JPWO2019013161A1 - 蓄熱材、保冷容器および冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
融点が降下すると共に、一般的な冷蔵庫でも凍結する蓄熱材並びにこれを用いた保冷容器および冷蔵庫を提供する。所定温度で相変化する蓄熱材であって、水と、セミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、炭酸水素カリウムと、を有し、前記炭酸水素カリウムは、凝固開始温度において飽和しており、3℃で凝固する一方、少なくとも前記主剤のみの水溶液の融点よりも低い温度で融解する。
Description
本発明のいくつかの態様は、所定温度で相変化する蓄熱材並びにこれを用いた保冷容器および冷蔵庫に関する。
本願は、2017年7月13日に、日本に出願された特願2017−136791に優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2017年7月13日に、日本に出願された特願2017−136791に優先権を主張し、その内容をここに援用する。
クラスレートハイドレート(包接水和物)、特にセミクラスレートハイドレート(準包接水和物)は、主剤の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより結晶化する。その結晶には潜熱として利用しうる熱エネルギーが貯蔵されるため、従来から、潜熱蓄熱材またはその成分として用いられる。
特に、非ガスをゲスト化合物とする準包接水和物の代表例である第四級アンモニウム塩の水和物は、常圧で生成し、結晶化する際の熱エネルギー(蓄熱量)が大きく、また、パラフィンのように可燃性がない。従って、第四級アンモニウム塩の水和物は、取扱いが容易であるため、ビル空調の氷蓄熱漕の代替手段として着目されている。
なかでも、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムや臭化トリノルマルブチルノルマルペンチルアンモニウムをゲストとする準包接水和物の潜熱の熱エネルギーは氷よりも高い温度で得られる。そのため、準包接水和物は氷蓄熱漕よりも高効率な蓄熱漕、熱輸送媒体への利用が進んでいる。
しかしながら、準包接水和物が生成する温度、すなわち液相から固相へ結晶化する凝固温度は、水の過冷却現象に強く影響され、潜熱として得られる温度である融解温度との差が非常に大きく、扱いにくい面がある。このため、従来から、過冷却の影響を小さくすることを目的として、鉱物などの過冷却抑制剤が用いられている。
特許文献1には、原料水溶液に特定の添加物を投入する技術が開示されている。この技術では、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)33wt%にリン酸水素二ナトリウムおよび増粘剤を添加する。
特許文献2には、異なる二つの相変化温度での潜熱を利用して冷却をすることができる蓄熱材が開示されている。この蓄熱材では、相対的に高温で相変化する材料としてTBABが用いられ、相対的に低温で相変化する材料として炭酸水素カリウムが用いられている。
上述したように、第四級アンモニウム塩、特に、TBABのセミクラスレートハイドレートは、10℃付近に融解温度を有する蓄冷材として有効であるが、これを低融点にするためには、一般的にTBAB水溶液の濃度を薄くする方法が採られている。しかし、TBABを低濃度にすると、水の濃度が大きくなり、水の凍結温度が0℃であることから、一般的な冷蔵庫で凍結させることが難しい。融点を降下させつつ、冷蔵庫でも凍結する材料が望まれる。
特許文献1記載の技術においても、一般的な冷蔵庫内での凍結は不安定であり、融点は降下せず12℃程度である。また、過冷却抑制剤と増粘剤を添加することから潜熱量が減少してしまう。特許文献2記載の技術では、高温側と低温側の二つの相変化温度を用いる点は記載されているが、過冷却抑制剤に関しては記載されていない。
本発明の一つの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであり、融点が降下すると共に、一般的な冷蔵庫でも凍結する蓄熱材並びにこれを用いた保冷容器および冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の一態様に係る蓄熱材は、所定温度で相変化する蓄熱材であって、水と、セミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、炭酸水素カリウムと、を有し、前記炭酸水素カリウムは、凝固開始温度において飽和している。
本発明のいくつかの態様によれば、過冷却が抑制され、主剤の水溶液よりも高い温度で凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせ、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。
