以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、一気筒あたり2つの吸気弁を有する例えば4気筒内燃機関の吸気側に適用されている。
図1は本発明に係るバルブタイミング制御装置の一実施形態を示す縦断面図である。図2は本実施形態における主要な構成部材を示す分解斜視図である。図3は図1のA−A線断面図である。
このバルブタイミング制御装置(VTC)は、図1及び図2に示すように、駆動回転体であるタイミングスプロケット1(以下、スプロケット1という。)と、シリンダヘッド01上に軸受ブラケット02を介して回転自在に支持され、スプロケット1から伝達された回転力によって回転するカムシャフト2と、スプロケット1の前方位置に配置されたチェーンケース6に固定されたカバー部材3と、スプロケット1とカムシャフト2の間に配置されて、機関運転状態に応じて両者1、2の相対回転位相を変更する位相変更機構4と、を備えている。
スプロケット1は、内燃機関のクランクシャフトによってタイミングチェーンを介して回転駆動するようになっている。このスプロケット1は、全体が鉄系金属によって環状一体に形成され、内周面が段差径状のスプロケット本体1aと、該スプロケット本体1aの外周に一体に設けられて、巻回された図外のタイミングチェーンを介してクランクシャフトからの回転力を受ける歯車部1bと、スプロケット本体1aの前端側に一体に設けられ、後述する減速機構13の一部を構成する内歯構成部5と、から構成されている。
また、このスプロケット1は、スプロケット本体1aとカムシャフト2の前端部に設けられた後述する従動部材9との間に、1つの大径ボールベアリング19が介装されている。この大径ボールベアリング19は、スプロケット1をカムシャフト2に対して相対回転自在に支持している。
内歯構成部5は、スプロケット本体1aの前端部外周側に一体に設けられている。この内歯構成部5は、位相変更機構4の前方へ延出した円筒状に形成されて、内周には波形状の複数の内歯5aが形成されている。
さらに、スプロケット本体1aの内歯構成部5と反対側の後端部には、円環状の保持プレート8が配置されている。この保持プレート8は、金属板材によって一体に形成されている。この保持プレート8の内周部8aの内周縁所定位置には、径方向内側、つまり中心軸方向に向かって突出したストッパ凸部8bが一体に設けられている。このストッパ凸部8bは、ほぼ扇状に形成されて、先端縁が後述するストッパ凹溝11aの円弧状内周面に沿った円弧状に形成されている。
スプロケット本体1a(内歯構成部5)及び保持プレート8のそれぞれの外周部には、周方向のほぼ等間隔位置に複数(本実施形態では8つ)のボルト挿通孔1c、8cが貫通形成されている。
また、内歯構成部5の前端側には、後述するモータハウジング14の後端部が対向配置されている。このモータハウジング14の後端部の周壁には、各ボルト挿通孔1c、8cと対応した位置に複数(本実施形態では8つ)の雌ねじ孔14dが形成されている。したがって、スプロケット1と保持プレート8及びモータモータハウジング14は、各孔1c、8c、14dに挿通、螺着した8本のボルト7によってモータハウジング14の回転軸の軸方向から共締め固定されている。
なお、スプロケット本体1aと内歯構成部5が、後述する減速機構13のケーシングとして構成されている。
チェーンケース6は、内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックの前端側にスプロケット1に巻回された図外のチェーンを覆うよう上下方向に沿って配置固定されている。このチェーンケース6は、前端部の外周縁にフランジ部6aが一体に設けられている。また、チェーンケース6は、前端部の内周に円環溝6bが形成されている。この円環溝6bは、チェーンケース6の前端縁から内側軸方向へ延びた軸方向幅がフランジ部6aの肉厚幅よりも大きく形成されている。
カムシャフト2は、外周に図外の吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有している。また、カムシャフト2は、回転軸方向の一端部2aにフランジ部2bが一体に設けられていると共に、一端部2aの内部軸方向に雌ねじ2cが形成されている。このカムシャフト2は、フランジ部2bと後述するストッパ部材11を介して従動部材9がカムボルト10によって回転軸方向から結合されている。
フランジ部2bは、図1に示すように、前端面の外周部が大径ボールベアリング19の内輪の軸方向外端面に当接配置されている。またフランジ部2bの位相変更機構4側の前端には、円盤状のストッパ部材11が設けられている。
