JP2007217460A - 保冷剤及び保冷剤パックとその保冷剤パックを備えて包装した保冷包装食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長時間に渡って保冷できる保冷剤及び保冷剤パックを提供する。
【解決手段】 保冷剤を硫酸ナトリウム1.0〜2.5重量%と、塩化ナトリウム又は塩化カリウムの少なくとも1種を0.8〜2.2重量%と、残り水との成分から構成する。また、保冷剤パックは保冷剤と第2の不織布をポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ナイロンなどの非透水性袋内に密封して形成し、非透水性袋は2枚重ねの2層構造にし、非透水性袋の上下面に第1の不織布を設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】 保冷剤を硫酸ナトリウム1.0〜2.5重量%と、塩化ナトリウム又は塩化カリウムの少なくとも1種を0.8〜2.2重量%と、残り水との成分から構成する。また、保冷剤パックは保冷剤と第2の不織布をポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ナイロンなどの非透水性袋内に密封して形成し、非透水性袋は2枚重ねの2層構造にし、非透水性袋の上下面に第1の不織布を設ける。
【選択図】 図3
Description
本発明は保冷剤に関し、特に、長時間に渡って保冷ができる保冷剤と、その保冷剤を用いた保冷剤パック、並びに、その保冷剤パックを備えて包装した保冷包装食品に関する。
保冷剤としては、従来から氷、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、ドライアイスなど種々のものが知られている。また、保冷剤の従来技術の一つとして下記の特許文献1に開示された技術も見ることができる。
図12、図13は特許文献1に記載された保冷剤の配合量との関係と性能などを示すグラフで、図12は−26〜−22°Cの保冷時間と塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量との関係を示した図であり、図13は保冷剤の温度変化と経過時間との関係を示したグラフである。尚、特許文献1においては蓄冷剤と表しているが、ここでは保冷剤と呼んで説明する。
特許文献1によれば、図12において、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合割合がAゾーンのものが−26〜−22°Cの温度範囲における保冷時間が35分以上となって好ましい配合割合であるとしている。そして、図13において、−22°C以下での保冷時間が50〜55分位持つことが示されている。また、図12において、Bゾーンの配合割合では保冷時間が35分以下となって、従来のものとの差が小さくなって好ましくないとされている。また、Cゾーンの配合割合では溶解度の限界を超えてしまって沈殿が生じ、好ましくないとされている。
塩化ナトリウム、塩化カリウム、水を配合して氷化した保冷剤は、袋などに詰められてパック化して使用されることが多い。以降、袋詰めされた保冷剤を保冷剤パックと呼んで説明することにする。保冷剤パックの状態にあると食品の保冷包装などが容易となり、包装や運搬、保存などに大きな利便性が得られる。
この保冷剤パックに関しての従来技術に様々な技術を見ることができる。下記特許文献2に開示された技術もその一つである。ここで、図14は、保冷剤パックの一例を示すものとしての特許文献2に示されたところの被覆材の外面両側に突出部がある保冷剤の一例を示す断面図を示している。Aは冷媒で保冷剤を示している。Bは被覆材、Eは気泡室である。
ここでの冷媒(保冷剤)Aとしては、半流動性のものが好ましいとされ、でん粉−アクリロニトリルグラフト重合体、でん粉−アクリル酸グラフト重合体、でん粉−ビニルスルホン酸グラフト重合体、などものが挙げられている。また、被覆材Bとしては、外面片側に多数の気泡室の突出部を持つ被覆材で、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、などの高分子合成樹脂シートなどが挙げられている。突出部は外面との断熱性を持たせて氷温保持時間を増加させるために設けるもので、突出部に気泡室Eを設けて突出部の潰れを防止している。気泡室Eにはガスが充填され、ガスとしては空気、フレオンガスなどの低熱伝導率のものが望ましいとされている。
ここで、本出願人は保冷剤に関し様々な試験を行った結果次のことが判明した。その結果の一部を図15〜図17を用いて説明する。ここで、図15は塩化ナトリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフで、図16は塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフ、図17は塩化ナトリウムと塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。尚、配合割合は、それぞれのグラフの右上の欄に表でもって表示した配合割合で行っている。また、試料サンプルは、表で示した配合割合の保冷剤をそれぞれ製作し、プラスチック容器に容量200cc入れて、冷凍庫で−22°C、48時間の冷凍を行って氷にした試料サンプルを用いている。また、試料サンプルはその中心部に温度計が挿入できる穴を設けている。温度と時間の測定は、氷にした試料サンプルを室温25°Cの環境下で、0.5時間(30分)毎に試料サンプルの中心部の穴のほぼ中央部に差し込んだ温度計の温度を読み取って測定している。尚ここで、温度を保冷温度、時間を保冷時間と表して評価を行う。
最初に、図15から次の様なことが読み取れる。塩化ナトリウムと水との保冷剤の保冷温度は、初期時においては低い。しかしながら、配合量が10重量%を越えるとほぼ直線的に保冷温度が上昇し、2時間後には保冷温度0°C以上に達する。一方、配合量が5重量%、3重量%のものは2時間後以降の温度上昇カーブはなだらかになり、保冷温度0°Cに達するまでに約3.0〜4.0時間位かかることが分かる。また、配合量が3重量%の方が5重量%より保冷時間が長いことが分かる。また、塩化ナトリウムの配合割合が多くなるに従って初期時の保冷温度は低いものが得られる。
