JP6864742B2 - 蓄冷材および蓄冷パック - Google Patents

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Description

本発明のいくつかの態様は、所定の温度で変化する蓄冷材、およびそれを用いた蓄冷パックに関する。
本願は、2017年6月22日に、日本に出願された特願2017−122161号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
クラスレートハイドレート(包接水和物)、特にセミクラスレートハイドレート(準包接水和物)は、主剤の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより結晶化する(図16)。その結晶には潜熱として利用しうる熱エネルギーが貯蔵されるため、従来から、潜熱蓄熱材またはその成分として用いられる。
特に、非ガスをゲスト化合物とする準包接水和物の代表例である第四級アンモニウム塩の水和物は、常圧で生成し、結晶化する際の熱エネルギー(蓄熱量)が大きく、また、パラフィンのような可燃性がない。したがって、第四級アンモニウム塩の水和物は、取扱いが容易であるため、ビル空調の氷蓄熱漕の代替手段として着目されている。
なかでも、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムや臭化トリノルマルブチルノルマルペンチルアンモニウムをゲストとする準包接水和物の潜熱の熱エネルギーは氷よりも高い温度で得られる。そのため、準包接水和物は氷蓄熱漕よりも高効率な蓄熱漕、熱輸送媒体への利用が進んでいる。
また、従来から、アイシングやクライオセラピーなどと呼称される冷却療法が知られている。この冷却療法は、人体の熱をもった部位や全身を冷却する療法であり、例えば、人体に冷気を当てたり、人体の皮膚に冷却材を接触させたりする手法が採られる。
また、暑熱環境下における運動や作業は、体温上昇を引き起こし、その結果、パフォーマンスの低下や熱中症に繋がる場合がある。このような暑熱環境下での作業前および作業間における身体冷却について、次のような報告がある。例えば、作業前の冷却は、有酸素性運動時の暑熱負担を和らげ、暑熱環境における運動パフォーマンスを向上させる(Ross M, Abbiss C, LaursenP, Martin D, Burke L. Precoolingmethods and their eects on athletic performance: Asystematicreview and practical applications. Sports Med.2013; 43: 207-225)。つまり、暑熱環境下において、運動や作業を行なう前の予冷には、緩やかに身体を冷却させる温度帯を有する冷却材を用いて、身体冷却を行なうことが好ましい。
特許文献1には、人体の頭部への感触やフィット性を高め、十分な冷却性能が期待される冷却材が開示されている。この冷却材は、水平方向に連結された厚さ15〜35mmの複数個の連結性材および厚さ5〜15mmの不凍性材が上下に重ねられ、外袋に収納されている。
特開平7−95998号公報
しかしながら、複数の温度帯を使い分けて人体などの保冷対象物の冷却を行なう場合、温度帯に応じた複数の冷却材が必要となる。引用文献1には、人体に使用することを前提とした冷却材が開示されているが、1つの冷却材を、状況に応じた複数の異なる温度帯で用いることは、考慮されていない。
本発明の一つの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の融点を有する蓄冷材を用いることで、1つの冷却材(保冷具)で、状況に応じた適切な温度で保冷対象物を保冷することを可能とする蓄冷材および蓄冷パックを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の一形態である蓄冷材は、所定温度で相変化する蓄冷材であって、水とセミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、過冷却を抑制する過冷却抑制剤と、を有し、凍結時の温度帯に応じて1の融点または複数の融点を有する。
本発明のいくつかの態様によれば、異なる複数の融点を有する蓄冷材を用いることで、1つの保冷具(冷却材)で、状況に応じた適切な温度で保冷対象物を保冷することを可能とする。
