JP6837238B2 - Ptcサーミスタ素子 - Google Patents

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Description

本明細書の技術分野は、PTCヒーターもしくは過電流保護素子等に好適に用いられるPTCサーミスタ素子に関する。
PTC(Positive Temperature Coefficient of resistance)材料は、特定の温度において急激に電気抵抗値が増加する性質を有する。そのため、例えばリチウムイオン二次電池の短絡電流を抑制する用途、モーターの過負荷電流を防止する用途の限流素子として利用されている。また、通電することで自発的に一定の温度を保持するヒーター材料として利用されている。
PTC材料としては、特許文献1に示すように、所定の温度で電気的特性が変化するチタン酸バリウム系セラミックスが最もよく知られている。しかし、室温におけるチタン酸バリウム系セラミックスの電気抵抗率は高い。そのため通電による損失が大きい。また、仕様により鉛を添加する必要がある。そのため、地球環境面で問題がある。さらには、製造コストが高い。そこで、他のPTC材料が探索されてきている。
その結果、ポリマーを母材とするとともに導電性物質を添加剤とする複合材料にPTC特性が見出された。ここで、PTC特性とは、特定の温度において急激に電気抵抗率が増加する定性的な特性のことである。例えば、特許文献2には、絶縁体であるポリエチレン等の結晶性ポリマーにカーボン等の導電粒子を混合した複合材料が開示されている。この複合材料では、特定の混合比においてポリマーマトリックス中に導電パスが形成される。そのため、導電粒子の増加にともなって、電気抵抗率が急激に減少する混合比が存在する。
このような混合比で製造された複合材料では、ポリマーの熱膨張は導電粒子の熱膨張よりもはるかに大きい。そのため、この複合材料の温度を上昇させていくと、結晶性ポリマーが溶解する際にこの結晶性ポリマーが急激に膨張する。この膨張する結晶性ポリマーが、ポリマー中で導電パスを形成している導電粒子同士を引き離す。そのため、導電パスは切断されて電気抵抗率は急激に上昇する。これにより、PTC特性が発現する。
一方、ポリマー等の有機材料を母材とする複合材料では、耐熱性が低い。そのため、150℃以上の高温に保持するヒーター用途では安定に動作しない。また、カーボンを導電粒子とするため比抵抗が1Ω・cm程度のものしか得られない。すなわち、用途が非常に限定される。
そこで、クリストバライトもしくはトリジマイトに導電粒子を混合した複合材料が開発されてきている。クリストバライトおよびトリジマイトは、熱膨張率の高い無機材料である。特許文献3−5には、ポリマー等を母材とする複合材料に比べて1桁から2桁程度低い室温抵抗率を備える無機複合PTCサーミスタ部材が開示されている。この無機複合PTCサーミスタ部材では、ポリマーを用いたPTCサーミスタ部材に比べて耐熱性が優れている。
WO/2010/038770号 特公昭62−50505号公報 特開平9−180906号公報 特開平10−261505号公報 特開平10−261506号公報
クリストバライトは、低温型の結晶構造と高温型の結晶構造とを有している。そのため、クリストバライトの温度を上昇させていくと、相転移温度で低温型の結晶構造から高温型の結晶構造へ相転移する。そして、その際に、クリストバライトは、比較的顕著に体積膨張する。また、クリストバライトは、脆性材料である。そのため、長時間継続する通電や通電の繰り返しにより、これらの無機複合材料にクラックが生じることがある。トリジマイトについても、クリストバライトと同様の問題が生じる。
そのため、PTCサーミスタ部材として使用を継続することにより、複合材料の室温における電気抵抗率が徐々に増加する。つまり、通電の繰り返しによる耐久性の低下がみられる。特に、室温における電気抵抗率に対する高温での相転移後の電気抵抗率の比が大きい複合材料では、通電の繰り返しおよび長時間の通電による耐久性(通電耐久性)の低下が顕著である。
本発明者らは、この理由を次のように考えるに至った。この無機複合PTCサーミスタ部材は、相転移温度で大きく熱膨張する母相の中に比較的熱膨張の小さい導電粒子が分散した構造を有している。そのため、PTCサーミスタ素子に通電動作をさせる際に、繰り返し回数や通電時間の累積に伴いクラックの進展、あるいは新たなクラックの生成が生じ易い。
なお、導電粒子の平均粒子径が大きいほど、PTC効果は大きい。また、母相の熱膨張率が大きいほど、PTC効果は大きい。しかし、PTC効果の大きいPTCサーミスタ部材を作製すると、そのPTCサーミスタ部材の繰り返し通電や長時間通電に対する耐久性は低い傾向にある。つまり、導電粒子が大きいほど、もしくは母相の熱膨張が大きいほど、導電粒子の周辺に生じる応力が大きい。その結果、繰り返し通電や長時間通電に対する耐久性が低下する。このように、一般的には、電気的な「PTC効果」と機械的な「通電耐久性」とは、トレードオフの関係にある。
なお、本明細書において、「PTC効果」とは、室温における電気抵抗率に対する高温での相転移後の電気抵抗率の比のことをいうものとする。また、「通電耐久性」とは、通電に対するPTCサーミスタ部材の耐久性のことをいう。「通電耐久性」とは、「サイクル耐久性」と「長時間耐久性」とを含むものとする。「サイクル耐久性」とは、通電を繰り返した場合における電気抵抗率の変化のことをいう。「長時間耐久性」とは、電圧を長時間印加し続けた場合における電気抵抗率の変化のことをいう。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、比較的大きなPTC効果を備えるとともに高い通電耐久性を備えるPTCサーミスタ素子を提供することである。
第1の態様におけるPTCサーミスタ素子は、第1のPTCサーミスタ部材と、第2のPTCサーミスタ部材と、第1のPTCサーミスタ部材と第2のPTCサーミスタ部材との間に位置する第3のPTCサーミスタ部材と、を有する。第1のPTCサーミスタ部材は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第1の無機材料を含有する第1の母相と、第1の母相の全体に分散された第1の導電粒子と、を含有する。第2のPTCサーミスタ部材は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第2の無機材料を含有する第2の母相と、第2の母相の全体に分散された第2の導電粒子と、を含有する。第3のPTCサーミスタ部材は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第3の無機材料を含有する第3の母相と、第3の母相の全体に分散された第3の導電粒子と、を含有する。第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも小さい。電気抵抗率の変化率は、第1の温度での電気抵抗率に対する第2の温度での電気抵抗率の比である。第1の温度は、25℃である。第2の温度は、300℃である。第3の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。
このPTCサーミスタ素子は、PTC効果の高い第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材と、電気抵抗率の変化率の小さい第1の導電性部材と、を有する。ここで、熱膨張性とは、相転移温度において、低温型の結晶構造から高温型の結晶構造に相転移するとともに、低温型の結晶構造から高温型の結晶構造に相転移するに伴って体積膨張する性質のことである。電気抵抗率の変化率の小さい第1の導電性部材では、通電耐久性が高い。通電耐久性とは、通電に対するPTCサーミスタ部材の耐久性のことをいう。PTCサーミスタ素子の中央付近では、一般に熱応力が集中しやすい。このPTCサーミスタ素子は、その中央付近に通電耐久性に優れた第1の導電性部材を有している。そのため、このPTCサーミスタ素子は、高いPTC効果と高い通電耐久性とを備える。したがって、このPTCサーミスタ素子は、車載用電気機器、家電製品、情報機器などに内蔵される過電流抑制素子またはPTCヒーター用素子として好適である。
第2の態様におけるPTCサーミスタ素子は、第1のPTCサーミスタ部材と、第2のPTCサーミスタ部材と、第1のPTCサーミスタ部材と第2のPTCサーミスタ部材との間に位置する第3のPTCサーミスタ部材と、を有する。第1のPTCサーミスタ部材は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第1の無機材料を含有する第1の母相と、第1の母相の全体に分散された第1の導電粒子と、を含有する。第2のPTCサーミスタ部材は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第2の無機材料を含有する第2の母相と、第2の母相の全体に分散された第2の導電粒子と、を含有する。第3のPTCサーミスタ部材は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第3の無機材料を含有する第3の母相と、第3の母相の全体に分散された第3の導電粒子と、を含有する。第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも小さい。電気抵抗率の変化率は、第1の温度での電気抵抗率に対する第2の温度での電気抵抗率の比である。第1の温度は、25℃である。第2の温度は、300℃である。第3のPTCサーミスタ部材に占める第3の導電粒子の体積分率は、第1のPTCサーミスタ部材に占める第1の導電粒子の体積分率および第2のPTCサーミスタ部材に占める第2の導電粒子の体積分率よりも5%以上大きい。
