(参考例)
以下、本発明の参考例について図面を参照して説明する。図1は、本参考例に係るエンジン駆動式空気調和装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、本参考例に係るエンジン駆動式空気調和装置1は、室外機1a及び室内機1bを備える。室外機1aは室外に設置され、室内機1bは室内に設置される。本参考例においては、エンジン駆動式空気調和装置1は、複数の室内機1bを有する。
室外機1aは、エンジン10と、圧縮機11と、オイルセパレータ12と、四方弁13と、室外熱交換器14と、排熱回収用熱交換器15と、過冷却熱交換器16と、アキュムレータ17と、第一流量調整弁18Aと、第二流量調整弁18Bと、第三流量調整弁18Cと、制御装置40とを備える。また、複数の室内機1bは、それぞれ、室内側電子膨張弁21と、室内熱交換器22とを備える。上記した構成のうち、エンジン10及び制御装置40を除く上記した各機器が冷媒配管により接続される。エンジン10及び制御装置40を除く各機器及び冷媒配管により冷媒回路100が構成される。冷媒回路100内には冷媒が流通する。
エンジン10は、例えばLPG等の気体燃料を燃焼させることにより駆動力を発生する。なお、気体燃料に代えて、ガソリン等の液体燃料、或いは固体燃料を用いることもできる。このエンジン10の内部に冷却水通路10aが形成されており、この冷却水通路10aは、エンジン10を冷却するためのエンジン冷却水が充填された冷却水回路50に接続される。冷却水回路50に冷却水ポンプ51が介装される。冷却水ポンプ51が駆動することによって、冷却水回路50内をエンジン冷却水が流れる。冷却水回路50内を流れるエンジン冷却水はエンジン10内の冷却水通路10aに供給され、冷却水通路10a内を流れる。冷却水通路10a内をエンジン冷却水が流れることで、エンジン10が冷却される。また、冷却水回路50は、後述する排熱回収用熱交換器15に接続される。
圧縮機11はエンジン10に接続されており、エンジン10の駆動力を受けて作動する。圧縮機11は吸入口11a及び吐出口11bを有する。圧縮機11が作動すると、圧縮機11は吸入口11aから冷媒ガスを吸入し、内部で冷媒ガスを圧縮し、圧縮した冷媒ガスを吐出口11bから吐出する。なお、図1には1台の圧縮機が示されているが、1つの室外機1aに備えられる圧縮機の個数は複数でもよい。
圧縮機11の吐出口11bは吐出配管31の一端に接続される。吐出配管31の途中にオイルセパレータ12が介装される。オイルセパレータ12は、圧縮機11の吐出口11bから吐出されたオイル(冷凍機油)を回収する。回収されたオイルは圧縮機11の吸入口11a側に戻される。
吐出配管31の他端に四方弁13が接続される。四方弁13は、第一ポート13a、第二ポート13b、第三ポート13c、及び、第四ポート13dを有する。圧縮機11の吐出口11bは、四方弁13の第一ポート13aに吐出配管31を介して接続される。四方弁13の第二ポート13bには室内機側配管32を介して室内に設置された室内熱交換器22が接続される。四方弁13の第三ポート13cには室外機側配管33を介して室外熱交換器14が接続される。そして、四方弁13の第四ポート13dには、アキュムレータ入口配管35を介してアキュムレータ17が接続される。
四方弁13は、第一ポート13aが第二ポート13bに連通するとともに第三ポート13cが第四ポート13dに連通する暖房時切換状態と、第一ポート13aが第三ポート13cに連通するとともに第二ポート13bが第四ポート13dに連通する冷房時切換状態とを、選択的に実現することができるように構成される。エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転するときには、四方弁13の切換状態が暖房時切換状態にされ、エンジン駆動式空気調和装置1が冷房運転するときには、四方弁13の切換状態が冷房時切換状態にされる。
四方弁13の切換状態が暖房時切換状態であるとき、四方弁13の第一ポート13aに吐出配管31を介して接続されている圧縮機11の吐出口11bと、四方弁13の第二ポート13bに室内機側配管32を介して接続されている室内熱交換器22が接続される。つまり、室内熱交換器22は、暖房運転時には、吐出配管31及び室内機側配管32を介して、圧縮機11の吐出口11bに接続される。吐出配管31及び室内機側配管32が、本発明の第一冷媒配管に相当する。
また、四方弁13の切換状態が暖房時切換状態であるとき、四方弁13の第三ポート13cに室外機側配管33を介して接続されている室外熱交換器14と、四方弁13の第四ポート13dにアキュムレータ入口配管35を介して接続されているアキュムレータ17が、接続される。アキュムレータ17は、後述するように、アキュムレータ出口配管36を介して圧縮機11の吸入口11aに接続される。つまり、室外熱交換器14は、暖房運転時には、室外機側配管33、アキュムレータ入口配管35、及びアキュムレータ出口配管36を介して、圧縮機11の吸入口11aに接続される。室外機側配管33、アキュムレータ入口配管35、及びアキュムレータ出口配管36が、本発明の第三冷媒配管に相当する。
室外機側配管33を介して四方弁13の第三ポート13cに接続された室外熱交換器14は、その内部を流通する冷媒と外気とを熱交換させる。室外熱交換器14は中間配管34を介して室内熱交換器22に接続される。この中間配管34が、本発明の第二冷媒配管に相当する。室内熱交換器22は、その内部を流通する冷媒と室内空気とを熱交換させる。また、中間配管34の途中に過冷却熱交換器16が介装される。また、室内機1b側にて中間配管34に室内側電子膨張弁21が介装される。室内側電子膨張弁21は、そこを流れる冷媒を膨張させる。室内側電子膨張弁21の開度は調整可能である。室内側電子膨張弁21の開度を調整することにより、室内熱交換器22を流れる冷媒の流量が調整される。
中間配管34の位置Aから位置Bまでの間の部分は、2つの配管(配管L1、配管L2)に分岐している。配管L1には一方向弁18Dが介装され、配管L2には第二流量調整弁18Bが介装される。冷房運転時には冷媒は配管L1を流れ、暖房運転時には冷媒は配管L2を流れる。第二流量調整弁18Bは、そこを流れる冷媒を膨張させる。また、第二流量調整弁18Bの開度は調整可能である。第二流量調整弁18Bの開度を調整することにより、暖房運転時に中間配管34から室外熱交換器14に流入する冷媒の流量が調整される。
アキュムレータ入口配管35を介して四方弁13の第四ポート13dに接続されたアキュムレータ17は、さらにアキュムレータ出口配管36を介して圧縮機11の吸入口11aに接続される。このアキュムレータ17は、アキュムレータ入口配管35側から冷媒を導入し、導入した冷媒を気液分離する。アキュムレータ17内で液冷媒と分離された低温低圧のガス冷媒が、アキュムレータ出口配管36を経由して圧縮機11の吸入口11aに供給される。