凍結温度の比較の手順の概略を示す図である。 実施例1で作製した蓄冷材の温度変化を示すグラフである。 実施例1で作製した蓄冷材のDSC実験結果を示すグラフである。 凍結温度の違いによる高融点成分および低融点成分の概略構成を示す図である。 実施例1で作製した蓄冷材の温度変化を示すグラフである。 実施例6で作製した蓄冷材の温度変化を示すグラフである。 実施例1〜5で作製した蓄冷材のDSC実験結果を示すグラフである。 実施例6〜10で作製した蓄冷材のDSC実験結果を示すグラフである。 第2の実施形態に係る蓄冷パックの概略を示す斜視図である。 図9Aの9b−9bにおける断面図である。 関節機構を有する第2の実施形態に係る蓄冷パックの概略を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る蓄冷パックの変形例1の概略を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る蓄冷パックの変形例2の概略を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る蓄冷パックの変形例3の概略を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る蓄冷パックの変形例3の概略を示す斜視図である。 第3の実施形態に係る蓄冷パックの概略を示す斜視図である。 蓄冷材の温度に応じた示温材が変色例を示す図である。 準包接水和物の結晶化の状態を示す図である。 蓄冷材の凍結温度ごとの融解挙動を示す図である。
発明者らは、従来、一つの保冷具(冷却材)では、状況に応じた異なる複数の温度帯で保冷対象物を保冷することができなかった点に着目し、蓄冷材の構成と凍結時の温度帯とを調整することによって、蓄冷材が1または複数の融点を有する性質を呈することを見出し、そして、一つの保冷具(冷却材)で状況に応じた異なる複数の温度帯で保冷対象物を保冷することができることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明のいくつかの態様の蓄冷材は、所定温度で相変化する蓄冷材であって、水と、セミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、過冷却を抑制する過冷却抑制剤と、を有し、凍結時の温度帯に応じて1の融点または複数の融点を有する。
これにより、発明者らは、異なる複数の融点で相変化する蓄冷材を用いることで、1つの保冷具(冷却材)で状況に応じた適切な温度で保冷対象物を保冷することを可能とした。
以下に本願での用語の定義を説明する。特記される場合を除き、以下の定義により解釈されるものとする。
(1)包接水和物、クラスレートハイドレート、準包接水和物、セミクラスレートハイドレートを厳密な定義で区別しない。本発明の一態様では、非ガスをゲスト(ゲスト化合物)とする水和物を対象とする。
(2)蓄熱材料と蓄冷材料を明確に区別しないが、標準条件である摂氏20℃以下に融点を有する材料を蓄冷材、摂氏20℃以上に融点を有する材料を蓄熱材と称することがある。
(3)蓄熱材、蓄冷材は、本発明の一態様における実用形態の組成であり、本発明の一態様においては、蓄熱(冷)主剤、発核剤、または蓄熱(冷)主剤、発核剤、アルカリ化剤から構成される。
(4)蓄熱(冷)主剤とは、非ガスをゲストとする準包接水和物(上記(1)に準ずる)を形成するゲスト化合物と水の組成物を指し、固相、液相、相変化状態、いずれであっても良い。
(5)凝固温度、凍結温度は、液相から固相になる温度であり、本発明の一態様においては、少なくとも50mlの蓄冷材をポリ瓶に入れた状態で、保冷庫(冷蔵庫、冷凍庫、プログラマブル恒温槽を含む)に配置し、保冷庫の温度を降下させながら熱電対によって計測した値である。過冷却現象は、体積に依存することが知られているが、発明者らの実験では、50ml以上あれば体積に影響が少ないことを確認している。
(6)融解開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、発熱ピークが始まる温度をベースラインへ外挿して求めた温度である。
(7)凍結状態、凝固状態とは、固相が全体容積の95%以上を占め、かつ、わずかな液相は固相から分離される状態をいう。液体中に固体粒子懸濁、分散している状態は含まない。
(8)潜熱量は、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、発熱ピークの面積から求めた値である。蓄冷材の重量あたり、もしくは体積あたりの熱量として記載する。
(9)正の水和、疎水性水和、構造形成的な水和とは、カチオン周囲の水分子がイオンに強く引きつけられ、秩序高い構造を形成するため、水分子がバルクの水分子より動きにくくなる状態である。なお、包接水和物は、広義の疎水性水和である。
(10)負の水和、親水性水和、構造破壊的な水和とは、カチオン周囲の水分子は、正の水和ほど強くないが、バルクの水分子の水素結合ネットワークから切り離される程度にカチオンにひきつけられることにより、バルクの水分子よりも働きやすくなる状態である。
