JP7013616B1 - 潜熱蓄熱材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】包接水和物系の潜熱蓄熱材に対し、融解温度との温度差をより小さく抑えた凝固温度で、過冷却抑制効果を発揮することができる潜熱蓄熱材組成物を提供する。【解決手段】潜熱蓄熱材組成物1は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、包接水和物が用いられ、潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤20を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材10は、水10AとTBAB10Bを、主成分に含む包接水和物であること、添加剤20は、融液状態にある潜熱蓄熱材10に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質である。【選択図】図1

Description

本発明は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、この潜熱蓄熱材の過冷却現象を抑える添加剤を配合した潜熱蓄熱材組成物に関する。詳しくは、潜熱蓄熱材を、ホスト物質に対し、ゲスト物質の包接またはその解除を伴う包接水和物とした潜熱蓄熱材組成物に関する。
潜熱蓄熱材(PCM:Phase Change Material)は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱または放熱を行う物性を有しており、予め排熱等の熱を蓄熱し、蓄えた熱を必要に応じて取り出すことで、エネルギが無駄なく有効に活用できる。潜熱蓄熱材の中でも、包接水和物をなす蓄熱材の一例として、TBAB包接水和物は、広く知られている。TBAB包接水和物は、水と、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetrabutylammonium Bromide)(以下、「TBAB」と称する場合もある)とを含む包接水和物である。
ところで、潜熱蓄熱材には、融液状態から凝固点以下に冷却しても結晶化しない過冷却現象が生じてしまうことがあり、特にTBAB包接水和物では、このような過冷却現象が顕著に生じ易いことも良く知られている。過冷却現象が発現すると、一度融解した潜熱蓄熱材は、融液状態のまま凝固せず、潜熱の蓄熱とその放熱を繰り返し行うことが不可能になってしまう。このような過冷却現象を防ぐため、一般的には、例えば、特許文献1のように、過冷却防止剤が、潜熱蓄熱材と共に配合される。過冷却防止剤は、融液状態にある潜熱蓄熱材の結晶化の誘起を促す添加剤(核生成材)である。
特許文献1は、水と臭化テトラnブチルアンモニウムを主成分に、過冷却防止剤として、結晶性層状ケイ酸化合物の一種である二ケイ酸ナトリウム(NaO・2SiO)を添加した蓄熱材組成物である。特許文献1では、TBABを濃度40wt%、調和融点12℃に調整したTBABハイドレート(TBAB包接水和物)の場合、二ケイ酸ナトリウムは、含有量2000ppmで、TBABハイドレートの結晶化を7℃(過冷却度5℃)で開始することができる一方、TBABハイドレートに添加されていても、TBABハイドレートの融点は、変化しないとされている。
特開2019-19151号公報
特許文献1のように、潜熱蓄熱材をTBABハイドレートとした蓄熱材組成物による蓄冷材で、例えば、果実や野菜、乳製品等の生鮮食品を、保冷して運搬したいという需要がある。生鮮食品の場合、10~15℃以下の温度管理下で、生鮮食品を運搬しなければならないが、凝固点が零度を大幅に下回る蓄冷材を使用して、生鮮食品を保冷すると、生鮮食品は冷え過ぎてしまう。特に青果物は、過度な冷却で凍結すると、青果物の細胞は破壊してしまい、融解後には、青果物の品質が急激に低下するという問題等がある。
それ故に、生鮮食品を蓄冷材で保冷する場合、配送業者等は運搬時に、生鮮食品を必要以上に冷やさず、保冷時に零度を大幅に下回ることのない蓄冷材を求めていた。その一方で、特許文献1では、TBABハイドレートの結晶化は、二ケイ酸ナトリウムの添加により、融点を変化させず、数℃程の温度差で開始されるが、図3~図7に示されているように、TBABハイドレートの凝固ピーク温度は、概ね-9℃前後となっている。そのため、特許文献1の蓄熱材組成物が、生鮮食品の保冷材として用いられると、生鮮食品を必要以上に冷やし過ぎてしまう虞がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、包接水和物系の潜熱蓄熱材に対し、融解温度との温度差をより小さく抑えた凝固温度で、過冷却抑制効果を発揮することができる潜熱蓄熱材組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、以下の構成を有する。
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、包接水和物が用いられ、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、前記潜熱蓄熱材は、水と、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetrabutylammonium Bromide)を、主成分に含む包接水和物であること、前記添加剤は、融液状態にある前記潜熱蓄熱材に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質であること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)、ケイ酸三カルシウム(Tricalcium silicate)、またはケイ酸カルシウム水和物のうち、少なくともいずれかの物質であること、を特徴とする。
(3)(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)であること、を特徴とする。
(4)(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記結晶質物質は、珪灰石グループまたはトバモライトグループに分類されるケイ酸カルシウム水和物であること、を特徴とする。
(5)(4)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記ケイ酸カルシウム水和物は、ゾノトライト(Xonotlite)(6CaO・6SiO・HO)、またはトバモライト(Tobermorite)(5CaO・6SiO・5HO)であること、を特徴とする。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記潜熱蓄熱材に含有する臭化テトラnブチルアンモニウムの割合は、30wt%以上、かつ50wt%以下であること、を特徴とする。
上記構成を有する本発明の潜熱蓄熱材組成物の作用・効果について説明する。
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、包接水和物が用いられ、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材は、水と、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetrabutylammonium Bromide)を、主成分に含む包接水和物であること、添加剤は、融液状態にある潜熱蓄熱材に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質であること、を特徴とする。
この特徴により、潜熱蓄熱材が、過冷却現象を発現し易い物性のTBAB包接水和物であっても、過冷却防止剤は、結晶化に必要な潜熱蓄熱材の核生成に積極的に寄与するため、潜熱蓄熱材に対し、過冷却現象の発現を抑止することができる。しかも、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、零度を大幅に下回ることなく、融解温度との温度差を、例えば、概ね10℃以内と、より小さく抑えた温度で、凝固を開始することができる上、安定した蓄熱・放熱性能を有しているため、蓄熱とその放熱のサイクルを、複数回繰り返し使用することが可能である。
従って、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物によれば、包接水和物系の潜熱蓄熱材に対し、融解温度との温度差をより小さく抑えた凝固温度で、過冷却抑制効果を発揮することができる、という優れた効果を奏する。
(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)、ケイ酸三カルシウム(Tricalcium silicate)、またはケイ酸カルシウム水和物のうち、少なくともいずれかの物質であること、を特徴とする。また、(3)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)であること、を特徴とする。