第3の態様におけるPTCサーミスタ素子では、第3のPTCサーミスタ部材の体積膨張率は、第1のPTCサーミスタ部材の体積膨張率および第2のPTCサーミスタ部材の体積膨張率よりも小さい。
第4の態様におけるPTCサーミスタ素子では、第1の無機材料および第2の無機材料は、クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムと、カーネギアイトと、のうちの少なくとも一つを含有する。
第5の態様におけるPTCサーミスタ素子では、第3の無機材料は、クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムと、カーネギアイトと、のうちの少なくとも一つを含有する。
本明細書では、比較的大きなPTC効果を備えるとともに高い通電耐久性を備えるPTCサーミスタ素子が提供されている。
第1の実施形態におけるPTCサーミスタ素子を示す模式図である。 第2の実施形態におけるPTCサーミスタ素子を示す模式図である。 第3の実施形態におけるPTCサーミスタ素子を示す模式図である。
以下、実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、PTCサーミスタ素子について説明する。以下の実施形態において、「PTC効果」とは、室温における電気抵抗率に対する高温での相転移後の電気抵抗率の比のことをいうものとする。また、「通電耐久性」とは、通電に対するPTCサーミスタ部材の耐久性のことをいう。「通電耐久性」とは、「サイクル耐久性」と「長時間耐久性」とを含むものとする。「サイクル耐久性」とは、通電を繰り返した場合における電気抵抗率の変化のことをいう。「長時間耐久性」とは、電圧を長時間印加し続けた場合における電気抵抗率の変化のことをいう。
(第1の実施形態)
1.PTCサーミスタ素子
1−1.PTCサーミスタ素子の構造
図1は、本実施形態のPTCサーミスタ素子1の概略構成を示す図である。PTCサーミスタ素子1は、無機材料を含有する無機複合PTCサーミスタ素子である。図1に示すように、PTCサーミスタ素子1は、PTCサーミスタ部材10、20、30と、電極40a、40bと、を有している。PTCサーミスタ部材10は、第1のPTCサーミスタ部材である。PTCサーミスタ部材20は、第2のPTCサーミスタ部材である。PTCサーミスタ部材30は、第3のPTCサーミスタ部材である。第3のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材30)は、第1の導電性部材のうちの一つである。
PTCサーミスタ部材10は、電極40aとPTCサーミスタ部材30との間に位置している。PTCサーミスタ部材20は、電極40bとPTCサーミスタ部材30との間に位置している。PTCサーミスタ部材30は、PTCサーミスタ部材10とPTCサーミスタ部材20との間に位置している。
電極40aは、PTCサーミスタ部材10の上に形成されている。そのため、電極40aは、PTCサーミスタ部材10と電気的に接続されている。電極40bは、PTCサーミスタ部材20の上に形成されている。そのため、電極40bは、PTCサーミスタ部材20と電気的に接続されている。
2.PTCサーミスタ部材
本実施形態では、PTCサーミスタ部材10、20、30は、いずれも、無機複合PTCサーミスタ部材である。そのため、これらの原材料等は、共通している。したがって、まず、これらに共通する事項について説明する。
PTCサーミスタ部材10は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第1の無機材料を含有する第1の母相と、第1の母相の全体に分散された第1の導電粒子と、を含有する。PTCサーミスタ部材20は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第2の無機材料を含有する第2の母相と、第2の母相の全体に分散された第2の導電粒子と、を含有する。PTCサーミスタ部材30は、電気絶縁性かつ熱膨張性の第3の無機材料を含有する第3の母相と、第3の母相の全体に分散された第3の導電粒子と、を含有する。ここで、熱膨張性とは、相転移温度において、低温型の結晶構造から高温型の結晶構造に相転移するとともに、低温型の結晶構造から高温型の結晶構造に相転移するに伴って体積膨張する性質のことである。つまり、この無機材料は、相転移温度で結晶構造が相転移するとともに体積変化するものである。
PTCサーミスタ部材10、20、30の電気的特性および機械的特性は、原材料の条件や製造工程の条件に依存する。例えば、導電粒子の材質や平均粒子径、無機材料の材質や平均粒子径を変えることにより、異なる特性のPTCサーミスタ部材10、20、30が得られる。
2−1.無機材料
第1の無機材料および第2の無機材料および第3の無機材料は、電気絶縁性かつ熱膨張性の材料である。また、これらの無機材料は、粒子状の材料である。そのため、これらの無機材料は、相転移温度で結晶構造が相転移するとともに体積変化するものである。第1の無機材料および第2の無機材料および第3の無機材料は、クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムと、カーネギアイト(NaAlSiO4 )と、のうち少なくとも1つ以上の材料を含有する。
これらの無機材料のうち、クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムとについては、急激な熱膨張が起こる相転移温度が120℃以上250℃以下の範囲内にある。そのため、これらの材料は、PTCサーミスタ部材10、20、30の母相として好適である。
これら無機材料における相転移温度前後での熱膨張率は、0.3%以上1.3%以下の程度である。表1に示すように、クリストバライト型二酸化珪素の熱膨張率は、1.3%である。トリジマイト型二酸化珪素の熱膨張率は、0.8%である。クリストバライト型リン酸アルミニウムの熱膨張率は、0.6%である。トリジマイト型リン酸アルミニウムの熱膨張率は、0.5%である。カーネギアイトの熱膨張率は、0.3%である。なお、これらの無機材料では、高温型の結晶構造における体積は、低温型の結晶構造の体積よりも大きい。
[表1]
無機材料 熱膨張率
クリストバライト型二酸化珪素 1.3%
トリジマイト型二酸化珪素 0.8%
クリストバライト型リン酸アルミニウム 0.6%
トリジマイト型リン酸アルミニウム 0.5%
カーネギアイト 0.3%
無機材料の平均粒子径は、1μm以上50μm以下であるとよい。平均粒子径の測定は「JIS Z 8827-1:2008 粒子径解析−画像解析法」に基づく。試料には対象の無機材料の研磨面試料を用い、研磨面の電子顕微鏡写真から対象粒子を抽出して「円相当径」を用いる。計測対象サンプリング数は「JIS Z 8827-1:2008 」中の表3に定義される最小サンプリング数を適用する。無機材料の平均粒子径が50μm以下の場合には、焼結温度を低く設定しても母相全体の焼結密度は高い。
2−2.導電粒子
導電粒子は、母相に導電性を付与するためのものである。導電粒子は、導電性フィラーと呼ばれることもある。導電粒子は、金属材料、金属炭化物、金属珪化物、金属窒化物、金属ホウ化物、のうちのいずれかであるとよい。具体的には、導電粒子として、タングステン、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、クロム、バナジウム、タンタル、炭化タングステン、炭化チタン、窒化チタン、珪化モリブデン、のうちのいずれかが挙げられる。または、TiB2 、ステンレス鋼、ZrB2 、Ni、Fe、等が挙げられる。または、ニッケル合金、ニッケルモリブデン合金、Ni−Mo−Cr−Nb合金等を用いてもよい。
ここで、前述のように、PTCサーミスタ部材10は、第1の導電粒子を含有する。PTCサーミスタ部材20は、第2の導電粒子を含有する。PTCサーミスタ部材30は、第3の導電粒子を含有する。
第1の導電粒子の材質は、第2の導電粒子の材質と同じであるとよい。