次に、図16から次の様なことが読み取れる。塩化カリウムと水との保冷剤の保冷温度は、初期時においては塩化ナトリウムの保冷剤の場合より少し高い。しかしながら、時間経過による保冷温度の上昇は塩化ナトリウムの保冷剤の場合よりなだらかで、上昇勾配としては緩やかな勾配を示す。このため、保冷温度が0°Cに至るのに約2時間強の時間を要していて、保冷時間としては塩化ナトリウムの保冷剤より長持ちする。また、配合割合が多いほど保冷時間が短く、配合割合が少ない方が保冷時間が長持ちする。また。塩化カリウムの場合も配合割合が3重量%の方が5重量%より保冷時間が長い。また、塩化カリウムの配合割合が多くなるに従って初期時の保冷温度は低いものが得られる。
次に、図17での塩化ナトリウムと塩化カリウムとを配合した保冷剤の場合は、塩化ナトリウムと塩化カリウムとを混ぜ合わせることによって保冷時間は少し長くなることが分かる。また、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合割合で塩化ナトリウムの少ない方が保冷時間としては長くなると云える。しかしながら、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合の合計は17%と多いことから保冷温度0°Cに至る時間はmax3時間で大変短い。
また、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が多いと、氷にしたときには氷の結晶粒子が非常に粗くなってザラザラとした凹凸のある表面になる。そして、氷は溶解し易くなって早い時間で結晶粒子の分離が起こり、早い時間にザクザクとしたシャーベット状態になる。この様な状態になると短時間の間に保冷温度は著しく上昇して行く。様々な試験の結果から、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が10重量%以上になるとこの様な現象が顕著に現れて、保冷時間も長く持続しないことが判明した。一方、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が少なくなってくると、氷の結晶粒子も細かく密になってきて、表面状態が滑らかになってくる。と同時に、結晶粒子の溶解も遅くなってきて保冷時間が長く持続することが判明した。
以上の結果を基に特許文献1に記載の好適とされたAゾーンに該当する保冷剤を評価すると、Aゾーンの保冷剤は塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量が15重量%以上になっており、しかも、どちらかと云うと塩化ナトリウムの配合量が多い。このことから、−22°C以下なる極低温保冷を作り出すことには好適であるが、その保冷時間は非常に短い。図12から判るように、50〜60分経過後には保冷温度の急激な上昇が見られ、上記した試験結果と類似する結果が現れていて、保冷時間が短いことが分かる。従って、Aゾーンの保冷剤は長時間(例えば、4時間とか5時間の長時間)の保冷には向かない。
次に、特許文献2に記載の保冷剤パックは気泡室を設けた被覆材を用いている。そして、気泡室を設けた突出部の高さは3〜15mmが好ましいとされている。このことより、保冷剤パックそのものの厚みは非常に厚くなる。薄い保冷剤パックを望む包装食品には余り向かず、被覆材のコストも高いものになる。また、保冷剤パックによって周囲の空気が冷やされて発生する結露した水滴が保冷剤パック上に付着することが避けられず、包装材が紙、段ボールなどの場合には紙、段ボールを濡らしたり、保冷食品を濡らしたりして好ましくない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は保冷温度0°C以下の下で保冷時間が少なくとも4〜5時間以上と長時間に渡って持続することのできる保冷剤を見出すことを目的とするものである。更にまた、水滴付着現象の少ない保冷剤パックを見出し、そして、更に長時間に渡る食品保冷が可能な包装様態を見出すことを目的とするものである。
上記の目的を達成するための手段として、本発明の保冷剤の特徴は、硫酸ナトリウム1.0〜2.5重量%と、塩化ナトリウム又は塩化カリウムの少なくとも1種を0.8〜2.2重量%と、残り水との成分からなることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤の特徴は、硫酸ナトリウム2.0〜2.5重量%と、塩化カリウム0.8〜1.2重量%と、残り水との成分からなることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤の特徴は、硫酸ナトリウム1.0〜1.5重量%と、塩化ナトリウム0.9〜1.1重量%と、塩化カリウム0.9〜1.1重量%と、残り水との成分からなることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤の特徴は、前記水は蒸留水又は煮沸水であることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤の特徴は、前記した保冷剤に次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムなどの殺菌剤を0.02〜0.3重量%配合したことを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤パックの特徴は、前記した保冷剤を熱融着可能な樹脂シート又はフイルムからなる非透水性袋内に密封して形成したことを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤パックの特徴は、前記非透水性袋は2枚重ねの2層構造をなしていることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤パックの特徴は、前記非透水性袋の表面に第1の不織布が設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤パックの特徴は、前記透水性袋内に高分子多孔質体又は第2の不織布が配設されていることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷剤パックの特徴は、前記高分子多孔質体又は第2の不織布の大きさは前記非透水性袋の大きさと略同じ大きさであるあることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷包装食品の特徴は、保冷食品と前記した保冷剤パックとをミラーマットで包装し、更に、前記ミラーマットを発泡スチロール箱内に収納したことを特徴とするものである。
また、本発明の保冷包装食品の特徴は、前記ミラーマットのミラー面は前記保冷食品並びに前記保冷剤パック側に向いていることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷包装食品の特徴は、前記発泡スチロール箱の厚みは少なくとも15mmであることを特徴とするものである。
また、本発明の保冷包装食品の特徴は、薄い発泡スチロール容器内に保冷食品を収納し、該保冷食品と前記発泡スチロール容器との間に前記した保冷剤パックを挟み込み、前記保冷食品と前記保冷剤パックを透明な薄い樹脂容器又は樹脂シートで被覆したことを特徴とするものである。
発明の効果として、本発明の保冷剤は、硫酸ナトリウム1.0〜2.5重量%と、塩化ナトリウム又は塩化カリウムの少なくとも1種を0.8〜2.2重量%と、残り水の成分とからなる。ここで、硫酸ナトリウムは保冷温度を一定に持続させるために用い、塩化ナトリウムや塩化カリウムは保冷温度を下げるために用いる。本発明の特徴は水の配合割合が圧倒的に多いことが特徴で、水で形成した氷は短時間で0°に達するが、しかしながら、氷が完全に溶解するまでには3〜4°Cの温度を持続し、溶解しても気化熱の影響で急激には保冷温度は上昇しない。従って、氷が完全に溶けて4°C以上になるまでには約4〜4.5時間位要する。この水の特性を利用して、この水に硫酸ナトリウム1.0〜2.5重量%、塩化ナトリウム及び塩化カリウムの少なくとも1種を0.8〜2.2重量%、と僅かの量を配合することによって保冷温度が+1°C以下でもって保冷時間を5時間持続できる効果が得られる。そして、長時間に渡る効果的な保冷が行える。ここで、硫酸ナトリウムが1.0重量%より少ないと5時間の保冷持続時間が短くなり、2.5重量%より多くてしも保冷時間は余り変わらない。また、塩化ナトリウム及び塩化カリウムが0.8〜2.2重量%の範囲を越える保冷温度0°C以下での5時間以上の保冷時間が得られなくなる。
また、本発明の保冷剤は、硫酸ナトリウム2.0〜2.5重量%と、塩化カリウム0.8〜1.2重量%と、残り水との成分とからなる。この成分構成の下では保冷温度0°C以下での5時間以上の保冷時間が得られる。
また、本発明の保冷剤は、硫酸ナトリウム1.0〜1.5重量%と、塩化ナトリウム0.9〜1.1重量%と、塩化カリウム0.9〜1.1重量%と、残り水との成分とからなる。この成分構成の下では保冷温度0°C以下での5時間の保冷時間が得られる。
水は蒸留水や煮沸水を用いるのが好ましい。蒸留水や煮沸水は純水に近い水であるので氷結するとその結晶粒子が細かくて密な氷が得られる。この様な氷は表面が滑らかであり、溶解が遅い。このことから、保冷時間を長く持続させる効果を生む。また、殺菌剤の使用量が少なくて済む。
また、保冷剤に次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムなどの殺菌剤を0.02〜0.3重量%配合するとカビの発生を防止して防腐効果を生む。特に、水道水などを使用するような場合には効果が著しく現れる。これにより、保冷剤のリサイクル使用が可能となる。尚、0.02重量%より少ないと効果は薄くなり、また、0.3重量%より多くしても効果は余り変わらず殺菌剤のムダとなる。
また、本発明の保冷剤パックは、保冷剤を熱融着可能な樹脂シートまたはフイルムからなる非透水性袋内に密封して形成したものからなる。更に、非透水性袋は2枚重ねの2層構造で構成する。熱融着可能な樹脂シート又はフイルムを用いると熱融着によって容易に2枚重ねで密着させることができ、2層構造の袋を容易に形成することができる。そして、保冷剤をこの非透水性袋内に密封して氷結させる。氷結した保冷剤が常温下で徐々に溶解して水分に変化しても非透水性袋内に密封されていることから水分は袋から出てこない。また、1枚の1層が破れて穴が明いてももう1枚の1層が残っているので水分が袋から漏れて出てくることがない。また、2層に重ねることで厚みも増して強度的にも強くなって非常に長持ちする効果を得る。尚、非透水性袋の2層構造は必ずしも2層構造に限るものではなく、用途によっては1層構造でも十分その機能を果たす。例えば、キズが付かない状態で使用される保冷剤パックの場合は1枚の1層構造でも全く支障はない。また、キズが付きやすい状態で使用される場合は2枚重ねの2層構造が良く、用途に応じて1層構造、2層構造を選択すると良い。
また、非透水性袋の表面に第1の不織布を設ける。保冷剤パックによって周りの空気が冷却されても、不織布表面の冷気と外気との大きな温度差を緩衝して結露し難くすると共に、不織布の繊維表面面積が非常に大きく、また、表面での気化も行われ易くなるので、結露して水滴になると云う現象は殆ど生じない。このため、保冷食品に結露水滴が溜まることがなくなり、保冷食品の水濡れや水分による変質、腐蝕の防止効果を得る。
また、非透水性袋の中に高分子多孔質体又は第2の不織布を配設する。また、この高分子多孔質体又は第2の不織布の大きさは非通水性袋の大きさと略同じ大きさのものを用いる。袋と同じ大きさの高分子多孔質体又は第2の不織布を中に入れることによって高分子多孔質体又は第2の不織布が保冷剤の吸収の働きで補強材の役目をなし、また、保冷剤パットの平坦性が保たれる。また、氷結した氷が溶解しても保冷剤パットの形状が大きく崩れることがなく、平坦性を保つことができる。平坦な保冷剤パットは取扱い易く、また、保冷食品の下に敷いても食品の安定性が保たれる。