また、中間配管34(第二冷媒配管)とアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)がバイパス配管37により接続される。中間配管34へのバイパス配管37の接続位置Cは、図1に示すように、中間配管34のうち、過冷却熱交換器16が介装されている部分よりも室外熱交換器14寄りの位置である。バイパス配管37は、暖房運転時に中間配管34を流れる冷媒が室外熱交換器14をバイパスするように、中間配管34とアキュムレータ入口配管35とを接続する。このバイパス配管37に第一流量調整弁18A及び排熱回収用熱交換器15が介装される。第一流量調整弁18Aの開度は調整可能である。第一流量調整弁18Aの開度を調整することにより、バイパス配管37を流れて排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量が調整される。
排熱回収用熱交換器15は、例えばプレート式熱交換器により構成される。また、排熱回収用熱交換器15を流れるエンジン冷却水はエンジン10から熱を奪うことによって加熱されている。よって、この排熱回収用熱交換器15にて、バイパス配管37を流れる冷媒がエンジン冷却水によって加熱される。
また、吐出配管31とアキュムレータ入口配管35がホットガスバイパス配管38により接続される。このホットガスバイパス配管38にホットガスバイパス開閉弁18Eが介装される。
また、バイパス配管37とアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)が過冷却用配管39により接続される。過冷却用配管39のバイパス配管37への接続位置Dは、図1に示すように、バイパス配管37の中間配管34への接続位置Cと、排熱回収用熱交換器15が介装されている部分との間の位置である。なお、第一流量調整弁18Aは、バイパス配管37のうち、位置Dと、排熱回収用熱交換器15が介装されている部分との間の位置に介装される。図1からわかるように、過冷却用配管39は、バイパス配管37を介して、中間配管34(第二冷媒配管)とアキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)とを接続する。
過冷却用配管39に、第三流量調整弁18C及び過冷却熱交換器16が介装される。上述したように、過冷却熱交換器16は、中間配管34にも介装されている。この過冷却熱交換器16にて、中間配管34を流れる冷媒と、過冷却用配管39を流れる冷媒とが熱交換する。第三流量調整弁18Cの開度は調整可能である。第三流量調整弁18Cの開度を調整することにより、過冷却用配管39を流れて過冷却熱交換器16に流入する冷媒の流量が調整される。
また、第三流量調整弁18Cは、そこを流れる冷媒を膨張させる機能を有する。従って、バイパス配管37から過冷却用配管39に流れた冷媒は、第三流量調整弁18Cによって膨張させられて、低温化される。こうして低温化された冷媒と、中間配管34に流れる冷媒が、熱交換する。従って、過冷却熱交換器16では、中間配管34を流れる冷媒が冷やされる(過冷却される)とともに、過冷却用配管39を流れる冷媒が加熱される。
また、制御装置40は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成とし、少なくとも、圧縮機11の駆動、四方弁13の切換動作、ホットガスバイパス開閉弁18Eの開閉動作、室内側電子膨張弁21の開度、第一流量調整弁18Aの開度、第二流量調整弁18Bの開度、第三流量調整弁18Cの開度、を制御する。
また、冷媒回路の各所に温度センサ及び圧力センサが取り付けられる。これらの各種センサのうち、吸入温度センサ61はアキュムレータ出口配管36に取り付けられており、アキュムレータ出口配管36から圧縮機11に吸入される冷媒の温度(吸入温度Ta)を検出する。吐出温度センサ62は吐出配管31に取り付けられており、圧縮機11から吐出配管31に吐出された冷媒の温度(吐出温度)を検出する。吸入圧力センサ63はアキュムレータ出口配管36に取り付けられており、アキュムレータ出口配管36から圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒の圧力(吸入圧力PL)を検出する。第一開度センサ64は第一流量調整弁18Aに取り付けられており、第一流量調整弁18Aの開度V1を検出する。第二開度センサ65は第二流量調整弁18Bに取り付けられており、第二流量調整弁18Bの開度V2を検出する。第三開度センサ66は第三流量調整弁18Cに取り付けられており、第三流量調整弁18Cの開度V3を検出する。なお、冷媒回路100のその他の各部位、或いはその近傍に、温度センサ、圧力センサ等が取り付けられていてもよい。各センサにより検出された様々な情報は、制御装置40に入力される。
次に、上記構成のエンジン駆動式空気調和装置1の空調動作について説明する。エンジン駆動式空気調和装置1は、空調モードが暖房モードであるか冷房モードであるかをユーザがリモコンなどを操作することにより設定することができるようにされている。また、エンジン駆動式空気調和装置1の空調モードが暖房モードであるときに、四方弁13の切換状態が暖房時切換状態になるように、制御装置40が四方弁13の切換動作を制御する。また、エンジン駆動式空気調和装置1の空調モードが冷房モードであるときに、四方弁13の切換状態が冷房時切換状態になるように、制御装置40が四方弁13の切換動作を制御する。なお、図1において、冷房運転時(冷房モードによる運転時)における冷媒の主な流れが点線の矢印により示され、暖房運転時(暖房モードによる運転時)における冷媒の主な流れが実線の矢印により示される。
まず、暖房運転について説明する。エンジン10の駆動により圧縮機11が作動すると、圧縮機11は、アキュムレータ出口配管36内の低温低圧ガス冷媒を吸入口11aから吸入するとともに吸入した低温低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧ガス冷媒を生成する。そして、生成した高温高圧ガス冷媒を吐出口11bから吐出する。吐出口11bから吐出された高温高圧ガス冷媒は吐出配管31を流れる。
