JP6833207B2 - 水硬性セメント組成物用添加剤 - Google Patents

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Description

本発明は水硬性セメント組成物用添加剤に関する。近年、水硬性セメント組成物から得られる硬化体、例えばコンクリート硬化体の高耐久性化が要求されるようになっている。その高耐久性化の指標のひとつとして凍結融解抵抗性がある。本発明は、得られる硬化体の凍結融解抵抗性を向上することができる水硬性セメント組成物用添加剤に関する。
例えばコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性を向上させるには、コンクリート中に微細な気泡を混入したAEコンクリートとすることが行なわれている。しかし、コンクリートに使用する材料や配合などの条件によってはAEコンクリートとした場合においても、凍結融解抵抗性が不十分な場合があり、そのため、場合に応じて空気量の増加や配合の修正等が行なわれている。AEコンクリートとする際に空気量調整用の添加剤を使用する場合、使用する添加剤の種類によって、得られるコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性は異なる。従来、凍結融解抵抗性に優れるものとしてリン酸エステル系の添加剤が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、従来提案されているリン酸エステル系の添加剤には、水や既存の水硬性セメント組成物用添加剤との溶解性が悪く、結果として得られる硬化体の凍結融解抵抗性が依然として不充分という問題がある。
特開昭61−048480号公報 特開2010−100478号公報 特開2010−285291号公報
本発明が解決しようとする課題は、それ自体の水溶液の安定性が高く、また既存の水硬性セメント組成物用添加剤との溶解性も高く、結果として得られる硬化体が凍結融解抵抗性に優れたものとなる水硬性セメント組成物用添加剤を提供する処にある。
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意研究した結果、特定の脂肪族アルコールリン酸エステルを特定の有機アミンで中和した特定の脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩が正しく好適であることを見出した。
すなわち本発明は、下記の化1で示される脂肪族アルコールリン酸エステル、下記の化2で示される脂肪族アルコールリン酸エステル及び下記の化3で示される脂肪族アルコールリン酸エステルから選ばれる脂肪族アルコールリン酸エステルを、下記の化4で示される有機アミンで中和した脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩から成ることを特徴とする水硬性セメント組成物用添加剤に係る。






Figure 0006833207
Figure 0006833207
Figure 0006833207
化1〜化3において、
〜R:炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基
n:2又は3
Figure 0006833207
化4において、
:炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基
AO,BO:オキシアルキレン基
a,b:0以上の整数であって、且つa+b=1〜100を満足する整数
化1において、Rは炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である。
かかるRとしては、1)ヘキシルアルコール、ヘプタノール、オクチルアルコール、2−エチルーヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−プロピルーヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、2)ヘキシルアルコール、ヘプタノール、オクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−プロピル−ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基が挙げられる。なかでもRとしては、オクチルアルコール、2−エチルーヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数8〜22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基が好ましい。
化1で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、モノヘキシルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノ2−エチル−ヘキシルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノ2‐ブチル‐オクチルホスフェート、モノトリデシルホスフェート、モノミリスチルホスフェート、モノセチルホスフェート、モノステアリルホスフェート、モノイソステアリルホスフェート、モノオレイルホスフェート等が挙げられる。
化2において、R、Rは化1中のRについて前記したことと同様である。
