JP6284627B2 - 蓄熱材 - Google Patents

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Description

本発明は蓄熱材に関し、特に、冷凍庫内の保冷用に適した蓄熱材に関する。
従来、蓄熱材は食品保存技術や医療技術等の様々な分野で用いられている。蓄熱材は例えば凝固点における潜熱を利用して保冷効果を生じる。特許文献1には、硫酸ナトリウム十水和物が用いられ、冷房空調用に適した蓄熱材が記載されている。
特開平10−330741号公報
特許文献1に記載の蓄熱材には、腐敗防止のために防腐剤が含まれている。防腐剤としては、安息香酸ナトリウム又はブチルヒドロキシルトルエンが用いられている。これにより、当該蓄熱材は防腐機能を備えるが、これらの防腐剤は蓄熱材の潜熱量(蓄熱量)を増加させない。このため、特許文献1に記載の蓄熱材は、防腐剤を用いた分の製造コストが上昇してしまう割に蓄熱性能が向上しないという問題を有している。
本発明の目的は、防腐機能を備え、蓄熱性能が向上した蓄熱材を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、
無機塩水溶液と、
前記無機塩水溶液に溶解され、防腐機能を備えるとともに前記無機塩水溶液の融点での相転移時間を増加させる防腐剤とを有すること
を特徴とする蓄熱材であってもよい。
上記本発明の蓄熱材であって、
前記防腐剤は、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン又は塩素酸ナトリウムの少なくもいずれか一つを含むこと
を特徴とする蓄熱材であってもよい。
上記本発明の蓄熱材であって、
前記防腐剤の濃度は、0.05wt%以上、0.1wt%以下であること
を特徴とする蓄熱材であってもよい。
上記本発明の蓄熱材であって、
前記無機塩水溶液は、塩化カリウム水溶液であること
を特徴とする蓄熱材であってもよい。
上記本発明の蓄熱材であって、
前記無機塩水溶液は、塩化カリウム及び炭酸水素カリウムの混合水溶液であること
を特徴とする蓄熱材であってもよい。
上記本発明の蓄熱材であって、
前記無機塩水溶液は、塩化アンモニウム水溶液であること
を特徴とする蓄熱材であってもよい。
また、上記本発明の蓄熱材を搭載していることを特徴とする冷凍冷蔵庫であってもよい。
また、上記本発明の蓄熱材を搭載していることを特徴とする保冷容器であってもよい。
本発明によれば、防腐機能を備え、蓄熱性能が向上した蓄熱材を実現することができる。
本発明の一実施の形態の実施例1において作製した蓄熱材サンプルの組成、融点及び潜熱量を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例2において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例2において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例3において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例3において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例4において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例4において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例5において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例5において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例6において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例6において作製した蓄熱材サンプル及び冷凍庫内の温度変化を示す図である。 本発明の一実施の形態の実施例7による蓄熱材を搭載した場合と、蓄熱材を搭載しなかった場合の冷凍庫内の温度変化を示す図である。
本発明の一実施の形態による蓄熱材について、図1〜図12を用いて説明する。本実施の形態による蓄熱材は、無機塩水溶液を有している。本実施の形態による蓄熱材は、例えば、冷凍庫内や冷凍室の保冷に用いられる。
蓄熱とは、熱を一時的に蓄え、必要に応じてその熱を取り出す技術をいう。蓄熱方式としては、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学蓄熱等があるが、本実施形態では、潜熱蓄熱を利用する。潜熱蓄熱は、物質の潜熱を利用して、物質の相変化の熱エネルギーを蓄える。潜熱蓄熱は、蓄熱密度が高く、出力温度が一定である。潜熱蓄熱を利用する蓄熱材溶液の材料には、氷(水)、パラフィン(一般式C2n+2で表される飽和鎖式炭化水素の総称)、無機塩、無機塩水和物、包接水和物などが用いられる。
また、本実施の形態による蓄熱材は、−10℃以下の融点を備えている。このため、本実施の形態による蓄熱材は、冷凍庫内や冷凍室の保冷に好適に用いることができる。なお、本実施の形態による蓄熱材の融点は、無機塩水溶中の無機塩の濃度を変化させて調整することができる。
