JP6979625B2 - 培養用足場およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、培地に関し、特に、一方向に配列した繊維を備える培地に関する。
近年、生物組織や微生物を培養するための培地として、繊維基材が注目されている(特許文献1参照)。繊維基材は、例えば、織物、編物あるいは不織布であり、三次元の構造を備える。そのため、in vitroで生理的環境に近い状態で、生物組織や微生物を培養することができる。
特表2010−517590号公報
生物組織や微生物の成長に方向性が見られる場合、繊維基材を構成する繊維は、ある一方向に配列していることが望ましい。生物組織や微生物が成長し易くなるためである。しかし、通常、繊維基材は、繊維同士の交絡によって形状が保持されており、上記のような配列性を有さない。
ところで、生物組織や微生物の成長を促進する条件を見つけるために、異なる構成の培地を複数使用することは有用である。繊維基材は、三次元の培地を容易に提供できる点で好ましいが、通常、その構成は均一である。
本発明の一局面は、基板と、第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する複数の貫通孔と、を備えるとともに、前記第1の面が対向するように前記基板に搭載される枠体と、配列した複数の繊維を含み、前記基板と前記第1の面との間に介在する繊維集合体と、を備え、前記繊維集合体が、複数の第1繊維を含む第1の繊維領域と、複数の第2繊維を含み、前記第1の繊維領域と特性の異なる第2の繊維領域と、を含み、複数の前記貫通孔によって前記第1の面に形成された複数の第1開口から、前記第1の繊維領域および前記第2の繊維領域の少なくとも一部がそれぞれ露出し、前記第1繊維と前記第2繊維とがなす平均的な角度が、0°以上60°以下である、培養用足場に関する。
本発明の他の一局面は、基板と、第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する複数の貫通孔と、を備える枠体と、配列した複数の繊維を含む繊維集合体と、を準備する工程と、前記繊維集合体を介して、前記枠体を、前記第1の面が対向するように基板に搭載する搭載工程と、を備え、前記繊維集合体が、複数の第1繊維を含む第1の繊維領域および複数の第2繊維を含み、前記第1の繊維領域と特性の異なる第2の繊維領域を連続的に形成することにより得られ、前記搭載工程において、複数の前記貫通孔によって前記第1の面に形成された複数の第1開口から、前記第1の繊維領域および前記第2の繊維領域の少なくとも一部がそれぞれ露出するように前記繊維集合体が配置され、前記第1繊維と前記第2繊維とがなす平均的な角度が、0°以上60°以下である、培養用足場の製造方法に関する。
本発明に係る培地(培養用足場)によれば、生物組織や微生物の培養を、異なる条件で同時に行うことができる。また、本発明に係る製造方法によれば、一方向に配列した繊維を備えるとともに、特性の異なる培養領域を備える培地(培養用足場)を得ることができる。
本発明に係る培地を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る培地を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る培地を、基板側から基板を透過して見たときの平面図である。 本発明の一実施形態に係る他の培地を、基板側から基板を透過して見たときの平面図である。 本発明の一実施形態に係るさらに他の培地を、基板側から基板を透過して見たときの平面図である。 本発明の一実施形態に係るさらに他の培地を、基板側から基板を透過して見たときの平面図である。 本実施形態の各工程における巻取回転体、枠体および基板等を模式的に示す側面図である。 繊維集合体の準備工程における巻取回転体とノズルとを示す平面図である。 本発明に係る巻取回転体の一例を示す斜視図である。 繊維の配列を説明するための繊維集合体の一部の領域の概略上面図である。
[培地]
本実施形態に係る培地(培養用足場)は、例えば、生物組織や微生物を保持した状態で、これらの電位を測定するための電位測定装置に好適に利用される。
培地の一例を図1および図2に示す。図1は、培地100を模式的に示す斜視図である。図2は、培地100を模式的に示す断面図である。
培地(培養用足場)100は、基板110と、基板110に搭載される枠体120と、基板110と枠体120との間に介在する繊維集合体130と、を備える。繊維集合体130は、基板110の枠体120が搭載されている搭載面110Xの全面ではなく、枠体120の一方の主面(第1の面120X)に対向する範囲内に配置されることが好ましい。繊維集合体130が必要な部分にのみ配置されるため、生産性が高まる。培地100は、必要に応じてホルダーなどに収容されて、電位測定装置に配置されてもよい。
(繊維集合体)
繊維集合体130は、複数の繊維領域R130により構成されている。各繊維領域R130は、複数の繊維131の集合体であり、それぞれ一方向に配列した複数の繊維131を含む。一方、複数の繊維領域R130の特性は、それぞれ異なっている。繊維領域R130の特性が異なるとは、例えば、繊維領域R130を構成する繊維131の材質、径および密度等の少なくとも1つが異なることをいう。
繊維領域R130の数は特に限定されず、培養条件に応じて適宜設定すればよい。繊維領域R130の形状(配置)も特に限定されず、培養条件に応じて適宜設定すればよい。例えば、帯状の繊維領域R130を構成する繊維131が、いずれも繊維領域R130の長手方向と同じ方向(配列方向D)に配列している場合、各繊維領域R130を、繊維131の配列方向Dに垂直な方向に並べて配置してもよい。このような繊維集合体130は、作製し易い点で好ましい。
1つの繊維領域R130において、複数の繊維131は一方向に配列している。複数の繊維131が一方向に配列しているとは、繊維集合体130において、繊維131同士が交差していないか、繊維131同士が交わる平均的な角度が、0°を超え60°以下であることをいう。このように、複数の繊維131が配列した状態である場合、その繊維131の配列方向に沿って繊維131が伸び易いため、生物組織や微生物へのストレスが低減される。よって、繊維131の配列方向に沿って生物組織や微生物が成長し易くなる。