(11)なお、一般に、蓄熱(冷)層や輸送媒体では、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムをゲストとする包接化合物の固体粒子を分散または懸濁した状態、すなわち「スラリ」で用いられることが多い。本実施形態では、相変化温度以下では、懸濁状態ではなく、ほとんどが固体に相変化する蓄熱(冷)材料である。なぜならば、スラリ状態で、得られる熱量は、水溶液1gあたり7〜11calに留まり、非常に熱量が少なく、蓄熱(冷)材料としては不十分である。流動性を必要としない使用形態においては、相変化温度以下で懸濁状態とする必要はない。また、スラリ状態は、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムが十分に薄い濃度、例えば20wt%以下で生じる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
(蓄冷材の構成)
本発明の蓄冷材は、所定温度で相変化する蓄冷材であり、水、主剤、過冷却抑制剤からなる。主剤は、四級アンモニウム塩からなる物質であり、セミクラスレートハイドレートを形成する。このようにセミクラスレートハイドレートを形成する主剤を用いることで、大きな潜熱のエネルギーを利用できる。主剤としては、臭化テトラブチルアンモニウム(以下、TBABとも称する)が好ましい。
過冷却抑制剤は、(α)正の水和を示すカチオンを生じるpH調整剤およびアルカリ性を維持する発核剤から構成されていても良いし、(β)アルカリ性を維持する発核剤のみから構成されていても良い。
(α)過冷却抑制剤がpH調整剤および発核剤からなる場合
pH調整剤は、例えば、炭酸ナトリウムであり、この場合、水溶性のアルカリ性を維持する。蓄冷材は、pHが10以上であることが好ましい。これにより、十分なアルカリ性の水溶液が得られ、正の水和を示すカチオンを生成できる。水および主剤からなる水溶液(本実施形態では、水およびTBABからなる水溶液)に対するpH調整剤の重量比は、2.0%であることが好ましい。なお、炭酸ナトリウムは、劇物や危険物ではないため、水酸化ナトリウムに比べて扱いやすい。
発核剤は、例えば、リン酸水素二ナトリウム2水和物、リン酸水素二ナトリウム7水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物などのリン酸水素二ナトリウムであり、水溶液中で正の水和を示すカチオンを生じる。このように構成されることで、アルカリ性に維持された水溶液において生じた正の水和を示すカチオンが凝固時の核となる。その結果、凝固温度が高くなり、凝固温度と融解温度との差を小さくすることができる。そして、正方晶のセミクラスレートハイドレートだけでなく、斜方晶のものも確実に生成でき、0℃以上で凝固できる。
発核剤は、リン酸水素二ナトリウムの無水物または水和物であることが好ましく、リン酸水素二ナトリウム12水和物であることがさらに好ましい。炭酸ナトリウム、およびリン酸水素二ナトリウムの無水物または水和物の両方が水溶液に含まれることで安定的に蓄冷材を凝固させることができる。水および主剤からなる水溶液(本実施形態では、水およびTBABからなる水溶液)に対する発核剤の重量比は、2.5%であることが好ましい。これにより、過冷却抑制の効果を得ることができる。
(β)過冷却抑制剤が発核剤のみからなる場合
過冷却抑制剤は、例えば、四ホウ酸ナトリウムであり、この場合、水および主剤からなる水溶液(本実施形態では、水およびTBABからなる水溶液)に対する四ホウ酸ナトリウムの重量比は2.0%であることが好ましい。
(蓄冷材の製造方法)
室温で、水、主剤、過冷却抑制剤を混合することで、蓄冷材を製造することができる。混合の際には、それぞれの材料に応じて適切な含有量となるように秤量し、混合する。
(包接水和物)
包接水和物の結晶構造の代表としては、水分子が水結合によって形成する多面体(ケージ、かご)として、12面体、14面体、16面体が知られている。水分子は、水素結合によって空洞を作り、かつ、他の空洞を作る水分子とも水素結合して、多面体を形成する。包接水和物では、構造I、構造IIと呼ばれる結晶型が知られている。
それぞれの結晶型の単位格子は、構造Iで46個の水分子、6個の大きな空洞(12個の5員環と2個の6員環からの14面体)および2個の小さい空洞(5員環からの14面体)で形成され、構造IIでは、136個の水分子、8個の大きな空洞(12個の5員環と4個の6員環からできた16面体)および16個の小さい空洞(5員環からの14面体)で形成される。これらの単位格子により形成される結晶構造は、ガスをゲスト化合物とする包接水和物では、全体として立方晶型である。
