以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1は、室外機1a及び室内機1bを備える。室外機1aは室外に設置され、室内機1bは室内に設置される。この実施形態においては、エンジン駆動式空気調和装置1は、複数の室内機1bを有する。
室外機1aは、駆動力を発生するエンジン10と、圧縮機11と、オイルセパレータ12と、四方弁13と、室外熱交換器14と、排熱回収用熱交換器15と、過冷却熱交換器16と、アキュムレータ17と、第一流量調整弁18Aと、第二流量調整弁18Bと、第三流量調整弁18Cと、ホットガスバイパス開閉弁18Eと、アキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fと、制御装置60と、冷却水回路50とを備える。また、複数の室内機1bは、それぞれ、室内側電子膨張弁21と、室内熱交換器22とを備える。上記した構成のうち、エンジン10、冷却水回路50及び制御装置60を除く上記した各機器が冷媒配管により接続される。エンジン10、冷却水回路50及び制御装置60を除く各機器及び冷媒配管により冷媒回路100が構成される。冷媒回路100内には冷媒が流通する。
エンジン10は、例えばLPGやLNG等の気体燃料を燃焼させることにより駆動力を発生する。なお、気体燃料に代えて、ガソリン等の液体燃料、或いは固体燃料を用いることもできる。
冷却水回路50は、エンジン10の内部に形成された冷却水通路51と、冷却水通路51の一方の開口端と他方の開口端とを接続する冷却水配管52と、冷却水配管52の途中に介装された冷却水ポンプ53とを備える。冷却水ポンプ53が駆動することによって、冷却水回路50内を、エンジン10を冷却するための冷却水が流れる。冷却水が冷却水通路51内を流れることで、エンジン10が冷却される。また、冷却水回路50の冷却水配管52は、後述する排熱回収用熱交換器15に接続される。
圧縮機11はエンジン10に接続されており、エンジン10の駆動力を受けて作動する。圧縮機11は吸入口11a及び吐出口11bを有する。エンジン10の駆動力によって圧縮機11が作動すると、圧縮機11は吸入口11aから冷媒ガスを吸入し、内部で冷媒ガスを圧縮し、圧縮した冷媒ガスを吐出口11bから吐出する。なお、図1には1台の圧縮機が示されているが、1つの室外機1aに備えられる圧縮機の個数は複数でもよい。
圧縮機11の吐出口11bは吐出配管31の一端に接続される。吐出配管31の途中にオイルセパレータ12が介装される。オイルセパレータ12は、圧縮機11の吐出口11bから吐出されたオイル(冷凍機油)を回収する。回収されたオイルは圧縮機11の吸入口11a側に戻される。
吐出配管31の他端に四方弁13が接続される。四方弁13は、第一ポート13a、第二ポート13b、第三ポート13c、及び、第四ポート13dを有する。圧縮機11の吐出口11bは、四方弁13の第一ポート13aに吐出配管31を介して接続される。四方弁13の第二ポート13bには室内機側配管32を介して室内に設置された室内熱交換器22が接続される。四方弁13の第三ポート13cには室外機側配管33を介して室外熱交換器14が接続される。そして、四方弁13の第四ポート13dには、アキュムレータ入口配管35を介してアキュムレータ17が接続される。
四方弁13は、第一ポート13aが第二ポート13bに連通するとともに第三ポート13cが第四ポート13dに連通する暖房時切換状態と、第一ポート13aが第三ポート13cに連通するとともに第二ポート13bが第四ポート13dに連通する冷房時切換状態とを、選択的に実現することができるように構成される。エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転するときには、四方弁13の切換状態が暖房時切換状態にされ、エンジン駆動式空気調和装置1が冷房運転するときには、四方弁13の切換状態が冷房時切換状態にされる。
四方弁13の切換状態が暖房時切換状態であるとき、四方弁13の第一ポート13aに吐出配管31を介して接続されている圧縮機11の吐出口11bと、四方弁13の第二ポート13bに室内機側配管32を介して接続されている室内熱交換器22が接続される。つまり、室内熱交換器22は、暖房運転時には、吐出配管31及び室内機側配管32を介して、圧縮機11の吐出口11bに接続される。吐出配管31及び室内機側配管32が、本発明の第一冷媒配管に相当する。
また、四方弁13の切換状態が暖房時切換状態であるとき、四方弁13の第三ポート13cに室外機側配管33を介して接続されている室外熱交換器14と、四方弁13の第四ポート13dにアキュムレータ入口配管35を介して接続されているアキュムレータ17が、接続される。アキュムレータ17は、後述するように、吸入配管36を介して圧縮機11の吸入口11aに接続される。つまり、室外熱交換器14は、暖房運転時には、室外機側配管33、アキュムレータ入口配管35、及び吸入配管36を介して、圧縮機11の吸入口11aに接続される。室外機側配管33、アキュムレータ入口配管35、及び吸入配管36が、本発明の第三冷媒配管に相当する。
室外機側配管33を介して四方弁13の第三ポート13cに接続された室外熱交換器14は、その内部を流通する冷媒と外気とを熱交換させる。室外熱交換器14は中間配管34を介して室内熱交換器22に接続される。この中間配管34が、本発明の第二冷媒配管に相当する。室内熱交換器22は、その内部を流通する冷媒と室内空気とを熱交換させる。