ここで、繊維131同士が交わる平均的な角度は、繊維131の平均的な長さ方向の交わりから決定できる。繊維131の平均的な長さ方向は、例えば、繊維集合体130をその法線方向から見たときのSEM写真に基づいて決定することができる。図10は、繊維の配列を説明するための繊維集合体の概略上面図である。図10では、任意の繊維領域R130を法線方向から撮影したSEM写真における繊維集合体130の状態を模している。複数の繊維131で構成される繊維集合体130を法線方向から見て、所定のサイズ(例えば、100μm×100μm)の正方形の領域Rを設定する。このとき、領域Rは、領域R内に12本以上の繊維131が入り、かつ領域R内に位置する繊維131の50%以上が領域Rの対向する2辺と交差するように決定する。この領域Rにおいて、ある繊維131が、上記の対向する2辺と交差する2点間を結んだ直線(図10では点線)の方向を、その繊維131の平均的な長さ方向とする。
繊維131同士が交わる平均的な角度は、例えば、上記領域Rにおいて、任意に選択した複数(例えば、20本)の繊維131から、さらに任意に2本の繊維131を選択し、各繊維131の平均的な長さ方向が交わる角度(例えば、図10のθ1)を求める。別の2本の繊維131を選択し、各繊維131の平均的な長さ方向が交わる角度(例えば、図10のθ2)を求める。このような作業を、選択した残りの繊維131(例えば、16本)について行う。そして、それぞれの角度の平均を算出し、繊維131同士が交わる平均的な角度とする。
繊維131の配列方向は、繊維領域R130ごとに異なっていてもよいが、電位が測定し易い点で、繊維領域R130間で同じであることが好ましい。繊維領域R130間で繊維131の配列方向が同じであるとは、任意の2つの繊維領域R130からそれぞれ1本の繊維131を選択すること以外は、上記と同様にして、異なる繊維領域R130に含まれる繊維131同士が交わる平均的な角度を算出したとき、繊維131同士が交わる平均的な角度が、0°以上、60°以下であることをいう。
繊維集合体130の単位面積に占める繊維131の面積の割合(繊維密度)は10〜90%から選択できる。例えば、心筋細胞の培養や電位測定装置に利用する場合には、繊維集合体130はごく薄く、単位面積当たりに占める繊維131の割合は20〜50%であり、30〜40%で均一に分散して堆積していることが好ましい。各繊維領域R130は、例えば、上記範囲において異なる繊維密度を有している。繊維領域R130同士の繊維密度の差は特に限定されず、培養の条件等に応じて適宜設定すればよい。
繊維131の面積の割合は、繊維集合体130の一方の主面(例えば、上面)において、繊維集合体130における所定の面積(例えば、短軸3mm×長軸6mmの楕円形)の領域について、光学顕微鏡等で取得した画像を2値化処理して、繊維131が占める面積を算出し、単位面積当たりの面積比率(%)に換算することにより求めることができる。
繊維131の材質は、生物組織や微生物の培地として用いることができる限り特に限定されない。なかでも、生物組織や微生物に対する親和性が高く、培養する際、生物組織や微生物にストレスを与え難い点で、繊維131は、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックポリマーと、当該ブロックポリマーとは異なるスチレン樹脂と、を含むことが好ましい。繊維131は、必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。
ブロックポリマーは、例えば、ポリブタジエン(PB)ブロックとポリスチレン(PS)ブロックとが連結したジブロック体であってもよいが、PBブロックとPSブロックとが交互に連結したトリブロック体以上のポリブロック体が好ましい。ブロックポリマーは、スチレン樹脂との親和性を確保する観点から、少なくとも末端にPSブロックを含むことが好ましい。PBブロックは、得られる繊維131の柔軟性や伸度を高める。
ブロックポリマー中のPBブロックの含有量は、例えば、10〜30質量%であり、15〜30質量%であることが好ましく、20〜30質量%または20〜25質量%であることがさらに好ましい。PBブロックの含有量がこのような範囲である場合、スチレン樹脂との親和性が高くなって、均質な繊維131が生成され易くなる。また、得られる繊維131は高い柔軟性および伸度を備える。さらに、繊維131を電界紡糸法により生成させる場合、高い曳糸性が確保される。
スチレン樹脂としては、上記のブロックポリマーとは異なるポリマーが使用される。スチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン(スチレンホモポリマー)、スチレンと他の共重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン樹脂は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせてもよい。
繊維131の柔軟性と形成し易さとを両立させる観点から、ブロックポリマーとスチレン樹脂との質量比(=ブロックポリマー:スチレン樹脂)は、例えば、2:1〜1:5であり、好ましくは1:1〜1:4である。特に、溶液を用いる電界紡糸法により繊維集合体130を形成する場合には、質量比がこのような範囲であると、ブロックポリマーおよびスチレン樹脂を溶媒に溶解し易く、高い紡糸性を確保することもできる。
繊維領域R130同士の繊維131の材質の違いについては特に限定されず、培養の条件等に応じて適宜設定すればよい。例えば、いずれの繊維領域R130の繊維131も上記のブロックポリマーおよびスチレン樹脂を含むものの、両者の質量比が異なっていてもよいし、繊維131に含まれる樹脂の種類が異なっていてもよいし、繊維131が複数の樹脂を含む場合、それらの質量比が異なっていてもよい。繊維131に含まれる樹脂としては、ブロックポリマーおよびスチレン樹脂の他、アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。複数の樹脂を含む繊維131は、複数の樹脂を混合した後、繊維化することにより形成され得る。あるいは、複数の樹脂を繊維化した後、様々な割合で組み合わせることにより、特性の異なる複数の繊維領域R130を形成してもよい。