吐出配管31の途中にオイルセパレータ12が介装されている。このオイルセパレータ12によって、吐出配管31を流れる冷媒中に混入したオイルが回収される。また、吐出配管31の途中にはホットガスバイパス配管38が接続されている。ホットガスバイパス配管38に介装されたホットガスバイパス開閉弁18Eは、エンジン駆動式空気調和装置1の運転中に、例えば冷媒回路100内の冷媒圧力が高すぎるようなときに開くように、制御装置40によりその開閉動作が制御される。ホットガスバイパス開閉弁18Eが開いている場合、吐出配管31内の一部の高温高圧ガス冷媒はホットガスバイパス配管38を流れてアキュムレータ入口配管35に至り、さらにアキュムレータ入口配管35からアキュムレータ17に導入される。ホットガスバイパス開閉弁18Eが閉じている場合、吐出配管31内の高温高圧ガス冷媒の全てが四方弁13の第一ポート13aに入る。
四方弁13は、エンジン駆動式空気調和装置1の空調モードが暖房モードであるときには暖房時切換状態になるように制御装置40によりその切換動作が制御されているから、暖房運転時には、四方弁13の第一ポート13aが第二ポート13bに連通する。そのため吐出配管31から四方弁13の第一ポート13aに入った高温高圧ガス冷媒は、第二ポート13bから四方弁13を流出して室内機側配管32に流れる。そして、室内機側配管32を流れる冷媒は、室内機1b側の室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した高温高圧ガス冷媒は室内熱交換器22内を流通する間に室内空気と熱交換し、室内に熱を吐き出して凝縮する。つまり、暖房運転時には室内熱交換器22が凝縮器として機能する。このとき高温高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内が暖房される。
室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室内熱交換器22から中間配管34に流出する。そして、中間配管34の途中に介装された室内側電子膨張弁21で膨張することにより中圧化され、その後、室外機1a側の過冷却熱交換器16を通過することによりさらに液化される。過冷却熱交換器16を流出した冷媒の一部は、中間配管34から中間配管34に接続されたバイパス配管37を流れる。そして、中間配管34を流れる冷媒の一部がバイパス配管37に設けられている排熱回収用熱交換器15に入り、この排熱回収用熱交換器15によって、エンジン冷却水と熱交換する。なお、バイパス配管37に介装された第一流量調整弁18Aによって、バイパス配管37に設けられている排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量が調整される。排熱回収用熱交換器15で熱交換した冷媒は、バイパス配管37からアキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ17に導入される。また、中間配管34からバイパス配管37に流入した冷媒の一部は過冷却用配管39を流れて過冷却熱交換器16に流入する。そして、過冷却熱交換器16にて中間配管34を流れる冷媒と熱交換し、その後、アキュムレータ入口配管35に流れる。
一方、中間配管34からバイパス配管37に流れなかった冷媒は、中間配管34の配管L2を流れ、配管L2に介装された第二流量調整弁18Bを通る。この第二流量調整弁18Bにより冷媒が膨張して低圧化されるとともに、中間配管34から室外熱交換器14に流入する冷媒の流量が調整される。第二流量調整弁18Bを通った冷媒は、室外熱交換器14に流入し、室外熱交換器14内を流通する間に外気と熱交換し、外気の熱を奪って蒸発する。つまり、暖房運転時には室外熱交換器14が蒸発器として機能する。
外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化して室外熱交換器14から室外機側配管33に流出し、その後、四方弁13の第三ポート13cに入る。空調モードが暖房モードであるときには、四方弁13の第三ポート13cが第四ポート13dに連通しているから、室外機側配管33から四方弁13の第三ポート13cに入った冷媒は第四ポート13dから四方弁13を流出してアキュムレータ入口配管35を流れる。アキュムレータ入口配管35を流れた冷媒はアキュムレータ17に導入される。アキュムレータ17では導入された冷媒が気液分離され、液冷媒と分離された低温低圧のガス冷媒がアキュムレータ出口配管36に流出する。そして、アキュムレータ出口配管36内のガス冷媒が圧縮機11の吸入口11aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内暖房が継続される。
次に、冷房運転について説明する。圧縮機11が作動すると、圧縮機11の吐出口11bから吐出配管31に高温高圧ガス冷媒が吐出される。高温高圧ガス冷媒は吐出配管31を流れ、オイルセパレータ12を経由して四方弁13の第一ポート13aに入る。
四方弁13は、エンジン駆動式空気調和装置1の空調モードが冷房モードであるときには冷房時切換状態になるように制御装置40によりその切換動作が制御されているから、冷房運転時には、四方弁13の第一ポート13aが第三ポート13cに連通する。そのため吐出配管31から四方弁13の第一ポート13aに入った高温高圧ガス冷媒は、第三ポート13cから四方弁13を流出して室外機側配管33に流れる。室外機側配管33に流れた高温高圧ガス冷媒は室外熱交換器14に流入する。室外機側配管33から室外熱交換器14に流入した冷媒は室外熱交換器14内を流通する間に外気と熱交換し、外気に熱を吐き出して凝縮する。つまり、冷房運転時には室外熱交換器14が凝縮器として機能する。
外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室外熱交換器14から中間配管34に流出する。中間配管34に流出した液冷媒(或いは気液二相冷媒)は、配管L1を通過する。配管L1を通過した冷媒は、中間配管34に介装されている過冷却熱交換器16を通過する。また、配管L1を通過した冷媒の一部は、バイパス配管37を経由して過冷却用配管39を流れ、さらに過冷却用配管39に介装されている過冷却熱交換器16を通過する。そして、過冷却熱交換器16にて、中間配管34を流れる冷媒と過冷却用配管39を流れる冷媒が熱交換する。この熱交換によって、中間配管34を流れる冷媒が過冷却される。なお、冷房運転時には原則として第一流量調整弁18Aが閉弁しているので、バイパス配管37から排熱回収用熱交換器15に冷媒は流れない。
過冷却用配管39を流れて過冷却熱交換器16を通過した冷媒は、その後、アキュムレータ入口配管35に流入する。また、中間配管34を流れて過冷却熱交換器16を通過した冷媒は、その後、室内機1b側にて中間配管34に介装されている室内側電子膨張弁21を通る。この室内側電子膨張弁21で冷媒が膨張し、蒸発しやすいように低圧化される。室内側電子膨張弁21で低圧化された冷媒は、その後、室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した冷媒は室内熱交換器22内を流通する間に室内空気と熱交換し、室内空気の熱を奪って蒸発する。つまり、室内熱交換器22は冷房運転時に蒸発器として機能する。このとき冷媒が室内空気の熱を奪うことによって室内空気が冷やされて、室内が冷房される。
