JP6837966B2 - 蓄冷材組成物、蓄冷材及び輸送容器 - Google Patents

蓄冷材組成物、蓄冷材及び輸送容器 Download PDF

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Description

本発明は、物品の温度管理を行うための蓄冷材組成物、該蓄冷材組成物を備えた蓄冷材及び該蓄冷材を備えた輸送容器に関する。より具体的には、医薬品、医療機器、検体、臓器、化学物質又は食品等の各種物品を所定の低温温度領域にて、繰り返し、安定的に温度を維持して保管又は輸送するために使用される、ドライアイスと代替が可能な蓄冷材組成物、該蓄冷材組成物を用いた蓄冷材及び該蓄冷材を備えた輸送容器に関する。
病院等の医療機関で取り扱われる医薬品及び検体等、並びにスーパーマーケット等で取り扱われる食品等の中には、その品質を保持するため、輸送時に所定の温度範囲内に保冷又は保温する必要があるものがある。
従来、この種の医薬品、検体又は食品等の物品を保冷又は保温する方法として、断熱性を有する輸送容器内に、予め凝固又は融解させた蓄冷材又は蓄熱材を配置し、蓄冷材又は蓄熱材の潜熱を利用して、輸送容器内に収容した物品を保冷又は保温する方法が知られている。
保冷又は保温の対象となる物品(以下、「温度管理対象物品」と称する場合がある。)を、所定の温度範囲内(以下、「管理温度」と称する場合がある。)に長時間維持するためには、所定の温度範囲内に融解温度を有し、且つ、大きな融解潜熱を持つ蓄冷材又は蓄熱材を用いることが必要である。
前述した蓄冷材のうち、蓄冷媒体として無機塩又は無機水和物等の無機系材料を用いた蓄冷材は、有機系材料を用いた蓄冷材と比較して、融解潜熱量及び熱伝導率が大きい、体積変化が小さい、並びに不燃性である等の利点がある。
ところで、医薬品、医療機器、検体、臓器、化学物質又は食品等の各種物品を凍結状態で輸送する場合には、管理温度として−75℃〜−40℃の低温領域内に維持することが必要となる場合がある。従来は、蓄冷材としてドライアイスが使用されてきたが、ドライアイスは安価で汎用的であるものの、昇華により体積膨張が起こるため、特に航空輸送においては危険物として積載量が制限される等の問題がある。
また、当該低温領域内で使用可能な、ドライアイス以外の蓄冷材としては、水にアセトン等の融点の低い有機溶媒を混合したものが挙げられるが、有機系材料は前述のように融解潜熱量や熱伝導性において無機系材料に劣り、また、可燃性の危険物であることが多いため、安全で効果的な蓄冷材とは言い難い。
これに対して、前記低温領域内近傍で水との共晶混合物を生成する無機塩を利用した蓄冷材が開示されている。
例えば、特許文献1では、無機塩として、水との共晶点が−55℃である塩化カルシウムを用い、水に対して30重量%(6.4mol%)混合することにより、融解温度が−46.7℃である蓄冷材組成物が開示されている。
また、特許文献2では、水に塩化カルシウム15重量%(混合後、1.3mol%)及び塩化マグネシウム(水との共晶点−33.6℃)5重量%(混合後、0.5mol%)を混合して、融解温度が−47.5℃である蓄冷材組成物が開示されている。
日本国公開特許公報「特開平7−26250号公報(1995年01月27日公開)」 日本国公開特許公報「特開2003−41242号公報(2003年02月13日公開)」
しかしながら、本発明者が、前述した従来の水−塩化カルシウム系蓄冷材に関して、実際の使用を想定して実験を行ったところ、従来の水−塩化カルシウム系蓄冷材は、実用的なドライアイスと代替可能な蓄冷材としては充分でないことが判明した。
本発明は、前記事情に鑑みなされたものであり、凝固及び融解を繰り返した場合であっても、−75℃〜−40℃の低温領域内にて、再現性良く、安定的に一定の温度範囲内を維持して物品を保管又は輸送するために使用され、ドライアイスと代替可能な蓄冷材組成物、該蓄冷材組成物を備えた蓄冷材及び該蓄冷材を備えた輸送容器を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意検討した結果、水との共晶点が−75℃〜−40℃である金属塩(A)、及び水との共晶点が−30℃以上である無機塩(B)、を含有する混合水溶液を冷却媒体に使用することにより、無機塩(B)が、水と金属塩(A)との共晶を効果的に生成させるため、共晶点の−75℃〜−40℃の範囲内で、再現性良く一定の融解温度を維持し、且つ、融解温度や融解挙動のばらつきがなく、安定的に蓄冷することが可能な蓄冷材組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