この特徴により、潜熱蓄熱材は、例えば、零度を挟み、±概ね2℃の範囲内で凝固を開始するようになる。そのため、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物では、潜熱蓄熱材は、その融点の温度差を、例えば、数℃程度に抑えて凝固することから、冷却に過大なエネルギを投入することなく、簡便に、かつ安定的に潜熱の蓄熱と放熱を繰り返すことができる。また、結晶質物質が、特に、メタケイ酸カルシウムである場合には、潜熱蓄熱材は、概ね2~5℃で凝固を開始するようになる。
(4)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、結晶質物質は、珪灰石グループまたはトバモライトグループに分類されるケイ酸カルシウム水和物であること、を特徴とする。また、(5)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、ケイ酸カルシウム水和物は、ゾノトライト(Xonotlite)(6CaO・6SiO・HO)、またはトバモライト(Tobermorite)(5CaO・6SiO・5HO)であること、を特徴とする。
この特徴により、潜熱蓄熱材は、例えば、-2~-3℃で凝固を開始するようになる。
(6)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材に含有する臭化テトラnブチルアンモニウムの割合は、30wt%以上、かつ50wt%以下であること、を特徴とする。
この特徴により、例えば、果実や野菜、乳製品等の生鮮食品はじめ、自動車やビル向けの空気調和装置等を対象に、例えば、10℃以下で、かつ零度近傍の温度帯で対象物を冷す蓄冷材として、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、使用することができる。
実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の構成成分を模式的に示す図である。 実施例1~4、及びその比較例1,2に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを複数サイクルで繰り返す実験で、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤をメタケイ酸カルシウムとした実験1に対し、条件と1サイクル分の放熱結果をまとめて掲載した表である。 図2に続き、実験1の放熱結果を示すグラフである。 図2に示す実験1の再現性を確認する目的で、全て交換した試料で再度行った実験1に対し、複数サイクルのうち、最初の4サイクル分について、蓄熱とその放熱の挙動を示すグラフである。 図4中、A部を拡大し、1サイクル目だけの放熱の挙動を示すグラフである。 図4中、B部を拡大し、1サイクル目だけの蓄熱の挙動を示すグラフである。 実施例1、及びその比較例1,3,4に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを複数サイクルで繰り返す実験で、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤を、比較例3,4で層状ケイ酸ナトリウムとした実験2に対し、複数サイクルのうち、最初の4サイクル分について、蓄熱とその放熱の挙動を示すグラフである。 図7中、C部を拡大し、1サイクル目だけの放熱の挙動を示すグラフである。 図7中、D部を拡大し、1サイクル目だけの蓄熱の挙動を示すグラフである。 実験3で、実施例5、及びその比較例5~7に係る潜熱蓄熱材組成物に対し、実験条件と、DSC測定による凝固ピーク温度、その直後の蓄熱量、及び蓄熱挙動のピーク数に関する結果を、まとめて掲載した表であり、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤に、メタケイ酸カルシウム(実施例5)、四ホウ酸ナトリウム十水和物(比較例5)、リン酸水素二ナトリウム十二水和物(比較例6)を用いた場合の実験結果を示す表である。 図10に続き、実験3の結果を示すグラフである。 実験4で、実施例6、及びその比較例8~10に係る潜熱蓄熱材組成物に対し、実験条件と、DSC測定による凝固ピーク温度、その直後の蓄熱量、及び蓄熱挙動のピーク数に関する結果を、まとめて掲載した表であり、TBAB30wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤に、メタケイ酸カルシウム(実施例6)、四ホウ酸ナトリウム十水和物(比較例8)、リン酸水素二ナトリウム十二水和物(比較例9)を用いた場合の実験結果を示す表である。 図12に続き、実験4の結果を示すグラフである。 実施例1,7~10、及びその比較例1に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを複数サイクルで繰り返す実験で、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤を、メタケイ酸カルシウム(実施例1)及びケイ酸カルシウム水和物(実施例7~10)とした実験5に対し、複数サイクルのうち、最初の4サイクル分について、蓄熱とその放熱の挙動を示すグラフである。
以下、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物について、実施形態(実施例1~10)を図面に基づいて、詳細に説明する。本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、包接水和物からなる潜熱蓄熱材に、この潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなり、蓄熱材収容手段に漏れのない態様で、液密かつ気密に充填して使用される。潜熱蓄熱材組成物は、熱供給源から提供された熱を潜熱蓄熱材に一時的に蓄えた後、熱需要先で、潜熱蓄熱材に蓄えた潜熱による熱エネルギを、その時間差をもって活用でき、蓄えた潜熱は、必要に応じて取り出すことができる。潜熱蓄熱材組成物は、蓄熱とその放熱のサイクルを、複数回繰り返して使用することができる。
潜熱蓄熱材は、前述したように、包接水和物である。包接水和物をなす主成分は、水と、第四級アンモニウム塩のうち、その分子構造の一部が籠状構造の包接水和物の構成要素となる包接水和物生成物質である。すなわち、包接水和物生成物質と水により形成される包接水和物とは、水分子が、水素結合をなして三次元的な籠状の結晶構造を形成し、構成された空間内に包接水和物生成物質の構造の一部を取り込むと共に、包接水和物生成物質の別の部位が、水分子との間に水素結合をなして、籠状構造の一部をなしたものである。
具体的には、包接水和物生成物質は、第四級アンモニウム塩に属する種々の物質の中でも、例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)等のほか、分子式 NR4+(R;アルキル基、アリール基)のように、常に正電荷を帯電した第四級アンモニウムカチオンと、例えば、臭素化物イオン、ヨウ化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオンに挙げられるアニオンとより、臭化物塩、ヨウ化物塩、塩化物塩、フッ化物塩等の塩をなすほか、分子内塩を含む化合物を対象としている。
添加剤は、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質である。結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)、ケイ酸三カルシウム(Tricalcium silicate)、またはケイ酸カルシウム水和物のうち、少なくともいずれかの物質である。
メタケイ酸カルシウム(CaSiO)は、無水物で、分子量[g/mol](116.16)、融点1540℃、密度2.9[g/cm]、融点より低い温度では、三斜晶系の結晶構造をなす白色の固体で、水に不溶な物性である。ケイ酸三カルシウム(3CaSiO)は、無水物で、分子量[g/mol](228.32)、三斜晶系の結晶構造、水に不溶な物性である。
また、ケイ酸カルシウム水和物では、結晶質物質は、珪灰石グループまたはトバモライトグループに分類される物質である。珪灰石グループに分類される物質として、例えば、ゾノトライト(Xonotlite)は、酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)を、組成比6:6:1で構成した示性式[Ca・(Si17)(OH)]の物質である。ゾノトライト(一般名;ゾノトライト系けい酸カルシウム粉体)は、充填密度約0.08~0.21[g/cm]、白色の粉末で、不燃、水に不溶な物性である。ゾノトライトの晶癖は、繊維(針)状である。