このストッパ部材11は、外周に保持プレート8のストッパ凸部8bが係入するストッパ凹溝11aが円周方向に沿って形成されている。このストッパ凹溝11aは、円周方向へ所定長さの円弧状に形成されている。ストッパ凸部8bは、この両端縁がストッパ凹溝11aの長さ範囲で回動して周方向の対向縁にそれぞれ当接する。これによって、スプロケット1に対するカムシャフト2の最大進角側あるいは最大遅角側の相対回転位置が規制されるようになっている。
カムボルト10は、頭部10aの端面が小径ボールベアリング35の内輪を軸方向から支持している。このカムボルト10は、軸部10bの外周にカムシャフト2の端部から内部の回転軸心方向に沿って形成された雌ねじ2cに螺着する雄ねじ10cが形成されている。
従動部材9は、金属材である例えば鉄系金属によって一体に形成され、図1に示すように、後端側(カムシャフト2側)に形成された円板状の固定端部9aと、該固定端部9aの内周前端面から従動部材9の回転軸の軸方向へ突出した円筒部9bと、から構成されている。
固定端部9aは、後端面に形成された円盤状の溝内にストッパ部材11の環状凸部11bが嵌合する嵌合溝9cが形成されている。また、固定端部9aは、カムシャフト2のフランジ部2bの前端面にストッパ部材11を介して当接配置され、カムボルト10の軸力によって、フランジ部2bにストッパ部材11を介して軸方向から圧接固定されている。
円筒部9bは、中央にカムボルト10の軸部10bが挿通される挿通孔9dが貫通形成されている。また、円筒部9bの外周側には、ニードルベアリング36が設けられている。
位相変更機構4は、従動部材9の円筒部9bの前端側に配置された電動モータ12と、該電動モータ12の回転速度を減速してカムシャフト2に伝達する減速機構13と、から主として構成されている。
電動モータ12は、ブラシ付きのDCモータであって、スプロケット1と一体に回転するモータハウジング14と、該モータハウジング14の内部に回転自在に設けられたモータ出力軸15と、モータハウジング14の内周面に固定された円弧状の4つの永久磁石16と、モータハウジング14の前端部に設けられた封止プレート17と、を備えている。
モータハウジング14は、図1に示すように、金属材である例えば鉄系金属材をプレス成形によって有底筒状に形成されたヨークとしてのハウジング本体14aを有している。このハウジング本体14aは、後端側に円板状の仕切壁14bが設けられている。この仕切壁14bは、ほぼ中央に後述する偏心軸部24を挿通する大径な軸部挿通孔14cが形成されている。この軸部挿通孔14cの孔縁には、カムシャフト2軸方向へ突出した円筒状の延出部が一体に設けられている。
モータ出力軸15は、段差円筒状に形成されてアーマチュアとして機能し、軸方向のほぼ中央位置に形成された段差部を介してカムシャフト2側の大径部15aと、封止プレート17側の小径部15bと、から構成されている。
大径部15aは、外周に鉄心ロータ18が固定されていると共に、後端側には減速機構13の一部を構成する偏心軸部24が一体に設けられている。
小径部15bは、外周に非磁性材の円環部材20が圧入固定されている。この円環部材20の外周面には、コミュテータ21が軸方向から圧入固定されている。
また、小径部15bの内周面には、モータ出力軸15の回転位置を検出する回転検出機構の被検出部22が圧入固定されている。この被検出部22は、合成樹脂材によって有蓋円筒状に形成され、前端壁の前面に3葉状の被検出ロータ22aが固定されている。また、この被検出部22は、外周にモータ出力軸15の内周面との間をシールするオイルシール22bが設けられている。
鉄心ロータ18は、複数の磁極を持つ磁性材によって形成され、外周側がコイル18aのコイル線を巻回させるスロットを有するボビンとして構成されている。
コミュテータ21は、導電材によって円環状に形成されて、鉄心ロータ18の極数と同数に分割された各セグメントにコイル18aの引き出されたコイル線の端末が電気的に接続されている。
各永久磁石16は、全体が円筒状に形成されて円周方向に複数の磁極を有し、ハウジング本体14aの回転軸方向の位置が鉄心ロータ18の固定位置よりも前方にオフセット配置されている。
封止プレート17は、全体が円盤状に形成され、中央位置にモータ出力軸15の一端部などが挿通される軸挿通孔17aが貫通形成されている。また、この封止プレート17は、円盤状の非磁性材である樹脂部17bと、該樹脂部17bの内部に埋設された円板状の芯金17cと、を有している。
また、封止プレート17は、樹脂部17bに設けられた複数(本実施形態では4つ)のホルダ23a〜23dと、該各ホルダ23a〜23dの内部に径方向に沿って摺動自在に収容配置されて、コイルスプリングのばね力で各先端面がコミュテータ21の外周面に径方向から弾接する切換用ブラシ(整流子)である4つのブラシ25a〜25dと、樹脂部17bの前端面に、各外端面を露出した状態で埋設固定された内外二重の円環状の給電用スリップリング26a、26bと、各ブラシ25a〜25dと各スリップリング26a、26bを電気的に接続する図外のピグテールハーネスと、を備えている。