また、無機塩水溶液は防腐機能を備えていないので、無機塩水溶液を用いた蓄熱材は、長期間使用されると腐敗してしまうという問題がある。このため、本実施の形態による蓄熱材は腐敗を防止するために防腐剤を有している。本実施の形態の防腐剤は、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン又は塩素酸ナトリウムの少なくもいずれか一つを含んでいる。メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及び塩素酸ナトリウムは防腐機能を備えている。このため、本実施の形態による蓄熱材は、防腐機能を備えているので長期間使用することができる。
(実施例1)
次に、本実施の形態の実施例1による蓄熱材について図1を用いて説明する。図1は、本実施例において作製した蓄熱材サンプルの組成、融点及び潜熱量を示している。蓄熱材サンプルの潜熱量は、当該蓄熱材サンプルの無機塩水溶液の潜熱量である。本実施例では、防腐剤を含まない(防腐剤なし)蓄熱材サンプルと、防腐剤の異なる5つの蓄熱材サンプルとを作製した。また、いずれの蓄熱材サンプルにも超純水に塩化カリウムを溶解させた塩化カリウム水溶液を用いた。また、塩化カリウムの濃度はいずれも20wt%とした。また、防腐剤の濃度はいずれも0.1wt%とした。
図1に示すように、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルの融点は−10.6℃であり、潜熱量は275.796J/gであった。また、防腐剤として塩素酸ナトリウムが用いられた蓄熱材サンプルの融点は−10.6℃であり、潜熱量は303.910J/gであった。また、防腐剤としてメチルクロロイソチアゾリノンが用いられた蓄熱材サンプルの融点は−10.8℃であり、潜熱量は293.781J/gであった。また、防腐剤としてメチルイソチアゾリノンが用いられた蓄熱材サンプルの融点は−10.7℃であり、潜熱量は296.232J/gであった。また、防腐剤として防腐剤Nが用いられた蓄熱材サンプルの融点は−10.6℃であり、潜熱量は296.663J/gであった。ここで、防腐剤Nは、メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの質量比を3:1とし、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノンおよび塩素酸ナトリウムを超純水に溶解させて作製した。また、防腐剤Nにおいて、メチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンの濃度は0.6wt%〜2.5wt%とし、塩素酸ナトリウムの濃度は4.0wt%〜5.0wt%とした。なお、潜熱量は、電気冷却型示差走査熱量計(株式会社リガク製 熱分析システム ThermoPlus EVOII)を用いて測定した値である。
また、防腐剤として安息香酸ナトリウムが用いられた蓄熱材サンプルの融点は−10.5℃であり、潜熱量は265.234J/gであった。
図1に示すように、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルと、防腐剤を含む蓄熱材サンプルとで、融点はほぼ同じになった。このため、これらの防腐剤を溶解させても蓄熱材の融点は変化しない。
また、防腐剤として塩素酸ナトリウム、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン又は防腐剤Nが用いられた蓄熱材サンプルは、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルよりも、潜熱量が約18J/g〜28J/g程度増加している。防腐剤Nは、塩素酸ナトリウム、メチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノンの混合物である。このように、防腐剤として塩素酸ナトリウム、メチルクロロイソチアゾリノン又はメチルイソチアゾリノンのいずれかが用いられた蓄熱材は、無機塩水溶液の潜熱量を増加させて、蓄熱性能が向上することを見出した。
また、防腐剤として安息香酸ナトリウムが用いられた蓄熱材サンプルは、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルよりも、潜熱量が約10J/g減少している。このため、安息香酸ナトリウムは、蓄熱材の蓄熱性能の効果を高めることができないため、蓄熱材の防腐剤としては適していない。
また、防腐機能を得るための防腐剤の下限値を以下の簡易試験により求めた。また、本簡易試験には防腐剤として防腐剤Nを用いた。
<簡易試験仕様>
(1)菌株;
一般屋外環境下で自然発生させたカビ菌を用いる。
なお、カビ種判定、耐性の有無、培地適用性などは一切問わない。
(2)培地;
培養用の寒天培地は次の2種とする。
一般寒天培地(一般細菌等の増殖に向く培地)
デゾキシコレート培地(大腸菌等の増殖に向く培地)
(3)接種;
上記菌株より適量(約2mg)のカビを採取し、10mlの精製水(超純水)が入った所定容器に採取したカビを投入して攪拌したものを接種液原液とする。菌糸数の計測等はしない。
各試料10mlに対し0.1mlの割合で接種液原液を接種して、よく攪拌する。
