JP6827695B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質 - Google Patents

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本発明は、コバルト酸リチウム系正極活物質に関し、特に、高電圧充電を繰り返しても放電容量が低下しにくく、長寿命のリチウムイオン二次電池を提供できる正極活物質に関する。
リチウムイオン二次電池の正極活物質として、従来、コバルト酸リチウム(LiCoO2)が用いられている。
図1(A)は、リチウムイオン二次電池の充放電の際の正極活物質(LiCoO2)の挙動を模式的に示す説明図であり、図1(B)の点線で囲んである部分は、(A)に示したLiCoO2の単位格子の模式図である。
図1(A)に示すように、LiCoO2の結晶構造は、酸化コバルト(CoO2)層とリチウム(Li)層とが交互に積み重なった構造を呈しており、充電時には、Li層からLi+が脱離して負極に移動し、放電時には、逆に負極からLi+がCoO2層間に戻る。
非特許文献1では、充電時のリチウムの脱離量は、充電電圧が高くなるほど増加するので、該脱離量が閾値を超えると、前記結晶構造が変化、崩壊する結果、正極活物質としての機能を失うと報告されている。この結晶構造の変化の程度は、粉末X線回折法とリートベルト法を用いた構造解析によって、図1(B)に示す単位格子の格子定数や体積を算出することで評価できる。
図2は、従来のLiCoO2を正極活物質とするリチウムイオン二次電池における、充電電圧(V)と、100回の充放電を繰り返した後(以下、「100サイクル目」と言うことがある)の放電容量維持率(%)との関係を示す棒グラフである。
図2に示すように、100サイクル目の放電容量維持率を70%以上とするためには、すなわち、リチウムイオン二次電池の一定の寿命を保つためには、充電電圧の上限は、4.2〜4.3Vに制限されているのが現状である。なお、本明細書において、100サイクル目の放電容量維持率とは、1回目(初期放電時)の放電容量に対する100回目の充放電を終えた際の放電容量の割合(%)を示す。
一方、非特許文献2には、LiCoO2にマンガン(Mn)を添加し、固溶させることが記載されている。
この記載によれば、4.3Vの充電電圧下で、100サイクル目の放電容量維持率を90%前後に引き上げることができるものの、4.4Vないし4.5Vの充電電圧下では、90%を超すことは困難である。
他方、非特許文献3には、LiCoO2にカルシウム(Ca)を添加し、LiCoO2の結晶構造を安定化させる手法が開示されている。
この手法は、水熱法によって、LiCoO2のLi層中にCaを挿入し、結晶構造の変化抑制を試みたものであるが、製造に要する時間や手間、コスト等を考慮すれば、工業的には実用性に乏しく、量産に適さない。
Solid State Ionics, 1996, 83, 167-173, Glenn Amatucci et al. Chemistry of Materials, 2003, 15, 4699-4702, Yoshio Masaki et al. Journal of Power Sources, 2008, 184, 557-561, Wensheng Yang et al.