一方、本発明で用いる四級アンモニウム塩のような大きな分子である非ガス物質をゲスト化合物とする場合、包接水和物は、ゲージを形成する水素結合の一部を切断され、ダングリングボンドをもつ。臭化テトラノルマルブチルアンモニウムをゲスト化合物とする準包接水和物では、2タイプの結晶構造があり、一方は正方晶(第一水和物)、他方は斜方晶(第二水和物)となる。
斜方晶の単位格子は、12面体6個、14面体4個、15面体4個のゲージが含まれ、ゲスト化合物である臭化テトラノルマルブチルアンモニウム2個を内包する。臭素原子は、ゲージ構造の中に組み込まれ、水分子と結合する。テトラノルマルブチルアンモニウムイオン(陽イオン)は、一部がダングリングボンドとなっている14面体2個と15面体2個、合計4個のゲージの中央に包接される。12面体6個は中空である。正方晶でも、12面体、14面体、15面体の組合せで単位格子が形成され、12面体は中空となる。
2つのタイプについて、臭化テトラノルマルブチルアンモニウムと水の水和数(モル比)で説明すると、正方晶タイプは、水分子の平均水和数約26(モル比1:26)、斜方晶タイプの平均水和数約36(モル比1:36)であり、このときの臭化テトラノルマルブチルアンモニウム濃度が調和融点組成と呼ばれ、それぞれ約40wt%、約32wt%である。
なお、本願の図面において、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウムが含まれているサンプルをPC系と称する。
(実施例1)
蓄冷材の主剤は、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)であり、これを32wt%としてTBAB水溶液を作製する。作製した32wt%TBAB水溶液に、発核剤として、32wt%TBAB水溶液に対する重量比2.5%のリン酸水素二ナトリウム12水和物と、pH調整剤として、32wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%炭酸ナトリウムを添加し、蓄冷材とする。なお、作製した32wt%TBAB水溶液には、第一水和物、第二水和物が存在する。
(実施例2)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを30wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した30wt%TBAB水溶液に、30wt%TBAB水溶液に対する重量比2.5%のリン酸水素二ナトリウム12水和物と、30wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%炭酸ナトリウムを添加し、蓄冷材とする。なお、作製した30wt%TBAB水溶液には、第一水和物、第二水和物が存在する。
(実施例3)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを35wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した35wt%TBAB水溶液に、35wt%TBAB水溶液に対する重量比2.5%のリン酸水素二ナトリウム12水和物と、35wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%炭酸ナトリウムを添加し、蓄冷材とする。なお、作製した35wt%TBAB水溶液には、第一水和物、第二水和物が存在する。
(実施例4)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを38wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した38wt%TBAB水溶液に、38wt%TBAB水溶液に対する重量比2.5%のリン酸水素二ナトリウム12水和物と、38wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%炭酸ナトリウムを添加し、蓄冷材とする。なお、作製した38wt%TBAB水溶液には、第一水和物のみ存在する。
(実施例5)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを40wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した40wt%TBAB水溶液に、40wt%TBAB水溶液に対する重量比2.5%のリン酸水素二ナトリウム12水和物と、40wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%炭酸ナトリウムを添加し、蓄冷材とする。なお、作製した40wt%TBAB水溶液には、第一水和物のみ存在する。
(実施例6)