なお、珪灰石グループに分類されるケイ酸カルシウム水和物には、ゾノトライト以外にも、酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)とを、組成比3:6:7で構成してなる示性式[Ca(Si15)・7HO]のネコイテ(Nekoite)がある。酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)とを、組成比5:9:9で構成してなる示性式[Ca10(Si16) (Si15)・18HO]のオケナイト(Okenite)がある。酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)を、組成比4:3:1で構成してなる示性式[Ca(Si)(OH)]のフォシャギテ(Foshagite)がある。酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)とを、組成比9:6:11で構成してなる示性式[Ca(Si18)(OH)・6HO]のジェニテ(Jennite)がある。酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)とを、組成比2:1:1で構成してなる示性式[Ca(SiO)(OH)]のヒレブランダイト(Hillebrandite)等がある。
他方、ケイ酸カルシウム水和物のうち、トバモライトグループに分類される物質は、例えば、トバモライト(Tobermorite)等である。トバモライト(一般名;トバモライト系けい酸カルシウム粉体 )は、充填密度約0.05~0.35[g/cm]、白色の粉末で、不燃、水に不溶な物性である。トバモライトは2種あり、一種は、酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)とを、組成比5:6:5で構成してなる示性式[Ca・(Si18)・4HO]の11nmトバモライトである。11nmトバモライトの晶癖は、短冊(板)状である。
もう一種は、酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)と水(HO)とを、組成比5:6:9で構成してなる示性式[Ca・(Si18)・8HO]の14nmトバモライトである。14nmトバモライトの晶癖は、繊維状である。
その他、トバモライトグループに分類される物質には、例えば、示性式[0.8≦Ca/Si≦1.5]で表され、箔状の晶癖をなすC・S・H(I)や、示性式[1.5≦Ca/Si≦2.0]で表され、繊維束状の晶癖をなすC・S・H(II)等を挙げることができる。
さらに、ケイ酸カルシウム水和物として、珪灰石グループやトバモライトグループ以外にも、例えば、ジャイロライトグループに分類される物質を挙げることができる。ジャイロライトグループに分類される物質の一例として、示性式[Ca16(Si20)(OH)・14HO]で表され、層状の晶癖をなすジャイロライト(Gyrolite)がある。また、示性式[Ca14(Si20)(Si1638)・2HO]で表され、層状の晶癖をなすトラスコリット(Truscottite)がある。また、示性式[Ca(Si20)・14HO]で表され、層状の晶癖をなすZ相(Z‐phase)等がある。
次に、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の構成成分を模式的に示す図である。図1に示すように、潜熱蓄熱材組成物1は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、この潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤を配合してなる。
潜熱蓄熱材10は、水10Aと、包接水和物生成物質として、本実施形態では、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetrabutylammonium Bromide)(TBAB10B)を、主成分に含む包接水和物である。添加剤は、融液状態にある潜熱蓄熱材10に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤20であり、過冷却防止剤20は、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質である。
具体的に説明する。TBAB10B(化学式;C1636BrN)は、無水物で、分子量[g/mol]322.37、融点103℃、融点より低い温度では、白色の固体で、水に可溶な物性である。TBAB10Bは、水10Aと共に包接水和物を生成し、水10AとTBAB10Bにより生成されたTBAB包接水和物が、潜熱蓄熱材10である。TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)全体に占めるTBAB10Bの含有割合は、本実施形態では、30~40wt%である。
このような潜熱蓄熱材10では、固相から液相への相変化温度(融点)は、水10Aとの混合割合に応じて変化するものの、概ね5~12℃である。その一方、潜熱蓄熱材10単体では、一般的に過冷却現象が著しく生じ易く、液相から固相への相変化温度(凝固点)は、氷点下10℃近傍、またはそれより低くなることもある。
過冷却防止剤20は、本実施形態では、メタケイ酸カルシウム(過冷却防止剤20A)、11nmトバモライト(過冷却防止剤20B)、ゾノトライト(過冷却防止剤20C)、及びの3種である。
本出願人は、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1の有意性を検証する目的で、潜熱蓄熱材10における過冷却現象の解除にあたり、過冷却防止剤20の効果を検証するための実験を、全部で5つ(実験1~5)行った。以下、実験1から順に説明する。
(実験1)
実験1は、実施例1~4に係る潜熱蓄熱材組成物1と、比較例1に係る潜熱蓄熱材組成物と、比較例2に係る潜熱蓄熱材を、それぞれ蓄熱材毎にアルミラミネート袋に封入したサンプルを用いて、蓄熱材毎に過冷却現象の解除を確認する実験である。なお、実験1は、その再現性を確認する目的で2回実施されたが、2回目に行った実験1は、1回目で使用した試料を、全て新しい試料に交換して行われており、この試料の交換以外の条件は、2回とも同じである。
<実験方法>
実験1では、前処理として、実施例1~4、及び比較例1,2に対し、潜熱蓄熱材組成物1等(試料)がそれぞれ、完全に融解した融液状態になっていることを確認後、実施例1~4、及び比較例1,2のそれぞれで、試料50g(比較例1は30g)をアルミラミネート袋に充填し、液密状態に封入した試料入パックを、サンプルとして全6種作製した。熱電対を試料入パック表面に貼付した状態で、実施例1~4、及び比較例1,2とも、試料入パックを、恒温槽内に密閉状態で設置した。そして、試料入パック内の潜熱蓄熱材組成物1等が実験開始時に20℃となるよう、恒温槽内の雰囲気温度を調節した。なお、実験開始以降、恒温槽内の雰囲気温度は、設定された温度制御プログラムに基づく制御により、試料入パックの温度は管理されている。
前処理後、恒温槽内で、大気圧の下、表面に熱電対を貼付した試料入パックに対し、低温側保温プロセスまたは高温側保温プロセスを介して、1サイクル内にある昇温プロセスと降温プロセスとを、交互に複数サイクル(本実施形態では4サイクル)繰り返することにより、試料入パック内の潜熱蓄熱材組成物1等の相変化に伴う潜熱の蓄熱とその放熱の挙動を観察した。併せて、実験1では、1サイクル目の降温・昇温プロセスについて、潜熱蓄熱材組成物1等の凝固開始温度、融解開始温度の測定も行った。
具体的には、実験開始後、試料入パックを3時間、20℃(高温側保持温度)に保温(高温側保温プロセス)した後、降温プロセスを実施。降温プロセスでは、恒温槽内の雰囲気温度を制御することにより、高温側保持温度20℃に保温されていた試料入パックの潜熱蓄熱材組成物1等を、-20℃になるまで降温速度10℃/h.で冷却した。降温プロセスの後、低温側保温プロセスでは、恒温槽内で試料入パックを3時間、-20℃(低温側保持温度)に保温して、試料を完全に固化させた。
3時間経過後、昇温プロセスでは、恒温槽内の雰囲気温度を制御することにより、試料入パック内の潜熱蓄熱材組成物1等を、-20℃から20℃になるまで昇温速度10℃/h.で加熱した。昇温プロセスの後、高温側保温プロセスでは、恒温槽内で試料入パックを3時間、20℃(高温側保持温度)に保温した。このような降温プロセスから低温側保温プロセス、昇温プロセスを経て、高温側保温プロセスに至るまでの一連のプロセスを、1サイクルとした。
ところで、実験1では、前述の通り、1サイクルを遂行する間に、降温プロセスの実施にあたり、その直前の高温側保温プロセスで試料入パックを3時間、高温側保持温度に保温したほか、昇温プロセスの実施に向けて、その直前の低温側保温プロセスで、試料入パックを3時間、低温側保持温度に保温して、試料入パックを静置し続けた。このように、試料入パックを3時間、高温側保温プロセスと低温側保温プロセスで静置した理由は、試料入パック内の試料を、降温プロセス前に完全に融解させた状態にしておくと共に、昇温プロセス前に完全に凝固させた状態にしておくためであり、試料入パックが3時間保温され続ければ、試料は、完全な融解状態、または完全な凝固状態に、十分なし得るからである。それ故に、試料の不完全な融解や凝固に起因した誤差要因、異常値等を完全に排除し、過大または過小な評価となる結果を回避した下で、実験1は実施されている。