本発明は、リチウムイオン二次電池に用いた際に、高電圧での充電を繰り返しても放電容量が低下しにくく、長寿命化が実現でき、しかも工業的に容易な操作で製造できるLiCoO2系正極活物質の提供を課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、LiCoO2の結晶構造の変化を抑制することが、電池の寿命改善の重要なカギであるとの基本に立ち、これを実現する上で、MnとCaの両方を添加することに着目し、MnとCaをそれぞれ特定量ずつ含有しているLiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2) とCa化合物との混合体であれば、水熱法を用いることなく工業的に容易な操作で上記結晶構造の変化が極めて少ない構造体が得られ、結果、これを用いたリチウムイオン二次電池においては、充電電圧4.3V以上で充放電を繰り返しても結晶構造が変化しにくいことを見出した。このとき、上記のLiCo1−xMnxO2は、Mn が固溶しているものが好ましいことも見出している。
次いで、このような知見を基に更なる検討を重ねたところ、上記LiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)において、特定のサイズのCa化合物が偏在している場合に、例えば充電電圧4.5V程度の条件で充放電を繰り返しても、100サイクル目の放電容量維持率を確実に70%以上にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、LiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)とCa化合物との混合体からなり、
Mn含有量が、CoとMnの合計量に対し1〜20モル%
Ca含有量が、CoとMnの合計量に対し1〜15モル%
であり、リチウムイオン二次電池用正極活物質の粒子の断面を、エネルギー分散型X線分析法により組成マッピングして、Coが占める領域とMnが占める領域が一致し、かつ径1〜10μmの偏在したCaが占める領域が3〜60個存在することを特徴とする。上記のLiCo1-xMnx2は、Mnが固溶しているものが好ましい。
この正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、20℃の雰囲気下、160mA/gを1Cとして算出した電流密度(以下、単に電流密度と記す)0.5Cで電圧が4.3V〜4.5Vの範囲内の何れかになるまで充電した後、上記電流密度0.5 C で電圧3.0Vまで放電する操作を、100回繰り返したときの放電容量維持率が、70%以上であることが好ましい(この、充放電を100回繰り返す操作を、以下「サイクル試験」と呼ぶことがある)。
また、上記のエネルギー分散型X線分析法は、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)によって、本発明の正極活物質の、任意の粒子の断面を、粒子全体が視野に収まるように、例えば倍率5000倍、すなわち視野24×18μmの範囲で組成をマッピングした場合、Coが占める領域とMnが占める領域が一致している、すなわちMnがCoに固溶しており、更に、径1〜10μmの《偏在》したCaが占める領域が3〜60個存在するようにする。このCaが占める領域に、Ca化合物が存在する。
本発明の、特にMnが固溶しているLiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体である正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池に使用した場合に、充電電圧の上限が4.3V以上、4.5V以下の範囲内になるように充放電を繰り返しても100サイクル目の放電容量維持率が極めて高く、長寿命のリチウムイオン二次電池とすることができる。
また、本発明の正極活物質は、Ca化合物が均一に分散せずに偏在している場合に、高い放電容量維持率をより確実に得ることができる。
(A)が、リチウムイオン二次電池の充放電の際の正極活物質(LiCoO2)の挙動を模式的に示した説明図であり、(B)の点線で囲んである部分が(A)に示したLiCoO2の単位格子の模式図である。 従来のLiCoO2を使用したリチウムイオン二次電池における、充電電圧(V)と、100回の充放電を繰り返した後の放電容量維持率(%)との関係を示す棒グラフである。 (A)は、本発明のMnが固溶しているLiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体(X=0.05、CoとMnの合計量に対するCa含有量が3モル%の場合)の粒子断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、(B)〜(D)は、(A)に示した混合体の粒子断面をEDSによって組成マッピングした画像であり、(B)がCo、(C)がMn、(D)がCaの各分散状態を示す。 