中間配管34の途中に過冷却熱交換器16が介装される。また、室内機1b側にて中間配管34に室内側電子膨張弁21が介装される。室内側電子膨張弁21は、そこを流れる冷媒を膨張させる。室内側電子膨張弁21の開度は調整可能である。室内側電子膨張弁21の開度を調整することにより、室内熱交換器22を流れる冷媒の流量が調整される。室内側電子膨張弁21の開度は、特別な場合を除き、室内機1b側に設けられている図示しないマイコンからの指示に基づいて制御される。
中間配管34の位置Aから位置Bまでの間の部分は、2つの配管(配管L1、配管L2)に分岐している。配管L1には一方向弁18Dが介装され、配管L2には第二流量調整弁18Bが介装される。冷房運転時には冷媒は配管L1を流れ、暖房運転時には冷媒は配管L2を流れる。第二流量調整弁18Bは、そこを流れる冷媒を膨張させる。また、第二流量調整弁18Bの開度は調整可能である。第二流量調整弁18Bの開度を調整することにより、暖房運転時に中間配管34から室外熱交換器14に流入する冷媒の流量が調整される。
アキュムレータ入口配管35を介して四方弁13の第四ポート13dに接続されたアキュムレータ17は、さらに吸入配管36を介して圧縮機11の吸入口11aに接続される。このアキュムレータ17は、アキュムレータ入口配管35側から冷媒を導入し、導入した冷媒を気液分離する。アキュムレータ17内で液冷媒と分離された低温低圧のガス冷媒が、吸入配管36を経由して圧縮機11の吸入口11aに供給される。
また、中間配管34(第二冷媒配管)とアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)が第四冷媒配管37により接続される。中間配管34への第四冷媒配管37の接続位置Cは、図1に示すように、中間配管34のうち、過冷却熱交換器16が介装されている部分よりも室外熱交換器14寄りの位置である。第四冷媒配管37は、暖房運転時に中間配管34を流れる冷媒が室外熱交換器14をバイパスするように、中間配管34とアキュムレータ入口配管35とを接続する。この第四冷媒配管37に第一流量調整弁18A及び排熱回収用熱交換器15が介装される。排熱回収用熱交換器15には、第四冷媒配管37から冷媒が流入する。また、第一流量調整弁18Aの開度は調整可能である。第一流量調整弁18Aの開度を調整することにより、第四冷媒配管37を流れて排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量が調整される。
排熱回収用熱交換器15は、例えばプレート式熱交換器により構成される。また、上述したように、排熱回収用熱交換器15には、冷却水回路50内の冷却水も流通する。従って、排熱回収用熱交換器15にて、その内部を流れる冷媒と冷却水回路50を流れる冷却水が熱交換する。排熱回収用熱交換器15を流れるエンジン冷却水はエンジン10から熱を奪うことによって加熱されている。よって、この排熱回収用熱交換器15にて、第四冷媒配管37を流れる冷媒がエンジン冷却水によって加熱される。
また、吐出配管31とアキュムレータ入口配管35がホットガスバイパス配管38(バイパス配管)により接続される。ホットガスバイパス配管38は、室外熱交換器14及び室内熱交換器22をバイパスするように、吐出配管31とアキュムレータ入口配管35とを接続する。このホットガスバイパス配管38にホットガスバイパス開閉弁18E(バイパス弁)が介装される。ホットガスバイパス開閉弁18Eが開弁作動することにより、吐出配管31とアキュムレータ入口配管35がホットガスバイパス配管38を介して連通する。
また、第四冷媒配管37とアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)が過冷却用配管39(バイパス配管)により接続される。過冷却用配管39の第四冷媒配管37への接続位置Dは、図1に示すように、第四冷媒配管37の中間配管34への接続位置Cと、排熱回収用熱交換器15が介装されている部分との間の位置である。なお、第一流量調整弁18Aは、第四冷媒配管37のうち、位置Dと、排熱回収用熱交換器15が介装されている部分との間の位置に介装される。図1からわかるように、過冷却用配管39は、第四冷媒配管37を介して、室外熱交換器14をバイパスするように、中間配管34(第二冷媒配管)とアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)とを接続する。
過冷却用配管39に、第三流量調整弁18C(バイパス弁)及び過冷却熱交換器16が介装される。上述したように、過冷却熱交換器16は、中間配管34にも介装されている。この過冷却熱交換器16にて、中間配管34を流れる冷媒と、過冷却用配管39を流れる冷媒とが熱交換する。第三流量調整弁18Cの開度は調整可能である。第三流量調整弁18Cの開度を調整することにより、過冷却用配管39を流れて過冷却熱交換器16に流入する冷媒の流量が調整される。
また、第三流量調整弁18Cは、そこを流れる冷媒を膨張させる機能を有する。従って、中間配管34から第四冷媒配管37を経由して過冷却用配管39に流れた冷媒は、第三流量調整弁18Cによって膨張させられて、低温化される。こうして低温化された冷媒と、中間配管34に流れる冷媒が、熱交換する。従って、過冷却熱交換器16では、中間配管34を流れる冷媒が冷やされる(過冷却される)とともに、過冷却用配管39を流れる冷媒が加熱される。
また、室内機側配管32(第一冷媒配管)と吸入配管36(第三冷媒配管)が、アキュムレータ・四方弁バイパス配管40により接続される。このアキュムレータ・四方弁バイパス配管40の途中に、アキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fが介装される。アキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fが開作動することにより、室内機側配管32と吸入配管36が連通する。