繊維131の繊維径は、例えば、0.5μm〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましく、1.5〜4μmが特に好ましい。各繊維領域R130は、例えば、上記範囲において異なる繊維径を有する繊維131を備える。繊維領域R130同士の繊維径の差は特に限定されず、培養の条件等に応じて適宜設定すればよい。
なお、繊維径とは、複数の繊維131の直径の平均値である。繊維131の直径とは、繊維131の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、繊維領域R130の1つの主面の法線方向から見たときの、繊維131の長さ方向に対して垂直な方向の幅を、繊維の直径と見なしてもよい。繊維径は、例えば、1つの繊維領域R130に含まれる任意の10本の繊維131の任意の箇所の直径の平均値である。
(枠体)
枠体120は、第1の面120Xと、その反対側の第2の面120Yと、第1の面120Xから第2の面120Yに貫通する複数の貫通孔121と、を備える。第1の面120Xの表面には、貫通孔121の少なくとも一部を覆うように、繊維集合体130が配置される。すなわち、複数の貫通孔121によって第1の面120Xに形成された複数の開口(第1開口121a)からは、繊維集合体130(繊維131)が露出する。このとき、異なる第1開口121aから、第1の繊維領域R130Aおよび第2の繊維領域R130Bの少なくとも一部が、それぞれ露出する。
枠体120が基板110に搭載されると、第1開口121aが繊維集合体130を介して基板110によって塞がれて、基板110の搭載面110Xには少なくとも1つの窪みが形成される。この窪みに、貫通孔121の第2の面120Y側の開口(第2開口)から生物組織または微生物を含む培養液が注入される。注入された生物組織または微生物は、繊維集合体130を足場として成長する。繊維集合体130を構成する繊維131は、一方向に沿った状態で配列しているため、生物組織または微生物は、繊維131の長さ方向に沿って、ストレスの少ない状態で成長することができる。
さらに、複数の第1開口121aから、異なる特性を有する繊維領域R130が露出している。つまり、1つの培地100に、特性の異なる複数の培養領域(1種の繊維領域R130が露出する1つ以上の第1開口121aを備える培地100の一部)が形成されているため、生物組織または微生物を様々な条件で培養することができる。
枠体120の材質は特に制限されず、ガラス製や樹脂製(エラストマー製も含む)であってもよい。枠体120のサイズは、第1主面120Xの全面が基板110に対向でき、かつ、基板110に配置される電極(後述参照)の配線の妨げにならない限り、特に限定されない。
貫通孔121の数は、2以上である限り特に限定されず、枠体120のサイズや用途に応じて適宜設定すればよい。第1開口121aおよび第2開口の形状および大きさも特に限定されず、用途等に応じて適宜設定すればよい。第1開口121aおよび第2開口の形状および大きさは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。貫通孔121によって形成される上記窪みの形状も特に限定されない。例えば、第1開口121aおよび第2開口がともに円形である場合、窪みの形状は、円柱状であってもよいし、すり鉢状であってもよい。なかでも、培養液が注入し易い点で、上記窪みは、第2開口が大きいすり鉢状であることが好ましい。
(基板)
基板110は絶縁性であって、例えば、図示しない複数の電極(第1電極)と、第1電極と電気的に接続する複数のマイクロ電極(第2電極)とを備えている。複数の第1電極は、互いに絶縁されている。複数の第2電極203は、行列方式にて所定の間隔で形成されており、互いに絶縁されている。
複数の第1電極は、繊維集合体130に接触しないように配置されている一方、複数の第2電極は、繊維集合体130の少なくとも一部に接触するように配置されている。第1電極と第2電極との間の電圧を測定することにより、繊維集合体130(すなわち、生物組織または微生物)の電位が測定できる。このように、繊維集合体130の電位の経時的な変化や条件を変更した際の変化を計測することにより、この電位変化に基づく、生物組織または微生物の状態や機能などを評価することができる。このとき、生物組織または微生物はストレスの少ない状態でいるため、精度の高い評価が可能となる。さらには、第1電極と第2電極との間に電圧を印加することにより、生物組織または微生物に刺激(電気信号)を与えて、これらの成長を促すことができる。
基板110は、絶縁性である限り特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよい。基板としては、例えば、ガラス板、石英板、アクリル板などが例示される。第1電極も特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよい。第1電極としては、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)電極や白金電極などが例示される。
第2電極としては、生物組織や微生物の電位を測定可能であればよく、用途に応じて適宜選択できる。第2電極のサイズ、隣接する第2電極間の距離、第2電極の個数は、生物組織や微生物の種類やサンプルのサイズなどに応じて適宜選択できる。第2電極の一辺の長さ(円盤状の場合には直径)は、例えば、10〜100μmであり、15〜60μmであってもよい。隣接する第2電極間距離(第2電極の中心間距離)は、例えば、50〜1000μmであり、50〜500μmであってもよい。
(接着部)
基板110と枠体120と繊維集合体130とは、例えば、接着部140を介して接着されている。繊維集合体130は、一方向に配列する繊維131の集合体であるため、例えば、枠体120に接着剤を付与すると、繊維131の間に入り込んで基板110側にまで浸透し、枠体120と基板110とを接着する接着部140を形成する。同様に、基板110に接着剤を付与すると、枠体120側にまで浸透し、枠体120と基板110とを接着する接着部140を形成する。いずれの場合も、繊維集合体130の一部は、接着部140に埋め込まれるように保持される。なお、第1開口121aに対応する領域には、接着部140は形成されていない。
