JPWO2019221006A1 - 潜熱蓄熱材含有樹脂組成物およびその利用 - Google Patents

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Abstract

漏洩リスクを低減し、安定した融解温度、優れた耐久性、および優れた操作性を有する、新規の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を提供することを課題とする。融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなり、当該無機系潜熱蓄熱材組成物は、増粘剤を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を提供することにより、前記課題を解決する。

Description

本発明は、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に関する。また、本発明は、前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法、および前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を用いた、潜熱蓄熱材を備えた建築物の製造方法に関する。
近年、環境性の観点から、壁材、床材、天井材、屋根材等の建材の技術分野において、室内暖房時に発生する熱エネルギーや、日射光等の自然エネルギーをより有効に活用するための研究および開発が盛んに取り組まれている。具体的には、壁材、床材、天井材等に適用するための、潜熱蓄熱材組成物が、多く開発されている。
これまで、蓄熱材に含まれる潜熱蓄熱材組成物(「PCM(相変化材料、Phase Change Materialsの略)」とも称する場合がある。)としては、主に有機系潜熱蓄熱材組成物が使用されてきた。
しかし、有機系潜熱蓄熱材組成物は、高コストであったり、可燃性等の問題があるため、近年では、有機系潜熱蓄熱材組成物に代わる部材の利用が注目されてきている。そのような新たな部材として、例えば、無機系潜熱蓄熱材組成物を用いた部材が挙げられる。無機系潜熱蓄熱材組成物に関連する技術としては、例えば、特許文献1〜4に挙げるような技術が開示されている。
特許文献1には、粉または粉状の無機系潜熱型蓄熱素材が、反応硬化型樹脂または反応硬化型発泡樹脂中に分散されてなる複合蓄熱材が開示されている。
特許文献2には、ポリエステル樹脂と、重合性を有しない溶剤と、水酸化マグネシウムと、塩化カルシウム6水塩と、結晶核剤とからなる蓄熱材組成物が開示されている。
特許文献3には、温度により相変化する蓄熱成分が少なくとも樹脂からなる被覆層により被覆された被覆樹脂型蓄熱粒子の製造方法であって、蓄熱成分と、イソシアネートと、多孔性粒子とを水中で撹拌分散させることを特徴とする方法が開示されている。
特許文献4には、オルガノポリシロキサンと、熱伝導性粒子と、蓄熱材とを含み、前記蓄熱材が融解温度0〜100℃の蓄熱物質をマイクロカプセル化した蓄熱材粒子であり、前記オルガノポリシロキサンと、前記熱伝導性粒子とが特定の割合で含まれ、熱伝導率が0.2〜10W/m・Kである、蓄熱性シリコーン材料が開示されている。
特開昭56−042098号 特開昭57−202341号 国際公開第2007/114185号 特開2014−208728号
しかし、上述のような従来技術は、漏れリスク(漏洩リスク)および施工性という観点からは、さらに改善の余地があった。
したがって、本発明の一態様は、前記問題点に鑑みなされたものであり、無機系潜熱蓄熱材組成物を用いた、漏れリスクが低減され、施工性に優れた潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供し得る、新規の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を実現することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、反応硬化型液状樹脂と混合する前の無機系潜熱蓄熱材組成物をゲル化することにより、前記無機系潜熱蓄熱材組成物と前記樹脂とを混合した潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が、安定した融解温度および優れた耐久性を示し、かつ前記課題を解決できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様は、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなり、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、増粘剤を含む、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物である。
また、本発明の一実施形態にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法は、無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤とを混合して、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しない、ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を調製する工程と、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、反応硬化型液状樹脂とを混合する工程と、を含む。
さらに、本発明の一実施形態にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法は、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤と反応硬化型液状樹脂とを含む潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を準備する工程と、前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、建築物の床面および/または壁面に塗布する工程と、塗布された前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させる工程と、を含む。
本発明の一態様によれば、可燃性の問題のある有機系材料を用いることなく、漏れリスクが低減され、施工性に優れた潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供し得る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を提供できる。
実施例1におけるサイクル試験(1サイクル)の結果を示す図である。 実施例1におけるサイクル試験(100サイクル)の結果を示す図である。 実施例2におけるサイクル試験(1サイクル)の結果を示す図である。 実施例2におけるサイクル試験(100サイクル)の結果を示す図である。 本発明の一態様における潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を用いた製品イメージを示す図である。 本発明の一態様における潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を用いた製品イメージを示す図である。 本発明の一態様における潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を用いた製品イメージを示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意図する。
〔1.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物〕
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなり、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、増粘剤を含む、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物である。
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、以下、「本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物」または単に「本組成物」と称することもある。本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させることにより硬化物を得ることができ、当該硬化物を潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物とも称する。本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、多くの場合、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物として使用され得る。本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させて得られる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物もまた、本発明の一実施形態である。本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を、「本潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物」または単に「本硬化物」とも称する。
本発明者は、従来技術に多くの改善の余地があることを独自に見出した。例えば、無機系潜熱蓄熱材組成物を用いた従来技術は、無機系潜熱型蓄熱素材を粉または粉状にしたり、マイクロカプセル化を行う必要がある等、製造時における操作性の問題があった。また、無機系潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱材組成物については、有機系潜熱蓄熱材組成物に比して十分な研究がなされておらず、改善の余地があった。さらに、有機系潜熱蓄熱材組成物、無機系潜熱蓄熱材組成物にかかわらず、蓄熱材組成物が液体である場合には、漏れリスク、施工性等の問題があることを本願発明者らは独自に見出した。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、前記構成を有するため、漏れリスクが低減され、かつ施工性に優れる、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供できるという利点を有する。また、不燃性または難燃性であり、漏れリスクが低減され、かつ施工性に優れる、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供できるという利点を有する。
さらに、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、前記構成を有するため、すなわち無機系潜熱蓄熱材組成物を含有するため、難燃性である潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供できるという利点を有する。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、(1)潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が凝固状態(固体)から溶融状態(液体)に相転移する間に熱エネルギーを吸収すること、および、(2)潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が溶融状態(液体)から凝固状態(固体)に相転移する間に熱エネルギーを放出すること、を用いた潜熱型の蓄熱材として利用できるものである。なお、溶融状態には後述する「ゲル状」も含まれる。
例えば、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、凝固状態から溶融状態に相転移する間に熱エネルギーを吸収することによって、高温環境下(例えば、夏)においても、例えば室内の温度を、環境温度以下の所望の温度に保持することができる。さらに、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、溶融状態から凝固状態に相転移する間に熱エネルギーを放出することによって、低温環境下(例えば、冬)においても、例えば室内の温度を、環境温度以上の所望の温度に保持することができる。つまり、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物によれば、高温環境下および低温環境下の何れであっても、例えば室内の温度を、所望の温度(例えば、15〜30℃)に維持することができる。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物を反応硬化型液状樹脂に練りこんで、得られた組成物を硬化させることを特徴としている。それ故、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、マイクロカプセル化が不要であり、マイクロカプセル化しなくても、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度以上における、無機系潜熱蓄熱材組成物の漏洩が防止され得る。また、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、加工性の良いシート状等に成形することも可能である。すなわち、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、操作性(取り扱い性、またはハンドリングともいう)に優れるともいえる。
さらに、反応硬化型液状樹脂の種類および物性(粘度、硬さ、弾性率、粘弾性等)を変化させることで、石膏ボードおよび床材等と組み合わせやすいように、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の硬さ等を調節することができる。そのため、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、建築現場において、安全性が高く、かつ、容易に施工可能な潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供することができる。すなわち、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、施工性に優れるともいえ、施工時の操作性に優れるともいえる。本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、製造時および施工時の両方において、操作性に優れるものである。本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、施工性に優れる、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供できる、ともいえる。
さらには、反応硬化型液状樹脂は無機系潜熱蓄熱材組成物の相変化温度に影響を与えない。また、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物は、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度にかかわらず常に固体形状を保つことができる。そのため、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物を収容するための、袋などの容器が不要となる利点も有する。
以下、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物について詳細に説明する。
〔1−1.無機系潜熱蓄熱材組成物〕
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に含まれる無機系潜熱蓄熱材組成物は、難燃性である。本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、潜熱蓄熱材として、可燃性の問題がある有機系潜熱蓄熱材組成物を用いる必要がない。そのため、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、従来技術品と比較して、難燃性である。「無機系潜熱蓄熱材組成物」を、以下、「蓄熱材組成物」とも称する。