精製水に上記と同様にカビを接種したものをリファレンスとする。
(4)接種→培地移植までの保持時間条件;
上記(3)の接種後、室温で保持し、接種後時間0.5分(30秒)、1分、5分および10分ごとに攪拌液1mlをピペットで採取して培地シャーレに移植する。これは、即時抗菌能(接種後速やかに抗菌作用を発する)と経時抗菌能(抗菌能を発するまでにある程度の時間を要する)を評価するためである。
リファレンスの保持時間条件は、0.5分(30秒)のみ(抗菌性なし)とする。
(5)培養
36℃恒温槽内において24時間安置する。
(6)抗カビ性評価
培養培地の発カビ状況を目視検査とし、菌数計測・増殖菌種の判別はしない。
全検液の培養試験後の外観写真を撮影して記録する(2試料シャーレ並列/視野)。
リファレンスの発カビ状況も外観撮影する。
上記の簡易試験の結果を目視により評価したところ、防腐剤Nが0.05wt%以上含まれている試料は発カビを防止することができた。これにより、防腐機能を得るための防腐剤の下限値は、0.05wt%とした。
本実施例による蓄熱材は、無機塩水溶液と、無機塩水溶液に溶解され、防腐機能を備えるとともに無機塩水溶液の潜熱量を増加させる防腐剤とを有している。本実施例では、無機塩水溶液は、塩化カリウム水溶液である。また、塩化カリウムの濃度は20wt%である。本実施例による蓄熱材は、融点が約−11℃であるため、冷凍庫内や冷凍室の保冷に好適に用いることができる。
また、本実施例において、防腐剤は、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン又は塩素酸ナトリウムの少なくもいずれか一つを含んでいる。メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及び塩素酸ナトリウムは防腐機能を備えている。本実施例による蓄熱材は防腐機能を備えているため長期間使用することができる。また、本実施例よる蓄熱材は、無機塩水溶液の潜熱量を増加させて、蓄熱性能を向上させることができる。
(実施例2)
次に、本実施の形態の実施例2による蓄熱材について図2及び図3を用いて説明する。本実施例では、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルと、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルとを作製した。また、いずれの蓄熱材サンプルにも超純水に塩化カリウムを溶解させた塩化カリウム水溶液を用いた。また、塩化カリウムの濃度は20wt%とした。また、防腐剤Nの濃度は、0.05wt%とした。
また、作製した2つの蓄熱材サンプルをポリプロピレン製の円筒形容器に50g充填し、冷凍冷蔵庫の冷凍庫内で18時間冷却し、凍結させた。冷凍庫内の温度は、約−21℃であった。蓄熱材サンプルの凍結後、冷凍冷蔵庫の電源を切り、冷凍庫内および2つの蓄熱材サンプルの温度を測定した。また、2つの蓄熱材サンプルが互いの温度に影響し合うことを防止するために、2つの蓄熱材サンプルの容器の間には、発砲スチロールを配置した。また、冷凍冷蔵庫の設置場所の温度は約26℃であった。
図2は、冷凍庫内および2つの蓄熱材サンプルの温度変化を示すグラフである。図2の縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(hour)を表している。また、図2のグラフにおいて、破線で示す曲線は防腐剤を含まない蓄熱材サンプル(KCl_20wt%)の温度変化を示し、実線で示す曲線は防腐剤Nを含む蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_0.05wt%)の温度変化を示し、二点鎖線で示す曲線は冷凍庫内の温度変化を示している。また、図3は、図2の4時間〜6時間までを拡大して示している。
図2に示すように、冷凍冷蔵庫の電源を切ると冷凍庫内が温度上昇し始めるので、2つの蓄熱材サンプルの温度が上昇し始める。約1.3時間経過後に2つの蓄熱材サンプルは融点である約−11℃に達し、固相から液相への相変化を開始している。相変化中の蓄熱材サンプルの温度は、融点である約−11℃で一定となる。
また、図2及び図3に示すように、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルは、約4.7時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルは、約5.6時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。このように、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルは、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルよりも、固相から液相への相変化に要する時間(相転移時間)が約0.9時間長くなっている。このため、防腐剤Nを含む蓄熱材は、防腐剤を含まない蓄熱材よりも、より長く融点程度の保冷を行うことができる。これは図1に示すように、防腐剤Nを含む蓄熱材は防腐剤Nを含まない蓄熱材よりも潜熱量が大きいためである。