以下に本願での用語の定義を説明する。特記される場合を除き、以下の定義により解釈されるものとする。
(1)包接水和物、クラスレートハイドレート、準包接水和物、セミクラスレートハイドレートを厳密な定義で区別しない。本発明では、非ガスをゲスト(ゲスト化合物)とする水和物を対象とする。
(2)蓄熱材料と蓄冷材料を明確には区別しないが、標準条件である摂氏20℃以下に融点を有する材料を蓄冷材、摂氏20℃以上の融点を有する材料を蓄熱材と称することがある。
(3)蓄熱材、蓄冷材は本発明における実用形態の組成であり、本発明においては、蓄熱(冷)主剤、アルカリ化剤、発核剤から構成される。
(4)蓄熱(冷)主剤とは、非ガスをゲストとする準包接水和物(上記(1)に準ずる)を形成するゲスト化合物と水の組成物を指し、固相、液相、相変化状態、いずれであっても良い。
(5)凝固温度、凍結温度は液相から固相になる温度であり、本発明においては、少なくとも50mlの蓄熱材をポリ瓶に入れた状態で、保冷庫(冷蔵庫、冷凍庫、プログラマブル恒温槽を含む)に配置し、保冷庫の温度を降下させながら熱電対によって計測した値である。過冷却現象は、体積に依存することが知られているが、発明者らの実験では、50ml以上あれば体積の影響が少ないことを確認している。
(6)融解開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、発熱ピークが始まる温度をベースラインへ外挿して求めた温度である。
(7)凍結状態、凝固状態とは、固相が全体容積の95%以上を占め、かつ、わずかな液相は固相から分離される状態をいう。液体中に固体粒子懸濁、分散している状態は含まない。
(8)潜熱量は、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、発熱ピークの面積から求めた値である。蓄熱材の重量当たり、もしくは体積あたりの熱量として記載する。
(9)なお、一般に、蓄熱漕や輸送媒体では、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムをゲストとする包接化合物の固体粒子を分散または懸濁した状態、すなわち「スラリ」で用いられることが多い。本実施形態では、相変化温度以下では、懸濁状態ではなく、ほとんどが固体に相変化する蓄熱材である。なぜならば、スラリ状態で、得られる熱量は水溶液1gあたり7〜11calに留まり、非常に熱量が少なく、蓄熱材料としては不十分である。流動性を必要としない使用形態においては、相変化温度以下で懸濁状態とする必要はない。また、スラリ状態は、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムが十分に薄い濃度、例えば20wt%以下で生じる。
本発明者らは、臭化テトラブチルアンモニウム(以下、「TBAB」と呼称する。)を用いた蓄熱材では、融点を降下させつつ冷蔵庫でも凍結する材料がなかった点に着目し、水と、TBABからなる主剤と、炭酸水素カリウムと、を用い、炭酸水素カリウムが、凝固開始温度において飽和するように調整することによって、融点を約3℃降下させると共に、3℃の環境下でも凍結させることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の一態様に係る蓄熱材は、水と、TBABと、炭酸水素カリウムと、を有し、炭酸水素カリウムは、凝固開始温度において飽和している。TBABの含有率は、32wt%以上で40.5wt%以下の範囲内にあり、TBABの含有率が32wt%であるときは、炭酸水素カリウムの含有率は13wt%である。また、TBABの含有率が40.5wt%であるときは、炭酸水素カリウムの含有率が10wt%である。
これにより、本発明者らは、TBABを用いた蓄熱材について、融点を降下させつつ冷蔵庫でも凍結させることを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
[蓄熱材の構成]
本発明の蓄熱材は、所定温度で相変化する潜熱蓄熱材であり、水、主剤、および炭酸水素カリウムからなる。主剤は、四級アンモニウム塩からなる物質であり、セミクラスレートハイドレートを形成する。このようにセミクラスレートハイドレートを形成する主剤を用いていることから大きな潜熱のエネルギーを利用できる。主剤としては、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)を用いた。
本発明の蓄熱材は、所定温度で相変化する潜熱蓄熱材であり、水、主剤、および炭酸水素カリウムからなる。主剤は、四級アンモニウム塩からなる物質であり、セミクラスレートハイドレートを形成する。このようにセミクラスレートハイドレートを形成する主剤を用いていることから大きな潜熱のエネルギーを利用できる。主剤としては、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)を用いた。
