JP2016151244A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】装置の径方向の小型化を図りつつボールベアリングの潤滑性能の低下を抑制し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】タイミングスプロケット1と従動部材9を、大径ボールベアリング43を介して相対回転自在に支持する共に、電動モータのモータ出力軸から偏心軸部39に伝達された回転力を、保持器41のローラ保持部41bに保持された複数のローラ48を介して従動部材9に伝達する装置であって、前記大径ボールベアリングは、外輪43aの内径rがローラ保持部の外径r1よりも小さく形成されている一方、ローラ保持部のローラ等を潤滑した潤滑油を、外輪の保持器側の軸方向一端部を切り欠いて形成された段差凹溝59aによって、大径ボールベアリングの内部に導入するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、吸気弁や排気弁の開閉時期を制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されているものが知られている。
このバルブタイミング制御装置は、電動モータの回転力を、タイミングスプロケットの内部に設けられた減速機構を介してカムシャフトに伝達することによってクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変換して吸気弁や排気弁の開閉タイミングを制御するようになっている。
そして、前記スプロケットの内部には、該スプロケットの内部に収容された前記減速機構や前記スプロケットを従動部材に対して回転自在に支持する大径ボールベアリングなどの各構成部材を潤滑する潤滑油が外部から供給されるようになっており、前記各構成部材を潤滑した前記潤滑油は、最終的に前記減速機構のローラ保持器の外周側から前記大径ボールベアリングの外輪と内輪の間を潤滑しつつ外部に排出されるようになっている。
特開2013−167181号公報
ところで、前記従来のバルブタイミング制御装置にあっては、小型化の要請からタイミングスプロケットなどの装置全体の外径を縮径化するために、前記大径ボールベアリングの外径も縮径状に形成することが望まれていた。
しかしながら、前記大径ボールベアリングを縮径化すると、該大径ボールベアリングのローラ保持器側に位置する外輪と内輪との間の隙間、つまり、ローラ保持器側の軸方向一端側の隙間が前記ローラ保持器の背面で塞がれてしまい、ローラ保持器内を潤滑した潤滑油を前記大径ボールベアリングの内部へ十分に供給することができなくなり、前記大径ボールベアリングの潤滑性能が低下するおそれがある。
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、装置の径方向の小型化を図りつつ大径ボールベアリングの潤滑性能の低下を抑制し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的としている。
本願請求項1に記載の発明は、とりわけ、駆動回転体の内周面に外輪が固定され、前記従動回転体の外周に内輪が固定されたベアリングと、前記保持部材のローラ保持部に潤滑油を供給する潤滑油通路と、を備え、
前記ベアリングの外輪は、前記ローラ保持部に軸方向から近接配置されていると共に、内径が前記ローラ保持部の外径よりも小さく形成されており、潤滑油通路は、前記外輪の前記ローラ保持部側の軸方向一端部に、前記ローラ保持部を潤滑した潤滑油をベアリングの内部に導入する潤滑油導入部を有することを特徴としている。
この発明によれば、装置の径方向の小型化を図りつつ大径ボールベアリングの潤滑性能の低下を抑制することができる。
本発明に係るバルブタイミング制御装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図1に示すバルブタイミング制御装置の要部拡大図である。 本実施形態における主要な構成部材を示す分解斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 本実施形態に供される給電プレートの背面図である。 本実施形態に供されるカバー部材の斜視図である。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態では、吸気弁側のバルブタイミング制御装置に適用したものであるが、排気弁側にも適用可能である。
前記バルブタイミング制御装置は、図1及び図3に示すように、内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体であるタイミングスプロケット1と、シリンダヘッド01上に軸受02を介して回転自在に支持されていると共に、前記タイミングスプロケット1に相対回転自在に設けられ、該タイミングスプロケット1から伝達された回転力によって回転するカムシャフト2と、前記タイミングスプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、機関運転状態に応じて両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構3と、タイミングスプロケット1の前方位置に配置されたチェーンカバー65に固定されたカバー部材4と、を備えている。