蓄熱材組成物は増粘剤を含む。そのため、蓄熱材組成物は、蓄熱材組成物の融解温度を超える温度環境下において、固液分離しないという利点を有する。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、融解温度を超える温度(例えば、融解温度+10℃以上、または融解温度+25℃)で加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を含む。「無機系潜熱蓄熱材組成物が固液分離する」とは、例えば、無機系潜熱蓄熱材組成物を適当な容器に入れて一定時間静置したときに、蓄熱材組成物中の固体部分が沈殿し、蓄熱材組成物中の水分が漏出して上澄みとして漏出し、固体部分と水分とが分離する状態のことを言う。無機系潜熱蓄熱材組成物が固液分離する場合、当該蓄熱材組成物中に含まれる無機系潜熱蓄熱材を構成している水和塩の構造が変化するため、蓄熱性能が失われる可能性がある。また、無機系潜熱蓄熱材組成物が、融解温度を超える温度で加熱しても固液分離しない性質を有する。そのことにより、当該無機系潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度以上においても流動しないという利点を有する。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、融解温度を超える温度で加熱した場合に固液分離しない無機系潜熱蓄熱材組成物を含むため、繰り返し使用した場合であっても、蓄熱性能は変化しない。そのため、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、耐久性に優れるものである。
本発明の一実施形態における無機系潜熱蓄熱材組成物は、融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であり、融解温度+10℃以上に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であることが好ましく、融解温度+20℃以上に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であることがより好ましく、融解温度+25℃以上に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であることがより好ましく、融解温度+30℃以上に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であることが特に好ましい。本発明の一実施形態における無機系潜熱蓄熱材組成物は、融解温度+40℃以上に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であってもよい。
また、無機系潜熱蓄熱材組成物の加熱温度の上限は、無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる無機系潜熱蓄熱材と増粘剤との適当な混合の観点から、融解温度+40℃以下に加熱した場合に固液分離しないゲル状の(粘度が高い)無機系潜熱蓄熱材組成物であることが好ましい。
なお、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の使用環境下の温度に特に制限はない。
本明細書において、無機系潜熱蓄熱材組成物がある温度環境下において「ゲル状」であるとは、無機系潜熱蓄熱材組成物がある温度環境下において液状ではないことを意味し、具体的には、当該温度環境下にて測定したときの無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が1〜25Pa・sの範囲である状態を意味する。ゲル状の定義における粘度の測定は、音叉振動式粘度計または音叉振動式レオメーターにより測定することができる。
本明細書において、固体状の無機系潜熱蓄熱材組成物が融解して液体状またはゲル状になるときに、無機系潜熱蓄熱材組成物が呈する温度範囲の中間の温度を、無機系潜熱蓄熱材組成物の「融解温度」とする。本明細書において、「融解温度」は、「融点」、「相変化温度」、または「相転移温度」とも称する。
(潜熱蓄熱材)
無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる潜熱蓄熱材としては、無機系である限り特に限定されない。「潜熱蓄熱材」とは、潜熱型の蓄熱材として機能する成分を意図する。無機系の潜熱蓄熱材を、無機系潜熱蓄熱材とも称する。
本発明の一実施形態における無機系潜熱蓄熱材としては、例えば、酢酸ナトリウム3水和物(融解温度58℃)、チオ硫酸ナトリウム5水和物(融解温度48.5℃)、硫酸ナトリウム10水和物(融解温度32.4℃)、塩化カルシウム2水和物(融解温度176℃)、塩化カルシウム6水和物(融解温度29.8℃)、リン酸水素二ナトリウム12水和物(融解温度35.2℃)、炭酸ナトリウム10水塩(融解温度33℃)等の水和塩等が挙げられる。なかでも、人間の住環境を想定した温度帯、耐久性および臭い等の観点から、塩化カルシウム6水和物が最も好ましい。また、国際公開第2017/164304号に記載の無機系蓄熱材も、本発明の一実施形態における無機系蓄熱材として使用され得る。
本発明の一実施形態における無機系潜熱蓄熱材組成物(以下、「本無機系潜熱蓄熱材組成物」とも称する。)は、前記無機系潜熱蓄熱材および増粘剤の他に、融点調整剤および過冷却防止剤を含み得る。
(融点調整剤)
前記融点調整剤は、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度および凝固温度を調節する機能を有する。よって、前記融点調整剤は、凝固点降下剤と言い換えることもできる。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、融点調整剤として、好ましくは、(a)臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、臭化鉄、臭化亜鉛、臭化バリウム等の金属臭化物、および(b)塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化コバルト等の金属塩化物、からなる群より選ばれる融点調整剤を挙げることができる。中でも、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム等は、融点調整効果が大きいため、好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる融点調整剤の量は、特に限定されない。例えば、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物が用いられる場合、無機系潜熱蓄熱材1.0モルに対して、融点調整剤の合計含有量が、0.05モル以上2.0モル以下であることが好ましく、0.1モル以上1.5モル以下であることがより好ましく、0.15モル以上1.0モル以下であることがさらに好ましい。当該構成であれば、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物を壁材、床材、天井材、屋根材等の建材に用いるときに、当該建材で覆われた空間を適切な温度に高精度で維持できる。例えば、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物を使用し、かつ当該無機系潜熱蓄熱材1.0モルに対して、融点調整剤の合計含有量が、0.05モル以上2.0モル以下である場合、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物は、室内の温度を15〜30℃の温度範囲で維持できるため、好ましい。なお、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物以外のものが使用される場合、本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる融点調整剤の量は、適宜設定され得る。
前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、金属臭化物および金属塩化物以外の融点調整剤を含んでいてもよい。当該融点調整剤としては、例えば、アンモニウム塩、金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物、金属非ハロゲン化物、尿素、アルコール類等を挙げることができる。
前記アンモニウム塩としては、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、カルバミン酸炭酸水素アンモニウム、ギ酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等を挙げることができる。
取り扱い性、環境負荷および臭いの観点から、前記無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれるアンモニウム塩の含有量は、少ないことが好ましい。無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれるアンモニウム塩の含有量は、無機系潜熱蓄熱材組成物100重量%に対して、1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることがさらに好ましく、0.01重量%以下であることがさらに好ましく、0重量%であることが特に好ましい。
前記金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等を挙げることができる。
前記金属非ハロゲン化物としては、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ギ酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、水素化ホウ素カリウム、ギ酸カリウム、シュウ酸カリウム、炭酸カリウム、グルタミン酸カリウム、水酸化カリウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。
前記アルコール類としては、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセロール等)、および高級アルコール(例えば、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール等)を挙げることができる。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物で覆われた空間の温度を所望の温度により精度良く調節するという観点から、例えば、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物が用いられる場合、前記本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物の量は、無機系潜熱蓄熱材1.0モルに対して1.0モル以下であることが好ましく、0.5モル以下であることがより好ましく、0.3モル以下であることがさらに好ましい。なお、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物以外のものが使用される場合、前記無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物の量は、適宜設定され得る。
(過冷却防止剤)
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、過冷却防止剤(「核剤」または「核形成剤」とも称する。)を含んでいてもよい。過冷却防止剤は、特に限定されないが、例えば、ピロリン酸ナトリウム10水和物、四ホウ酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム1水和物、炭酸ナトリウム10水和物、臭素酸バリウム1水和物、硫酸カルシウム2水和物、ミョウバン、ピロリン酸二水素二ナトリウム6水和物、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化アルミニウム、リン酸水素二ナトリウム12水和物、亜リン酸水素二ナトリウム5水和物、リン酸三ナトリウム12水和物、リン酸二水素ナトリウム2水和物、フッ化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム6水和物、硫化バリウム、硫酸バリウム、酒石酸カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム6水和物、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、フッ化カルシウム、ケイ酸塩、二酸化ケイ素(シリカ)、氷晶石等からなる群より選ばれる過冷却防止剤を挙げることができる。
これらの過冷却防止剤は、比較的少量の添加で過冷却を防止でき、かつ入手が容易である。そのため、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、過冷却防止剤は、好ましく使用できる。
過冷却防止剤は使用する無機系潜熱蓄熱材に対応して、適宜選定して使用することが好ましい。例えば、無機系潜熱蓄熱材が酢酸ナトリウム3水塩の場合、ピロリン酸ナトリウム10水塩が好ましく選ばれ得る。また、無機系潜熱蓄熱材組成物がチオ硫酸ナトリウム5水塩および/または硫酸ナトリウム10水塩の場合、四ホウ酸ナトリウム10水塩が好ましく選ばれ得る。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、好ましくは、塩化カルシウム6水和物、融点調整剤、および過冷却防止剤をさらに含むものである。
(増粘剤)
増粘剤は、無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度を増加させることができるものであり、無機系潜熱蓄熱材組成物をゲル状にできるともいえる。本明細書において、「増粘剤」は「ゲル化剤」ともいえ、「増粘剤」および「ゲル化剤」は相互置換可能である。
本無機系潜熱蓄熱材組成物をゲル状のものにする増粘剤としては、特に限定されない。本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる前記増粘剤としては、例えば、吸水性樹脂(例えば、澱粉系、アクリル酸塩系、ポバール系、カルボキシメチルセルロース系等)、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、シリカゲル等)、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻等が挙げられる。
本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる前記増粘剤としては、イオン性の増粘剤であってもよく、またはノニオン性の増粘剤であってもよい。特に、本無機系潜熱蓄熱材組成物が無機系潜熱蓄熱材として、無機塩を含有する場合、当該無機塩は溶解してイオンの状態になっていることが多いため、無機系潜熱蓄熱材組成物中に溶解している無機イオンに影響を与えないことから、ノニオン性増粘剤が好ましい。
本発明の一実施形態で用いられるノニオン性の増粘剤としては、例えば、グアーガム、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
ノニオン性増粘剤の中でも、ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の安定性に優れており、環境適合性の高いヒドロキシエチルセルロースが特に好ましい。
前記増粘剤が、吸水性樹脂、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、シリカ、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻およびヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、含有する無機塩の濃度に依存して、温度変化により、経時的に、無機塩の析出が起こる場合がある。本無機系潜熱蓄熱材組成物が、増粘剤を含む場合、増粘剤は、無機系潜熱蓄熱材組成物をゲル状にすることができるだけでなく、溶解している無機塩のイオンを効率的に分散することにより、無機塩の析出を抑止することができる。
本無機系潜熱蓄熱材組成物が増粘剤を含む場合、増粘剤は、当該無機系潜熱蓄熱材組成物の融解/凝固挙動にも影響を与えず、かつ無機系潜熱蓄熱材組成物が高い融解潜熱量を維持することを可能とする。また、本無機系潜熱蓄熱材組成物が増粘剤を含むことにより、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の使用が想定される環境温度下でのヒートサイクル試験後も固液分離しないものとなる。
さらに、本無機系潜熱蓄熱材組成物が増粘剤を含むことにより、仮に、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物から無機系潜熱蓄熱材組成物が漏洩した場合であっても、漏洩時の環境負荷、および無機系潜熱蓄熱材組成物の回収時の作業負荷を低減することが可能となる。