従来から、過冷却抑制材については、液相において全体として溶けており、温度が下がって凝固するときに、主剤である蓄熱材よりも早く結晶化する。この結晶が核となり、この核をきっかけに凍結が始まることが分かっている。また、溶解度には温度依存性の違いがあるが、温度が下がってきたときに溶解度が下がり、過冷却防止剤が凍結しやすくする機能を果たす。
[蓄熱材の製造方法]
室温で、水、主剤(例えばTBAB)、および炭酸水素カリウムを混合することで、蓄熱材を製造することができる。混合の際には、それぞれの材料に応じて適当な含有率となるように秤量し、混合する。
室温で、水、主剤(例えばTBAB)、および炭酸水素カリウムを混合することで、蓄熱材を製造することができる。混合の際には、それぞれの材料に応じて適当な含有率となるように秤量し、混合する。
[包接水和物]
包接水和物の結晶構造の代表例としては、水分子が水素結合によって形成する多面体(ケージ、かご)として、12面体、14面体、16面体が知られている。水分子は、水素結合によって空洞を作り、かつ、他の空洞を作る水分子とも水素結合して、多面体を形成する。包接水和物では、構造I、構造IIと呼ばれる結晶型が知られている。
包接水和物の結晶構造の代表例としては、水分子が水素結合によって形成する多面体(ケージ、かご)として、12面体、14面体、16面体が知られている。水分子は、水素結合によって空洞を作り、かつ、他の空洞を作る水分子とも水素結合して、多面体を形成する。包接水和物では、構造I、構造IIと呼ばれる結晶型が知られている。
それぞれの結晶型の単位格子は、構造Iで46個の水分子、6個の大きな空洞(12個の5員環と2個の6員環からの14面体)および2個の小さい空洞(5員環からの14面体)で形成され、構造IIでは、136個の水分子、8個の大きな空洞(12個の5員環と4個の6員環からできた16面体)および16個の小さい空洞(5員環からの14面体)で形成される。これらの単位格子により形成される結晶構造は、ガスをゲスト化合物とする包接水和物では、全体として立方晶型である。
一方、本発明で用いる四級アンモニウム塩のような大きな分子である非ガス物質をゲスト化合物とする場合、包接水和物は、ケージを形成する水素結合の一部を切断され、ダングリングボンドを持つ。臭化テトラノルマルブチルアンモニウムをゲスト化合物とする準包接水和物では、2タイプの結晶構造があり、一方は正方晶、他方は斜方晶となる。
斜方晶の単位格子は、12面体6個、14面体4個、15面体4個のケージが含まれ、ゲスト化合物である臭化テトラノルマルブチルアンモニウム2個を内包する。臭素原子は、ケージ構造の中に組み込まれ、水分子と結合する。テトラノルマルブチルアンモニウムイオン(陽イオン)は、一部がダングリングボンドとなっている14面体2個と15面体2個、合計4個のケージの中央に包接される。12面体6個は中空である。正方晶でも、12面体、14面体、15面体の組合せで単位格子が形成され、12面体は中空となる。
2つのタイプについて、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムと水の水和数(モル比)で説明すると、正方晶タイプは、水分子の平均水和数約26(モル比1:26)、斜方晶タイプの平均水和数約36(モル比1:36)であり、このときの臭化テトラノルマルブチルアンモニウム濃度が調和融点組成と呼ばれ、それぞれ約40wt%、約32wt%である。
[実施例1と比較例1]
TBABが40.5wt%の溶液に対して、2種類の炭酸イオンを含む材料を作成し、比較した。一方が、炭酸水素カリウム(実施例1)であり、他方が炭酸カリウム(比較例1)である。
TBABが40.5wt%の溶液に対して、2種類の炭酸イオンを含む材料を作成し、比較した。一方が、炭酸水素カリウム(実施例1)であり、他方が炭酸カリウム(比較例1)である。
すなわち、実施例1に係る蓄熱材の主剤はTBABであり、この40.5wt%の溶液に対して、炭酸水素カリウムを添加した。TBABと炭酸水素カリウムのモル比は、1:1である。実施例1に係る溶液では沈殿物が生成される。この溶液のpHは9.1であり、DSC測定による融解開始温度は8.2℃であり、DSC測定による潜熱量は154J/gである。
一方、比較例1に係る蓄熱材の主剤はTBABであり、この40.5wt%の溶液に対して、炭酸カリウムを添加した。TBABと炭酸カリウムのモル比は1:1である。比較例1に係る溶液では、分離が確認された。
次に、実施例1および比較例1のサンプルを温度3℃に設定した小型恒温槽に入れたところ、図1Aに示すように、実施例1のサンプルでは18時間以内での凍結を確認した。一方、図1Bに示すように、比較例1のサンプルでは、18時間、小型恒温槽内に入れたものの、分離したままの液体状態であった。