参考例1及び実施例1〜3の放電容量維持率(%)を示すグラフであり、(A)が充電電圧4.3V、(B)が充電電圧4.5Vの場合を示す。 (A)に、参考例1、比較例1〜3及び実施例1〜3における100回の充放電を繰り返した後のc軸長維持率(%)、(B)に、体積維持率(%)を示す。 参考例1及び比較例1〜3の放電容量維持率(%)を示すグラフであり、(A)が充電電圧4.3V、(B)が充電電圧4.5Vの場合を示す。 参考例1及び実施例4〜7の放電容量維持率(%)を示すグラフであり、(A)が充電電圧4.3V、(B)が充電電圧4.5Vの場合を示す。 (A)は、比較例5〜7のLiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体(X=0.05、CoとMnの合計量に対するCa含有量が3モル%の場合)の粒子断面のSEM画像であり、(B)〜(D)は、(A)に示した混合体の粒子断面をEDSによって組成マッピングした画像であり、(B)がCo、(C)がMn、(D)がCaの各分散状態を示す。
本発明の正極活物質は、LiCo1-xMnx2(0.01<x<0.2)、特にMnが固溶しているLiCo1-xMnx2(0.01<x<0.2)と、Ca化合物との混合体からなり、
Mn含有量が、CoとMnの合計量に対し1〜20モル%
Ca含有量が、CoとMnの合計量に対し1〜15モル%である。
上記混合体において、Mn含有量が、CoとMnの合計量に対し少なすぎれば放電容量維持率が低下しやすくなり、結果として長寿命を得ることができず、多すぎると、放電容量自体が低下する虞があるため、1〜20モル%、好ましくは5〜11モル%とする。
また、Ca含有量が、CoとMnの合計量に対し少なすぎても多すぎても、Mnと同様であるため、1〜15モル%、好ましくは1〜5モル%とする。
図3(A)に、本発明のMnが固溶しているLiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体(X=0.05、CoとMnの合計量に対するCa含有量が3モル%の場合)の粒子断面のSEM画像を示す。
図3(B)〜(D)は、図3(A)に示した混合体の粒子断面をEDSによって組成マッピングした画像であり、(B)がCo、(C)がMn、(D)がCaの各分散状態を示している。
図3(B)〜(D)に示すように、図3(A)の混合体において、CoとMnは、均一に分散しているのに対し、Caは、偏在している。このことから、Mnは固溶しているが、Caは固溶することなく、Ca由来の副生成物が生成していると考えられる。粉末X線回折法による分析の結果、このときの副生成物はCa3Co2O6であることが確認されている。
一般に、添加元素が「固溶」せず、「混合体」として存在していると、電池性能は悪いと言われている。しかし、意外なことに、本発明者らは「Mnが固溶したLiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)に、Caが(固溶することなく)Ca化合物として偏在した混合体」となっていると、高電圧の充電によりLiの脱離量が閾値を超えた場合においても、前述のような結晶構造が崩壊することはなく、結果として、長寿命という優れた電池性能が得られることを見出し、本発明ではこれを正極活物質とすることとしている。
なお、LiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)の単位格子(特に、Mnが固溶している該LiCo1-xMnx2) は、図1(B)に模式的に示したLiCoO2の単位格子と同様に、長さ方向に垂直の断面が菱形形状を有する柱状6面体をなしていると考えられる。
このように、本発明の正極活物質(特にMnが固溶しているLiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体) は、リチウムイオン二次電池の正極材料として使用した場合、高電圧での充放電を繰り返しても、放電容量が低下し難いリチウムイオン二次電池とすることができる。
さらに、本発明の正極活物質の、任意の粒子の断面を、粒子全体が視野に収まるように、例えば倍率5000倍、すなわち視野24×18μmの範囲でEDSによって組成のマッピングを行うと、この視野範囲において、Coの占める領域と、Mnの占める領域が一致していることが解る。このことから、MnはCoに固溶していることが好ましいことが解る。