第3の導電粒子と第1の導電粒子とは、同じ種類の材質であってもよいし、異なる種類の材質であってもよい。ただし、第3の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。第3の導電粒子の平均粒子径は、第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。また、第3の母相に占める第3の導電粒子の体積分率は、第1の母相に占める第1の導電粒子の体積分率よりも大きい。第3の母相に占める第3の導電粒子の体積分率は、第2の母相に占める第2の導電粒子の体積分率よりも大きい。これにより、PTCサーミスタ部材30の体積膨張率は、PTCサーミスタ部材10の体積膨張率およびPTCサーミスタ部材20の体積膨張率よりも小さい。
第1の導電粒子の平均粒子径は、15μm以上70μm以下である。好ましくは、第1の導電粒子の平均粒子径は、20μm以上60μm以下である。より好ましくは、第1の導電粒子の平均粒子径は、25μm以上50μm以下である。第1の導電粒子の平均粒子径の測定方法は、無機材料の平均粒子径の測定方法と同じである。第1の母相に占める第1の導電粒子の体積分率は、15%以上30%以下の範囲内である。好ましくは、第1の母相に占める第1の導電粒子の体積分率は18%以上28%以下の範囲内である。なお、第1の導電粒子の平均粒子径や母相に占める体積分率により、PTCサーミスタ部材10の内部における導電パスの様相が変わる。
第2の導電粒子の平均粒子径および体積分率は、第1の導電粒子の平均粒子径および体積分率と同じであるとよい。
第3の導電粒子の平均粒子径は、1μm以上35μm以下である。好ましくは、第3の導電粒子の平均粒子径は、5μm以上25μm以下である。より好ましくは、第3の導電粒子の平均粒子径は、10μm以上20μm以下である。第3の導電粒子の平均粒子径の測定方法は、無機材料の平均粒子径の測定方法と同じである。第3の母相に占める第3の導電粒子の体積分率は、25%以上60%以下の範囲内である。好ましくは、第3の母相に占める第3の導電粒子の体積分率は28%以上50%以下の範囲内である。より好ましくは、第3の母相に占める第3の導電粒子の体積分率は30%以上45%以下の範囲内である。なお、第3の導電粒子の平均粒子径や母相に占める体積分率により、PTCサーミスタ部材30の内部における導電パスの様相が変わる。
3.PTCサーミスタ部材の共通点
本実施形態のPTCサーミスタ部材10、20、30は、相転移温度で結晶構造が相転移する無機材料を含有している。無機材料は、熱膨張により、ある導電粒子と別の導電粒子とを引き離す役割を担っている。この熱膨張により、導電粒子が形成する導電パスのうちの大部分が切断される。そのため、高いPTC効果が発揮される。
また、粒径の大きい導電粒子を用いた場合や、熱膨張の大きな無機材料を用いた場合であっても、通電耐久性を犠牲にすることなくPTC効果の高いPTCサーミスタ部材10、20、30が得られる。相転移温度以上の温度におけるPTCサーミスタ部材10、20、30の電気抵抗率は、室温でのPTCサーミスタ部材10、20、30の電気抵抗率に比べて大きい。
また、本実施形態で用いる無機材料は、PTCサーミスタ部材10、20、30の母材として好適である。無機材料の融点あるいは分解温度は全て1000℃以上と高い。また、無機材料は、有機材料であるポリマーに比して耐熱性に優れ、長時間高温にさらされた場合でも母材の溶融等による変化がない。
また、導電粒子の条件を設定することにより、PTCサーミスタ部材10、20、30の電気抵抗率を0.005Ωcmから1000Ωcmまでの範囲内で調整することができる。そして、このようなPTCサーミスタ部材10、20、30のうち、電気抵抗率の小さいものは、過電流保護素子として好適である。一方、電気抵抗率の大きいものは、PTCヒーターに好適である。
4.PTCサーミスタ部材の相違点
本実施形態の特徴点は、PTCサーミスタ部材30と、PTCサーミスタ部材10、20と、について異なる性質の材料を用いることである。そのため、PTCサーミスタ部材30と、PTCサーミスタ部材10、20と、の間の相違点について説明する。なお、PTCサーミスタ部材10の構成とPTCサーミスタ部材20の構成とは、ほぼ同じである。そのため、PTCサーミスタ部材10、20の性質はほぼ等しい。
4−1.電気抵抗率の変化率
第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材30)の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)の電気抵抗率の変化率よりも小さい。なお、PTCサーミスタ部材20の電気抵抗率の変化率は、PTCサーミスタ部材10の電気抵抗率の変化率とほぼ同じである。
ここで、電気抵抗率の変化率は、第1の温度での電気抵抗率に対する第2の温度での電気抵抗率の比である。第1の温度は、25℃である。第2の温度は、300℃である。第1の温度(25℃)では、PTCサーミスタ部材10、20、30におけるそれぞれの無機材料は、低温型の結晶構造をしている。第2の温度(300℃)では、PTCサーミスタ部材10、20、30におけるそれぞれの無機材料は、高温型の結晶構造をしている。
4−2.PTC効果
このように、上記のような電気抵抗率の変化率の関係があるため、もちろん、第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材30)のPTC効果は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)のPTC効果および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)のPTC効果よりも小さい。第1の実施形態のPTCサーミスタ素子1では、PTCサーミスタ部材10、20が、高いPTC効果を担っている。
4−3.通電耐久性
また、上記のような電気抵抗率の変化率の関係があるため、PTCサーミスタ部材30の通電耐久性は、PTCサーミスタ部材10の通電耐久性よりも高い。また、PTCサーミスタ部材30の通電耐久性は、PTCサーミスタ部材20の通電耐久性よりも高い。第1の実施形態のPTCサーミスタ素子1では、熱応力の集中しやすい中心付近に位置するPTCサーミスタ部材30が、高い通電耐久性を備えている。そのため、PTCサーミスタ素子1の全体の通電耐久性は高い。
4−4.体積膨張率
第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材30)の体積膨張率は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)の体積膨張率および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)の体積膨張率よりも小さい。
4−3.導電粒子の平均粒子径
第3の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。このとき、第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材30)のPTC効果は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)のPTC効果および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)のPTC効果よりも小さい。
4−5.導電粒子の体積分率
第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材30)に占める第3の導電粒子の体積分率は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)に占める第1の導電粒子の体積分率および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)に占める第2の導電粒子の体積分率よりも5%以上大きい。
5.PTCサーミスタ素子の効果の比較
5−1.一般のPTCサーミスタ素子の効果
一般に、PTCサーミスタ素子の表面付近では、熱が逃げやすい。PTCサーミスタ素子の表面が大気等に接しているからである。一方、PTCサーミスタ素子の中央付近では、熱が逃げにくい。そのため、PTCサーミスタ素子の中央付近の熱応力は、PTCサーミスタ素子の表面付近の熱応力よりも大きい。したがって、PTCサーミスタ素子の中央付近で、クラックが発生しやすい。
5−2.第1の実施形態のPTCサーミスタ素子の効果
しかし、本実施形態では、PTCサーミスタ素子1の中央付近に通電耐久性の高いPTCサーミスタ部材30を配置している。PTCサーミスタ部材30は、通電耐久性に優れている。その代わりに、PTCサーミスタ部材30は、PTC効果はそれほど高くなくてよい。本実施形態では、PTCサーミスタ素子1の中央付近にPTCサーミスタ部材30が配置されている。そのため、このPTCサーミスタ素子1では、熱応力に対して、耐久性が高い。
そして、本実施形態のPTCサーミスタ素子1では、PTCサーミスタ部材10およびPTCサーミスタ部材20が高いPTC効果を担う。また、前述したように、PTCサーミスタ部材30が高い通電耐久性を担っている。したがって、高いPTC効果を発揮するとともに通電耐久性に優れたPTCサーミスタ素子1が実現されている。