室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、室内熱交換器22から室内機側配管32に流出して四方弁13に向かう。そして、四方弁13の第二ポート13bに入る。空調モードが冷房モードであるときには、四方弁13の第二ポート13bが第四ポート13dに連通しているから、室内機側配管32から四方弁13の第二ポート13bに入った冷媒は、第四ポート13dから四方弁13を流出してアキュムレータ入口配管35に流入する。アキュムレータ入口配管35を流れた冷媒はアキュムレータ17に導入される。アキュムレータ17では導入された冷媒が気液分離され、分離された低温低圧のガス冷媒がアキュムレータ出口配管36に流出する。そして、アキュムレータ17からアキュムレータ出口配管36内に流入したガス冷媒が、圧縮機11の吸入口11aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内冷房が継続される。
上記した暖房運転時及び冷房運転時において、冷媒回路100内を流れる冷媒の流量は、通常の場合、空調負荷等に基づいて制御される。この場合、制御装置40は、空調負荷等に基づいて、第一流量調整弁18Aの開度、第二流量調整弁18Bの開度、第三流量調整弁18Cの開度、室内側電子膨張弁21の開度の目標開度を決定し、その目標開度となるように、各弁の開度を制御する。なお、空調負荷とは、要求されている空調に必要とされる冷媒の仕事量のことである。空調負荷は、例えば、室内温度と設定温度との温度差と、室内熱交換器22の運転容量との積により求めることができる。
ところで、エンジン駆動式空気調和装置1においては、暖房運転時にエンジン10の排熱を排熱回収用熱交換器15で回収することによって冷媒に熱が与えられるため、圧縮機11に吸入される冷媒の過熱度を上げることができる。このようにして外部から冷媒に熱を与えることができるので、圧縮機の動力を低減することができ、ひいては効率的な暖房運転を継続することができる。しかしながら、外気温度が高い状態で暖房運転する場合、排熱回収用熱交換器15でエンジン10の排熱を冷媒に与え過ぎる虞がある。冷媒に熱を与え過ぎて、冷媒温度、特に、圧縮機11から吐出される冷媒の吐出温度が過度に上昇した場合、吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器(圧縮機11、オイルセパレータ12、四方弁13、室外熱交換器14、排熱回収用熱交換器15、過冷却熱交換器16、アキュムレータ17、室内熱交換器22、各弁18A,18B,18C,18D,18E,21)の耐熱温度を上回って、各機器の故障、或いは、エンジン駆動式空気調和装置1の運転が高温異常により緊急停止する虞がある。この点に関し、制御装置40が、以下に示す冷媒加熱抑制制御を実行することにより、排熱回収用熱交換器15で冷媒が過度に加熱することが抑制される。
図2は、制御装置40が実行する冷媒加熱抑制制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン駆動式空気調和装置1の運転中に、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、制御装置40は、まず、図2のステップ(以下、ステップをSと略記する)101において、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行しているか否かを判断する。エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行していない場合(S101:No)、制御装置40はこのルーチンを終了する。一方、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行している場合(S101:Yes)、制御装置40は、S102に処理を進める。
S102では、制御装置40は、吸入温度センサ61が検出した吸入温度Taが、上限温度T1以上であるか否かを判断する。ここで、上限温度T1は、その温度以上の冷媒が圧縮機11に吸入されたときに圧縮機11から吐出される冷媒の吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度以上である虞がある温度として予め定められる温度である。従って、吸入温度Taが上限温度T1以上である場合、吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度以上である虞がある。
制御装置40は、S102にて吸入温度Taが上限温度T1未満であると判断した場合(S102:No)、吐出温度が各機器の耐熱温度以上である虞がないと判断してこのルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S102にて吸入温度Taが上限温度T1以上であると判断した場合(S102:Yes)、吐出温度が各機器の耐熱温度以上である虞があると判断する。この場合、制御装置40はS103に処理を進め、第一流量調整弁18Aの開度が現在の開度V1から所定の開度Aだけ減少するように、または、第一流量調整弁18Aの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Aだけ減少した開度になるように、第一流量調整弁18Aの開度を制御する。
続いて、制御装置40は、S104に処理を進め、吸入圧力センサ63が検出した吸入圧力PLが、下限圧力P1未満であるか否かを判断する。ここで、下限圧力P1は、その圧力未満の冷媒が圧縮機11に吸入されたときにエンジン駆動式空気調和装置1が正常な運転を継続することができない虞がある圧力、すなわち低圧異常によりエンジン駆動式空気調和装置1の運転が停止する虞がある圧力として予め定められる圧力である。
制御装置40は、S104にて吸入圧力PLが下限圧力P1以上であると判断した場合(S104:No)、このルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S104にて吸入圧力PLが下限圧力P1未満であると判断した場合(S104:Yes)、S105に処理を進め、第三流量調整弁18Cの開度が現在の開度V3から所定の開度Bだけ増加するように、または、第三流量調整弁18Cの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Bだけ増加した開度になるように、第三流量調整弁18Cの開度を制御する。その後、制御装置40は、このルーチンを終了する。