しかも、径1〜10μmの《偏在》したCaの占める領域が3〜60個存在することが好ましいことも解る。なお、このCaが占める領域に、Ca化合物が存在することは明白である。《偏在》したCaが占める領域の径は、小さすぎても、大きすぎても、放電容量維持率を大幅に高くすることができず、結果長寿命化が達成できない。より好ましい径は2〜5μmである。また、視野24×18μm当たりの《偏在》したCaが占める領域の数は、少なすぎれば、放電容量維持率を大幅に高くすることができず、結果長寿命化が達成できず、多すぎれば不純物となって放電容量を低下させるため、3〜60個程度が好ましく、より好ましくは5〜40個程度である。このように、特定サイズの《偏在》したCaの占める領域が特定の数であれば、高い放電容量維持率をより確実に得ることができる正極活物質となる。
本発明の正極活物質(LiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)、特にMnが固溶している該LiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体) は、例えば、(1)Co原料と粒径5μm未満のMn原料を混合する工程と、(2)(1)で得られた材料とCa原料を混合する工程と、(3)(2)で得られた材料とLi原料を混合する工程と、(4)得られた混合体を焼成して解砕する工程を行うことによって製造することができる。
(1)のCo原料とMn原料を混合する方法の好ましい例としては、Co原料を水に分散させたスラリーに、Mn塩の水溶液と苛性ソーダ水溶液を滴下する手法が挙げられる。(2)のCa原料を混合する方法の好ましい例としては、Ca塩水溶液を用いた湿式混合法が挙げられる。(3)のLi原料を混合する方法の好ましい例としては、ニューグラマシンやコンテナミキサー等を用いた乾式混合法が挙げられる。解砕方法の例としては、乳鉢で粉砕する方法やピンミルを用いた方法が挙げられる。(4) の混合体の焼成は、好ましくは、空気中、900〜1100℃、30〜360分間の条件で行い、焼成後の解砕は、好ましくはピンミルによる解砕が挙げられる。
以上のような本発明の正極活物質を正極に用いる以外は、従来からの一般的なリチウムイオン二次電池と同様、金属リチウム箔を負極に用いて調製したリチウムイオン二次電池は、20℃の雰囲気下、電流密度0.5Cで電圧4.3V〜4.5Vまで充電し、電流密度0.5Cで電圧3.0Vまで放電する操作を100回繰り返したときの放電容量維持率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは、91%以上である。
以下に挙げる例において、結晶構造の変化の評価以外の粉末X線回折法は、株式会社リガク製粉末X線回折装置RINT1400を用いて測定した。
参考例1
〔LiCoO2
正極活物質として従来のLiCoO2を用いて、正極活物質90重量%に、アセチレンブラック5重量%及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)5重量%をN−メチル−2−ピロリドンに添加して混練し、正極スラリーを作製した。作製したスラリーをアルミニウム箔の上に塗布した後乾燥し、その後圧延ロールを用いて圧延し、直径11mmの円板状に打ち抜いて正極とした。この正極と、負極としての金属リチウム箔と、セパレータとしてのガラス繊維ろ紙と、電解液としての、EC(エチレンカーボネイト)とDEC(ジエチルカーボネイト)を体積比1:1となるよう混合した溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1モル/Lの濃度となるように溶解した溶液とを用いてリチウムイオン二次電池を作成した。これを参考例1とした。
比較例1〜3
〔LiCo1-xMnx2の作成〕
四酸化三コバルト(Co34)を水に分散させてスラリー化したものに、Co:Mnのモル比が、それぞれ95:5、92:8、89:11、となるように、硫酸マンガン(MnSO4)水溶液と、MnSO4の2.2モル当量にあたる苛性ソーダ(NaOH)水溶液を滴下してCo34にMn化合物を付着させ、CoとMnの混合物を得た。付着したMn化合物の径は5μm以下であった。これに炭酸リチウム(Li2CO3)を乾式法で混合した後、空気雰囲気中にて1000℃で4時間焼成し、乳鉢で解砕して、LiCo1-xMnx2を得た。
CoとMnの合計量に対しMn含有量が5モル%のものを比較例1、8モル%のものを比較例2、11モル%のものを比較例3とした。
実施例1〜3≪Ca含有量が3モル%≫
〔LiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体の作成〕
酢酸カルシウム(Ca(CH3COO)2)水溶液と、比較例1〜3の作成途中で得たCoとMnの混合物を混合してスラリーとし、水分を蒸発させてCoとMnとCaの混合物を得た。なお、Ca(CH3COO)2は、CoとMnの合計量に対し、Ca含有量が3モル%となるように秤量した。
上記のようにして得られた混合物と炭酸リチウム(Li2CO3)を乾式法で混合した後、空気雰囲気中にて1000℃で4時間焼成し、乳鉢で解砕してLiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体を得た。
