JP2006225474A - 蓄熱材 - Google Patents

蓄熱材 Download PDF

Info

Publication number
JP2006225474A
JP2006225474A JP2005039312A JP2005039312A JP2006225474A JP 2006225474 A JP2006225474 A JP 2006225474A JP 2005039312 A JP2005039312 A JP 2005039312A JP 2005039312 A JP2005039312 A JP 2005039312A JP 2006225474 A JP2006225474 A JP 2006225474A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat storage
water
storage material
heat
sodium sulfate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005039312A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Kiyokawa
清川  晋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SK SCIENCE KK
Original Assignee
SK SCIENCE KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SK SCIENCE KK filed Critical SK SCIENCE KK
Priority to JP2005039312A priority Critical patent/JP2006225474A/ja
Publication of JP2006225474A publication Critical patent/JP2006225474A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/14Thermal energy storage
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency

Landscapes

  • Central Heating Systems (AREA)

Abstract

【課題】 本発明の目的は、蓄熱と放熱のヒステリシスの再現性に優れ、大きな熱量の出し入れを長期間繰り返して維持することができ、固液分離を起こさずに、大きな針状塊を発生させない蓄熱材、およびこれを使用した、伝熱効率が高く、薄肉のシート状の蓄熱体を提供することにある。
【解決手段】 本発明の蓄熱材は、吸水状態の微細吸水性樹脂を配合することにより、融解状態における硫酸ナトリウムの結晶水を長期間、むらなく均一に保持することができ、微細吸水性樹脂の比表面積が大きくて水の出入りが良好であるため、固液分離を発生させずに、蓄熱と放熱を繰り返しても、硫酸ナトリウム十水塩の融解と凝固のヒステリシスの再現性を維持することができ、蓄熱材の蓄熱量および放熱量を維持することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、床暖房等の蓄熱材に関し、さらに詳しくは、夜間電力、廃熱等の安価なエネルギーを蓄熱して、所定の温度以下になると蓄積した熱量を放出する蓄熱材において、蓄熱と放熱のヒステリシスの再現性が高く、繰り返し使用しても蓄熱量および放熱量が低下することがない蓄熱材に関する。
床暖房装置は、室内の空気を汚染したり、塵を伴った空気を撹拌したりすることがなく、しかも広い伝熱面積を有して効果的に室内を暖めることができ、極めて清潔であり、静かな暖房手段として、特に高層マンションにおける安全で清潔な暖房手段として普及している。
床暖房装置としては、発熱体に通電して加熱する電気ヒータ加熱式のものと、ガスの燃焼または電気等により加熱して得られた温水を流通する温水加熱式のものとがある。最近の集合住宅、特に高層マンションにおいては、危険性の高いガスの使用を禁止して電気ヒータ加熱式の床暖房装置が採用されることが多くなってきている。
電気ヒータ加熱式の床暖房装置は、特許文献1において、安価な夜間電力を使用して蓄熱材に蓄熱しておいて、所定の温度以下になると蓄積した熱量を放出することにより、昼間の暖房時の電力消費量を削減することが可能な装置、電気ヒータ(面状発熱体)/蓄熱体を有する蓄熱式電気暖房装置として提案されている。
一般に高層マンションにおけるコンクリートスラブの厚さは約15〜20cmであり、従来のモルタル埋め込みタイプの蓄熱型電気式床暖房装置を施行する場合には、さらに約10cmの厚さのコンクリート層を追加的に必要としていた。この追加的なコンクリートの重量は、1平方メートル当たり約200kgもあり、大きな重量増加となる問題点があった。
最近の高層マンション等においては、強度上の観点および地震対策などの面からコンクリートスラブの厚さをなるべく薄くした構造が望まれており、従って床暖房装置を設置する場合もその制約があるため、モルタル埋め込みタイプに代わり、薄くて軽量の蓄熱型電気式床暖房装置の開発が求められている。
例えば、コンクリート床面の上方に所定の距離をあけて根太板など木材からなる基礎面を支持した室内に床暖房装置を形成する場合を説明すると、基礎面の上に厚さが20〜60mmの硬質合成樹脂発泡体等からなる断熱材を敷き、その上に小根太を配置して床材を敷設することから、床暖房装置は、断熱材と床材との間に形成され、その厚みは、小根太の厚みと同等以下でなければならない。
具体的には、部屋の周囲や床暖房装置が配置される周囲の基礎床上断熱材の所定位置に小根太を配置し、この小根太に合わせて床暖房装置を組み上げる方法を採用する場合があるが、この小根太の厚さは9〜12mmであり、その上に12〜15mm程度の厚さの床材を敷いて床を完成させている。したがって床暖房装置は、小根太の厚み9〜12mmと同等以下の厚みに組み上げることになる。
床暖房装置は、小根太と小根太の間に配置され、基礎床上の断熱材の上に面状発熱体/蓄熱体/アルミ板等からなる均熱板から構成されてなり、この均熱板の上に床材が敷かれることになる。面状発熱体は、熱可塑性樹脂を成形して製造され、0.8〜1.5mmの厚みであることから、このような厚みの面状発熱体を使用した場合、蓄熱体の厚さは、6〜8mm程度のものである。面状発熱体の幅を20cmとすると、蓄熱体は幅が約24cm、厚さが6〜8mm程度の扁平な薄板状あるいはマット状の形状となる。