なお、本発明の一実施形態では、ポリエステルと、常温にて揮発性を有する有機溶剤と金属酸化物とを主成分とする混合物は、増粘剤の範囲に含めない。また、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の難燃性をより高くするために、増粘剤としては、常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量が少ないことが好ましく、常温にて揮発性を有する有機溶剤を実質的に含まないことが好ましい。具体的には、増粘剤における常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量は、1000ppm以下であることが好ましい。常温にて揮発性を有する有機溶剤としては、単環芳香族化合物が挙げられ、例えば、ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピルなどが挙げられる。増粘剤における単環芳香族化合物の含有量は、1000ppm以下であることが好ましい。増粘剤における、ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジプロピルからなる群より選択される1種以上の化合物の合計の含有量は、1000ppm以下であることが好ましい。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、前記成分の他に、相分離防止剤(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸もしくはオレイン酸等の脂肪酸、またはオレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メタリン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、またはイソステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩)、保存料、香料、着色剤、抗菌剤、高分子ポリマー、その他の有機化合物、または、その他の無機化合物等を、必要に応じて含有してもよい。「相分離防止剤」は、「増粘補助剤」と称する場合もある。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、融解潜熱量が高いことが好ましい。無機系潜熱蓄熱材組成物の融解潜熱量は、80J/g以上であることが好ましく、100J/g以上であることがより好ましく、120J/g以上であることがさらに好ましく、140J/g以上であることが特に好ましい。無機系潜熱蓄熱材組成物の融解潜熱量は、示差走査型熱量計を用いて測定することができる。例えば、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメント社製:SII EXSTAR6000 DSC)を用いて、無機系潜熱蓄熱材組成物の温度を、3.0℃/分の速度にて−20℃から50℃へ昇温させた後、同じ速度にて50℃から−20℃へ降温させたときに得られるDSC曲線から、求めることができる。
前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度は、0.5Pa・s〜25Pa・sであることが好ましく、1Pa・s〜25Pa・sであることがより好ましく、2Pa・s〜25Pa・sであることがさらに好ましく、5Pa・s〜25Pa・sであることが特に好ましく、5Pa・s〜20Pa・sであることが特に好ましく、5Pa・s〜17Pa・sであることが最も好ましい。当該構成によると、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において当該無機系潜熱蓄熱材組成物が固液分離せず、かつ、粘度が高すぎないため操作性が良いという効果を奏する。
前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃において振動粘度計により測定したときの前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度は、1Pa・s〜25Pa・sであることが好ましく、2Pa・s〜25Pa・sであることがより好ましく、3Pa・s〜25Pa・sであることがさらに好ましく、3Pa・s〜21Pa・sであることが特に好ましく、5Pa・s〜20Pa・sであることが最も好ましい。また、当該粘度は5Pa・s〜25Pa・sであってもよい。当該構成によると、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃において当該無機系潜熱蓄熱材組成物が固液分離せず、かつ、粘度が高すぎないため操作性が良いという効果を奏する。
無機系潜熱材組成物の粘度またはゲル状の無機系潜熱蓄熱材の粘度は、それぞれ、振動粘度計(例えば音叉振動式粘度計または音叉振動式レオメーター)により測定することができる。無機系潜熱材組成物の粘度またはゲル状の無機系潜熱蓄熱材の粘度は、それぞれ、E型回転粘度計によっても測定することができる。
前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃においてE型回転粘度計により測定したときの前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度は、30Pa・s〜90Pa・sであることが好ましく、32Pa・s〜88Pa・sであることがより好ましく、34Pa・s〜86Pa・sであることがさらに好ましく、36Pa・s〜84Pa・sであることが特に好ましい。当該構成によると、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において当該無機系潜熱蓄熱材組成物が固液分離せず、かつ、粘度が高すぎないため操作性が良いという効果を奏する。
〔1−2.反応硬化型液状樹脂〕
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、反応硬化型液状樹脂(以下、「液状硬化性樹脂」とも称する。)を含む。
本明細書において「反応硬化型液状樹脂」とは、硬化剤の添加および/または紫外線の照射等により硬化する液状の樹脂を意味する。反応硬化型液状樹脂は、本発明の一実施形態に係る効果を奏するかぎり特に限定されない。反応硬化型液状樹脂は、例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、レゾール型フェノール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン等が挙げられる。硬化させやすさの観点から、好ましくは、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂が使用される。その他、反応硬化型液状樹脂について、特開2016−166754号公報を適宜援用できる。
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記反応硬化型液状樹脂は、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(1−2−1.シリコーン系樹脂)
前記シリコーン系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種シリコーン系樹脂が使用できる。例えば、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「反応性ケイ素基」と称する。)を有する重合体(以下、「基材樹脂(A)」と称する。)、および、シラノール縮合触媒(以下、「シラノール縮合触媒(B)」と称する。)を含む液状樹脂組成物を硬化してなる変成シリコーン樹脂であり得る。以下、前記変成シリコーン系樹脂を構成する基材樹脂(A)およびシラノール縮合触媒(B)について、詳述する。
<基材樹脂(A)>
基材樹脂(A)は、重合体(a)70〜100重量部と、反応性可塑剤(b)0〜30重量部と、からなる。重合体(a)は、分子鎖中に反応性ケイ素基を1.0個以上2.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される。重合体(a)は、シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応が起こり、架橋することによって高分子状となり、硬化する。反応性可塑剤(b)は、分子鎖の片末端に反応性ケイ素基を1.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される。反応性可塑剤(b)は、シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応が起こり、重合体(a)中の反応性ケイ素基と架橋することによって高分子状となり、硬化する。
重合体(a)に含まれる反応性ケイ素基の数は、分子鎖中に1.0個以上2.0個以下である。シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応するという点から、重合体1分子中に平均して少なくとも1.0個必要であり、好ましくは1.1個以上、より好ましくは1.2個以上存在するのが好ましい。
反応性可塑剤(b)含まれる反応性ケイ素基の数は、分子鎖の片末端に1.0個以下である。シラノール縮合触媒(B)によって重合体(a)と部分的に縮合反応して架橋するという点から、重合体1分子中に平均して少なくとも0.3個必要であり、好ましくは0.4個以上、より好ましくは0.5個以上存在するのがよい。
反応性ケイ素基の平均個数は、H−NMR機器を用いて定量する方法により求めることができる。
基材樹脂(A)中に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基または加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒(B)によって加速される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。反応性ケイ素基としては、一般式(1)にて示されるトリオルガノシロキシ基が挙げられる。
Figure 2019221006
(一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、−OSi(R’)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である。)であり、また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基または加水分解性基である。さらに、pは1から3の整数である。)。
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、および、アルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
加水分解性基および/またはヒドロキシ基は、1個のケイ素原子に1から3個の範囲で結合することができる。加水分解性基および/またはヒドロキシ基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
前記一般式(1)におけるpは、硬化性の点から、2または3であることが好ましく、特に速硬化性を求める場合には3であることが好ましく、貯蔵中の安定性を求める場合には2であることが好ましい。
前記一般式(1)におけるRの具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。前記一般式(1)におけるRの具体例としては、例えば、R’がメチル基、フェニル基等である−OSi(R’)で示されるトリオルガノシロキシ基、クロロメチル基、メトキシメチル基等も挙げられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基が挙げられる。活性が高く良好な硬化性が得られることから、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基が好ましい。
基材樹脂(A)の構造としては、直鎖状であっても、分岐が主鎖の分子量よりも少ない範囲で分岐構造を有していても構わない。
重合体(a)の分子量は、反応性の点から、数平均分子量として、3000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。数平均分子量の上限値には特に限定は無いが、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましい。
反応性可塑剤(b)の分子量は、反応性の点から、数平均分子量として、2000以上20000以下であることが好ましく、3000以上15000以下であることがより好ましい。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography;GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出できる。
また、重合体(a)は、2種類以上の重合体の組み合わせからなるものでもよい。重合体(a)が2種類以上の重合体の混合物である場合は、混合物の数平均分子量が前記の範囲であることが好ましい。
なお、架橋構造、粘度等の調整を目的として、重合体(a)に、前記以外の重合体を添加してもよい。
主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される基材樹脂(A)は、主鎖を形成する出発物質として活性水素を2個以上有する化合物を使用し、アルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等を出発物質として用い、C〜Cのアルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。
基材樹脂(A)の主鎖の具体例としては、例えば、(i)ポリエチレンオキシド、(ii)ポリプロピレンオキシド、(iii)ポリブチレンオキシド、(iv)エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから選ばれる2種以上のモノマーのランダムまたはブロック共重合体、等が挙げられる。基材樹脂(A)は、これらの群より選ばれる主鎖の少なくとも1種の末端に、アルケニル基を導入することが好ましい。架橋構造等の点から、主鎖の繰返し単位は、ポリプロピレンオキシドであることがより好ましい。
重合体の主鎖骨格に反応性ケイ素基を導入する方法としては、特に限定されず、例えば、国際公開第2014/073593号に記載された公知の方法で行うことができる。
本発明の一実施形態において、振動粘度計により測定するとき、基材樹脂(A)の50℃における粘度は、2〜25Pa・sであることが好ましく、3〜20Pa・sがより好ましい。振動粘度計により測定された基材樹脂(A)の50℃における粘度が2Pa・s未満であると、無機系潜熱蓄熱材組成物との混合の際に、反応硬化型液状樹脂が硬化するよりも前に無機系潜熱蓄熱材組成物が沈降し、反応硬化型液状樹脂中における無機系潜熱蓄熱材組成物の分散が困難になる場合がある。振動粘度計により測定された基材樹脂(A)の50℃における粘度が25Pa・sを超えると、無機系潜熱蓄熱材組成物との混合の際に、ハンドリング性が悪くなる場合がある。
本発明の一実施形態において、振動粘度計により測定するとき、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における基材樹脂(A)の粘度は、2〜25Pa・sであることが好ましく、3〜20Pa・sがより好ましい。振動粘度計により測定された無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における当該基材樹脂(A)の粘度が、(a)2Pa・s未満であると、無機系潜熱蓄熱材組成物との混合の際に、反応硬化型液状樹脂が硬化するよりも前に無機系潜熱蓄熱材組成物が沈降し、反応硬化型液状樹脂中における無機系潜熱蓄熱材組成物の分散が困難になる場合があり、(b)25Pa・sを超えると、無機系潜熱蓄熱材組成物との混合の際に、ハンドリング性が悪くなる場合がある。
<シラノール縮合触媒(B)>
反応性ケイ素基を有し、主鎖を構成する単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体を反応させるシラノール縮合触媒(B)としては、シラノール縮合触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。本明細書において、シラノール縮合触媒(B)は、硬化剤と称する場合もある。