水との共晶点が−75℃〜−40℃である金属塩(A)1〜10mol%、及び水との共晶点が−30℃以上である無機塩(B)0.5〜5mol%、を含む水溶液である蓄冷材組成物であり、−75℃〜−40℃の範囲内に融解開始温度を有することを特徴とする、蓄冷材組成物。
本発明によれば、再現性良く、且つ安定的に、−75℃〜−40℃の範囲内を維持して保管又は輸送するために使用され、且つ凍結時の体積膨張が小さいドライアイスと代替可能な蓄冷材組成物、該蓄冷材組成物を備えた蓄冷材及び該蓄冷材を備えた輸送容器を得ることができる。
図1は、無機塩水溶液の相平衡図である。水は本来0℃で凝固するが、無機塩水溶液では、0℃から始まる右下への下降線のように、水溶液中の無機塩濃度の上昇に伴って、水の凝固点降下が起こる。しかしながら、無機塩濃度が濃くなり、ある濃度に達すると、溶媒である水の凝固と溶質である無機塩の析出が一緒に行われる(すなわち、共晶混合物が生成される)。この際の温度を、「共晶点」という。 図2は、超低温恒温槽内において、蓄冷材組成物が凝固状態であるときから、一定の昇温速度にて温度上昇を行った際の、それに伴う蓄冷材組成物の時間に対する温度変化をプロットしたグラフである。図2に示すように、一定速度で上昇していく雰囲気温度と比較して、蓄冷材組成物の温度は、一定速度で上昇した後、ある温度において蓄冷材組成物の潜熱により温度変化なく定温を維持し始め、一定時間当該温度を維持した後、再び一定速度で上昇を開始する。 (a)本発明の実施形態に係る蓄冷材の一例を、概略的に示す斜視図である。(b)本発明の実施形態に係る輸送容器の一例を、概略的に示す分解斜視図である。 (a)図3に示す輸送容器の内部を概略的に示す斜視図、及び、(b)図4(a)のA−A線断面を模式的に表す断面図である。
以下に、本発明の一実施形態について、具体例を示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意図する。
本実施形態の蓄冷材組成物は、相状態が、凝固状態(固体)から溶融状態(液体)に相転移する際に熱エネルギーを吸収することによって、潜熱型の蓄冷材に利用できるものである。
本明細書において、蓄冷材組成物の「融解温度」とは、固体状の蓄冷材組成物が融解して液体化する際に、該蓄冷材組成物が呈する温度のことを意図する。また、蓄冷材組成物の「凝固温度」とは、液体状の蓄冷材組成物が凝固して固体化する際に、該蓄冷材組成物が呈する温度のことを意図する。
本明細書において、蓄冷材組成物を備える蓄冷材(より具体的に、蓄冷剤組成物からなる蓄冷材)の融解温度とは、該蓄冷材の主な部分の相状態が凝固状態(固体)から溶融状態(液体)に変化する際に、該蓄冷材が呈する温度のことを意図する。また、蓄冷材組成物を備える蓄冷材(より具体的に、蓄冷剤組成物からなる蓄冷材)の「凝固温度」とは、該蓄冷材の主な部分の相状態が溶融状態(液体)から凝固状態(固体)に変化する際に、該蓄冷材が呈する温度のことを意図する。なお、ここで言う「主な部分」とは、目安として50重量%を超える割合を占める部分を示す。例えば、蓄冷材の80重量%が固体の状態であり、20重量%が液体の状態である場合、該蓄冷材の相状態は凝固状態(固体)とする。また、ここで言う「相状態」とは、一般的な固体、液体又は気体の状態を表す。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材は、主に、固体の相状態と液体の相状態とを利用することによって、潜熱型の蓄冷材として利用できるものである。
図2に示すように、超低温恒温槽内において、蓄冷材組成物を凝固状態であるときから、一定の昇温速度で温度上昇させた際、それに伴う蓄冷材組成物の時間に対する温度変化をプロットしたところ、上昇していく雰囲気温度と比較して、蓄冷材組成物の温度は潜熱により温度変化なく、ある定温を維持し始める点(以降、「融解開始温度」と称する場合がある)が存在する。当該融解開始温度を、本発明の一実施形態における蓄冷材組成物の融解温度とする。
また、本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物について、蓄冷材組成物の潜熱作用により、融解開始温度から融解開始温度+2.0℃の範囲内で蓄冷材組成物の温度が維持される状態を「定温安定」と定義付ける。蓄冷材組成物が定温安定を示す場合、該蓄冷材組成物は「定温安定性がある」といえる。
次に、本発明の一実施形態の構成成分について説明する。
1.蓄冷材組成物