接着部140の材料(接着剤)は特に限定されず、例えば、感圧接着剤、ホットメルト型接着剤または硬化性接着剤等が挙げられる。
感圧接着剤は、基板110あるいは枠体120に塗布され、その粘着性により、枠体120と繊維集合体130と基板110とを接着する。感圧接着剤の材質は特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂等が挙げられる。シリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。
ホットメルト型接着剤は、加熱されながら基板110あるいは枠体120に塗布され、冷却されることによって、枠体120と繊維集合体130と基板110とを接着する。ホットメルト型接着剤の材質は特に限定されず、例えば、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ウレタン変性共重合ポリエステル等の共重合ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂を主成分(50質量%以上を占める成分)として含む。
硬化性接着剤は、基板110あるいは枠体120に塗布され、紫外線照射あるいは加熱により重合されて硬化することにより、枠体120と繊維集合体130と基板110とを接着する。硬化性接着剤の種類は特に限定されず、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。硬化性接着剤を用いる場合、後述する搭載工程の前に硬化性接着剤を半硬化状態にしておくことが好ましい。この場合、搭載工程の後、さらに硬化作業を行って、硬化性接着剤を完全に硬化させる。
なかでも、接着剤としては、硬化させるための特別なステップが省略できる点で、感圧接着剤およびホットメルト型接着剤が好ましく、さらに、接着剤を溶融させるための加熱装置が不要である点で、感圧接着剤が好ましい。なお、接着剤が、ホットメルト型接着剤および/または硬化性接着剤を含む場合、2つの部材が「接着部140を介して接着されている」とは、当該部材が「接着剤の硬化物を介して接着されている」ことを意味する。
接着部140は、第1の面120Xの第1開口121a以外の全面に対向するように形成されてもよいし、第1の面120Xに対向する位置に部分的に形成されてもよい。このとき、接着剤は、枠体120に付与されてもよいし、基板110に付与されてもよい。なかでも、繊維集合体130の第1の面120Xからの剥離を抑制できる点で、接着剤は、枠体120の第1の面120Xの第1開口121a以外の全面に付与されることが好ましい。さらにこの場合、培地100において、繊維集合体130と枠体120(第1の面120X)との距離よりも、繊維集合体130と基板110(搭載面110X)との距離が近くなり易い。よって、繊維集合体130の電位の測定の精度が高まる。
一方、繊維集合体130の剥離抑制と、基板110と枠体120との接着とを考慮すると、接着剤は、枠体120の第1の面120Xおよび基板110の搭載面110Xのそれぞれに付与されることが好ましい。第1の面120Xに付与された接着剤により形成される接着部(第1の接着部140A)と搭載面110Xに付与された接着剤により形成される接着部(第2の接着部140B)とは、それぞれ繊維131を内包しながら互いに接触し得る。なお、図示例では、便宜上、接着部140を、繊維集合体130を挟んで、枠体120側の第1の接着部140Aと、基板110側の第2の接着部140Bとにわけて示している。接着性の観点から、第1の接着部140Aおよび第2の接着部140Bは、同じ材質の接着剤(好ましくは、感圧接着剤)を含むことが好ましい。第1の接着部140Aと第2の接着部140Bとは、全面が対向していてもよいし、部分的に対向していてもよい。
接着部140(あるいは、第1の接着部140Aおよび第2の接着部140Bの合計)の単位面積当たりの質量は、特に限定されない。なかでも、繊維集合体130と枠体120との接着性、さらには基板110と枠体120との接着性を確保する観点から、上記質量は0.5〜100mg/cmであることが好ましい。
以下、本実施形態にかかる繊維集合体130および枠体120の構成例を、図面を参照しながら、説明する。ただし、繊維集合体130および枠体120の構成は、これに限定されるものではない。図3〜図6はいずれも、培地100を、基板110側から基板110を透過して見たときの平面図である。
(第1実施形態)
第1実施形態では、図3に示すように、繊維集合体130が、一体的に形成された帯状の第1の繊維領域R130Aおよび第2の繊維領域R130Bにより形成されている。複数の繊維領域R130が一体的に形成されているとは、例えば、第1の繊維領域R130Aに含まれる第1繊維131Aと第2の繊維領域R130Bに含まれる第2繊維131B(図1参照)とが、1つのノズルから連続的に紡糸されたことをいう。この場合、第1の繊維領域R130Aと第2の繊維領域R130Bとは、繊維径および/または繊維密度の点で異なり得る。この方法では、第1の繊維領域R130Aと第2の繊維領域R130Bとの間に、特性が徐々に変化するような(一定の特性を有しない)中間領域R130Zが形成される場合がある。このような中間領域R130Zは、第1開口121aから露出しない位置に配置されることが好ましい。
第1繊維131Aと第2繊維131Bとは、同じ配列方向Dに配列している。第1繊維領域R130Aおよび第2繊維領域R130Bは、この配列方向Dに垂直な方向に並んで配置されている。
枠体120は一体物であり、複数の第1開口121aは、配列方向Dに垂直な方向および配列方向Dに沿う方向に並んで配置されている。配列方向Dに垂直な方向に並んで配置されている第1開口121Aaおよび第1開口121Baからは、それぞれ、第1の繊維領域R130Aの一部および第2の繊維領域R130Bの一部が露出している。つまり、配列方向Dに垂直な方向に、異なる特性を有する複数の培養領域が形成されている。
(第2実施形態)
