JP6846658B2 - 培養用足場 - Google Patents

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Description

本発明は、培養用足場(以下、便宜的に培地とも称する。)に関し、特に、一方向に配列した繊維を備える培養用足場に関する。
近年、生物組織や微生物を培養するための培地として、繊維基材が注目されている(特許文献1参照)。繊維基材は、例えば、織物、編物あるいは不織布であり、三次元の構造を備える。そのため、in vitroで生理的環境に近い状態で、生物組織や微生物を培養することができる。
特表2010−517590号公報
生物組織や微生物の成長に方向性が見られる場合、繊維基材を構成する繊維は、ある一方向に配列していることが望ましい。生物組織や微生物が成長し易くなるためである。しかし、通常、繊維基材は、繊維同士の交絡によって形状が保持されており、上記のような配列性を有さない。
本発明の一局面は、基板と、第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する1つ以上の貫通孔と、を備えるとともに、前記第1の面が対向するように前記基板に搭載される枠体と、配列した複数の繊維を含み、前記基板と前記第1の面との間に介在する繊維集合体と、前記基板と前記枠体とを接着し、感圧接着剤を含む接着部と、前記繊維を前記第1の面に固定する繊維固定部と、を備え、前記繊維集合体の少なくとも一部が、前記貫通孔によって前記第1の面に形成された第1開口から露出する、培地に関する。
本発明に係る培地は、繊維が一方向に配列しているとともに、枠体に固定されているため、繊維の弛みが抑制される。よって、生物組織や微生物の成長が促進される。
本発明に係る培地を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る培地を模式的に示す断面図(a)、および、同培地を基板側から基板を透過して見たときの平面図(b)である。 本発明に係る他の培地を、基板側から基板を透過して見たときの平面図である。 本発明に係るさらに他の培地を模式的に示す断面図(a)、および、同培地を基板側から基板を透過して見たときの平面図(b)である。 本発明に係るさらに他の培地を模式的に示す断面図(a)、および、同培地を基板側から基板を透過して見たときの平面図(b)である。 培地を製造するための各工程における巻取回転体、枠体および基板を模式的に示す側面図である((a)〜(c))。 本発明に係る巻取回転体の一例を示す斜視図である。 繊維の配列を説明するための繊維集合体の一部の領域の概略上面図である。
[培地]
本実施形態に係る培地は、例えば、生物組織や微生物を保持した状態で、これらの電位を測定するための電位測定装置に好適に利用される。
培地の一例を図1に示す。図1は、培地100を模式的に示す斜視図である。
培地100は、基板110と、基板110に搭載される枠体120と、基板110と枠体120との間に介在する繊維集合体130と、を備える。ただし、繊維集合体130は、基板110の枠体120が搭載されている搭載面110Xの全面ではなく、枠体120の一方の主面(第1の面120X)に対向する範囲内に配置されている。繊維集合体130が必要な部分にのみ配置されているため、生産性が高い。培地100は、必要に応じてホルダーなどに収容されて、電位測定装置に配置されてもよい。
(繊維集合体)
繊維集合体130は、複数の繊維131の集合体である。繊維集合体130において、複数の繊維131は一方向に配列している。複数の繊維131が一方向に配列しているとは、繊維集合体130において、繊維131同士が交差していないか、繊維131同士が交わる平均的な角度が、0°を超え60°以下であることをいう。このように、複数の繊維131が配列した状態である場合、その繊維131の配列方向に沿って繊維131が伸び易いため、生物組織や微生物へのストレスが低減される。よって、繊維131の配列方向に沿って生物組織や微生物が成長し易くなる。
ここで、繊維131同士が交わる平均的な角度は、繊維131の平均的な長さ方向の交わりから決定できる。繊維131の平均的な長さ方向は、例えば、繊維集合体130をその法線方向から見たときのSEM写真に基づいて決定することができる。図7は、繊維の配列を説明するための繊維集合体の概略上面図である。図7では、繊維集合体130を法線方向から撮影したSEM写真における繊維集合体130の状態を模している。複数の繊維131で構成される繊維集合体130を法線方向から見て、所定のサイズ(例えば、100μm×100μm)の正方形の領域Rを設定する。このとき、領域Rは、領域R内に12本以上の繊維131が入り、かつ領域R内に位置する繊維131の50%以上が領域Rの対向する2辺と交差するように決定する。この領域Rにおいて、ある繊維131が、上記の対向する2辺と交差する2点間を結んだ直線(図7では点線)の方向を、その繊維131の平均的な長さ方向とする。
繊維131同士が交わる平均的な角度は、例えば、上記領域Rにおいて、任意に選択した複数(例えば、20本)の繊維131から、さらに任意に2本の繊維131を選択し、各繊維131の平均的な長さ方向が交わる角度(例えば、図7のθ1)を求める。別の2本の繊維131を選択し、各繊維131の平均的な長さ方向が交わる角度(例えば、図7のθ2)を求める。このような作業を、選択した残りの繊維131(例えば、16本)について行う。そして、それぞれの角度の平均を算出し、繊維131同士が交わる平均的な角度とする。