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、水との共晶点が−75℃〜−40℃である金属塩(A)、及び水との共晶点が−30℃以上である無機塩(B)を含む水溶液である。
<金属塩(A)>
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、水との共晶点が−75℃〜−40℃である金属塩(A)を含有する。本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、前記金属塩(A)を含有することにより、蓄冷材としてドライアイスを使用したときに相当する低温領域内における蓄冷を実現することができる。
本発明の一実施形態で用いられる金属塩(A)としては、例えば、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水酸化カリウム等が挙げられる。これら金属塩は、単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
これらの中でも、安全性、汎用性、ハンドリング性等の点から、塩化カルシウムが好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物に含有される金属塩(A)の濃度としては、1〜10mol%が好ましく、2〜8mol%がより好ましく、3〜7mol%がさらに好ましく、4〜6mol%が特に好ましい。前記構成であれば、塩の溶け残り及び析出がなく、−75℃〜−40℃の範囲内に安定して融解開始温度を有する蓄冷材組成物となるという効果を奏する。
金属塩(A)の濃度が1mol%以上であれば、蓄冷材組成物は、水溶液中の、水との共晶点が−75℃〜−40℃である金属塩(A)の割合が大きくなり、該温度範囲内にて融解潜熱を利用した蓄冷挙動を発現することが可能であり、一方、金属塩(A)の濃度が10mol%以下であれば、蓄冷材組成物の水溶液を調製する際及び温度が低下した際に、蓄冷材組成物中で金属塩(A)が析出する可能性が低くなる。
<無機塩(B)>
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、水との共晶点が−30℃以上である無機塩(B)を含有する。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、水溶液中に、無機塩(B)を含有することによって、無機塩(B)は水と金属塩(A)との共晶を効果的に生成させるため、金属塩(A)の共晶点付近である−75℃〜−40℃の範囲内にて融解潜熱を利用した蓄冷挙動を、再現性良く、且つ安定的に発現させることができる。
本発明の一実施形態で用いられる無機塩(B)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、亜硝酸カリウム、ヨウ化カリウム、水酸化ナトリウム、臭化ナトリウム等が挙げられる。これら無機塩は、単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
これらの中でも、融解開始温度、及び定温安定の再現性の点で、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム等の塩化物塩が好ましい。安全及び安価な点で、特に、塩化ナトリウムが無機塩として好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物に含有される無機塩(B)の濃度としては、0.5〜5mol%が好ましく、さらに0.8〜4mol%が好ましい。前記構成であれば、塩の溶け残り及び析出がなく、−75℃〜−40℃の範囲内に安定して融解開始温度を有する蓄冷材組成物となるという効果を奏する。
無機塩(B)の濃度が0.5mol%以上であれば、蓄冷材組成物は、水溶液中の無機塩(B)の割合が大きくなり、−75℃〜−40℃の温度範囲内にて再現性良く一定の融解温度を有し、且つ、融解温度や融解挙動のばらつきが発生しないため、安定的に蓄冷することが可能であり、さらに、凍結時に体積膨張が小さくなる。一方、無機塩(B)の濃度が5mol%以下であれば、蓄冷材組成物の水溶液を調製する際、及び、温度が低下した際に、蓄冷材組成物中で無機塩(B)が析出する可能性が低くなる。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物に含有される金属塩(A)及び無機塩(B)の構成比としては、−75℃〜−40℃の温度範囲内にて再現性良く一定の融解温度を有するためには、金属塩(A)/無機塩(B)=1/2(mol/mol)〜8/1(mol/mol)の範囲内が好ましく、金属塩(A)/無機塩(B)=1/1(mol/mol)〜6.5/1(mol/mol)の範囲内がより好ましく、金属塩(A)/無機塩(B)=1/1(mol/mol)〜6/1(mol/mol)の範囲内がさらに好ましい。