前記タイミングスプロケット1は、図2に示すように、全体が鉄系金属によって環状一体に形成されて外径が比較的小径状に形成されたスプロケット本体1aと、該スプロケット本体1aの外周に一体に設けられて、巻回された図外のタイミングチェーンを介してクランクシャフトからの回転力を受けるギア部1bと、前記スプロケット本体1aの前端側に一体に設けられた内歯構成部19と、から構成されている。
前記チェーンカバー65は、例えばアルミニウム合金材によって一体に形成され、図1に示すように、機関本体であるシリンダヘッド01と図外のシリンダブロックの前端側に前記タイミングスプロケット1に巻回された図外のタイミングチェーン全体を覆うよう上下方向に沿って配置固定されている。また、このチェーンカバー65と後述するハウジング本体5aとの間には、オイルシール66が圧入され、前記チェーンカバー65の内周面と前記ハウジング本体5aの外周面との間をシールしている。
前記スプロケット本体1aは、内周面が段差径状に形成されていると共に、内周面の軸方向の前記カムシャフト2側である一端側に開口した円環溝状の外輪固定面60が切欠形成されている。この外輪固定面60は、軸方向の内端側に段差面60aが軸直角方向に沿って形成されている。
前記内歯構成部19は、前記スプロケット本体1aの前端部外周側に一体に設けられ、位相変更機構3の前方へ延出した円筒状に形成されていると共に、内周には波形状の複数の内歯19aが形成されている。
また、このタイミングスプロケット1は、スプロケット本体1aと前記カムシャフト2の前端部に設けられた後述する従動回転体である従動部材9との間に、1つの大径ボールベアリング43が介装されており、この大径ボールベアリング43によって、タイミングスプロケット1が前記従動部材9(カムシャフト2)に相対回転自在に軸受されている。
前記大径ボールベアリング43は、図2にも示すように、外輪43a及び内輪43bと、該両輪の間に介装されたボール43cと、から主として構成されている。
前記外輪43aは、外径が前記タイミングスプロケット1の小径化に伴って比較的小径に形成されていると共に、外周面が前記スプロケット本体1aの前記外輪固定面60の内周面に軸方向から圧入固定されて、外輪固定面60の内側段差面60aに突き当たって軸方向の位置決めがされるようになっている。また、この外輪43aは、内周面の内径rが後述する保持器41のローラ保持部41bの外径r1よりも小さく形成されている。
前記内輪43bは、前記従動部材9の後述する固定端部9aの外周側に形成された円環状の内輪固定面62の外周面に軸方向から圧入固定され、該内輪固定面62の内側段差面62aに突き当たって軸方向の位置決めがされるようになっている。
さらに、前記スプロケット本体1aの内歯構成部19と反対側の後端部には、円環状の保持プレート61が配置されている。この保持プレート61は、金属板材によって一体に形成され、図1及び図5に示すように、外径が前記スプロケット本体1aの外径とほぼ同一に設定されていると共に、内径が前記大径ボールベアリング43の外輪43aの内径よりも小さい径に設定されて、内周部61aが前記外輪43aの軸方向の外端面に当接配置されている。
前記保持プレート61の内周部61aの内周縁所定位置には、図5に径方向内側、つまり中心軸方向に向かって突出したストッパ凸部61bが一体に設けられている。
このストッパ凸部61bは、ほぼ扇状に形成されて、先端縁61cが後述するストッパ溝2bの円弧状内周面に沿った円弧状に形成されている。さらに、前記保持プレート61の外周部には、各ボルト7が挿通する6つのボルト挿通孔61dが周方向の等間隔位置に貫通形成されている。
前記スプロケット本体1a(内歯構成部19)及び保持プレート61の各外周部には、それぞれボルト挿通孔1c、61dが周方向のほぼ等間隔位置に6つ貫通形成されている。なお、前記スプロケット本体1aと内歯構成部19は、後述する減速機構12のケーシングとして構成されている。
また、前記スプロケット本体1aと前記内歯構成部19、保持プレート61及びハウジング本体5aは、それぞれの外径がほぼ同一に設定されている。
前記モータハウジング5は、図1に示すように、鉄系金属材をプレス成形によって有底筒状に形成された前記ハウジング本体5aと、該ハウジング本体5aの前端開口を封止する給電プレート11と、を備えている。
前記ハウジング本体5aは、外径が前記スプロケット本体1aの外径と同じく比較的小径に形成され、後端側に円板状の隔壁5bを有し、該隔壁5bのほぼ中央には、後述する偏心軸部39が挿通される大径な軸挿通孔5cが形成されていると共に、該軸挿通孔5cの孔縁に径方向内側へ突出した円筒状の延出部5dが一体に設けられている。また、前記隔壁5bの外周部の内部には、雌ねじ孔6が軸方向に沿って形成されている。なお、ハウジング本体5aの隔壁5bの後端面には、前記内歯構成部19が軸方向から当接している。
また、前記雌ねじ孔6は、各ボルト挿通孔1c、61dと対応した位置に形成されており、これらに挿通した6本のボルト7によって前記タイミングスプロケット1(内歯構成部19)と保持プレート61及びハウジング本体5aが軸方向から共締め固定されている。
前記カムシャフト2は、外周に図外の吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有していると共に、前端部に円環状のアダプタ63が配置されている。