繊維集合体130の単位面積に占める繊維131の面積の割合は10〜90%から選択できる。例えば、心筋細胞の培養や電位測定装置に利用する場合には、繊維集合体130はごく薄く、単位面積当たりに占める繊維131の割合は20〜50%であり、30〜40%で均一に分散して堆積していることが好ましい。なお、繊維131の面積の割合は、繊維集合体130の一方の主面(例えば、上面)において、繊維集合体130における所定の面積(例えば、短軸3mm×長軸6mmの楕円形)の領域について、光学顕微鏡等で取得した画像を2値化処理して、繊維131が占める面積を算出し、単位面積当たりの面積比率(%)に換算することにより求めることができる。
繊維131の材質は、生物組織や微生物の培地として用いることができる限り特に限定されない。なかでも、生物組織や微生物に対する親和性が高く、培養する際、生物組織や微生物にストレスを与え難い点で、繊維131は、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックポリマーと、当該ブロックポリマーとは異なるスチレン樹脂と、を含むことが好ましい。繊維131は、必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。
ブロックポリマーは、例えば、ポリブタジエン(PB)ブロックとポリスチレン(PS)ブロックとが連結したジブロック体であってもよいが、PBブロックとPSブロックとが交互に連結したトリブロック体以上のポリブロック体が好ましい。ブロックポリマーは、スチレン樹脂との親和性を確保する観点から、少なくとも末端にPSブロックを含むことが好ましい。PBブロックは、得られる繊維131の柔軟性や伸度を高める。
ブロックポリマー中のPBブロックの含有量は、例えば、10〜30質量%であり、15〜30質量%であることが好ましく、20〜30質量%または20〜25質量%であることがさらに好ましい。PBブロックの含有量がこのような範囲である場合、スチレン樹脂との親和性が高くなって、均質な繊維131が生成され易くなる。また、得られる繊維131は高い柔軟性および伸度を備える。さらに、繊維131を電界紡糸法により生成させる場合、高い曳糸性が確保される。
スチレン樹脂としては、上記のブロックポリマーとは異なるポリマーが使用される。スチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン(スチレンホモポリマー)、スチレンと他の共重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン樹脂は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせてもよい。
繊維131の柔軟性と形成し易さとを両立させる観点から、ブロックポリマーとスチレン樹脂との質量比(=ブロックポリマー:スチレン樹脂)は、例えば、2:1〜1:5であり、好ましくは1:1〜1:4である。特に、溶液を用いる電界紡糸法により繊維集合体130を形成する場合には、質量比がこのような範囲であると、ブロックポリマーおよびスチレン樹脂を溶媒に溶解し易く、高い紡糸性を確保することもできる。
繊維131の平均繊維径は、例えば、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましく、1.5〜4μmが特に好ましい。
なお、平均繊維径とは、繊維131の直径の平均値である。繊維131の直径とは、繊維131の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、繊維集合体130の1つの主面の法線方向から見たときの、繊維131の長さ方向に対して垂直な方向の幅を、繊維の直径と見なしてもよい。平均繊維径は、例えば、繊維集合体130に含まれる任意の10本の繊維の任意の箇所の直径の平均値である。
(枠体)
枠体120は、第1の面120Xと、その反対側の第2の面120Yと、第1の面120Xから第2の面120Yに貫通する1つ以上の貫通孔121と、を備える。第1の面120Xの表面には、貫通孔121の少なくとも一部を覆うように、繊維集合体130が配置される。すなわち、貫通孔121の第1の面120X側の開口(第1開口121a。図2A等参照。)からは、繊維集合体130(繊維131)が露出する。
枠体120が基板110に搭載されると、第1開口121aが繊維集合体130を介して基板110によって塞がれて、基板110の搭載面110Xには少なくとも1つの窪みが形成される。この窪みに、貫通孔121の第2の面120Y側の開口(第2開口)から生物組織または微生物を含む培養液が注入される。注入された生物組織または微生物は、繊維集合体130を足場として成長する。繊維集合体130を構成する繊維131は、一方向に沿った状態で配列しているため、生物組織または微生物は、繊維131の長さ方向に沿って、ストレスの少ない状態で成長することができる。
枠体120の材質は特に制限されず、ガラス製や樹脂製(エラストマー製も含む)であってもよい。枠体120のサイズは、第1主面120Xの全面が基板110に対向でき、かつ、基板110に配置される電極(後述参照)の配線の妨げにならない限り、特に限定されない。
貫通孔121の数も特に限定されず、枠体120のサイズや用途に応じて適宜設定すればよい。第1開口121aおよび第2開口の形状および大きさも特に限定されず、用途等に応じて適宜設定すればよい。第1開口121aおよび第2開口の形状および大きさは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。貫通孔121によって形成される上記窪みの形状も特に限定されない。例えば、第1開口121aおよび第2開口がともに円形である場合、窪みの形状は、円柱状であってもよいし、すり鉢状であってもよい。なかでも、培養液が注入し易い点で、上記窪みは、第2開口が大きいすり鉢状であることが好ましい。
(基板)
基板110は絶縁性であって、例えば、図示しない複数の電極(第1電極)と、第1電極と電気的に接続する複数のマイクロ電極(第2電極)とを備えている。複数の第1電極は、互いに絶縁されている。複数の第2電極203は、行列方式にて所定の間隔で形成されており、互いに絶縁されている。