制御装置60は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成とし、少なくとも、圧縮機11の回転数(或いはエンジン10の回転数)、四方弁13の切換動作、ホットガスバイパス開閉弁18Eの開閉動作、第一流量調整弁18Aの開度、第二流量調整弁18Bの開度、第三流量調整弁18Cの開度、アキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fの開閉動作を制御する。
また、冷媒回路100の各所に温度センサ及び圧力センサが取り付けられる。これらの各種センサのうち、吸入温度センサ61は吸入配管36に取り付けられており、吸入配管36から圧縮機11に吸入される冷媒の温度(冷媒吸入温度)を検出する。吐出温度センサ62は吐出配管31に取り付けられており、圧縮機11から吐出配管31に吐出された冷媒の温度(冷媒吐出温度)を検出する。吸入圧力センサ63は吸入配管36に取り付けられており、吸入配管36から圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒の圧力(冷媒吸入圧力PL)を検出する。第一開度センサ64は第一流量調整弁18Aに取り付けられており、第一流量調整弁18Aの開度を検出する。第二開度センサ65は第二流量調整弁18Bに取り付けられており、第二流量調整弁18Bの開度を検出する。第三開度センサ66は第三流量調整弁18Cに取り付けられており、第三流量調整弁18Cの開度を検出する。なお、冷媒回路100のその他の各部位、或いはその近傍に、温度センサ、圧力センサ等が取り付けられていてもよい。各センサにより検出された様々な情報は、制御装置60に入力される。
また、冷却水回路50の冷却水配管52のうち、エンジン10に形成された冷却水通路51を流出した冷却水が流れる部分に、冷却水温度センサ67が取り付けられる。この冷却水温度センサ67により、エンジン10を冷却した後の冷却水温度Twが検出される。冷却水温度センサ67により検出された冷却水温度Twに関する情報は、制御装置60に入力される。
また、室外機1aには、外気温度センサ68が取り付けられる。外気温度センサ68は、外気温度Taを検出する。外気温度センサ68により検出された外気温度Taに関する情報は、制御装置60に入力される。
次に、上記構成のエンジン駆動式空気調和装置1の空調動作について説明する。本実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1においては、暖房運転時に四方弁13の切換状態が暖房時切換状態に、冷房運転時に四方弁13の切換状態が冷房時切換状態になるように、制御装置60が四方弁13の切換動作を制御する。なお、図1において、冷房運転時における冷媒の主な流れが点線の矢印により示され、暖房運転時における冷媒の主な流れが実線の矢印により示される。
まず、暖房運転について説明する。エンジン10の駆動により圧縮機11が作動すると、圧縮機11は、吸入配管36内の低温低圧ガス冷媒を吸入口11aから吸入するとともに吸入した低温低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧ガス冷媒を生成する。そして、生成した高温高圧ガス冷媒を吐出口11bから吐出する。吐出口11bから吐出された高温高圧ガス冷媒は吐出配管31を流れる。
吐出配管31の途中にオイルセパレータ12が介装されている。このオイルセパレータ12によって、吐出配管31を流れる冷媒中に混入したオイルが回収される。また、吐出配管31の途中にはホットガスバイパス配管38が接続されている。ホットガスバイパス配管38に介装されたホットガスバイパス開閉弁18Eが開いている場合、吐出配管31内の一部の高温高圧ガス冷媒はホットガスバイパス配管38を流れてアキュムレータ入口配管35に至り、さらにアキュムレータ入口配管35からアキュムレータ17に導入される。ホットガスバイパス開閉弁18Eが閉じている場合、吐出配管31内の高温高圧ガス冷媒の全てが四方弁13の第一ポート13aに入る。
四方弁13の切換状態は、暖房運転時に暖房時切換状態にされているから、暖房運転時には、四方弁13の第一ポート13aが第二ポート13bに連通する。そのため吐出配管31から四方弁13の第一ポート13aに入った高温高圧ガス冷媒は、第二ポート13bから四方弁13を流出して室内機側配管32に流れる。そして、室内機側配管32を流れる冷媒は、室内機1b側の室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した高温高圧ガス冷媒は室内熱交換器22内を流通する間に室内空気と熱交換し、室内に熱を吐き出して凝縮する。つまり、暖房運転時には室内熱交換器22が凝縮器として機能する。このとき高温高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内が暖房される。