また、本発明の保冷包装食品は、保冷食品と保冷剤パックとをミラーマットで包装し、更に、包装したミラーマットを発泡スチロール箱の内に収納する。ミラーマットと発泡スチロール箱は周りの暖かい空気の侵入を防止すると共にミラーマットで包装した内部の冷気を外に逃げることを防止する。この様な包装様態を取ることにより、保冷温度0°C以下で約12時間の保冷時間を持続できる。これにより、食品を保冷した状態で遠距離の運送を行うことも可能となり、また、長時間の保管も可能となる。
尚、ミラーマットでの包装はミラー面が保冷食品や保冷剤パット側に向いた状態で包装するのが良い。内部の保冷冷気を反射させて保冷時間を長時間に渡って持続させる効果を生む。また、発泡スチロール箱は箱の厚みが少なくとも15mmであるのが好ましい。少なくとも15mmあると長時間に渡って保冷時間を持続させることができ、また、箱の強度も強くなって取扱上での破損防止の効果を生む。
また、本発明の保冷包装食品は、薄い発泡スチロール容器内に保冷食品を収納し、該保冷食品と前記発泡スチロール容器との間に前記した保冷剤パックを挟み込み、前記保冷食品と前記保冷剤パックを透明な薄い樹脂容器又は樹脂シートで被覆したものからなる。この様な包装様態は非常に簡単であり、保冷食品が良く見えるので店頭販売に好適である。また、包装コストも安くできる。この様な包装様態でも0°C以下での7〜8時間の保冷時間を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図を用いながら説明する。最初に、本発明の第1実施形態に係る保冷剤について図1〜図4を用いて説明する。尚、図1は水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフで、図2は硫酸ナトリウムと水からなる組成の氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。また、図3は硫酸ナトリウムと塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフで、図4は硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
最初に、それぞれの図におけるグラフについて簡単に説明する。横軸に時間(h)を取り、0.5時間毎に刻んである。以降、この横軸の時間を保冷時間と呼んで説明することにする。縦軸は温度を示している。そして、0.5時間毎に温度がどの様に変化したかを折れ線グラフで示している。以降、縦軸の温度を保冷温度と呼んで説明することにする。測定試料サンプルは200cc容量の保冷剤をプラスチック容器(ビーカ)に入れて−22°Cの冷凍庫で48時間冷凍し、氷にしたものを用いている。そして、冷凍庫の中で氷になった試料サンプルを取り出して25°Cの室温の中で温度測定を行っている。温度測定は冷凍庫の中から取りだして間もなくのものを最初に測定し、後は0.5時間毎に測定する。測定は温度計の温度を読み取って行うが、温度計は試料サンプルの中心部に設けられた穴に挿入して、丁度穴の中央部の所の温度を計測している。
本発明の第1実施形態に係る保冷剤は、硫酸ナトリウム1.0〜2.5重量%と、塩化ナトリウム又は塩化カリウムの少なくとも1種を0.8〜2.2重量%と、残り水との成分で構成する。水は95.3〜98.2重量%の配合量となっていて水の配合量を非常に多く取っている。それは、水からなる氷の保冷温度が0°C前後の範囲で保冷時間が比較的長く持続する特性を持っているからである。図1はその特性を示したグラフで、0.5時間後には−1°Cの保冷温度に達するが、以降は+3〜+4°Cに達するまでには約4.0〜4.5時間の時間がかかる。水の氷は結晶粒子も細かく、結晶密度も密なので溶解するまでに長い時間がかかる。また、溶解した後の水は蒸発するのに気化熱を吸収するので保冷温度は直ぐに上昇しない。この様なことから、0°C前後の温度範囲の中で長い保冷時間が得られる。
尚、水は水道水でも良いが、好ましくは蒸留水や煮沸水を用いるのが良い。蒸留水や煮沸水は不純物が極めて少ない水であるので、氷結するとその結晶粒子が細かく密な氷が得られる。この様な氷は表面が滑らかであり溶解が遅い。そして、保冷時間を長く持続させる。
食品によって好適な保冷温度はそれぞれ異なる。例えば、野菜類などは−2、1〜+4、5°C位、ケーキ類では−3、2〜+7、8°C位、アイスクリームの場合は−13°C以下、などの具合であるが、0°C前後の保冷温度が好適とされる食品は比較的多い。この好適な保冷温度を出来るだけ長時間持続できる保冷剤が一番好ましい。本発明の保冷剤は上記した水の特性を利用して保冷温度0°C以下を長時間持続できる保冷剤になっている。
また、第1実施形態の保冷剤は、長時間に渡って保冷温度を一定に保持するために、結晶硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)なる硫酸ナトリウムを1.0〜2.5重量%の範囲で配合する。図2は結晶硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)を1.0重量%、3重量%、5重量%を配合した場合における保冷時間と保冷温度との関係を示したグラフである。このグラフから、1.0重量%配合のものは保冷温度−1〜+2°Cの範囲を4時間持続している。また、3.0重量%、5.0重量%のものは−3〜+1°Cの範囲を4時間持続している。図1の単なる水の氷と比較すると、0°C前後の温度変動幅は大夫小さくなって保冷時間が大夫伸びていることが分かる。尚ここで、3重量%配合のものと5重量%配合のものとは殆ど重なり合ったカーブを取っている。このことから、配合割合を増やしても殆ど効果は変わらない。
硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)の配合量は、本発明においては、1.0〜2.5重量%に制限する。これは、1.0重量%より少ないと保冷温度を一定の温度で持続させる持続時間が短くなり、効果が薄れることによる。また、2.5重量%より配合量を増やしてもその効果は同じであることによる。従って、2.5重量%より増やしても材料費のムダを生む。
また、第1実施形態の保冷剤は、保冷温度を下げるために、硫酸ナトリウム以外に、塩化ナトリウム(Nacl)又は塩化カリウム(Kcl)の少なくとも1種を0.8〜2.2重量%の範囲で配合する。図3は、硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)2重量%、塩化カリウム(Kcl)1重量%、水97重量%配合の保冷剤1と、硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)1重量%、塩化カリウム(Kcl)2重量%、水97重量%配合の保冷剤2についての保冷時間と保冷温度の関係をグラフで示してある。保冷剤1は5時間経ても0°C以下の保冷温度をなしている。保冷剤2は4.5時間後に0°Cの保冷温度になり、5時間後に+1°Cの保冷温度になっている。しかも保冷剤1、2共に途中はなだらかなカーブを描きながら徐々に保冷温度が上昇する状態を示している。
図4は、硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)2重量%、塩化ナトリウム(Nacl)1重量%、水97重量%配合の保冷剤3と、硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)1重量%、塩化ナトリウム(Nacl)2重量%、水97重量%配合の保冷剤4についての保冷時間と保冷温度の関係をグラフで示してある。保冷剤3は4時間後に0°Cの保冷温度に達し、5時間後に+1°Cの保冷温度に達している。また、保冷剤4は0°Cの保冷温度に達するに4.5時間かかり、5時間後に+0.5°Cの保冷温度になっている。保冷剤3、4は最初の0.5時間の間に急激に保冷温度が上昇し、その後はなだらかなカーブを描いて温度上昇を示す。
以上の結果から、本発明においては、塩化ナトリウム並びに塩化カリウムの配合量は総量として0.8〜2.2重量%の範囲に制限する。塩化カリウム又は塩化ナトリウムの何れか一方を用いても良く、また、両方を混合して用いても良い。この配合量であると、保冷温度0°Cに達するまでには少なくとも4.5時間の保冷時間が確保でき、保冷温度+1°Cに達するまでには5時間の保冷時間が得られる。尚、配合量が0.8重量%より少ないと保冷温度を下げる効果は少なくなり、保冷温度+1°C以下での5時間の保冷時間は得られなくなる。また、配合量が2.2重量%を越えると同様な結果が生じる。
以上述べたように、本発明の保冷剤は保冷温度が0°Cに至るまでに少なくとも4.5時間の保冷時間が得られ、また、+1°Cに至るまでには5時間の保冷時間が得られる。この保冷時間は従来技術で説明した保冷剤と比べると格段と保冷時間が伸びた効果を得る。また、本発明の保冷剤は0°C前後で保存するような生鮮食料品などの保冷剤としては好適に利用することができる。
本発明の保冷剤は非透水性の袋に入れて保冷剤パックにして利用する。袋は2枚重ねの2層構造のものが良く、2層構造にすると厚みが増して破れ難くなり、もし1枚が破れて穴が明いてももう1枚が残っているので中で溶けた保冷剤が流れ出すことがない。パック形状の大きさは所望の形状に形成すれば良く、また、厚みも所望の厚みに形成すれば良い。例えば、盛り付けした刺身などを保存する場合は薄いパックが良く、薄くて平べったい保冷剤パックになっていると、そのパックの上に形を崩すことなく綺麗に刺身の盛り付けができる。この保冷剤パックは保冷したい食品の傍に備えて包装することにより、食品の長時間保冷ができる。
また、保冷剤パックを形成した場合に、中に入れた保冷剤に殺菌剤などを混ぜ合わせるとカビなどが発生せず長持ちさせることができる。殺菌剤としては次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどを選択することができ、0.02〜0.3重量%配合するとカビの発生を防止して防腐効果を生む。特に、水道水などを使用するような場合には効果が著しく現れる。これにより、保冷剤のリサイクル使用が可能となる。尚、0.02重量%より少ないと効果は薄くなり、また、0.3重量%より多くしても効果は余り変わらず殺菌剤のムダとなる。
次に、本発明の第2実施形態に係る保冷剤について前述の第1実施形態で用いた図3を用いて説明する。
第2実施形態に係る保冷剤は、硫酸ナトリウム2.0〜2.5重量%と、塩化カリウム0.8〜1.2重量%と、残り水との成分で構成している。水の成分は96.3〜97.2重量%の配合量となっていて、前述の第1実施形態と同様に、水の配合量を非常に多く取っている。
前述の第1実施形態において説明した図3において、硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)2重量%、塩化カリウム(Kcl)1重量%、水97重量%配合の保冷剤1は保冷時間5時間を経ても保冷温度0°Cに至らず、0°C以下で保冷時間が5時間以上持続する。硫酸ナトリウム2.0〜2.5重量%、塩化カリウム0.8〜1.2重量%、残り水との成分で構成する保冷剤は保冷温度0°C以下で5時間以上の保冷時間が得られる。これにより、この保冷剤は0°C以下で保存するような食料品などの保冷剤としては好適に使用することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る保冷剤について図5を用いて説明する。図5は硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