第2実施形態では、図4に示すように、繊維集合体130を形成する第1の繊維領域R130Aと第2の繊維領域R130Bとが別体であること以外、第1実施形態と同様である。第1の繊維領域R130Aと第2の繊維領域R130Bとは、第1繊維131Aと第2繊維131Bとが同じ配列方向Dに配列するように、かつ、各繊維131の配列方向Dに垂直な方向に並んで配置されている。本実施形態も同様に、配列方向Dに垂直な方向に並んで配置されている第1開口121Aaおよび第1開口121Baから、それぞれ、第1の繊維領域R130Aの一部および第2の繊維領域R130Bの一部が露出し、配列方向Dに垂直な方向に、異なる特性を有する複数の培養領域が形成されている。
このような繊維集合体130は、第1実施形態のように、第1の繊維領域R130Aと第2の繊維領域R130Bとを一体的に形成した後、それぞれを分離し、その後、所望の位置に配置することにより作製してもよいし、当初から別体として形成した複数の繊維領域R130を、所望の位置に配置することにより作製してもよい。後者の方法によれば、繊維径および繊維密度に加えて、繊維131の材質を変化させることができる。各繊維領域R130を別体として形成する場合、同じ紡糸装置の異なるノズルから、第1繊維131Aおよび第2繊維131Bの原料液をそれぞれ吐出してもよい。この場合、複数の繊維領域R130が同時に形成されるため、生産性が向上する。なお、第1の繊維領域R130Aと第2の繊維領域R130Bとの境界は、第1開口121aから露出しない位置に配置することが好ましい。
(第3実施形態)
第3実施形態では、図5に示すように、枠体120が、それぞれ帯状の第1の枠部材M120Aおよび第2の枠部材M120Bを含むこと以外、第2実施形態と同様である。本実施形態によれば、培養領域ごとに、繊維131の繊維径、繊維密度および材質を変化させ易い。この培地100は、まず、各枠部材M120の所定の位置に各繊維領域R130を配置して、繊維領域R130を備える複数の枠部材M120を作製した後、これらを基板110の搭載面110Xの所定の位置にそれぞれ搭載することにより作製してもよいし、基板110の搭載面110Xの所定の位置に各繊維領域R130を配置した後、各繊維領域R130に対応するように、各枠部材M120を搭載することにより作製してもよい。
第1の枠部材M120Aと第2の枠部材M120Bとは、繊維131の配列方向Dに垂直な方向に並んで配置されている。第1の枠部材M120Aおよび第2の枠部材M120Bは、それぞれ1つ以上の貫通孔121を備える。第1の繊維領域R130Aは、第1の枠部材M120Aに形成された第1開口121Aaから露出し、第2の繊維領域R130Bは、第2の枠部材M120Bに形成された第1開口121Baから露出している。本実施形態も同様に、配列方向Dに垂直な方向に、異なる特性を有する複数の培養領域が形成されている。
(第4実施形態)
第4実施形態では、図6に示すように、繊維集合体130が、それぞれ別体である第1の繊維領域R130Aと、第2の繊維領域R130Bと、第3の繊維領域R130Cと、第4の繊維領域R130Dとを含み、枠体120が、第1の枠部材M120Aと、第2の枠部材M120Bと、第3の枠部材M120Cと、第4の枠部材M120Dとを含むこと以外、第1実施形態と同様である。
各枠部材M120は、1つ以上の貫通孔121を備えており、枠部材M120同士の隙間が+(プラス)の形状になるように配置されている。第1の繊維領域R130Aは、第1の枠部材M120Aに形成された第1開口121Aaから露出している。第2の繊維領域R130Bは、第2の枠部材M120Bに形成された第1開口121Baから露出している。第3の繊維領域R130Cは、第3の枠部材M120Cに形成された第1開口121Caから露出している。第4の繊維領域R130Dは、第4の枠部材M120Dに形成された第1開口121Daから露出している。本実施形態では、配列方向Dに垂直な方向および配列方向Dに沿う方向に、異なる特性を有する複数の培養領域が形成されている。
この培地100は、まず、各枠部材M120の所定の位置に各繊維領域R130を配置して、繊維領域R130を備える複数の枠部材M120を作製した後、これらを基板110の搭載面110Xの所定の位置にそれぞれ搭載することにより作製してもよいし、基板110の搭載面110Xの所定の位置に各繊維領域R130を配置した後、各繊維領域R130に対応するように各枠部材M120を搭載することにより作製してもよい。
[培地の製造方法]
本実施形態に係る培地100は、例えば、基板110と、枠体120と、繊維集合体130と、を準備する工程と、繊維集合体130を介して、枠体120を、第1の面120Xが対向するように基板110に搭載する搭載工程と、を備える方法により製造される。ただし、繊維集合体130は、第1の繊維領域R130Aと特性の異なる複数の第2の繊維領域R130Bとを連続的に形成することにより得られ、搭載工程において、貫通孔121によって第1の面120Xに形成された異なる第1開口121aから、第1の繊維領域R130Aおよび第2の繊維領域R130Bの少なくとも一部がそれぞれ露出するように配置される。この方法によれば、複数の第1開口121aから、異なる特性を有する繊維領域R130が露出するため、生物組織または微生物を様々な条件で培養することができる。
繊維集合体130は、原料液132から繊維131を生成させるとともに、繊維131を巻取回転体の周面を1周以上、周回させながら堆積させることにより形成されることが好ましい。この方法によれば、繊維131を紡糸しながら巻取回転体で巻き取っていくため、一方向に配向した複数の繊維131を備える繊維集合体130を、容易に得ることができる。
また、搭載工程は、巻取回転体上に形成された繊維集合体130を、枠体120の第1の面120Xに転写し、その後、繊維集合体130を備える枠体120を、第1の面120Xが対向するように基板110の搭載面110Xに搭載する方法により行われることが好ましい。このとき、搭載面110Xおよび第1の面120Xの少なくとも一方に接着部140を配置しておくことが好ましい。これにより、巻取回転体に巻き取られたときの高い配列性を保持したまま、繊維集合体130(さらには接着部140)は、基板110と枠体120との間に配置される。
また、基板110の搭載面110Xは、電気配線の都合上、枠体120よりも十分に大きい面積を備える。一方、繊維集合体130は、枠体120に形成された複数の貫通孔121により形成される第1開口121aから露出するように配置されていればよい。そのため、繊維集合体130を、基板110ではなく枠体120に転写することにより、精密な位置合わせ等を行うことなく、必要な部分にのみ繊維集合体130を配置することができて、生産性が向上する。