本実施例による蓄熱材は、塩化カリウム水溶液と、塩化カリウム水溶液に溶解され、防腐機能を備えるとともに塩化カリウム水溶液の潜熱量を増加させる防腐剤Nとを有している。塩化カリウムの濃度は20wt%である。また、防腐剤Nは、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及び塩素酸ナトリウムの混合物である。0.05wt%以上の防腐剤Nを有する蓄熱材は、防腐機能を備える。このため、本実施例による蓄熱材は、長期間使用することができる。また、本実施例よる蓄熱材は、塩化カリウム水溶液の潜熱量を増加させて融点での相転移時間を長くし、蓄熱性能を向上させることができる。
(実施例3)
次に、本実施の形態の実施例3による蓄熱材について図4及び図5を用いて説明する。本実施例では、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルと、防腐剤Nの濃度が異なる4つの蓄熱材サンプルとを作製した。防腐剤Nの濃度は、0.1wt%、1.0wt%、5.0wt%、10.0wt%とした。また、いずれの蓄熱材サンプルにも超純水に塩化カリウムを溶解させた塩化カリウム水溶液を用いた。また、塩化カリウムの濃度は20wt%とした。
また、作製した5つの蓄熱材サンプルをポリプロピレン製の円筒形容器に50g充填し、冷凍冷蔵庫の冷凍庫内で15時間冷却し、凍結させた。冷凍庫内の温度は、約−20℃であった。蓄熱材サンプルの凍結後、冷凍冷蔵庫の電源を切り、冷凍庫内および5つの蓄熱材サンプルの温度を測定した。また、隣り合う蓄熱材サンプルが互いの温度に影響し合うことを防止するために、各蓄熱材サンプルの容器の間には、発砲スチロールを配置した。また、冷凍冷蔵庫の設置場所の温度は約26℃であった。
図4は、冷凍庫内および5つの蓄熱材サンプルの温度変化を示すグラフである。図4の縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(hour)を表している。また、図4のグラフにおいて、実線で示す曲線は防腐剤を含まない蓄熱材サンプル(KCl_20wt%)の温度変化を示し、点線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が0.1wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_0.1wt%)の温度変化を示し、ピッチの短い破線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が1.0wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_1.0wt%)の温度変化を示し、一点鎖線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が5.0wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_5.0wt%)の温度変化を示し、ピッチの長い破線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が10.0wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_10.0wt%)の温度変化を示し、二点鎖線で示す曲線は冷凍庫内の温度変化を示している。また、図5は、図4の5時間〜7時間までを拡大して示している。
図4に示すように、冷凍冷蔵庫の電源を切ると冷凍庫内が温度上昇し始めるので、5つの蓄熱材サンプルの温度が上昇し始める。また、約1.2時間経過後に、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルおよび防腐剤Nの濃度が0.1wt%である蓄熱材サンプルの温度が約−11℃に達し、固相から液相への相変化を開始している。また、約1.7時間経過後に、防腐剤Nの濃度が1.0wt%である蓄熱材サンプルの温度が約−11℃に達し、この蓄熱材サンプルは固相から液相への相変化を開始している。また、約2.4時間経過後に、防腐剤Nの濃度が5.0wt%である蓄熱材サンプルおよび防腐剤Nの濃度が10.0wt%である蓄熱材サンプルの温度が約−11℃に達し、固相から液相への相変化を開始している。相変化中の蓄熱材サンプルの温度は、融点である約−11℃で一定となる。
また、図4及び図5に示すように、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルおよび防腐剤Nの濃度が5.0wt%である蓄熱材サンプルは、約5.7時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nの濃度が10.0wt%である蓄熱材サンプルは、約5.9時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nの濃度が1.0wt%である蓄熱材サンプルは、約6.0時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nの濃度が0.1wt%である蓄熱材サンプルは、約6.5時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。