続く2サイクル目では、3時間経過後、高温側保持温度20℃に保温されていた試料入パック内の潜熱蓄熱材組成物1等を、-20℃になるまで降温速度10℃/h.で冷却した後、試料入パックを3時間、低温側保持温度-20℃に保温した。そして、-20℃から20℃になるまで昇温速度10℃/h.で、試料入パック内の潜熱蓄熱材組成物1等を加熱した後、1サイクル目と同様に、試料入パックを3時間、高温側保持温度20℃で保温した。3サイクル目以降でも、このような2サイクル目の降温・昇温プロセスを、繰り返し連続で行った。
また、各試料入パックとも、グラフ化した1サイクル目の降温・昇温プロセスに基づいて、降温プロセス中に、液相から固相に変化し始めるときの温度(凝固開始温度)と、昇温プロセス中に、固相から液相に変化し始めるときの温度(融解開始温度)を、熱電対で検知して確認した。
<実施例1~4、及び比較例1の共通条件>
・潜熱蓄熱材10;水10AとTBAB10Bとの包接水和物
・潜熱蓄熱材10に占めるTBAB10Bの含有割合;40wt%(水10A:TBAB10B=2:3)
・潜熱蓄熱材10の融点;12℃
<実施例1~4の条件>
・過冷却防止剤20;メタケイ酸カルシウム(CaSiO)(過冷却防止剤20A)
・過冷却防止剤20Aの仕様;製品名「けい酸カルシウム」(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・潜熱蓄熱材組成物1A(1)の構成;潜熱蓄熱材10と過冷却防止剤20A
・潜熱蓄熱材組成物1Aに占める過冷却防止剤20Aの含有割合;1wt%(実施例1)、3wt%(実施例2)、5wt%(実施例3)、10wt%(実施例4)
<比較例1,2の条件>
・過冷却防止剤;配合せず
<比較例2の条件>
・潜熱蓄熱材;純水100wt%
<実験1の結果>
図2は、実施例1~4、及びその比較例1,2に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを複数サイクルで繰り返す実験で、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤をメタケイ酸カルシウムとした実験1に対し、条件と1サイクル分の放熱結果をまとめて掲載した表である。図3は、図2に続き、実験1の放熱結果を示すグラフである。図4は、2回目に行った実験1に対し、複数サイクルのうち、最初の4サイクル分について、蓄熱とその放熱の挙動を示すグラフである。図5は、図4中、A部を拡大し、1サイクル目だけの放熱の挙動を示すグラフである。図6は、図4中、B部を拡大し、1サイクル目だけの蓄熱の挙動を示すグラフである。
図3~図5に示すグラフでは、降温プロセスにおいて、恒温槽内の雰囲気温度は、冷却制御の下で、時間の経過共に、降温速度10℃/h.で下限-20℃になるまで、略線形性を有した挙動で変化しながら下降した。試料の温度は、恒温槽内の冷却開始以降、雰囲気温度の変動と同様、略線形性を有した挙動で変化しながら下降した。
しかしながら、試料によっては、試料の温度が、下限-20℃に向かう途上の温度域になると、雰囲気温度変化の挙動から外れて変化し始め、時間が経過しても、しばらくの間、試料の温度は、それまでの変化のように下降せず、概ね一定の温度を維持した状態(潜熱放熱現象)を経ながら、恒温槽内の温度変化に追従しない挙動で温度変化した。実験1では、変化し続ける温度推移の中で、潜熱放熱現象の発現により、試料の温度が、それまで概ね等価であった雰囲気温度と離れ始めた時刻tを基に、時刻tに対応する温度Trを、試料の「凝固開始温度」と定義している。
実験1の1回目の結果を、図2及び図3に示す。図2及び図3に示すように、1サイクル目の降温プロセスにおいて、実施例1の場合、凝固開始温度Tr1は5.1℃であった。また、実施例2の場合、凝固開始温度Tr2は5.3℃であった。また、実施例3の場合、凝固開始温度Tr3は3.6℃であった。また、実施例4の場合、凝固開始温度Tr4は2.3℃であった。これに対し、比較例1では、凝固開始温度Tr5は-2.7℃であった。比較例2の場合、凝固開始温度Tr6は-4.6℃であった。
また、図4及び図6に示すグラフでは、昇温プロセスにおいて、恒温槽内の雰囲気温度は、加熱制御の下で、時間の経過共に、昇温速度10℃/h.で上限20℃になるまで、略線形性を有した挙動で変化しながら上昇した。試料入パック内の潜熱蓄熱材組成物1等(試料)の温度は、恒温槽内の加熱開始以降、雰囲気温度の変動と同様、略線形性を有した挙動で変化しながら上昇した。
しかしながら、試料の温度が、上限20℃に近づいた高温域になると、雰囲気温度の変化挙動から外れて変化し始め、時間が経過しても、しばらくの間、試料の温度は、それまでの変化のように上昇せず、概ね一定の温度を維持した状態(潜熱蓄熱現象)を経ながら、恒温槽内の温度変化に追従しない挙動で温度変化した。実験1では、変化し続ける温度推移の中で、潜熱蓄熱事象の発現により、試料の温度が、それまで概ね等価であった雰囲気温度と離れ始めた時刻tを基に、時刻tに対応する温度Teを、試料の「融解開始温度」と定義している。
実験1の2回目の結果を、図4~図6に示す。図4及び図5に示すように、1サイクル目の降温プロセスにおいて、実施例1の場合、凝固開始温度Tr7は0℃であった。また、実施例2の場合、凝固開始温度Tr8は0.5℃であった。また、実施例3の場合、凝固開始温度Tr9は1.0℃であった。また、実施例4の場合、凝固開始温度Tr10は0.6℃であった。これに対し、比較例1では、凝固開始温度Tr11は-5.5℃であった。また、比較例2の場合、凝固開始温度Tr12は-10.0℃であった。
また、1サイクル目の昇温プロセスにおいて、実施例1の場合である融解開始温度Te1と、実施例2の場合である融解開始温度Te2と、実施例3の場合である融解開始温度Te3と、実施例4の場合である融解開始温度Te4は、何れも12.0℃であった。これに対し、比較例1でも、融解開始温度Te5は、12.0℃であった。比較例2の場合では、融解開始温度Te6は、1.0℃であった。
<実験1の考察>
2回の実験1の実施により、1回目に計測された凝固開始温度の値と、2回目に計測された凝固開始温度の値との差が、実施例1~4、及びその比較例1,2とも、対応する同じ実施例同士または比較例同士で、約2~5℃となった。理由は定かでないが、潜熱蓄熱材組成物1または潜熱蓄熱材10等において、高温側保持温度20℃に保温していた高温側保温プロセスから移行して、融解温度より低い-20℃まで冷却する降温プロセス下の状態になると、2回の実験とも、潜熱蓄熱材組成物1等において、潜熱放熱の挙動を示す事象は、明らかに確認できている。
しかしながら、2回の計測値とも、比較例1で過冷却防止剤を含有していない潜熱蓄熱材10や、比較例2でTBAB10Bを含有しない水10Aだけの潜熱蓄熱材では双方とも、凝固開始温度Tr5,6,11,12は、零度を下回っている。これは、過冷却防止剤を添加していないために、潜熱蓄熱材等で発現した過冷却現象が、零度を下回る温度になるまで解除できなかったためであると考えられる。
これに対し、メタケイ酸カルシウムとする過冷却防止剤20Aを含有した実施例1~4では、2回の計測値とも、過冷却防止剤20Aの含有割合に依らず全て、凝固開始温度Tr1~4、7~10は、零度を上回っており、比較例1,2の場合に比して、数~十℃程高くなっている。つまり、実施例1~4に係る潜熱蓄熱材組成物1は、比較例1,2に係る潜熱蓄熱材と比べ、少なくとも5℃以上の高い温度で凝固を開始している。
このように、比較例1,2より5℃以上も高い温度で凝固開始が生じたのは、潜熱蓄熱材組成物1に配合した過冷却防止剤にメタケイ酸カルシウムを含有しているためだと推察される。すなわち、このメタケイ酸カルシウム(過冷却防止剤20A)により、水10AとTBAB10Bとの包接水和物である潜熱蓄熱材10において、結晶化の誘起を促す核生成が、過冷却防止剤20Aによって活発的に生じ得ているからだと考えられる。但し、過冷却防止剤がメタケイ酸カルシウムであることによって、潜熱蓄熱材10の結晶化を促すメカニズム等の理由については、現段階で解明できていない。
また、実験1の結果では、実施例1~4、及びその比較例1,2とも、潜熱蓄熱材組成物1または潜熱蓄熱材10等において、低温側保持温度-20℃に保温していた低温側保温プロセスから移行して、融解温度より高い20℃まで加熱する昇温プロセス下の状態になると、2回の実験とも、潜熱蓄熱材組成物1等から潜熱蓄熱の挙動は、確認できている。すなわち、実施例1~4、及びその比較例1,2では、融解開始温度は、潜熱蓄熱材組成物1または潜熱蓄熱材10等に対し、その融点に概ね一致した温度になっている。このことから、実施例1~4では、潜熱蓄熱材10の過冷却防止剤20をメタケイ酸カルシウムとしても、潜熱蓄熱材組成物1は、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回、安定して繰り返すことができる物性であることが判る。