化2で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、ジオクチルホスフェート、ジ2−エチル−ヘキシルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジドデシルホスフェート、ジ2−ブチル−オクチルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジセチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジイソステアリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジデシルオレイルホスフェート等が挙げられる。
化3において、R、Rは化1中のRについて前記したことと同様である。またnは2又は3である。
化3で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、モノオクチルピロホスフェート、ジオクチルピロホスフェート、モノ2-エチルヘキシルピロホシフェート、ジ2-エチルヘキシルピロホシフェート、モノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ドデシルオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等が挙げられる。
化4において、Rは炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基である。かかるRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、オクダデセニル基、オクダデカジエニル基等が挙げられる。Rは、牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン、大豆油アミン等のアミンから、アミノ基を除いた基であってもよい。
は直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。Rの炭素数は1〜30であるが、好ましくは1〜25、より好ましくは6〜22、特に好ましくは6〜20、最も好ましくは8〜20である。Rの炭素数が30超であると、そのような有機アミンは疎水性が増大する。
化4中のAO、BOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であるが、好ましくはオキシエチレン基又はオキシプロピレン基であり、より好ましくはオキシエチレンである。a、bは、オキシアルキレン基の付加モル数を示す。
化4中のa、bは0以上の整数であって且つa+b≦100を満足する整数であるが、好ましくは1≦a+b≦40を満足する整数であり、より好ましくは2≦a+b≦50を満足する整数であって、特に好ましくは2≦a+b≦35を満足する整数であり、最も好ましくは3≦a+b≦35を満足する整数である。
脂肪族アルコールリン酸エステルの酸価は特に制限されないが、通常100〜600mg/g、好ましくは200〜600mg/g、より好ましくは200〜500mg/g、さらに好ましくは250〜500mg/g、特に好ましくは250〜450mg/g、最も好ましくは300〜400mg/gである。
かかる酸価は、例えばイソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合液、水等の溶剤に溶解した試料を、0.1N水酸化カリウムの例えばエチレングリコール/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合溶液で電位差自動滴定装置を用いて電位差滴定し、終点の滴定量(ml)を測定して、試料1g中に含まれるリン酸エステルの酸性基を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を下記の数1で算出した値である。
Figure 0006833207
数1において、
A1:滴定量(ml)
f1:0.1N水酸化カリウム溶液の力価
W1:試料の量(g)
また有機アミンのアミン価も特に制限されないが、通常20〜200mg/g、好ましくは20〜190mg/g、より好ましくは30〜180mg/g、さらに好ましくは30〜100mg/g、特に好ましくは30〜95mg/g、最も好ましくは30〜90mg/gである。
かかるアミン価は、例えばイソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合液、水等の溶剤に溶解した試料を、0.1N塩酸の例えばエチレングリコール/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合溶液で電位差自動滴定装置を用いて電位差滴定をし、終点の滴定量(ml)を測定して、試料1g中に含まれる有機アミンのアミノ基を中和するのに要する塩酸と等量の水酸化カリウムのmg数を下記の数2で算出した値である。
Figure 0006833207
数2において、
A2:滴定量(ml)
f2:0.1N水酸化カリウム溶液の力価
W2:試料の量(g)
更に有機アミンのアミン価/脂肪族アルコールリン酸エステルの酸価は、通常0.1〜5.0、好ましくは0.1〜3.0、より好ましくは0.2〜2.5、最も好ましくは0.3〜2.0である。
本発明に係る水硬性セメント組成物用添加剤を構成する脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩は、炭素数6〜24の脂肪族アルコール及び/又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものに、例えば五酸化二燐を反応させて脂肪族アルコールリン酸エステルを得た後、かかる脂肪族アルコールリン酸エステルを化4で示される有機アミンで中和することにより得られる。前記の脂肪族アルコールリン酸エステルは通常、化1で示される脂肪族アルコールリン酸エステルと化2で示される脂肪族アルコールリン酸エステルの混合物となるが、場合によっては更に化3で示される脂肪族アルコールリン酸エステルをも含む混合物となる。