CoとMnの合計量に対し、Mn含有量が5モル%のものを実施例1、8モル%のものを実施例2、11モル%のものを実施例3とした。Ca含有量は、いずれもCoとMnの合計量に対し3モル%である。粉末X線回折法による分析の結果、実施例1〜3に含まれるCa化合物はCa3Co26であった。
〔分散《偏在》状態の確認〕
分散《偏在》状態の確認は、走査型電子顕微鏡(SEM)として日本電子株式会社製JSM6700Fを、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)として日本電子株式会社製JED2300Fを用いて行った。
正極活物質の、径8〜20μmの範囲内の任意の粒子の、ほぼ二等分した断面を、EDSによって組成マッピングしたところ、Caは、実施例1〜3のいずれも図3(D)のような偏在状態であった。
また、この《偏在》したCaが占める領域の大きさと数を目視により数えたところ、実施例1〜3のいずれも、径1〜5μmの範囲内の粒子は、5〜40個程度であった。
さらに、Coが占める領域と、Mnが占める領域は、いずれも一致していた。
〔放電容量維持率の評価〕
比較例1〜3および実施例1〜3で得られたものを、正極活物質として使用する以外は参考例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
参考例1、比較例1〜3、実施例1〜3の各リチウムイオン二次電池について、20℃の雰囲気下、電流密度0.5Cで電圧4.3Vと、4.5Vに充電し、電流密度0.5Cで電圧3.0Vまで放電する操作をそれぞれ100回繰り返した後(100サイクル目)の放電容量維持率(%)を求めた。
図4(A)が充電電圧4.3V、(B)が充電電圧4.5Vの各場合の放電容量維持率を示している。
〔結晶構造の変化の評価〕
比較例1〜3および実施例1〜3で得られた正極活物質について、結晶構造の変化を評価するために、次の要領で粉末X線回折を行った。
充放電サイクルを行う前の正極活物質と、充電電圧4.5Vまでの充放電サイクル試験を100回行った後の電池を解体して取り出した正極活物質について、公益財団法人高輝度光科学研究センター運営の大型放射光施設SPring−8(ビームラインBL19B2、波長λ=0.7Å)を用い、回折角2θ=0°〜70°の範囲で行った。
得られたデータについて、解析プログラムRIETAN-FP(F.Izumi and K.Momma,Solid State Phenom.,130,15−20(2007)参照)により、リートベルト解析を行い、c軸の長さと単位格子の体積を算出した。
充放電を行う前(0(ゼロ)サイクル時)の正極活物質の、リートベルト解析によって算出された“c軸の長さ”に対する、100サイクル試験後の正極活物質の、リートベルト解析によって算出された“c軸の長さ”の割合を、c軸長維持率(%)とした。
同様に、充放電を行う前(0(ゼロ)サイクル時)の正極活物質の、リートベルト解析によって算出された“単位格子の体積”に対する、サイクル試験後の正極活物質の、リートベルト解析によって算出された“単位格子の体積”の割合を、体積維持率(%)とした。
図5(A)に、c軸長維持率(%)を、図5(B)に、体積維持率(%)をそれぞれ示す。実施例1〜3は、参考例1や比較例1〜3と比べて、c軸長、体積ともに維持率が100%に近い、すなわち、実施例1〜3の正極活物質は、4.5Vという高い電圧で充電を繰り返しても、結晶構造の変化が小さい(充電電圧4.5V未満の場合、変化がより小さいことは非特許文献1から推測できる)。
以上から、実施例1〜3の正極活物質を正極材料に使用した電池は、サイクル試験において優れた放電容量維持率を示すことが確認できる。
比較例4
Co34にMn化合物を付着させなかったこと以外は、実施例1〜3と同様にして、LiCoO2とCa化合物との混合体を得た。
粉末X線回折法による分析の結果、Ca化合物は複数種の混合物であることは判明したが、それらの化合物を粉末X線回折法によっては特定することができなかった。
比較例5〜7
Mn原料を5μmより大きな粒子を含む二酸化マンガン(MnO2)に、Ca原料を水酸化カルシウム(Ca(OH)2)に、Co34との混合方法を乾式法に変更した以外は、実施例1〜3と同様にしてLiCo1-xMnx2とCa化合物との混合体を得た。
CoとMnの合計量に対しMn含有量が5モル%のものを比較例5、8モル%のものを比較例6、11モル%のものを比較例7とした。
粉末X線回折法による分析の結果、比較例5〜7に含まれるCa化合物はCa3Co26であることが解った。
この混合体について、前記〔分散《偏在》状態の確認〕と同様にして、任意の粒子の断面をEDSによって組成マッピングしたところ、図8(B)及び図8(C)に示すように、Mnは一部に偏在し、Coと固溶していないことが確認された。