小根太と同じ高さに組み上げられた床暖房装置の上には、床材が敷設され、床材は上記の厚みをもつものであるから、人がその上を歩くと僅かではあるが撓み、この撓みによって蓄熱体を押圧することになる。
ところで具体的な蓄熱体として、特許文献1は、硫酸ナトリウム十水塩(NaSO・10HO、芒硝とも呼ばれる。)および過冷却防止剤等からなる蓄熱材をプラスチックケースに充填したものを開示している。しかし、このような蓄熱体は、加熱融解による蓄熱と、凝固による放熱を多数回(例えば、100回程度)繰り返すと次第に蓄熱量が減少してしまう現象が発生する。これは、硫酸ナトリウム十水塩が、融解と凝固を繰り返すうちに、固液分離を生じて、硫酸ナトリウム無水物が析出してしまい硫酸ナトリウム十水塩に戻らなくなってしまうためと考えられる。
この硫酸ナトリウム無水物の結晶は、蓄熱量の減少ばかりでなく、硬い針状結晶の集合体であることから、蓄熱材を収容する薄いプラスチック製包装体(肉厚50〜70μm)に損傷を与えることが問題となる。すなわち上記のように、この蓄熱体は、床面側から押圧力を受けて、応力を発生することがあり、内包する針状結晶がプラスチック製包装体を破壊して、蓄熱材の漏れを発生する危険性があることから、蓄熱体の内部で固液分離を起こし針状結晶を発生することは、極力避ける必要がある。
特許文献2は、蓄熱・放熱を繰り返しても、相分離せず、過冷却現象が起きず、長期間繰り返し使用できる組成物として、硫酸ナトリウム十水塩、過冷却防止剤、シリカ系増粘剤および硫酸バリウムからなる蓄熱材組成物を提案している。しかし特許文献2の効果は、内径24mm、外径25.4mmの筒状容器に充填した蓄熱体において、長期間繰り返し使用しても蓄熱量の低下が少ないことが確認されたものに過ぎない。
すなわち特許文献2に記載された蓄熱材を、筒状容器の代わりに、肉厚50μm程度のという薄い袋体を使用し、蓄熱材を充填して厚みが6〜8mmである扁平薄板状の蓄熱体を製造した場合、蓄熱・放熱の繰り返しにより固液分離が発生してしまい、蓄熱体の内部に設定した袋体の厚みを超える大きさの針状の硬い塊が析出することがある。このように蓄熱体の厚みに対して比較的大きな針状の硬い塊が存在すると、床面上に大きな外力がかけられた場合に、床面が撓んで扁平薄板状蓄熱体の包装体が損傷または破壊してしまう虞がある。すなわち特許文献2に開示された蓄熱材以上に固液分離が起き難く、針状結晶が発生し難い特性をもち、扁平薄板状蓄熱体に使用可能な蓄熱材は、未だ開発されていない。
特開昭60−221629号公報 特開平 9− 95668号公報
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、扁平薄板状蓄熱体に使用しても蓄熱と放熱のヒステリシスの再現性に優れ、大きな熱量の出し入れを長期間繰り返して維持することができ、固液分離を起こさずに、大きな針状の塊を発生させない蓄熱材、およびこれを使用した、伝熱効率が高く、薄肉のシート状の蓄熱体を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の蓄熱材は、硫酸ナトリウム十水塩を60〜95重量%、硫酸バリウムを0.1〜10重量%、増粘剤を0.2〜20重量%、および水を吸収した微細吸水性樹脂を0.5〜20重量%含有するものである。
本発明の蓄熱材は、上記の微細吸水性樹脂が、アクリル酸塩重合体架橋物、ポリアルキレンオキシド変性物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物架橋物およびイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋物からなる群から選ばれる1つ以上であることが好ましく、また上記微細吸水性樹脂の粒径は、0.1〜200μmであることが好ましい。
また、本発明の蓄熱材は、微細吸水性樹脂が、水を飽和吸水状態まで吸収した微細吸水性樹脂であることが好ましい。
本発明の蓄熱材の製造方法は、粒径0.1〜200μmの微細吸水性樹脂が、温度5〜100℃において、水を飽和吸水状態にまで吸収する工程(1)、温度35〜80℃において、融解させた硫酸ナトリム十水塩、硫酸バリウムおよび増粘剤を配合して均一に混合して、ゲル状中間体を得る工程(2)、および温度10〜20℃まで冷却して凝固させた後、余剰の水分を取り除いて、蓄熱材を得る工程(3)からなるものである。
さらに、本発明は、蓄熱材を、包装体に収容して、厚み3〜10mmに成形されてなる蓄熱体を提供し、さらに、面状発熱体、均熱板および蓄熱体からなり、蓄熱体が、面状発熱体と均熱板との間に配置され、蓄熱体と面状発熱体との接触面積が、蓄熱材の体積当たり95〜330m/mである蓄熱式電気床暖房装置を提供するものである。
本発明の蓄熱材は、吸水状態の微細吸水性樹脂を使用して、好ましくは飽和吸水状態まで吸収した微細吸水性樹脂を所定量、配合することにより、融解状態における硫酸ナトリウムの結晶水を長期間、むらなく均一に保持することができ、微細吸水性樹脂の比表面積が大きくて水の出入りが良好であるため、蓄熱と放熱を繰り返しても、固液分離を発生させずに、硫酸ナトリウム十水塩の融解と凝固のヒステリシスの再現性を維持することができ、蓄熱材の蓄熱量および放熱量を維持することができるものである。
すなわち、本発明の蓄熱材は、吸水状態の微細吸水性樹脂により、融解状態における硫酸ナトリウム十水塩の結晶水を安定して硫酸ナトリウムの周辺に保持することができるため、硫酸ナトリウム十水塩が凝固する際に、粒径の細かい硫酸ナトリウム十水塩を確実に生成することができる。このため、蓄熱と放熱を繰り返しても硫酸ナトリウム十水塩が減量することなく、所望する蓄熱量および放熱量を長期間にわたり、維持することができる。
本発明の蓄熱材は、温度0〜28℃の温度領域において、ふかふかの餅状の形態を有しており、針状結晶である硫酸ナトリウム無水物が析出したり、硫酸ナトリウム二水塩〜五水塩が副成したりして大きな針状の硬い塊が発生することがない。このような性状の蓄熱材を厚さ50μm程度の薄肉厚の包装体に充填して、3〜10mmという扁平薄板状の蓄熱体として成形した場合においても、包装体の内部に大きな針状の硬い塊が存在しないため、たとえ外力が負荷されても、損傷や破壊の危険性を防止することができる。
本発明の蓄熱材を使用する蓄熱体は、蓄熱と放熱を繰り返しても、大きな針状の硬い塊を内包することなく、損傷の危険性が低いことに加え、その蓄熱と放熱のヒステリシスの再現性を維持することができ、蓄熱量および放熱量を維持できること、面状発熱体との接触面積が広く伝熱効率が高いこと、並びに肉厚が薄くコンパクト化が可能な優れた蓄熱体である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の蓄熱材は、硫酸ナトリウム十水塩を60〜95重量%、硫酸バリウムを0.1〜10重量%、増粘剤を0.2〜20重量%、および微細吸水性樹脂と水の混合物を0.5〜20重量%配合するものである。
