JP6536965B2 - 細胞培養用足場 - Google Patents
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Description
本発明の他の局面は、基板と、第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する1つ以上の貫通孔と、を備えるとともに、前記第1の面が対向するように前記基板に搭載される枠体と、配列した複数の繊維を含み、前記基板と前記第1の面との間に介在する繊維集合体と、前記基板と前記繊維集合体と前記枠体とを接着する接着部と、を備え、前記繊維集合体の少なくとも一部が、前記貫通孔によって前記第1の面に形成された第1開口から露出しており、前記接着部が、感圧接着剤を含み、前記第1開口の周囲の少なくとも一部に、前記接着剤の前記第1開口へのはみ出しを抑制する凸部が形成されている、細胞培養用足場に関する。
本実施形態に係る培地は、例えば、生物組織や微生物を保持した状態で、これらの電位を測定するための電位測定装置に好適に利用される。
培地の一例を図1に示す。図1は、培地100を模式的に示す斜視図である。
培地100は、基板110と、基板110に搭載される枠体120と、基板110と枠体120との間に介在する繊維集合体130と、を備える。ただし、繊維集合体130は、基板110の枠体120が搭載されている搭載面110Xの全面ではなく、枠体120の一方の主面(第1の面120X)に対向する範囲内に配置されている。繊維集合体130が必要な部分にのみ配置されているため、生産性が高い。培地100は、必要に応じてホルダーなどに収容されて、電位測定装置に配置されてもよい。
繊維集合体130は、複数の繊維131の集合体である。繊維集合体130において、複数の繊維131は一方向に配列している。複数の繊維131が一方向に配列しているとは、繊維集合体130において、繊維131同士が交差していないか、繊維131同士が交わる平均的な角度が、0°を超え60°以下であることをいう。このように、複数の繊維131が配列した状態である場合、その繊維131の配列方向に沿って繊維131が伸び易いため、生物組織や微生物へのストレスが低減される。よって、繊維131の配列方向に沿って生物組織や微生物が成長し易くなる。
なお、平均繊維径とは、繊維131の直径の平均値である。繊維131の直径とは、繊維131の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、繊維集合体130の1つの主面の法線方向から見たときの、繊維131の長さ方向に対して垂直な方向の幅を、繊維の直径と見なしてもよい。平均繊維径は、例えば、繊維集合体130に含まれる任意の10本の繊維の任意の箇所の直径の平均値である。
枠体120は、第1の面120Xと、その反対側の第2の面120Yと、第1の面120Xから第2の面120Yに貫通する1つ以上の貫通孔121と、を備える。第1の面120Xの表面には、貫通孔121の少なくとも一部を覆うように、繊維集合体130が配置される。すなわち、貫通孔121の第1の面120X側の開口(第1開口121a。図2A等参照。)からは、繊維集合体130(繊維131)が露出する。
基板110は絶縁性であって、例えば、図示しない複数の電極(第1電極)と、第1電極と電気的に接続する複数のマイクロ電極(第2電極)とを備えている。複数の第1電極は、互いに絶縁されている。複数の第2電極203は、行列方式にて所定の間隔で形成されており、互いに絶縁されている。
基板110と枠体120と繊維集合体130とは、接着部140を介して接着されている。繊維集合体130は、一方向に配列する繊維131の集合体であるため、例えば、枠体120に接着剤を付与すると、繊維131の間に入り込んで基板110側にまで浸透し、枠体120と基板110とを接着する接着部140を形成する。同様に、基板110に接着剤を付与すると、枠体120側にまで浸透し、枠体120と基板110とを接着する接着部140を形成する。いずれの場合も、繊維集合体130の一部は、接着部140に埋め込まれるように保持される。なお、第1開口121aに対応する領域には、接着部140は形成されていない。
感圧接着剤は、基板110あるいは枠体120に塗布され、その粘着性により、枠体120と繊維集合体130と基板110とを接着する。感圧接着剤の材質は特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂等が挙げられる。シリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。
感圧接着剤を含む接着部140は、外圧によって変形し易い一方、外圧から解放されても元の状態には戻り難い。そのため、例えば、枠体120に主面(例えば第1の面120X)方向の外圧が加わると、枠体120が、基板110に対して第1の面120Xの方向に沿ってずれる場合がある。基板110に対して枠体120がずれると、接着部140は枠体120に追随するように変形する。繊維集合体130は、その一部が接着部140に埋め込まれることによって保持されているため、接着部140が変形すると、繊維131の配向が乱れる。また、変形した接着部140の一部が第1開口121aから露出する場合もある。第1開口121aから露出した接着部140は、培養の妨げになったり、電位測定の精度の低下を引き起こしたりする。また、枠体120に第1の面120Xに垂直な方向の外圧が加わると、接着部140は押し広げられるように変形して、基板110と枠体120との距離が変わる場合がある。上記のとおり、繊維集合体130は接着部140によって保持されているため、このような接着部140の変形により繊維131が弛む。