このアダプタ63は、図1及び図2に示すように、縦断面ほぼクランク状に折曲形成され、外径が後述する従動部材9の固定端部9a(内輪固定面62)の外径よりも僅かに大きく形成されて、各構成部品の組み付け後に、外方へ突出した環状外周部63aの前端面が前記大径ボールベアリング43の内輪43bの軸方向外端面に当接して軸方向に移動を規制するようになっている。また、アダプタ63の内方へ突出した環状の内周部63bは、前記従動部材9の固定端部9aの外側面に形成された円環状の嵌合溝9c内に軸方向から嵌合した状態でカムボルト10によってカムシャフト2の一端部2aと従動部材9の固定端部9aとの間に挟持状態に結合されている。
また、前記アダプタ63の外周部63aの外周面には、図5に示すように、前記保持プレート61のストッパ凸部61bが係入するストッパ凹溝63cが円周方向に沿って形成されている。このストッパ凹溝63cは、円周方向へ所定長さの円弧状に形成されて、この長さ範囲で回動したストッパ凸部61bの両端縁が周方向の対向縁63d、63eにそれぞれ当接することによって、タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の最大進角側あるいは最大遅角側の相対回転位置を規制するようになっている。
なお、前記ストッパ凸部61bは、前記保持プレート61の大径ボールベアリング43の外輪43aに軸方向外側から対向して固定する部位よりもカムシャフト2側に離間して配置されて、前記従動部材9の固定端部9aとは軸方向で非接触状態になっている。これによって、ストッパ凸部61bと固定端部9aとの干渉を抑制できる。
前記カムボルト10は、図1に示すように、頭部10aの軸方向端面が小径ボールベアリング37の内輪を軸方向から支持していると共に、軸部10bの外周に前記カムシャフト2の端部から内部軸方向に形成された雌ねじ2cに螺着する雄ねじ10cが形成されている。
前記従動部材9は、鉄系金属によって一体に形成され、図1に示すように、後端側(カムシャフト2側)に形成された円板状の固定端部9aと、該固定端部9aの内周前端面から軸方向へ突出した円筒部9bと、前記固定端部9aの外周部に一体に形成されて、複数のローラ48を保持する保持部材である円筒状の保持器41と、から構成されている。
前記固定端部9aは、後端面が前記カムシャフト2の一端部2aの前端面に当接配置されて、前記カムボルト10の軸力によって前記アダプタ62を介してカムシャフト2の一端部2aに軸方向から固定されている。
前記円筒部9bは、図1に示すように、中央に前記カムボルト10の軸部10bが挿通される挿通孔9dが貫通形成されていると共に、外周側にはニードルベアリング38が設けられている。
前記保持器41は、図1に示すように、前記固定端部9aの外周部前端から前方へ断面ほぼL字形状に折曲形成されて、前記固定端部9aの外周部前端側に径方向に沿って延出した円環状の伝達部41aと、該伝達部41aの外端からほぼ軸直角方向へ延出した円筒状のローラ保持部41bと、から主として構成されている。
前記伝達部41aは、その背面の内周側が前記内輪固定面62の段差面62aとなっていると共に、外周部が前記大径ボールベアリング43の外輪43aの軸方向一端面の近傍まで延出している。
前記ローラ保持部41bは、先端部が前記内歯構成部19や隔壁5bなどによって隔成された円環凹状の収容空間を介してモータハウジング5の隔壁5b方向へ延出していると共に、周方向のほぼ等間隔位置には、図1〜図3に示すように、前記複数のローラ48をそれぞれ転動自在に保持するほぼ長方形状の複数のローラ保持孔41cが周方向の等間隔位置に形成されている。このローラ保持孔41c(ローラ48)は、先端部側が閉塞されて前後方向に細長い形状に形成され、その全体の数が前記内歯構成部19の内歯19aの全体の歯数よりも少なくなっており、これによって、減速比を得るようになっている。
また、前記伝達部41aとローラ保持部41bとの結合箇所の外端縁には、前記大径ボールベアリング43の外輪43aと内輪43bとの間の隙間に指向して傾斜状に切り欠かれたテーパ面状の切欠面41dが形成されている。
前記位相変更機構3は、前記従動部材9の円筒部9bの前端側に配置された前記電動モータ8と、該電動モータ8の回転速度を減速してカムシャフト2に伝達する減速機構12と、から主として構成されている。
前記電動モータ8は、図1及び図3に示すように、ブラシ付きのDCモータであって、前記タイミングスプロケット1と一体に回転するヨークであるモータハウジング5と、該モータハウジング5の内部に回転自在に設けられたモータ出力軸13と、モータハウジング5の内周面に接着剤によって固定されたステータであるそれぞれ円弧状の4つの永久磁石14と、モータハウジング5の前端部に固定された前記給電プレート11と、を備えている。
前記モータ出力軸13は、段差円筒状に形成されてアーマチュアとして機能し、軸方向のほぼ中央位置に形成された段差部を介してカムシャフト2側の大径部13aと、そのカバー部材4側の小径部13bと、から構成されている。前記大径部13aは、外周に鉄心ロータ17が固定されていると共に、後端側に減速機構12の一部を構成する偏心カムである偏心軸部39が一体に形成されている。
一方、前記小径部13bは、外周に円環部材20が圧入固定されていると共に、該円環部材20の外周面に後述するコミュテータ21が軸方向から圧入固定されている。前記円環部材20は、その外径が前記大径部13aの外径とほぼ同一に設定されていると共に、小径部13bの軸方向のほぼ中央位置に配置されている。
前記鉄心ロータ17は、複数の磁極を持つ磁性材によって形成され、外周側がコイル18のコイル線を巻回させるスロットを有するボビンとして構成されており、この鉄心ロータ17の内周部が前記モータ出力軸13の段差部外周に軸方向へ位置決めされつつ固定されている。