蓄冷材の主剤は、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)であり、これを32wt%としてTBAB水溶液を作製する。作製した32wt%TBAB水溶液に、過冷却抑制剤として、32wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%の四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加し、蓄冷材とする。なお、作製した32wt%TBAB水溶液には、第一水和物、第二水和物が存在する。
(実施例7)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを30wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した30wt%TBAB水溶液に、30wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%の四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加し、蓄冷材とする。なお、作製した30wt%TBAB水溶液には、第一水和物、第二水和物が存在する。
(実施例8)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを35wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した35wt%TBAB水溶液に、35wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%の四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加し、蓄冷材とする。なお、作製した35wt%TBAB水溶液には、第一水和物、第二水和物が存在する。
(実施例9)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを38wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した38wt%TBAB水溶液に、38wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%の四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加し、蓄冷材とする。なお、作製した38wt%TBAB水溶液には、第一水和物、第二水和物が存在する。
(実施例10)
蓄冷材の主剤は、TBABであり、これを40wt%として、TBAB水溶液を作製する。作製した40wt%TBAB水溶液に、40wt%TBAB水溶液に対する重量比2.0%の四ホウ酸ナトリウム5水和物を添加し、蓄冷材とする。なお、作製した40wt%TBAB水溶液には、第一水和物のみ存在する。
[1.凍結温度の比較]
図1は、凍結温度の比較の手順の概略を示す図である。図1に示すように、実施例1および実施例6で作製した蓄冷材を容器に充填し、各蓄冷材を冷蔵庫(5℃)および冷凍庫(−18℃)の2種類の温度でそれぞれ凍結させた後、一定の温度(19℃)を保つ恒温槽に配置し、各蓄冷材の温度変化を測定した。
図2は、実施例1で作製した蓄冷材を2種類の温度で凍結後、恒温槽に配置した際の各蓄冷材の温度変化を示すグラフである。図2に示すように、5℃〜10℃の間において、冷凍庫(−18℃)で凍結させた蓄冷材は、冷蔵庫(5℃)で凍結させた蓄冷材とは異なる低融点成分由来の温度帯(およそ7℃)を有することがわかった。
次に、実施例1で作製した蓄冷材に対し、示差走査熱量測定(DSC)を行なった。温度設定は、(a)30℃(5℃/min)から−30℃(5min保持)に遷移し、さらに30℃(5℃/min)(冷凍庫相当)とし、(b)30℃(5℃/min)から3℃(100min保持)に遷移し、さらに30℃(5℃/min)(冷蔵庫相当)とした。その後、融解時の面積から潜熱量を算出した。
図3は、実施例1で作製した蓄冷材のDSC実験結果を示すグラフである。図3に示すように、冷凍庫相当の温度では、低融点成分由来の温度帯を有することがわかった。
図4は、凍結温度の違いによる高融点成分および低融点成分の概略構成を示す図である。図4に示すように、32wt%TBAB水溶液を、冷蔵庫(5℃)で凍結させた場合には、高融点成分のみが形成される。一方、32wt%TBAB水溶液を、冷凍庫(−18℃)で凍結させた場合は、高融点成分および低融点成分の2つの成分が形成されることがわかった。なお、図4では、わかりやすく表現するために高融点成分および低融点成分の2つの成分が分かれて形成されているように図示しているが、実際は高融点成分および低融点成分は混在して形成されている。