このように、実施例1に係る材料は、3℃で凍結するため、一般的な冷蔵庫でも凍結する蓄熱材を構成することが可能である。
[実施例1、2、3と比較例2、3]
実施例2に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この40.5wt%の溶液に対して、炭酸水素ナトリウムを添加した。TBABと炭酸水素カリウムのモル比は1:0.5である。この溶液では沈殿物が生成されず、炭酸水素カリウムはすべて溶解する。この溶液のpHは9.1であり、DSC測定による融解開始温度は8.3℃であり、DSC測定による潜熱量は150J/gである。3℃に設定した小型恒温槽では凍結しないが、冷凍庫では凍結する。冷凍庫で凍結させた試料を融解させると、沈殿物が生成される場合がある。この条件下では、3℃に設定した小型恒温槽では凍結する。従って、凍結には沈殿物の生成が必要である。
実施例2に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この40.5wt%の溶液に対して、炭酸水素ナトリウムを添加した。TBABと炭酸水素カリウムのモル比は1:0.5である。この溶液では沈殿物が生成されず、炭酸水素カリウムはすべて溶解する。この溶液のpHは9.1であり、DSC測定による融解開始温度は8.3℃であり、DSC測定による潜熱量は150J/gである。3℃に設定した小型恒温槽では凍結しないが、冷凍庫では凍結する。冷凍庫で凍結させた試料を融解させると、沈殿物が生成される場合がある。この条件下では、3℃に設定した小型恒温槽では凍結する。従って、凍結には沈殿物の生成が必要である。
実施例3に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この40.5wt%の溶液に対して、炭酸水素ナトリウムを添加した。TBABと炭酸水素カリウムのモル比は1:1.5である。この溶液では沈殿物が生成される。この溶液のpHは9.2であり、DSC測定による融解開始温度は8.2℃であり、DSC測定による潜熱量は151J/gである。
比較例2に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この濃度は40.5wt%である。添加物はない。この溶液のpHは4.1であり、DSC測定による融解開始温度は11.9℃であり、DSC測定による潜熱量は191J/gである。
比較例3に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この40.5wt%の溶液に対して、四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加した。TBABと四ホウ酸ナトリウム5水和物のモル比は1:0.055である。この溶液では沈殿物が生成される。この溶液のpHは9.7であり、DSC測定による融解開始温度は10.5℃であり、DSC測定による潜熱量は159J/gである。
これらのサンプルを温度3℃に設定した小型恒温槽に入れて凍結実験を行なったところ、実施例1、3、比較例3の試料に対して凍結を確認した。なお、冷凍庫で凍結させた場合、実施例1〜3は、いずれも凍結する。凍結後、融解させると、沈殿物が析出する。この沈殿物が析出した状態では、実施例1〜3は、いずれも3℃で凍結することを確認した。
図2は、実施例1と比較例3の材料を温度3℃に設定した小型恒温槽に入れて凍結させた後、融解させた場合の温度変化を示す図である。両者の融点は異なっており、温度変化の測定から微分して各融点を算出すると、実施例1の融点が9.9℃となり、比較例3の融点が11.7℃となった。このように、実施例1では、融点降下が確認できた。
図3は、実施例1〜3、比較例2、3の温度と熱量との関係を示すグラフである。比較例2と3については、グラフ(1)およびグラフ(2)に示されるように、融点降下はない。すなわち、TBABのみを含む比較例2およびTBABと四ホウ酸ナトリウム5水和物を含む比較例3では、融点降下は生じない。一方、炭酸水素カリウムを含む実施例1〜3については、グラフ(3)、グラフ(4)およびグラフ(5)に示されるように、いずれも約3℃の融点降下が生じた。
[実施例4と比較例4、5]
実施例4に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この32wt%の溶液に炭酸水素カリウムを添加した。TBABと炭酸水素カリウムのモル比は1:1.3である。この溶液には沈殿物が生成される。この溶液のpHは9.2であり、DSC測定による第一融解開始温度は3.4℃であり、第二融解開始温度は9.0℃であり、DSC測定による潜熱量は147J/gである。