このようなシラノール縮合触媒(B)の具体例としては、例えば、(i)ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、(ii)ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキサイド類、(iii)ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテート等のジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、(iv)(a)ジブチル錫オキサイドおよびジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドと、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、(b)ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸およびアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、(c)ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、および(d)これらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類等を挙げることができる。また、このようなシラノール縮合触媒(B)の具体例としては、例えば、(i)オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、バーサチック酸錫等の2価の錫化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;(ii)モノブチル錫トリスオクトエートおよびモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物並びにモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;(iii)テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;(iv)アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ−イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;(v)カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;(vi)ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類等を挙げることができる。また、このようなシラノール縮合触媒(B)の具体例としては、例えば、(i−i)メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;(i−ii)ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;(i−iii)トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;(i−iv)トリアリルアミン、オレイルアミン、等の脂肪族不飽和アミン類;(i−v)ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;(i−vi)および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物;あるいは(ii)これらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩等を挙げることができる。また、このようなシラノール縮合触媒(B)の具体例としては、例えば、(i)ラウリルアミンおよびオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;(ii)過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;(iii)過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;(iv)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、(i)これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには(ii)バーサチック酸等の脂肪酸および有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、(iii)塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物としては、(CHO)−P(=O)(−OH)、(CHO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(C17O)−P(=O)(−OH)、(C17O)−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)、(HO−C12O)−P(=O)(−OH)、(HO−C12O)−P(=O)(−OH)、(HO−C16O)−P(=O)(−OH)、(HO−C16O)−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CHO]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CHO]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]−P(=O)(−OH)等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
前記液状樹脂組成物におけるシラノール縮合触媒(B)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であり、0.5〜3重量部がより好ましい。
前記シリコーン系樹脂は、基材樹脂(A)およびシラノール縮合触媒(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、有機系の基材樹脂(A)と無機系潜熱蓄熱材組成物との相溶性を向上させるシランカップリング剤等が挙げられる。
<アクリル系樹脂>
アクリル系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種アクリル系樹脂が使用できる。アクリル系樹脂は、例えば、以下で示す、(メタ)アクリル樹脂(A)、アクリル樹脂(B)、(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との混合物であり得る。
<(メタ)アクリル樹脂(A)>
(メタ)アクリル樹脂(A)は、分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上のモノマーを含むモノマー成分を重合させることにより得られる(メタ)アクリル樹脂である。(メタ)アクリル樹脂(A)は、側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を有している。
(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成するモノマー成分は、分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上のモノマーを、全モノマー成分を基準として、99.9質量%以下含むことが好ましく、30.0〜99.5質量%含むことがより好ましく、40.0〜95質量%含むことがさらに好ましい。
分岐状アルキル基の炭素数は、8〜24であることが好ましい。炭素数8〜24の分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、デシルテトラデカニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーのTgは、−80〜20℃であることが好ましく、−70〜−10℃であることがより好ましい。本明細書において、「Tg」は、「ガラス転移温度」を示す。
分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成する全モノマー成分を基準として、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは30.0〜99.5質量%、さらに好ましくは40.0〜95質量%である。
直鎖状アルキル基の炭素数は、4〜24であることが好ましい。炭素数4〜24の直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートの例としては、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−へキシルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ウンデシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレート)、n−トリデシルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートのホモポリマーのTgは、−80〜20℃であることが好ましく、−70〜−10℃であることがより好ましい。
直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有量は、(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成する全モノマー成分を基準として、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは30.0〜99.5質量%、さらに好ましくは40.0〜95.0質量%である。
本発明の一実施形態において、分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートとは適時組み合わせて使用することも可能である。
(メタ)アクリル樹脂(A)が側鎖および/または末端に有する(メタ)アクリロイル基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させることにより導入してもよい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物としては、例えば、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、1,1−ビス(アクリロイロキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも光硬化性、汎用性およびコストの観点から、2−イソシアネートエチルメタクリレートが好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物の配合量は、(メタ)アクリロイル基を導入する前の(メタ)アクリル樹脂100質量%に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
側鎖および/または末端にヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させる方法としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒下において、不活性ガス雰囲気下、室温(25℃)〜80℃の温度で2時間〜10時間反応させる方法がある。
(メタ)アクリル樹脂(A)は、極性基含有モノマー由来の構造単位をさらに有していてもよい。すなわち、(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成するモノマー成分は、極性基含有モノマーをさらに含むことができる。極性基含有モノマーの含有量は全モノマー成分を基準として0.1〜20質量%であることが好ましく、硬化物の接着力および凝集力を高める観点から、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。一方で、極性基含有モノマーが多くなりすぎると、液状硬化性樹脂の硬化物が硬くなり、また、粘度が上昇するため、極性基含有モノマーの含有量は、18質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
前記極性基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマーまたはアセトアセトキシ基含有モノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、およびビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、カルボキシル基とを有する化合物を特に制限なく用いることができる。カルボキシル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、カルボキシル基含有モノマーとして、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、ヒドロキシル基とを有する化合物を特に制限なく用いることができる。ヒドロキシル基含有モノマーの例としては、(i)2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(ii)(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレート;(iii)ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
窒素原子含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、アミド基またはニトリル基とを有する化合物を特に制限なく用いることができる。アミド基含有モノマーの例としては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。ニトリル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは1種を単独使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記アセトアセトキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、アセトアセトキシ基とを有するものを特に制限なく用いることができる。アセトアセトキシ基含有モノマーの例としては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシペンチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの極性基含有モノマーの中では、(メタ)アクリル樹脂(A)の側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を導入し易い等の観点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、特に限定されないが、4000〜100000が好ましく、6000〜80000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。
<アクリル樹脂(B)>
アクリル樹脂(B)は、直鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレートを含むモノマー成分を重合させることにより得られるアクリル樹脂であり、側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を有している。
アクリル樹脂(B)の主鎖を構成するモノマー成分は、直鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレートからなる群より選ばれた1種以上のモノマーを、全モノマー成分を基準として、99.9質量%以下含むことが好ましく、30.0〜99.5質量%含むことがより好ましく、40.0〜95質量%含むことがさらに好ましい。
直鎖状アルキル基の炭素数は、8〜24であることが好ましい。炭素数8〜24の直鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレートの例としては、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ウンデシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート(ラウリルアクリレート)、n−トリデシルアクリレート、n−ステアリルアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートのホモポリマーのTgは、−80〜20℃であることが好ましく、−70〜−10℃であることがより好ましい。
アクリル樹脂(B)が側鎖および/または末端に有する(メタ)アクリロイル基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有するアクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させることにより導入してもよい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物としては、前記(メタ)アクリル樹脂(A)で例示した化合物を用いることができる。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物の配合量は、(メタ)アクリロイル基を導入する前のアクリル樹脂100質量%に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
側鎖および/または末端にヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有するアクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させる方法としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒下において、不活性ガス雰囲気下、室温(25℃)〜80℃の温度で2時間〜10時間反応させる方法がある。
アクリル樹脂(B)の主鎖を構成するモノマー成分は、極性基含有モノマーをさらに含むことができる。極性基含有モノマーの含有量は全モノマー成分を基準として0.1〜20質量%であることが好ましく、硬化物の接着力および凝集力を高める観点から、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。一方で、極性基含有モノマーが多くなりすぎると、液状硬化性樹脂の硬化物が硬くなり、また、粘度が上昇するため、極性基含有モノマーの含有量は、18質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
極性基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマーまたはアセトアセチル基含有モノマーが挙げられ、前記(メタ)アクリル樹脂(A)で例示した化合物をそれぞれ用いることができる。