さらに、実施例1で作製した蓄冷材を容器に充填し、凍結温度を0℃からマイナス方向に5℃刻みで温度を下げ(0℃、−5℃、−10℃、−15℃)、凍結させた後、一定の温度(19℃)を保つ恒温槽に配置し、各蓄冷材の温度変化を測定した。
図5は、0℃、−5℃、−10℃、−15℃、および−18℃で凍結させた各蓄冷材の温度変化を示すグラフである。図5に示すように、−10℃以下で凍結させた蓄冷材は、低融点成分由来の温度帯を有することがわかった。
図6は、実施例6で作製した蓄冷材を2種類の温度で凍結後、恒温槽に配置した際の各蓄冷材の温度変化を示すグラフである。図6に示すように、実施例6で作製した蓄冷材においても、冷凍庫(−18℃)で凍結させた蓄冷材は、冷蔵庫(5℃)で凍結させた蓄冷材とは異なる低融点成分由来の温度帯を有することがわかった。
[2.濃度の比較]
次に、主剤(TBAB)の濃度を変化させ、示差走査熱量測定(DSC)を行なった。DSCによって得られた融解時の吸熱反応により、各蓄冷材の融解温度帯の確認を行なった。温度設定は、30℃(5℃/min)から−30℃(5min保持)に遷移し、さらに30℃(5℃/min)(冷凍庫相当)とした。その後、融解時の面積から潜熱量を算出した。
図7は、実施例1〜5で作製した蓄冷材のDSC実験結果を示すグラフである。(1)〜(5)各グラフの説明において、30、32、35、38、40はTBABの質量パーセント濃度を表し、Pはリン酸水素二ナトリウム12水和物を、Cは炭酸ナトリウムを表す。よって、例えば「DSC_30+PC」は質量パーセント濃度30wt%のTBABにリン酸水素二ナトリウムを2.5%、炭酸ナトリウムを2.0%添加していることを表す。図7に示すように、実施例1〜3の各蓄冷材(30wt%、32wt%、35wt%濃度のTBAB)において、低融点成分および高融点成分を有していることがわかった。
図8は、実施例6〜10で作製した蓄冷材のDSC実験結果を示すグラフである。(1)〜(5)各グラフの説明において、30、32、35、38、40はTBABの質量パーセント濃度を表し、四ホウ酸Naは四ホウ酸ナトリウム5水和物を表す。よって、例えば「DSC_30+四ホウ酸Na」は質量パーセント濃度30wt%のTBABに四ホウ酸ナトリウム5水和物を2.0%添加していることを表す。図8に示すように、実施例6〜9の各蓄冷材(30wt%、32wt%、35wt%、38wt%濃度のTBAB)において、低融点成分および高融点成分を有していることがわかった。図17にTBAB32wt%+四ホウ酸Naに関して、凍結温度を変更したときの低融点成分及の発現の様子を示す。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、異なる複数の融点を有する蓄冷材を構成することが可能となる。
[第2の実施形態]
(蓄冷パックの構成)
図9Aは、本実施形態に係る蓄冷パックの概略を示す斜視図である。図9Bは、図9Aの9b−9bにおける断面図である。蓄冷パック1(以下、保冷具とも称する)は、上記説明した蓄冷材Sが充填され、フィルム13で包装した蓄冷層10を備える。また、図9Cに示すように、蓄冷パック1がそれぞれ関節機構15によって、複数連結されていても良い。
図10は、本実施形態に係る蓄冷パックの変形例1の概略を示す斜視図である。図10に示すように、蓄冷パック(保冷具)1は、さらに緩衝層20を設け、前述した蓄冷材Sが充填された蓄冷層10と、蓄冷層10を凍結させる温度で凍結しないような材料(以下、不凍材とも称する。)が充填された緩衝層20とから構成されていても良い。緩衝層20は、保冷対象物30に当接され、保冷対象物30と蓄冷層10との間の熱伝達を行なう。この構成を採ることにより、冷気緩和(保冷対象物から奪われる熱量緩和)が図られる。また、図10に示すように、緩衝層20に含まれる不凍材は、蓄冷層10に充填されている蓄冷材の相変化温度で液相を呈し、緩衝層用包装材も柔軟性を有するため、保冷対象物30への密着性が高まる。緩衝層20を有する構造は、蓄冷層10および緩衝層20がそれぞれ関節機構15によって、複数が連結されていても良い。さらに、保冷対象物30と緩衝層20との密着性を向上させるために、緩衝層20に増粘剤を添加して増粘させ、形状を維持しやすくすることも可能である。
図11は、本実施形態に係る蓄冷パックの変形例2の概略を示す斜視図である。図11に示すように、蓄冷パック(保冷具)1は、パックインパックのように、緩衝層20が蓄冷層10全体を包含する構造を採ることも可能である。