このように、防腐剤Nの濃度が最も低い0.1wt%である蓄熱材サンプルの相転移時間が他の蓄熱材サンプルと比較して一番長くなっている。このため、無機塩水溶液の潜熱量を増加させるために、防腐剤Nの上限値は0.1wt%が望ましい。
本実施例による蓄熱材は、塩化カリウム水溶液と、塩化カリウム水溶液に溶解され、防腐機能を備えるとともに塩化カリウム水溶液の潜熱量を増加させる防腐剤とを有している。塩化カリウムの濃度は20wt%である。また、防腐剤Nは、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及び塩素酸ナトリウムの混合物である。0.05wt%以上の防腐剤Nを有する蓄熱材は、防腐機能を備える。このため、本実施例による蓄熱材は、長期間使用することができる。また、本実施例よる蓄熱材は、塩化カリウム水溶液の潜熱量を増加させて融点での相転移時間を長くし、蓄熱性能を向上させることができる。
(実施例4)
次に、本実施の形態の実施例4による蓄熱材について図6及び図7を用いて説明する。本実施例では、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルと、防腐剤Nの濃度が異なる4つの蓄熱材サンプルとを作製した。防腐剤Nの濃度は、0.05wt%、0.1wt%、0.5wt%、1.0wt%とした。また、いずれの蓄熱材サンプルにも超純水に塩化カリウムを溶解させた塩化カリウム水溶液を用いた。また、塩化カリウムの濃度は20wt%とした。
また、作製した5つの蓄熱材サンプルをポリプロピレン製の円筒形容器に50g充填し、冷凍冷蔵庫の冷凍庫内で18時間冷却し、凍結させた。冷凍庫内の温度は、約−20℃であった。蓄熱材サンプルの凍結後、冷凍冷蔵庫の電源を切り、冷凍庫内および5つの蓄熱材サンプルの温度を測定した。また、隣り合う蓄熱材サンプルが互いの温度に影響し合うことを防止するために、各蓄熱材サンプルの容器の間には、発砲スチロールを配置した。また、冷凍冷蔵庫の設置場所の温度は約26℃であった。
図6は、冷凍庫内および5つの蓄熱材サンプルの温度変化を示すグラフである。図6の縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(hour)を表している。また、図6のグラフにおいて、実線で示す曲線は防腐剤を含まない蓄熱材サンプル(KCl_20wt%)の温度変化を示し、点線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が0.05wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_0.05wt%)の温度変化を示し、ピッチの短い破線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が0.1wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_0.1wt%)の温度変化を示し、一点鎖線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が0.5wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_0.5wt%)の温度変化を示し、ピッチの長い破線で示す曲線は防腐剤Nの濃度が1.0wt%である蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+防腐剤N_1.0wt%)の温度変化を示し、二点鎖線で示す曲線は冷凍庫内の温度変化を示している。また、図7は、図6の5時間〜7時間までを拡大して示している。
図6に示すように、冷凍冷蔵庫の電源を切ると冷凍庫内が温度上昇し始めるので、5つの蓄熱材サンプルの温度が上昇し始める。また、約1.2時間経過後に、防腐剤を含まない蓄熱材サンプル、防腐剤Nの濃度が0.05wt%である蓄熱材サンプルおよび防腐剤Nの濃度が0.1wt%である蓄熱材サンプルの温度が約−11℃に達し、固相から液相への相変化を開始している。また、約1.5時間経過後に、防腐剤Nの濃度が0.5wt%である蓄熱材サンプルおよび防腐剤Nの濃度が1.0wt%である蓄熱材サンプルの温度が約−11℃に達し、固相から液相への相変化を開始している。相変化中の蓄熱材サンプルの温度は、融点である約−11℃で一定となる。
また、図6及び図7に示すように、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルは、約5.5時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nの濃度が1.0wt%である蓄熱材サンプルは、約6.0時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nの濃度が0.5wt%である蓄熱材サンプルは、約6.3時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nの濃度が0.1wt%である蓄熱材サンプルは、約6.1時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nの濃度が0.05wt%である蓄熱材サンプルは、約6.5時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。