本発明に係る水硬性組成物用添加剤は、土木、建築、二次製品等のセメントを含有する水硬性セメント組成物に使用されるものである。かかる水硬性セメント組成物としては、ペースト、モルタル、コンクリート等が挙げられる。
本発明に係る水硬性セメント組成物用添加剤は既存の水硬性セメント組成物用添加剤と併用することができる。かかる水硬性セメント組成物用添加剤としては、AE減水剤、高性能AE減水剤、空気量調整剤としてAE剤、消泡剤、収縮低減剤、増粘剤、硬化促進剤等が挙げられ、更には高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石微粉末等が挙げられる。
本発明に係る水硬性セメント組成物用添加剤の使用対象となる水硬性セメント組成物の調製に用いるセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱セメント等の各種ポルトランドセメントの他に、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメントが挙げられる。
また水硬性セメント組成物の調製に骨材を用いる場合の骨材としては細骨材と粗骨材が挙げられ、細骨材としては川砂、山砂、海砂、砕砂、スラグ細骨材等が挙げられ、粗骨材としては川砂利、砕石、軽量骨材等が挙げられる。
更に水硬性セメント組成物の水/結合材比は通常70%以下とするが、20〜60%とするのが好ましく、30〜55%とするのがより好ましく、35〜55%とするのが特に好ましい。一般的に水/結合材比が大きくなると、水硬性セメント組成物の凍結融解抵抗性が低くなり、70%を超えると凍結融解抵抗性が得られなくなる場合が多い。
本発明によると、それ自体の水溶液の安定性が高く、また既存の水硬性セメント組成物用添加剤との溶解性も高く、結果として得られる硬化体が凍結融解抵抗性に優れたものになるという効果がある。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
実施例1(脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等の調製)
反応容器に1−オクタノール200部を仕込み、120℃で0.05MPa以下の条件下に2時間脱水処理した後、常圧に戻し、撹拌しながら60±5℃で五酸化二燐87部を0.5時間かけて投入した。80℃にて3時間熟成した後、イオン交換水6部を投入して0.5時間熟成した。電位差滴定にて酸価を測定したところ、370mg/gであった。これにラウリルアミン-ポリオキシエチレン20モル付加物 (アミン価53mg/g)2045部を50℃で滴下して中和を行い、イオン交換水を加えて、脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩(P−1)の25%水溶液を調製した。
実施例2〜9及び比較例1〜2
実施例1と同様にして、脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等(P−2)〜(P−9)及び(RP−1)〜(RP−2)の25%水溶液を調製した。
比較例3
実施例1と同様にして酸価370mg/gのリン酸エステルを得た。ここに、48%水酸化カリウム水溶液226部を50℃で滴下して中和を行い、イオン交換水を加えて、脂肪族アルコールリン酸エステルのカリウム塩(RP−3)の25%水溶液を調製した。
比較例4〜5
比較例3と同様にして、比較例4の脂肪族アルコールリン酸エステルのカリウム塩(RP−4)及び比較例5の脂肪族アルコールリン酸エステルのナトリウム塩(RP−5)の各25%水溶液を調製した。
以上で調製した各例の脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等の内容を表1にまとめて示した。尚、P核積分比率は、脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、31P−NMR(VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)に供したときの測定値を用いて、下記の数3〜数5から算出した。溶媒は重水/テトラヒドロフラン=8/2(体積比)の混合溶媒を用いた。
Figure 0006833207

Figure 0006833207
Figure 0006833207
数3〜数5において、
P化1:化1で示される脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等に帰属されるP核NMR積分値
P化2:化2で示される脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等に帰属されるP核NMR積分値
P化3:化3で示される脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等に帰属されるP核NMR積分値
Figure 0006833207
表1において、
*1:脂肪族アルコール/五酸化二燐(モル比)
*2:有機アミンのアミン価/脂肪族アルコールのリン酸エステルの酸価
化1:数3から算出されるP核積分比率
化2:数4から算出されるP核積分比率
化3:数5から算出されるP核積分比率
脂肪族アルコールについて、
C8:1−オクタノール
C12:ラウリルアルコール
C18:オレイルアルコール
有機アミンについて、
C12:ラウリル基
C18:ステアリル基
C8:オクチル基
K:カリウム塩
Na:ナトリウム塩
EO:オキシエチレン
25%水溶液の安定性評価
各例の脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩等の25%水溶液を振り混ぜた後、透明な容器に入れ、5℃、20℃及び40℃で1週間静置し、各温度での安定性を肉眼観察して、後述する評価基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