硫酸ナトリウム十水塩は、温度32.4℃以下で無色、単斜晶系の固体相で安定となり、温度32.4℃以上で融解して、硫酸ナトリウム無水物および水で安定となる。このときの融解潜熱(凝固潜熱)は、251kJ/kgと大きく、融点も適切なことから代表的な潜熱蓄熱材として使用されている。
硫酸ナトリウム無水物は、温度32.4℃以上で安定となり、温度100℃までは、斜方晶系の結晶であり針状の硬い結晶である。硫酸ナトリウム無水物は、吸水性があり徐々に吸水して硫酸ナトリウム十水塩となるとされているが、その溶解度は硫酸ナトリウム十水塩に比べて低い。
硫酸ナトリウム十水塩の融解時に固液分離が起きると、温度32.4℃以下の凝固時に硫酸ナトリウムの周りの水が足りなくなり、全てが硫酸ナトリウム十水塩に戻れなくなってしまい、硫酸ナトリウム無水物や硫酸ナトリウム二水塩〜五水塩が析出するものと考えられる。さらに硫酸ナトリウム十水塩が融解して硫酸ナトリウムの飽和水溶液となっても、一旦析出した硫酸ナトリウム無水物は、その溶解度が低いために溶解することができず、溶解/凝固のサイクルから外れてしまうと考えられる。したがって一旦、固液分離が生じて、硫酸ナトリウム無水物が析出すると、初期の蓄熱量及び放熱量が漸減してしまうことになると考えられる。本発明の蓄熱材は以下の構成により、蓄熱と放熱を繰り返しても、硫酸ナトリウム十水塩の融解と凝固のヒステリシスの再現性を維持することができ、蓄熱材の蓄熱量および放熱量を維持することができるものである。
本発明において、硫酸ナトリウム十水塩の配合量は、60〜95重量%、好ましくは65〜90重量%、より好ましくは75〜85重量%である。硫酸ナトリウム十水塩の配合量が、上記範囲未満であると、得られる蓄熱体の蓄熱量および放熱量が充分でなく、上記範囲を超えると、過冷却が起こりやすくなり、所定の温度において凝固せずに、所望する放熱が得られなくなる虞があり、好ましくない。本発明の蓄熱材に使用する硫酸ナトリウム十水塩は、公知の硫酸ナトリウム十水塩であり、市販品を使用することができる。
本発明の蓄熱材に使用する硫酸バリウムは、蓄熱材の凝固時に、過冷却を防止する機能を果たすものである。本発明において、硫酸バリウムの配合量は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%である。硫酸バリウムの配合量が、上記範囲未満であると、得られる蓄熱体の過冷却防止効果が充分でなく、上記範囲を超えると、得られる蓄熱体の蓄熱量および放熱量が低下する虞があり、好ましくない。
本発明の蓄熱材に使用する増粘剤は、融解状態において、固液分離することを防止する役割を果たすものである。本発明において、増粘剤の配合量は、0.2〜20重量%、好ましくは1〜13重量%、より好ましくは2〜7重量%である。増粘剤の配合量が、上記範囲未満であると、得られる蓄熱材が、融解状態に固液分離する虞があり、上記範囲を超えると、得られる蓄熱材の蓄熱量および放熱量が低下する虞があり、好ましくない。
本発明の蓄熱材に使用する増粘剤は、好ましくはシリカ系増粘剤または有機系増粘剤であり、より好ましくはシリカ系増粘剤である。有機系増粘剤としては、ポリアクリルアミド、部分加水分解ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロース等を好ましく挙げることができる。本発明の蓄熱材は、特にシリカ系増粘剤を使用すること、なかでも水ガラスを使用することが好ましい。
なお、増粘剤として水ガラスを使用する場合、水ガラスに酸を加えてゲル化させるため、適宜、塩酸を添加することもできる。塩酸の添加量は、塩基成分を中和し、蓄熱材のpHが、好ましくはpH6〜8、より好ましくはpH7〜7.6となるように添加すればよい。
本発明の蓄熱材に使用する微細吸水性樹脂は、融解状態の硫酸ナトリウムの近傍に充分な水を保持する機能、固液分離を抑制して、針状結晶の析出を防止する機能、および硫酸ナトリウム十水物の固体相を大きく成長させずにふかふかの餅状の形態にする機能を果たすものである。
本発明に使用する微細吸水性樹脂は、その粒径が、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.5〜150μm、さらに好ましくは1〜100μmである。微細吸水性樹脂の粒径が、上記範囲未満であると、調達および取り扱いが難しくなり、また上記範囲を超えると、均一に分散せずに偏りが発生して、融解状態の硫酸ナトリウム無水物と結晶水が、固液分離して針状結晶を析出させてしまうことがあるため、好ましくない。また微細吸水性樹脂の粒径が、上記範囲内であると、均一に分散して局在化が起き難いことに加えて、吸水性樹脂の比表面積が大きくなり水の出入りが良好であるため、固液分離を発生させることがない。さらに仮に固液分離が発生した場合においても、一方で硫酸ナトリウム十水塩となるために足りない水を供給しつつ、他方で分離した水を吸収する効果があるものと期待される。
微細吸水性樹脂の粒径は、その製造時或いは入手時の粒径が、上記範囲内であれば、そのまま使用することができる。また、製造時或いは入手時の粒径が、上記範囲を超える場合には、乾式粉砕または湿式粉砕等適当な手段を用いて、その粒径が、上記範囲内に納まるように調製して使用することができる。さらに、市販の吸水性樹脂または粉砕して得た微細吸水性樹脂を、所定の粒度に篩分したものを使用してもよい。
また、本発明において、微細吸水性樹脂は、水を吸収させた状態で使用するものであり、好ましくは水を飽和吸水状態まで吸収させた状態で、蓄熱材に、所定量を配合するものである。ただし、微細吸水性樹脂の飽和吸水状態とは、その温度が、好ましくは5℃〜100℃、より好ましくは10℃〜90℃、さらに好ましくは15〜80℃の水を、微細吸水性樹脂へ添加して、飽和吸水状態となるまで吸収させた状態である。その製造方法は、特に限定されないが、例えば過剰量の水を入れた槽中に、微細吸水性樹脂を添加し、撹拌しながら、必要に応じて加熱撹拌しながら、均一に混合した後、過剰の水を取り除くことにより調製することができる。一般に微細吸水性樹脂は、水道水と比べ純水を配合した方がその吸収量が多く、本発明において、使用する水は、純水またはイオン交換水であることが好ましい。純水を使用することにより、蓄熱材の組成を安定的に再現できるため好ましい。なお、純水を飽和状態にまで吸水させた微細吸水性樹脂を使用して、蓄熱材を調製した場合に、他の構成成分、特に電解質成分の影響により、その飽和吸水量が低下し、水分が余剰となることがあるが、蓄熱材の調製過程において、適宜、除去することができる。