また、図8(D)に示すように、Caが占める領域は斑点状になっておらず、実施例と全く異なる形状を成していることが分かる。
〔放電容量維持率の評価〕
比較例4〜7で得られたものを、正極活物質として使用する以外は参考例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1〜3と同様にして放電容量維持率の評価を行った。
比較例4〜7のいずれにおいても、100サイクル目の放電容量維持率は、充電電圧が4.5Vの場合、多くて60%程度にしかならず、放電容量が低下し易くなっていることがわかる。
従って、比較例4〜7については結晶構造の変化の評価は行わなかった。
実施例4
Co:Mnのモル比が99:1に、CoとMnの合計量に対し、Caが1モル%となるようにした以外は実施例1と同様にしてLiCo0.99Mn0.012とCa化合物との混合体を得た。Caの混合モル比が小さいため、粉末X線回折法ではCa化合物を特定することが極めて困難であった。
実施例5
Co:Mnのモル比が99:1に、CoとMnの合計量に対し、Caが15モル%となるようにした以外は実施例1と同様にしてLiCo0.99Mn0.012とCa化合物との混合体を得た。粉末X線回折法による分析の結果、このCa化合物はCa3Co26とCa9Co1228であった。
実施例6
Co:Mnのモル比が80:20に、CoとMnの合計量に対し、Caが1モル%となるようにした以外は実施例1と同様にしてLiCo0.8Mn0.22とCaコバルト複合酸化物との混合体を得た。Caの混合モル比が小さいため、粉末X線回折法ではCa化合物を特定することが極めて困難であった。
実施例7
Co:Mnのモル比が80:20に、CoとMnの合計量に対し、Caが15モル%となるようにした以外は実施例1と同様にしてLiCo0.8Mn0.22とCa化合物との混合体を得た。粉末X線回折法による分析の結果、このCa化合物はCa3Co26であった。
実施例4〜7で得られた、Mnが固溶しているLiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)とCa化合物との混合体を正極活物質として使用する以外は、参考例1 と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
各リチウムイオン二次電池について、測定温度20℃の条件下、0.5Cの電流密度で電圧4.3Vあるいは4.5Vまで充電し、0.5Cの電流密度で電圧3.0 Vまで放電する操作を、それぞれ100回繰り返した。
〔放電容量維持率の評価〕
充放電を100回繰り返した後(100サイクル目)の放電容量維持率(%)を求めた。
図7(A)が充電電圧4.3V、(B)が充電電圧4.5Vの各場合の放電容量維持率を示しており参考のために参考例1の結果を併せて示している。
本発明の正極活物質は、リチウムイオン二次電池の正極材料として使用することによって、従来のリチウムイオン二次電池に比べて、高い放電容量維持率と長寿命を備えたリチウムイオン二次電池を得ることができる。
よって、本発明の正極活物質によれば、常に高容量を要求されるEV用電源、パソコンや携帯電話用電源、バックアップ電源等をはじめとする公知の各種の用途に用いることが可能である。

Claims (3)

  1. LiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)とCa化合物との混合体からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質であって
    Mn含有量が、CoとMnの合計量に対し1〜20モル%
    Ca含有量が、CoとMnの合計量に対し1〜15モル%
    であり、
    前記リチウムイオン二次電池用正極活物質の粒子の断面を、エネルギー分散型X線分析法により組成マッピングして、Coが占める領域とMnが占める領域が一致し、かつ径1〜10μmの偏在したCaが占める領域が3〜60個存在することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. LiCo1-xMnx2(0.01≦x≦0.2)が、Mnが固溶したものであることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を使用するリチウムイオン二次電池が、20℃の雰囲気下、電流密度0.5Cで電圧4.3V〜4.5Vまで充電し、電流密度0.5Cで電圧3.0Vまで放電する操作を行った後の放電容量と、同条件で100回充放電を繰り返した後の放電容量との比から求められる容量維持率が、70%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
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