<増粘剤>
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、後述するように、主にプラスチック製の容器、袋等に充填されて、蓄冷材を形成する。前記蓄冷材は、輸送容器内に配置されて使用されるが、輸送又は運搬時に、蓄冷材を形成する容器等が破損した場合には、破損した容器等から、該容器内に充填されていた蓄冷材組成物が漏れ出し、高価な温度管理対象物品を汚染して該温度管理対象物品を使用不可能にすると共に、輸送容器からの流出による環境への悪影響が懸念される。
そこで、輸送時に蓄冷材組成物が充填された容器等が破損した場合でも蓄冷材組成物の流出を最小限に防ぐために、本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、増粘剤を含有し、固体状(ゲル状を含む)となることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物に含まれる増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、吸水性樹脂(例えば、澱粉系、アクリル酸塩系、ポバール系、カルボキシメチルセルロース系等)、アタパルジャイ粘土、ゼラチン、寒天、シリカゲル、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻等が挙げられる。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物に含まれる増粘剤としては、イオン性の増粘剤であってもよく、又はノニオン性の増粘剤であってもよいが、特に、本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、金属塩及び無機塩を含有し、それらの塩は溶解してイオンの状態になっているため、溶解しているイオンに影響を与えないノニオン性の増粘剤を選択するのが好ましい。
本発明の一実施形態で用いられるノニオン性の増粘剤としては、例えば、グアーガム、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物は、含有する金属塩(A)及び無機塩(B)の濃度に依存して、温度変化により、経時的に、金属塩(A)及び無機塩(B)の析出が起こる場合がある。本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物が、増粘剤を含む場合、増粘剤は蓄冷材組成物をゲル状にするだけでなく、溶解している金属塩(A)及び無機塩(B)のイオンを効率的に分散することにより、金属塩(A)及び無機塩(B)の析出を抑止することができる。
例示した増粘剤の中でも、蓄冷材組成物中に溶解している金属イオン及び無機イオンに影響を与えないノニオン性の増粘剤が好ましく、ノニオン性の増粘剤の中でも、ゲルの安定性に優れており環境適合性の高いヒドロキシエチルセルロースが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物が増粘剤を含む場合、該増粘剤は、蓄冷材組成物の融解/凝固挙動にも影響を与えず、且つ蓄冷材組成物が高い融解潜熱量を維持することを可能とする。また、本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物が増粘剤を含むことにより、該蓄冷材組成物は、蓄冷材組成物の使用が想定される環境温度下でのヒートサイクル試験後も固相−液相の分離がなくなり、且つ漏洩時の環境負荷、及び回収時の作業負荷を低減することが可能となる。
増粘剤は、使用する種類によって最適配合量が異なるが、蓄冷材組成物に溶解している塩の凝集及び析出を防ぎ、蓄冷材組成物の搬送時に特殊なポンプ等を必要とせず、且つ、蓄冷材組成物のハンドリング性が良いという観点から、通常、金属塩(A)及び無機塩(B)を溶解した水溶液100重量部に対して、0.1〜10重量部を添加することが好ましく、0.2〜5重量部がさらに好ましい。蓄冷材組成物にヒドロキシエチルセルロースを0.2〜5重量部添加することにより、流動性を抑えた透明なゲルを得ることができる。