上記の製造方法は、例えば、枠体120の第1の面120Xおよび基板110の搭載面110Xの少なくとも一方に、接着部140を形成する接着部形成部と、繊維131の原料液をノズルから吐出して、繊維131を生成させるとともに、繊維131を、巻取回転体の周面に周回するように堆積させて、繊維集合体130を形成する堆積部と、巻取回転体を回転させながら、繊維集合体130を枠体120の第1の面120Xに転写する転写部と、繊維集合体130が転写された枠体120を、第1の面120Xが対向するように、基板110に搭載する搭載部と、を備える装置により実施される。
以下、本実施形態の製造方法を図面を参照しながら説明する。図7(a)〜(c)は、本実施形態の各工程における巻取回転体10、枠体120および基板110等を模式的に示す側面図である。
(1)準備工程
第1の面120Xと、その反対側の第2の面120Yと、第1の面120Xから第2の面120Yに貫通する複数の貫通孔121と、を備える枠体120、および、枠体120を搭載するための搭載面110Xを備える基板110を準備する。
第1の面120Xあるいは搭載面110Xの少なくとも一方には、接着部140が形成されている。接着部140は、例えば、印刷、ディスペンサー等により、第1の面120Xあるいは搭載面110Xの第1開口121aに対向する部分以外の一部あるいは全部に形成される。繊維集合体130の枠体120への転写が確実に行われる点で、接着部140は、少なくとも第1の面120Xに形成されることが好ましい。
次に、繊維集合体130を準備する。ここでは、紡糸条件を変化させて、第1の繊維領域R130Aと特性の異なる第2の繊維領域R130Bとを、連続的に形成する方法を主に説明するが、これに限定されない。各繊維領域R130をそれぞれ別に作成して、組み合わせてもよい。
繊維集合体130は、原料液132をノズル51から吐出して繊維131を生成させるとともに、繊維131を巻取回転体10の周面を1周以上、周回させながら堆積させることにより形成される。この方法により得られる繊維集合体130は、一方向に配向した複数の繊維131を備える。
原料液132から繊維131を生成する方法(紡糸法)は特に限定されず、生成させる繊維131の種類等に応じて適宜選択すればよい。紡糸法としては、例えば、溶液紡糸法、溶融紡糸法および電界紡糸法等が挙げられる。
溶液紡糸法は、繊維131の原料を溶媒に溶解して得られた溶液を、原料液132として用いる方法である。溶媒を用いる溶液紡糸法には、いわゆる湿式紡糸法および乾式紡糸法がある。湿式紡糸法では、原料液132を凝固液中に吐出して、繊維131の原料と凝固液との化学反応により、あるいは、溶媒と凝固液との置換により、繊維131が形成される。乾式紡糸法では、原料液132を空気中に吐出した後、加熱等により溶媒を除去することにより、繊維131が形成される。なかでも、繊維131を一方向に配列させた状態で堆積させ易い点で、乾式紡糸法が好ましい。
溶融紡糸法は、繊維131の原料を加熱して溶融させた溶融液を、原料液132として用いる方法である。得られた原料液132は、空気中に吐出された後、冷却されることにより、繊維状に固化する。この場合、通常、繊維131の原料を溶解するための溶媒は使用しない。よって、溶融紡糸法は、溶媒の除去作業が省略できる点で好ましい。
電界紡糸法は、繊維131の原料を溶媒に溶解して得られた溶液を原料液132として用いる点で、溶液紡糸法と共通する。しかし、電界紡糸法では、原料液132に高電圧を印加しながら空気中に吐出する。原料液132に含まれる溶媒は、巻取回転体10の周面に到達するまでの過程において揮発する。
電界紡糸法では、原料液132に高電圧を印加するため、原料液132をプラスあるいはマイナスに帯電させる。このとき、巻取回転体10をグランドさせるか、あるいは、原料液132とは逆の極性に帯電させることにより、空気中に吐出された原料液132の吐出端は巻取回転体10に引き寄せられて、その周面に付着する。そして、原料液132を吐出しながら巻取回転体10を回転させることにより、溶液紡糸法および溶融紡糸法と同様に、繊維131は、巻取回転体10の周面に周回しながら堆積し、巻取回転体10の周面の少なくとも一部を覆い、一方向に配列する繊維131を備える繊維集合体130が形成される。
上記の方法において、例えば、ノズル51の移動速度を変化させることにより、図8に示すように、互いに繊維密度の異なる繊維領域R130aおよび繊維領域R130b、あるいは、繊維領域R130cおよび繊維領域R130dを連続的に形成することができる。図8は、繊維集合体130の準備工程における、巻取回転体10とノズル51とを示す平面図である。
繊維径の異なる繊維131を備える複数の繊維領域を連続的に形成するには、溶液紡糸法、溶融紡糸法を用いることが好ましい。溶液紡糸法および溶融紡糸法で用いられるノズル51には、例えば、加圧装置54が接続されている。加圧装置54は、例えば、ポンプ541とバルブ542とを備える。溶融紡糸法により繊維131を生成させる場合、例えばノズル51は図示しない加熱装置を備えている。ノズル51に原料液132を供給する際のポンプ541の供給圧を変えることにより、繊維径を連続的に、かつ、容易に変化させることができる。原料液132の供給圧を高くすると、繊維領域R130aおよび繊維領域R130bのように、繊維径を太くすることができる。
なお、同じ巻取回転体10に繊維131を堆積できる異なるノズル51から、第1繊維131Aおよび第2繊維131Bの原料液132をそれぞれ吐出することにより、互いに材質の異なる繊維を備える繊維領域R130a〜R130dと、繊維領域R130eとを、別体として同時に形成することができる。
(原料液)
溶液紡糸法や電界紡糸法で利用する原料液132は、繊維131の原料と溶媒とを含む。溶融紡糸法で利用する原料液132は、溶融した繊維131の原料を含む。
溶媒としては、繊維131の原料を溶解し、揮発などにより除去可能なものであれば特に制限されず、原料の種類や製造条件に応じて、水および有機溶媒から適宜選択して使用できる。溶媒としては、非プロトン性の極性有機溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド(鎖状または環状アミドなど);ジメチルスルホキシドなどのスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