このように、防腐剤Nの濃度が0.05wt%である蓄熱材サンプルの相転移時間が他の蓄熱材サンプルと比較して一番長くなっている。また、防腐剤Nの濃度が0.5wt%以上であると蓄熱材サンプルの相転移時間が相対的に短くなっている。防腐剤Nの濃度が0.1wt%である蓄熱材サンプルは、防腐剤Nの濃度が0.05wt%である蓄熱材サンプルの次に−10℃以下に保つ時間が長くなっている。このため、無機塩水溶液の潜熱量を増加させるために、防腐剤Nの上限値は0.1wt%が望ましい。
本実施例による蓄熱材は、塩化カリウム水溶液と、塩化カリウム水溶液に溶解され、防腐機能を備えるとともに塩化カリウム水溶液の潜熱量を増加させる防腐剤Nとを有している。塩化カリウムの濃度は20wt%である。また、防腐剤Nは、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及び塩素酸ナトリウムの混合物である。0.1wt%の防腐剤Nを有する蓄熱材は、防腐機能を備える。このため、本実施例による蓄熱材は、長期間使用することができる。また、本実施例よる蓄熱材は、塩化カリウム水溶液の潜熱量を増加させて融点での相転移時間を長くし、蓄熱性能を向上させることができる。
(実施例5)
次に、本実施の形態の実施例5による蓄熱材について図8及び図9を用いて説明する。本実施例では、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルと、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルとを作製した。また、いずれの蓄熱材サンプルにも水道水(千葉県柏市水道局)に塩化カリウム及び炭酸水素カリウムを溶解させた混合水溶液を用いた。塩化カリウムの濃度は20wt%とし、炭酸水素カリウムの濃度は5.0wt%とした。本実施例の蓄熱材サンプルの融点は、約−12℃である。また、防腐剤Nの濃度は、0.1wt%とした。
また、作製した2つの蓄熱材サンプルをポリプロピレン製の円筒形容器に50g充填し、冷凍冷蔵庫の冷凍庫内で18時間冷却し、凍結させた。冷凍庫内の温度は、約−28℃であった。蓄熱材サンプルの凍結後、冷凍冷蔵庫の電源を切り、冷凍庫内および2つの蓄熱材サンプルの温度を測定した。また、2つの蓄熱材サンプルが互いの温度に影響し合うことを防止するために、2つの蓄熱材サンプルの容器の間には、発砲スチロールを配置した。また、冷凍冷蔵庫の設置場所の温度は約26℃であった。
図8は、冷凍庫内および2つの蓄熱材サンプルの温度変化を示すグラフである。図8の縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(hour)を表している。また、図8のグラフにおいて、破線で示す曲線は防腐剤を含まない蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+KHCO_5wt%)の温度変化を示し、実線で示す曲線は防腐剤Nを含む蓄熱材サンプル(KCl_20wt%+KHCO_5wt%+防腐剤N_0.1wt%)の温度変化を示し、二点鎖線で示す曲線は冷凍庫内の温度変化を示している。また、図9は、図8の6時間〜8時間までを拡大して示している。
図8に示すように、冷凍冷蔵庫の電源を切ると冷凍庫内が温度上昇し始めるので、2つの蓄熱材サンプルの温度が上昇し始める。約1.8時間経過後に2つの蓄熱材サンプルは融点である約−12℃に達し、固相から液相への相変化を開始している。相変化中の蓄熱材サンプルの温度は、融点である約−12℃で一定となる。
また、図8及び図9に示すように、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルは、約6.6時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルは、約6.9時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。このように、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルは、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルよりも、固相から液相への相転移時間が約0.3時間長くなっている。これは上記実施例1〜4と同様に、防腐剤Nを含む蓄熱材は、防腐剤を含まない蓄熱材よりも潜熱量が大きいためである。このため、防腐剤Nを含む蓄熱材は、防腐剤を含まない蓄熱材よりも、より長く融点程度の保冷を行うことができる。
本実施例による蓄熱材は、無機塩水溶液と、無機塩水溶液に溶解され、防腐機能を備えるとともに無機塩水溶液の潜熱量を増加させる防腐剤とを有している。本実施例では、無機塩水溶液は、塩化カリウム水溶液及び炭酸水素カリウムの混合水溶液である。また、塩化カリウムの濃度は20wt%であり、炭酸水素カリウムの濃度は5.0wt%である。また、防腐剤Nは、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及び塩素酸ナトリウムの混合物である。0.1wt%の防腐剤Nを有する蓄熱材は、防腐機能を備える。このため、本実施例による蓄熱材は、長期間使用することができる。また、本実施例よる蓄熱材は、無機塩水溶液の潜熱量を増加させて融点での相転移時間を長くし、蓄熱性能を向上させることができる。また、飲用に用いられる市水(水道水)を蓄熱材に用いてもこれらの効果が認められる。
