指令部419bへの出力を、第二指令部419cへの出力に切り替える前において、マスク期間変更部419eは、マスク期間設定部419dに設定されているマスク期間を、徐々に小さくする。その後、切替部419aは、第一指令部419bへの出力を、第二指令部419cへの出力に切り替える。
本実施形態におけるインバータ装置401の制御方法について説明する。
2アーム制御から部分二相通電制御への切り替えについて、図28を参照して説明する。
部分二相通電制御から2アーム制御への切り替えでは、2アーム制御から部分二相通電制御への切り替えの逆の処理を行う。図28の処理と異なる点について、図29を参照して説明する。
部分二相通電制御と、2アーム制御との切り替えが、急激に行われると、振動が発生し、騒音となる可能性がある。
これに対し、本実施形態のインバータ装置401は、マスク期間を変更しながら、2アーム制御と、所望のマスク期間(目標マスク時間)を有する部分二相通電制御とを切り替えることができる。これにより、部分二相通電制御と、2アーム制御との切り替えにおいて、振動が抑制される。
各実施形態では、交流電圧指令vu*、vv*、vw*は、補正交流電圧指令vvu*、vvv*、vvw*(又は選択交流電圧指令vsu*、vsv*、vsw*)として、ゼロ電圧領域RGZ全体において電圧を0としたマスク期間を有する波形J2に、それぞれ補正される。
変形例として、図30のように、交流電圧指令vu*、vv*、vw*は、ゼロ電圧領域RGZの一部において電圧を0としたマスク期間を有する波形J2’に、それぞれ補正されてもよい。この場合、少なくとも、リンギングの2つのピークをマスク期間が含むように補正されてもよいし、単にゼロ電圧領域RGZの少なくとも一部の期間をマスク期間が含むように補正されてもよい。
図30は、補正交流電圧指令vvu*(又は選択交流電圧指令vsu*)が波形J2’に補正された例のみを示すが、補正交流電圧指令vvv*、vvw*(又は選択交流電圧指令vsv*、vsw*)も同様に波形J2’に補正されてもよい。
また、波形J2’のマスク期間は、電気角30°であって、ゼロ電圧領域RGZの中央に設定しているが、マスク期間は、どのような電気角、位置に設定されてもよい。
本実施形態では、シリコン半導体のスイッチング素子が用いられているが、変形例として、SiCやGaN等のワイドギャップ半導体のスイッチング素子が用いられてもよい。
変形例として、上アームのスイッチング素子及び下アームのスイッチング素子の少なくともいずれか一方を、オンさせるだけでもよい。また、他の変形例として、2アーム方式の制御を行わず、ゼロ電圧領域において、パルス信号を停止させるだけの補正指令を生成してもよい。
1’ インバータ装置
10 制御装置
10’ 制御装置
11 速度指令部
12 電圧指令部
13 2相/3相変換部
14 3相/2相変換部
15 力率角設定部
16 速度補正部
17 位相演算部
18 補正指令部
18’ 補正指令部
20 インバータ主回路
20’ インバータ主回路
21 スイッチング素子群
21UH スイッチング素子
21UL スイッチング素子
21VH スイッチング素子
21VL スイッチング素子
21WH スイッチング素子
21WL スイッチング素子
22 PWM発生部
23 パルス停止部
30 モータ電流検出部
40 モータ回転数検出部
50 直流電圧検出回路
80 モータ(3相モータ)
90 空気調和機(空調機)
90’ 空気調和機(空調機)
101 インバータ装置
110 制御装置
119 選択部
119a 切替部
119b 第一指令部
119c 第二指令部
119f 判定部
190 空気調和機(空調機)
201 インバータ装置
210 制御装置
219 選択部
219b 第一指令部
219d マスク期間設定部
219e マスク期間変更部
219f 判定部
290 空気調和機(空調機)
301 インバータ装置
310 制御装置
319 選択部
319a 切替部
319b 第一指令部
319c 第二指令部
319f 判定部
360 インバータ周期
390 空気調和機(空調機)