一方、前記コミュテータ21は、導電材によって円環状に形成されて、前記鉄心ロータ17の極数と同数に分割された各セグメントに前記コイル18の引き出されたコイル線の端末が電気的に接続されている。
前記各永久磁石14は、円周方向に所定隙間をもって配設されて全体が円筒状に形成され、円周方向に複数の磁極を有していると共に、その軸方向の位置が前記鉄心ロータ17の軸方向の中心に対して前記給電プレート11側にオフセット配置されている。これによって、前記各永久磁石14の前端部が、径方向で前記コミュテータ21や給電プレート11に設けられた後述する切換用ブラシ25a、25bなどとオーバーラップするように配置されている。
前記給電プレート11は、図1及び図6に示すように、鉄系金属材からなる円盤状の金属プレート部16と、該金属プレート部16の前後両側面にモールドされた円板状の樹脂部22と、から構成されている。なお、この給電プレート11は、電動モータ8への給電機構の一部として構成されている。
前記金属プレート16は、前記樹脂部22に覆われていない外周部16aが前記モータハウジング5の前端部内周に形成された円環状の段差状の凹溝にかしめによって位置決め固定されていると共に、中央部にはモータ出力軸13の小径部13bなどが挿通される軸挿通孔16bが貫通形成されている。また、金属プレート16は、前記軸挿通孔16bの内周縁に連続した所定の位置に矩形状の2つの保持孔16c、16dが打ち抜きにより形成されており、この各保持孔16c、16dには、後述するブラシホルダ23a、23bが嵌入保持されている。
また、前記給電プレート11には、図1、図6に示すように、前記金属プレート16の各保持孔16c、16dの内側に配置されて、前記樹脂部22の前端部22aに複数のリベット40により固定された銅製筒状の一対のブラシホルダ23a、23bと、該各ブラシホルダ23a、23bの内部に径方向に沿って摺動自在に収容配置されて、コイルスプリング24a、24bのばね力で円弧状の各先端面が前記コミュテータ21の外周面に径方向から弾接する整流子である一対の切換用ブラシ25a、25bと、前記樹脂部22の前端部22a側に、それぞれの外側面を露出した状態でモールド固定された内外二重の給電用スリップリング26a,26bと、前記各切換用ブラシ25a、25bと各スリップリング26a,26bを電気的に接続する導線であるハーネス27a、27bと、が設けられている。
前記内周側の小径なスリップリング26aと、外周側の大径なスリップリング26bは、銅材からなる薄板をプレスによって円環状に打ち抜き形成されている。
前記カバー部材4は、図1及び図7に示すように、ほぼ円盤状に形成されて、前記給電プレート11の前端側に前記ハウジング本体5aの前端部に対向し、少なくとも一部を覆う形で配置されており、円板プレート状のカバー本体28と、該カバー本体28の前端部を覆う合成樹脂製のカバー部29と、から構成されている。
前記カバー本体28は、主として合成樹脂材によって所定の肉厚に形成されていると共に、外径が前記ハウジング本体5aの外径より大きく形成されており、内部には線膨張係数が合成樹脂材よりも小さな金属製の補強プレート28aがモールド固定されている。
また、カバー本体28は、図7にも示すように、外周部の4箇所に突設された円弧状のボス部28cに、図外のチェーンケースに固定されるボルトが挿通されるボルト挿通孔28dが樹脂材にモールドされた金属製のスリーブ28eによってそれぞれ形成されていると共に、下側の左右2つのボス部28cには、カバー部材4をチェーンケースに取り付ける際に位置決めピンを挿通する2つのピン挿通孔28i、28iが貫通形成されている。
前記カバー部29は、円盤プレート状に形成されて、外周縁に一体に形成された円環状の係止凸部29aが前記カバー本体28の外周部に形成された段差係止溝28jに軸方向から圧入によって係止固定されている。
前記カバー本体28は、前記各スリップリング26a、26bと軸方向から対向する位置に銅製の一対の角筒状ブラシホルダ30a、30bが軸方向に沿って固定されていると共に、該各ブラシホルダ30a、30bの内部には、各先端面が前記各スリップリング26a、26bに摺接する一対の給電用ブラシ31a、31bが軸方向へ摺動自在に保持されている。
前記ブラシホルダ30a、30b及び給電用ブラシ31a、31bは、前記カバー本体28の中心から延びた径方向線上の内側と外側に並設されていると共に、それぞれの後端部が前記カバー本体28の外側面28bに臨んでいる。
また、カバー本体28の電動モータ8側の内面のほぼ中央位置には、図1に示すように、円形状の凹溝36aが形成されている。この凹溝36aは、カバー本体28の軸方向外側に凹んで形成され、内径が後述する被検出部50の先端部50bの外径よりも大きく形成されていると共に、その深さは前記カバー本体28の軸方向の幅長さよりも僅かに小さく形成されて、薄肉な底壁を有している。また、この薄肉な底壁の外面ほぼ中央位置には、位置決め用凸部28kが外側面28bから突設されている。
前記収容溝49は、図7に示すように、カバー本体28のほぼ径方向に沿って長方形状に切り欠いて形成され、前記両給電用ブラシ31a、31bの上方位置にほぼ並行状態に配置されている。つまり、この収容溝49の形成位置は、各給電用ブラシ31a、31bを挟んで後述する給電用コネクタ33と反対側の径方向位置に設けられている。
また、この収容溝49に内部には、前記各給電用ブラシ31a、31bを前記スリップリング26a、26b方向へ付勢する付勢部材である一対の捩りコイルばね32、32が収容されている。