6.原材料の調製方法
6−1.無機材料の調製方法
無機材料のうち工業原料として販売されているものについてはそのまま利用すればよい。例えば、クリストバライト型二酸化珪素は、コート紙のコーティング材等として用いられている。また、クリストバライト型リン酸アルミニウムおよびトリジマイト型リン酸アルミニウムは、鋼板の化成処理剤として広く工業的に生産されている。これらの原材料のうち粒度が大きいものは湿式ポットミル粉砕などの方法により粉砕すればよい。
クリストバライト型二酸化珪素およびトリジマイト型二酸化珪素は、出発原料に石英(SiO2 )粉末を用いるとともに、結晶系が安定な高い温度領域で仮焼することにより得られる。または、結晶系を安定化させるアルカリ金属やアルカリ土類金属の存在下ではより低温の仮焼により得ることができる。または、石英を原料として用いるとともに、結晶系の安定化剤としてアルカリ金属やアルカリ土類金属を添加して、例えば成形後の焼成工程などの工程中に石英をクリストバライト型二酸化珪素またはトリジマイト型二酸化珪素に変換してもよい。
カーネギアイト(NaAlSiO4 )は、例えば、炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )、酸化アルミニウム(Al2 3 )、石英(SiO2 )の各原料粉末を所定のモル比に混合する。そして、混合した原料粉末を850℃で脱炭酸を行った後に、900℃以上1350℃以下の温度で仮焼することで粉末原料を得ることができる。
このようにして得られた無機材料のうち、平均粒子径の好適なものについては、そのまま用いればよい。また、平均粒子径の大きな無機材料については、その粉末を湿式ポットミルで粉砕する。これにより、例えば、平均粒子径が1μm以上50μm以下の粉末が得られる。
6−2.導電粒子の調製方法
導電粒子は、工業原料として入手できるものは所定の粒度に篩分級する。また、新たに合成した導電粒子については粉砕後に分級して用いる。
7.PTCサーミスタ素子の製造方法
以下、本実施形態のPTCサーミスタ素子1の製造方法について説明する。
7−1.第1の成形体作製工程
7−1−1.原材料の調製工程
上記に示した方法により、第1の無機材料と、第1の導電粒子と、を調製する。これにより、平均粒子径等の好適な原材料が得られる。
7−1−2.混合工程
次に、第1の無機材料と第1の導電粒子とを混合する。そこで、第1の無機材料と第1の導電粒子とをそれぞれ所定の割合で計量する。そして、これらの原材料にバインダーを乾式混合もしくは湿式混合することにより、混合物が得られる。バインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、あるいはセルロース系の材料などが挙げられる。
また、成形助剤として粘土粉末を乾式または湿式で混合してもよい。また、焼結助剤としてガラス粉末や、第1の無機材料と反応して液相を形成する材料を加えてもよい。なお、粘土粉末は焼結助剤としても機能する。
7−1−3.成形工程
次に、この混合物を成形する。そのために、上記の混合物を乾式プレス成形することにより成形体を得る。もしくは、成形用のバインダーを添加して湿式押出成形することにより第1の成形体を得る。ここで、第1の成形体は、焼結後にPTCサーミスタ部材10となるものである。
7−2.第2の成形体作製工程
この工程では、第2の成形体を作製する。ここで、第2の成形体は、焼結後にPTCサーミスタ部材20となるものである。第2の成形体を作製するに際して、第1の成形体作製工程と同様の工程を行えばよい。または、第1の成形体作製工程において、作製した2つの成形体のうち、一方を第1の成形体として用い、他方を第2の成形体として用いてもよい。
7−3.第3の成形体作製工程
この工程では、第3の成形体を作製する。ここで、第3の成形体は、焼結後にPTCサーミスタ部材30となるものである。第3の成形体を作製するに際して、第1の成形体作製工程と同様の工程を行えばよい。ただし、第3の成形体を作製する際には、第1の導電粒子の代わりに、第3の導電粒子を用いる。そして、第1の無機材料の代わりに、第3の無機材料を用いる。これにより、PTCサーミスタ部材10等よりも通電耐久性に優れたPTCサーミスタ部材30を作製することができる。
7−4.焼結工程
次に、第1の成形体と第2の成形体との間に第3の成形体を挟んだ積層成形体を形成する。そして、その積層成形体を焼結する。そのために、積層成形体を水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性ガス気流中で導電粒子が酸化しない条件で焼結する。焼結における処理温度は、例えば、1000℃以上1500℃以下の範囲内である。もちろん、上記以外の温度範囲であってもよい。ただし、処理温度は、無機材料の材質に依存する。また、焼結における圧力は大気圧である。この焼結工程により、緻密な焼結体が得られる。
7−5.電極形成工程
次に、焼結体に電極を形成する。そのために、焼結体の両側に電極用ペーストを塗布する。その後、焼結体を加熱し、電極用ペーストを焼結体に焼き付ける。以上により、PTCサーミスタ素子1が製造される。
8.製造条件とPTCサーミスタ部材の特性との関係
本実施形態においては、焼結したPTC材料の相対密度を95%以上に緻密化することが好ましい。そのためには、無機材料の平均粒子径を小さくするとよい。また、無機材料に合わせた焼結助剤の材質および粒度を選定し、焼結条件を設定する。これにより、相対密度を95%以上にすることができる。相対密度が95%以下では欠陥やクラックが比較的多く内在していることがある。そのため、通電動作の繰り返しによりこれらを基点に破壊が進行し、通電耐久性が損なわれることがある。
PTC効果の大きいPTCサーミスタ部材10、20を製造するためには、次の事項が重要である。つまり、母相として熱膨張率の大きいものを選定するとともに、導電粒子として平均粒子径の大きいものを選定する。表1に示す無機材料では、相転移点における熱膨張の変化率が無機材料としては非常に大きい。そのため、無機材料の熱膨張を阻害しないようにするとよい。
母相全体の熱膨張率を小さくするためには、Li、Na、K、Mg、Ca等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンを添加する方法、無機材料の粒径を小さくする方法、焼成温度を高温にして無機材料の結晶構造を一部他の相に変換する方法、等を用いればよい。
逆に母相の熱膨張率を大きくするためには、アルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン量を少なくする方法、無機材料の粒径を大きくする方法、低温で焼成する方法、等を用いればよい。焼成を酸素分圧の低い水素気流中で行うことも、無機材料の熱膨張を上げることに効果がある。導電粒子の粒径を大きくすると、母相が膨張する際に導電粒子の連結ネットワークが切断される確率が上昇する。したがって、平均粒子径の大きな導電粒子を用いることが、そのまま「PTC効果」の向上につながる。
9.変形例
9−1.PTC効果
PTCサーミスタ部材30のPTC効果は、1000倍以下であってもよい。PTCサーミスタ部材10およびPTCサーミスタ部材20が高いPTC効果を奏するからである。つまり、PTCサーミスタ部材10およびPTCサーミスタ部材20が、高いPTC効果を担うとともに、PTCサーミスタ部材30が、高い通電耐久性を担うのである。
9−2.成形工程
成形工程において、湿式押出成形の際に、シート状の成形体に圧縮ねじりを加える方法を適用してもよい。また、この成形体に対して、さらに等方加圧を行ってもよい。さらに密度の高い成形体を得ることができる。
9−3.焼結工程
焼結工程では、同様の非酸化性ガス気流中で、所定の荷重をかけながら高温下で保持するホットプレスを施してもよい。これにより、より高密度の焼結体を得ることができる。この焼結体に対し、乾燥後にさらに等方加圧成形を行い密度の高い焼結体を得ることもできる。そして、ホットプレス法での焼成時に圧縮と同時にねじりを加える圧縮ねじり法を用いてもよい。また、成形体の乾燥後に必要に応じて有機バインダーを300℃程度の温度で分解する脱バインダー工程を加えてもよい。
9−4.原材料の調製方法
本実施形態では、無機材料を調製済みの状態で混合するとともに、高温で焼結することとした。しかし、焼結工程の最中に、最終的に無機材料が母相中に生成するようにしてもよい。
9−5.組み合わせ
上記の各変形例等を自由に組み合わせてもよい。
10.第1の実施形態のまとめ
本実施形態のPTCサーミスタ素子1は、PTC効果の高いPTCサーミスタ部材10とPTCサーミスタ部材20との間に、通電耐久性に優れるPTCサーミスタ部材30を挟んだ積層構造を有している。そのため、PTCサーミスタ素子1の中央付近で熱応力が好適に緩和される。そのため、クラックが発生しにくいPTCサーミスタ素子1が実現されている。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