実施例4に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この32wt%の溶液に炭酸水素カリウムを添加した。TBABと炭酸水素カリウムのモル比は1:1.3である。この溶液には沈殿物が生成される。この溶液のpHは9.2であり、DSC測定による第一融解開始温度は3.4℃であり、第二融解開始温度は9.0℃であり、DSC測定による潜熱量は147J/gである。
比較例4に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この32wt%の溶液を作製した。添加物はない。この溶液のpHは4.1であり、DSC測定に第一融解開始温度は9.0℃であり、第二融解開始温度は10.5℃であり、DSC測定による潜熱量は168J/gである。
比較例5に係る蓄熱材の主剤は、TBABであり、この32wt%の溶液に四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加した。TBABと四ホウ酸ナトリウム5水和物のモル比は1:0.069であり、40gのTBAB32wt%に対して、四ホウ酸ナトリウム5水和物を0.8g添加して作製した。この溶液には沈殿物が生成される。この溶液のpHは9.7であり、DSC測定に第一融解開始温度は7.8℃であり、第二融解開始温度は9.3℃であり、DSC測定による潜熱量は160J/gである。
比較例4ではTBAB水溶液のみであり、過冷却抑制材はないが、比較例5では、過冷却抑制材として四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加した。これらのサンプルを温度3℃に設定した小型恒温槽に入れて凍結実験を行なったところ、実施例4、比較例5の試料に対して凍結を確認した。
図4は、実施例4と比較例5の材料を温度3℃に設定した小型恒温槽に入れて凍結させた後、融解させた場合の温度変化を示す図である。両者の融点は異なっている。上述したように、実施例4のDSC測定による第一融解開始温度は3.4℃であり、第二融解開始温度は9.0℃である。一方、比較例5のDSC測定に第一融解開始温度は7.8℃であり、第二融解開始温度は9.3℃である。このように、実施例4の方が比較例5よりも融点降下が大きいことが確認できた。
図5は、実施例4と比較例4、5の温度と熱量との関係を示すグラフである。比較例4では、添加物がないことから、グラフ(2)に示されるように、融点降下がない。実施例4と比較例5では、それぞれグラフ(1)とグラフ(3)に示されるように、融点降下がみられるが、実施例4の方が比較例5よりも融点降下が大きい。
[実施例6]
実施例6では、飽和濃度を確認した。TBABが32wt%である溶液と40wt%である溶液に対し、炭酸水素カリウムを添加させ、溶け残りが現れる濃度を確認した。実効的な濃度として、炭酸水素カリウムを、TBABが32wt%である溶液に対しては13%添加した場合に、少なくとも室温(25℃)において溶け残りが確認された。また、TBABが40wt%である溶液に対しては10%添加した場合に、少なくとも室温(25℃)において溶け残りが確認された。
実施例6では、飽和濃度を確認した。TBABが32wt%である溶液と40wt%である溶液に対し、炭酸水素カリウムを添加させ、溶け残りが現れる濃度を確認した。実効的な濃度として、炭酸水素カリウムを、TBABが32wt%である溶液に対しては13%添加した場合に、少なくとも室温(25℃)において溶け残りが確認された。また、TBABが40wt%である溶液に対しては10%添加した場合に、少なくとも室温(25℃)において溶け残りが確認された。
[実施例7]
実施例7では、沈殿物を確認した。実施例1で用いたサンプルで発生した析出物を同定するため、ろ過して沈殿物を採取した。このサンプルに対して粉末XRD実験を行なった。比較のために、炭酸水素カリウムに対してもXRD実験を行なった。図6は、このXRD実験の結果を示す図である。両者を比較すると、沈殿物は、炭酸水素カリウムであることが分かった。
実施例7では、沈殿物を確認した。実施例1で用いたサンプルで発生した析出物を同定するため、ろ過して沈殿物を採取した。このサンプルに対して粉末XRD実験を行なった。比較のために、炭酸水素カリウムに対してもXRD実験を行なった。図6は、このXRD実験の結果を示す図である。両者を比較すると、沈殿物は、炭酸水素カリウムであることが分かった。
[実施例8]
実施例8では、再度凍結実験を行なった。すなわち、実施例7でろ過をした後の溶液(沈殿物はなし)を、温度3℃に設定した小型恒温槽内に入れた。その後、18時間後に凍結を確認した。従って、ろ液中に炭酸水素カリウムが溶けており、凝固温度で炭酸水素カリウムが析出することにより、核発生となり、凍結すると言える。