制御装置40が上記した冷媒加熱抑制制御を実行することにより、暖房運転時に吸入温度Taが上限温度T1以上である場合(S102:Yes)に、第一流量調整弁18Aの開度が減少する(S103)。このため、バイパス配管37から排熱回収用熱交換器15に流れる冷媒の流量が減少する。排熱回収用熱交換器15に流れる冷媒の流量が減少することにより、排熱回収用熱交換器15にて冷媒がエンジン冷却水から奪う熱量が減少する。これにより、冷媒の過度の加熱が抑制される。その結果、冷媒回路100内の各機器が冷媒の熱により動作不良を起こすことを防止することができる。
また、冷媒加熱抑制制御の実行により排熱回収用熱交換器15を流れる冷媒の流量が減少すると、その分だけ、排熱回収用熱交換器15からアキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が減少する。アキュムレータ17に導入される冷媒の流量が減少すると、それに伴いアキュムレータ出口配管36に流れて圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒の流量も減少する。このため圧縮機11に吸入される冷媒の圧力(吸入圧力PL)が低下する。吸入圧力PLが非常に低い場合、冷媒の密度が低下することに起因して、十分に空調運転を継続することができない可能性がある。そこで、冷媒加熱抑制制御の実行中にS104にて吸入圧力PLが下限圧力P1未満であると判断されたときに、第三流量調整弁18Cの開度を増加させる。第三流量調整弁18Cの開度を増加させた場合、中間配管34(第二冷媒配管)からバイパス配管37を経由して過冷却用配管39に流入し、過冷却熱交換器16を経由してアキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が増加する。このようにしてアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が増加することに伴い、アキュムレータ出口配管36に流れて圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒の流量も増加して、吸入圧力PLが上昇する。このため吸入圧力PLの過度の低下が抑制される。S104及びS105の処理が、第一吸入圧力上昇制御に相当する。
なお、過冷却用配管39を流れる冷媒の流量を増加させた場合、過冷却熱交換器16での熱交換が促進されるが、過冷却熱交換器16では、冷媒どうしで熱交換がなされており、外部から冷媒に熱を与えているわけではない。従って、過冷却用配管39を流れる冷媒の流量を増加させても、全体として見て冷媒が加熱されていない。このため、過冷却用配管39を流れる冷媒の流量を増加させても冷媒の加熱の抑制が阻害されることはない。
このように、冷媒温度が高いときに冷媒加熱抑制制御の実行により第一流量調整弁18Aの開度を減少させて排熱回収用熱交換器15での熱交換量を抑制することで、冷媒の過度な加熱を抑制することができる。さらに、冷媒加熱抑制制御の実行中に吸入圧力PLが減少したときに、第一吸入圧力上昇制御の実行により第三流量調整弁18Cの開度を増加させて、吸入圧力PLの過度の低下を抑制することができる。よって、冷媒の過度な加熱に起因した冷媒回路中の各機器の動作不良、及び、吸入圧力PLの過度な低下に起因したエンジン駆動式空気調和装置1の運転不良を、共に、防止することができる。
(変形例1)
また、制御装置40は、図2に示す冷媒加熱抑制制御に代えて、図3に示す冷媒加熱抑制制御を実行してもよい。図3に示す冷媒加熱抑制制御によれば、吸入温度Taに吸入温度Taの変化量ΔTを加味した温度に基づいて、排熱回収用熱交換器15での冷媒の加熱が抑制される。
図3のルーチンが起動すると、制御装置40は、まず、図3のS201にて、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行しているか否かを判断する。エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行していない場合(S201:No)、制御装置40はこのルーチンを終了する。一方、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行している場合(S201:Yes)、制御装置40は、S202に処理を進める。
S202では、制御装置40は、吸入温度センサ61が検出した吸入温度Taに、吸入温度Taの温度変化量ΔTに所定の係数αを乗じた値を加算して得られる予測吸入温度Ta*(=Ta+αΔT)が、上限温度T2以上であるか否かを判断する。ここで、温度変化量ΔTは、吸入温度センサ61にて検出された現在の吸入温度Taと過去の吸入温度Tapとの差(=Ta−Tap)である。吸入温度Taが増加傾向にある場合、温度変化量ΔTは正の値であり、吸入温度Taが減少傾向にある場合、温度変化量ΔTは負の値である。過去の吸入温度Tapは、前回に吸入温度センサ61が検出した温度であってもよいし、或いは、現在の吸入温度Taを検出したときよりも一定時間前に吸入温度センサ61が検出した温度であってもよい。また、係数αは、正の値であり、好ましくは1よりも大きい値(例えば1.5)として予め設定される。この予測吸入温度Taは、吸入温度Taの予測値である。
また、上限温度T2は、予測吸入温度Ta*がその温度以上であると、やがては冷媒の吐出温度が冷媒回路100を構成する機器の耐熱温度に達すると予測される温度として予め定められる温度である。したがって、予測吸入温度Ta*が上限温度T2以上である場合、吐出温度が、近い将来、冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度以上にまで上昇する虞があると判断できる。
制御装置40は、S202にて予測吸入温度Ta*が上限温度T2未満であると判断した場合(S202:No)、吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度にまで上昇する虞がないと判断して、このルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S202にて予測吸入温度Ta*が上限温度T2以上であると判断した場合(S202:Yes)、吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度にまで上昇する虞があると判断する。この場合、制御装置40は、S203に処理を進め、第一流量調整弁18Aの開度V1が現在の開度V1から所定の開度Cだけ減少するように、または、第一流量調整弁18Aの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Cだけ減少した開度になるように、第一流量調整弁18Aの開度を制御する。第一流量調整弁18Aの開度が減少されることにより、排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量が減少する。このため、排熱回収用熱交換器15における冷媒の過度な加熱が抑制される。