原料液132の固形分濃度は、溶媒の種類などに応じて調節できるが、例えば、5〜50質量%であり、10〜30質量%であってもよい。原料液132は、必要に応じてさらに添加剤を含んでもよい。
(巻取回転体)
巻取回転体10の一例を図9に示す。図9は、巻取回転体10の斜視図である。
巻取回転体10の構成は、回転可能である限り特に限定されず、ドラム状であってもよいし、複数のロールで張架されたベルトであってもよい。後者の場合、少なくとも1本のロールを回転駆動させて、ベルトを回転させる。巻取回転体10の材質としては、例えば、金属材料、各種樹脂、各種ゴム、セラミックスおよびこれらの組み合わせが挙げられる。巻取回転体10がベルトである場合、ベルトは、金属ベルトであってもよいし、樹脂ベルトであってもよい。電界紡糸法により繊維131が紡糸される場合、樹脂ベルトは導電性を備えることが好ましい。巻取回転体10の外形は、例えば、円柱または角柱であってもよい。
繊維131は、巻取回転体10の周面を周回する方向に配列しながら、巻取回転体10の周面に堆積される。配列方向Dは、例えば、巻取回転体10の回転方向(すなわち、巻取回転体10の回転軸に垂直な方向)に沿う方向である。配列方向Dと回転軸とのなす角度θ(ただし、θ≦90°)は、例えば、60°以上、90°以下でもよい。なお、配列方向Dは、繊維131を巻取回転体10の周面の法線方向から見たときの、繊維131の長手方向である。繊維131の長手方向は、巻取回転体10の周面の法線方向から見たときの繊維131の近似直線をとって、求めてもよい。角度θは、複数の繊維131の配列方向Dと回転軸とのなす角度の平均値である。巻取回転体10に堆積する複数の繊維131の配列方向Dは、上記範囲内で互いに異なっていてもよい。
巻取回転体10の周面に、巻取回転体10の回転軸に沿う方向に延伸する複数の帯状の凸部10Pを配置してもよい。これにより、巻取回転体10の周面に周回するように配列した繊維131の集合体(繊維集合体130)は、巻取回転体10から剥離され易くなる。その結果、繊維131の配列を維持したまま、繊維集合体130を枠体120に容易に転写することができる。複数の凸部10Pの端部は、回転軸と交差する方向に延伸するリブ10Rにより連結されていてもよい。
凸部10Pの形状は、帯状である限り特に限定されない。帯状とは、凸部10Pの延伸方向の長さが、延伸方向に垂直な方向の長さよりも長い形状である。凸部10Pを巻取回転体10の周面の法線方向から見たときの形状としては、例えば、矩形、台形等が挙げられる。
凸部10Pの数は特に限定されず、2本以上であればよい。なかでも、繊維集合体130の剥離性の観点から、巻取回転体10の周面に3本以上配置されることが好ましく、10本以上配置されることが好ましい。また、同様の観点から、凸部10Pは等間隔に配置されることが好ましい。なお、後述するように、繊維集合体130の枠体120(図6(b)参照)への転写工程に先立って、繊維集合体130が巻取回転体10に捲回された状態で切断される場合、切断後の繊維集合体130の少なくとも一部が凸部10Pに接触した状態になるよう、繊維集合体130は凸部10P同士の間で切断される。これにより、繊維131の配列が維持され易くなる。この場合、切断予定箇所C(図5(a)参照)の凸部10P同士の間隔を、他の部分の凸部10P同士の間隔よりも小さくすることが好ましい。
凸部10Pの短手方向の長さ(幅)は特に限定されない。なかでも、繊維集合体130の剥離性の観点から、すべての凸部10Pの巻取回転体10の周面に当接する総面積が、巻取回転体10の周面の表面積の10%以上、80%以下、特に30%以上、70%以下になるように、各凸部10Pの幅を決定することが好ましい。凸部10Pの延伸方向Dの長さも特に限定されない。なかでも、巻取回転体10の周面のうち、少なくとも繊維131が堆積し得る領域にわたって、凸部10Pが延伸していることが好ましい。
凸部10Pの高さは特に限定されない。なかでも、繊維131の弛みを抑制し、一方向への配列を維持し易い点で、凸部10Pの高さは過度に高くないことが好ましい。繊維集合体130の剥離性および繊維131の弛み抑制の観点から、凸部10Pの高さは100〜5000μmであることが好ましい。凸部10Pの高さは、巻取回転体10の周面の法線方向における平均値である。
凸部10Pの材質は特に限定されず、各種樹脂材料が挙げられる。なかでも、凸部10Pは、少なくとも繊維131との接触部にシリコーンゴム層を備えることが好ましい。繊維集合体130の剥離性がさらに向上するためである。一方で、シリコーンゴムは適度な粘着性を備えるため、転写工程の前に繊維集合体130が巻取回転体10の周面から剥離することが抑制される。
シリコーンゴムとは、主鎖がケイ素−酸素結合(シロキサン結合)により形成される、熱硬化性の化合物である。シリコーンゴムとしては、例えば、メチルシリコーンゴム、ビニル−メチルシリコーンゴム、フェニル−メチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が挙げられる。凸部10Pの全体がシリコーンゴムにより形成されていてもよい。なお、繊維131が電界紡糸法により生成される場合、凸部10Pは導電性を備えることが好ましい。
準備工程の後、搭載工程の前に、繊維集合体130および枠体120の少なくとも一方を加熱する加熱工程を備えていてもよい。搭載工程の前に繊維集合体130を加熱することにより、繊維集合体130は軟化した状態で枠体120に転写される。これにより、繊維集合体130と枠体120との密着性が向上する。また、搭載工程の前に枠体120を加熱することにより、転写後、繊維集合体130に熱が伝わって軟化する。これにより、繊維集合体130と枠体120との密着性が向上する。なかでも、枠体120を加熱する方法は、繊維131の劣化が抑制できる点で好ましい。
加熱方法は特に限定されないが、繊維131の配列が維持できる点で、非接触式であることが好ましい。非接触式の加熱装置としては、例えば、ハロゲンランプ等、公知のものが挙げられる。加熱温度は、繊維131の軟化点あるいは融点等を考慮して、適宜設定すればよい。加熱温度は、例えば、繊維131が80〜140℃になるように調整する。