実施例8では、再度凍結実験を行なった。すなわち、実施例7でろ過をした後の溶液(沈殿物はなし)を、温度3℃に設定した小型恒温槽内に入れた。その後、18時間後に凍結を確認した。従って、ろ液中に炭酸水素カリウムが溶けており、凝固温度で炭酸水素カリウムが析出することにより、核発生となり、凍結すると言える。
[実施例9、10、11]
実施例9、10および11では、本実施形態に係る蓄熱材を保冷容器や冷蔵庫に適用した例を示す。図7は、実施例9に係る物流梱包容器の概要を示す図であり、図8は、実施例10に係る物流梱包容器の概要を示す図である。図9は、実施例11に係る冷蔵庫の概要を示す図である。図7および図8に示すように、実施例1から8のいずれかの蓄熱材70が充填された保冷具71を、蓄熱材70が凝固した状態で物流梱包容器72に設置する。図7に示す実施例9では、物流梱包容器72の開口端部側に保冷具71を設けた。これにより、保冷対象74の上方から下方へ冷気を供給することができる。一方、図8に示す実施例10では、物流梱包容器72の開口端部側のみならず、保冷対象74の下側にも保冷具71を設けた。これにより、冷却効果を高めることが可能となる。
実施例9、10および11では、本実施形態に係る蓄熱材を保冷容器や冷蔵庫に適用した例を示す。図7は、実施例9に係る物流梱包容器の概要を示す図であり、図8は、実施例10に係る物流梱包容器の概要を示す図である。図9は、実施例11に係る冷蔵庫の概要を示す図である。図7および図8に示すように、実施例1から8のいずれかの蓄熱材70が充填された保冷具71を、蓄熱材70が凝固した状態で物流梱包容器72に設置する。図7に示す実施例9では、物流梱包容器72の開口端部側に保冷具71を設けた。これにより、保冷対象74の上方から下方へ冷気を供給することができる。一方、図8に示す実施例10では、物流梱包容器72の開口端部側のみならず、保冷対象74の下側にも保冷具71を設けた。これにより、冷却効果を高めることが可能となる。
このような構成により、保冷対象74の配送において物流梱包容器72が外気と接触することにより発生する内部の温度上昇に伴い、融解して吸熱により保冷対象を15℃以下に温度調節する。
物流梱包容器72は、発泡スチロールや真空断熱材など断熱性を有し、内部の温度上昇を防ぐ材料で形成されるものが好ましい。保冷具71の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどの樹脂材料や、アルミニウム、ステンレス、銅、銀などの金属、ガラス、陶磁器、セラミックなどの無機材料により形成することができる。中空構造の作りやすさと、耐久性の観点から樹脂材料であることが好ましい。また、保冷具71に温度を示す示温材のシールを貼付すると、蓄熱材の凝固・融解を判断できるため好ましい。
また実施例11では、冷蔵庫80の冷蔵室81内に、実施例1から8のいずれかの蓄熱材70が充填された保冷具71を3か所に設けている。この構成により、一般的に用いられている冷蔵庫で蓄熱材を凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせることができるので、TBABのみの水溶液よりも低い温度で融解する。これにより、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。
[実施例12]
実施例12では、本実施形態に係る蓄熱材を、飲料缶の冷却に適用した例を示す。図10および図11は、実施例12の概要を示す図である。図10および図11に示すように、実施例12では、蓄熱材90が充填された保冷具91を保冷具支持材92で支持して飲料缶94を冷却する。すなわち、蓄熱材90が凝固した状態で、保冷具支持材92を用いて保冷具91を飲料缶94に接触させる。蓄熱材90は飲料缶94より得た熱による温度上昇に伴って融解し、融解時の吸熱により飲料缶94を急冷する。
実施例12では、本実施形態に係る蓄熱材を、飲料缶の冷却に適用した例を示す。図10および図11は、実施例12の概要を示す図である。図10および図11に示すように、実施例12では、蓄熱材90が充填された保冷具91を保冷具支持材92で支持して飲料缶94を冷却する。すなわち、蓄熱材90が凝固した状態で、保冷具支持材92を用いて保冷具91を飲料缶94に接触させる。蓄熱材90は飲料缶94より得た熱による温度上昇に伴って融解し、融解時の吸熱により飲料缶94を急冷する。
保冷具支持材92によって複数の保冷具91を飲料缶94周辺に接触させる。これにより、飲料缶94に対し、効率的に吸熱を行なう。
保冷具91の材質としては、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなど、飲料缶94と密着させやすいフィルム材料が好ましい。また、保冷具91の表面に示温材のシールを貼付したり、示温材を、保冷具91を構成するフィルムに練り込んでおいたりすることによって、保冷具91の温度を視認できるようにしても良い。これにより、急冷効果を明確にすることができる。