この一対の捩りコイルばね32、32は、図7に示すように、各巻き線部32a、32aが前記収容溝49の内部に沿って直列状に配置収容されていると共に、該各巻き線部32a、32aの内部に挿通された図外のリテーナによって収容溝49内に収容保持されている。
このリテーナは、合成樹脂材によって1本の軸状に一体に形成され、軸方向の中央位置に矩形状の支持片55が一体に設けられている。この支持板55は、リテーナの軸方向中央位置を横断する形で一体に形成され、前記収容溝49の長手方向のほぼ中央位置の対向内側面に形成された図外のスリット状の一対の固定用溝に上方から圧入嵌合して、リテーナの両軸部に保持された各捩りコイルばね32,32を前記収容溝49内に安定に保持するようになっている。
前記各捩りコイルばね32,32は、内側にU字形状に折曲された前記各一端部が前記各係止溝に係入固定されていると共に、径方向へ突出した他端部32b、32bが前記各給電用ブラシ31a、31bの後端面に弾接してスリップリング26a、26b方向へ押圧するようになっている。
なお、前記各捩りコイルばね32,32の他端部32b、32bは、先端部がほぼL字形状に折曲形成されて、前記各給電用ブラシ31a、31bの後端面に対して安定に当接するようになっている。
前記各ブラシホルダ30a、30bは、前後端に開口部が形成されて、前端側の開口部から前記各給電用ブラシ31a、31bの先端部が進退自在になっていると共に、各一側壁の長手方向に形成されたスリット孔を介して各給電用ブラシ31a、31aの後端側部にピグテールハーネス64,64の一端部が接続されている。
前記各ピグテールハーネス64は、各他端部が後述する給電用コネクタ33の端子片の各一端部33b、33bに半田付けによって接続されており、その長さが前述したように、前記給電用ブラシ31a、31bが前記捩りコイルばね32、32のばね力によって押し出されてもブラシホルダ30a、30bから脱落しないような長さに設定されている。
前記各給電用ブラシ31a、31bは、角柱状に形成されて所定の軸方向長さに設定されていると共に、平坦な各先端面が前記各スリップリング26a,26bに軸方向からそれぞれ当接するようになっている。
また、前記カバー本体28の下端部には、前記各給電用ブラシ31a、31bに図外のコントロールユニットを介して電源バッテリーから電流を供給する給電用コネクタ33が一体に設けられていると共に、前記検出部51で検出された回転角度信号を前記コントロールユニットに出力する信号用コネクタ34が前記給電用コネクタ33と並行かつ径方向に沿って突設されている。
前記給電用コネクタ33は、図7に示すように、その開口部がカバー部材4の外周側下端部にほぼ径方向に沿って形成されて、全体の巾長さがカバー部材4の巾長さとほぼ同じ長さになっている。
また、給電用コネクタ33は、前記カバー本体28の内部に部分的に埋設された導電材である一対の端子片の各一端部33a、33aが前記ピグテールハーネス64,64に接続されていると共に、前記開口部の内部に配置されて外部に露出した他端部33b、33bがコントロールユニット側の雌コネクタ端子に接続されるようになっている。
一方、前記信号用コネクタ34は、図1及び図7に示すように、開口部がカバー部材4の外周側下端部にほぼ径方向に沿って形成されて、前記給電用コネクタ33の開口部と並行に形成されていると共に、全体の巾長さがカバー部材4の巾長さとほぼ同じ長さになっているが、電動モータ8側の一部が電動モータ8方向へ突出している。また、この信号用コネクタ34は、カバー本体28内に部分的に埋設された導電材である複数の端子片を有し、外部に露出された各一端部34aが前記プリント基板51の集積回路54に接続されていると共に、他端部34bがコントロールユニット側の図外の雌コネクタ端子に接続されるようになっている。
前記モータ出力軸13の小径部13bと、前記カバー本体28の凹溝36aの底壁を挟んだ中央部との間には、モータ出力軸13の回転角度位置を検出する前記角度センサ35が設けられている。
この角度センサ35は、電磁誘導型であって、図1に示すように、前記モータ出力軸13の小径部13b内に固定された被検出部50と、前記カバー本体28のほぼ中央位置に固定されて、前記被検出部50からの検出信号を受信する検出部51と、から構成されている。
前記被検出部50は、合成樹脂材からなるほぼ有底円筒状の支持部50aの軸方向先端部50bの底壁外面に3葉形状の薄板な被検出ロータ52が固定されていると共に、支持部50aの後端部外周に前記モータ出力軸13の小径部13bの内部に圧入される円環状突起50cが一体に設けられている。
また、前記支持部50aは、外径が前記凹溝36aの内径よりも小さく形成されて、前記モータ出力軸13の小径部13bの先端から突出した前記先端部50bが前記カバー本体28の前記凹溝36a内に挿入配置されて、前記被検出ロータ52が凹溝36aの薄肉な底壁の底面に微少クリアランスCを介して対向配置されている。
前記検出部51は、前記カバー本体28のほぼ中央位置から径方向に延設されたほぼ長方形状のプリント基板53と、該プリント基板53の長手方向の一端部外面に設けられた集積回路(ASIC)54と、該集積回路54と同じ外面の他端部側に設けられた図外の受信回路及び発振回路と、を備えている。
前記プリント基板53は、図外の前記受信、発振回路の中央に位置決め用小孔53aが形成されており、この位置決め用小孔53aが前記位置決め用凸部28kに圧入嵌合して前記被検出ロータ52の中心と受信、発振回路の中心が位置決めされるようになっている。