室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室内熱交換器22から中間配管34に流出する。そして、中間配管34の途中に介装された室内側電子膨張弁21で膨張することにより中圧化され、その後、室外機1a側の過冷却熱交換器16を通過することによりさらに液化される。過冷却熱交換器16を流出した冷媒の一部は、中間配管34から中間配管34に接続された第四冷媒配管37を流れる。中間配管34から第四冷媒配管37を流れた冷媒は第四冷媒配管37に設けられている排熱回収用熱交換器15に入り、この排熱回収用熱交換器15によって、冷却水と熱交換する。なお、第四冷媒配管37に介装された第一流量調整弁18Aによって、排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量が調整される。排熱回収用熱交換器15で冷却水と熱交換した冷媒は、第四冷媒配管37からアキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ17に導入される。また、中間配管34から第四冷媒配管37に流入した冷媒の一部は過冷却用配管39を流れて過冷却熱交換器16に流入する。そして、過冷却熱交換器16にて中間配管34を流れる冷媒と熱交換し、その後、アキュムレータ入口配管35に流れる。なお、過冷却用配管39に介装された第三流量調整弁18Cによって、過冷却用配管39から過冷却熱交換器16に流入する冷媒の流量が調整される。
一方、中間配管34から第四冷媒配管37に流れなかった冷媒は、中間配管34の配管L2を流れ、配管L2に介装された第二流量調整弁18Bを通る。この第二流量調整弁18Bにより冷媒が膨張して低圧化される。第二流量調整弁18Bを通った冷媒は、室外熱交換器14に流入し、室外熱交換器14内を流通する間に外気と熱交換し、外気の熱を奪って蒸発する。つまり、暖房運転時には室外熱交換器14が蒸発器として機能する。なお、第二流量調整弁18Bによって、中間配管34から室外熱交換器14に流入する冷媒の流量が調整される。
室外熱交換器14にて外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化して室外熱交換器14から室外機側配管33に流出し、その後、四方弁13の第三ポート13cに入る。暖房運転時には四方弁13の第三ポート13cが第四ポート13dに連通しているから、室外機側配管33から四方弁13の第三ポート13cに入った冷媒は第四ポート13dから四方弁13を流出してアキュムレータ入口配管35を流れる。アキュムレータ入口配管35を流れた冷媒はアキュムレータ17に導入される。アキュムレータ17では導入された冷媒が気液分離され、液冷媒と分離された低温低圧のガス冷媒が吸入配管36に流出する。そして、吸入配管36内のガス冷媒が圧縮機11の吸入口11aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内暖房が継続される。
なお、暖房運転時には、アキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fは、原則として閉作動している。従って、暖房運転時に室内機側配管32を流れる冷媒が、アキュムレータ・四方弁バイパス配管40を流れることはない。
次に、冷房運転について説明する。圧縮機11が作動すると、圧縮機11の吐出口11bから吐出配管31に高温高圧ガス冷媒が吐出される。高温高圧ガス冷媒は吐出配管31を流れ、オイルセパレータ12を経由して四方弁13の第一ポート13aに入る。
四方弁13の切換状態は、冷房運転時に冷房時切換状態にされているから、冷房運転時には、四方弁13の第一ポート13aが第三ポート13cに連通する。そのため吐出配管31から四方弁13の第一ポート13aに入った高温高圧ガス冷媒は、第三ポート13cから四方弁13を流出して室外機側配管33に流れる。室外機側配管33に流れた高温高圧ガス冷媒は室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した冷媒は室外熱交換器14内を流通する間に外気と熱交換し、外気に熱を吐き出して凝縮する。つまり、冷房運転時には室外熱交換器14が凝縮器として機能する。
外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室外熱交換器14から中間配管34に流出する。中間配管34に流出した液冷媒(或いは気液二相冷媒)は、配管L1を通過する。配管L1を通過した冷媒は、中間配管34に介装されている過冷却熱交換器16を通過する。また、配管L1を通過した冷媒の一部は、中間配管34から第四冷媒配管37を経由して過冷却用配管39を流れ、さらに過冷却用配管39に介装されている過冷却熱交換器16を通過する。そして、過冷却熱交換器16にて、中間配管34を流れる冷媒と過冷却用配管39を流れる冷媒が熱交換する。この熱交換によって、中間配管34を流れる冷媒が過冷却される。また、冷房運転時には、必要に応じて(例えば冷房時に外気温度が低いために冷媒温度が低下した場合等に)第一流量調整弁18Aが開弁する。第一流量調整弁18Aが開弁した場合、第四冷媒配管37を流れる冷媒は第一流量調整弁18Aを経由して排熱回収用熱交換器15に流れる。そして、排熱回収用熱交換器15にて冷媒が冷却水と熱交換する。排熱回収用熱交換器15にて熱交換した冷媒は、アキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ17に導入される。