(実験2)
実験2は、実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物1A(1)と、比較例1,3,4に係る潜熱蓄熱材組成物を、それぞれ蓄熱材毎にアルミラミネート袋に封入したサンプルを用いて、蓄熱材毎に過冷却現象の解除を確認する実験である。実験2は、実験1の試料と異にするが、実験1と同様の実験方法で行われた。
<実施例1、及び比較例1,3,4の共通条件>
・潜熱蓄熱材10;水10AとTBAB10Bとの包接水和物
・潜熱蓄熱材10に占めるTBAB10Bの含有割合;40wt%(水10A:TBAB10B=2:3)
・潜熱蓄熱材10の融点;12℃
<実施例1の条件>
・過冷却防止剤20;メタケイ酸カルシウム(CaSiO)(過冷却防止剤20A)
・潜熱蓄熱材組成物1Aの構成;潜熱蓄熱材10と過冷却防止剤20A
・潜熱蓄熱材組成物1A全体に占める過冷却防止剤20Aの含有割合;1wt%
<比較例1の条件>
・過冷却防止剤;配合せず
<比較例3,4の条件>
・過冷却防止剤;結晶性層状二ケイ酸ナトリウム(NaO・2SiO
・潜熱蓄熱材組成物全体に占める過冷却防止剤の含有割合;1wt%
<比較例3の条件>
・過冷却防止剤の仕様;製品名「プリフィード 粉末品」(株式会社トクヤマ製)、白色粉末、嵩密度520[g/l]、平均粒径75[μm]、含水率0.2[%](720℃・1Hr)
<比較例4の条件>
・過冷却防止剤の仕様;製品名「プリフィード 顆粒品」(株式会社トクヤマ製)、白色固体、嵩密度860[g/l]、平均粒径715[μm]、含水率2.1[%](720℃・1Hr)
<実験2の結果>
図7は、実施例1、及びその比較例1,3,4に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを複数サイクルで繰り返す実験で、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤を、比較例3,4で層状ケイ酸ナトリウムとした実験2に対し、複数サイクルのうち、最初の4サイクル分について、蓄熱とその放熱の挙動を示すグラフである。図8は、図7中、C部を拡大し、1サイクル目だけの放熱の挙動を示すグラフである。図9は、図7中、D部を拡大し、1サイクル目だけの蓄熱の挙動を示すグラフである。
実験2の結果を、図7~図9に示す。図7及び図8に示すように、1サイクル目の降温プロセスにおいて、実施例1の場合、凝固開始温度Tr13は0℃であった。これに対し、比較例1では、凝固開始温度Tr14は-4.0℃であった。また、比較例3の場合、凝固開始温度Tr15は、-1.8℃であった。比較例4の場合、凝固開始温度Tr16は2.0℃であった。
また、図7及び図9に示すように、1サイクル目の昇温プロセスにおいて、実施例1の場合、融解開始温度Te7は12.0℃であった。これに対し、比較例1では、融解開始温度Te8は13.0℃であった。また、比較例3の場合である融解開始温度Te9と、比較例4の場合である融解開始温度Te10は、双方とも11.0℃であった。
<実験2の考察>
実験2の結果では、実施例1、及び比較例1,3,4とも、潜熱蓄熱材組成物1等または潜熱蓄熱材10において、高温側保持温度20℃に保温していた高温側保温プロセスから移行して、融解温度より低い-20℃まで冷却する降温プロセス下の状態になると、潜熱蓄熱材組成物1等から潜熱放熱の挙動は、確認できている。しかしながら、実験2の場合、比較例1の潜熱蓄熱材10では、放熱の挙動は顕著に生じたものの、凝固開始温度Tr14は、零度を下回る-4.0℃である。これは、添加剤として過冷却防止剤を含有していないために、潜熱蓄熱材10での過冷却現象が、-4.0℃になって解除され始め、かつ遅くにして生じた過冷却解除により、潜熱蓄熱材10の結晶化が、添加剤による阻害を受けることなく進行したものと推察される。
また、過冷却防止剤として、前述した特許文献1のように、結晶性層状二ケイ酸ナトリウムを含有した比較例3,4の場合、比較例3の凝固開始温度Tr15は-1.8℃で、比較例4の凝固開始温度Tr16は2℃であり、比較例1の場合に比して、2~4℃程高くなっている。これは、結晶性層状二ケイ酸ナトリウムが、潜熱蓄熱材10での過冷却解除に寄与しているためと考えられる。
しかしながら、比較例4の場合、凝固開始温度Tr16は、実施例1の凝固開始温度Tr13より2℃程高くなっているものの、過冷却解除に伴う放熱挙動とそのピークの大きさは、実施例1の場合に比して明らかに小さくなっており、潜熱放熱の熱量は、実施例1の場合より小さいと推察される。また、比較例3では、凝固開始温度Tr15は、実施例1の凝固開始温度Tr13より約2℃程低くなっている上に、比較例4と同様、過冷却解除に伴う放熱挙動とそのピークの大きさは、実施例1の場合に比べて明らかに小さく、潜熱放熱の熱量は、実施例1の場合より小さいと推察される。
しかも、比較例3,4の場合、図7に示すように、2サイクル目以降の昇温プロセスと降温プロセスでは、蓄熱挙動と放熱挙動は何れも、各サイクルで、極めて小さな態様(ピーク)でしか確認できていない。その理由として、比較例3,4では、過冷却防止剤が、結晶性層状二ケイ酸ナトリウムであるために、潜熱蓄熱材組成物内の潜熱蓄熱材10において、凝固と融解が繰り返し行われておらず、潜熱蓄熱材組成物の蓄熱・放熱性能が不安定となっているためであると考えられる。なお、結晶性層状二ケイ酸ナトリウムの態様において、粉末と顆粒の違いにより、潜熱蓄熱材10の凝固開始温度に差異が生じるメカニズム等の理由については、解明できていない。
これに対し、実施例1では、凝固開始温度Tr13は、比較例4に比べて2℃程低いが、比較例1,3の場合と比べると、2~4℃程高くなっている。また、放熱の挙動は、比較例1の場合と同様、顕著に生じている。換言すれば、実施例1では、比較例3,4に比べ、過冷却解除に伴う放熱挙動とそのピークの大きさは、明らかに大きいことから、潜熱の放熱量は大きい。加えて、凝固開始温度到達時からの放熱速度も大きい。しかも、図7に示すように、2サイクル目以降の昇温プロセスと降温プロセスでは、蓄熱挙動と放熱挙動は何れも、各サイクルで明確に確認できている。
これは、メタケイ酸カルシウムが、潜熱蓄熱材組成物1Aに配合されているためであり、潜熱蓄熱材組成物1による蓄熱とその放熱のプロセスが複数サイクルで繰り返されても、メタケイ酸カルシウムが、そのサイクル毎に、潜熱蓄熱材10での過冷却解除に寄与し、かつ潜熱蓄熱材10に対しその結晶化の促進に寄与しているからであると考えられる。それ故に、潜熱蓄熱材組成物1は、潜熱蓄熱材10において、凝固と融解を繰り返すことができており、安定した蓄熱・放熱性能を有した物性であることが判る。
また、実験2の結果では、実施例1、及び比較例1,3,4とも、潜熱蓄熱材組成物1または潜熱蓄熱材10等において、低温側保持温度-20℃に保温していた低温側保温プロセスから移行して、融解温度より高い20℃まで加熱する昇温プロセス下の状態になると、潜熱蓄熱材組成物1等から潜熱蓄熱の挙動は、確認できている。すなわち、実施例1、及び比較例1,3,4では、融解開始温度は、潜熱蓄熱材組成物1または潜熱蓄熱材10等に対し、その融点に概ね一致した温度になっている。このことから、実施例1~4では、潜熱蓄熱材10の過冷却防止剤20をメタケイ酸カルシウムとしても、潜熱蓄熱材組成物1は、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回、安定して繰り返すことができる物性であることが判る。
(実験3)
実験3は、周知の示差走査熱量測定装置(DSC:Differential scanning calorimetry)により、実施例5に係る潜熱蓄熱材組成物1A(1)と、比較例5~7に係る潜熱蓄熱材組成物(または潜熱蓄熱材10単体)を対象に、各蓄熱材の過冷却現象の解除を確認する実験である。実験3の試料となる潜熱蓄熱材組成物1A等の主成分は、実施例5、及び比較例5~7とも、TBAB10Bの含有割合を40wt%とした潜熱蓄熱材10である。
<実験方法>
実験3では、実施例5、及び比較例5~7に係る潜熱蓄熱材組成物1A等からそれぞれ、潜熱蓄熱材毎に試料約10mgを採取し、アルミ容器に充填し蓋で閉塞した上で、DSCの測定室にこのアルミ容器を静置し、50ml/min.の窒素フローを行った条件下で、試料の蓄熱量と試料からの放熱量を測定した。
具体的には、実験開始から10分間、試料を20℃に保温し続けた後、20℃に保温されていた試料を、-20℃になるまで、2℃/min.の降温速度で冷却した。そして、-20℃になるまで試料を冷却している間に、試料から放熱された潜熱の熱量を測定し、試料の放熱量を求めた。引き続き、試料が-20℃に到達した時点から30分間、試料を-20℃に保温し続けた。次いで、試料を、20℃超えになるまで2℃/min.の昇温速度で加熱した。そして、20℃超えになるまで試料を加熱している間、試料に蓄熱された潜熱の熱量を測定し、試料の蓄熱量を求めた。
<実施例5、及び比較例5~7の共通条件>
・潜熱蓄熱材10;水10AとTBAB10Bとの包接水和物(TBAB包接水和物)
・潜熱蓄熱材10全体に占めるTBAB10Bの含有割合;40wt%