1.PTCサーミスタ素子
図2は、本実施形態のPTCサーミスタ素子2の概略構成を示す図である。PTCサーミスタ素子2は、無機材料を含有する無機複合PTCサーミスタ素子である。図2に示すように、PTCサーミスタ素子2は、PTCサーミスタ部材110と、PTCサーミスタ部材120と、PTCサーミスタ部材130と、PTCサーミスタ部材140と、PTCサーミスタ部材150と、電極40a、40bと、を有している。PTCサーミスタ部材110、130は、第1のPTCサーミスタ部材である。PTCサーミスタ部材120は、第2のPTCサーミスタ部材である。PTCサーミスタ部材140は、第1の導電性部材のうちの一つである。PTCサーミスタ部材150は、第1の導電性部材のうちの一つである。
PTCサーミスタ部材110は、電極40aとPTCサーミスタ部材140との間に位置している。PTCサーミスタ部材140は、PTCサーミスタ部材110とPTCサーミスタ部材120との間に位置している。PTCサーミスタ部材120は、PTCサーミスタ部材140とPTCサーミスタ部材150との間に位置している。PTCサーミスタ部材150は、PTCサーミスタ部材120とPTCサーミスタ部材130との間に位置している。PTCサーミスタ部材130は、電極40bとPTCサーミスタ部材150との間に位置している。
電極40aは、PTCサーミスタ部材110の上に形成されている。そのため、電極40aは、PTCサーミスタ部材110と電気的に接続されている。電極40bは、PTCサーミスタ部材130の上に形成されている。そのため、電極40bは、PTCサーミスタ部材130と電気的に接続されている。
2.PTCサーミスタ部材の相違点
2−1.電気抵抗率の変化率
第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材140)の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材110)の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材120)の電気抵抗率の変化率よりも小さい。第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材150)の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材130)の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材120)の電気抵抗率の変化率よりも小さい。
ここで、電気抵抗率の変化率は、第1の温度での電気抵抗率に対する第2の温度での電気抵抗率の比である。第1の温度は、25℃である。第2の温度は、300℃である。第1の温度(25℃)では、PTCサーミスタ部材110、120、130、140、150におけるそれぞれの無機材料は、低温型の結晶構造をしている。第2の温度(300℃)では、PTCサーミスタ部材110、120、130、140、150におけるそれぞれの無機材料は、高温型の結晶構造をしている。
2−2.PTC効果
このように、上記のような電気抵抗率の変化率の関係があるため、もちろん、第1の導電性部材(PTCサーミスタ部材140)のPTC効果は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材110)のPTC効果および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材120)のPTC効果よりも小さい。
2−3.通電耐久性
また、上記のような電気抵抗率の変化率の関係があるため、PTCサーミスタ部材140の通電耐久性は、PTCサーミスタ部材110の通電耐久性よりも高い。また、PTCサーミスタ部材140の通電耐久性は、PTCサーミスタ部材120の通電耐久性よりも高い。
2−4.その他
PTCサーミスタ部材の体積膨張率、導電粒子の平均粒子径および体積分率については、第1の実施形態と同様の関係が成り立つ。
3.PTCサーミスタ素子の効果の比較
第2の実施形態のPTCサーミスタ素子2の効果は、第1の実施形態のPTCサーミスタ素子1の効果と同様である。
4.変形例
4−1.PTCサーミスタ部材の数
PTCサーミスタ部材の数は、図2に示すより多くてもよい。そして、電気抵抗率の変化率の高いPTCサーミスタ部材と、電気抵抗率の変化率の低いPTCサーミスタ部材と、を交互に配置するようにしてもよい。
4−2.第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材
本実施形態では、PTCサーミスタ部材110、130は、第1のPTCサーミスタ部材であり、PTCサーミスタ部材120は、第2のPTCサーミスタ部材である。しかし、便宜上このように定義しただけである。そのため、PTCサーミスタ部材120を第1のPTCサーミスタ部材としてもよい。もちろん、PTCサーミスタ部材110、130を第2のPTCサーミスタ部材としてもよい。
4−3.組み合わせ
変形例を含む第2の実施形態の技術と、変形例を含む第1の実施形態の技術とを、自由に組み合わせてもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。
1.PTCサーミスタ素子
図3は、本実施形態のPTCサーミスタ素子3の概略構成を示す図である。PTCサーミスタ素子3は、無機材料を含有する無機複合PTCサーミスタ素子である。図3に示すように、PTCサーミスタ素子3は、PTCサーミスタ部材10と、PTCサーミスタ部材20と、金属層230と、電極40a、40bと、を有している。ここで、PTCサーミスタ部材10は、第1のPTCサーミスタ部材である。PTCサーミスタ部材20は、第2のPTCサーミスタ部材である。金属層230は、金属もしくは合金から成る層である。そして金属層230は、第1の導電性部材のうちの一つである。
PTCサーミスタ部材10は、電極40aと金属層230との間に位置している。PTCサーミスタ部材20は、電極40bと金属層230との間に位置している。金属層230は、PTCサーミスタ部材10とPTCサーミスタ部材20との間に位置している。
電極40aは、PTCサーミスタ部材10の上に形成されている。そのため、電極40aは、PTCサーミスタ部材10と電気的に接続されている。電極40bは、PTCサーミスタ部材20の上に形成されている。そのため、電極40bは、PTCサーミスタ部材20と電気的に接続されている。
2.PTCサーミスタ部材の相違点
2−1.電気抵抗率の変化率
第1の導電性部材(金属層230)の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)の電気抵抗率の変化率よりも小さい。
ここで、電気抵抗率の変化率は、第1の温度での電気抵抗率に対する第2の温度での電気抵抗率の比である。第1の温度は、25℃である。第2の温度は、300℃である。第1の温度(25℃)では、PTCサーミスタ部材10、20におけるそれぞれの無機材料は、低温型の結晶構造をしている。第2の温度(300℃)では、PTCサーミスタ部材10、20におけるそれぞれの無機材料は、高温型の結晶構造をしている。
2−2.PTC効果
このように、上記のような電気抵抗率の変化率の関係があるため、もちろん、第1の導電性部材(金属層230)のPTC効果は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)のPTC効果および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)のPTC効果よりも小さい。
2−3.通電耐久性
また、上記のような電気抵抗率の変化率の関係があるため、第1の導電性部材(金属層230)の通電耐久性は、第1のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材10)の通電耐久性および第2のPTCサーミスタ部材(PTCサーミスタ部材20)の通電耐久性よりも高い。
2−4.その他
PTCサーミスタ部材の体積膨張率、導電粒子の体積分率については、第1の実施形態と同様の関係が成り立つ。ただし、導電粒子の平均粒子径については、第1の実施形態と異なる関係が成り立ってもよい。つまり、第1の導電性部材の平均粒子径は、第1の導電粒子および第2の導電粒子の平均粒子径より小さくてもよい。また、第1の導電性部材の平均粒子径は、第1の導電粒子および第2の導電粒子の平均粒子径以上であってもよい。
3.PTCサーミスタ素子の効果の比較
第3の実施形態のPTCサーミスタ素子3の効果は、第1の実施形態のPTCサーミスタ素子1の効果と同様である。
4.変形例
4−1.サーメット層
金属層230の代わりに、サーメット層を用いてもよい。サーメット層の通電耐久性は、PTCサーミスタ部材10およびPTCサーミスタ部材20の通電耐久性よりも高い。この場合、サーメット層は、第1の導電性部材のうちの一つである。
4−2.導電性無機材料