続いて、制御装置40は、S204に処理を進め、吸入圧力センサ63が検出した吸入圧力PLに、吸入圧力PLの圧力変化量ΔPに所定の係数βを乗じた値を加算して得られる予測吸入圧力PL*(=PL+βΔP)が、下限圧力P2未満であるか否かを判断する。ここで、圧力変化量ΔPは、吸入圧力センサ63が検出した現在の吸入圧力PLと過去の吸入圧力PLpとの差(=PL−PLp)である。吸入圧力PLが減少傾向にある場合、圧力変化量ΔPは負の値であり、吸入圧力PLが増加傾向にある場合、圧力変化量ΔPは正の値である。過去の吸入圧力PLpは、前回に吸入圧力センサ63が検出した圧力であってもよいし、或いは、現在の吸入圧力PLを検出したときよりも一定時間前に吸入圧力センサ63が検出した圧力であってもよい。また、係数βは、正の値であり、好ましくは1よりも大きい値(例えば1.5)として予め設定される。この予測吸入圧力PL*は、吸入圧力PLの予測値である。また、下限圧力P2は、その圧力未満の冷媒が圧縮機11に吸入されたときにエンジン駆動式空気調和装置1が正常な運転を継続することができない虞がある圧力、すなわち低圧異常によりエンジン駆動式空気調和装置の運転が停止する虞がある圧力として予め定められる圧力である。
制御装置40は、S204にて予測吸入圧力PL*が下限圧力P2以上であると判断した場合(S204:No)、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞がないと判断して、このルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S204にて予測吸入圧力PL*が下限圧力P2未満であると判断した場合(S204:Yes)、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞があると判断する。この場合、制御装置40は、S205に処理を進め、第三流量調整弁18Cの開度が現在の開度V3から所定の開度Dだけ増加するように、または、第三流量調整弁18Cの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Dだけ増加した開度になるように、第三流量調整弁18Cの開度を制御する。こうして第三流量調整弁18Cの開度が増加されることにより、中間配管34から過冷却用配管39に流入し、過冷却熱交換器16を経由してアキュムレータ入口配管35に流れてアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が増加する。アキュムレータ17に導入される冷媒が増加すると、それに伴いアキュムレータ17からアキュムレータ出口配管36に流れて圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒も増加して、吸入圧力PLが上昇する。このため吸入圧力PLの過度な低下が抑制される。その後、制御装置40は、このルーチンを終了する。本例において、S204及びS205の処理が、本発明の第一吸入圧力上昇制御に相当する。
本変形例によれば、予測吸入温度Ta*が上限温度T2以上であるか否か、すなわち、吸入温度Taが将来的に上限温度T2以上にまで上昇するか否かに基づいて、吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度以上にまで上昇する虞があるか否かを判断している。そして、予測吸入温度Ta*が上限温度T2以上であるときに、第一流量調整弁18Aの開度が減少するように、制御装置40が第一流量調整弁18Aの開度を制御して、排熱回収用熱交換器15での冷媒の過度な加熱を抑制している。これにより、冷媒回路100内の各機器が冷媒の熱により動作不良を起こすことを、未然に防止することができる。
また、本変形例によれば、冷媒加熱抑制制御の実行中に、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞があるか否かを、予測吸入圧力PL*が下限圧力P2未満にであるか否かに基づいて判断している。そして、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞ががあると判断したときに、第三流量調整弁18Cの開度を増加させて、吸入圧力PLの過度の低下を抑制している。これにより、吸入圧力PLの過度な低下、具体的には吸入圧力PLが下限圧力P2未満に低下してエンジン駆動式空気調和装置1の運転不良を招くことを、未然に防止することができる。
(実施形態)
次に、本発明の実施形態について説明するが、本実施形態は、制御装置40による冷媒加熱抑制制御の内容が異なるのみであり、その他の構成は、上記参考例と同一である。従って、それ以外の構成及び作動についての説明は省略する。
図4は、制御装置40が実行する本実施形態に係る冷媒加熱抑制制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、制御装置40は、まず、図4のS301にて、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行しているか否かを判断する。エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行していない場合(S301:No)、制御装置40はこのルーチンを終了する。一方、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行している場合(S301:Yes)、制御装置40は、S302に処理を進める。
S302では、制御装置40は、吸入温度センサ61が検出した吸入温度Taが上限温度T1以上であるか否かを判断する。吸入温度Taが上限温度T1未満であると判断した場合(S302:No)、制御装置40はこのルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S302にて吸入温度Taが上限温度T1以上であると判断した場合(S302:Yes)、S303に処理を進め、第一流量調整弁18Aの開度が現在の開度から所定の開度Eだけ減少するように、または、第一流量調整弁18Aの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Eだけ減少した開度になるように、第一流量調整弁18Aを制御する。