401 インバータ装置
410 制御装置
419 選択部
419a 切替部
419b 第一指令部
419c 第二指令部
419d マスク期間設定部
419e マスク期間変更部
419f 判定部
490 空気調和機(空調機)
PS 直流電源
Qa 正極DC端子
Qb 負極DC端子
Claims (9)
- V/f制御によって、3相モータを駆動可能なインバータ装置であって、
スイッチング素子群を有し、直流電圧を3相交流電圧に変換するインバータ主回路と、
前記3相モータの速度指令に基づいて電圧指令を生成する電圧指令部と、
前記電圧指令のゼロ電圧領域の少なくとも一部の期間であるマスク期間において、PWM制御のパルス信号を停止させる停止指令を前記電圧指令に加えた第一指令と、前記停止指令を含まず前記電圧指令を含む第二指令と、のうち、いずれかの指令を選択指令として選択して、前記インバータ主回路に前記選択指令を行う選択部と、を備え、
前記選択指令に基づいて、前記スイッチング素子群をスイッチングさせる制御を行うインバータ装置。 - 前記スイッチング素子群が、前記3相交流電圧の各相に関連して、上アーム及び下アームのスイッチング素子の対をそれぞれ備え、
少なくとも第一指令が選択された場合において、前記上アームのスイッチング素子及び前記下アームのスイッチング素子の少なくともいずれか一方を、前記3相交流電圧の各相電圧の大きな領域のうち、PWM周期の複数周期の領域全てに亘ってオンさせる制御を行う請求項1に記載のインバータ装置。 - 前記選択部が、前記3相モータへ出力される電流値及び前記3相モータの回転数に関連して、前記選択指令を行う請求項1又は請求項2に記載のインバータ装置。
- 前記マスク期間を変更するマスク期間変更部をさらに備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインバータ装置。
- 前記第二指令から前記第一指令に切り替えた後に、前記マスク期間変更部が、前記マスク期間を大きくする請求項4に記載のインバータ装置。
- 前記第一指令から前記第二指令に切り替える前に、前記マスク期間変更部が、前記マスク期間を小さくする請求項4又は請求項5に記載のインバータ装置。
- 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインバータ装置と、
前記3相モータと、
を備える空気調和機。 - スイッチング素子群を有し、直流電圧を3相交流電圧に変換するインバータ主回路を備え、V/f制御によって、3相モータを駆動可能なインバータ装置の制御方法であって、
前記3相モータの速度指令に基づいて電圧指令を生成する電圧指令生成ステップと、
前記電圧指令のゼロ電圧領域の少なくとも一部の期間であるマスク期間において、PWM制御のパルス信号を停止させる停止指令を前記電圧指令に加えた第一指令と、前記停止指令を含まず前記電圧指令を含む第二指令と、のうち、いずれかの指令を選択指令として選択して、前記インバータ主回路に前記選択指令を行う選択ステップと、
前記選択指令に基づいて、前記スイッチング素子群をスイッチングさせて、前記直流電圧を前記3相交流電圧に変換する逆変換ステップと、を実施するインバータ装置の制御方法。 - スイッチング素子群を有し、直流電圧を3相交流電圧に変換するインバータ主回路を備え、V/f制御によって、3相モータを駆動可能なインバータ装置であって、選択指令に基づいて、前記スイッチング素子群をスイッチングさせる制御を行うインバータ装置のコンピュータを、
前記3相モータの速度指令に基づいて電圧指令を生成する電圧指令部、及び
前記電圧指令のゼロ電圧領域の少なくとも一部の期間であるマスク期間において、PWM制御のパルス信号を停止させる停止指令を前記電圧指令に加えた第一指令と、前記停止指令を含まず前記電圧指令を含む第二指令と、のうち、いずれかの指令を前記選択指令として選択して、前記インバータ主回路に前記選択指令を行う選択部、
として機能させるプログラム。
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