なお、蓄熱材の調製時において、水を飽和吸水状態まで吸収した微細吸水性樹脂を使用しなくとも、蓄熱材として調製後の飽和吸水量が既知である場合には、所定量の水を吸収した微細吸水性樹脂を使用することができる。すなわち、蓄熱材に含まれる微細吸水樹脂が、最終的に飽和吸水状態となっていればよい。
本発明において、水を吸収した微細吸水性樹脂の配合量は、0.5〜20重量%、好ましくは1.5〜17重量%、より好ましくは3〜14重量%である。水を吸収した微細吸水性樹脂の配合量が上記範囲未満であると、溶融状態の硫酸ナトリウムの近傍に充分な水を保持することが難しく固液分離が生じやすくなる傾向またはふかふかの餅状の形態を形成し難くなる傾向があり、また上記範囲を超えると、蓄熱体の熱容量が大きくなり放熱可能な熱量が減少する虞があり、好ましくない。
本発明の蓄熱材に使用する微細吸水性樹脂は、特に限定されるものではなく、通常、紙オムツ、生理用品等の衛生材料関係、農園芸材料関係等に用いられる吸水能力が自重の数十倍〜1000倍である市販されているほとんどすべてのものが使用可能である。その具体例を挙げると、アクリル酸塩重合体架橋物、アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体架橋物、澱粉−アクリル酸塩グラフト共重合体架橋物 、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物の架橋物 、ビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体の架橋物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコールの架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリアルキレンオキシド変性物、エチレンオキサイド重合体架橋物等が、好ましく挙げられる。
これらの微細吸水性樹脂の中でも、アクリル酸塩重合体架橋物、ポリアルキレンオキシド変性物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物がより好ましい。特に、アクリル酸塩重合体の架橋物およびポリアルキレンオキシド変性物は、大量の水を吸収することができ、多少の荷重をかけても吸収した水を分子内に保持することができ好ましく、さらに、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物架橋物またはイソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物は、吸水後のゲル強度が強く、ゲルの腐敗がなく、また長期耐久性に優れていることから、好ましく使用される。
具体的には、アクリル酸塩重合体架橋物は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を挙げることができる。
本発明の蓄熱材は、特定の粒径を有する微細な微細吸水性樹脂を使用することから、蓄熱材の融解時に、硫酸ナトリウム無水物と結晶水が、固液分離することを防止することができ、均一に分散して硫酸ナトリウム無水物の周囲にその結晶水を確実に保持することができる。すなわち硫酸ナトリウム十水塩の融解と凝固のヒステリシスを、再現性よく、繰り返すことができる。このため、蓄熱と発熱を繰り返しても、蓄熱量が減少することなく、所定の蓄熱量および発熱量を維持することができる。
一般に、吸水性樹脂は、その内部に陽イオンおよび陰イオンが高濃度で存在するため、外部水中のイオン濃度との差によって浸透圧が生じ、この浸透圧により水が、吸水性樹脂の内部に吸収される。吸水性樹脂は、水を吸収するにつれて膨張していき、やがて吸水性樹脂の持つゴム弾性力と吸水しようとする力(浸透圧)が均衡する状態まで吸水が進み、これが飽和吸水状態となる。さらに飽和吸水状態の吸水性樹脂の周囲には、浸透圧により引き寄せられながら、内部に取り込まれなかった水や、吸水性樹脂の親和力によって引き寄せられた水など、水を引き寄せる弱い力が作用しているものと考えられる。
本発明の蓄熱材は、微細吸水性樹脂を飽和吸水状態で含有していることが好ましく、その周囲に拘束力の弱い水を保有しており、保水機能とともに硫酸ナトリウム十水塩となるために足りない水を供給する機能がある。すなわち硫酸ナトリウムは、水との親和力により、水和して硫酸ナトリウム十水塩となるときに、必要な水を必要な量だけ、飽和吸水状態の微細吸水性樹脂から受け取ることできるものと考えられる。またこれは微細吸水性樹脂が、蓄熱材の中で微細かつ均一に分散して、硫酸ナトリウムと均一に混ざり合いつつ、それぞれが水に作用を及ぼす領域を共有または近接しているからこそ実現できるものである。また本発明の蓄熱材において、微細吸水性樹脂は、飽和吸水状態であることから蓄熱材の中で硫酸ナトリウム十水塩の結晶水を吸収してしまう虞がない。
このような飽和吸水状態の微細吸水性樹脂の作用効果は、蓄熱材の放熱パターンにより確認することができる。すなわち、融解状態の蓄熱材は、所定の温度まで下がると、凝固を開始し、その凝固潜熱の放熱を始めるが、これは蓄熱材を充填する包装体の外面温度として検出することができる。従来の蓄熱材は、放熱開始後、凝固潜熱の放熱が徐々に行なわれるため、外面温度がなだらかに上昇するのみであったのに対して、本発明の蓄熱材は、包装体の外面温度に明らかな約3〜4℃くらいの温度ピークとして温度変化が認められる。これは、融解状態の硫酸ナトリウムが、一斉に結晶水と結びつき硫酸ナトリウム十水塩として凝固するからであり、微細かつ均一に分散している飽和吸水状態の微細吸水性樹脂が、水を確実に保持し、かつ硫酸ナトリウムへ必要な量だけの水を補給しているためと考えられる。
さらに、本発明の蓄熱材は、硫酸ナトリウム十水塩と、飽和吸水状態の微細吸水性樹脂とが、均一に混合した状態にあるため、硫酸ナトリウム十水塩が、凝固するときには、蓄熱体内において均一に、微細な粒子となり、大きな固体相を形成することがない。すなわち、本発明の蓄熱材は、温度0〜28℃の温度領域において、ふかふかの餅状の形態を有している。
したがって、前述のような硫酸ナトリウム無水物が析出して、硬く大きな針状の塊を形成することがない。このため、本発明の蓄熱材を収容した蓄熱体の内部は、常にふかふかの状態に保たれている。すなわち扁平薄板状の蓄熱体を床下に敷設した後、床上を歩行したり、家具や家電製品等の重量物を置いたりした場合においても、これらの外力により、蓄熱体が、その内部の大きな硬い針状の塊の存在により損傷したり、破裂したりすることがない。
本発明の蓄熱材は、上記の構成成分のほか、過冷却防止剤、融点調節剤、および防腐剤等を任意成分として配合することができる。