<その他>
本実施形態の蓄冷材組成物には、前記の成分の他、結晶核剤、香料、着色剤、抗菌剤、高分子ポリマー、その他有機/無機化合物を必要に応じて配合することができる。
<製造方法>
本発明の一実施形態において、金属塩(A)及び無機塩(B)を含有する水溶液を調製する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、金属塩(A)及び無機塩(B)を、タンブラー、リボンブレンダー等を用いて予め混合した容器へ水を注ぎ入れ、容器を冷却しながらミキサー等で攪拌して調製することができる。
2.蓄冷材
本発明の一実施形態に係る蓄冷材は、前述した蓄冷材組成物を備えるものであればよく、その他の構成、材料等については限定されるものではない。
例えば、本発明の蓄冷材は、前述した蓄冷材組成物が容器又は袋等に充填されたものであり得る。
前記容器又は袋は、無機塩水溶液による錆び及び腐食に起因する、液漏れを防ぐという観点から、主に合成樹脂で形成されたものであることが好ましい。本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物を充填する容器又は袋の素材としては特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ナイロン又はポリエステルなどが挙げられる。
これらの素材は、1種類を単独で使用してもよく、耐熱性やバリアー性を高めるために、これらの素材のうち2種類以上を組み合わせて多層構造としたものを使用することもできる。取扱い、及びコストの点より、ポリエチレンからなる容器又は袋を用いることが好ましい。
また、前記容器又は袋の形状としては、特に限定されないが、熱交換率を高める観点から、表面積を大きく確保できる形状が好ましい。これらの容器又は袋に対して、蓄冷材組成物を予め凝固又は融解させた状態で充填することによって、蓄冷材を形成することができる。
3.輸送容器
本実施形態の輸送容器は、前述した蓄冷材を備えたものであればよく、その他の具体的な構成、材料等については特に限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る輸送容器の一例を図3に示す。
図3の(a)及び(b)に示すように、本実施形態の蓄冷材10は、蓄冷材の蓋11を介して本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物20が充填されており、該蓄冷材10は、本実施形態の輸送容器40内に収納又は配置して使用することができる。
本発明の一実施形態に係る輸送容器40は、例えば箱体41とその箱体の開口部410に嵌合する箱体の蓋42とを用いることで、断熱性を有するよう構成される。
輸送容器40の素材としては、断熱性を有するものであれば特に限定されないが、軽量及び安価であり、且つ結露を防止することができるという観点からは、発泡プラスチックが、好適に用いられ、また、断熱性が非常に高く、温度保持時間が長く、且つ結露を防止することができるという観点からは、真空断熱材が、好適に用いられる。発泡プラスチックとしては、具体的には、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン又はポリプロピレンを発泡させたものが用いられる。また、真空断熱材としては、例えば、芯材にシリカ粉やグラスウール、ガラス繊維等を用いたものが用いられる。さらに輸送容器40は、発泡プラスチックと真空断熱材との組合せにより構成されていてもよい。その場合には、(i)発泡プラスチックからなる箱体41及び箱体の蓋42の外面もしくは内面を真空断熱材で覆う、又は、(ii)発泡プラスチックからなる箱体41及び箱体の蓋42を構成する壁の内部に真空断熱材を埋設させる、等の手段により、断熱性能の高い輸送容器40が得られる。
図4(a)は、輸送容器40の内部を概略的に示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A線断面を模式的に表す断面図である。
図3及び図4に示すように、前記輸送容器1は、蓄冷材10を該輸送容器1内に収納又は配置する際に、箱体の蓋42の内側、箱体の側面部412、及び箱体の底面部411と該蓄冷材10との間を埋めるために、且つ図4(b)に示すように、温度管理対象物品を収容する空間5を確保するために、スペーサー6を備えることもできる。
スペーサー6の素材としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂又はABS樹脂並びにこれらの樹脂を発泡させた発泡プラスチックが用いられる。