(実施例6)
次に、本実施の形態の実施例6による蓄熱材について図10及び図11を用いて説明する。本実施例では、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルと、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルとを作製した。また、いずれの蓄熱材サンプルにも超純水に塩化アンモニウムを溶解させた無機塩水溶液を用いた。塩化アンモニウムの濃度は20wt%とした。本実施例の蓄熱材サンプルの融点は、約−16℃である。また、防腐剤Nの濃度は、0.1wt%とした。
また、作製した2つの蓄熱材サンプルをポリプロピレン製の円筒形容器に50g充填し、冷凍冷蔵庫の冷凍庫内で18時間冷却し、凍結させた。冷凍庫内の温度は、約−28℃であった。蓄熱材サンプルの凍結後、冷凍冷蔵庫の電源を切り、冷凍庫内および2つの蓄熱材サンプルの温度を測定した。また、2つの蓄熱材サンプルが互いの温度に影響し合うことを防止するために、2つの蓄熱材サンプルの容器の間には、発砲スチロールを配置した。また、冷凍冷蔵庫の設置場所の温度は約26℃であった。
図10は、冷凍庫内および2つの蓄熱材サンプルの温度変化を示すグラフである。図10の縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(hour)を表している。また、図10のグラフにおいて、破線で示す曲線は防腐剤を含まない蓄熱材サンプル(NHCl_20wt%)の温度変化を示し、実線で示す曲線は防腐剤Nを含む蓄熱材サンプル(NHCl_20wt%+防腐剤N_0.1wt%)の温度変化を示し、二点鎖線で示す曲線は冷凍庫内の温度変化を示している。また、図11は、図10の5時間〜7時間までを拡大して示している。
図10に示すように、冷凍冷蔵庫の電源を切ると冷凍庫内が温度上昇し始めるので、2つの蓄熱材サンプルの温度が上昇し始める。また、約1.5時間経過後に2つの蓄熱材サンプルは融点である約−16℃に達し、固相から液相への相変化を開始している。相変化中の蓄熱材サンプルの温度は、融点である約−16℃で一定となる。
また、図10及び図11に示すように、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルは、約5.2時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。また、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルは、約6.4時間経過後に液相への相変化が終了し、再び温度が上昇し始めている。このように、防腐剤Nを含む蓄熱材サンプルは、防腐剤を含まない蓄熱材サンプルよりも、固相から液相への相転移時間が約0.8時間長くなっている。これは上記実施例1〜5と同様に、防腐剤Nを含む蓄熱材は、防腐剤を含まない蓄熱材よりも潜熱量が大きいためである。このため、防腐剤Nを含む蓄熱材は、防腐剤を含まない蓄熱材よりも、より長く融点程度の保冷を行うことができる。
本実施例による蓄熱材は、塩化アンモニウム水溶液と、塩化アンモニウム水溶液に溶解され、防腐機能を備えるとともに塩化アンモニウム水溶液の潜熱量を増加させる防腐剤とを有している。塩化アンモニウムの濃度は20wt%である。また、防腐剤Nは、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及び塩素酸ナトリウムの混合物である。0.1wt%の防腐剤Nを有する蓄熱材は、防腐機能を備える。このため、本実施例による蓄熱材は、長期間使用することができる。また、本実施例よる蓄熱材は、無機塩水溶液の潜熱量を増加させて融点での相転移時間を長くし、蓄熱性能を向上させることができる。
(実施例7)
次に、本実施の形態の実施例7による蓄熱材について図12を用いて説明する。本実施例では、蓄熱材を冷凍冷蔵庫に搭載し、保冷効果の評価を行った。本実施例による蓄熱材は、蓄熱材主剤である塩化カリウム水溶液と、塩化カリウム水溶液に溶解された防腐剤Nを有している。本実施例による蓄熱材を、縦24cm、横25cm、高さ1.5cmの直方体形状を備えたブロー容器に600g充填し、冷凍冷蔵庫(シャープKireiSJ−225MF)の冷凍庫内中央の棚上に配置した。蓄熱材を冷凍庫内で18時間冷却して凍結させた後、冷凍冷蔵庫の電源をオフにして、蓄熱材及び冷凍庫内の温度変化を測定した。また、本実施例では、蓄熱材入りのブロー容器表面の温度を熱電対で測定し、蓄熱材の温度変化を測定した。また、本実施例では、比較のために蓄熱材を搭載しなかった場合の電源オフ後の冷凍庫内の温度を測定した。