本発明の蓄熱材に使用することができる過冷却防止剤は、好ましくは、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム十水塩であり、より好ましくは、ホウ酸ナトリウム十水塩である。本発明において、過冷却防止剤は、融解時および凝固時のいずれにも微細結晶として存在している必要があり、そのためにはその溶解度以上の量を配合する必要がある。過冷却防止剤の配合量は、蓄熱材100重量部に対して、好ましくは0〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明の蓄熱材に使用することができる融点調節剤は、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム等の無機塩を使用することができる。融点調節剤を添加することにより、蓄熱材の融点を低くすることができ、蓄熱および放熱する温度の設定を調整することができる。融点調節剤の配合量は、蓄熱材の融点を好ましくは27〜32℃、より好ましくは28〜31℃に調製することが好適であり、蓄熱材100重量部に対して、好ましくは0〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明の蓄熱材に使用することができる防腐剤は、好ましくは、フェノール類、フェノール類の塩化物、ナフテン類等の有機金属塩、第4アンモニウム化合物等が挙げられる。
本発明の蓄熱材の調製方法は、所定の組成の均質な蓄熱材が得られれば、特に限定されるものではないが、次の製法により調製することが、好ましい。なお、各構成成分を添加する順番は、以下の例に限定されるものではなく、任意の順番で添加することができる。
(1)粒径が0.1〜200μmである微細吸水性樹脂に、温度5〜100℃において水を飽和吸水状態まで吸収する工程。使用する水は、組成の再現性を高めるため純水またはイオン交換水を使用することが好ましい。また微細吸水性樹脂の粒径は、より好ましくは、0.5〜150μm、さらに好ましくは、1〜100μmである。このときの水温は、より好ましくは10〜90℃、さらに好ましくは15〜80℃であり、混合時間は、好ましくは0.5分〜60分、より好ましくは1分〜30分である。
(2)上記(1)で得られた飽和吸水状態の微細吸水性樹脂に、温度35〜80℃において、融解させた硫酸ナトリム十水塩、硫酸バリウムおよび増粘剤を添加して均一に混合して、ゲル状中間体を得る工程。混合の際の温度は、35〜80℃、好ましくは40〜75℃、より好ましくは45〜70℃である。
ここで融解させた硫酸ナトリム十水塩、硫酸バリウムおよび増粘剤の添加する順番は、各成分を均一に混合することができれば任意の順でよい。混合する順番の一例として下記の順番を挙げることができる。(i)上記(1)で得られた飽和吸水状態の微細吸水性樹脂に、増粘剤を添加して均一に混合して、温度を35〜80℃に維持する。増粘剤として、水ガラスを使用する場合には、適宜、必要量の水を用い、水ガラスと塩酸等を添加してpHを中性に調節してから添加するとよい。このように中間工程で添加した水は、後述の工程(3)により、取り除くことができる。(ii)上記(i)で得られた中間体へ、温度35〜80℃、好ましくは45〜75℃、より好ましくは50〜70℃で融解させた硫酸ナトリム十水塩を添加し、均一に混合して、温度を35〜80℃に維持する。(iii)上記(ii)で得られた中間体へ、硫酸バリウムを添加し、均一に混合して、温度を35〜80℃に維持して、ゲル状中間体を得る。
(3)上記(2)で得られたゲル状中間体を冷却して、その温度を10〜20℃として、凝固させた後、余剰の水分を取り除いて、固体状の蓄熱材を得る工程。
上記(1)〜(2)の工程により、本発明の蓄熱材を製造することができる。さらにこの蓄熱材を収容する蓄熱体を製造するためには、以下の工程を行なうことが好ましい。
(4)上記(3)で得られた固体状の蓄熱材を、再び温度を35〜80℃まで、加熱して、完全に融解させて均一化する工程。
(5)上記(4)で得られた融解状態の蓄熱材を、包装体(例えば、横幅220mm、長さ250mmのアルミ積層フィルムの袋体)に所定量を充填し、包装体の厚みが3〜10mm、好ましくは3〜9mm、より好ましくは4〜8mmとなるように成形して、密封して、扁平薄板状の蓄熱体を得る工程。
本発明の蓄熱材は、好ましくは、包装体に収容して、厚み3〜10mmに成形された蓄熱体として使用される。本発明の蓄熱体に使用する包装体は、内包する蓄熱材が液漏れすることなく、さらに蓄熱および放熱に際して熱伝達率が高いことが求められる。このような包装体は、好ましくは、アルミ/ナイロン積層袋、アルミ/ポリプロピレン積層袋、アルミ/ポリエチレン積層袋、アルミ/PET/低密度ポリエチレン積層袋等を挙げることができる。これら包装体の厚みは、好ましくは30〜80μm、より好ましくは40〜60μm程度であり、前述の床面歩行時の押圧に耐えられる強度があれば、特別に強化したものでなくともよい。
本発明の蓄熱体の厚みは、好ましくは3〜15mm、より好ましくは3〜10mm、さらに好ましくは4〜8mmである。蓄熱体の厚みが、上記未満であると、蓄熱量が十分でなくなり、上記範囲を超えると、内部での固液分離が発生しやすくなる上に床暖房装置全体の厚みが厚くなり、床暖房装置に設定された所定の空間に収容できなくなり、さらに液漏れが発生しやすくなる傾向があり、好ましくない。
本発明の蓄熱式電気床暖房装置は、面状発熱体、均熱板、および蓄熱体を有する蓄熱式電気床暖房装置であって、本発明の蓄熱体が、前記面状発熱体と均熱板との間に配置され、前記蓄熱体と面状発熱体との接触面積が、前記蓄熱体の体積当たり、好ましくは95〜330m/mである蓄熱式電気床暖房装置である。
本発明において、面状発熱体は、1)発泡合成樹脂板などの断熱材上に形成された蛇行状の溝内にニクロム線からなる発熱体を配置したもの、2)合成樹脂板と金属板との積層板を使用し、金属板を発熱パターンに加工した発熱シートを使用したもの、3)温度に対して敏感に抵抗値が増加方向に変化するPTC特性を持つ熱可塑性樹脂からなる面状発熱体を使用したものが好ましく挙げられる。なかでも、安全性の面から3)のPTC特性を有する面状発熱体が好ましい。
PTC特性を有する面状発熱体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂に所定量のカーボン粉末を添加混合してシート状に押し出し成形したものであり、特定の条件での押し出し成形により表面層にカーボン粉末が多く偏在し、断面中央部には、カーボン粉末の含有量が少なく、柔軟性のあるものを製造することができる。この面状発熱体は、熱可塑性樹脂を主要原料とすることから、電気的にショートするとその部分が溶融して、通電状態が停止して自動的に安全を確保できるものである。