また、このプリント基板53は、前記カバー本体28の前端面に対してビスなどの所定の固定手段によって固定されており、したがって、前記受信、発振回路は、前記凹溝36aの底壁と微少クリアランスCを介して前記被検出ロータ52に軸方向から対峙している。
よって、前記モータ出力軸13の回転に伴って前記被検出ロータ52が支持部50aを介して回転することにより、図外の前記受信、発信回路と前記被検出ロータ52との間に誘導電流が流れて、この電磁誘導作用によって前記集積回路54がモータ出力軸13の回転角度を検出し、この検出信号をコントロールユニットに出力するようになっている。
また、前記カバー本体28の前記凹溝36aの開口部側外周には、該凹溝36aの内径よりも大きな内径を有する大径溝36bが形成されている。この大径溝36bは、図1に示すように、内径が前記円環部材20の外径とほぼ同じ大きさに形成されていると共に、深さが前記カバー本体28の中央部後端面から軸方向のほぼ中央位置までの深さに形成されている。この大径溝36bと前記凹溝36aは、前記各スリップリング26a、26bと各給電用ブラシ31a、31bの先端部との当接位置よりも外側にオフセットされていると共に、両者が協働してラビリンス溝として構成されるようになっている。
前記モータ出力軸13と偏心軸部39は、前記カムボルト10の軸部10b外周面に設けられた小径ボールベアリング37と、前記従動部材9の円筒部9bの外周面に設けられて小径ボールベアリング37の軸方向側部に配置された前記ニードルベアリング38とによって回転自在に支持されている。
前記ニードルベアリング38は、偏心軸部39の内周面に圧入された円筒状のベアリングリテーナ38aと、該ベアリングリテーナ38aの内部に回転自在に保持された複数の転動体であるニードルローラ38bと、から構成されている。このニードルローラ38bは、前記従動部材9の円筒部9bの外周面を転動している。
前記小径ボールベアリング37は、内輪が前記従動部材9の円筒部9bの前端縁とカムボルト10の頭部10aとの間に挟持状態に固定されている一方、外輪が前記偏心軸部39の段差拡径状の内周面に圧入固定されていると共に、前記内周面に形成された段差縁に当接して軸方向の位置決めがなされている。
また、前記モータ出力軸13(偏心軸部39)の外周面と前記モータハウジング5の延出部5dの内周面との間には、減速機構12の内部から電動モータ8内への潤滑油のリークを阻止する小径なオイルシール46が設けられている。このオイルシール46は、電動モータ8と減速機構12とをシール機能をもって隔成するものである。
前記コントロールユニットは、図外のクランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、アクセル開度センサなど各種のセンサ類からの情報信号に基づいて現在の機関運転状態を検出し、これに基づいて機関制御を行うと共に、前記給電用ブラシ31a、31bや各スリップリング26a,26b、切換用ブラシ25a、25b、コミュテータ21などを介してコイル18に通電してモータ出力軸13の回転制御を行い、減速機構12によってカムシャフト2のタイミングスプロケット1に対する相対回転位相を制御するようになっている。
前記減速機構12は、図1〜図3に示すように、偏心回転運動を行う前記偏心軸部39と、該偏心軸部39の外周に設けられた中径ボールベアリング47と、該中径ボールベアリング47の外周に設けられた前記ローラ48と、該ローラ48を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する前記保持器41と、該保持器41と一体の前記従動部材9と、から主として構成されている。
前記偏心軸部39は、図1に示すように、外周面に形成されたカム面39aの軸心Yがモータ出力軸13の回転軸心Xから径方向へ僅かに偏心している。
前記中径ボールベアリング47は、前記ニードルベアリング38の径方向位置で全体がほぼオーバーラップする状態に配置され、内輪47aと外輪47b及び該両輪47a、47bとの間に介装されたボール47cとから構成されている。前記内輪47aは、前記偏心軸部39の外周面に圧入固定されているのに対して、前記外輪47bは、軸方向で固定されることなくフリーな状態になっている。つまり、この外輪47bは、軸方向の電動モータ8側の一端面がどの部位にも接触せず、また軸方向の他端面がこれに対向する保持器41(伝達部41a)の背面との間に微小な第1隙間C1が形成されてフリーな状態になっている。
また、外輪47bの外周面には、図2にも示すように、前記各ローラ48の外周面が転動自在に当接していると共に、この外輪47bの外周面と前記保持器41のローラ保持部41bの内面との間には、円環状の第2隙間C2が形成されて、この第2隙間C2によって中径ボールベアリング47全体が前記偏心軸部39の偏心回転に伴って径方向へ移動可能、つまり偏心動可能になっている。
前記各ローラ48は、鉄系金属によって形成され、前記中径ボールベアリング47の偏心動に伴って径方向へ移動しつつ前記内歯構成部19の内歯19aに嵌入すると共に、保持器41のローラ保持孔41cの両側縁によって周方向にガイドされつつ径方向へ揺動運動させるようになっている。
前記減速機構12の内部には、潤滑油通路によって各構成部材を潤滑する潤滑油が循環されるようになっている。