また、封止プレート17は、樹脂部17bの外周から露出した芯金17cの外周部がモータハウジング14の前端部内周に形成された凹状段差部にかしめによって位置決め固定されている。
カバー部材3は、図1及び図2に示すように、モータハウジング14の前端部を覆うように配置されている。また、カバー部材3は、樹脂体27と該樹脂体27の内部に埋め込まれた金属プレート28によってほぼ円盤状に一体に形成されている。つまり、カバー部材3は、全体を合成樹脂材によってモールド成形する際に、内部に補強用の金属プレート28が埋め込まれている(モールド固定)。このカバー部材3は、円盤状のカバー本体3aと、該カバー本体3aの開口側の外周縁に一体に形成された円環状の取付フランジ3bと、を有している。
カバー本体3aは、中央に被検出部22の先端部が挿入される挿入用孔3cが貫通形成されている。また、カバー本体3aは、図1に示すように、背面側に回転検出機構の検出部である受信回路や励磁回路を備えた検出回路52や集積回路53などが保持されている。また、カバー本体3aの外側には、検出回路52や集積回路53などを覆い保護する蓋部30が着脱自在に取り付けられている。つまり、カバー本体3aは、図1に示すように、背面側の外周部に環状の固定用溝3fが形成されている。一方、蓋部30は、合成樹脂材によってほぼ矩形状の薄肉一体に形成されて、外周部に固定用溝3fに嵌着する環状の嵌着溝30aが形成されている。
また、カバー部材3は、図1及び図2に示すように、カバー本体3aから下方向へ突出した給電用コネクタ31と、該給電用コネクタ31の側部に配置された信号用コネクタ32と、を一体に有している。
給電用コネクタ31は、一部がカバー本体3aの内部に配設された細長い導電性の一対の端子片を有している(図示せず)。この各端子片は、カバー本体3a内でクランク状に折曲されて、内部の一端部が図外のピグテールハーネスを介して給電用ブラシ33,33に接続されている。一方、各端子片の他端部は、カバー本体3aからコネクタ部で露出して図外のコントロールユニットに別のコネクタを介して電気的に接続されている。
信号用コネクタ32は、図1に示すように、一部がカバー本体3aの内部に配設された細長い導電性の一対の端子片32aを有している。この各端子片32aは、一端部がハーネスを介して集積回路53に電気的に接続され、各他端部32cがコネクタ部内で露出してコントロールユニットに接続されている。このコントロールユニットは、検出回路52で検出されたモータ出力軸25の回転位置信号を入力して電動モータ12を回転制御するようになっている。なお、集積回路53は、被検出部22から入力された信号を入力する検出回路52から情報信号が入力されるようになっている。
取付フランジ3bは、樹脂材によって円環状に形成されていると共に、外周面のほぼ等間隔位置に複数(本実施形態では4つ)のボス部3eが一体に設けられている。この各ボス部3eには、ボルト挿入孔3dが貫通形成されており、この各ボルト挿入孔3dの内周面に金属製のスリーブがそれぞれ固定されている。
また、この取付フランジ3bは、各ボルト挿入孔3dに挿入される図外の取付ボルトによってチェーンケース6のフランジ部6aに締結固定されるようになっている。
さらに、取付フランジ3bのモータハウジング14側の内端面と、該内端面に対向するチェーンケース6のフランジ部6aの前端面と、の間には、両者間をシールするゴム製のシールリング50が配置されている。
また、チェーンケース6の円環溝6bの内周面とモータハウジング14の外周面との間には、大径なオイルシール51が介装されている。
カバー本体3aは、カバー部材3の樹脂体27における金属プレート28の一部切り欠かれた箇所で、かつ、各スリップリング26a、26bと対応した位置に、2つのブラシホルダ29、29が固定されている。この各ブラシホルダ29は、導電材によって角筒状に形成されて、内部にそれぞれ給電用ブラシ33、33を摺動可能に収容するものである。また、各ブラシホルダ29,29は、カバー部材3の樹脂モールド成形時に該カバー部材3に対して一体的に固定されている。
また、各ブラシホルダ29の収容孔29a内には、各先端面が各スリップリング26a、26bに軸方向からそれぞれ当接する一対の給電用ブラシ33、33が軸方向へ摺動可能に保持されている。この各給電用ブラシ33は、各収容孔29aの内壁面29b形状に合わせてそれぞれ角柱状に形成されて横断面が長方形状に形成れていると共に、所定の軸方向長さに設定されている。