(2)搭載工程(図7(b)および(c))
まず、巻取回転体10を回転させながら、繊維集合体130を枠体120(あるいは枠部材M120。以下同じ。)に転写する(転写工程)。このとき、各繊維領域R130に対応するように、複数の枠部材M120を配置しておいてもよい。
転写工程に先立って、繊維集合体130は、巻取回転体10に捲回された状態で切断予定箇所Cにおいて切断されてもよい。切断予定箇所Cは、例えば、枠体120の形状およびサイズに応じて設定される。繊維集合体130は、例えば、巻取回転体10の回転軸に沿う方向に切断される。この切断部をきっかけにして、繊維集合体130は枠体120に転写される。
枠体120は、例えばXZステージ52に支持されたステージ53に載置されて、搬送される。XZステージ52は、ステージ53、つまりステージ53に載置される枠体120を、巻取回転体10の回転軸に垂直な方向(X軸方向)および上下方向(Z軸方向)に搬送することができる。
生産性がさらに向上する点で、転写工程は、複数の枠体120に対し一括してあるいは連続的に実施されることが好ましい。この場合、複数の枠体120は、ステージ53上にY軸方向(巻取回転体10の回転軸に沿う方向)に沿って配置されてもよいし、X軸方向に沿って配置されてもよい。また、一体的に形成された複数の枠体120の集合体に対して、転写工程が行われてもよい。この場合、転写工程の後、上記枠体120の集合体を個々の枠体120に分離する。この方法によれば、複数の枠体120に対し、一括して繊維集合体130が転写できるとともに、巻取回転体10に堆積した繊維131の大部分が枠体120の転写に利用されるため、生産性がさらに向上する。
次に、繊維集合体130が転写された枠体120を、第1の面120Xが対向するように、基板110に搭載する。このとき、枠体120と基板110との間には、接着部140および繊維集合体130が介在している。転写工程が、複数の枠体120に対し、一括してあるいは連続的に実施された場合にも、1つの基板110には1つの枠体120が搭載される。転写工程により、繊維領域R130を備える枠部材M120が作製された場合には、任意の枠部材M120を複数組み合わせて、基板110の所定の位置にそれぞれ搭載すればよい。
本発明により得られる培地は、一方向に配列した繊維を備えるとともに、特性の異なる培養領域を備えるため、特に、異なる条件で同時に培養を行うための培地として有用である。
10:巻取回転体
10P:凸部
10R:リブ
51:ノズル
52:XZステージ
53:ステージ
54:加圧装置
541:ポンプ
542:バルブ
100:培地
110:基板
110X:搭載面
120:枠体
120X:第1の面
120Y:第2の面
M120:枠部材
M120A:第1の枠部材
M120B:第2の枠部材
M120C:第3の枠部材
M120D:第4の枠部材
121:貫通孔
121a、121Aa、121Ba、121Ca、121Da:第1開口
130:繊維集合体
R130、R130a〜R130e:繊維領域
R130A:第1の繊維領域
R130B:第2の繊維領域
R130C:第3の繊維領域
R130D:第4の繊維領域
R130Z:中間領域
131:繊維
132:原料液
140:接着部
140A:第1の接着部
140B:第2の接着部

Claims (6)

  1. 基板と、
    第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する複数の貫通孔と、を備えるとともに、前記第1の面が対向するように前記基板に搭載される枠体と、
    配列した複数の繊維を含み、前記基板と前記第1の面との間に介在する繊維集合体と、を備え、
    前記繊維集合体が、複数の第1繊維を含む第1の繊維領域と、複数の第2繊維を含み、前記第1の繊維領域と特性の異なる第2の繊維領域と、を含み、
    複数の前記貫通孔によって前記第1の面に形成された複数の第1開口から、前記第1の繊維領域および前記第2の繊維領域の少なくとも一部がそれぞれ露出し、
    前記第1繊維と前記第2繊維とがなす平均的な角度が、0°以上60°以下である、培養用足場。
  2. 前記枠体が、それぞれ1つ以上の前記貫通孔を備える第1の枠部材と第2の枠部材とを含み、
    前記第1の繊維領域が、前記第1の枠部材に形成された前記第1開口から露出し、
    前記第2の繊維領域が、前記第2の枠部材に形成された前記第1開口から露出している、請求項1に記載の培養用足場
  3. 前記第1繊維と前記第2繊維とは、繊維径および材質の少なくとも一方が異なる、請求項1または2記載の培養用足場
  4. 前記第1繊維領域と前記第2繊維領域とは、繊維密度が異なる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の培養用足場
  5. 記第1繊維領域と前記第2繊維領域とが、それぞれ帯状であって、前記第1繊維および前記第2繊維の配列方向に垂直な方向に並んで配置されており、
    前記第1開口が、前記配列方向に垂直な方向および前記配列方向に沿う方向に並んで配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の培養用足場
  6. 基板と、
    第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する複数の貫通孔と、を備える枠体と、
    配列した複数の繊維を含む繊維集合体と、を準備する工程と、
    前記繊維集合体を介して、前記枠体を、前記第1の面が対向するように基板に搭載する搭載工程と、を備え、
    前記繊維集合体が、複数の第1繊維を含む第1の繊維領域および複数の第2繊維を含み、前記第1の繊維領域と特性の異なる第2の繊維領域を連続的に形成することにより得られ、
    前記搭載工程において、複数の前記貫通孔によって前記第1の面に形成された複数の第1開口から、前記第1の繊維領域および前記第2の繊維領域の少なくとも一部がそれぞれ露出するように前記繊維集合体が配置され、
    前記第1繊維と前記第2繊維とがなす平均的な角度が、0°以上60°以下である、培養用足場の製造方法。
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