第3実施形態に係る保冷剤は、硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)1〜1.5重量%、塩化ナトリウム(Nacl)0.9〜1.1重量%、塩化カリウム(Kcl)0.5〜1.1重量%、残り水の成分とから構成している。ここでの水の成分は96.3〜97.2重量%の配合量となっていて、前述の第1実施形態と同様に、水の配合量を非常に多く取っている。
図5に示す保冷剤5は、硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)1重量%、塩化ナトリウム(Nacl)1重量%、塩化カリウム(Kcl)1重量%、水97重量%配合の保冷剤である。図5に示される様に、保冷温度0°Cにまでに至る保冷時間は5時間持続している。
硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)1〜1.5重量%、塩化ナトリウム(Nacl)0.9〜1.1重量%、塩化カリウム(Kcl)0.5〜1.1重量%、残り水の成分とからなる保冷剤は保冷温度0°Cに至るのに5時間の保冷時間が得られる。これにより、この保冷剤は0°C以下で保存するような食料品などの保冷剤としては好適に使用することができる。
次に、本発明の保冷剤パックについて第4実施形態として説明する。第4実施形態の保冷剤パックは、前述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の保冷剤を非透水性袋に入れてパックにしたものである。図6は本発明の保冷剤パックの斜視図で、図7は図6におけるD−D断面図を示している。
本発明の保冷剤パック10は、図6に示すように、矩形の形状をなして、平べったくなって上下面は平坦面をなしている。形状の大きさや厚みなどは保冷食品に応じて適宜に設定すれば良い。この保冷剤パック10は非透水性の袋の中に保冷剤を入れたパックで、パック状態で保冷剤を氷にして保冷したい食品の傍に備えて使用する。
この保冷剤パック10は、図7に示すように、非透水性袋14の中に保冷剤11を密封した構造を成している。また、非透水性袋14の表面(上面と下面)に第1の不織布16を設けており、非透水性袋14の中にも保冷剤11と共に第2の不織布17を設けている。また、非透水性袋14は下層膜12と上層膜13の2枚の膜を重ねた2層の膜から成っている。
ここで、非透水性袋14の下層膜12及び上層膜13は透水性のない熱融着可能な樹脂シートやフイルムが用いられ、この様なものとしてはポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートなどのシートやフイルムが挙げられる。下層膜12、上層膜13は同じ材料を用いても良く、また、異なった材料を用いても構わない。尚、異なった材料を用いる場合は上層膜13に強度的に強い材料を選択するのが好ましい。この下層膜12及び上層膜13の厚みは40〜90μmの範囲のものが好ましく、熱融着によって下層膜12と上層膜13とを貼合わせたものが非透水性袋14として用いられる。熱融着可能な樹脂シートを使用するとヒートシール方法で2層構造や袋の形成も容易に形成でき、製造コストも安くできる。また、2枚重ねることで強度的にも強くなり耐衝撃性効果も得る。また、1枚が破れてももう1枚が残っているので保冷剤が漏れ出すことがない。
非透水性袋14の中には第2不織布17と保冷剤11が入れられる。保冷剤11は前述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態で説明した本発明の保冷剤が用いられる。第2の不織布17は保冷剤パックの平坦性や補強性を保つために設けており、保冷剤がこの第2の不織布17の中に浸み込んで平坦性が得られる。また、氷が溶けた状態でも中央が膨らんだりすることがなく、縦に置いても溶解時に部分的に膨らむことも生じない。絶えず平坦性が保たれることから、食品の下に敷いても食品の安定性が保たれる。また、保冷剤パック14は平べったいものであるので外部からの衝撃によって中の氷にヒビが入ったり、割れたりする危険が生じる。しかしながら、中に第2の不織布17があることによりその第2の不織布17が補強材的な役目を果たし、氷にヒビが入ったり、割れたりする危険性が少なくなる。この第2の不織布17は樹脂繊維からなるもので、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、アクリルなどの何れのものも使用することができる。この第2の不織布17は非通水性袋14の内寸と略同じ大きさのものを用いる。略同じ大きさのものを用いることにより保冷剤パック10の全体に平坦性が確保される。
尚、第2の不織布17は不織布に代えて高分子多孔質体を用いても良く、第2の不織布17と同様な効果を得る。高分子多孔質体としてはメラミンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム、ユリアフォームなどがあるので何れのものを使用しても良い。
第2の不織布17の厚みは保冷剤パット10の厚みに応じて適宜に設定すれば良い。本実施形態においては、保冷剤パット10の厚みを7〜8mmにし、第2の不織布17は4〜5mmの厚みのものを使用した。
次に、第1の不織布16は、保冷剤パット10によって周りの空気が冷やされることでの結露発生を防止するために設けている。パット表面の冷気と外気との大きな温度差を緩衝して結露し難くすると共に、不織布の繊維表面面積が非常に大きく、また、表面での気化も行われ易くなるので、結露して水滴になると云う現象は殆ど生じない。これにより、食品の水濡れや味、外観の変質、腐蝕などを防止することができる。この第1の不織布16は前述した非透水性袋14の中に入れる第2の不織布17と同じ仕様のものを用いても良い。即ち、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、アクリルなどの樹脂繊維からなる不織布を用いることができる。この第1の不織布16は接着剤などを介して非通水性袋14に貼付けて形成する。
この様な構成を成す保冷剤パック10は、高い部材を使用していないのでコスト的にも安く出来、また、一般の家庭用冷凍庫で簡単に氷にでき、また、リサイクル使用もできるので、長期間に渡って使用できてコストダウンの効果を生む。