また、この各給電用ブラシ33は、カバー本体3aの背面側に設けられた付勢部材である一対の捩りコイルばね34、34のばね力によってそれぞれ各スリップリング26a、26b方向へ付勢されている。つまり、この両捩りコイルばね34は、外方へ突出した図外の各一端部がカバー本体3aの背面側に弾接している。両捩りコイルばね34の各他端部は、各給電用ブラシ33の後端面に形成された図外の凹溝の底面に弾接して各給電用ブラシ33の各先端部が各スリップリング26a、26bに当接する方向へ付勢している。
また、各給電用ブラシ33は、後端部の一側面に形成された小孔33aにピグテールハーネスの一端部が挿入されて、例えば半田付けなどによって固定されている。この各ピグテールハーネスは、各給電用ブラシ33が各捩りコイルばね34のばね力によって最大に進出した際に、ブラシホルダ29から脱落しないように、その最大摺動位置を規制する長さに設定されている。一方、ピグテールハーネスの各他端部は、給電用コネクタ31の各端子片の他端部に半田付けによって固定されて両者を電気的に接続されている。
モータ出力軸15と偏心軸部24は、カムボルト10の頭部10a側の軸部10bの外周面に設けられた小径ボールベアリング35と、従動部材9の円筒部9bの外周面に設けられて小径ボールベアリング35の軸方向側部に配置されたニードルベアリング36とによって回転自在に支持されている。
また、モータ出力軸15(偏心軸部24)の外周面とモータハウジング14の延出部の内周面との間には、減速機構13の内部から電動モータ12内への潤滑油のリークを阻止する小径なオイルシール45が設けられている。
コントロールユニットは、図外のクランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、アクセル開度センサなど各種のセンサ類から情報信号に基づいて現在の機関運転状態を検出して機関制御を行う。さらに、コントロールユニットは、コイル18aに通電してモータ出力軸15の回転制御を行い、減速機構13を介してカムシャフト2のスプロケット1に対する相対回転位相を制御するようになっている。
減速機構13は、図1〜図3に示すように、偏心回転運動を行う偏心軸部24と、偏心軸部24の外周に設けられた中径ボールベアリング37と、中径ボールベアリング37の外周に設けられたローラ38と、固定端部9aの外周部に一体に設けられて、複数のローラ38を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する保持部材である円筒状の保持器39と、該保持器39と一体の従動部材9と、から主として構成されている。
偏心軸部24は、外周面に形成されたカム面24aの軸心Yがモータ出力軸15の軸心Xから径方向へ僅かに偏心している。
中径ボールベアリング37は、ニードルベアリング36の径方向位置で全体がほぼオーバーラップする状態に配置され、内輪37aと外輪37b及び両輪37a、37bとの間に介装されたボール37cとから構成されている。内輪37aは、偏心軸部24の外周面に圧入固定されているのに対して、外輪37bは、軸方向で固定されることなくフリーな状態になっている。つまり、この外輪37bは、回転軸方向の一端面がどの部位にも接触せず、また軸方向の他端面がこれに対向する保持器39の基部の内側面との間に微小な第1隙間が形成されてフリーな状態になっている。また、外輪37bの外周面には、各ローラ38の外周面が転動自在に当接している。この外輪37bの外周側には、円環状の第2隙間が形成されている。この第2隙間によって、中径ボールベアリング37全体が偏心軸部24の偏心回転に伴って径方向へ移動可能、つまり偏心動可能になっている。
各ローラ38は、例えば鉄系金属によって形成され、中径ボールベアリング37の偏心動に伴って径方向へ移動しつつ外周側が内歯構成部5の内歯5aに噛み合い保持されている。また、各ローラ38は、その全体の数が内歯構成部5の内歯5aの全体の歯数よりも少なくなっている。
さらに、この各ローラ38は、保持器39の後述するローラ保持孔41の両側に有する各保持部42によって周方向へガイドされつつ径方向に揺動運動させるようになっている。
保持器39は、図1に示すように、固定端部9aの外周部前端から前方へ断面ほぼL字形状に折曲されて、固定端部9aに一体に結合された基部と、基部の外周に一体に有し、円筒部9bと同方向へ突出した筒状部40と、を有している。
図4は図3のB部拡大図であって、保持器39の一部などを示している。
筒状部40は、雌ねじ孔14dと延出部との間に形成された円環凹状の収容空間を介してモータハウジング14の仕切壁14b方向へ延出している。また、筒状部40の周方向のほぼ等間隔位置には、複数のローラ38をそれぞれ転動自在に保持するほぼ長方形状の複数(本実施形態では例えば50個)のローラ保持孔41が周方向の等間隔位置に形成されている。