本発明の一実施形態としては、輸送容器40の内部に一対のスペーサー6を対向させて配置させている。本実施形態の輸送容器40は、スペーサー6を備えることにより、蓄冷材10の配置位置が定まるため、パッキングを容易に行うことを可能とする。
本発明の一実施形態に係る輸送容器であれば、外気温度に左右されず、温度管理の必要な物品を、長時間にわたって、−75℃〜−40℃の範囲内に維持して保管又は輸送できる。本実施形態の輸送容器は、例えば、温度管理の必要な医薬品や医療機器、検体、臓器、化学物質、食品等の各種物品の保管又は輸送に好適に使用できる。
本発明は、以下のように構成されることもできる。
[1]水との共晶点が−75℃〜−40℃である金属塩(A)1〜10mol%、及び水との共晶点が−30℃以上である無機塩(B)0.5〜5mol%、を含む水溶液である蓄冷材組成物であり、−75℃〜−40℃の範囲内に融解開始温度を有することを特徴とする、蓄冷材組成物。
[2]前記金属塩(A)が塩化カルシウムであることを特徴とする、[1]に記載の蓄冷材組成物。
[3]前記無機塩(B)が塩化物塩であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の蓄冷材組成物。
[4]前記塩化物塩が塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、及び塩化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[3]に記載の蓄冷材組成物。
[5]前記蓄冷材組成物が増粘剤を含有することを特徴とする、[1]〜[4]の何れか1つに記載の蓄冷材組成物。
[6]前記増粘剤が、ノニオン性の増粘剤であることを特徴とする、[5]に記載の蓄冷材組成物。
[7]前記増粘剤が、グアーガム、デキストリン、ポリビニルピロリドン、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[6]に記載の蓄冷材組成物。
[8]前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロースであることを特徴とする、[6]又は[7]に記載の蓄冷材組成物。
[9][1]〜[8]の何れか1つに記載の蓄冷材組成物を備えることを特徴とする、蓄冷材。
[10][9]に記載の蓄冷材を備えることを特徴とする、輸送容器。
実施例及び比較例で使用した原料は、以下のとおりである。
○金属塩(A):塩化カルシウム[和光純薬工業製、塩化カルシウム(水分測定用)、水との共晶点=−55.0℃、分子量=110.98]。
○無機塩(B):
塩化ナトリウム[和光純薬工業製、塩化ナトリウム、水との共晶点=−21.2℃、分子量=58.44];
塩化アンモニウム[山本製作所製、塩化アンモニウム、水との共晶点=−15.4℃、分子量=53.49];
塩化カリウム[和光純薬工業製、塩化カリウム、水との共晶点=−10.9℃、分子量=74.55]。
○無機塩(C):
塩化マグネシウム[和光純薬工業製、塩化マグネシウム(無水)、水との共晶点=−33.6℃、分子量=95.21]。
本明細書の比較例において、水との共晶点が―30℃以下であり、且つ−75℃〜−40℃の範囲外である、塩化マグネシウムを、無機塩(C)として、無機塩(B)の代わりに用いた。
実施例及び比較例中の測定、及び評価は、次の条件及び方法により行った。
<融解開始温度>
蓄冷材組成物をポリプロピレン製クライオバイアル内に充填したものを、超低温恒温槽[サイニクス社製、超低温アルミブロック恒温槽 クライオポーター(登録商標)CS−75CP]内に静置し、−80℃〜25℃の温度範囲内で、0.5℃/分、1.0℃/1分、又は2.5℃/分の昇降温速度にて、温度上昇又は温度降下を行った。
その際の温度上昇過程において、超低温恒温槽内の蓄冷材組成物の、時間に対する温度変化を、横軸:時間、及び縦軸:温度でプロットし、図2に示した。図2に示すように、一定速度で上昇する雰囲気温度と比較して、蓄冷材組成物の温度は融解に由来して、蓄冷材組成物の温度が変化せず定温を維持し始める温度が存在し、この温度を、融解開始温度として測定した。
<定温安定性>
超低温恒温槽内での温度上昇過程における蓄冷材組成物の温度変化プロットにおいて、融解開始温度から、蓄冷材組成物の潜熱作用により、融解開始温度+2.0℃の範囲内で蓄冷材組成物の温度が維持される状態を「定温安定」と定義し、定温安定性の有無の評価及び定温安定状態の維持時間を記載した。定温安定性がない場合は、前記維持時間は0分とした。