保冷具支持材92の材質は、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、グラスウールなど断熱性を有し、外気との熱交換を防ぐものが好ましい。飲料缶94は、アルミ缶、スチール缶など飲料用に使用されているものが該当し、内容物は水を主成分とする飲料が該当する。実施例12によれば、飲料缶94を急速に冷却することができる。
これまでの実施例では主剤をTBABとしたが、主剤をフッ化テトラブチルアンモニウム(以下、「TBAF」と呼称する。)を用いた蓄熱材について、融点を降下させつつ冷蔵庫でも凍結させることを可能とした。
[実施例13と比較例6]
比較例6に係る蓄熱材の主剤は、TBAFであり、この濃度は33wt%である。添加物はない。DSC測定による融解開始温度は27.1℃であり、DSC測定による潜熱量は220J/gである。
比較例6に係る蓄熱材の主剤は、TBAFであり、この濃度は33wt%である。添加物はない。DSC測定による融解開始温度は27.1℃であり、DSC測定による潜熱量は220J/gである。
実施例13に係る蓄熱材の主剤は、TBAFであり、この33wt%の溶液に対して、炭酸水素ナトリウムを添加した。TBABと炭酸水素カリウムのモル比は1:1.5である。この溶液では沈殿物が生成される。DSC測定による融解開始温度は21.1℃であり、DSC測定による潜熱量は176J/gである。
図12は、実施例13と比較例6の材料を温度5℃に設定した小型恒温槽に入れて凍結させた後、融解させた場合の温度変化を示す図である。両者はともに凍結を確認した。しかし、両者の融点は異なっており、実施例13では21℃、比較例6では27℃である。
図13は、実施例13と比較例6の温度と熱量との関係を示すグラフである。比較例6では、添加物がないことから、グラフ(2)に示されるように、融点降下がない。実施例13とそれぞれグラフ(1)に示されるように、融点降下がみられる。
(A)本発明は、以下のような態様を取ることが可能である。すなわち、本発明の一態様に係る蓄熱材は、所定温度で相変化する蓄熱材であって、水と、セミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、炭酸水素カリウムと、を有し、前記炭酸水素カリウムは、凝固開始温度において飽和している。
この構成により、過冷却が抑制され、主剤の水溶液よりも高い温度で凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせ、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。従来は、融点を下げるためには主剤の濃度を低くすることが行なわれてきたが、主剤の濃度が低くなると水の濃度が大きくなり、過冷却抑制剤を添加しても水の影響により凝固させる温度を低くせざるを得なかった。また、主剤の濃度が低くなると、潜熱量が小さくなってしまうという課題があった。本発明の一態様によれば、主剤の濃度を低くしなくても融点を約3℃下げることが可能となり、また、十分に高い潜熱量を維持することが可能となる。
(B)3℃で凝固する一方、少なくとも前記主剤のみの水溶液の融点よりも低い温度で融解する。
この構成により、3℃で凝固するため、一般的に用いられている冷蔵庫で蓄熱材を凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせることができるので、主剤のみの水溶液よりも低い温度で融解する。これにより、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。
(C)前記主剤は、臭化テトラブチルアンモニウムまたはフッ化テトラブチルアンモニウムである。
この構成により、十分に高い潜熱量を維持することができると共に、過冷却が抑制され、主剤の水溶液よりも高い温度で凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせ、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。
(D)前記主剤が臭化テトラブチルアンモニウムの場合、前記臭化テトラブチルアンモニウムの含有率が32wt%以上で40.5wt%以下の範囲内にある。
この構成により、十分に高い潜熱量を維持することができると共に、過冷却が抑制され、主剤の水溶液よりも高い温度で凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせ、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。
(E)前記臭化テトラブチルアンモニウムの含有率が32wt%であるときは、前記炭酸水素カリウムの含有率が13wt%である。