これらの極性基含有モノマーの中では、アクリル樹脂(B)の側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を導入し易い等の観点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好ましい。
アクリル樹脂(B)の重量平均分子量は、特に限定されないが、4000〜100000が好ましく、6000〜80000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。
<(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との混合物>
(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との混合物は、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記アクリル樹脂(B)との混合物である。(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との含有割合(混合割合)は、80/20質量%〜95/5質量%であることが好ましく、85/15質量%〜95/5質量%であることがより好ましい。
その他、アクリル系樹脂について、特開2017−122174号公報、特許第2851350号公報、特開2016−131718号公報を適宜援用できる。
<ポリイソブチレン系樹脂>
前記ポリイソブチレン系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種ポリイソブチレン系樹脂が使用できる。ポリイソブチレン系樹脂は、例えば、主骨格がイソブチレンからなる骨格であり、かつ、分子内に(メタ)アクリロイル基を有するポリマーである。
前記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル(CH=CHCO−)およびメタクリロイル(CH=C(CH)CO−)のうち少なくとも1つを意味する。また、前記「主骨格」は、ポリマーの主鎖を形成する主な骨格(全構成の中で占める割合が最も多い骨格)を意味する。また、前記「イソブチレンからなる骨格」は、−[CH−C(CH]−単位からなる骨格である「イソブチレン骨格」の、炭素および水素により構成される骨格を意味する。
前記ポリマーとしては、主骨格がイソブチレンからなる骨格であり、かつ、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリマーとしては、水添物(主骨格が水素添加されているポリマーであって、水添ポリマーとも称する。)であってもよい。前記ポリマーの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマーの分子内における(メタ)アクリロイル基の個数としては、1個以上である限り、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリマーの分子内における(メタ)アクリロイル基の個数が2個以上であると、網目構造を形成することができ、圧縮永久歪を小さくできる。
前記ポリマー分子内における(メタ)アクリロイル基の位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリマー末端(片末端、両末端)であってもよく、ポリマー側鎖であってもよい。
前記ポリマーの数平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜40,000が好ましく、2,000〜35,000がより好ましい。
その他、ポリイソブチレン系樹脂について、特開2014−80497号公報、特許第2873395号公報、特許第3315210号公報、特許第3368057号公報、特開2004−204183号公報を適宜援用できる。
<ウレタン系樹脂>
前記ウレタン系樹脂は、分子内にウレタン結合を含有する樹脂である。当該ウレタン系樹脂は、有機溶媒に対して可溶性であり、分子内に少なくとも1つのウレタン結合を含有する繰り返し単位を有している。また、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。すなわち、ポリイソシアネート成分と、ポリオール、触媒、および、その他助剤からなるポリオール成分と、を一定の比率で混合する方法により製造されるポリマーである。
前記ポリイソシアネート成分は、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなど;これらの変性ポリイソシアネート、すなわち、ポリイソシアネートの部分化学反応で得られる生成物であって、例えば、エステル、尿素、ビューレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレタンなどの基を含むポリイソシアネート;などが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記ポリオール成分としては、(i)ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールが挙げられる。当該ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、ビスフェノールA、などの多価アルコール、(ii)エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびエチレンジアミンなどの脂肪族アミン、(iii)トルエンジアミン、およびメチレンジアニリンなどの芳香族アミン類、(iv)マンニッヒ縮合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。当該ポリエーテルポリオールは、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。ポリエーテルポリオールとしては、芳香族ポリエーテルポリオールが熱伝導率を低下させるために特に好ましい。ポリエーテルポリオールの水酸基価は、特に限定しないが、300〜800mgKOH/gが好ましい。さらに、(v)ポリブタジエン系ポリオール(例えば水酸基末端液状ポリブタジエン)、ポリイソプレン系ポリオール(例えば水酸基末端液状ポリイソプレン)、ポリオレフィン系ポリオール(例えば水酸基末端液状ポリオレフィン)などの分子末端に反応性の高い水酸基を有する液状ポリマーも挙げられる。これらは、主鎖構造が耐加水分解性に優れるため好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸に上記多価アルコールを縮合してなるポリオール、および環状エステル開環重合からなるポリオールがある。多価カルボン酸としてはコハク酸、グルタン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの無水物である脂肪族多塩基酸等が挙げられ、特に芳香環を有するポリエステルポリオールが好ましい。このポリエステルポリオールの水酸基価は、特に限定しないが、100〜400mgKOH/gが好ましい。
さらに、分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、下記一般式(2)で示されるジオール化合物と、下記一般式(3)とで示されるジイソシアネート化合物を反応させることにより、下記一般式(4)で示されるウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有する構造として得られる。
Figure 2019221006
(一般式(2)中、Rは2価の有機基を示す)
Figure 2019221006
(一般式(3)中、Xは2価の有機基を示す)
Figure 2019221006
(一般式(4)中、R及びXはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す)
前記ウレタン系樹脂は、公知の技術により、上述した成分を共重合させて製造される。
<エポキシ系樹脂>
エポキシ系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種エポキシ系樹脂が使用できる。例えば、(i)ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フルオログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールCジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロプロパンジグリシジルエーテル、1,3−ビス〔1−(2,3−エポキシプロパキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル〕ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、フェノールノボラック型ビスエポキシ化合物等の芳香族系グリシジルエーテル化合物、(ii)アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド等の脂環式ポリエポキシ化合物、(iii)ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジメチルグリシジルフタレート、ジメチルグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジル−p−オキシベンゾエート、ジグリシジルシクロペンタン−1,3−ジカルボキシレート、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、(iv)ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルトリブロモアニリン等のグリシジルアミン化合物、(v)ジグリシジルヒダントイン、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物、等が挙げられる。
その他、エポキシ系樹脂について、国際公開第2010/103809号を適宜援用できる。
また、反応硬化型液状樹脂として例示したシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂以外の樹脂については、当該分野で使用される任意の樹脂が使用され得る。
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記反応硬化型液状樹脂は、任意で希釈剤、および/または、光ラジカル開始剤を含んでいてもよい。
前記希釈剤としては、特に限定されないが、例えば、イソステアリルアルコールおよびテレケリックポリアクリレートなどが挙げられる。希釈材は市販品を使用することもでき、例えば、大阪有機化学工業社製のイソステアリルアルコール、およびカネカ社製のMM100C(テレケリックポリアクリレート)が挙げられる。
前記光ラジカル開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。光ラジカル開始剤は市販品を使用することもでき、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンはIRGACURE1173(BASFジャパン製)として入手でき、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドはIRGACURE819(BASFジャパン製)として入手できる。これらの希釈剤、および/または、光ラジカル開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、希釈剤、および/または、光ラジカル開始剤の含有量は、特に限定されない。希釈剤の含有量は、反応硬化型液状樹脂の硬化物の防湿性を損なわない限り、蓄熱材組成物との粘度差調整のために、反応硬化型液状樹脂100重量部に対して5重量部〜25重量部であることが好ましい。光ラジカル開始剤の含有量は、紫外線照射によって十分に潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の光硬化反応が進行するために、反応硬化型液状樹脂100重量部に対して0.5重量部〜5.0重量部であることが好ましい。
〔1−3.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物〕
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、前記反応硬化型液状樹脂中に分散している。
本明細書において「分散されてなる(分散されている、分散している)」とは、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物または潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物につき、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度−20℃以下の温度にてマイクロスコープ(倍率:10倍、視野:1cm)で観察した時に、1mm以上の無機系潜熱蓄熱材組成物の凝集塊が見られないものを意味する。
潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の難燃性をより高くするために、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物における、常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量は少ないことが好ましい。具体的には、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物100重量部中における常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量は、50重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましく、0.1重量部以下であることが特に好ましい。潜熱蓄熱材含有樹脂組成物100重量部中における単環芳香族化合物の含有量は、50重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましく、0.1重量部以下であることが特に好ましい。潜熱蓄熱材含有樹脂組成物100重量部中における、ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジプロピルからなる群より選択される1種以上の化合物の合計の含有量は、50重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましく、0.1重量部以下であることが特に好ましい。潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物における、(i)常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量、(ii)単環芳香族化合物の含有量、または(iii)ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジプロピルからなる群より選択される1種以上の化合物の合計の含有量、は、それぞれ上述した潜熱蓄熱材含有樹脂組成物における含有量の好ましい範囲内であることが好ましい。
本明細書において、固体状の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が融解して液体状またはゲル状になるときに、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が呈する温度範囲の中間の温度を、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の「融解温度」とする。なお、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の融解温度は、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度ともいえる。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が有する融解温度は特に限定されない。潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、住宅に適応し、住環境を整えるために使用する場合を考える。この場合、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、15℃〜30℃の融解温度を有することが好ましく、17℃〜28℃の融解温度を有することがより好ましく、20℃〜25℃の融解温度を有することがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は15℃〜30℃の融解温度を有することが好ましい。当該構成であれば、住環境に適した潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を得ることができる。