<再現性>
蓄冷材組成物について、超低温恒温槽内にて、−80℃〜25℃の温度範囲内で、一定の昇降温速度での温度上昇又は温度降下を20サイクル繰り返し行い、サイクル毎での融解開始温度にバラツキがないか、及び、サイクル毎に定温安定性が発現するかを、以下の基準で評価した。
◎:全サイクルにおいて、サイクル間でバラツキなく、同じ融解開始温度にて一定時間その温度を維持する。
○:8割以上10割未満の確率で、サイクル間でバラツキなく、同じ融解開始温度にて一定時間その温度を維持する。
△:5割以上8割未満の確率で、サイクル間でバラツキなく、同じ融解開始温度にて一定時間その温度を維持する。
×:5割未満の確率で、サイクル間でバラツキなく、同じ融解開始温度にて一定時間その温度を維持する。
<体積膨張>
蓄冷材組成物の凝固と融解とを繰り返したサイクル試験終了後、蓄冷材組成物が入っている容器に基づいて、蓄冷材組成物の凝固時の体積膨張の有無を評価した。前記体積膨張の有無の判定は、蓄冷材組成物をポリプロピレン製クライオバイアル内に充填したものを、超低温恒温槽[サイニクス社製、超低温アルミブロック恒温槽 クライオポーター(登録商標)CS−75CP]内に静置し、−80℃〜25℃の温度範囲内で、0.5℃/分の昇降温速度にて、温度上昇又は温度降下を10サイクル行った後、クライオバイアルの外観を目視で確認することによって行った。
<ゲル化安定性>
蓄冷材組成物に対し、増粘剤を1重量%添加した際に、増粘剤の溶解性、増粘剤を含む蓄冷材組成物の増粘性、並びに、凝固及び融解を繰り返した際の室温下での粘度低下、を検証し以下の様に評価した。
◎:溶解性あり、増粘性あり、且つ粘度低下なし。
○:溶解性あり、増粘性あり、且つ粘度低下あり。
△:溶解性あり、且つ増粘性なし。
×:溶解性なし(沈降が観察される)。
なお、前記粘度は、目視にて確認を行った。
<実用判定>
前記評価基準をふまえ、実用性の高いものを○、場合によっては実用可能なものを△、実用性の低いものを×とした。
(実施例1〜7、及び比較例1〜7)
蓄冷材組成物として、金属塩(A)、及び、無機塩(B)又は無機塩(C)を表1又は表2に示す組成(mol%)で含有する水溶液を調製した。
得られた水溶液に関して、超低温恒温槽を用いる測定・評価を行った。評価結果を、表1又は表2に示す。ただし、昇降温速度2.5℃/分に関しては、再現性の評価結果のみ示した。
Figure 0006837966
表1から明らかなように、実施例1〜7の組成物は、−75℃〜−40℃の範囲内で再現性良く一定の融解温度を長時間維持し、且つ融解温度や融解挙動のばらつきが少ない。特に、実施例5の組成物は一定の融解温度を最も長く維持しており、超低温恒温槽の昇降温速度に関わらず、安定的に−75〜−40℃の範囲内で融解する。さらに、実施例1〜7の組成物は、体積膨張の評価においても良好であった。
一方で、塩化カルシウム単体である比較例1の組成物は、融解温度は目的温度範囲内であったが、再現性がなかった。さらに、比較例1の組成物は体積膨張の評価においては不良であった。
Figure 0006837966
表2のように、水溶液の溶質が塩化ナトリウム又は塩化マグネシウム単体である比較例2、3の組成物は、−30℃〜−20℃付近の温度領域内で融解することから、本発明の目的である、−75℃〜−40℃の低温領域内で再現性良く一定の融解温度を維持し難い。
比較例4の組成物は、再現性、定温安定性共に高いが、金属塩(A)の含有量が少ないために、金属塩(A)の影響をほとんど受けず、金属塩(A)の共晶点−75℃〜−40℃より高温領域で融解する。
比較例5の組成物は、超低温恒温槽の昇降温速度が遅い(0.5℃/分)場合は、再現性良く−75℃〜−40℃の低温領域内で融解するが、融解挙動に多少のばらつきが見られる。一方、超低温恒温槽の昇降温速度が速い(2.5℃/分)場合は、再現性が急激に低くなる。
比較例6の組成物は、金属塩(A)の含有量が少ないために、金属塩(A)の共晶点−75℃〜−40℃より高温領域で融解し、さらに、定温安定性がない。
比較例7の組成物は、特許文献2の実施例6に沿っているが、超低温恒温槽の昇降温速度が遅い(0.5℃/分)場合は、再現性良く−75℃〜−40℃の低温領域内で融解するが、融解挙動に多少のばらつきが見られる。一方、超低温恒温槽の昇降温速度が速い(2.5℃/分)場合は、再現性が急激に低くなる。
以上の結果から、本発明の一実施形態に係るドライアイス代替蓄冷材組成物は、−75℃〜−40℃の範囲内で再現性良く一定の融解温度を長時間維持し、且つ融解温度や融解挙動のばらつきがなく安定的に蓄冷できることが判る。