さらに、図12に示すように、上記説明した蓄冷パック(保冷具)1を保冷対象物30に固定するための固定治具100に封入して、または蓄冷パック(保冷具)1を固定治具100で固定して用いても良い。固定治具100には、例えば、サポーター、タオル、などがある(図13)。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、凍結温度を調整することによって、1つの保冷具(冷却材)で、状況に応じた適切な温度で保冷対象物を保冷することを可能とする。特に、−10℃を超える温度で凍結させることによって、相対的に高い温度の融点が現れるため、本実施形態に係る保冷具を暑熱環境下で運動や作業を行なう前の予冷に用いた場合、緩やかに身体を冷却させることが可能となる。
[第3の実施形態]
上記説明した蓄冷材は、輸送用容器200などの構成にも応用できる。図14に示すように、例えば、ブロー容器40内に蓄冷材を充填し、保冷材として用いることも可能である。ブロー容器40内に蓄冷材が充填された保冷材を、−10℃以下で凍結させ、食品等の輸送用容器200内に設置する。暑熱環境下にて、食品自体に多くの熱量が流入した場合に、この保冷具を用いることで、急激に熱量を奪うことができ、その後、一定温度、輸送用容器200内を一定温度に保つことが可能となる。
以上説明したように、第3の実施形態によれば、凍結温度を調整することによって、1つの保冷具(冷却材)で、状況に応じた適切な温度で保冷対象物を保冷することを可能とする。特に、保冷具を−10℃以下で凍結させることで、相対的に低い温度の融点が現れるため、保冷対象物を急冷することが可能となる。
[示温材について]
上記の蓄冷材、およびその蓄冷材を用いた蓄冷パックまたは輸送用容器に、示温材を用いることも有用である。示温材とは、温度によって色が変わる材料である。温度帯、色、形態など様々な種類がある。示温材の現時点での販売形態は、表1の通りである。
Figure 0006864742
表2は、市販されている示温材の変色温度の一例を示す表である。例えば、表2のNo.6、7、9の示温材を実施例1の蓄冷材に用いた場合、低融点成分由来の温度帯ではNo.6の示温材が、高融点成分由来の温度帯ではNo.7の示温材が、冷却性能終了の温度帯ではNo.10の示温材が変色することにより、現在の温度帯を視覚的に把握することが可能となる。このように、蓄冷材が温度に応じて示温材が変色することにより、蓄冷材の温度状態を視覚的に把握することが可能となる。
Figure 0006864742
(A)本発明の一態様は、以下のような態様を採ることが可能である。すなわち、本発明の一態様に係る蓄冷材は、所定温度で相変化する蓄冷材であって、水と、セミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、過冷却を抑制する過冷却抑制剤と、を有し、過冷却を抑制する過冷却抑制剤と、を有する。
この構成により、凍結時の温度帯によって1または複数の融点を有するので、用途に応じて凍結温度を変化させ、蓄冷材をユーザの所望の融点となるよう設定することが可能となる。また、セミクラスレートハイドレートを形成する主剤を用いることで、大きな潜熱のエネルギーを利用することが可能となる。
(B)また、本発明の一態様に係る蓄冷材において、前記過冷却抑制剤は、正の水和を示すカチオンを生じる発核剤と、アルカリ性を維持するpH調整剤と、を有する。
この構成により、水溶液をアルカリ性に維持することで、正の水和を示すカチオンを生成できる。カチオンによって、凝固温度が高くなり、凝固温度と融解温度との差を小さくすることが可能となる。その結果、過冷却抑制の効果を向上させることが可能となる。
(C)また、本発明の一態様に係る蓄冷材において、前記主剤は、臭化テトラブチルアンモニウムであり、前記発核剤は、リン酸水素二ナトリウムの無水物または水和物であり、前記pH調整剤は、炭酸ナトリウムであり、−10℃以下で凍結させた場合、第1の融点および前記第1の融点とは異なる第2の融点を有する。
この構成により、−10℃以下で凍結させることで、第1の融点を有する低融点成分と、低融点成分よりも高い第2の融点を有する高融点成分が生成され、第1の融点を有する低融点成分による急冷効果を得ることが可能となる。また、炭酸ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムの無水物または水和物の両方を含めることで、安定的に蓄冷材を凝固させることができる。主剤の潜熱のエネルギーを低下させることなく、過冷却抑制の効果を向上させることが可能となる。
(D)また、本発明の一態様に係る蓄冷材において、水および臭化テトラブチルアンモニウムからなる水溶液の濃度が30wt%以上35wt%以下であり、前記リン酸水素二ナトリウムの無水物または水和物の前記水溶液に対する重量比が2.5%であり、前記炭酸ナトリウムの前記水溶液に対する重量比が2.0%である。
このように、水および臭化テトラブチルアンモニウムからなる水溶液の濃度、並びに、この水溶液に対する各材料の重量比を設定し、凍結温度を変えることによって、1の融点または2つの融点を有する蓄冷材を生成することが可能となる。