複数の第1電極は、繊維集合体130に接触しないように配置されている一方、複数の第2電極は、繊維集合体130の少なくとも一部に接触するように配置されている。第1電極と第2電極との間の電圧を測定することにより、繊維集合体130(すなわち、生物組織または微生物)の電位が測定できる。このように、繊維集合体130の電位の経時的な変化や条件を変更した際の変化を計測することにより、この電位変化に基づく、生物組織または微生物の状態や機能などを評価することができる。このとき、生物組織または微生物はストレスの少ない状態でいるため、精度の高い評価が可能となる。さらには、第1電極と第2電極との間に電圧を印加することにより、生物組織または微生物に刺激(電気信号)を与えて、これらの成長を促すことができる。
基板110は、絶縁性である限り特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよい。基板としては、例えば、ガラス板、石英板、アクリル板などが例示される。第1電極も特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよい。第1電極としては、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)電極や白金電極などが例示される。
第2電極としては、生物組織や微生物の電位を測定可能であればよく、用途に応じて適宜選択できる。第2電極のサイズ、隣接する第2電極間の距離、第2電極の個数は、生物組織や微生物の種類やサンプルのサイズなどに応じて適宜選択できる。第2電極の一辺の長さ(円盤状の場合には直径)は、例えば、10〜100μmであり、15〜60μmであってもよい。隣接する第2電極間距離(第2電極の中心間距離)は、例えば、50〜1000μmであり、50〜500μmであってもよい。
(接着部)
基板110と枠体120と繊維集合体130とは、接着部140を介して接着されている。繊維集合体130は、一方向に配列する繊維131の集合体であるため、例えば、枠体120に接着剤を付与すると、繊維131の間に入り込んで基板110側にまで浸透し、枠体120と基板110とを接着する接着部140を形成する。同様に、基板110に接着剤を付与すると、枠体120側にまで浸透し、枠体120と基板110とを接着する接着部140を形成する。いずれの場合も、繊維集合体130の一部は、接着部140に埋め込まれるように保持される。なお、第1開口121aに対応する領域には、接着部140は形成されていない。
接着部140は感圧接着剤を含む。感圧接着剤は、その粘着性により、枠体120と基板110(さらには、繊維集合体130。以下、同じ。)とを接着する。感圧接着剤は、硬化させるための特別なステップや装置が省略できる点で適している。感圧接着剤は、基板110あるいは枠体120に塗布され、その粘着性により、枠体120と繊維集合体130と基板110とを接着する。感圧接着剤の材質は特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂等が挙げられる。シリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。
接着部140は、第1の面120Xの第1開口以外の全面に対向するように形成されてもよいし、第1の面120Xに対向する位置に部分的に形成されてもよい。このとき、接着部140の材料(接着剤)は、枠体120に付与されてもよいし、基板110に付与されてもよい。なかでも、繊維集合体130の第1の面120Xからの剥離を抑制できる点で、接着剤は、枠体120の第1の面120Xの第1開口以外の全面に付与されることが好ましい。さらにこの場合、培地100において、繊維集合体130と枠体120(第1の面120X)との距離よりも、繊維集合体130と基板110(搭載面110X)との距離が近くなり易い。よって、繊維集合体130の電位の測定の精度が高まる。
一方、繊維集合体130の剥離抑制と、基板110と枠体120との接着とを考慮すると、接着剤は、枠体120の第1の面120Xおよび基板110の搭載面110Xのそれぞれに付与されることが好ましい。第1の面120Xに付与された接着剤により形成される接着部(第1の接着部140A)と搭載面110Xに付与された接着剤により形成される接着部(第2の接着部140B)とは、それぞれ繊維131を内包しながら互いに接触し得る。なお、図示例では、便宜上、接着部140を、繊維集合体130を挟んで、枠体120側の第1の接着部140Aと、基板110側の第2の接着部140Bとにわけて示している。接着性の観点から、第1の接着部140Aおよび第2の接着部140Bは、同じ材質の接着剤(感圧接着剤)を含むことが好ましい。第1の接着部140Aと第2の接着部140Bとは、全面が対向していてもよいし、部分的に対向していてもよい。
接着部140(あるいは、第1の接着部140Aおよび第2の接着部140Bの合計)の厚みは、特に限定されない。なかでも、繊維集合体130と枠体120との接着性、さらには基板110と枠体120との接着性を確保する観点から、接着部140の厚みは、10〜500μmであることが好ましい。
(繊維固定部)
感圧接着剤を含む接着部140は、外圧によって変形し易い一方、外圧から解放されても元の状態には戻り難い。そのため、例えば、枠体120に主面(例えば第1の面120X)方向の外圧が加わると、枠体120が、基板110に対して第1の面120Xの方向に沿ってずれる場合がある。基板110に対して枠体120がずれると、接着部140は枠体120に追随するように変形する。繊維集合体130は、その一部が接着部140に埋め込まれることによって保持されているため、接着部140が変形すると、繊維131の配向が乱れる。また、変形した接着部140の一部が第1開口121aから露出する場合もある。第1開口121aから露出した接着部140は、培養の妨げになったり、電位測定の精度の低下を引き起こしたりする。また、枠体120に第1の面120Xに垂直な方向の外圧が加わると、接着部140は押し広げられるように変形して、基板110と枠体120との距離が変わる場合がある。上記のとおり、繊維集合体130は接着部140によって保持されているため、このような接着部140の変形により繊維131が弛む。