尚、保冷剤11に次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムなどの殺菌剤を配合することによって保冷剤11にカビの発生を防止して長持ちさせることができる。この殺菌剤は0.02〜0.3重量%配合するのが好ましく、0.02重量%より少ないと効果は薄くなり、0.3重量%より多くしても効果は余り変わらず殺菌剤のムダとなる。水道水などを使用するような場合にはその効果は著しく、長期に渡るリサイクル使用が可能になる。
次に、本発明の保冷包装食品について第5実施形態として説明する。本発明の保冷包装食品は食品の保冷包装の包装様態についての発明である。保冷包装の様態によって保冷時間を格段と伸ばすことができる。以下、第5実施形態に係る本発明の保冷包装食品について図8〜図10を用いて説明する。図8は本発明の第5実施形態に係る保冷包装食品に用いるミラーマットの斜視図で、図9は本発明の第5実施形態に係る保冷包装食品の包装様態を模式的に示した要部断面図である。また、図10は図9における包装様態での保冷温度と保冷時間の関係を示したグラフである。
第5実施形態に係る保冷包装食品はアイスクリームを保冷食品とした包装様態を取っている。図8に示したミラーマット20に保冷剤パック10とアイスクリームなる保冷食品29が図9に示す包装様態で収納される。保冷剤パック10は前述の第4実施形態で説明した構成の保冷剤パックを用いている。ミラーマット20は軟質な材料で出来ていて折り畳みが自由にでき、開けると箱型の形状を成している。このミラーマット20の中に保冷剤パック10と保冷食品29を適宜な数を並べて収納している。
図8に示すミラーマット20はマット基材21にアルミ箔22をラミネートしたものからなり、アルミ箔22の形成面がミラー面になる。このミラー面は収納する保冷剤パック10や保冷食品29側に向けて、即ち、箱形状をなすミラーマット20の箱の内側にミラー面が設けられたものを使用する。マット基材21には不織布などが用いられる。アルミ箔22面、即ち、ミラー面を保冷剤パック10、保冷食品29側に向けて包装するとアルミ箔22の働きにより冷却された内部の冷却温度が外に逃げない。また、外部からの暖かい温度はミラーマット20の外側のマット基材21が熱伝導率の低い不織布で形成していることにより、アルミ箔22の内部にまで熱が侵入するのに時間が掛かる。この様な作用によって保冷効果は著しく向上する。
更に、図9に示すように、アイスクリームからなる保冷包装食品30はミラーマット20に保冷剤パット10と保冷食品29を収納した状態で発泡スチロール箱27の箱25に収納し、ミラーマット20の出入口を折り畳んで閉じて蓋26をした包装様態を取っている。
発泡スチロール箱27は、箱25、蓋26共に15mmの厚みのものを用いている。箱、蓋の厚みは少なくとも15mm以上あるのが望ましく、15mm以上あると断熱効果が増して保冷時間が伸び、また、強度効果も現れて一寸した衝撃力にも破損せずに長持ちする。
この様な包装様態での保冷時間と保冷温度の関係は図10に示す結果を得た。アイスクリームは−13°C以下での保冷温度が要求されるが、図10に示すように、保冷温度−13°Cに達するまでには6時間の保冷時間が得られる。6時間と云う時間が得られれば遠距離輸送も可能となり、遠い場所からの持ち帰りすることも可能になる。また、図10から分かるように、10時間後でも保冷温度が−5°Cを維持している。0°C前後での保冷食品であるなら12時間近くの保冷時間を持たせることができる。この様になると宅配便での輸送も可能となる。以上述べた様に、本発明の包装様態を取ると著しく保冷時間を持続させることができる。
尚、第5実施形態においては保冷食品にアイスクリームを選んだが、この包装様態はアイスクリームに限らず他の保冷食品にも適用できる。例えば、ケーキなどを保冷する場合には、ミラーマットの袋に保冷剤パックを適宜な数を入れ、その上に箱詰めしたケーキを収納して発泡スチロール箱に詰めた包装様態を取る。この様にすると、ケーキの紙箱を殆ど濡らすことなく長時間に渡るケーキの保冷を行うことができる。
次に、第6実施形態に係る本発明の保冷包装食品について図11を用いて説明する。図11は本発明の第6実施形態に係る保冷包装食品の包装様態を示す要部断面図を示している。
第6実施形態で示す保冷包装食品40は調理した刺身を取り上げている。この刺身の保冷包装の様態は、図11に示すように、保冷容器37の中に刺身なる保冷食品39を入れ、保冷食品39の下に敷紙31を挟んで保冷剤パック10を敷いた包装様態を取っている。即ち、発泡スチロール容器35の中に平べったい保冷剤パック10を入れ、その上に敷紙31を敷き、敷紙31の上に調理した刺身なる保冷食品39を載せている。そして、透明な蓋である樹脂容器36で密封する包装様態を取っている。そして、外からは刺身の色艶や新鮮さなどが一目に分かるようになっている。
ここでの保冷剤パック10は薄いのが好ましく、厚くても7〜8mm位のものを使用する。比較的大きさの大きいものを1個用いても良く、また、小さいものを複数個並べて用いても良い。敷紙31は薄い樹脂シートなどのものからなり、保冷剤パック10と刺身なる保冷食品39とを分離するために用いている。保冷容器37は発泡スチロール容器35と透明な蓋である樹脂容器36とから構成するが、発泡スチロール容器35は発泡スチロールを圧縮して固めた容器を用いている。また、樹脂容器36はポリエチレン樹脂などからなる成形品を用いている。
この様な包装様態を取っても、常温の中で保冷温度0°C以下を7〜8時間持続させることができる。また、重ねて保存することができるので保存スペースも余り要らない。また、注文配達も可能となり、沢山作る場合にも時間的に余裕を持って作ることができる。また、保冷容器のコストも安くて済む。
本実施形態では保冷食品として刺身を取り上げて説明したが、刺身に限るものではなく、他の生鮮食料品などにも適用できるものである。また、樹脂容器36は成形品を用いたが、樹脂シートで被覆したパック状の包装様態を取っても同様な効果を奏する。