過冷却熱交換器16を通過する冷媒のうち、過冷却用配管39側から過冷却熱交換器16を通過した冷媒は、その後、アキュムレータ入口配管35に流入する。一方、中間配管34側から過冷却熱交換器16を通過した冷媒は、その後、室内機1b側にて中間配管34に介装されている室内側電子膨張弁21を通る。この室内側電子膨張弁21で冷媒が膨張し、蒸発しやすいように低圧化される。室内側電子膨張弁21で低圧化された冷媒は、その後、室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した冷媒は室内熱交換器22内を流通する間に室内空気と熱交換し、室内空気の熱を奪って蒸発する。つまり、室内熱交換器22は冷房運転時に蒸発器として機能する。このとき冷媒が室内空気の熱を奪うことによって室内空気が冷やされて、室内が冷房される。
室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、室内熱交換器22から室内機側配管32に流出して四方弁13に向かう。そして、四方弁13の第二ポート13bに入る。冷房運転時には四方弁13の第二ポート13bが第四ポート13dに連通しているから、室内機側配管32から四方弁13の第二ポート13bに入った冷媒は、第四ポート13dから四方弁13を流出してアキュムレータ入口配管35に流入する。アキュムレータ入口配管35を流れた冷媒はアキュムレータ17に導入される。アキュムレータ17では導入された冷媒が気液分離され、分離された低温低圧のガス冷媒が吸入配管36に流出する。そして、アキュムレータ17から吸入配管36内に流入したガス冷媒が、圧縮機11の吸入口11aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内冷房が継続される。
また、冷房運転時において、必要に応じて、アキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fが開作動する。アキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fが開作動すると、室内熱交換器22から流出して室内機側配管32を流れる冷媒の一部が、アキュムレータ・四方弁バイパス配管40に流入する。アキュムレータ・四方弁バイパス配管40に流入した冷媒は、アキュムレータ・四方弁バイパス配管40から吸入配管36に流れ、その後、圧縮機11の吸入口11aから圧縮機11に吸入される。冷房運転時にアキュムレータ・四方弁バイパス配管40に流れる冷媒は、四方弁13及びアキュムレータ17を経由することなく、圧縮機11に吸入される。このため、四方弁13及びアキュムレータ17を通過することにより生じる圧力損失を低減することができる。
上記した暖房運転時及び冷房運転時において、冷媒回路100内を流れる冷媒の流量は、通常の場合、空調負荷に基づいて制御される。この場合、制御装置60は、空調負荷に基づいて、圧縮機11の回転数、第一流量調整弁18Aの開度、第二流量調整弁18Bの開度、第三流量調整弁18Cの開度の目標開度を決定する。そして、制御装置60は、圧縮機11を決定した回転数で作動するように制御するとともに、上記した各弁の開度が目標開度となるように、各弁の開度を制御する。なお、空調負荷とは、要求されている空調に必要とされる冷媒の仕事量のことである。空調負荷は、例えば、室内温度と設定温度との温度差と、室内熱交換器22の運転容量との積により求めることができる。
また、上記したように、暖房運転時に室内熱交換器22を流出して中間配管34を流れる冷媒の一部は、中間配管34から第四冷媒配管37を流れ、排熱回収用熱交換器15を経由してアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)に流れる。また、中間配管34から第四冷媒配管37に流れなかった冷媒は、室外熱交換器14を経由してアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)に流れる。従って、暖房運転時には、室外熱交換器14と排熱回収用熱交換器15が、冷媒回路100内で並列的に接続されていることになる。つまり、暖房運転時には、冷媒を加熱(蒸発)させるための熱交換器が並列的に2台配置されていることになる。
また、通常の暖房運転では、室内熱交換器22を流出して中間配管34を流れる冷媒のほとんどが、室外熱交換器14に流入するように、第一流量調整弁18Aと第二流量調整弁18Bとの開度比率が設定される。従って、通常の暖房運転の場合、主に室外熱交換器14にて冷媒が外気と熱交換することにより冷媒が加熱され、排熱回収用熱交換器15は補助的に冷媒を加熱するために利用される。このような、主に室外熱交換器14にて冷媒が外気と熱交換することにより冷媒が加熱されるような暖房運転状態を、通常暖房運転モードと呼ぶ。
通常暖房運転モードでの暖房運転の実行時に、外気温度が極端に低くなると、室外熱交換器14にて冷媒を外気により加熱することができなくなるばかりか、逆に室外熱交換器14にて冷媒の熱が外気に奪われる事態が生じる。本実施形態においては、このような事態に陥ることを防止するため、外気温度が極端に低くなった場合、通常暖房運転モードから、室外熱交換器14への冷媒の流通を禁止して排熱回収用熱交換器15のみにより冷媒を加熱する暖房運転モードである低温暖房運転モードに、運転状態が切り替えられる。
図2は、制御装置60が、暖房運転時に運転状態を通常暖房運転モードと低温暖房運転モードとのいずれかに設定するために実行する運転モード設定処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、暖房運転時に繰り返し実行される。図2に示すルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図2のステップ(以下、ステップをSと略記する)101にて、外気温度センサ68が検出した外気温度Taが、閾値外気温度Ta0以下であるか否かを判断する。ここで、閾値外気温度Ta0は、外気温度Taがその温度以下であるときには、暖房運転時に室外熱交換器14により冷媒を十分に加熱することができない閾値温度(逆に言えば、外気温度Taがその温度よりも高いときには暖房運転時に室外熱交換器14により冷媒を十分に加熱することができる閾値温度)として予め定められる温度である。