この構成により、25℃において炭酸水素カリウムが溶け残るほど、炭酸水素カリウムの濃度を高くすることができるため、十分に過冷却抑制効果を得ることが可能となる。また、十分に高い潜熱量を維持することが可能となる。
(F)前記臭化テトラブチルアンモニウムの含有率が40.5wt%であるときは、前記炭酸水素カリウムの含有率が10wt%である。
この構成により、25℃において炭酸水素カリウムが溶け残るほど、炭酸水素カリウムの濃度を高くすることができるため、十分に過冷却抑制効果を得ることが可能となる。また、十分に高い潜熱量を維持することが可能となる。
(G)前記主剤は、フッ化テトラブチルアンモニウムであり、前記フッ化テトラブチルアンモニウムの含有率が33wt%あるときは、前記炭酸水素カリウムの含有率が12wt%である請求項3記載の蓄熱材。
この構成により、25℃において炭酸水素カリウムが溶け残るほど、炭酸水素カリウムの濃度を高くすることができるため、十分に過冷却抑制効果を得ることが可能となる。また、十分に高い潜熱量を維持することが可能となる。
(H)保冷対象物を収容する収容部と、前記収容部内に設けられ、上記(A)から(E)のいずれかに記載の蓄熱材が充填された保冷具と、を備え、前記蓄熱材は、前記収容部内で保冷対象物と熱交換を行なう。
この構成により、一般的に用いられている冷蔵庫で蓄熱材を凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせることができるので、主剤のみの水溶液よりも低い温度で融解する。これにより、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。
(H)保冷対象物を収容する冷蔵室と、前記冷蔵室内に設けられた上記(A)から(E)5のいずれかに記載の蓄熱材と、を備え、前記蓄熱材は、前記冷蔵室内で保冷対象物と熱交換を行なう。
この構成により、一般的に用いられている冷蔵庫で蓄熱材を凝固させることが可能となる。また、融点降下を生じさせることができるので、主剤のみの水溶液よりも低い温度で融解する。これにより、相対的に低い温度で保冷対象物の温度管理を行なうことが可能となる。
本発明のいくつかの態様は、融点が降下すると共に、一般的な冷蔵庫でも凍結する蓄熱材並びにこれを用いた保冷容器および冷蔵庫などに適用できる。
Claims (9)
- 所定温度で相変化する蓄熱材であって、
水と、
セミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、
炭酸水素カリウムと、を有し、
前記炭酸水素カリウムは、凝固開始温度において飽和している蓄熱材。 - 3℃で凝固する一方、少なくとも前記主剤のみの水溶液の融点よりも低い温度で融解する請求項1記載の蓄熱材。
- 前記主剤は、臭化テトラブチルアンモニウムまたはフッ化テトラブチルアンモニウムである請求項1記載の蓄熱材。
- 前記主剤は、臭化テトラブチルアンモニウムであり、
前記臭化テトラブチルアンモニウムの含有率が32wt%以上で40.5wt%以下の範囲内にある請求項1または請求項2記載の蓄熱材。 - 前記臭化テトラブチルアンモニウムの含有率が32wt%であるときは、前記炭酸水素カリウムの含有率が13wt%である請求項4記載の蓄熱材。
- 前記臭化テトラブチルアンモニウムの含有率が40.5wt%であるときは、前記炭酸水素カリウムの含有率が10wt%である請求項4記載の蓄熱材。
- 前記主剤は、フッ化テトラブチルアンモニウムであり、
前記フッ化テトラブチルアンモニウムの含有率が33wt%あるときは、前記炭酸水素カリウムの含有率が12wt%である請求項1または請求項2記載の蓄熱材。 - 保冷対象物を収容する収容部と、
前記収容部内に設けられ、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の蓄熱材が充填された保冷具と、を備え、
前記蓄熱材は、前記収容部内で保冷対象物と熱交換を行なう保冷容器。 - 保冷対象物を収容する冷蔵室と、
前記冷蔵室内に設けられた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の蓄熱材と、を備え、
前記蓄熱材は、前記冷蔵室内で保冷対象物と熱交換を行なう冷蔵庫。
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WO2016002596A1 (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-07 | シャープ株式会社 | 蓄熱材およびそれを用いた物品 |
WO2017110742A1 (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | シャープ株式会社 | 蓄熱材、これを用いた冷蔵庫および保冷容器 |
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