金属層230の代わりに、導電性無機材料を用いてもよい。この導電性無機材料は、PTC効果を有さない。つまり、通電による構造の相転移はない。よって、このような導電性無機材料の通電耐久性は、PTCサーミスタ部材10およびPTCサーミスタ部材20の通電耐久性よりも高い。この場合、導電性無機材料は、第1の導電性部材のうちの一つである。
4−3.焼結金属または焼結合金
金属層230は、焼結金属または焼結合金であってもよい。この焼結金属または焼結合金は、平均粒子径が1μm以上50μm以下の程度の金属粒子または合金粒子を焼結したものである。この場合、焼結金属または焼結合金は、第1の導電性部材のうちの一つである。
このように、PTCサーミスタ部材10とPTCサーミスタ部材20との間に位置する第1の導電性部材は、焼結金属または焼結合金等の金属層、サーメット層、導電性無機材料のうちのいずれかを主成分とする。
4−4.組み合わせ
変形例を含む第3の実施形態の技術と、変形例を含む第1の実施形態および第2の実施形態の技術とを、自由に組み合わせてもよい。
(A)実験1
ここで、実験1について説明する。
1.PTCサーミスタ部材(試験体)の原材料
無機材料として、クリストバライト型二酸化珪素を用いた。第1の導電粒子および第2の導電粒子として、金属(W)と、金属炭化物(TiC、ZrC、Mo2 C、WC)と、金属窒化物(TiN、ZrN、Mo2 N)と、金属珪化物(MoSi2 、TiSi2 、NbSi2 )と、を用いた。第3の導電粒子として、金属(Ni、Fe)と、合金(Ni合金、SUS304、SUS406)と、金属炭化物(TiC)と、金属珪化物(MoSi2 、NbSi2 )と、金属ホウ化物(TiB2 、ZrB2 )と、を用いた。
2.PTCサーミスタ部材(試験体)の作製方法
本実験では、各種原材料を各製造条件でPTCサーミスタ素子のサンプルを作製した。その「標準製法」は次のとおりである。無機材料の調製方法については、第1の実施形態に記載のとおりである。また、導電粒子については工業原料として購入可能な材料を用いた。その際に、篩分け法を用いて導電粒子を選定した。
まず、無機材料と導電粒子とを所定の比率で乾式混合した。そして、その混合物をさらに成形用バインダーとしてメチルセルロース粉末を2.0体積%加え、さらに成形助剤および焼結助剤として粘土粉末を1.0体積%加え、乾式で混合した。
この混合物に純水を加えた上で湿式押出成形して成形体を得た。そして、第1の成形体と第2の成形体と第3の成形体とを重ねて積層成形体を得た。ここで、第1の成形体は、PTCサーミスタ部材10となる成形体である。第2の成形体は、PTCサーミスタ部材20となる成形体である。第3の成形体は、PTCサーミスタ部材30となる成形体である。つまり、第3の成形体を第1の成形体および第2の成形体の間に配置した。さらに積層成形体の乾燥後に320℃で脱バインダーを行った。その後、水素99%および窒素1%の雰囲気ガスで焼成を行った。雰囲気ガスの温度は、1200℃であった。焼成時間は、3時間であった。
通電試験を実施するために、焼結後の試験体の表面にタングステンを主成分とする焼き付け型の電極材を焼成後の試験体に塗布した。その後、電極材を焼き付けて、低抵抗の電極層を形成した。試験体の寸法は、5mm×5mm×2mmであった。ここで、試験体の厚みは2mmである。
3.評価方法
本実験では、「PTC効果」と、「サイクル耐久性」と、「長時間耐久性」とを評価した。「PTC効果」を算出するために、室温での試験体の電気抵抗率と、相転移温度より高い温度での試験体の電気抵抗率と、を測定した。また、「サイクル耐久性」を評価するために、予め定めた電圧で500サイクル通電する前後の室温での電気抵抗率(室温抵抗率)を測定した。そして、室温抵抗率の変化率を算出した。そして、その予め定めた電圧として、自動車用途に要求される15Vと、トラックなどで要求される24Vと、2種類の条件で評価した。ここで、1サイクルにおける通電時間は30秒である。また、「長時間耐久性」を評価するために、15Vの電圧を72時間連続して印加した。そして、通電の前後で試験体の電気抵抗率を測定した。
なお、PTC効果は高いほどよい。繰り返し通電に対するサイクル耐久性については、室温抵抗率の変化率が小さいほどよい。室温抵抗率の変化率は、次式で与えられる。
Rx=(Rf−Ri)/Ri×100
Rx:室温抵抗率の変化率
Rf:サイクル通電後の室温抵抗率
Ri:サイクル通電前の室温抵抗率
4.実験結果1
以下、PTCサーミスタ部材のサンプルに対して評価した結果について説明する。
4−1.好適なPTCサーミスタ部材
表2に実施例2.1−2.19を示す。実施例2.1−2.19では、無機材料としてクリストバライト型二酸化珪素を用いた。そして、クリストバライト型二酸化珪素の平均粒子径は5μmである。実施例2.1−2.13では、第1のPTCサーミスタ部材と第2のPTCサーミスタ部材とは、同じ構成である。実施例2.14−2.19では、第1のPTCサーミスタ部材と第2のPTCサーミスタ部材とは、互いに異なる構成である。
実施例2.1−2.17では、第3の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。また、実施例2.1−2.19では、第3の導電粒子の体積分率は、第1の導電粒子の体積分率および第2の導電粒子の体積分率よりも12%大きい。
実施例2.1−2.19では、PTC効果は32000倍以上である。実施例2.6−2.8、2.17では、PTC効果は10万倍以上である。
実施例2.1−2.19では、15Vにおけるサイクル耐久性が12%以下である。特に、実施例2.1−2.13では、15Vにおけるサイクル耐久性が1%以下である。そのため、実施例2.1−2.19のPTCサーミスタ部材は、自動車用途に適している。また、実施例2.1−2.13のPTCサーミスタ部材は、特に好適である。つまり、第1のPTCサーミスタ部材と第2のPTCサーミスタ部材とは、同じ構成であることが好ましい。
実施例2.1−2.19では、24Vにおけるサイクル耐久性が21%以下である。特に、実施例2.1−2.13では、24Vにおけるサイクル耐久性が3%以下である。また、実施例2.1−2.19のPTCサーミスタ部材は、自動車用途に加えて、トラックなどの用途に適している。また、実施例2.1−2.13のPTCサーミスタ部材は、特に好適である。
4−2.導電粒子の平均粒子径
導電粒子の平均粒子径は、表2に示されている。導電粒子の平均粒子径の測定方法は、第1の実施形態で説明した平均粒子径の測定方法と同じである。第1の導電粒子の平均粒子径は、15μm以上60μm以下である。好ましくは、第1の導電粒子の平均粒子径が20μm以上50μm以下である。第2の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径と同様である。第3の導電粒子の平均粒子径は、5μm以上25μm以下である。好ましくは、第3の導電粒子の平均粒子径が10μm以上20μm以下である。
4−3.導電粒子の体積分率
平均粒子径は、表2に示されている。第1の母相に占める第1の導電粒子の体積分率は、18%以上27%以下の範囲内である。好ましくは、第1の母相に占める第1の導電粒子の体積分率は20%以上25%以下の範囲内である。第2の導電粒子については、第1の導電粒子と同様である。第3の母相に占める第3の導電粒子の体積分率は、28%以上60%以下の範囲内である。好ましくは、第3の母相に占める第3の導電粒子の体積分率は30%以上50%以下の範囲内である。第3のPTCサーミスタ部材30に占める第3の導電粒子の体積分率は、第1のPTCサーミスタ部材10に占める第1の導電粒子の体積分率および第2のPTCサーミスタ部材20に占める第2の導電粒子の体積分率よりも5%以上大きい。
なお、この実験では、トリジマイト型二酸化珪素、クリストバライト型リン酸アルミニウム、トリジマイト型リン酸アルミニウム、カーネギアイトについては記載されていない。しかし、これらの材質は、表1に示したように、相転移温度で結晶構造の相転移を引き起こす。そのため、無機材料として使用可能である。
4−4.長時間耐久性
なお、長時間耐久性については、サイクル耐久性とほぼ同様の傾向であった。そのため、各表における記載を省略した。
本明細書の技術の範囲は、以上の実施例で示した無機材料と導電粒子についての材料の種類、材料の組合せ、粒子径、製造方法について、各例で記載した内容に限定されるものではない。
Figure 0006837238
5.実験結果2
表3に実施例3.1−3.5を示す。実施例3.1−3.5では、表3に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。実施例3.1−3.5では、第1のPTCサーミスタ部材と第2のPTCサーミスタ部材とは、同じ構成である。実施例3.1−3.5では、第3の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。また、実施例3.1−3.5では、第3の導電粒子の体積分率は、第1の導電粒子の体積分率および第2の導電粒子の体積分率よりも12%大きい。
実施例3.1−3.5では、PTC効果は、96000倍である。