接着部140の上記変形に伴って生じる繊維131の配向の乱れや弛み等(以下、変位と称す。)を抑制するために、繊維131を第1の面120Xに固定する繊維固定部を配置する。繊維固定部により、繊維131の初期のテンションや配列が維持されて、生物組織や微生物の成長を促進する効果が向上する。
繊維固定部は、例えば、熱硬化性樹脂の硬化物により形成される(第1実施形態)。あるいは、繊維固定部は、繊維131の一部が枠体120の第1の面120Xに融着することにより形成される(第2実施形態)。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る繊維固定部について、説明する。
第1実施形態に係る繊維固定部は、感圧接着剤以外の材料により、繊維131を第1の面120Xに固定する部材であり、例えば硬化性樹脂の硬化物により形成される。硬化性樹脂の種類は特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂を用いる場合、後述する転写工程の前に硬化性樹脂を半硬化状態にしておくことが好ましい。この場合、転写工程の後、あるいは、搭載工程の後、さらに硬化作業を行って、硬化性樹脂を完全に硬化させる。
繊維固定部は、接着部140と接触しない位置に配置されてもよいし(態様A)、接着部140に接触する位置に配置されてもよい(態様B)。
態様Aについて、図2Aおよび図2Bを参照しながら説明する。図2A(a)は、繊維固定部180Aを備える培地100を模式的に示す断面図であり、図2A(b)は、図2A(a)の培地100を、基板110側から基板110を透過して見たときの平面図である。図2Bは、繊維固定部180Aを備える他の培地100を、基板110側から基板110を透過して見たときの平面図である。なお、図2A(b)および図2Bでは、便宜的に接着部140および繊維固定部180Aにハッチングを付している一方、繊維集合体130を省略している。
繊維固定部180Aは、基板110と枠体120との間の接着部140が形成されていない領域であって、第1開口121aに対向しない位置に配置される。これにより、繊維131は、繊維固定部180Aによって直接的に第1の面120Xに固定されて、変位が抑制される。
このような繊維固定部180Aは、例えば以下のようにして形成される。すなわち、枠体120の第1の面120Xあるいは基板110の搭載面110Xの一部に感圧接着剤を塗布した後、当該面の他の部分に硬化性樹脂を塗布し、次いで、第1の面120Xに繊維集合体130を転写する。続いて、繊維集合体130を備える枠体120を基板110に搭載した後、加熱あるいは紫外線照射を行って、硬化性樹脂を硬化させる。
繊維固定部180Aの形状(配置)は、接着部140と接触しない限り、特に限定されない。例えば、図2A(b)に示すように直線状であってもよい。この場合、複数の繊維131を効率よく固定できる点で、繊維固定部180Aと繊維131とを交差させることが好ましい。つまり、繊維固定部180Aの長手方向が、繊維131の配列方向Dと交差するように、繊維固定部180Aを配置することが好ましい。繊維固定部180Aの長手方向と繊維131の配列方向Dとのなす角度(ただし、≦90°)は、例えば、60°以上、90°以下であることが好ましい。
繊維固定部180Aは、少なくとも1つの第1開口121aを挟むように、少なくとも2箇所、形成されることが好ましい。このとき、直線状の繊維固定部180Aは、例えば図2Aに示すように、枠体120の外縁近傍に、対向するように2本配置してもよいし、図2Bに示すように、さらに、第1開口121a同士の間に配置してもよい。また、1本の繊維固定部180Aは、1つの第1開口121aに対向する長さであってもよいし、図2Aおよび図2Bのように、複数の第1開口121aに対向できる長さであってもよい。
繊維固定部180Aの大きさは特に限定されず、接着部140の大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。なかでも、繊維131の固定性の観点から、第1の面120Xの法線方向から見たときの、接着部140の面積に対する繊維固定部180Aの面積割合(複数ある場合には合計の面積割合)は、1〜10%であることが好ましい。
次に、態様Bについて、図3を参照しながら説明する。図3(a)は、繊維固定部180Bを備える培地100を模式的に示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)の培地100を、基板110側から基板110を透過して見たときの平面図である。ここでも、便宜的に接着部140および繊維固定部180Bにハッチングを付している一方、繊維集合体130を省略している。
繊維固定部180Bは、繊維固定部180Aと同様、例えば硬化性樹脂の硬化物により形成される。ただし、繊維固定部180Bは、接着部140に接触する位置に配置される。繊維固定部180Bは、接着部140の変形(特に、接着剤のずれによる変形)を抑制することによって、繊維131を間接的に固定する。
このような繊維固定部180Bは、例えば、以下のようにして形成される。まず、枠体120の所定の位置に、貫通孔121とは異なる貫通する穴(固定部形成穴122)を形成する。枠体120の第1の面120Xあるいは基板110の搭載面110Xに感圧接着剤を塗布した後、第1の面120Xに繊維集合体130を転写し、続いて、繊維集合体130を備える枠体120を基板110に搭載する。その後、固定部形成穴122に硬化性樹脂を充填して、加熱あるいは紫外線照射を行うことにより、硬化性樹脂を硬化させる。この方法によれば、接着部140の配置が制限されないため、基板110と枠体120との接着性が損なわれない。一方で、繊維固定部180Bの配置を制御できるため、硬化性樹脂の第1開口121aからのはみ出しを抑制することができる。