外気温度Taが閾値外気温度Ta0よりも高い場合(S101:No)、制御装置60はS103に処理を進めて、運転状態を通常暖房運転モードに設定する。その後、制御装置60はこのルーチンを終了する。運転状態が通常暖房運転モードに設定された場合、制御装置60は、上記した通常の暖房運転を実行する。
一方、外気温度Taが閾値外気温度Ta0以下である場合(S101:Yes)、制御装置60はS102に処理を進めて、運転状態を低温暖房運転モードに設定する。その後、制御装置60はこのルーチンを終了する。
制御装置60が上記した運転モード設定処理を実行することにより、通常暖房運転モードによる暖房運転の実行中に外気温度Taが閾値外気温度Ta0以下になったときに、運転状態が通常暖房運転モードから低温暖房運転モードに切り替えられる。
また、制御装置60は、運転モード設定処理にて運転状態が低温暖房運転モードに設定されたとき、すなわち、外気温度Taが閾値外気温度Ta0以下であると判断したときに、低温暖房運転制御処理を実行する。図3は、制御装置60が実行する低温暖房運転制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図3のS201にて、第二流量調整弁18Bに全閉信号を出力する(第二流量調整弁全閉処理)。これにより、第二流量調整弁18Bが全閉状態にされる。第二流量調整弁18Bが全閉状態にされた場合、室外熱交換器14への冷媒の流入が禁止される。
S201の処理が実行された場合、それまで室外熱交換器14に流れていた冷媒も排熱回収用熱交換器15に流入する。このようにして排熱回収用熱交換器15を流れる冷媒の流量が一気に増加した場合、排熱回収用熱交換器15での冷却水と冷媒との熱交換が促進され、それに伴い冷却水温度が低下する。
冷却水温度の低下は、さまざまな不具合の発生を誘発する。例えば、冷却水温度が低下すると、エンジン10を潤滑するためのエンジンオイルの温度も低下する。エンジンオイルは、通常、予め定められた使用温度範囲内の温度で使用され、使用温度範囲よりも低い温度で使用した場合、劣化が促進する。従って、冷却水温度が低すぎる場合、エンジンオイルの劣化が促進する。
そこで、本実施形態では、S201の処理によって排熱回収用熱交換器15に流れる冷媒の流量が一気に増加して冷却水温度が必要以上に低下しないように、S201の処理の実行後に、S202にて第一流量調整弁18Aの開度を制御する。具体的には、制御装置60は、S202にて、冷却水温度センサ67が検出する冷却水温度Twが下限冷却水温度Tw0以上の温度に維持されるように、第一流量調整弁18Aの開度を制御する。例えば、制御装置60は、S202にて、冷却水温度Twが、下限冷却水温度Tw0或いは下限冷却水温度Tw0よりも僅かに高い温度として予め定められる設定温度に一致するように、第一流量調整弁18Aの開度を制御することができる。ここで、下限冷却水温度Tw0は、冷却水温度Twがその温度以下であるときには、冷却水の温度低下により何らかの不具合の発生(例えば上記したエンジンオイルの劣化の促進)が懸念される閾値温度(逆に言えば、冷却水温度Twがその温度よりも高いときには、冷却水の温度低下により何等かの不具合の発生が懸念されない閾値温度)として予め定められる温度である。S202の処理が、本発明の第一流量調整弁開度制御処理に相当する。
制御装置60は、S202の処理を実行した後に、S203に処理を進め、現在の運転状態が低温暖房運転モードであるか否かを判断する。現在の運転状態が低温暖房運転モードである場合(S203:Yes)、S201に処理を戻し、上記した処理を繰り返す。一方、現在の運転状態が低温暖房運転モードでない場合(S203:No)、制御装置60はこのルーチンを終了する。
制御装置60が上記した低温暖房運転処理を実行して、冷却水温度が必要以上に(下限冷却水温度Tw0未満に)低下しないように第一流量調整弁18Aの開度を制御した場合、冷却水の温度低下に起因する不具合の発生は防止される。しかし、S202の処理は、冷却水温度を下限冷却水温度Tw0以上の温度に維持するために、第一流量調整弁18Aを絞って排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量を制限する処理でもある。排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量が制限された場合、排熱回収用熱交換器15から流出して圧縮機11に吸入される冷媒の流量が減少する可能性がある。圧縮機11に吸入される冷媒の流量が減少すると、その流量が、空調負荷に応じて圧縮機11から吐出される冷媒の流量を下回る可能性がある。この場合、圧縮機11の吸入側の冷媒が不足し、冷媒吸入圧力PLが低下する可能性がある。特に、圧縮機11が高速で回転している場合、冷媒吸入圧力PLが低下する。
冷媒吸入圧力PLが所定の圧力以下にまで低下すると、制御装置60が低圧異常を検知して、エンジン駆動式空気調和装置1の暖房運転が緊急停止してしまう。