・潜熱蓄熱材10の融点;12℃
<実施例5の条件>
・過冷却防止剤20;メタケイ酸カルシウム(過冷却防止剤20A)
・過冷却防止剤20Aの仕様;製品名「けい酸カルシウム」(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・潜熱蓄熱材組成物1Aの構成;潜熱蓄熱材10と過冷却防止剤20A
・潜熱蓄熱材組成物1A全体に占める過冷却防止剤20Aの含有割合;10wt%
<比較例5,6の条件>
・潜熱蓄熱材組成物の構成;潜熱蓄熱材10と過冷却防止剤
・潜熱蓄熱材組成物全体に占める過冷却防止剤の含有割合;10wt%
<比較例5の条件>
・過冷却防止剤;四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na・10HO)
<比較例6の条件>
・過冷却防止剤;リン酸水素二ナトリウム十二水和物(NaHPO・12HO)
<比較例7の条件>
・過冷却防止剤;配合せず
図10は、実験3で、実施例5、及びその比較例5~7に係る潜熱蓄熱材組成物に対し、実験条件と、DSC測定による凝固ピーク温度、その直後の蓄熱量、及び蓄熱挙動のピーク数に関する結果を、まとめて掲載した表であり、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤に、メタケイ酸カルシウム(実施例5)、四ホウ酸ナトリウム十水和物(比較例5)、リン酸水素二ナトリウム十二水和物(比較例6)を用いた場合の実験結果を示す表である。図11は、図10に続き、実験3の結果を示すグラフである。
図11に示すグラフでは、縦軸左側の目盛りが、単位時間に試料に蓄熱または放熱した熱量を示しており、この目盛りの「負」の領域は、試料に吸熱される熱量を示し、「正」の領域は、試料から放熱される熱量を示す。また、グラフでは、試料の融解時と凝固時に、時間経過と共に推移する熱量の線図の中で、熱量の絶対値が一時的に大きくなり、融解時に、最大値(ピークトップ)に達した時刻teに対応する試料の温度Te(「融解温度」と定義)となったとき、最大の蓄熱量を呈する条件となる。同様に、凝固時に、最大値(ピークトップ)に達した時刻trに対応する試料の温度Tr(「凝固温度」と定義)となったとき、最大の放熱量を呈する条件となる。試料における融解潜熱や凝固潜熱の熱量は、熱量の線図の中で、蓄熱量のピーク(融解ピーク)の開始時間と終了時間との間で積算して得られるピーク面積Sの大きさで示されている。また、熱量の単位は〔W/g〕で、試料の質量の単位は〔mg〕であるが、単位換算を行った上で、蓄熱量の単位は、〔kJ/kg〕としている。実験4で、図13に示すグラフについても同様である。
<実験3の結果>
図10及び図11に示すように、実施例5では、凝固ピークは1つで、凝固ピークの時刻t1に対応する温度(凝固温度)Tr17は-2.1℃で、その直後の蓄熱量S1は154.9kJ/kgであった。これに対し、比較例5の場合には、凝固ピークは2つで、メインとなる凝固ピークの時刻t2に対応する温度(凝固温度)Tr18は-12.4℃で、その直後の蓄熱量S2は114.4kJ/kgであった。また、比較例6の場合には、凝固ピークは1つで、凝固ピークの時刻t3に対応する温度(凝固温度)Tr19は-10.4℃で、その直後の蓄熱量S3は153.3kJ/kgであった。また、比較例7の場合、凝固ピークは1つで、凝固ピークの時刻t4に対応する温度(凝固温度)Tr20は-8.8℃で、その直後の蓄熱量S4は181.8kJ/kgであった。
<実験3の考察>
実験3の場合、比較例7では、過冷却防止剤は添加されていないため、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)の凝固ピーク温度Tr20が-8.8℃になったものと考えられる。一方、比較例5では、四ホウ酸ナトリウム十水和物を、比較例6では、リン酸水素二ナトリウム十二水和物を、過冷却防止剤として、潜熱蓄熱材10であるTBAB包接水和物に添加した潜熱蓄熱材組成物となっている。また、比較例7では、放熱後のTBAB包接水和物に、潜熱の蓄熱挙動のピークは1つで、比較例6でも、潜熱の蓄熱挙動のピークは1つであった。そのピークでの比較例6の蓄熱量S3は、リン酸水素二ナトリウム十二水和物の添加に起因して、比較例7の蓄熱量S4に対し、15%程の減少に留まっている。
しかしながら、比較例5,6とも、凝固ピーク温度Tr18,19は、むしろ過冷却防止剤を添加していない比較例7の凝固ピーク温度Tr20よりも低くなっている。それ故に、添加した四ホウ酸ナトリウム十水和物等の物質は、TBAB包接水和物の過冷却現象の発現を効果的に抑止できておらず、TBAB包接水和物に適す過冷却防止剤になっていないと考えられる。
これに対し、実施例5に係る潜熱蓄熱材組成物1Aでは、TBAB10Bの含有割合が40wt%の場合、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)の凝固ピーク温度Tr17は、-2.1℃であり、比較例5~7よりも、約6~10℃程高くなっている。その理由として、メタケイ酸カルシウム(過冷却防止剤20A)が、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)を主成分に添加されたことにより、0℃近傍の温度で、TBAB包接水和物の結晶化が促され、潜熱蓄熱材10における過冷却現象の発現が、効果的に抑止できているものと考えられる。
しかも、実施例5でも、潜熱の蓄熱挙動のピークは1つであり、実施例5の蓄熱量S1は、過冷却防止剤20Aの添加に起因して、比較例7の蓄熱量S4に対し、15%程の減少に留まっている。それ故に、メタケイ酸カルシウムは、潜熱の蓄熱する上でも、阻害要因になっていないことが判る。
(実験4)
実験4は、実施例6に係る潜熱蓄熱材組成物1A(1)と、比較例8~10に係る潜熱蓄熱材組成物(または潜熱蓄熱材10単体)を対象に、実験3と同様、DSCにより、各蓄熱材の過冷却現象の解除を確認する実験である。実験4の試料となる潜熱蓄熱材組成物1A等の主成分は、実施例6、及び比較例8~10とも、TBAB10Bの含有割合を30wt%とした潜熱蓄熱材10である。潜熱蓄熱材10の融点は、11℃である。実験4は、実験3とTBAB10Bの含有割合を異にした潜熱蓄熱材10を用いて、実験3と同じ実験方法で行われた。
<実験4の結果>
図12は、実験4で、実施例6、及びその比較例8~10に係る潜熱蓄熱材組成物に対し、実験条件と、DSC測定による凝固ピーク温度、その直後の蓄熱量、及び蓄熱挙動のピーク数に関する結果を、まとめて掲載した表であり、TBAB30wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤に、メタケイ酸カルシウム(実施例6)、四ホウ酸ナトリウム十水和物(比較例8)、リン酸水素二ナトリウム十二水和物(比較例9)を用いた場合の実験結果を示す表である。図13は、図12に続き、実験4の結果を示すグラフである。
図12及び図13に示すように、実施例6では、凝固ピークは1つで、凝固ピークの時刻t1に対応する温度(凝固温度)Tr21は-7.3℃で、その直後の蓄熱量S1は179.8kJ/kgであった。これに対し、比較例8~10の場合、凝固ピークはいずれも2つであり、比較例8の場合には、メインとなる凝固ピークの時刻t2に対応する温度(凝固温度)Tr22は-13.2℃で、その直後の蓄熱量S2は130.0kJ/kgであった。また、比較例9の場合には、メインとなる凝固ピークの時刻t3に対応する温度(凝固温度)Tr23は-7.0℃で、その直後の蓄熱量S3は144.7kJ/kgであった。また、比較例10の場合、メインとなる凝固ピークの時刻t4に対応する温度(凝固温度)Tr24は-15.0℃で、その直後の蓄熱量S4は164.6kJ/kgであった。
<実験4の考察>
実験4の場合、比較例10では、過冷却防止剤は添加されていないため、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)の凝固ピーク温度Tr24が-15.0℃になったものと考えられる。一方、比較例8では、四ホウ酸ナトリウム十水和物を、比較例9では、リン酸水素二ナトリウム十二水和物を、過冷却防止剤として、潜熱蓄熱材10であるTBAB包接水和物に添加した潜熱蓄熱材組成物となっている。
しかしながら、過冷却防止剤を添加していない比較例10の凝固ピーク温度Tr24に比べ、比較例8では、凝固ピーク温度Tr22は、2℃程高くになっているものの、目安となる氷点下10℃より大幅に低くなっている。また、比較例9では、凝固ピーク温度Tr23は、8℃程高くになっており、リン酸水素二ナトリウム十二水和物が、過冷却防止剤として作用しているものと推察されるが、比較例8,9では双方とも、潜熱の蓄熱挙動のピークは2つに割れている。また、ピークでの蓄熱量S2,3は、比較例7の蓄熱量S4に対し、21~22%程まで減少している。それ故に、添加した四ホウ酸ナトリウム十水和物やリン酸水素二ナトリウム十二水和物は、TBAB包接水和物に対し、潜熱の蓄熱・放熱温度を安定化することができておらず、TBAB包接水和物に適す過冷却防止剤になっていないものと考えられる。