この潤滑油通路は、前記シリンダヘッド01の軸受02の内部に形成されて、図外のメインオイルギャラリーから潤滑油が供給される油供給通路と、前記カムシャフト2の内部軸方向及び径方向に形成されて、前記油供給通路にグルーブ溝56aを介して連通した油供給孔56と、前記アダプタ63と従動部材9の固定端部9aに軸方向から連続して貫通形成されて、一端が前記油供給孔56に円形溝56bを介して開口し、他端が前記ニードルベアリング38と中径ボールベアリング47の付近に開口した通路孔57a、57bと、前記各ベアリング37,38、47やローラ保持孔41c(各ローラ48)及び大径ボールベアリング43を潤滑した潤滑油を外部に排出する前記保持プレート61と前記アダプタ63の間の隙間58と、から主として構成されている。
また、前記大径ボールベアリング43の外輪43aの内周面の軸方向両端部には、大径ボールベアリング43の軸方向の中央側の径が小さくなるように設けられた縮径部である一対の円環状の第1、第2段差凹溝59a、59bがそれぞれ形成されている。この両段差凹溝59a、59bは、それぞれほぼL字形状に切欠形成されて、大径ボールベアリング43の径方向の中心面を中心として左右対称形状に形成されていると共に、このうち、前記保持器41側の軸方向一端部に形成された段差部である第1段差凹溝59aが潤滑油通路の潤滑油導入部になっている。なお、第1段差凹溝59aは大径ボールベアリング43の軸方向の中央側の径が小さくなるように設けられていればよく、例えばテーパ状の傾斜面や断面円弧状に形成しても良い。
この第1段差凹溝59aは、前記保持器41の前述した切欠面41dとカムシャフト軸方向からほぼ対向配置されて、該両者59a、41d間の隙間によって円環傾斜状の油通路を構成している。この油通路は、大径ボールベアリング43の外輪43aと内輪43b及びボール43cの間の隙間を介して前記保持プレート61と前記アダプタ63の間の隙間58に連通している。
〔本実施形態の作動〕
以下、本実施形態の作動について説明すると、まず、機関のクランクシャフトの回転駆動に伴ってタイミングチェーンを介してタイミングスプロケット1が回転し、その回転力が内歯構成部19と雌ねじ形成部6を介してモータハウジング5に伝達されて、該モータハウジング5が同期回転する。一方、前記内歯構成部19の回転力が、各ローラ48から保持器41及び従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2のカムが吸気弁を開閉作動させる。
そして、機関始動後の所定の機関運転時には、前記コントロールユニットから各端子片33a、33a、各ピグテールハーネス64,64及び給電用ブラシ31a、31bや各スリップリング26a,26bなどを介して電動モータ8のコイル18に通電される。これによって、モータ出力軸13が回転駆動され、この回転力が減速機構12を介してカムシャフト2に減速された回転力が伝達される。
すなわち、前記モータ出力軸13の回転に伴い偏心軸部39が偏心回転すると、各ローラ48がモータ出力軸13の1回転毎に保持器41の各ローラ保持孔41cで径方向へガイドされながら前記内歯構成部19の一つの内歯19aを乗り越えて隣接する他の内歯19aに転動しながら移動し、これを順次繰り返しながら円周方向へ転接する。この各ローラ48の転接によって前記モータ出力軸13の回転が減速されつつ前記従動部材9に回転力が伝達される。このときの減速比は、前記内歯19aの数とローラ48の数の差によって任意に設定することが可能である。
これにより、カムシャフト2がタイミングスプロケット1に対して正逆相対回転して相対回転位相が変換されて、吸気弁の開閉タイミングを進角側あるいは遅角側に変換制御するのである。
前記タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の正逆相対回転の最大位置規制(角度位置規制)は、前記ストッパ凸部61bの各側面が前記ストッパ凹溝63cの各対向面63d、63eのいずれか一方に当接することによって行われる。
したがって、吸気弁の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側へ最大に変換されて、機関の燃費や出力の向上が図れる。
また、前記電動モータ8のモータ出力軸13の回転に伴って前記角度センサ35の被検出部50が回転すると、検出部51との間の誘導電流が流れ、この電磁誘導作用によって前記集積回路54がモータ出力軸13の回転角度を検出して、この検出信号によってコントロールユニットにおいてモータ出力軸13の現在の回転角度位置を検出する。この回転角度位置とクランクシャフトとの回転位置によってコントロールユニットが前記電動モータ8に回転駆動信号を出力して、現在の機関運転状態に応じて前記クランクシャフトに対するカムシャフト2の相対回転位相を精度良く制御するようになっている。
そして、本実施形態では、前記タイミングスプロケット1やモータハウジング5の外径の小径化に伴い大径ボールベアリング43の外径も小さくして装置全体の小型化が図れることから、このバルブタイミング制御装置を搭載した内燃機関のエンジンルーム内でのレイアウトの自由度が向上する。
また、前記潤滑油通路を利用した潤滑油の流動について説明すると、まず、前記油供給通路から油供給孔56及び通路孔57を通って前記減速機構12の内部に供給された潤滑油は、前記ニードルベアリング38や中径ボールベアリング47、小径ボールベアリング38を潤滑すると共に、前記各ローラ48及びこれらの周囲を潤滑する。さらに、ここから前記保持器41のローラ保持部41bの外周側を通って前記大径ボールベアリング43方向へ流動して前記切欠面41dと前記外輪43aの第1段差凹溝59aとの間の油通路を通って、大径ボールベアリング43の内部に供給される。したがって、この大径ボールベアリング43内部の各ボール43cなどを十分に潤滑する。