(実施例8〜16)
蓄冷材組成物として、金属塩(A)、及び無機塩(B)を表4に示す組成(mol%)で含有する水溶液を調製した。調製した水溶液に、表3に示す増粘剤を、表4に示す組成(重量%)で添加し、ゲル状になるまでよく攪拌した。
得られたゲル状組成物に関して、超低温恒温槽を用いる測定・評価を行った。なお、昇降温速度は1.0℃/分に統一した。ただし、実施例16に限っては、昇降温速度は0.5℃/分とした。
Figure 0006837966
Figure 0006837966
表1の実施例5について、表3に示す増粘剤を水溶液に対し1重量%添加した際の、ゲル化安定性の評価を行った。その結果、ヒドロキシエチルセルロースは◎、グアーガムは○、並びにデキストリン及びポリビニルピロリドンは△となり、その他は×であった。
そこで、◎を示したヒドロキシエチルセルロースについて、表4に示す配合比で配合量の検討を行った。表4から明らかなように、増粘剤にノニオン性のヒドロキシエチルセルロースを用いた実施例8〜15において、−75℃〜−40℃の範囲内で再現性良く一定の融解温度を維持し、且つ融解温度や融解挙動のばらつきが少なく、均一なゲル状蓄冷材組成物が得られた。また、増粘剤にノニオン性のグアーガムを用いた実施例16においては、ゲル化安定性は○であるものの、−75℃〜−40℃の範囲内で再現性良く一定の融解温度を維持し、且つ融解温度や融解挙動のばらつきが少なかった。
以上の結果から、本発明の一実施形態に係る蓄冷材組成物にヒドロキシエチルセルロースを増粘剤として使用したものは、−75℃〜−40℃の範囲内で再現性良く一定の融解温度を長時間維持し、且つ融解温度や融解挙動のばらつきがなく最も安定的に蓄冷できることが判る。また、凍結時の体積膨張も小さいため、ヒドロキシエチルセルロースを含む蓄冷材組成物は、実用性が高いと言える。
以上述べた実施形態の各構成要素は、各実施形態における組み合わせに限定されるものではなく、構成要素毎に適宜組み合わせて実施できるものである。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明は、薬品、食品及びそれに関連する技術、医療技術をはじめとして、冷凍庫の温度領域内よりも低温の領域にて温度保持・維持を伴う輸送や管理の必要となるあらゆる分野に役立つものである。
10蓄冷材
11蓄冷材の蓋
20蓄冷材組成物
40輸送容器
41箱体
410箱体の開口部
411箱体の底面部
412箱体の側面部
42箱体の蓋
5温度管理対象物品を収容する空間
6スペーサー

Claims (7)

  1. 属塩(A)1〜10mol%、及び水との共晶点が−30℃以上である無機塩(B)0.5〜5mol%、を含む水溶液である蓄冷材組成物であり、−55℃〜−40℃の範囲内に融解開始温度を有し、
    前記金属塩(A)および前記無機塩(B)のmol%は前記水溶液100mol%に対するものであり、
    前記金属塩(A)が塩化カルシウムであり、
    前記無機塩(B)が塩化物塩であり、
    前記塩化物塩が塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、及び塩化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、蓄冷材組成物。
  2. 前記蓄冷材組成物が増粘剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の蓄冷材組成物。
  3. 前記増粘剤が、ノニオン性の増粘剤であることを特徴とする、請求項2に記載の蓄冷材組成物。
  4. 前記増粘剤が、グアーガム、デキストリン、ポリビニルピロリドン、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3に記載の蓄冷材組成物。
  5. 前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロースであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の蓄冷材組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の蓄冷材組成物を備えることを特徴とする、蓄冷材。
  7. 請求項6に記載の蓄冷材を備えることを特徴とする、輸送容器。
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