この各ローラ保持孔41は、筒状部40の円周方向に所定間隔をもって該筒状部40の回転軸方向に沿った細長い長方形状の長孔に形成されている。つまり、このローラ保持孔41は、筒状部40をプレス成形機のパンチによって該筒状部40の外周面から回転軸心の方向に向かって長方形状に打ち抜かれている。したがって、この各ローラ保持孔41は、打ち抜かれた残余部が筒状部40の基部と先端部及びそれぞれの両側壁となる保持部42、42によって長方形に仕切られている。また、各ローラ保持孔41は、その周方向幅、つまり、筒状部40の円周方向の幅(周方向幅)Wが両側の保持部42,42によって決定されている。そして、この各ローラ保持孔41の周方向幅Wは、基本的に全体がほぼ均一に形成されている。
しかし、図4に示すように、減速に使用される範囲内における図中、左側の第1ローラ保持孔41aは、その形成位置が正規の位置よりも図中、左方向へ僅かに位置ずれしている。
すなわち、第1ローラ保持孔41aの周方向幅Wの中心Qと第2ローラ保持孔41bの周方向幅Wの中心Qとの間の第1ピッチPc1が、第2ローラ保持孔41bの周方向幅Wの中心Qと第3ローラ保持孔41cの周方向幅Wの中心Qとの間の第2ピッチPcよりも大きく設定されている。
これは、第1ローラ保持孔41aを図中の左方向へ僅かに位置ずれしていることによって、第2保持部42b(図中、左位置)が、図中、左方向へ僅かに位置ずれすることによって第1保持部42aの周方向長さがその分長くなることで発生するものである。
換言すれば、第1ピッチPc1と第2ピッチPcは、第1保持部42aと第2保持部42bとの間の第1間隔Pと、第1保持部42aと第3保持部42cとの間の第2間隔P1であるといえる。
すなわち、図4に示すように、第1間隔Pは、第1保持部42aの第1ローラ保持孔41a側の一側面42dと、第2保持部42bの第1ローラ保持孔41aと反対側の一側面42eとの間の距離である。
これに対して、第2間隔P1は、第1保持部42aの一側面42dと第3保持部42cの第2ローラ保持孔41b側の一側面42fとの間の距離である。この第2間隔P1が、第1間隔Pよりも僅かに大きく設定されている。なお、第1間隔Pと第2間隔P1の差は、数十μm程度である。
第1間隔Pと第2間隔P1の距離長さの相違は、プレス成形機のパンチによって各ローラ保持孔41を筒状部40の外周側から径方向内側へ孔開け加工する際のピッチ誤差を利用して創成されている。
そして、第1保持部42aの一側面42dとこれに対向する内歯5aの内面との間の距離Lが、第3保持部42cの一側面42fとこれに対向する内歯5aの内面との距離L1よりも小さくなっている(図4参照)。
この距離L,L1の相違は、第1間隔Pを第2間隔P1よりも小さくすることによって対向する各内歯5aとの相対関係で発生するものである。つまり、第1ローラ保持孔41aの位置が、図4に示す左側へ僅かにずれていることによって、第1ローラ保持孔41aの周方向幅Wを変更せずとも前記距離Lが、距離L1よりも小さくなるのである。これによって、第1ローラ保持孔41a内のローラ38(38a)の外周面とこれに対向する内歯5a内面との隙間は、第2ローラ保持孔41b内のローラ38(38b)の外周面とこれに対向する内歯5aの内面との間の隙間よりも小さくなる。
これは、ローラ保持孔41の周方向間隔のバラツキを内歯5aの内面の周方向間隔のバラツキをよりも大きく設定することにより形成される。換言すれば、全ての隣接するローラ保持孔41の間の周方向間隔の平均に対する偏差を、全ての隣接する内歯5aの間の周方向間隔の平均に対する偏差よりも大きく設定することで、距離L,L1の相違を形成することができる。つまり、ローラ保持孔41の周方向間隔のバラツキと内歯5aの周方向間隔のバラツキに意図的に差異を持たせている。
ここで、減速に使用される範囲内とは、ローラ式の減速機構13の構造上、ローラ保持孔41で転動する各ローラ38が、図3中の上側部位の一部(例えば5個)のみが減速に使用される、この範囲内という意味である。すなわち、減速機構13は、偏心軸部24に回転力が伝達されて、中径ボールベアリング37全体が偏心動して各ローラ保持孔41内の各ローラ38が内歯5aと噛み合う位置が周方向に移動するによって回転速度が減速される。しかし、この減速に供されるローラ38は、全部が一度に噛み合いに使用されるのではなく、本実施形態であれば図3に示す上下領域のそれぞれ約5個程度である。しかも、その5個のローラ38が入っている5つのローラ保持孔41のうち、バックラッシとして機能するのは、ローラ保持孔41は前記距離Lの最も小さい1つのローラ保持孔41である。
つまり、ローラ保持孔41の周方向間隔のバラツキを内歯5aの周方向間隔のバラツキよりも大きく設定することで距離L,L1の相違が生まれるが、間隔の広い距離L1ではなく、間隔の狭い距離Lでバックラッシが決まる。