実施例3.1−3.5では、15Vにおけるサイクル耐久性が8%以下である。特に、実施例3.1−3.3では、15Vにおけるサイクル耐久性が1%以下である。そのため、実施例3.1−3.5のPTCサーミスタ部材は、自動車用途に適している。また、実施例3.1−3.3のPTCサーミスタ部材は、特に好適である。
実施例3.1−3.5では、長時間耐久性が16%以下である。特に、実施例3.1−3.3では、長時間耐久性が3%以下である。
このように、第3の導電粒子の平均粒子径が小さくなるほど、通電耐久性は向上する傾向にある。第3の導電粒子の平均粒子径は、10μm以上35μm以下の範囲内であるとよい。好ましくは、15μm以上25μm以下の範囲内である。
Figure 0006837238
6.実験結果3
表4に実施例4.1−4.8および比較例4.1−4.3を示す。実施例4.1−4.8および比較例4.1−4.3では、表4に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。実施例4.1−4.8では、PTC効果は、64000倍である。15Vにおけるサイクル耐久性は4%以下である。24Vにおけるサイクル耐久性は19%以下である。
ここで、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材の熱膨張率は0.61である。第3のPTCサーミスタ部材の熱膨張率は0.38以上0.57以下である。つまり、第3のPTCサーミスタ部材の体積膨張率は、第1のPTCサーミスタ部材の体積膨張率および第2のPTCサーミスタ部材の体積膨張率よりも小さい。なお、比較例4.1−4.3では、PTC効果が低い。第1の導電粒子および第2の導電粒子の平均粒子径が第3の導電粒子の平均粒子径よりも小さいからであると考えられる。
Figure 0006837238
7.実験結果4
表5に実施例5.1−5.5および比較例5.1−5.4を示す。実施例5.1−5.5および比較例5.1−5.4では、表5に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。
実施例5.1−5.5では、第1の導電粒子および第2の導電粒子の平均粒子径が53μmもしくは63μmとやや大きい。そして、第3の導電粒子の平均粒子径が第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。実施例5.1−5.5では、PTC効果は20万倍以上である。15Vにおけるサイクル耐久性は6%以下である。24Vにおけるサイクル耐久性は18%以下である。
一方、比較例5.1−5.4では、第3の導電粒子の平均粒子径が第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも大きい。第1の導電粒子および第2の導電粒子の平均粒子径は、5μm以上18μm以下の程度である。第3の導電粒子の平均粒子径は、38μmである。比較例5.1−5.4では、PTC効果は1000倍から6000倍の程度である。15Vにおけるサイクル耐久性は7%以上である。24Vにおけるサイクル耐久性は30%以上である。比較例5.1−5.4では、PTC効果が十分でない。これは、第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率が、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも大きいためであると考えられる。
Figure 0006837238
8.実験結果5
表6に実施例6.1−6.3を示す。実施例6.1−6.3では、表6に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。実施例6.1−6.3では、第1の導電性部材としてサーメットを用いている。実施例6.1−6.3では、PTC効果は64000倍である。15Vにおけるサイクル耐久性は9%以下である。長時間耐久性は22%以下である。
Figure 0006837238
9.実験結果6
表7に実施例7.1−7.4を示す。実施例7.1−7.4では、表7に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。実施例7.1−7.4では、第1の導電性部材として焼結合金を用いている。具体的には、焼結合金として、平均粒子径が5μmのSUS304もしくはSUS406を用いている。
表7に示すように、実施例7.1−7.4では、PTC効果は64000倍である。15Vにおけるサイクル耐久性は2%以下である。長時間耐久性は11%以下である。したがって、このPTCサーミスタ部材は、自動車用途に適している。
Figure 0006837238
10.実験結果7
表8に実施例8.1−8.4を示す。実施例8.1−8.4では、表8に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。実施例8.1−8.4では、第1の導電性部材として導電性無機材料を用いている。具体的には、導電性無機材料として、TiB2 もしくはZrB2 を用いている。
表8に示すように、実施例8.1−8.4では、PTC効果は96000倍である。15Vにおけるサイクル耐久性は3%以下である。長時間耐久性は12%以下である。したがって、このPTCサーミスタ部材は、自動車用途に適している。
Figure 0006837238
11.実験結果8
表9に比較例9.1−9.5を示す。比較例9.1−9.5では、表9に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。比較例9.1−9.5では、電気抵抗率の変化率の小さな部材を第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材として用いるとともに、電気抵抗率の変化の大きな部材を第3のPTCサーミスタ部材として用いた。そのため、例えば、第3の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも大きい。
表9に示すように、比較例9.1−9.5では、PTC効果は650倍以下と非常に低い。そのため、このPTCサーミスタ素子は、自動車用途およびトラック用途に用いるのに適していない。これは、第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率が、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも大きいためであると考えられる。
Figure 0006837238
12.実験結果9
表10に比較例10.1−10.4を示す。比較例10.1−10.4では、表10に記載されている以外の条件については、実験1(表2)と同様である。比較例10.1−10.4では、第1のPTCサーミスタ部材と第2のPTCサーミスタ部材と第3のPTCサーミスタ部材とでほぼ同じものを用いることとした。
表10に示すように、比較例10.1−10.4では、PTC効果は64000倍以上と高い。しかし、15Vにおけるサイクル耐久性は19%以上である。また、24Vにおけるサイクル耐久性は88%以上である。このようにサイクル耐久性が十分でない。これは、第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率が、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率と同程度であるためと考えられる。このようにサイクル耐久性が十分ではないため、このPTCサーミスタ素子は、自動車用途およびトラック用途に用いるのに適していない。
Figure 0006837238
13.実験結果10
表11から表13に第1のPTCサーミスタ部材のPTC効果と、第2のPTCサーミスタ部材のPTC効果と、第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果と、を示す。表11の実施例2.1の試験体は、表2の実施例2.1の試験体と同じである。つまり、表11は、表2の実施例2.1の試験体において第1のPTCサーミスタ部材から第3のPTCサーミスタ部材までのそれぞれの部分のPTC効果の内訳を示している。また、表12、表13についても同様である。
表11に示すように、実施例2.1では、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材のPTC効果は、64000倍である。第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果は、14倍である。そして、これらのサーミスタ部材を3層に重ねたPTCサーミスタ素子のPTC効果は、64000倍である。このように、第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果が小さくとも、PTCサーミスタ素子のトータルでのPTC効果は十分に高い。