本発明の一実施形態において、50℃において振動粘度計により測定したときの、前記反応硬化型液状樹脂の未硬化の液状樹脂の粘度と前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差は、12Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましい。50℃において振動粘度計により測定された前記粘度の差の下限は特に限定されないが、好ましくは、0Pa・s以上である。50℃において振動粘度計により測定された前記粘度の差が上述した範囲内であれば、前記反応硬化型液状樹脂中に蓄熱材が均一分散することが可能となる。なお、前記粘度の差は、使用される反応硬化型液状樹脂および無機系潜熱蓄熱材組成物の組み合わせに応じて、適宜変更され得る。
本発明の一実施形態において、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの、前記反応硬化型液状樹脂の粘度と前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差は、12Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましい。前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの前記粘度の差の下限は特に限定されないが、好ましくは、0Pa・s以上である。当該構成によると、前記反応硬化型液状樹脂中に蓄熱材が均一分散することが可能となる。なお、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの前記粘度の差は、使用される反応硬化型液状樹脂および無機系潜熱蓄熱材組成物の組み合わせに応じて、適宜変更され得る。
本発明の一実施形態において、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃において振動粘度計により測定したときの、前記反応硬化型液状樹脂の未硬化の液状樹脂の粘度と前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差は、12Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましい。前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃において振動粘度計により測定したときの前記粘度の差の下限は特に限定されないが、好ましくは、0Pa・s以上である。当該構成によると、前記反応硬化型液状樹脂中に蓄熱材が均一分散することが可能となる。
本発明の一実施形態において、(i)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が1〜25Pa・sであり、かつ、(ii)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの、前記反応硬化型液状樹脂の粘度と前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差が、12Pa・s以下であることが好ましい。
前記「反応硬化型液状樹脂の未硬化の液状樹脂の粘度」と前記「反応硬化型液状樹脂の粘度」とは同じ意味を示し、これらの用語は相互置換可能である。
反応硬化型液状樹脂の粘度は振動粘度計(例えば音叉振動式粘度計または音叉振動式レオメーター)により測定することができ、E型回転粘度計によっても測定することができる。
本発明の一実施形態において、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃においてE型回転粘度計により測定したときの、前記反応硬化型液状樹脂の粘度と前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差は、80Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは80Pa・s未満であり、より好ましくは60Pa・s以下であり、より60Pa・s未満であり、より好ましくは50Pa・s以下であり、さらに好ましくは40Pa・s以下であり、特に好ましくは20Pa・s以下である。前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃においてE型回転粘度計により測定したときの前記粘度の差の下限は特に限定されないが、好ましくは、0Pa・s以上である。当該構成によると、前記反応硬化型液状樹脂中に蓄熱材が均一分散することが可能となる。なお、記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃においてE型回転粘度計により測定したときの前記粘度の差は、使用される反応硬化型液状樹脂および無機系潜熱蓄熱材組成物の組み合わせに応じて、適宜変更され得る。
本発明の一実施形態において、(i)(a)前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における、振動粘度計により測定された前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が1〜25Pa・sであるか、または、(b)前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における、E型回転粘度計により測定された前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が30〜90Pa・sであり、かつ、(ii)前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における、前記E型回転粘度計により測定された、前記反応硬化型液状樹脂の粘度と前記E型回転粘度計により測定した前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差が、80Pa・s以下であることが好ましい。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない限り、前記無機系潜熱蓄熱材組成物および前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物以外の他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、難燃剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、気泡調整剤、潤滑剤、防カビ剤等が挙げられる。
〔2.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法(以下、「本製造方法」とも称する。)は、(i)無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤とを混合して、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を調製する工程と、(ii)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、反応硬化型液状樹脂とを混合する工程と、を含む。そして、前記(i)の工程を、単に「調製工程」とも称する。前記(ii)の工程を、単に「混合工程」とも称する。
本製造方法では、調製工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物を増粘剤によりゲル化させ(換言すれば、粘度を上げる)、融解温度以上でも無機系潜熱蓄熱材組成物が液状化することを防いだ後に、混合工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物を反応硬化型液状樹脂中に混ぜ込んでいる。これにより、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物から、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度以上においても流動しない無機系潜熱蓄熱材組成物を含む、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を得ることができる。また、本製造方法においては、増粘剤と液状の反応硬化型液状樹脂との相溶性、粘度等を調整することにより、前記反応硬化型液状樹脂中に無機系潜熱蓄熱材組成物が均一分散することが可能となる。さらに、本製造方法においては、潜熱蓄熱材組成物が無機系であることにより、建材用途で懸念される可燃性の問題を解消し、その結果、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、住環境用潜熱蓄熱材組成物として好適に使用することができる。
前記(i)調製工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤との混合は、当該技術分野において公知である任意の技術を用いて行うことができる。無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤との混合は、例えば、後述する実施例に記載の方法で行われる。
前記増粘剤は、使用する種類によって最適配合量が異なるが、(i)無機系潜熱蓄熱材組成物に溶解している塩の凝集および析出を防ぎ、(ii)無機系潜熱蓄熱材組成物のハンドリング性が良く、(iii)当該無機系潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度(例えば、融解温度+10℃以上)に加熱した場合に固液分離しない前記無機系潜熱蓄熱材組成物が得られる配合量であれば、特に限定されない。前記増粘剤は、無機系潜熱蓄熱材および融点調整剤の合計100重量部に対して、1〜10重量部を添加することが好ましく、2〜6重量部がさらに好ましい。
前記(i)調製工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物および増粘剤は、例えば、上述の〔1−1.無機系潜熱蓄熱材組成物〕に記載のものが用いられる。
前記(ii)混合工程において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物と、反応硬化型液状樹脂との混合は、当該技術分野において公知である任意の技術を用いて行うことができ、例えば、後述する実施例に記載の方法で行われる。
前記(ii)混合工程において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物と、反応硬化型液状樹脂との混合比率は、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が得られる比率であれば、特に限定されない。当該混合比率は、例えば、前記無機系潜熱蓄熱材組成物と、反応硬化型液状樹脂とが、重量比で、80:20〜20:80であり、好ましくは、50:50である。
前記(ii)混合工程において、反応硬化型液状樹脂は、例えば、上述の〔1−2.反応硬化型液状樹脂〕に記載のものが用いられる。
前記(i)調製工程および前記(ii)混合工程は、一つの装置の中で連続して行ってもよいし、複数の装置を使用して行ってもよい。
〔3.潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物〕
本発明の一実施形態は、前記〔1.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物〕の項に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物、または前記〔2.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法〕の項に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法により得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させてなる、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供し得る。
従って、本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、無機系潜熱蓄熱材組成物および反応硬化型液状樹脂を含み、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、増粘剤を含むものである。
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、前記構成を有するため、(a)漏れリスクが低減され、(b)難燃性であり、かつ(c)施工性に優れる、という利点を有する。
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の製造方法としては、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物中に含まれる反応硬化型液状樹脂を硬化させる工程を含む方法が挙げられる。
従って、本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の製造方法(以下、「本潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の製造方法」とも称する。)は、(i)無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤とを混合して、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を調製する工程と、(ii)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、未反応の反応硬化型液状樹脂とを混合する工程と、(iii)当該未反応の反応硬化型液状樹脂を硬化させる工程と、を含む。前記(i)の工程を、単に「調製工程」とも称する。前記(ii)の工程を、単に「混合工程」とも称する。前記(iii)の工程を、単に「硬化工程」とも称する。
本明細書において、「未反応の反応硬化型液状樹脂」と「反応硬化型液状樹脂」とは、同じ意味で用いており、どちらも硬化していない(未硬化の)反応硬化型液状樹脂を意味する。
本製造方法では、調製工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物を増粘剤によりゲル化させ(換言すれば、粘度を上げる)、融解温度以上でも無機系潜熱蓄熱材組成物が液状化することを防いだ後に、混合工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物を反応硬化型液状樹脂中に混ぜ込み、全体を硬化させている。これにより、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度以上においても流動しない無機系潜熱蓄熱材組成物を含む、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を得ることができる。また、本製造方法においては、増粘剤と液状の反応硬化型液状樹脂との相溶性、粘度等を調整することにより、前記反応硬化型液状樹脂中に無機系潜熱蓄熱材組成物が均一分散することが可能となる。さらに、本製造方法においては、潜熱蓄熱材組成物が無機系であることにより、建材用途で懸念される可燃性の問題を解消し、その結果、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、住環境用潜熱蓄熱材組成物として好適に使用することができる。
本潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の製造方法における、調製工程および混合工程は、それぞれ、前記〔2.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法〕の項に記載の調製工程および混合工程と同じであってもよい。
前記(iii)硬化工程において、未反応の反応硬化型液状樹脂を硬化させる方法は、当該未反応の反応硬化型液状樹脂が硬化する方法であれば特に限定されない。例えば、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に硬化剤を添加することにより行ってもよいし、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に対する紫外線照射により行ってもよい。また、硬化剤としては、例えば、AP−4(商品名、ブチルアシッドホスフェート)、AP−8(商品名、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)、AP−10(商品名、イソデシルアシッドホスフェート)等が使用され得る。
前記(i)調製工程、前記(ii)混合工程および前記(iii)硬化工程は、一つの装置の中で連続して行ってもよいし、複数の装置を使用して行ってもよい。
〔4.潜熱蓄熱材を備えた建築物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材を備えた建築物の製造方法(以下、「本建築物の製造方法」とも称する。)は、(i)無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、増粘剤と、反応硬化型液状樹脂と、を含む潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を準備する工程と、(ii)前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、建築物の床面および/または壁面に塗布する工程と、塗布された前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させる工程と、を含む。潜熱蓄熱材を備えた建築物の製造方法は、潜熱蓄熱材を備えた建築物の施工方法と言い換えることもできる。前記(i)の工程を、単に「準備工程」とも称し、前記(ii)の工程を、「塗布工程」とも称し、前記(iii)の工程を、単に「硬化工程」とも称する。