続いて、制御装置40は、S304に処理を進め、吸入圧力センサ63が検出した吸入圧力PLが、下限圧力P1未満であるか否かを判断する。吸入圧力PLが下限圧力P1以上であると判断した場合(S304:No)、制御装置40はこのルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S304にて吸入圧力PLが下限圧力P1未満であると判断した場合(S304:Yes)、S305に処理を進め、第二流量調整弁18Bの現在の開度V2が、上限開度Vu未満であるか否かを判断する。ここで、上限開度Vuとは、第二流量調整弁18Bの開度の上限値である。
S305にて、第二流量調整弁18Bの現在の開度V2が上限開度Vu未満であると判断した場合(S305:Yes)、制御装置40は、第二流量調整弁18Bの開度が現在の開度から所定の開度Fだけ増加するように、または、第二流量調整弁18Bの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Fだけ増加した開度になるように、第二流量調整弁18Bの開度を制御し(S306)、続いて、第三流量調整弁18Cの開度V3が現在の開度から所定の開度Gだけ減少するように、または、第三流量調整弁18Cの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Gだけ減少した開度になるように、第三流量調整弁18Cの開度を制御する(S307)。その後、制御装置40はこのルーチンを終了する。
一方、S305にて、第二流量調整弁18Bの現在の開度V2が上限開度に達していると判断した場合(S305:No)、制御装置40は、第三流量調整弁18Cの開度が現在の開度V3から所定の開度Hだけ増加するように、または、第三流量調整弁18Cの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Hだけ増加した開度になるように、第三流量調整弁18Cの開度を制御する(S308)。その後、制御装置40は、このルーチンを終了する。
制御装置40が上記した冷媒加熱抑制制御を実行することにより、暖房運転時に吸入温度Taが上限温度T1以上である場合(S302:Yes)に、第一流量調整弁18Aの開度が減少する(S303)。このため、バイパス配管37から排熱回収用熱交換器15に流れる冷媒の流量が減少する。排熱回収用熱交換器15に流れる冷媒の流量が減少することにより、排熱回収用熱交換器15にて冷媒がエンジン冷却水から奪う熱量が減少する。これにより、冷媒の過度な加熱が抑制される。その結果、冷媒回路100内の各機器が冷媒の熱により動作不良を起こすことを防止することができる。
また、冷媒加熱抑制制御の実行により排熱回収用熱交換器15を流れる冷媒の流量が減少すると、吸入圧力PLが減少する。ここで、本実施形態においては、冷媒加熱抑制制御の実行中にS304にて吸入圧力PLが下限圧力P1未満であると判断されたときに、第二流量調整弁18Bの開度V2が上限開度Vuに達しているか否かを判断し(S305)、達していない場合(S305:Yes)には、第二流量調整弁18Bの開度を増加させる(S306)。この場合、第二流量調整弁18Bは、空調負荷に応じた開度よりも大きく開くように、その開度が制御されることになる。
第二流量調整弁18Bの開度を増加させることにより、第二流量調整弁18Bを通って室外熱交換器14に流入する冷媒の流量が増加する。このため、室外熱交換器14を流出し、室外機側配管33、四方弁13、アキュムレータ入口配管35(第三冷媒配管)を通ってアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が増加する。アキュムレータ17に導入される冷媒の流量の増加に伴い、アキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒の流量も増加して、吸入圧力PLが上昇する。これにより、吸入圧力PLの過度の低下が抑制される。本実施形態において、S304,S306の処理が、第二吸入圧力上昇制御に相当する。
また、第二流量調整弁18Bの開度V2が上限開度Vuに達している場合(S305:No)には、第三流量調整弁18Cの開度を増加させる(S308)。これにより、上記参考例で説明したように、吸入圧力PLが上昇する。このようにして、吸入圧力PLの過度の低下が抑制される。本実施形態において、S304,S305及びS308の処理が、第三圧力上昇制御に相当する。
(変形例2)
図5は、上記実施形態の変形例に係る制御装置40が実行する冷媒加熱抑制制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。図5に示す冷媒加熱抑制制御ルーチンによれば、吸入温度Taに吸入温度Taの変化量ΔTを加味した温度に基づいて、排熱回収用熱交換器15での冷媒の加熱が抑制される。
図5のルーチンが起動すると、制御装置40は、まず、図5のS401にて、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行しているか否かを判断する。エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行していない場合(S401:No)、制御装置40はこのルーチンを終了する。一方、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転を実行している場合(S401:Yes)、制御装置40は、S402に処理を進める。
S402では、制御装置40は、吸入温度センサ61が検出した吸入温度Taに、吸入温度Taの温度変化量ΔTに所定の係数αを乗じた値を加算して得られる予測吸入温度Ta*(=Ta+αΔT)が、上限温度T2以上であるか否かを判断する。S402にて予測吸入温度Ta*が上限温度T2未満であると判断した場合(S402:No)、制御装置40は、吐出温度が冷媒回路100を構成する機器の耐熱温度にまで上昇する虞がないと判断して、このルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S402にて予測吸入温度Ta*が上限温度T2以上であると判断した場合(S402:Yes)、吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度にまで上昇する虞があると判断する。この場合、制御装置40は、S403に処理を進め、第一流量調整弁18Aの開度が現在の開度V1から所定の開度Iだけ減少するように、または、第一流量調整弁18Aの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Iだけ減少した開度になるように、第一流量調整弁18Aを制御する。第一流量調整弁18Aの開度が減少されることにより、排熱回収用熱交換器15に流入する冷媒の流量が減少する。このため、排熱回収用熱交換器15における冷媒の過度な加熱が抑制される。