このように、第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果は、第1のPTCサーミスタ部材のPTC効果および第2のPTCサーミスタ部材のPTC効果よりも小さい。実施例2.1では、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材のPTC効果は、第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果の4500倍以上である。ここで、PTC効果は、電気抵抗率の変化率である。例えば、25℃での電気抵抗率に対する300℃での電気抵抗率の比である。第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも小さい。
実施例2.1の第3の導電粒子の平均粒子径は18μmであり、実施例2.1の第1の導電粒子および第2の導電粒子の平均粒子径は38μmである。このように、第3の導電粒子の平均粒子径は、第1の導電粒子の平均粒子径および第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さい。また、第3の導電粒子の平均粒子径が小さいと、第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果は比較的小さい。
実施例2.1の第3の導電粒子の体積分率は35%であり、実施例2.1の第1の導電粒子および第2の導電粒子の体積分率は23%である。このように、第1の導電性部材に占める第3の導電粒子の体積分率は、第1のPTCサーミスタ部材に占める第1の導電粒子の体積分率および第2のPTCサーミスタ部材に占める第2の導電粒子の体積分率よりも5%以上大きい。
上記の事項は、表11および表12のその他の実施例についても同様である。
表13に示すように、実施例4.5−4.8では、第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果は、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材のPTC効果よりも十分に小さい。つまり、第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率は、第1のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率および第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも小さい。ここで、電気抵抗率の変化率とは、25℃での電気抵抗率に対する300℃での電気抵抗率の比である。そのため、PTCサーミスタ素子のPTC効果は、64000倍と十分に高い。また、PTCサーミスタ素子のサイクル耐久性も十分である。
一方、比較例4.1−4.3のPTC効果の大小関係は、実施例4.5−4.8のPTC効果の大小関係と逆になっている。つまり、比較例4.1−4.3では、第3のPTCサーミスタ部材のPTC効果は、第1のPTCサーミスタ部材および第2のPTCサーミスタ部材のPTC効果よりも十分に大きい。この場合のPTCサーミスタ素子のPTC効果は、4000倍以下である。また、15Vにおけるサイクル耐久性は8%以上である。24Vにおけるサイクル耐久性は40%以上である。このように、比較例4.1−4.3のPTCサーミスタ素子は、十分なPTC効果および十分な通電耐久性を備えていない。
Figure 0006837238
Figure 0006837238
Figure 0006837238
本明細書の技術は、車載用電気機器、家電製品、情報機器などに内蔵される過電流抑制素子として好適に利用できる。また、本明細書の技術は、PTCヒーター用素子として好適に利用できる。
1、2、3…PTCサーミスタ素子
10、20、30、110、120、130、140、150…PTCサーミスタ部材
40a、40b…電極
230…金属層

Claims (5)

  1. 第1のPTCサーミスタ部材と、
    第2のPTCサーミスタ部材と、
    前記第1のPTCサーミスタ部材と前記第2のPTCサーミスタ部材との間に位置する第3のPTCサーミスタ部材と、
    を有し、
    前記第1のPTCサーミスタ部材は、
    電気絶縁性かつ熱膨張性の第1の無機材料を含有する第1の母相と、
    前記第1の母相の全体に分散された第1の導電粒子と、
    を含有し、
    前記第2のPTCサーミスタ部材は、
    電気絶縁性かつ熱膨張性の第2の無機材料を含有する第2の母相と、
    前記第2の母相の全体に分散された第2の導電粒子と、
    を含有し、
    前記第3のPTCサーミスタ部材は、
    電気絶縁性かつ熱膨張性の第3の無機材料を含有する第3の母相と、
    前記第3の母相の全体に分散された第3の導電粒子と、
    を含有し、
    前記第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率は、
    前記第1のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率および前記第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも小さく、
    前記電気抵抗率の変化率は、
    第1の温度での電気抵抗率に対する第2の温度での電気抵抗率の比であり、
    前記第1の温度は、
    25℃であり、
    前記第2の温度は、
    300℃であり、
    前記第3の導電粒子の平均粒子径は、
    前記第1の導電粒子の平均粒子径および前記第2の導電粒子の平均粒子径よりも小さいこと
    を特徴とするPTCサーミスタ素子。
  2. 第1のPTCサーミスタ部材と、
    第2のPTCサーミスタ部材と、
    前記第1のPTCサーミスタ部材と前記第2のPTCサーミスタ部材との間に位置する第3のPTCサーミスタ部材と、
    を有し、
    前記第1のPTCサーミスタ部材は、
    電気絶縁性かつ熱膨張性の第1の無機材料を含有する第1の母相と、
    前記第1の母相の全体に分散された第1の導電粒子と、
    を含有し、
    前記第2のPTCサーミスタ部材は、
    電気絶縁性かつ熱膨張性の第2の無機材料を含有する第2の母相と、
    前記第2の母相の全体に分散された第2の導電粒子と、
    を含有し、
    前記第3のPTCサーミスタ部材は、
    電気絶縁性かつ熱膨張性の第3の無機材料を含有する第3の母相と、
    前記第3の母相の全体に分散された第3の導電粒子と、
    を含有し、
    前記第3のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率は、
    前記第1のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率および前記第2のPTCサーミスタ部材の電気抵抗率の変化率よりも小さく、
    前記電気抵抗率の変化率は、
    第1の温度での電気抵抗率に対する第2の温度での電気抵抗率の比であり、
    前記第1の温度は、
    25℃であり、
    前記第2の温度は、
    300℃であり、
    前記第3のPTCサーミスタ部材に占める前記第3の導電粒子の体積分率は、
    前記第1のPTCサーミスタ部材に占める前記第1の導電粒子の体積分率および前記第2のPTCサーミスタ部材に占める前記第2の導電粒子の体積分率よりも5%以上大きいこと
    を特徴とするPTCサーミスタ素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載のPTCサーミスタ素子において、
    前記第3のPTCサーミスタ部材の体積膨張率は、
    前記第1のPTCサーミスタ部材の体積膨張率および前記第2のPTCサーミスタ部材の体積膨張率よりも小さいこと
    を特徴とするPTCサーミスタ素子。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ素子において、
    前記第1の無機材料および前記第2の無機材料は、
    クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムと、カーネギアイトと、のうちの少なくとも一つを含有すること
    を特徴とするPTCサーミスタ素子。
  5. 請求項から請求項4までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ素子において、
    前記第3の無機材料は、
    クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムと、カーネギアイトと、のうちの少なくとも一つを含有すること
    を特徴とするPTCサーミスタ素子。
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