このような面状発熱体は、厚みが好ましくは0.3〜3mm、より好ましくは0.5〜2mm、さらに好ましくは0.8〜1.5mmである。面状発熱体の電力は、幅20cm、長さ1mの面状発熱体において、好ましくは50W(200V)〜100W(200V)である。
本発明において、均熱板は、アルミ板等からなる金属薄板であり、面状発熱体および/または蓄熱体から放出される熱量を、床面に均一に広げる役割を果たす。均熱板の厚みは、好ましくは0.05〜3mm、より好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1mmである。
均熱板は、蓄熱材と床面の間に配置して、その縁部を小根太の上に固定したり、または均熱板を2本の小根太の間に嵌合したりして配置してもよい。
本発明において、蓄熱体と面状発熱体との接触面積は、蓄熱体の体積当たり好ましくは95〜330m/m、より好ましくは105〜330m/m、さらに好ましくは120〜250m/mである。蓄熱体と面状発熱体との接触面積が、上記範囲未満であると、面状発熱体から蓄熱体への伝熱効率が不十分となり、追い炊き効率が低くなることが懸念され、上記範囲を超えると、蓄熱量および放熱量が低くなり、好ましくない。
以下、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例、比較例中で使用する原材料は、以下のとおりである。
・硫酸ナトリウム十水塩; 高杉製薬社製、特級品
・硫酸バリウム; 堺化学社製、超微細硫酸バリウム、BF−10
・微細吸水性樹脂1; 平均粒径25μmの高吸水性樹脂(住友精化社製、商品名アクアキープ10SH−NF、アクリル酸塩重合体架橋物)を使用し、温度40℃において純水を飽和状態となるまで吸水させたもの。
・微細吸水性樹脂2; 平均粒径340μmの高吸水性樹脂(住友精化社製、商品名アクアキープSA60S、アクリル酸塩重合体架橋物)を使用し、温度40℃において純水を飽和状態となるまで吸水させたもの。
・水ガラス; 44%NaO・2SiO
・塩酸水溶液; 塩酸を、35重量%濃度の水溶液に調製。
蓄熱体用の包装体は、横幅240mm、長さ1000mm、肉厚50μmのアルミ/PET/LDPE積層フィルムの袋体を使用した。
<実施例1>
以下の組成となるよう、前述した手順にて、各構成成分を添加して均一に混合し、蓄熱材1を得た。具体的には、温度40℃において、適量の水に水ガラスを添加して均一に混合した。次に、塩酸水溶液を添加し、pHを調整して均一に混合してゲル化させて、吸水させた微細吸水性樹脂1へ添加して均一に混合した。次に、硫酸ナトリウム十水塩を温度40℃で融解させてから添加して、均一に混合した。得られた融解状態の蓄熱材を、温度25℃まで徐冷して蓄熱材を凝固させ、余剰の水分(上澄み分)を除去し、本発明の蓄熱材1を得た。
[蓄熱材の組成]
・硫酸ナトリウム十水塩 83.0重量%
・硫酸バリウム 1.0重量%
・微細吸水性樹脂1 4.0重量%
・水ガラス(44%NaO・2SiO) 6.0重量%
・塩酸水溶液(35重量%濃度の水溶液) 3.0重量%
得られた蓄熱材1を、再び温度40℃まで加熱して、均一に混合して、所定量を蓄熱体用の包装体に充填し、脱気の後、密封してから、厚みが6mmとなるよう成形し、蓄熱体1を得た。
得られた蓄熱体1を、面状発熱体(厚み1.0mm、幅20cm、長さ1m、出力100W(200V))とアルミ板(厚み0.4mm)の間に挟み、さらにアルミ板の上に重さ約5kgの鉄製の放熱板を置き、冷凍機を付設した恒温室内(温度8℃)に配置した。
面状発熱体は、蓄熱体とアルミ板の間に配置した熱電対の温度が20℃まで下がると加熱を開始し、温度が40℃まで上がると加熱を停止して休止するように設定した。発熱体による加熱と休止を繰り返すことにより、蓄熱体は、融解と凝固を繰り返すことになる。
融解および凝固を1サイクルとして、100サイクル毎に、固液分離の有無、針状塊の有無および放熱・発熱量を評価した。
この結果、5000回まで融解と凝固を繰り返したが、固液分離が起きず、針状塊が生成することもなく、放熱・発熱量の低下も認められなかった。また、5000回の試験終了後の蓄熱材を取り出したところ、ふかふかの餅状の形態を保持していることが認められた。
<実施例2>
蓄熱材の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして蓄熱体2を調製した。得られた蓄熱体2を、実施例1と同様にしてサイクルテストを行なった。
[蓄熱材の組成]
・硫酸ナトリウム十水塩 79.0重量%
・硫酸バリウム 0.95重量%
・微細吸水性樹脂1 5.0重量%
・ホウ酸ナトリウム十水塩 3.0重量%
・水ガラス(44%NaO・2SiO) 8.0重量%
・塩酸水溶液(35重量%濃度の水溶液) 4.0重量%
・塩化ナトリウム 0.05重量%
この結果、5000回まで融解と凝固を繰り返したが、固液分離が起きず、針状塊が生成することもなく、放熱・発熱量の低下も認められなかった。また、5000回の試験終了後の蓄熱材を取り出したところ、ふかふかの餅状の形態を保持していることが認められた。
<実施例3>
微細吸水性樹脂を、微細吸水性樹脂1から微細吸水性樹脂2へ変更した以外は、実施例1と同様にして蓄熱体3を調製した。得られた蓄熱体3を、実施例1と同様にしてサイクルテストを行なった。
この結果、3000回まで融解と凝固を繰り返したところ、若干の固液分離が認められ、針状塊が僅かに生成していることが認められた。また放熱・発熱量についても約5%の低下していることが認められた。また、3000回の繰り返し試験後の蓄熱材を取り出したところ、ふかふかの餅状の形態の間に3mmくらいの小粒の塊がいくつかあることが認められた。
<比較例1>
微細吸水性樹脂を使用せずに、下記の組成とした以外は、実施例2と同様にして蓄熱体4を調製した。得られた蓄熱体4を、実施例1と同様にしてサイクルテストを行なった。
・硫酸ナトリウム十水塩 84.0重量%
・硫酸バリウム 0.95重量%
・ホウ酸ナトリウム十水塩 3.0重量%
・水ガラス(44%NaO・2SiO) 8.0重量%
・塩酸水溶液(35重量%濃度の水溶液) 4.0重量%
・塩化ナトリウム 0.05重量%
この結果、200回まで融解と凝固を繰り返したところ、固液分離が認められ、針状塊が生成していることが認められた。また放熱・発熱量についても約20%低下していることが確認された。また、200回の繰り返し試験後の蓄熱材を取り出したところ、直径8mmくらいの大きな針状塊が生成していることが認められた。さらに、包装体には、針状塊による圧痕がついており、大きな圧力がかかると、包装体が破袋する虞があることが認められた。