ちなみに、圧縮機11に吸入される冷媒の流量の減少に伴い、それに見合った流量の冷媒が圧縮機11から吐出するように圧縮機11の回転数を低下させることにより、冷媒吸入圧力の低下が抑えられる。しかし、その反面、空調負荷に見合った回転数で圧縮機11を作動させることができず、その結果、室内熱交換器22における必要な熱交換量が不足する。すると、室内熱交換器22の吹き出し口から吹き出される室内空気の温度(吹き出し口温度)が低下する虞がある。つまり、低温暖房運転制御処理の実行と共に圧縮機11の回転数を低下させた場合、通常暖房運転モードから低温暖房運転モードへのモード切替時における暖房能力の立ち上がり性能が悪化する。
本実施形態では、低温暖房運転制御処理の実行に伴う冷媒吸入圧力の低下を抑制するために、制御装置60が、低圧回避処理を実行する。図4は、制御装置60が実行する低圧回避処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、暖房運転時に繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図3のS301にて、低温暖房運転制御処理にて第一流量調整弁18Aの開度制御の実行中であるか否かを判断する。この判定結果がNoである場合、制御装置60はこのルーチンを終了する。一方、S301の判定結果がYesである場合、すなわち低温暖房運転制御処理にて第一流量調整弁18Aの開度制御の実行中である場合、制御装置60は、S302に処理を進める。
S302では、制御装置60は、吸入圧力センサ63が検出した冷媒吸入圧力PLが下限圧力PL0よりも僅かに高い圧力として予め定められる第一圧力PL1以下であるか否かを判断する。ここで、下限圧力PL0は、冷媒吸入圧力PLがその圧力以下であるときに、制御装置60が低圧異常を検知してエンジン駆動式空気調和装置1が緊急停止する可能性がある圧力の閾値(逆に言えば、冷媒吸入圧力PLがその圧力よりも高いときには、低圧異常が発生する可能性が無い圧力の閾値)として予め定められる。
S302にて、冷媒吸入圧力PLが第一圧力PL1よりも高いと判断した場合(S302:No)、制御装置60はこのルーチンを終了する。一方、S302にて、冷媒吸入圧力PLが第一圧力PL1以下であると判断した場合(S302:Yes)、制御装置60は、S303に処理を進める。
S303では、制御装置60は、ホットガスバイパス開閉弁18Eに開作動信号を出力する。これにより、ホットガスバイパス開閉弁18Eが開作動する。ホットガスバイパス開閉弁18Eが開作動すると、圧縮機11から吐出されて吐出配管31を流れる高温高圧のガス冷媒の一部が、ホットガスバイパス配管38を通ってアキュムレータ入口配管35に流れ、さらにアキュムレータ17を経由して吸入配管36に至る。このようにして圧縮機11の吸入側に高温高圧のガス冷媒が供給されるため、冷媒吸入圧力PLが上昇する。S302及びS303の処理が、本発明のバイパス弁制御処理に相当する。
S303の処理にて開弁したホットガスバイパス開閉弁18Eは、冷媒吸入圧力PLが第一圧力PL1よりも高い圧力設定値、例えばPL1+0.5MPaまで上昇したときに閉弁するように、制御装置60がホットガスバイパス開閉弁18Eを制御してもよい。また、開弁時間によりホットガスバイパス開閉弁18Eを制御してもよい。この場合、例えば制御装置60は、図4に示すように、S303にてホットガスバイパス開閉弁18Eに開作動信号を出力した後に、S304に処理を進め、S303の処理の実行によるホットガスバイパス開閉弁18Eの開弁時間tが所定時間t0に達したか否を判断する。開弁時間tが所定時間t0に達していない場合(S304:No)、開弁時間tが所定時間t0に達するまで待つ。開弁時間tが所定時間t0に達した場合(S304:Yes)、制御装置60は、S305に処理を進めて、ホットガスバイパス開閉弁18Eに閉作動信号を出力する。これにより、ホットガスバイパス開閉弁18Eが閉作動する。その後、制御装置60はS301に処理を戻し、上記した処理を繰り返す。
上記した低圧回避制御処理の実行により、冷媒吸入圧力PLが第一圧力PL1以下にまで低下したときにホットガスバイパス開閉弁18Eが所定時間t0だけ開弁するために、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が圧縮機11の吸入側に供給される。このため、冷媒吸入圧力PLが上昇する。その結果、冷媒吸入圧力PLを、第一圧力PL1よりも低い下限圧力PL0以上の圧力に維持することができる。よって、低温暖房運転モードによる暖房運転の実行時に冷媒吸入圧力PLの低下を抑制することができ、ひいては、冷媒吸入圧力PLの低下による不具合の発生を防止することができる。
また、低圧回避制御処理の実行によって、冷媒吸入圧力PLの低下が抑えられるために、低温暖房運転モードによる暖房運転の実行時に圧縮機11の回転数を低下させることなく、空調負荷に応じて圧縮機11を作動させることができる。よって、室内熱交換器22に十分な量の冷媒を供給することができ、室内熱交換器22における必要な熱交換量を確保することができる。その結果、通常暖房運転モードから低温暖房運転モードに運転状態を切り替えた際における室内熱交換器22の吹き出し口温度の低下を防止することができる。つまり、通常暖房運転モードから低温暖房運転モードに運転状態を切り替えた際における暖房能力の立ち上がり性能の悪化を抑えることができる。
さらに、低圧回避制御処理においてホットガスバイパス開閉弁18Eが開弁することにより、高温の冷媒ガスが吸入配管36に供給されるため、圧縮機11に吸入される冷媒の温度を高めることができる。このため、圧縮機11に吸入される冷媒の温度低下をも抑制でき、これにより、圧縮機11に吸入される冷媒の温度低下に起因する不具合の発生(例えば、液冷媒が圧縮機11に吸入されることによる圧縮機11の液圧縮の発生等)を防止することができる。