本建築物の製造方法においては、前記構成を有するため、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、建築物の床面および/または壁面に直接塗布して硬化させることができる。そのため、本建築物の製造方法は、従来の技術に比べ、操作性が極めてよい。
前記(i)準備工程は、建築物の床面および/または壁面に塗布するための潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を準備する工程である。前記(i)準備工程は、例えば、前記〔2.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法〕または前記〔3.潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物〕の項に記載の調製工程および混合工程により行われ得る。
前記(ii)塗布工程は、準備工程にて調製された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に硬化剤を添加した後、得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を対象物(具体的には建築物の床面および/または壁面)に塗布する工程である。
前記塗布工程において、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を対象物に塗布する方法としては、特に限定されない。
前記(iii)硬化工程は、塗布工程にて、対象物に塗布された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に紫外線等を照射して潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させる工程等であり得る。
前記硬化工程は、例えば、前記〔3.潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物〕の硬化工程により行われ得る。
前記塗布工程および硬化工程は、建築物の床面および/または壁面に潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を施工する工程ともいえる。
なお、前記(i)準備工程、前記(ii)塗布工程および前記(iii)硬化工程が同一主体(すなわち同一の作業者)により行われる場合は言うまでもなく、異なる主体(すなわち異なる作業者)により別々に行われる場合も本発明の範囲に包含される。
〔5.用途〕
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、蓄熱材が求められる種々の用途、例えば、壁材、床材、天井材、屋根材等において利用可能である。
本発明の一実施形態は、例えば、図5に示すように、無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート1の片面(例えば、表面)をガスバリアーフィルム2で被覆し、前記無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート1の他面(例えば、裏面)を変形防止材3で被覆した部材として利用できる。また、図5において、ガスバリアーフィルム2で被覆しない場合も、本発明の別の一実施形態である。ここで、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート1に使用される。無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート1は、未硬化の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物をボード状またはシート状に成型し、その後硬化させることにより、得ることができる。
ガスバリアーフィルム2は、大気中の水分や酸素等の浸入および無機潜熱蓄熱材含有樹脂組成物中の成分の放出により無機潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の熱特性の変質や劣化を防止するという機能を有し得る。ガスバリアーフィルム2としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等からなるフィルムが挙げられる。ガスバリアーフィルム2としては、また、PRIME BARRIER(登録商標)(凸版印刷社製)、エンブレム(登録商標)DC(ユニチカ社製)およびEVALTM(クラレ社製)等の市販品を使用することもできる。変形防止材3としては、例えば、アルミ板、樹脂板等が使用される。図5の部材を用いて、例えば、壁材、床材、天井材、屋根材等として使用される、有機系潜熱蓄熱材組成物をアルミパックに封入した現行の部材を置換することができる。
また、本発明の別の実施形態は、図6に示すように、無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート1の片面(例えば、表面)を石膏ボード4で被覆し、前記無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート1の他面(例えば、裏面)をガスバリアーフィルム2で被覆した部材として利用できる。ここで、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート1に使用される。
さらに、本発明の他の実施形態は、図7に示すように、石膏ボード4の中に無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂粉砕品5が埋め込まれた部材として利用できる。ここで、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂粉砕品5に使用される。無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂粉砕品5は、未硬化の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物をブロック状、ボード状またはシート状に成型し、その後硬化させ、得られたブロック、ボード、またはシートを粉砕することにより、得ることができる。
その他の実施形態として、フロアマット用下地材として利用したり、合板用接着剤として利用したりすることも可能である。
〔6.その他〕
本発明の一態様は、以下の発明を包含してもよい。
〔1〕融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなることを特徴とする、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔2〕前記無機系潜熱蓄熱材組成物が、塩化カルシウム6水和物、融点調整剤、過冷却防止剤およびゲル化剤を含むものであることを特徴とする、〔1〕に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔3〕前記反応硬化型液状樹脂が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔4〕前記ゲル化剤が、吸水性樹脂、アタパルジャイ粘土、ゼラチン、寒天、シリカゲル、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロースおよび蒟蒻からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔2〕または〔3〕に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔5〕前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃で測定したときの粘度が5〜25Pa・sであり、かつ、前記反応硬化型液状樹脂の未硬化の液状樹脂の粘度と、
前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物との粘度の差が、12Pa・s以下であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔6〕前記無機系潜熱蓄熱材組成物が15℃〜30℃の融解温度を有することを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔7〕無機系潜熱蓄熱材組成物とゲル化剤とを混合して、融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しない、ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を調製する工程と、
前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、未反応の反応硬化型液状樹脂とを混合する工程と、
前記未反応の反応硬化型液状樹脂を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法。
〔8〕融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と未反応の反応硬化型液状樹脂とを含む未硬化の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を準備する工程と、
前記未硬化の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、建築物の床面および/または壁面に塗布して硬化させる工程と、を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材を備えた建築物の製造方法。
また、本発明の一態様は、以下の発明を包含する。
〔1〕無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなり、
前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、増粘剤を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔2〕前記無機系潜熱蓄熱材組成物が、塩化カルシウム6水和物、融点調整剤、および過冷却防止剤をさらに含むものであることを特徴とする、〔1〕に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔3〕前記反応硬化型液状樹脂が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔4〕前記増粘剤が、吸水性樹脂、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、シリカ、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻およびヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、〔2〕または〔3〕に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔5〕(i)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が1〜25Pa・sであり、かつ、
(ii)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの、前記反応硬化型液状樹脂の粘度と前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差が、12Pa・s以下であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔6〕前記無機系潜熱蓄熱材組成物が15℃〜30℃の融解温度を有することを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
〔7〕無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤とを混合して、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しない、ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を調製する工程と、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、反応硬化型液状樹脂とを混合する工程と、を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法。
〔8〕無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤と反応硬化型液状樹脂とを含む潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を準備する工程と、前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、建築物の床面および/または壁面に塗布する工程と、塗布された前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材を備えた建築物の製造方法。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例について以下に説明する。
(サイクル試験)
無機系潜熱蓄熱材組成物または潜熱蓄熱材含有樹脂組成物をポリプロピレン製クライオバイアル内に充填した。当該クライオバイアルを超低温恒温槽(サイニクス社製、超低温アルミブロック恒温槽 クライオポーター(登録商標)CS−75CP)内に静置し、−20℃〜50℃の温度範囲内で、1.5℃/分の昇降温速度にて、恒温槽の温度上昇または温度降下を繰り返し行った。当該温度上昇過程において、超低温恒温槽内の無機系潜熱蓄熱材組成物または潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の、時間に対する温度変化を、横軸:時間、および縦軸:温度でプロットし、図1および3(1サイクル)、ならびに図2および4(100サイクル)に示した。
(粘度の測定)
音叉振動式レオメーター(固有振動数30Hz、型式:RV−10000A、エー・アンド・デイ社製)を用いて、約50℃(製造例1および2で得た無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+約26℃)における無機系潜熱蓄熱材組成物または反応硬化型液状樹脂の粘度(Pa・s)を測定した。
(分散状態の確認)
潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を10cm角、2mm厚の型枠にて硬化作製し、中心部と四隅を1cm角に切り出して、5枚の観察用サンプルを作製した。前記観察用サンプルについて、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度−20℃以下の温度にてマイクロスコープ(倍率:10倍、視野:1cm)で観察した。当該5枚の観察用サンプルにおいて、1mm以上の無機系潜熱蓄熱材組成物の凝集塊が見られないものを「分散している」と判定した。
(製造例1)
1Lインテンシブミキサー(日本アイリッヒ社製)にて、水150.0gと、臭化ナトリウム(融点調整剤)42.8gとを1分程度混合した。次いで、塩化カルシウム2水和物を306.0g添加して3分程度混合した。ここで、塩化カルシウム2水和物は、水との混合により、塩化カルシウム6水和物となった。以上の操作により、塩化カルシウム6水和物および臭化ナトリウムの混合溶液を得た。前記混合溶液中の塩化カルシウム6水和物と臭化ナトリウムとのモル比は、1:0.2であった。その後、前記混合液へヒドロキシエチルセルロース(増粘剤)24.9gを添加して20分程度加熱攪拌(上限70℃)し、無機系潜熱蓄熱材組成物を得た。前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度は24.1℃であり、70℃においても固液分離していなかった。また、無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度は、約15Pa・sであった。
(製造例2)
1Lインテンシブミキサー(日本アイリッヒ社製)にて、水150.0gと、臭化ナトリウム(融点調整剤)53.6gと、塩化ストロンチウム6水和物(過冷却防止剤)5.1gとを1分程度混合した。次いで、塩化カルシウム2水和物を306.0g添加して3分程度混合した。ここで、塩化カルシウム2水和物は、水との混合により、塩化カルシウム6水和物となった。以上の操作により、塩化カルシウム6水和物、臭化ナトリウムおよび塩化ストロンチウム6水和物の混合溶液を得た。前記混合溶液中の塩化カルシウム6水和物と臭化ナトリウムとのモル比は、1:0.25であった。その後、前記混合液へヒドロキシエチルセルロース(増粘剤)25.5gを添加して20分程度加熱攪拌(上限70℃)し、無機系潜熱蓄熱材組成物を得た。前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度は23.9℃であり、70℃おいても固液分離していなかった。また、無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度は、約15Pa・sであった。