Claims (7)

  1. 硫酸ナトリウム十水塩を60〜95重量%、硫酸バリウムを0.1〜10重量%、増粘剤を0.2〜20重量%、および水を吸収した微細吸水性樹脂を0.5〜20重量%含有する蓄熱材。
  2. 前記微細吸水性樹脂が、アクリル酸塩重合体架橋物、ポリアルキレンオキシド変性物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物架橋物およびイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋物からなる群から選ばれる1つ以上である請求項1に記載の蓄熱材。
  3. 前記微細吸水性樹脂の粒径が、0.1〜200μmである請求項1または2に記載の蓄熱材。
  4. 前記微細吸水性樹脂が、水を飽和吸水状態まで吸収した微細吸水性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の蓄熱材。
  5. 下記の工程により得られる蓄熱材の製造方法。
    (1)粒径0.1〜200μmの微細吸水性樹脂が、温度5〜100℃において、水を飽和吸水状態にまで吸収する工程
    (2)前記飽和吸水状態の微細吸水性樹脂に、温度35〜80℃において、融解させた硫酸ナトリム十水塩、硫酸バリウムおよび増粘剤を配合して均一に混合して、ゲル状中間体を得る工程
    (3)前記ゲル状中間体を温度10〜20℃まで冷却して凝固させた後、余剰の水分を取り除いて、蓄熱材を得る工程
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の蓄熱材を、包装体に収容して、厚み3〜10mmに成形されてなる扁平薄板状の蓄熱体。
  7. 下方より面状発熱体、前記扁平薄板状の蓄熱体と更に均熱板を積層して形成した蓄熱式電気床暖房装置であって、前記扁平薄板状の蓄熱体が、前記面状発熱体と均熱板との間に配置され、前記扁平薄板状の蓄熱体と面状発熱体との接触面積が、前記蓄熱材の体積当たり95〜330m/mである蓄熱式電気床暖房装置。
JP2005039312A 2005-02-16 2005-02-16 蓄熱材 Pending JP2006225474A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005039312A JP2006225474A (ja) 2005-02-16 2005-02-16 蓄熱材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005039312A JP2006225474A (ja) 2005-02-16 2005-02-16 蓄熱材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006225474A true JP2006225474A (ja) 2006-08-31