前記大径ボールベアリング43の内部を通過した潤滑油は、大径ボールベアリング43の軸方向他端側、つまり、第2凹溝59b側へ流動してそのまま複数の油排出孔58から外部に排出される。
なお、前記複数の油排出孔58から潤滑油が排出されるのは、減速機構12の駆動中にも行われるが、特に、駆動停止後において、潤滑油の自重によりスプロケット本体1aの下部内に流下して前記大径ボールベアリング43内を通って下側に位置する前記保持プレート61と前記アダプタ63の間の隙間58から自然に排出される。
以上のように、本実施形態では、装置の縮径による小型化を図ることができると共に、該小型化に伴って大径ボールベアリング43内への潤滑油の供給が外輪43aの軸方向一端部によって阻害される状態を、前記第1段差凹溝59aによって回避することができるので、前記大径ボールベアリング43内の潤滑性能の低下を抑制することが可能になる。
しかも、前記保持器41に切欠面41dを形成することによって、該切欠面41dと前記第1段差凹溝59aとの間に形成される油通路の断面積を大きく取ることができるので、大径ボールベアリング43内への潤滑油の供給量を多くすることが可能になる。
また、前記大径ボールベアリング43の外輪43aの軸方向両端側に前記第1、第2段差凹溝59a、59bを対称位置に形成したことから、前記大径ボールベアリング43をスプロケット本体1aと固定端部9aとの間に組み付ける際に、左右いずれの向きに組み付けても良いので、かかる組付作業が容易になる。
つまり、前記凹溝を軸方向一方側に形成した場合は、前記組付時に、凹溝が形成されていない方を内側にした場合は、再度組付け直さなければならず斯かる作業が煩雑になるが、本実施形態のように軸方向の両方側に形成した場合は左右いずれの配置でも良くなるので、組付作業が容易になるのである。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、潤滑油導入部として、前記段差凹溝59aに代えて、例えば前記外輪43aの軸方向一端部あるいは両端部に内周面に連通する傾斜状のテーパ面によって構成することも可能である。
また、前記大径ボールベアリング43の内輪43bの軸方向一端部あるいは両端部に、前記各段差凹溝59a、59bと同じ構造の段差凹溝を形成すれば、これらが前記各段差凹溝59a、59bと共に油溜部として機能することから、内部の潤滑性能がさらに向上する。
前記駆動回転体としては、前記タイミングスプロケットの他に、タイミングプーリなどとしても良い。
1…タイミングスプロケット(駆動回転体)
1a…スプロケット本体
2…カムシャフト
3…位相変更機構
8…電動モータ
9…従動部材(従動回転体)
9a…固定端部
12…減速機構
13…モータ出力軸
19…内歯構成部
19a…内歯
41…保持器(保持部材)
41a…伝達部
41b…ローラ保持部
41c…ローラ保持孔
41d…切欠面
43…大径ボールベアリング
43a…外輪
43b…内輪
56…油供給孔
57…通路孔
58…油排出孔
59a・59b…第1、第2段差凹溝(油導入部)

Claims (7)

  1. クランクシャフトから回転力が伝達される駆動回転体と、
    電動モータのモータ出力軸の回転力によって前記駆動回転体に対して相対回転位相が制御される従動回転体と、
    前記モータ出力軸の回転中心に対して偏心して設けられた偏心カムと、
    前記駆動回転体の内周に設けられた内歯構成部と、
    前記偏心カムと内歯構成部との間に介装された複数のローラと、
    前記従動回転体と一体に設けられ、前記ローラの前記駆動回転体における径方向の移動を許容すると共に周方向の移動を規制する筒状のローラ保持部と、
    前記駆動回転体の内周面に外輪が固定され、前記従動回転体の外周に内輪が固定されたベアリングと、
    前記ローラ保持部に潤滑油を供給する潤滑油通路と、
    を備え、
    前記ベアリングの外輪は、内径が前記ローラ保持部の外径よりも小さく形成されると共に、前記外輪の前記ローラ保持部側の軸方向一端部に、前記ローラ保持部を潤滑した潤滑油をベアリングの内部に導入する潤滑油導入部を有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記潤滑油導入部を、前記外輪の軸方向一端部の内周側に形成されて、前記外輪の軸方向中心側の径が小さくなる縮径部によって構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記縮径部を、前記外輪の軸方向一端部の内周側に形成された段差部によって構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ローラ保持部の軸方向の前記ベアリング側の外周は、傾斜状に切り欠いた切欠面を有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記段差部と前記切欠面は、前記カムシャフト軸方向において重なるように配置したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記潤滑油導入部を、前記外輪の軸方向他端部にも設けたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記内輪は、前記ローラ保持部側の軸方向一端部に油溜用の凹溝が設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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