(実施例1)
製造例1で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、SAX220(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。また、マイクロスコープ観察の結果、前記潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物中に、無機系潜熱蓄熱材組成物が分散していることを確認した。前記潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の融解温度は24.2℃であり、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃においても無機系潜熱蓄熱材組成物は固液分離せず液体成分の漏出が見られなかった。なお、SAX220の粘度は、8.0Pa・sであった。
潜熱蓄熱材含有樹脂組成物と、反応硬化型液状樹脂を含まない潜熱蓄熱材含有組成物とに対して、前記サイクル試験を行った。結果を図1および2に示す。
(実施例2)
製造例2で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、SAX220(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)およびSAT145(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)を重量比80:20で混合したもの(SAX220/SAT145混合樹脂)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。また、マイクロスコープ観察の結果、前記潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物中に、無機系潜熱蓄熱材組成物が分散していることを確認した。前記潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の融解温度は23.5℃であり、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃においても無機系潜熱蓄熱材組成物は固液分離せず液体成分の漏出が見られなかった。なお、SAX220/SAT145混合樹脂の粘度は、4.8Pa・sであった。
潜熱蓄熱材含有樹脂組成物と、反応硬化型液状樹脂を含まない潜熱蓄熱材含有組成物とに対して、前記サイクル試験を行った。結果を図3および図4に示す。
<結果>
本発明の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物の固液分離がなく、無機系潜熱蓄熱材が均一分散されていることが確認された。また、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、反応硬化型液状樹脂を含まない潜熱蓄熱材含有組成物と同程度の融解温度を示すことが分かった。さらに、融解温度は、サイクル試験の100サイクル目でもほとんど変化せず、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が劣化しない(固液分離がなく、無機系潜熱蓄熱材が均一分散されている。耐久性を有する。)ことが分かった。
(比較例1)
製造例1で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、SAT010(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化中に、無機系潜熱蓄熱材組成物の固液分離が見られた。なお、SAT010の粘度は、0.1Pa・sであった。
(比較例2)
製造例1で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、SAT145(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化を試みたが、無機系潜熱蓄熱材組成物の固液分離が見られ、硬化しなかった。なお、SAT145の粘度は、0.4Pa・sであった。
(比較例3)
製造例1で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、SAX590(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。硬化後、しばらくして潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の表面に無機系潜熱蓄熱材組成物の漏出が見られた。なお、SAX590の粘度は、1.4Pa・sであった。
(比較例4)
製造例1で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、S203H(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)およびSAT010(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)を重量比80:20で混合したもの(S203H/SAT010混合樹脂)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。硬化後、しばらくして潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の表面に無機系潜熱蓄熱材組成物の漏出が見られた。なお、S203H/SAT010混合樹脂の粘度は、1.0Pa・sであった。
(比較例5)
製造例1で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、S203H(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。硬化後、しばらくして潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の表面に無機系潜熱蓄熱材組成物の漏出が見られた。なお、S203Hの粘度は、1.6Pa・sであった。
(比較例6)
製造例1で得られた無機系潜熱蓄熱材組成物と、SAX590(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)およびS203H(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)を重量比50:50で混合したもの(SAX590/S203H混合樹脂)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。硬化後、しばらくして潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の表面に無機系潜熱蓄熱材組成物の漏出が見られた。なお、SAX590/S203H混合樹脂の粘度は、1.5Pa・sであった。
(比較例7)
製造例1にて、ヒドロキシエチルセルロース(増粘剤)を添加しなかった無機系潜熱蓄熱材組成物と、SAX220(変性シリコーン樹脂(MS)、カネカ社製)と、AP−8(硬化触媒、大八化学社製)とを、重量比100:100:1で混合し、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製した。得られた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を型枠に流し込んで硬化させ、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を作製した。硬化後、しばらくして潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の表面に無機系潜熱蓄熱材組成物の漏出が見られた。
<結果>
無機系潜熱蓄熱材組成物と反応硬化型液状樹脂との粘度の差が13Pa・s以上であると、無機系潜熱蓄熱材組成物の分散性が悪く、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物から無機系潜熱蓄熱材組成物の漏出が見られるという問題が生じたため、適当な潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が製造できなかった(比較例1、3〜6)。また、増粘剤を添加していない無機系潜熱蓄熱材組成物を樹脂と混合して潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を作製しても、同様に潜熱蓄熱材含有樹脂組成物から無機系潜熱蓄熱材組成物の漏出が見られるという問題が生じたため、適当な潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が製造できなかった(比較例7)。
図1は、実施例1および製造例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(1サイクル)の結果を示す図である。図1において、実施例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の結果は実線にて示されており、製造例1にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物の結果は破線にて示されている。また、実施例1および製造例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(1サイクル)のそれぞれの融解温度を示した。図1より、実施例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、製造例1にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物と同様の融解曲線を示し、同様の融解温度を示すことがわかる。
図2は、実施例1および製造例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(100サイクル)の結果を示す図である。図2において、実施例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の結果は実線にて示されており、製造例1にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物の結果は破線にて示されている。また、実施例1および製造例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(100サイクル)のそれぞれの融解温度を示した。図2より、100サイクル目においても、実施例1にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、製造例1にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物と同様の融解曲線を示し、同様の融解温度を示すことがわかる。
図3は、実施例2および製造例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(1サイクル)の結果を示す図である。図3において、実施例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の結果は実線にて示されており、製造例2にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物の結果は破線にて示されている。また、実施例2および製造例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(1サイクル)のそれぞれの融解温度を示した。図3より、実施例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、製造例2にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物と同様の融解曲線を示し、同様の融解温度を示すことがわかる。
図4は、実施例2および製造例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(100サイクル)の結果を示す図である。図4において、実施例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の結果は実線にて示されており、製造例2にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物の結果は破線にて示されている。また、実施例2および製造例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物のサイクル試験(100サイクル)のそれぞれの融解温度を示した。図4より、100サイクル目においても、実施例2にかかる潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、製造例2にかかる無機系潜熱蓄熱材組成物と同様の融解曲線を示し、同様の融解温度を示すことがわかる。
本発明の一態様は、蓄熱材が求められる種々の用途、例えば、壁材、床材、天井材、屋根材等において利用可能である。
1 無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂ボードもしくはシート
2 ガスバリアーフィルム
3 変形防止材
4 石膏ボード
5 無機系潜熱蓄熱材組成物封入樹脂粉砕品

Claims (8)

  1. 無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなり、
    前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、増粘剤を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
  2. 前記無機系潜熱蓄熱材組成物が、塩化カルシウム6水和物、融点調整剤、および過冷却防止剤をさらに含むものであることを特徴とする、請求項1に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
  3. 前記反応硬化型液状樹脂が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
  4. 前記増粘剤が、吸水性樹脂、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、シリカ、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻およびヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2または3に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
  5. (i)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が1〜25Pa・sであり、かつ、
    (ii)前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃において振動粘度計により測定したときの、前記反応硬化型液状樹脂の粘度と前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差が、12Pa・s以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
  6. 前記無機系潜熱蓄熱材組成物が15℃〜30℃の融解温度を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物。
  7. 無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤とを混合して、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しない、ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を調製する工程と、
    前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、反応硬化型液状樹脂とを混合する工程と、を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法。
  8. 無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度を超える温度に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤と反応硬化型液状樹脂とを含む潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を準備する工程と、
    前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、建築物の床面および/または壁面に塗布する工程と、
    塗布された前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする、潜熱蓄熱材を備えた建築物の製造方法。
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