繊維固定部180Bの形状(配置)は、接着部140と接触できる限り、特に限定されない。例えば、図3に示すように直線状であってもよい。この場合も、複数の繊維131を効率よく固定できる点で、繊維固定部180Bの長手方向が、繊維131の配列方向Dと交差するように、繊維固定部180Bを配置することが好ましい。繊維固定部180Bの長手方向と繊維131の配列方向Dとのなす角度(ただし、≦90°)は、例えば、60°以上、90°以下であることが好ましい。
繊維固定部180Bは、少なくとも1つの第1開口121aを挟むように、少なくとも2箇所、形成されることが好ましい。このとき、直線状の繊維固定部180Bは、例えば図3に示すように、枠体120の外縁近傍に、互いに対向する2本を配置してもよいし、さらに、第1開口121a同士の間に配置してもよい。また、1本の繊維固定部180Bは、図3のように、1つの第1開口121aに対向する長さであってもよいし、複数の第1開口121aに対向できる長さであってもよい。
直線状の繊維固定部180Bは、例えば、枠体120の所定の位置にスリット状の固定部形成穴122を設け、これに硬化性樹脂を充填し、硬化することにより形成することができる。
繊維固定部180Bの大きさは特に限定されず、接着部140の大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。なかでも、繊維131の固定性の観点から、第1の面120Xの法線方向から見たときの、接着部140の面積に対する繊維固定部180Bの面積割合(複数ある場合には合計の面積割合)は、1〜8%であることが好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る繊維固定部について、図4を参照しながら説明する。図4(a)は、繊維固定部180Cを備える培地100を模式的に示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)の培地100を、基板110側から基板110を透過して見たときの平面図である。ここでも、便宜的に接着部140および繊維固定部180Cにハッチングを付している。なお、図4(a)では、繊維131を図示する一方、図4(b)では、繊維131および繊維集合体131を省略している。
第2実施形態に係る繊維固定部180Cは、繊維131の一部が枠体120の第1の面120Xに融着することにより形成される。つまり、本実施形態では、繊維131自身の一部を第1の面120Xに固定することにより、繊維131の変位を抑制する。
このような繊維固定部180Cは、例えば、以下のようにして形成される。すなわち、枠体120の第1の面120Xあるいは基板110の搭載面110Xの一部に感圧接着剤を塗布した後、第1の面120Xに繊維集合体130を転写する。続いて、感圧接着剤が塗布されていない部分に対向する繊維131を、所定の温度に加熱した金属板を当接させること等により加熱して、溶融あるいは軟化した繊維131を第1の面120Xに融着させる。
繊維固定部180Cの形状(配置)は、接着部140と接触しない限り、特に限定されない。例えば、図4(b)に示すように直線状であってもよい。この場合、複数の繊維131を効率よく固定できる点で、繊維固定部180Cと繊維131とを交差させることが好ましい。つまり、繊維固定部180Cの長手方向が、繊維131の配列方向Dと交差するように、繊維固定部180Cを配置することが好ましい。繊維固定部180Cの長手方向と繊維131の配列方向Dとのなす角度(ただし、≦90°)は、例えば、60°以上、90°以下であることが好ましい。
繊維固定部180Cは、少なくとも1つの第1開口121aを挟むように、少なくとも2箇所、形成されることが好ましい。このとき、直線状の繊維固定部180Cは、例えば図4に示すように、枠体120の外縁近傍に、対向するように2本配置してもよいし、さらに、第1開口121a同士の間に配置してもよい。また、1本の繊維固定部180Cは、1つの第1開口121aに対向する長さであってもよいし、図4(b)のように、複数の第1開口121aに対向できる長さであってもよい。
繊維固定部180Cの大きさは特に限定されず、繊維131の長さ等に応じて、適宜設定すればよい。なかでも、繊維131の固定性の観点から、第1の面120Xの法線方向から見たとき、繊維固定部180Cの一箇所あたり50〜2000μmの長さで、繊維131が第1の面120Xに融着していることが好ましい。
[培地の製造方法]
以下、本実施形態の製造方法を図面を参照しながら説明する。図5(a)〜(c)は、本実施形態の各工程における巻取回転体10、枠体120および基板110等を模式的に示す側面図である。
本実施形態に係る培地100は、例えば、第1の面120Xと、その反対側の第2の面120Yと、第1の面120Xから第2の面120Yに貫通する1つ以上の貫通孔121と、を備える枠体120、および、枠体120を搭載する搭載面110Xを備える基板110であって、枠体120の第1の面120Xの少なくとも一部および基板110の搭載面110Xの一部の少なくとも一方に接着部140を有する、枠体120および基板110を準備する準備工程と、繊維131の原料液をノズル51から吐出して、繊維131を生成させるとともに、繊維131を巻取回転体10の周面に周回するように堆積させて、繊維集合体130を形成する堆積工程と、巻取回転体10を回転させながら、繊維集合体130を枠体120の第1の面120Xに転写する転写工程と、繊維集合体130が転写された枠体120を、第1の面120Xが対向するように、基板110に搭載する搭載工程と、第1の面120Xに転写された繊維131を第1の面120Xに固定する繊維固定工程と、を具備する方法により製造される。