10 保冷剤パック
11 保冷剤
12 下層膜
13 上層膜
14 非通水性袋
16 第1の不織布
17 第2の不織布
20 ミラーマット
21 マット基材
22 アルミ箔
25 箱
26 蓋
27 発泡スチロール箱
29、39 保冷食品
30、40 保冷包装食品
31 敷紙
35 発泡スチロール容器
36 樹脂容器
37 保冷容器
11 保冷剤
12 下層膜
13 上層膜
14 非通水性袋
16 第1の不織布
17 第2の不織布
20 ミラーマット
21 マット基材
22 アルミ箔
25 箱
26 蓋
27 発泡スチロール箱
29、39 保冷食品
30、40 保冷包装食品
31 敷紙
35 発泡スチロール容器
36 樹脂容器
37 保冷容器
Claims (14)
- 硫酸ナトリウム1.0〜2.5重量%と、塩化ナトリウム又は塩化カリウムの少なくとも1種を0.8〜2.2重量%と、残り水との成分からなることを特徴とする保冷剤。
- 硫酸ナトリウム2.0〜2.5重量%と、塩化カリウム0.8〜1.2重量%と、残り水との成分からなることを特徴とする保冷剤。
- 硫酸ナトリウム1.0〜1.5重量%と、塩化ナトリウム0.9〜1.1重量%と、塩化カリウム0.9〜1.1重量%と、残り水との成分からなることを特徴とする保冷剤。
- 前記水は蒸留水又は煮沸水であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保冷剤。
- 前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保冷剤に次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムなどの殺菌剤を0.02〜0.3重量%配合したことを特徴とする保冷剤。
- 前記1乃至5のいずれか1項に記載の保冷剤を熱融着可能な樹脂シート又はフイルムからなる非透水性袋内に密封して形成したことを特徴とする保冷剤パック。
- 前記非透水性袋は2枚重ねの2層構造をなしていることを特徴とする請求項6に記載の保冷剤パック。
- 前記非透水性袋の表面に第1の不織布が設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の保冷剤パック。
- 前記非透水性袋内に高分子多孔質体又は第2の不織布が配設されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の保冷剤パック。
- 前記高分子多孔質体又は第2の不織布の大きさは前記非透水性袋の大きさと略同じ大きさであるあることを特徴とする請求項9に記載の保冷剤パック。
- 保冷食品と前記請求項6乃至10のいずれか1項に記載の保冷剤パックをミラーマットで包装し、更に、前記ミラーマットを発泡スチロール箱内に収納したことを特徴とする保冷包装食品。
- 前記ミラーマットのミラー面は前記保冷食品並びに前記保冷剤パック側に向いていることを特徴とする請求項11に記載の保冷包装食品。
- 前記発泡スチロール箱の厚みは少なくとも15mmであることを特徴とする請求項11又は12に記載の保冷包装食品。
- 薄い発泡スチロール容器内に保冷食品を収納し、該保冷食品と前記発泡スチロール容器との間に前記請求項6乃至10のいずれか1項に記載の保冷剤パックを挟み込み、前記保冷食品と前記保冷剤パックを透明な薄い樹脂容器又は樹脂シートで被覆したことを特徴とする保冷包装食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006036672A JP2007217460A (ja) | 2006-02-14 | 2006-02-14 | 保冷剤及び保冷剤パックとその保冷剤パックを備えて包装した保冷包装食品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006036672A JP2007217460A (ja) | 2006-02-14 | 2006-02-14 | 保冷剤及び保冷剤パックとその保冷剤パックを備えて包装した保冷包装食品 |
Publications (1)
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Family
ID=38495092
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JP2006036672A Pending JP2007217460A (ja) | 2006-02-14 | 2006-02-14 | 保冷剤及び保冷剤パックとその保冷剤パックを備えて包装した保冷包装食品 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2007217460A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103486793A (zh) * | 2013-10-11 | 2014-01-01 | 崔德顺 | 低温相变蓄冷冰盒或冰袋的生产工艺 |
WO2015163236A1 (ja) * | 2014-04-24 | 2015-10-29 | シャープ株式会社 | 蓄熱材 |
WO2017164304A1 (ja) * | 2016-03-23 | 2017-09-28 | 株式会社カネカ | 蓄熱材組成物及びその利用 |
-
2006
- 2006-02-14 JP JP2006036672A patent/JP2007217460A/ja active Pending
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US10442969B2 (en) | 2016-03-23 | 2019-10-15 | Kaneka Corporation | Heat storage material composition and use thereof |
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