続いて、制御装置40は、S404に処理を進め、吸入圧力センサ63が検出した吸入圧力PLに、吸入圧力PLの圧力変化量ΔPに所定の係数βを乗じた値を加算して得られる予測吸入圧力PL*(=PL−βΔP)が、下限圧力P2未満であるか否かを判断する。S404にて予測吸入圧力PL*が下限圧力P2以上であると判断した場合(S404:No)、制御装置40は、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞がないと判断して、このルーチンを終了する。一方、制御装置40は、S404にて予測吸入圧力PL*が下限圧力P2未満であると判断した場合(S404:Yes)、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞があると判断する。この場合、制御装置40は、S405に処理を進め、第二流量調整弁18Bの現在の開度V2が、上限開度Vu未満であるか否かを判断する。
S405にて、第二流量調整弁18Bの現在の開度V2が上限開度Vu未満であると判断した場合(S405:Yes)、制御装置40は、第二流量調整弁18Bの開度が現在の開度V2から所定の開度Jだけ増加するように、または、第二流量調整弁18Bの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Jだけ増加した開度になるように、第二流量調整弁18Bを制御する(S406)。第二流量調整弁18Bの開度が増加されることにより、中間配管34から室外熱交換器14を経由し、室外機側配管33、四方弁13、アキュムレータ入口配管35を通ってアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が増加し、それに伴いアキュムレータ17からアキュムレータ出口配管36を通って圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒の流量も増加する。その結果、吸入圧力PLが増加する。続いて、制御装置40は、第三流量調整弁18Cの開度が現在の開度V3から所定の開度Kだけ減少するように、または、第三流量調整弁18Cの開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Kだけ減少した開度になるように、第三流量調整弁18Cを制御する(S407)。その後、制御装置40はこのルーチンを終了する。本例において、S404及びS406の処理が、本発明の第二吸入圧力上昇制御に相当する。
一方、S405にて、第二流量調整弁18Bの現在の開度V2が上限開度に達していると判断した場合(S405:No)、制御装置40は、第三流量調整弁18Cの開度が現在の開度V3から所定の開度Lだけ増加するように、または、第三流量調整弁の開度が空調負荷等に基づいて計算された目標開度から所定の開度Lだけ増加した開度になるように、第三流量調整弁18Cを制御する(S408)。第三流量調整弁18Cの開度が増加されることにより、中間配管34からバイパス配管37を経由して過冷却用配管39に流入し、さらに過冷却熱交換器16を経由してアキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が増加する。こうしてアキュムレータ17に導入される冷媒の流量が増加すると、それに伴いアキュムレータ17からアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aに吸入される冷媒の流量も増加する。その結果、吸入圧力PLが増加する。その後、制御装置40は、このルーチンを終了する。本例において、S404,S405及びS408の処理が、本発明の第三吸入圧力上昇制御に相当する。
本変形例によれば、予測吸入温度Ta*が上限温度T2以上であるか否か、すなわち、吸入温度Taが将来的に上限温度T2以上にまで上昇するか否かに基づいて、吐出温度が冷媒回路100を構成する各機器の耐熱温度以上にまで上昇する虞があるか否かを判断している。そして、予測吸入温度Ta*が上限温度T2以上であるときに、第一流量調整弁18Aの開度が減少するように、制御装置40が第一流量調整弁18Aの開度を制御して、排熱回収用熱交換器15での冷媒の過度な加熱を抑制している。これにより、冷媒回路100内の各機器が冷媒の熱により動作不良を起こすことを、未然に防止することができる。
また、本変形例によれば、冷媒加熱抑制制御の実行中に、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞があるか否かを、予測吸入圧力PL*が下限圧力P2未満にであるか否かに基づいて判断している。そして、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞ががあるときであって、第二流量調整弁18Bの開度V2が上限開度Vuに達していないときに、第二流量調整弁18Bの開度を増加させて、吸入圧力PLの過度な低下を抑制している。また、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下する虞があるときであって、第二流量調整弁18Bの開度V2が上限開度Vuに達しているときに、第三流量調整弁18Cの開度を増加させて、吸入圧力PLの過度な低下を抑制している。これにより、吸入圧力PLが下限圧力P2未満にまで低下してエンジン駆動式空気調和装置1の運転不良を招くことを、未然に防止することができる。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態及び変形例では、吐出温度が冷媒回路を構成する各機器の耐熱温度以上であるか否か、或いは、吐出温度が耐熱温度以上にまで上昇する虞があるか否かを、吸入温度Taに基づいて判断している。しかし、その他の部分における冷媒の温度、例えば吐出温度の測定値に基づいて、吐出温度が耐熱温度以上であるか否か等を判断してもよい。また、上記実施形態及び変形例では、排熱回収用熱交換器にて冷媒とエンジン冷却水とが熱交換する例を示したが、排熱回収用熱交換器は、エンジン冷却水以外の方法により取出したエンジン排熱と冷媒とを熱交換するように構成されていてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。