Family

ID=36987127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005039312A Pending JP2006225474A (ja) 2005-02-16 2005-02-16 蓄熱材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006225474A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011524966A (ja) * 2008-02-22 2011-09-08 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 熱エネルギー貯蔵材料
US9038709B2 (en) 2008-02-22 2015-05-26 Dow Global Technologies Llc Thermal energy storage materials
JP2017089992A (ja) * 2015-11-12 2017-05-25 東邦瓦斯株式会社 蓄熱槽内の蓄熱材漏洩検知方法、及び蓄熱槽
US9873305B2 (en) 2008-02-22 2018-01-23 Dow Global Technologies Inc. Heater module including thermal energy storage material
WO2019221006A1 (ja) * 2018-05-15 2019-11-21 株式会社カネカ 潜熱蓄熱材含有樹脂組成物およびその利用
KR102152001B1 (ko) * 2019-07-26 2020-09-04 동명대학교산학협력단 신재생에너지를 이용한 농업용 냉난방시스템
KR102152002B1 (ko) * 2019-07-26 2020-09-07 동명대학교산학협력단 신재생에너지 및 수소를 이용한 농업용 냉난방시스템
CN113728056A (zh) * 2019-03-29 2021-11-30 株式会社钟化 潜热蓄热材料

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58132075A (ja) * 1982-02-01 1983-08-06 Toagosei Chem Ind Co Ltd 蓄熱材組成物
JPS58221395A (ja) * 1982-06-16 1983-12-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd 蓄熱材
JPS604583A (ja) * 1983-06-22 1985-01-11 Toppan Printing Co Ltd 潜熱蓄熱材
JPH0260986A (ja) * 1988-08-26 1990-03-01 Sumitomo Chem Co Ltd 蓄熱材組成物
JPH0482610A (ja) * 1990-07-23 1992-03-16 Fuji Heavy Ind Ltd 組立ロボット用ドリリングユニット
JPH0680959A (ja) * 1992-08-28 1994-03-22 Mitsubishi Petrochem Co Ltd 蓄熱材組成物
JPH0995668A (ja) * 1995-09-29 1997-04-08 Misato Kk 蓄熱材組成物、その製造方法ならびに蓄熱装置の製造方法
JPH10246453A (ja) * 1997-03-03 1998-09-14 Susumu Kiyokawa 床暖房装置
JP2002088351A (ja) * 2000-09-14 2002-03-27 Mitsubishi Cable Ind Ltd 潜熱蓄熱材

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58132075A (ja) * 1982-02-01 1983-08-06 Toagosei Chem Ind Co Ltd 蓄熱材組成物
JPS58221395A (ja) * 1982-06-16 1983-12-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd 蓄熱材
JPS604583A (ja) * 1983-06-22 1985-01-11 Toppan Printing Co Ltd 潜熱蓄熱材
JPH0260986A (ja) * 1988-08-26 1990-03-01 Sumitomo Chem Co Ltd 蓄熱材組成物
JPH0482610A (ja) * 1990-07-23 1992-03-16 Fuji Heavy Ind Ltd 組立ロボット用ドリリングユニット
JPH0680959A (ja) * 1992-08-28 1994-03-22 Mitsubishi Petrochem Co Ltd 蓄熱材組成物
JPH0995668A (ja) * 1995-09-29 1997-04-08 Misato Kk 蓄熱材組成物、その製造方法ならびに蓄熱装置の製造方法
JPH10246453A (ja) * 1997-03-03 1998-09-14 Susumu Kiyokawa 床暖房装置
JP2002088351A (ja) * 2000-09-14 2002-03-27 Mitsubishi Cable Ind Ltd 潜熱蓄熱材

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011524966A (ja) * 2008-02-22 2011-09-08 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 熱エネルギー貯蔵材料
JP2014052181A (ja) * 2008-02-22 2014-03-20 Dow Global Technologies Llc 熱エネルギー貯蔵材料
US9038709B2 (en) 2008-02-22 2015-05-26 Dow Global Technologies Llc Thermal energy storage materials
KR101620112B1 (ko) * 2008-02-22 2016-05-11 다우 글로벌 테크놀로지스 엘엘씨 열 에너지 저장 물질
US9873305B2 (en) 2008-02-22 2018-01-23 Dow Global Technologies Inc. Heater module including thermal energy storage material
JP2017089992A (ja) * 2015-11-12 2017-05-25 東邦瓦斯株式会社 蓄熱槽内の蓄熱材漏洩検知方法、及び蓄熱槽
WO2019221006A1 (ja) * 2018-05-15 2019-11-21 株式会社カネカ 潜熱蓄熱材含有樹脂組成物およびその利用
JPWO2019221006A1 (ja) * 2018-05-15 2021-06-17 株式会社カネカ 潜熱蓄熱材含有樹脂組成物およびその利用
CN113728056A (zh) * 2019-03-29 2021-11-30 株式会社钟化 潜热蓄热材料
US20220010185A1 (en) * 2019-03-29 2022-01-13 Kaneka Corporation Latent heat storage material
EP3950849A4 (en) * 2019-03-29 2022-12-21 Kaneka Corporation LATENT HEAT ACCUMULATION MATERIAL
CN113728056B (zh) * 2019-03-29 2023-03-24 株式会社钟化 潜热蓄热材料
KR102152001B1 (ko) * 2019-07-26 2020-09-04 동명대학교산학협력단 신재생에너지를 이용한 농업용 냉난방시스템
KR102152002B1 (ko) * 2019-07-26 2020-09-07 동명대학교산학협력단 신재생에너지 및 수소를 이용한 농업용 냉난방시스템

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006225474A (ja) 蓄熱材
EP0830438B1 (en) Building products incorporating phase change materials and method of making same
US5211949A (en) Dry powder mixes comprising phase change materials
US5254380A (en) Dry powder mixes comprising phase change materials
US5106520A (en) Dry powder mixes comprising phase change materials
CA2177450C (en) Thermoplastic, moldable, non-exuding phase change materials
JPS62187782A (ja) 相変化材料を含むポリオレフイン組成物、熱エネルギ−貯蔵材料および前記ポリオレフイン組成物の製法
JP2004189999A (ja) 冷却材
WO1997034962A1 (fr) Agent d'accumulation de la chaleur et son procede de production, matiere d'accumulation de la chaleur et son procede de production, et accumulateur de chaleur
JP2005320527A (ja) 蓄熱材マイクロカプセル、蓄熱材マイクロカプセル分散液、蓄熱材マイクロカプセル固形物およびその利用方法
JP2001279582A (ja) 蓄熱用シート
JP5086600B2 (ja) 蓄熱材組成物、蓄熱体及び蓄熱積層体
US20180156546A1 (en) Thermal Energy storage system with enhanced transition array
JPH0366789A (ja) 蓄熱材
JPS5947239B2 (ja) 潜熱型蓄熱材
JPH0657241A (ja) 蓄熱構造建材
CA1339400C (en) Method of manufacturing phase change, flame retarding, cementitious composite materials and composites made thereby
JPS63238188A (ja) 蓄熱マツト
JP6909172B2 (ja) 採暖用具および採暖用具の製造方法
JP2004301397A (ja) 蓄熱性ボード
JPH0617042A (ja) 蓄熱成分及び蓄熱材
JP3170190U (ja) 床下暖房構造
JP2004324246A (ja) 蓄熱性建材及び利用方法
WO2001006195A1 (en) Heat storage pellets of phase change material and method of manufacturing same
SK4392002A3 (en) Reusable heat pack

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080912

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080912

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080916

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110516

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110516

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110920