また、減速機構13の内部には、潤滑油供給手段によって潤滑油が供給されるようになっている。この潤滑油供給手段は、軸受ブラケット02の内部に形成されて、図外のメインオイルギャラリーから潤滑油が供給される油供給通路と、図1に示すように、カムシャフト2の内部軸方向とストッパ部材11内に形成されて、油供給通路に連通した油供給孔43と、従動部材9の内部軸方向に貫通形成されて、一端が油供給孔43に開口し、他端がニードルベアリング36と中径ボールベアリング37の付近に開口したオイル孔44と、同じく従動部材9に貫通形成された図外のオイル排出孔と、から構成されている。
〔VTCの作動〕
以下、本実施形態に係るVTCの作動について簡単に説明する。
まず、機関のクランクシャフトの回転駆動に伴いスプロケット1が回転して、その回転力が内歯構成部5を介してモータハウジング14、つまり電動モータ12が同期回転する。一方、内歯構成部5の回転力が、各ローラ38から保持器39及び従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2のカムが吸気弁を開閉作動させる。
そして、機関始動後の所定の機関運転時には、コントロールユニットから各給電用ブラシ33、33や各スリップリング26a、26bなどを介して電動モータ12のコイル18aに通電される。これによって、モータ出力軸15が回転駆動され、この回転力が減速機構13を介してカムシャフト2に減速された回転力が伝達される。
すなわち、モータ出力軸15の回転に伴い偏心軸部24が偏心回転すると、各ローラ38がモータ出力軸15の1回転毎に保持器39の各ローラ保持孔39bで径方向へガイドされながら内歯構成部5の一つの内歯5aを乗り越えて隣接する他の内歯5aに転動しながら移動する。各ローラ38は、これを順次繰り返しながら円周方向へ転接する。この各ローラ38の転接によってモータ出力軸15の回転が減速されつつ従動部材9に回転力が伝達される。このときの減速比は、ローラ38の個数などによって任意に設定することが可能である。
これにより、カムシャフト2が、スプロケット1に対して正逆相対回転して相対回転位相が変換されて、吸気弁の開閉タイミングを進角側あるいは遅角側に変換制御するのである。
そして、本実施形態では、前述したように、第1ローラ保持孔41aは、右側の2つの第2、第3ローラ保持孔41b、41cの正規の形成位置よりも図中、左方向へ僅かに位置がずらされている。したがって、図4に示すように、第2ローラ保持孔41b側の第2間隔P1が、第1ローラ保持孔41a側の第1間隔Pよりも大きくなっている。
この結果、第1保持部42aの一側面42dとこれに対向する内歯5aの内面との間の距離Lが、第3保持部42cの一側面42fとこれに対向する内歯5aの内面との距離L1よりも小さくなる(図4参照)。
これによって、第1ローラ保持孔41a内のローラ38(38a)の外周面とこれに対向する内歯5a内面とのクリアランス(バックラッシ)は、第2ローラ保持孔41b内のローラ38(38b)の外周面とこれに対向する内歯5aの内面との間のクリアランス(バックラッシ)よりも小さくなる。
このように、第1ローラ保持孔41a内の一つのローラ38の外周面と内歯5aの内面とのバックラッシが小さくなることによって、全体のバックラッシは、クリアランスが最小になっている箇所によって決定されることから、噛み合い部のバックラッシが小さくなる。このため、それぞれの周方向全体のバックラッシが小さくなることから、バックラッシによる干渉異音を十分に抑制することができる。
また、バックラッシが通常より小さくなるのは、例えば第1ローラ保持孔41aにおける一つのローラ38aと内歯5aであって、第2ローラ保持孔では逆に大きくなる可能性がある。これは、ローラ保持孔41は周方向において設けられる個数が装置により決まっており、例えば第1間隔Pが大きくなると、隣接する第2間隔P1が小さくなる傾向を示し、それによりローラ保持孔41の周方向間隔は大きい箇所と小さい箇所が交互に現れる傾向を示すためである。このため、この第2ローラ保持孔41bでは、ローラ38bと第2ローラ保持孔41b(両保持部42の対向両側面)及び内歯5aの内面との間のフリクションを低減させることができる。したがって、全体として過度なフリクションの発生を抑制することができる。
この結果、減速機構13の作動応答性が向上することにより、バルブタイミングの変換制御の応答性も向上する。
要するに、本実施形態では、ローラ保持孔41の周方向間隔のバラツキを内歯5aの内面の周方向間隔のバラツキをよりも大きく設定した。これによって、バックラッシによる干渉異音の発生を抑制しつつローラ38と両保持部42対向両側面、内歯5a内面との間のフリクションを低減させることが可能になる。
換言すれば、複数のローラ保持孔41の第1ピッチPc1と第2ピッチPcを含む全ての周方向間隔の平均に対するそれぞれの周方向間隔の偏差の自乗平均を、内歯5aの間の全ての周方向間隔の平均に対する偏差の自乗平均よりも大きく設定している。