なお、上記した低圧回避制御処理において、ホットガスバイパス開閉弁18Eが開弁することによって冷媒吸入圧力PLの低下が抑制されるが、ホットガスバイパス開閉弁18Eの開弁時間が長すぎると、空調能力が低下する。従って、ホットガスバイパス開閉弁18Eの開弁時間は、冷媒吸入圧力PLが下限圧力PL0以上の圧力に維持され、且つ、モード切替時における立ち上がり性能の悪化を抑えることができる範囲でできるだけ短い方が良い。
(変形例)
低圧回避制御処理の変形例について説明する。図5は、変形例に係る低圧回避制御処理の流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図3のS401にて、低温暖房運転制御処理にて第一流量調整弁18Aの開度制御の実行中であるか否かを判断する。この判定結果がNoである場合、制御装置60はこのルーチンを終了する。一方、S401の判定結果がYesである場合、すなわち低温暖房運転制御処理にて第一流量調整弁18Aの開度制御の実行中である場合、制御装置60は、S402に処理を進める。
S402では、制御装置60は、第三流量調整弁18Cの開度制御処理を実行する。この場合、制御装置60は、吸入圧力センサ63が検出した冷媒吸入圧力PLが下限圧力PL0以上の圧力を維持するように、第三流量調整弁18Cの開度を調整する。
第三流量調整弁18Cの開度が増加した場合、中間配管34から第四冷媒配管37を経由して過冷却用配管39に流入する冷媒の流量が増加する。この過冷却用配管39は、アキュムレータ入口配管35、アキュムレータ17を介して、吸入配管36に接続されている。従って、過冷却用配管39に流入する冷媒の流量が増加した場合、吸入配管36に供給される冷媒の流量も増加し、それにより冷媒吸入圧力PLが増加する。このようにして、第三流量調整弁18Cの開度制御により、冷媒吸入圧力PLを制御することができる。
この場合、例えば、制御装置60は、S402にて、冷媒吸入圧力PLが、下限圧力PL0よりも僅かに高い圧力として予め定められる第一圧力PL1に一致するように、第三流量調整弁18Cの開度を制御することができる。或いは、制御装置60は、吸入圧力センサ63が検出した冷媒吸入圧力PLが、第一圧力PL1以下である場合に、第三流量調整弁18Cの開度が現在の開度から所定の開度だけ増加するように、第三流量調整弁18Cの開度を制御することができる。S402の処理が、本発明のバイパス弁制御処理に相当する。
制御装置60は、S402の処理の実行後、S401に処理を戻し、上記した処理を繰り返す。
上記した低圧回避制御処理の実行により、冷媒吸入圧力PLが下限圧力PL0以上の圧力に維持されるように第三流量調整弁18Cの開度が制御される。このため冷媒吸入圧力PLの低下を防止することができ、ひいては、冷媒吸入圧力PLの低下による不具合の発生を防止することができる。
以上のように、本発明の実施形態及びその変形例に係るエンジン駆動式空気調和装置1が備える制御装置60は、暖房運転時に、外気温度Taが閾値外気温度Ta0以下であると判断したときに、運転状態を低温暖房運転モードに設定する。また、制御装置60は、運転状態を低温暖房モードに設定したときに、第二流量調整弁18Bが全閉するように第二流量調整弁18Bを制御する第二流量調整弁全閉処理S201と、第二流量調整弁全閉処理S201の実行後に、冷却水回路50を流通する冷却水の温度Twが下限冷却水温度Tw0以上の温度に維持されるように第一流量調整弁18Aの開度を制御する第一流量調整弁開度制御処理S202と、第一流量調整弁開度制御処理の実行中に、冷媒吸入圧力PLが下限圧力PL0以上の圧力に維持されるように、バイパス配管(ホットガスバイパス配管38、過冷却用配管39)に介装されたバイパス弁(ホットガスバイパス開閉弁18E、第三流量調整弁18C)を制御するバイパス弁制御処理(S302,S303,S402)と、を実行する。
上記実施形態及びその変形例によれば、低温暖房運転モードであるときに制御装置60が上記したようにバイパス弁を制御することにより、低温暖房運転モードによる暖房運転の実行時における冷媒吸入圧力PLの低下を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態及び変形例では、低温暖房運転モードによる暖房運転の実行時における冷媒吸入圧力PLの低下を抑制するために、ホットガスバイパス開閉弁18E又は第三流量調整弁18Cを制御する例を示した。しかしながら、冷媒吸入圧力PLの低下を抑制するための制御対象弁は、これらの弁(ホットガスバイパス開閉弁18E、第三流量調整弁18C)に限られない。例えば、図1において、アキュムレータ・四方弁バイパス配管40は、暖房運転時に室外熱交換器14をバイパスするように、第一冷媒配管(室内機側配管32)と第三冷媒配管(吸入配管36)とを接続している。従って、このアキュムレータ・四方弁バイパス配管40に介装されたアキュムレータ・四方弁バイパス開閉弁18Fを制御することによっても、低温暖房運転モードによる暖房運転の実行時における冷媒吸入圧力PLの低下を抑制することができる。また、上記実施形態では、低圧回避制御処理にて、ホットガスバイパス開閉弁18Eを開閉制御することにより冷媒吸入圧力PLの低下を抑制する例について説明したが、変形例に示すように流量調整弁を開度制御することにより、冷媒吸入圧力PLの低下を抑制するように構成してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。