これに対し、実施例6に係る潜熱蓄熱材組成物1Aでは、TBAB10Bの含有割合が30wt%の場合、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)の凝固ピーク温度Tr21は、-7.3℃であり、比較例9の凝固ピーク温度Tr23と同程度であるもの、比較例8,10よりも、約6~8℃程高くなっている。その理由として、メタケイ酸カルシウム(過冷却防止剤20A)が、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)を主成分に添加されたことにより、-7℃近傍の温度で、TBAB包接水和物の結晶化が促され、潜熱蓄熱材10における過冷却現象の発現が、効果的に抑止できているものと考えられる。
しかも、実施例6では、潜熱の蓄熱挙動のピークは1つであり、ピークでの蓄熱量S1は、過冷却防止剤20Aを含有しているのにも関わらず、理由は未解明だが、比較例10の蓄熱量S4の約10%増になっている。それ故に、メタケイ酸カルシウムは、潜熱を蓄熱する上でも、阻害要因になっていないことが判る。
ところで、実験3の結果と実験4の結果に対し、過冷却防止剤の種類毎に、実施例5と実施例6を、比較例5と比較例8を、比較例6と比較例9を、比較例7と比較例10を、それぞれ対比した場合、実験4では、全ての凝固ピーク温度は、実験3での凝固ピーク温度より低い。また、放熱挙動についても、2つに分かれ、メインとなるピークが、どれも急峻になる傾向となった。その理由として、実験4の場合、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)に含む水10Aの割合が、実験4の場合よりも10wt%分多く、30wt%分のTBAB10Bとの包接から外れた余剰分の水10Aが、潜熱蓄熱材として作用しているものと推察される。すなわち、実験4の場合には、潜熱蓄熱材は、TBAB包接水和物(潜熱蓄熱材10)と、余剰分の水となっており、この余剰分の水による影響が、実験3の結果と実験4の結果の違いに起因しているものと考えられる。
(実験5)
実験2は、実施例1,7~10に係る潜熱蓄熱材組成物1B,1C(1)と、比較例1に係る潜熱蓄熱材組成物を、それぞれ蓄熱材毎にアルミラミネート袋に封入したサンプルを用いて、蓄熱材毎に過冷却現象の解除を確認する実験である。実験5は、実験1の試料と異にするが、実験1と同様の実験方法で行われた。
<実施例1,7~10、及び比較例1の共通条件>
・潜熱蓄熱材10;水10AとTBAB10Bとの包接水和物
・潜熱蓄熱材10全体に占めるTBAB10Bの含有割合;40wt%
・潜熱蓄熱材10の融点;12℃
<実施例1,7~10の条件>
・潜熱蓄熱材組成物1の構成;潜熱蓄熱材10と過冷却防止剤20
・潜熱蓄熱材組成物1全体に占める過冷却防止剤20の含有割合;1wt%
<実施例1の条件>
・過冷却防止剤20;メタケイ酸カルシウム(CaSiO)(過冷却防止剤20A)
<実施例7,8の条件>
・過冷却防止剤20;11nmトバモライト(示性式[Ca・(Si18)・4HO])(過冷却防止剤20B)
<実施例7の条件>
・過冷却防止剤20Bの仕様;製品名「トバモライトパウダーTK」(日本インシュレーション株式会社製) 平均粒子径24μmの球状結合二次粒子
<実施例8の条件>
・過冷却防止剤20Bの仕様;製品名「トバモライトパウダーTJ」(日本インシュレーション株式会社製) 平均粒子径17μmの微粉
<実施例9,10の条件>
・過冷却防止剤20;ゾノトライト(示性式[Ca・(Si17)(OH)])(過冷却防止剤20C)
<実施例9の条件>
・過冷却防止剤20Cの仕様;製品名「ゾノトライトXK」(日本インシュレーション株式会社製) 平均粒子径47μmの球状結合二次粒子
<実施例10の条件>
・過冷却防止剤20Cの仕様;製品名「ゾノトライトXJ」(日本インシュレーション株式会社製) 平均粒子径21μmの微粉
<実験5の結果>
図14は、実施例1,7~10、及びその比較例1に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを複数サイクルで繰り返す実験で、TBAB40wt%を含む包接水和物を潜熱蓄熱材とし、その過冷却防止剤を、メタケイ酸カルシウム(実施例1)及びケイ酸カルシウム水和物(実施例7~10)とした実験5に対し、複数サイクルのうち、最初の4サイクル分について、蓄熱とその放熱の挙動を示すグラフである。
なお、図14に記載された注釈欄で、「トバモライト1」は「トバモライトパウダーTK」を、「トバモライト2」は「トバモライトパウダーTJ」を、「ゾノトライト1」は「ゾノトライトXK」を、「ゾノトライト2」は「ゾノトライトXJ」を、それぞれ示す。
実験5の結果を、図14に示す。図14に示すように、1サイクル目の降温プロセスにおいて、実施例1,7~10では、実施例1の場合、凝固開始温度Trは概ね4℃であった。また、実施例7の場合、凝固開始温度は概ね-3℃であった。また、実施例8の場合、凝固開始温度は概ね0℃であった。実施例9の場合、凝固開始温度は概ね-3℃であった。実施例10の場合、凝固開始温度は概ね-2℃であった。これに対し、比較例1では、凝固開始温度Tr14は概ね-6℃であった。
<実験5の考察>
実験5の結果では、実施例1,7~10、及び比較例1とも、潜熱蓄熱材組成物1または潜熱蓄熱材10において、高温側保持温度20℃に保温していた高温側保温プロセスから移行して、融解温度より低い-20℃まで冷却する降温プロセス下の状態になると、潜熱蓄熱材組成物1等から潜熱放熱の挙動は、確認できている。しかしながら、実験5の場合、比較例1の潜熱蓄熱材10では、凝固開始温度は、概ね-6℃近傍である。これは、添加剤として過冷却防止剤を含有していないために、潜熱蓄熱材10での過冷却現象が、-6℃近傍になって解除され始めたものと推察される。
これに対し、実施例1,7~10では、凝固開始温度は、実施例1の場合で概ね4℃、実施例7~10の場合で、0℃近傍~-3℃近傍であり、比較例1の場合に比べ、何れも高くなっている。これは、11nmトバモライト(過冷却防止剤20B)が潜熱蓄熱材組成物1Bに、ゾノトライト(過冷却防止剤20C)が潜熱蓄熱材組成物1Cに、それぞれ配合されているためであると考えられ、潜熱蓄熱材10での過冷却解除に寄与し、かつ潜熱蓄熱材10に対しその結晶化の促進に寄与しているからと推察される。
また、実験5の結果では、実施例1,7~10、及び比較例1とも、潜熱蓄熱材組成物1または潜熱蓄熱材10において、低温側保持温度-20℃に保温していた低温側保温プロセスから移行して、融解温度より高い20℃まで加熱する昇温プロセス下の状態になると、潜熱蓄熱材組成物1等から潜熱蓄熱の挙動は、確認できている。すなわち、実施例1,7~10、及び比較例1では、融解開始温度は、潜熱蓄熱材組成物1、潜熱蓄熱材10等に対し、その融点に概ね一致した温度になっている。このことから、実施例1~4では、潜熱蓄熱材10の過冷却防止剤20を11nmトバモライトやゾノトライトとしても、潜熱蓄熱材組成物1B,1C(1)は、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回、安定して繰り返すことができる物性であることが判る。
次に、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1の作用・効果について説明する。本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1(1A,1B,1C)は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、包接水和物が用いられ、該潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材10は、水10Aと、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetrabutylammonium Bromide)(TBAB10B)を、主成分に含む包接水和物であること、添加剤は、融液状態にある潜熱蓄熱材に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤20として、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質であること、を特徴とする。
この特徴により、潜熱蓄熱材10が、過冷却現象を発現し易い物性のTBAB包接水和物であっても、過冷却防止剤20は、結晶化に必要な潜熱蓄熱材10(TBAB包接水和物)の核生成に積極的に寄与するため、潜熱蓄熱材10に対し、過冷却現象の発現を抑止することができる。しかも、潜熱蓄熱材組成物1は、零度を大幅に下回ることなく、融解温度との温度差を、例えば、概ね10℃以内と、より小さく抑えた温度で、凝固を開始することができる。加えて、潜熱蓄熱材組成物1では、潜熱の蓄熱と、蓄えた潜熱の放熱との一連のプロセスが、繰り返し複数サイクルに亘って行われても、凝固開始温度と融解温度は、サイクル毎にほとんど変動せず、蓄熱・放熱性能は安定している。そのため、潜熱蓄熱材組成物1は、充填された蓄熱材充填容器の内外で、液相と固相との相変化に伴って、熱を蓄えるときや、蓄えた熱を必要に応じて取り出すときに、安定した状態で使用することができる。