さらに、ここでは、複数のローラ保持孔41の第1ピッチPc1と第2ピッチPcを含む全ての周方向間隔の平均に対するそれぞれの周方向間隔の偏差の最大値が、内歯5aの間の全ての周方向間隔の平均に対する偏差の最大値よりも大きく設定されている。
ここで、単にローラ保持孔41の幅を小さくすればバックラッシを低減できるが、複数の噛み合い箇所全てでローラ38の可動できるクリアランスが小さくなり、管理が難しくなると共に設定によってはフリクションが過度に増大してしまう。
バックラッシはクリアランスが小さい所で決まるので、ローラ保持孔41のピッチ間をバラつかせることによってローラ保持孔41の幅を小さくせずともバックラッシが低減できる。
本実施形態によれば、内歯5aとローラ保持孔41の両方ではなくローラ保持孔41の周方向間隔のバラツキのみでバックラッシの精度がコントロールできるため、容易に精度を出すことができる。
〔第2実施形態〕
図5は第2実施形態を示し、基本構造は第1実施形態と同じであって、各ローラ保持孔41間のピッチは均一ではなく、少なくとも一つのピッチPc1(間隔P1)が大きくなっている。そして、この実施形態では、ローラ保持孔41を仕切る両保持部42、42の対向両側面42g、42hが、筒状部40の外周面側から内周面側に向かって漸次小さくなる傾斜面に形成されている。
すなわち、両保持部42a,42bは、対向両側面42g、42hが同じ勾配をもって筒状部40の外側(内歯5a側)から内側(外輪37b側)に亘って漸次互いに近づく傾斜状に形成されている。したがって、ローラ保持孔41は、外側の大きなW2幅から内側の小さな幅W3に掛けて次第に縮幅となるように形成されている。
この実施形態によれば、両保持部42a、42bの対向両側面42g、42hを内側が縮幅となる傾斜状に形成されていることから、ローラ保持孔41内でのローラ38の角加速度が小さくなる。つまり、ローラ38は、ローラ保持孔41内での転動時において外周面と傾斜状の対向両側面42g、42hとの間の摩擦力が大きくなる。換言すれば、ローラ38の外周面との間のバックラッシが小さくなって、ローラ38の転動の角加速度が小さくなる。したがって、ローラ38の可動時における干渉異音をさらに抑制することができる。
図6は本出願人の発明が、従来の構造と第1、第2実施形態における構造を採用した場合のバックラッシの大きさを実験によって得た結果をグラフにしたものである。
すなわち、従来におけるほぼ均一なピッチの場合と、第1実施形態におけるピッチを大小異ならせた場合と、並びに第2実施形態における傾斜状の対向両側面42g、42hを用いた場合と、さらに第1、第2実施形態の構造を組み合わせた場合におけるローラ38と両保持部42a、42bとの間のバックラッシの大きさを示したグラフである。
このグラフをみると、従来のように隣接するローラ保持孔41間のピッチがほぼ均一な場合(1)は、バックラッシが最大に大きくなっている。また、各ローラ保持孔41間のピッチがほぼ均一に設定され、第2実施形態のように対向両側面42g、42hに勾配が形成されている場合(2)は、バックラッシが(1)よりも約2%小さくなっている。
さらに、第1実施形態のように、ピッチ間が大小異なっている場合(3)は、バックラッシがさらに小さくなって(2)より約20%程度小さくなっている。
また、第1実施形態を前提構成とした第2実施形態のように、ピッチ(間隔)間が大小異なっていると共に、対向両側面42g、42hに勾配が形成されている場合(4)は、バックラッシが最も小さくなって(3)よりさらに約10%程度小さくなっている。
この実験結果からも明らかなように、第1実施形態(3)のように、保持部42含めた各ローラ保持孔41間のピッチを大小異ならせれば、バックラッシは従来のほぼ均一の場合に比較して約20%も小さくなるのである。したがって、前述したように、減速機構13の作動時のローラ38の干渉異音の抑制を図りつつローラ38のフリクションを十分に抑制することができる。
また、第1実施形態の構造を組み合わせた第2実施形態の場合(4)のように、ピッチを大小異ならせ、かつ対向両側面42g、42hに勾配をもたせれば、さらにバックラッシが従来のものに比較して30%以上小さくなる。したがって、干渉異音の抑制効果がさらに大きくなることが明らかである。
また、第1、第2実施形態では、各ローラ保持孔41をプレス成形によって同時に成形したので、製造作業能率の向上が図れると共に、製造コストの低減化が図れる。
本発明は、各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、各ローラ保持孔41を、長方形の長孔ではなく、筒状部40の先端側が開口された溝状に形成することも可能である。