図12は、蓄熱材及び冷凍庫内の温度変化を示すグラフである。図12の縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(分)を表している。また、図12のグラフにおいて、一点鎖線で示す曲線は蓄熱材を搭載した場合の冷凍庫内の温度変化(蓄熱材あり庫内温度)を示し、実線で示す曲線は蓄熱材の温度変化を示し、点線で示す曲線は蓄熱材を搭載しなかった場合の冷凍庫内の温度変化(蓄熱材なし庫内温度)を示している。図12に示すように、蓄熱材は、約120分経過後に固相から液相への相変化を開始し、約−9℃を維持しながら潜熱吸熱による冷却を開始する。これにより、冷凍庫内温度は、約120分経過後からの温度上昇が緩やかになる。また、蓄熱材は、約420分経過後に固相から液相への相変化を終了し、潜熱吸熱による冷却を終了する。また、冷凍庫内温度は、約420分後に約0℃に上昇する。一方で蓄熱材を搭載しなかった場合の冷凍庫内温度は、約120分後に0℃以上に上昇している。
このように、本実施例による蓄熱材を搭載した冷凍冷蔵庫は、電源オフ後に冷凍庫内温度を420分(7時間)の間、0℃以下に保持することができる。これにより、本実施例による蓄熱材を搭載した冷凍冷蔵庫は、停電時等が生じても長時間、食品等の保冷物を0℃以下で保冷することができる。また、本実施例では冷凍庫内の棚にのみ蓄熱材を配置したが、冷凍庫内も壁や天井にも蓄熱材を配置してもよい。これにより、0℃以下での保冷時間をより長くすることができる。また、本実施例による蓄熱材は、クーラーボックス等の保冷容器等に搭載されもよい。本実施例による蓄熱材を搭載した保冷容器は、長時間、食品等の保冷物を0℃以下で保冷することができる。
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施の形態による蓄熱材は、過冷却防止剤を有していてもよい。過冷却防止剤としては、四ホウ酸ナトリウム(無水物、五水和物、十水和物)又はリン酸水素二ナトリウムを用いることができる。
また、上記実施の形態による蓄熱材は、ゲル化されていてもよい。蓄熱材をゲル化するゲル化剤としては、ヒドロキシル基もしくはカルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基を1つ以上備えた分子を用いた合成高分子、天然系多糖類又はゼラチン等が挙げられる。合成高分子としては、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸誘導体等が挙げられる。天然系多糖類としては、寒天、アルギン酸、ファーセルラン、ペクチン、澱粉、キサンタンガム+ローカストビーンガムの混合物、タマリンド種子ガム、ジュランガム、カラギーナン等が挙げられる。これらは、ゲル化剤の一例として挙げられるが、蓄熱材をゲル化するゲル化剤はこれらに限定されない。
なお、上記詳細な説明で説明した事項、特に上記実施の形態で説明した事項は組み合わせることが可能である。
本発明は、冷凍庫内の保冷用の蓄熱材において広く利用可能である。

Claims (6)

  1. 20wt%の塩化カリウム水溶液と、
    前記塩化カリウム水溶液に溶解され、0.05wt%から0.1wt%の防腐剤と、を備え
    前記防腐剤は、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン又は塩素酸ナトリウムの少なくも一つを含むことを特徴とする蓄熱材。
  2. 請求項1記載の蓄熱材であって、
    前記防腐剤において
    メチルクロロイソチアゾリノンメチルイソチアゾリノンとの質量比が3対1であり、
    メチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンの濃度が0.6wt%から2.5wt%であり、
    塩素酸ナトリウムの濃度が4.0wt%〜5.0wt%であること
    を特徴とする蓄熱材。
  3. 20wt%の塩化カリウム水溶液と、
    5.0wt%の炭酸水素カリウム水溶液と、
    前記塩化カリウム水溶液および前記炭酸水素カリウム水溶液に溶解され、0.1wt%の防腐剤と、を備え、
    前記防腐剤は、
    メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンとの質量比が3対1であり、
    メチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンの濃度が0.6wt%から2.5wt%であり、
    塩素酸ナトリウムの濃度が4.0wt%〜5.0wt%であること
    を特徴とする蓄熱材。
  4. 20wt%の塩化アンモニウム水溶液と、
    前記塩化アンモニウム水溶液に溶解され、0.1wt%の防腐剤と、を備え、
    前記防腐剤は、
    メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンとの質量比が3対1であり、
    メチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンの濃度が0.6wt%から2.5wt%であり、
    塩素酸ナトリウムの濃度が4.0wt%〜5.0wt%であること
    を特徴とする蓄熱材。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の蓄熱材を搭載していること
    を特徴とする冷凍冷蔵庫。
  6. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の蓄熱材を搭載していること
    を特徴とする保冷容器。
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