この方法では、繊維131を紡糸しながら巻取回転体で巻き取っていくため、巻取回転体の周面に形成される繊維集合体130は、一方向への高い配列性を備える。さらに、この繊維131の一方向への配列を維持した状態で、繊維集合体130を枠体120の第1の面120Xに転写する。その後、繊維集合体130を備える枠体120を、第1の面120Xが対向するように基板110に搭載する。これにより、巻取回転体に巻き取られたときの高い配列性を保持したまま、繊維集合体130は、基板110と枠体120との間に配置される。さらに、繊維131の一部が第1主面120Xに固定されているため、接着部140の変形に伴って生じる繊維131の変位が抑制される。
また、基板110の搭載面110Xは、電気配線の都合上、枠体120よりも十分に大きい面積を備える。一方、繊維集合体130は、枠体120に形成された複数の貫通孔121により形成される第1開口121aから露出するように配置されていればよい。そのため、繊維集合体130を、基板110ではなく枠体120に転写することにより、精密な位置合わせ等を行うことなく、必要な部分にのみ繊維集合体130を配置することができて、生産性が向上する。
上記の製造方法は、例えば、枠体120の第1の面120Xおよび基板110の搭載面110Xの少なくとも一方に、感圧接着剤を含む接着部140を形成する接着部形成部と、繊維131の原料液をノズル51から吐出して、繊維131を生成させるとともに、繊維131を、巻取回転体10の周面に周回するように堆積させて、繊維集合体130を形成する堆積部と、巻取回転体10を回転させながら、繊維集合体130を枠体120の第1の面120Xに転写する転写部と、繊維集合体130が転写された枠体120を、第1の面120Xが対向するように、基板110に搭載する搭載部と、を備える装置により実施される。繊維固定部180Aまたは180Bを配置する場合、上記装置は、さらに、枠体120の所定の位置に硬化性樹脂を塗布する硬化性樹脂塗布部、あるいは、繊維131の所定の部分を溶融あるいは軟化させる繊維加熱部を備える。
(1)準備工程
第1の面120Xと、その反対側の第2の面120Yと、第1の面120Xから第2の面120Yに貫通する1つ以上の貫通孔121と、を備える枠体120、および、枠体120を搭載するための搭載面110Xを備える基板110を準備する。
第1の面120Xあるいは搭載面110Xの少なくとも一方には、接着部140が形成されている。接着部140は、例えば、印刷、ディスペンサー等により、第1の面120Xあるいは搭載面110Xの第1開口121aに対向する部分以外の一部あるいは全部に形成される。繊維集合体130の枠体120への転写が確実に行われる点で、接着部140は、少なくとも第1の面120Xに形成されることが好ましい。
(2)堆積工程(図5(a))
原料液132から繊維131を生成させるとともに、繊維131を巻取回転体10の周面を1周以上、周回させながら堆積させる。これにより、巻取回転体10の周面には、繊維131が一方向に配向した繊維集合体130が形成される。
原料液132から繊維131を生成する方法(紡糸法)は特に限定されず、生成させる繊維131の種類等に応じて適宜選択すればよい。紡糸法としては、例えば、溶液紡糸法、溶融紡糸法および電界紡糸法等が挙げられる。
繊維131は、巻取回転体10の周面に沿って堆積するとともに、周面の法線方向に重なり合う場合もある。この繊維の法線方向の重なりは、特に、電界紡糸法により繊維を生成させる場合に多くみられる。先に堆積する繊維131は、後から堆積する繊維131の刺激によって動きやすく、配向が乱れ易い。また、後述するように、巻取回転体10が凸部10Pを備える場合、先に堆積する繊維131は、凸部10P間で弛んで、配向が乱れる場合もある。本実施形態によれば、巻取回転体10に堆積した繊維集合体130を枠体120に転写した後、さらに、この枠体120を、繊維集合体130が対向するように基板110に搭載する。そのため、得られる培地100において、後から堆積する繊維131は、枠体120の第2の面120Y側に配置される。つまり、配向の乱れの少ない繊維131が、培養液とより接触し易い方に配置される。よって、生物組織や微生物へのストレスが軽減されて、これらの成長がさらに促進される。
溶液紡糸法は、繊維131の原料を溶媒に溶解して得られた溶液を、原料液132として用いる方法である。溶媒を用いる溶液紡糸法には、いわゆる湿式紡糸法および乾式紡糸法がある。湿式紡糸法では、原料液132を凝固液中に吐出して、繊維131の原料と凝固液との化学反応により、あるいは、溶媒と凝固液との置換により、繊維131が形成される。乾式紡糸法では、原料液132を空気中に吐出した後、加熱等により溶媒を除去することにより、繊維131が形成される。なかでも、繊維131を一方向に配列させた状態で堆積させ易い点で、乾式紡糸法が好ましい。
溶融紡糸法は、繊維131の原料を加熱して溶融させた溶融液を、原料液132として用いる方法である。得られた原料液132は、空気中に吐出された後、冷却されることにより、繊維状に固化する。この場合、通常、繊維131の原料を溶解するための溶媒は使用しない。よって、溶融紡糸法は、溶媒の除去作業が省略できる点で好ましい。
電界紡糸法は、繊維131の原料を溶媒に溶解して得られた溶液を原料液132として用いる点で、溶液紡糸法と共通する。しかし、電界紡糸法では、原料液132に高電圧を印加しながら空気中に吐出する。原料液132に含まれる溶媒は、巻取回転体10の周面に到達するまでの過程において揮発する。