既存の水硬性セメント組成物用添加剤との溶解性
市販の高性能AE減水剤(竹本油脂社製の商品名チューポールHP−11)及びAE減水剤(竹本油脂社製の商品名チューポールEX60)に対し、25%水溶液を0.016%となるよう添加し、添加直後によく振り混ぜた後、20℃で1週間静置して、溶解性を肉眼観察し、次の評価基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
安定性及び溶解性の評価基準
◎:1週間溶解
○:1日間溶解
×:1日以内に分離
Figure 0006833207
表2において、
A液:高性能AE減水剤(竹本油脂社製の商品名チューポールHP−11)
B液:AE減水剤(竹本油脂社製の商品名チューポールEX60)
AEコンクリート組成物の調製及び評価
表3に記載した配合条件で、50Lのパン型強制練りミキサーに普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製及び住友大阪セメント社製の普通ポルトランドセメントの等量混合物、密度=3.16g/cm)、陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm)、砕石(岡崎産砕石、密度=2.66g/cm)、AE減水剤(表2のB液)、水硬性セメント組成物用添加剤(表1に記載の各例の25%水溶液)のそれぞれ所定量を、練り混ぜ水(水道水)と共に投入して90秒間練混ぜ、目標スランプが18±1cm、目標空気量が4.5±0.5%の範囲としたAEコンクリート組成物を調製し、スランプ、空気量及び凍結融解抵抗性の指標としての凍結融解耐久性指数(300サイクル)を次のように求め、結果を表4にまとめて示した。
・空気量(容量%):練り混ぜ直後のAEコンクリート組成物について、JIS A 1128に準拠して測定した。
・スランプ(cm):空気量の測定と同時にJIS A 1101に準拠して測定した。
・凍結融解耐久性指数:各例の水硬性セメント組成物用添加剤を用いて調製したAEコンクリート組成物の硬化体について、JIS A 1148に準拠して測定した値を用いASTM−C−666−75の耐久性指数で計算した値を示した。この数値は、最大値が100で、100に近いほど、凍結融解に対する抵抗性が優れていることを示す。
Figure 0006833207
Figure 0006833207
表4において、
AE減水剤の使用量及び水硬性セメント組成物用添加剤の使用量:セメントの使用量に対するパーセント
比較例6:水硬性セメント組成物用添加剤として空気量調整剤(竹本油脂社製の商品名AE−300)を使用した
凍結融解耐久性の評価は次の評価基準に基づいて行なった。
凍結融解耐久性指数の評価基準
○:凍結融解耐久性指数が80%以上
×:凍結融解耐久性指数が80%未満
表1に対応する表2及び表4の結果からも明らかなように、本発明によると、それ自体の水溶性の安定性が高く、また既存の水溶性セメント組成物用添加剤との溶解性も高く、結果として得られる硬化体が凍結融解抵抗性に優れたものになる。

Claims (6)

  1. 下記の化1で示される脂肪族アルコールリン酸エステル、下記の化2で示される脂肪族アルコールリン酸エステル及び下記の化3で示される脂肪族アルコールリン酸エステルから選ばれる脂肪族アルコールリン酸エステルを、下記の化4で示される有機アミンで中和した脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩から成ることを特徴とする水硬性セメント組成物用添加剤。
    Figure 0006833207
    Figure 0006833207
    Figure 0006833207
    (化1〜化3において、
    〜R:炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基
    n:2又は3)
    Figure 0006833207
    (化4において、
    :炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基
    AO,BO:オキシアルキレン基
    a,b:0以上の整数であって、且つa+b=1〜100を満足する整数)
  2. 脂肪族アルコールリン酸エステルが、化1〜化3中のR〜Rが炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数8〜22のアルケニル基である場合のものである請求項1記載の水硬性セメント組成物用添加剤。
  3. 有機アミンが、化4中のRが炭素数6〜22のアルキル基である場合のものである請求項1又は2記載の水硬性セメント組成物用添加剤。
  4. 脂肪族アルコールリン酸エステルが酸価が100〜600mg/gのものであり、また有機アミンがアミン価が20〜200mg/gのものであって、且つアミン価/脂肪族アルコールリン酸エステルの酸価が0.1〜3.0となるものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載の水硬性セメント組成物用添加剤。
  5. 有機アミンが、アミン価が28〜150mg/gのものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の水硬性セメント組成物用添加剤。
  6. 有機アミンのアミン価/脂肪族アルコールリン酸エステルの酸価が0.3〜2.0となるものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の水硬性セメント組成物用添加剤。
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