以下、枠体固定部について、図2A〜図2Cを参照しながら説明する。図2A〜図2Cは、培地100を模式的に示す断面図である。ただし、便宜上、繊維集合体130を省略している。
枠体固定部150に替えて、外圧による接着部140の変形を吸収する逃げ部を設けてもよい。この場合、枠体固定部150とは逆に、接着部140の変形が抑制されることにより、基板110と枠体120との位置関係が維持される。
枠体固定部150および逃げ部160A、160Bに替えて、あるいは、枠体固定部150および逃げ部160A、160Bとともに、第1開口121aの周囲の少なくとも一部に、凸部を形成してもよい。この凸部は、外圧によって接着部140が変形して、第1開口121aからはみ出すのを強制的に抑制するはみ出し抑制部である。はみ出し抑制部によれば、接着部140が変形した場合、あるいは、基板110と枠体120との位置関係が変化した場合であっても、接着部140が第1開口121aからはみ出すのを抑制することができる。
以下、本実施形態の製造方法を図面を参照しながら説明する。図6(a)〜(c)は、本実施形態の各工程における巻取回転体10、枠体120および基板110等を模式的に示す側面図である。
第1の面120Xと、その反対側の第2の面120Yと、第1の面120Xから第2の面120Yに貫通する1つ以上の貫通孔121と、を備える枠体120、および、枠体120を搭載するための搭載面110Xを備える基板110を準備する。
原料液132から繊維131を生成させるとともに、繊維131を巻取回転体10の周面を1周以上、周回させながら堆積させる。これにより、巻取回転体10の周面には、繊維131が一方向に配向した繊維集合体130が形成される。
溶液紡糸法や電界紡糸法で利用する原料液132は、繊維131の原料と溶媒とを含む。溶融紡糸法で利用する原料液132は、溶融した繊維131の原料を含む。
巻取回転体10の一例を図7に示す。図7は、巻取回転体10の斜視図である。
巻取回転体10の構成は、回転可能である限り特に限定されず、ドラム状であってもよいし、複数のロールで張架されたベルトであってもよい。後者の場合、少なくとも1本のロールを回転駆動させて、ベルトを回転させる。巻取回転体10の材質としては、例えば、金属材料、各種樹脂、各種ゴム、セラミックスおよびこれらの組み合わせが挙げられる。巻取回転体10がベルトである場合、ベルトは、金属ベルトであってもよいし、樹脂ベルトであってもよい。電界紡糸法により繊維131が紡糸される場合、樹脂ベルトは導電性を備えることが好ましい。巻取回転体10の外形は、例えば、円柱または角柱であってもよい。
巻取回転体10を回転させながら、繊維集合体130を枠体120に転写する。
転写工程に先立って、繊維集合体130は、巻取回転体10に捲回された状態で切断予定箇所Cにおいて切断されてもよい。切断予定箇所Cは、例えば、枠体120(あるいは第1開口121a)の形状およびサイズに応じて設定される。繊維集合体130は、例えば、巻取回転体10の回転軸に沿う方向に切断される。この切断部をきっかけにして、繊維集合体130は枠体120に転写される。
繊維集合体130が転写された枠体120を、第1の面120Xが対向するように、基板110に搭載する。このとき、枠体120と基板110との間には、接着部140(あるいは第1の接着部140A)および繊維集合体130が介在している。基板110に第2の接着部140Bを配置して、枠体120と基板110との間にさらに第2の接着部140Bを介在させてもよい。転写工程が、複数の枠体120に対し、一括してあるいは連続的に実施された場合にも、1つの基板110には1つの枠体120が搭載される。
接着部形成工程の後、あるいは搭載工程の後に、第1の面120Xの所定の位置に硬化性樹脂を塗布し硬化させることにより、枠体固定部150が形成される。
10P:凸部
10R:リブ
51:ノズル
52:XZステージ
53:ステージ
100:培地
110:基板
110X:搭載面
120:枠体
120X:第1の面
120Y:第2の面
121:貫通孔
121a:第1開口
122:切欠き
130:繊維集合体
131:繊維
132:原料液
140A:第1の接着部
140B:第2の接着部
150:枠体固定部
160A、160B:逃げ部
170:はみ出し抑制部
Claims (2)
- 基板と、
第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する1つ以上の貫通孔と、を備えるとともに、前記第1の面が対向するように前記基板に搭載される枠体と、
配列した複数の繊維を含み、前記基板と前記第1の面との間に介在する繊維集合体と、
前記基板と前記繊維集合体と前記枠体とを接着する接着部と、
前記枠体の前記第1の面の外縁に配置された、前記枠体を前記基板に固定する枠体固定部と、を備え、
前記繊維集合体の少なくとも一部が、前記貫通孔によって前記第1の面に形成された第1開口から露出しており、
前記接着部が、感圧接着剤を含み、
前記枠体固定部が、硬化性樹脂の硬化物を含む、細胞培養用足場。 - 基板と、
第1の面と、その反対側の第2の面と、前記第1の面から前記第2の面に貫通する1つ以上の貫通孔と、を備えるとともに、前記第1の面が対向するように前記基板に搭載される枠体と、
配列した複数の繊維を含み、前記基板と前記第1の面との間に介在する繊維集合体と、
前記基板と前記繊維集合体と前記枠体とを接着する接着部と、を備え、
前記繊維集合体の少なくとも一部が、前記貫通孔によって前記第1の面に形成された第1開口から露出しており、
前記接着部が、感圧接着剤を含み、
前記第1開口の周囲の少なくとも一部に、前記接着剤の前記第1開口へのはみ出しを抑制する凸部が形成されている、細胞培養用足場。
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