電界紡糸法では、原料液132に高電圧を印加するため、原料液132をプラスあるいはマイナスに帯電させる。このとき、巻取回転体10をグランドさせるか、あるいは、原料液132とは逆の極性に帯電させることにより、空気中に吐出された原料液132の吐出端は巻取回転体10に引き寄せられて、その周面に付着する。そして、原料液132を吐出しながら巻取回転体10を回転させることにより、溶液紡糸法および溶融紡糸法と同様に、繊維131は、巻取回転体10の周面に周回しながら堆積し、巻取回転体10の周面の少なくとも一部を覆い、一方向に配列する繊維131を備える繊維集合体130が形成される。
(原料液)
溶液紡糸法や電界紡糸法で利用する原料液132は、繊維131の原料と溶媒とを含む。溶融紡糸法で利用する原料液132は、溶融した繊維131の原料を含む。
溶媒としては、繊維131の原料を溶解し、揮発などにより除去可能なものであれば特に制限されず、原料の種類や製造条件に応じて、水および有機溶媒から適宜選択して使用できる。溶媒としては、非プロトン性の極性有機溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド(鎖状または環状アミドなど);ジメチルスルホキシドなどのスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
原料液132の固形分濃度は、溶媒の種類などに応じて調節できるが、例えば、5〜50質量%であり、10〜30質量%であってもよい。原料液132は、必要に応じてさらに添加剤を含んでもよい。
(巻取回転体)
巻取回転体10の一例を図6に示す。図6は、巻取回転体10の斜視図である。
巻取回転体10の構成は、回転可能である限り特に限定されず、ドラム状であってもよいし、複数のロールで張架されたベルトであってもよい。後者の場合、少なくとも1本のロールを回転駆動させて、ベルトを回転させる。巻取回転体10の材質としては、例えば、金属材料、各種樹脂、各種ゴム、セラミックスおよびこれらの組み合わせが挙げられる。巻取回転体10がベルトである場合、ベルトは、金属ベルトであってもよいし、樹脂ベルトであってもよい。電界紡糸法により繊維131が紡糸される場合、樹脂ベルトは導電性を備えることが好ましい。巻取回転体10の外形は、例えば、円柱または角柱であってもよい。
繊維131は、巻取回転体10の周面を周回する方向(以下、配列方向D)に配列しながら、巻取回転体10の周面に堆積される。配列方向Dは、例えば、巻取回転体10の回転方向(すなわち、巻取回転体10の回転軸に垂直な方向)に沿う方向である。配列方向Dと回転軸とのなす角度θ(ただし、θ≦90°)は、例えば、60°以上、90°以下でもよい。なお、配列方向Dは、繊維131を巻取回転体10の周面の法線方向から見たときの、繊維131の長手方向である。繊維131の長手方向は、巻取回転体10の周面の法線方向から見たときの繊維131の近似直線をとって、求めてもよい。角度θは、複数の繊維131の配列方向Dと回転軸とのなす角度の平均値である。巻取回転体10に堆積する複数の繊維131の配列方向Dは、上記範囲内で互いに異なっていてもよい。
巻取回転体10の周面に、巻取回転体10の回転軸に沿う方向に延伸する複数の帯状の凸部10Pを配置してもよい。これにより、巻取回転体10の周面に周回するように配列した繊維131の集合体(繊維集合体130)は、巻取回転体10から剥離され易くなる。その結果、繊維131の配列を維持したまま、繊維集合体130を枠体120に容易に転写することができる。複数の凸部10Pの端部は、回転軸と交差する方向に延伸するリブ10Rにより連結されていてもよい。
凸部10Pの形状は、帯状である限り特に限定されない。帯状とは、凸部10Pの延伸方向の長さが、延伸方向に垂直な方向の長さよりも長い形状である。凸部10Pを巻取回転体10の周面の法線方向から見たときの形状としては、例えば、矩形、台形等が挙げられる。
凸部10Pの数は特に限定されず、2本以上であればよい。なかでも、繊維集合体130の剥離性の観点から、巻取回転体10の周面に3本以上配置されることが好ましく、10本以上配置されることが好ましい。また、同様の観点から、凸部10Pは等間隔に配置されることが好ましい。なお、後述するように、繊維集合体130の枠体120(図6(b)参照)への転写工程に先立って、繊維集合体130が巻取回転体10に捲回された状態で切断される場合、切断後の繊維集合体130の少なくとも一部が凸部10Pに接触した状態になるよう、繊維集合体130は凸部10P同士の間で切断される。これにより、繊維131の配列が維持され易くなる。この場合、切断予定箇所C(図5(a)参照)の凸部10P同士の間隔を、他の部分の凸部10P同士の間隔よりも小さくすることが好ましい。
凸部10Pの短手方向の長さ(幅)は特に限定されない。なかでも、繊維集合体130の剥離性の観点から、すべての凸部10Pの巻取回転体10の周面に当接する総面積が、巻取回転体10の周面の表面積の10%以上、80%以下、特に30%以上、70%以下になるように、各凸部10Pの幅を決定することが好ましい。凸部10Pの延伸方向Dの長さも特に限定されない。なかでも、巻取回転体10の周面のうち、少なくとも繊維131が堆積し得る領域にわたって、凸部10Pが延伸していることが好ましい。
凸部10Pの高さは特に限定されない。なかでも、繊維131の弛みを抑制し、一方向への配列を維持し易い点で、凸部10Pの高さは過度に高くないことが好ましい。繊維集合体130の剥離性および繊維131の弛み抑制の観点から、凸部10Pの高さは100〜5000μmであることが好ましい。凸部10Pの高さは、巻取回転体10の周面の法線方向における平均値である。
凸部10Pの材質は特に限定されず、各種樹脂材料が挙げられる。なかでも、凸部10Pは、少なくとも繊維131との接触部にシリコーンゴム層を備えることが好ましい。繊維集合体130の剥離性がさらに向上するためである。一方で、シリコーンゴムは適度な粘着性を備えるため、転写工程の前に繊維集合体130が巻取回転体10の周面から剥離することが抑制される。