また、各ローラ保持孔41の成形法としては、プレス成形法以外にレーザ加工法やエンドミルなど他の成形法を用いることも可能である。
各実施形態では、駆動回転体としてスプロケット1に適用したものを示したが、タイミングプーリに適用することも可能である。
また、第1、第2実施形態では、各ローラ保持孔41のピッチ間バラツキを各内歯5aのピッチ間バラツキよりも大きく設定することで効果を得ることができているが、各内歯5aのピッチ間バラツキを各ローラ保持孔41のピッチ間バラツキよりも大きく設定することでも同様の効果を得ることができる。
また、電動モータ12は減速機構13と一体である必要はなく、電動モータ12が例えばチェーンケース6などの固定部材に固定され、減速機13がカムシャフトに固定されている構成でも良い。この場合、電動モータ12のモータ出力軸15が減速機13側に延びる構造である。ここで、電動モータ12は例えばブラシレスモータであり、モータ出力軸15へ与える制御トルクを通電によって発生する。通電制御回路は、マイクロコンピュータ及びモータドライバ等から構成されており、電動モータ12の外部に配置されている。通電制御回路は、電動モータ12と電気的に接続されており、内燃機関の運転状況に応じて電動モータ12への通電を制御する。この制御された通電を受けて電動モータ12は、モータ出力軸15へ与える回転トルクを保持又は増減する。
以上説明した実施形態に基づく内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
その一つの態様において、クランクシャフトからの回転力が伝達される駆動回転体と、カムシャフトに固定された従動回転体と、出力軸を回転させる電動モータと、前記出力軸の回転を減速して前記従動回転体に伝達することによって前記駆動回転体に対する前記従動回転体の相対回転位相を変更する減速機構と、を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、前記減速機構は、
前記出力軸と一緒に回転する偏心回転体と、前記駆動回転体の内周に該駆動回転体の周方向へ等間隔で設けられた複数の内歯と、前記偏心回転体の外周と前記内歯の間に配置された複数の転動体と、前記従動回転体に設けられて、前記各転動体を内部に転動可能に収容保持する複数の保持孔と、を有する保持部材と、を備え、
前記従動回転体の周方向における前記複数の保持孔の周方向の間隔のバラツキが、前記駆動回転体の周方向における前記複数の内歯の周方向の間隔のバラツキよりも大きく設定した。
基本的に減速用として使用されるローラ(保持孔)は、一般的には数個であり、バックラッシによる干渉異音を抑制するために、その周方向幅を全体に小さくすると、フリクションの問題が発生するおそれがある。つまり、全体のバックラッシは、保持孔(2つの保持部間)とローラとの間のクリアランスが最も小さいところで決まることから、この点でバックラッシの干渉異音を抑制できる。
しかも、前記クリアランスが最も小さくところ以外の保持孔とローラのクリアランスは、大きくなっている部分があるので、過度なフリクションの発生を抑制できる。
さらに好ましくは、前記一つの保持部の第1保持孔に臨む一側面と該第1保持孔に臨む前記内歯の内面との距離を、他の保持部の他の保持孔に位置する一側面と他の内歯の内面との距離よりも小さくした。
さらに好ましくは、前記保持孔を形成する両保持部の前記従動回転体の周方向で対向する両内側面の周方向幅は、前記従動回転体の回転軸線を中心とした半径方向において外側から内側にかけて漸次小さくなるようにした。
さらに好ましくは、前記複数の保持孔は、前記保持部材の先端に有する筒状部をプレス成形機のパンチによって前記従動回転体の回転軸線を中心とした半径方向において外側から内側に向けて打ち抜き形成されている。
さらに好ましくは、前記保持孔の外側の孔縁には、前記パンチによって形成された円弧面が形成されている。
この発明によれば、円弧面によって保持孔への転動体の挿入性が良好になる。
別の好ましい態様としては、クランクシャフトからの回転力が伝達される駆動回転体と、カムシャフトに固定された従動回転体と、出力軸を回転させる電動モータと、前記出力軸の回転を減速して前記従動回転体に伝達する減速機構と、を備え、
前記減速機構は、前記出力軸と一緒に回転する偏心回転体と、前記駆動回転体の内周に設けられた複数の内歯と、前記偏心回転体の外周と前記内歯の間に配置された複数の転動体と、前記従動回転体に設けられて、前記各転動体を内部に転動可能に収容した複数の保持孔が仕切られる複数の保持部を有する保持部材と、を有し、前記駆動回転体の周方向において前記複数の内歯のうち、減速に使用される範囲内の隣り合う2つの内歯の間隔は、この2つの内歯以外の他の隣り合う2つの内歯の間隔の平均値よりも小さく設定されている。