従って、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1によれば、包接水和物系の潜熱蓄熱材10に対し、融解温度との温度差をより小さく抑えた凝固温度で、過冷却抑制効果を発揮することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1では、結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)であること、を特徴とする。
この特徴により、潜熱蓄熱材10は、概ね2~5℃で凝固を開始するようになる。そのため、潜熱蓄熱材組成物1では、潜熱蓄熱材10は、融点12℃からの温度差を、数℃程度に抑えて凝固することから、冷却に過大なエネルギを投入することなく、簡便に、かつ安定的に潜熱の蓄熱と放熱を繰り返すことができる。
すなわち、潜熱蓄熱材では、液相と固相との相変化が本来、融点で行われれば、液相から固相への相変化時に放熱する潜熱の熱量は、固相から液相への相変化時に吸熱する潜熱の熱量と、理論上、同じである。そのため、潜熱蓄熱材を液相から固相へと凝固させる際には、少なくとも、固相から液相への相変化時に蓄熱する潜熱の熱量の分だけ、冷却のためのエネルギを投入する必要がある。
ところが、潜熱蓄熱材に過冷却防止剤を加えていない潜熱蓄熱材組成物では、潜熱蓄熱材の凝固点が、潜熱蓄熱材単体の融点を大きく下回ることがある。潜熱蓄熱材の凝固温度が、元々の融解温度から大幅に乖離していると、液相から凝固への相変化に際して、融解温度と凝固温度の差分だけ、潜熱蓄熱材を、融解温度からさらに冷却する必要が生じるため、追加の冷却分だけ、過剰なエネルギを投入しなければならない。
しかしながら、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、融点と凝固開始温度との温度差が、数℃程度にあるため、液相から凝固への相変化に際して、過剰な冷却エネルギの投入を抑制することができる。
また、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1では、結晶質物質は、珪灰石グループまたはトバモライトグループに分類されるケイ酸カルシウム水和物であり、ケイ酸カルシウム水和物は、ゾノトライト(Xonotlite)(6CaO・6SiO・HO)、またはトバモライト(Tobermorite)(5CaO・6SiO・5HO)であること、を特徴とする。
この特徴により、潜熱蓄熱材10は、概ね-2~-3℃で凝固を開始するようになる。そのため、潜熱蓄熱材組成物1では、潜熱蓄熱材10は、融点12℃からの温度差を、10℃程度に抑えて凝固することから、液相から凝固への相変化に際して、過剰な冷却エネルギの投入を抑制することができる。
また、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1では、潜熱蓄熱材に含有する臭化テトラnブチルアンモニウムの割合は、30wt%以上、かつ50wt%以下であること、を特徴とする。
この特徴により、例えば、果実や野菜、乳製品等の生鮮食品はじめ、自動車やビル向けの空気調和装置等を対象に、例えば、10℃以下で、かつ零度近傍の温度帯で対象物を冷す蓄冷材として、潜熱蓄熱材組成物1は、使用することができる。
なお、本出願人は、実施例1~10以外にも、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質を過冷却防止剤に用いて、TBABの含有割合を、30wt%未満や、40wt%超とした条件で、種々の実験を行っている。その結果、潜熱蓄熱材に含有するTBABの含有割合が30%より小さくなると、TBABと包接水和物を形成しない余分な水が、系内に存在して、0℃より高い温度帯での放熱量が、30~50wt%の場合より、小さくなってしまう。その反対に、TBABの含有割合が50%より大きくなると、TBABと包接水和物を形成しない余分なTBABが、より多くなってしまう。これにより、TBAB包接水和物に由来する蓄熱と、TBAB 単体に由来する蓄熱が、互いに異なる温度で行われるようになるため、蓄熱のピークが2つに分かれしまい、蓄熱が、1つの蓄熱ピークのように、安定して行われ難くなる。それ故に、潜熱蓄熱材に含有するTBABの濃度は、30wt%以上、かつ50wt%以下であることが望ましい。
以上において、本発明を実施形態の実施例1~10に即して説明したが、本発明は上記実施形態の実施例1~10に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、潜熱蓄熱材10と、過冷却防止剤20とを配合した潜熱蓄熱材組成物1を挙げた。しかしながら、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材とその過冷却防止剤として、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質を含有した上で、これらの構成成分以外に、例えば、潜熱蓄熱材の融点を調整する融点調整剤、当該潜熱蓄熱材組成物の構成成分同士の分離を抑制する増粘剤、当該潜熱蓄熱材組成物に着色する着色剤等、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質とは別の添加剤を、適宜配合したものであっても良い。
(2)また、実施形態では、過冷却防止剤20を、含有割合1~10wt%の範囲内に添加した潜熱蓄熱材組成物1を例示して挙げた。しかしながら、潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材と過冷却防止剤との配合割合は、実施形態に限定されるものではなく、潜熱蓄熱材組成物の使用上、支障が生じなければ、潜熱蓄熱材組成物に対する過冷却防止剤の配合比率は、適宜変更可能である。
1,1A,1B,1C 潜熱蓄熱材組成物
10 潜熱蓄熱材
10A TBAB
10B 水
20,20A,20B,20C 冷却防止剤

Claims (6)

  1. 相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、包接水和物が用いられ、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、
    前記潜熱蓄熱材は、水と、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetrabutylammonium Bromide)を、主成分に含む包接水和物であること、
    前記添加剤は、融液状態にある前記潜熱蓄熱材に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として、ケイ酸カルシウムに該当する結晶質物質であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  2. 請求項1に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)、ケイ酸三カルシウム(Tricalcium silicate)、またはケイ酸カルシウム水和物のうち、少なくともいずれかの物質であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  3. 請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記結晶質物質は、メタケイ酸カルシウム(Calcium metasilicate)であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  4. 請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記結晶質物質は、珪灰石グループまたはトバモライトグループに分類されるケイ酸カルシウム水和物であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  5. 請求項4に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記ケイ酸カルシウム水和物は、ゾノトライト(Xonotlite)(6CaO・6SiO・HO)、またはトバモライト(Tobermorite)(5CaO・6SiO・5HO)であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記潜熱蓄熱材に含有する臭化テトラnブチルアンモニウムの割合は、30wt%以上、かつ50wt%以下であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
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