シリコーンゴムとは、主鎖がケイ素−酸素結合(シロキサン結合)により形成される、非熱可塑性の化合物である。シリコーンゴムとしては、例えば、メチルシリコーンゴム、ビニル−メチルシリコーンゴム、フェニル−メチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が挙げられる。凸部10Pの全体がシリコーンゴムにより形成されていてもよい。なお、繊維131が電界紡糸法により生成される場合、凸部10Pは導電性を備えることが好ましい。
堆積工程の後、転写工程の前に、繊維集合体130および枠体120の少なくとも一方を加熱する加熱工程を備えていてもよい。転写工程の前に繊維集合体130を加熱することにより、繊維集合体130は軟化した状態で枠体120に転写される。これにより、繊維集合体130と枠体120との密着性が向上する。また、転写工程の前に枠体120を加熱することにより、転写後、繊維集合体130に熱が伝わって軟化する。これにより、繊維集合体130と枠体120との密着性が向上する。なかでも、枠体120を加熱する方法は、繊維131の劣化が抑制できる点で好ましい。
加熱方法は特に限定されないが、繊維131の配列が維持できる点で、非接触式であることが好ましい。非接触式の加熱装置としては、例えば、ハロゲンランプ等、公知のものが挙げられる。加熱温度は、繊維131の軟化点あるいは融点等を考慮して、適宜設定すればよい。加熱温度は、例えば、繊維131が80〜140℃になるように調整する。
(3)転写工程(図5(b))
巻取回転体10を回転させながら、繊維集合体130を枠体120に転写する。
転写工程に先立って、繊維集合体130は、巻取回転体10に捲回された状態で切断予定箇所Cにおいて切断されてもよい。切断予定箇所Cは、例えば、枠体120(あるいは第1開口121a)の形状およびサイズに応じて設定される。繊維集合体130は、例えば、巻取回転体10の回転軸に沿う方向に切断される。この切断部をきっかけにして、繊維集合体130は枠体120に転写される。
枠体120は、例えばXZステージ52に支持されたステージ53に載置されて、搬送される。XZステージ52は、ステージ53、つまりステージ53に載置される枠体120を、巻取回転体10の回転軸に垂直な方向(X軸方向)および上下方向(Z軸方向)に搬送することができる。
生産性がさらに向上する点で、転写工程は、複数の枠体120に対し一括してあるいは連続的に実施されることが好ましい。この場合、複数の枠体120は、ステージ53上にY軸方向(巻取回転体10の回転軸に沿う方向)に沿って配置されてもよいし、X軸方向に沿って配置されてもよい。また、一体的に形成された複数の枠体120の集合体に対して、転写工程が行われてもよい。この場合、転写工程の後、搭載工程の前に、上記枠体120の集合体を個々の枠体120に分離する。この方法によれば、複数の枠体120に対し、一括して繊維集合体130が転写できるとともに、巻取回転体10に堆積した繊維131の大部分が枠体120の転写に利用されるため、生産性がさらに向上する。
(4)搭載工程(図5(c))
繊維集合体130が転写された枠体120を、第1の面120Xが対向するように、基板110に搭載する。このとき、枠体120と基板110との間には、接着部140および繊維集合体130が介在している。転写工程が、複数の枠体120に対し、一括してあるいは連続的に実施された場合にも、1つの基板110には1つの枠体120が搭載される。
(5)繊維固定工程
接着部形成工程の後に、第1の面120Xの接着部140に対応しない所定の位置に硬化性樹脂を塗布することにより、繊維固定部180Aが形成される。
また、搭載工程の後に、枠体120に形成された固定部形成穴122に硬化性樹脂を充填し、その後、加熱あるいは紫外線照射を行って硬化性樹脂を硬化させることにより、繊維固定部180Bが形成される。
さらに、転写工程の後、搭載工程の前に、接着部140に対向しない繊維131を、所定の温度に加熱した金属板を当接させること等により加熱して、溶融あるいは軟化した繊維131を第1の面120Xに融着させることにより、繊維固定部180Cが形成される。
本発明により得られる培地は、一方向に配列し、弛みの少ない繊維を備えるため、特に、成長に方向性がある生物組織または微生物を培養するための培地として有用である。
10:巻取回転体
10P:凸部
10R:リブ
51:ノズル
52:XZステージ
53:ステージ
100:培地
110:基板
110X:搭載面
120:枠体
120X:第1の面
120Y:第2の面
121:貫通孔
121a:第1開口
122:固定部形成穴
130:繊維集合体
131:繊維
132:原料液
140:接着部
140A:第1の接着部
140B:第2の接着部
180A、180B、180C:繊維固定部

Claims (3)

  1. 基板と、
    第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する1つ以上の貫通孔と、を備えるとともに、前記第1の面が対向するように前記基板に搭載される枠体と、
    配列した複数の繊維を含み、前記基板と前記第1の面との間に介在する繊維集合体と、
    前記基板と前記枠体とを接着し、感圧接着剤を含む接着部と、
    前記繊維を前記第1の面に固定する繊維固定部と、を備え、
    前記繊維固定部が、前記接着部が形成されていない領域に形成されるか、または、前記接着部と接触するように配置され、
    前記繊維集合体の少なくとも一部が、前記貫通孔によって前記第1の面に形成された第1開口から露出している、培養用足場
  2. 前記繊維固定部が、硬化性樹脂の硬化物により形成されている、請求項1に記載の培養用足場
  3. 前記繊維固定部が、前記繊維の一部を前記枠体の前記第1の面に融着することにより形成されている、請求項1に記載の培養用足場
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