(E)また、本発明の一態様に係る蓄冷材において、前記主剤は、臭化テトラブチルアンモニウムであり、前記過冷却抑制剤は、四ホウ酸ナトリウムの無水物または水和物であり、−5℃以下で凍結させた場合、第1の融点および前記第1の融点とは異なる第2の融点を有する。
この構成により、−5℃以下で凍結させることで、第1の融点を有する低融点成分と、低融点成分よりも高い第2の融点を有する高融点成分が形成され、第1の融点を有する低融点成分による急冷効果を得ることが可能となる。また、四ホウ酸ナトリウムを含めることで、安定的に蓄冷材を凝固させることができる。主剤の潜熱エネルギーを低下させることなく、過冷却抑制の効果を向上させることが可能となる。
(F)また、本発明の一態様に係る蓄冷材において、水および臭化テトラブチルアンモニウムからなる水溶液の濃度が30wt%以上38wt%以下であり、前記四ホウ酸ナトリウムの前記水溶液に対する重量比が2.0%である。
このように、水および臭化テトラブチルアンモニウムからなる水溶液の濃度、並びに、この水溶液に対する各材料の重量比を設定し、凍結温度を変えることによって、1の融点または2つの融点を有する蓄冷材を生成することが可能となる。
(G)また、本発明の一態様に係る蓄冷材において、−5℃または−10℃を超える温度で凍結させた場合、第2の融点のみを有する。
このように、−5℃または−10℃より高い温度で凍結させることによって、第2の融点を有する高融点成分のみが生成される。これにより、第2の融点を有する高融点成分による緩やかな冷却効果を得ることが可能となる。
(H)また、本発明の一態様に係る蓄冷パックは、(A)から(G)のいずれかに記載の蓄冷材および前記蓄冷材を覆う包装材からなる。
1種類の蓄冷材で2つの融点を有するため、用途に応じた融解温度で使用することが可能となる。つまり、保冷対象物を急冷したい場合は、蓄冷材を−5℃または−10℃以下で凍結させることで生成された低融点成分によって、急冷することができ、保冷対象物を徐々に冷やしたい場合は、蓄冷材を5℃で凍結させることで生成された高融点成分によって、徐々に冷やすことが可能となる。
本発明のいくつかの態様は、複数の融点を有する蓄冷材を用いることで、1つの冷却材(保冷具)で、状況に応じた適切な温度で保冷対象物を保冷することを可能とする蓄冷材および蓄冷パックなどに適用できる。

Claims (10)

  1. 所定温度で相変化する蓄冷材であって、
    水と、
    セミクラスレートハイドレートを形成する四級アンモニウム塩からなる主剤と、
    過冷却を抑制する過冷却抑制剤と、を有し、
    複数の融点を有し凍結時の温度帯に応じて現れる融点が異なる蓄冷材。
  2. 前記過冷却抑制剤は、
    正の水和を示すカチオンを生じる発核剤と、
    アルカリ性を維持するpH調整剤と、を有する請求項1記載の蓄冷材。
  3. 前記主剤は、臭化テトラブチルアンモニウムであり、
    前記発核剤は、リン酸水素二ナトリウムの無水物または水和物であり、
    前記pH調整剤は、炭酸ナトリウムであり、
    −10℃以下で凍結させた場合、第1の融点および前記第1の融点とは異なる第2の融点が現れる請求項2記載の蓄冷材。
  4. 水および臭化テトラブチルアンモニウムからなる水溶液の濃度が30wt%以上35wt%以下であり、
    前記リン酸水素二ナトリウムの無水物または水和物の前記水溶液に対する重量比が2.5%であり、
    前記炭酸ナトリウムの前記水溶液に対する重量比が2.0%である請求項3記載の蓄冷材。
  5. 前記発核剤は、12水和物のリン酸水素二ナトリウム水和物である請求項4記載の蓄冷材。
  6. 前記主剤は、臭化テトラブチルアンモニウムであり、
    前記過冷却抑制剤は、四ホウ酸ナトリウムの無水物または水和物であり、
    −5℃以下で凍結させた場合、第1の融点および前記第1の融点とは異なる第2の融点が現れる請求項1記載の蓄冷材。
  7. 水および臭化テトラブチルアンモニウムからなる水溶液の濃度が30wt%以上38wt%以下であり、
    前記四ホウ酸ナトリウムは5水和物であり、前記水溶液に対する重量比が2.0%である請求項6記載の蓄冷材。
  8. −10℃を超える温度で凍結させた場合、第2の融点のみが現れる請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の蓄冷材。
  9. −5℃を超える温度で凍結させた場合、第2の融点のみが現れる請求項6または7に記載の蓄冷材。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の蓄冷材および前記蓄冷材を覆う包装材からなる蓄冷パック。
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