[実施の形態1]
図1は、消防設備点検の概要を示す説明図である。まず、点検対象の消防設備の構成を説明する。
管理室に、受信機61が設置されている。本実施の形態の受信機61は、建物を複数の警戒区域に区切り、区域ごとにその内部に設置された火災感知器71および火災報知機73の作動状態を受信して、所定の条件を満たす場合に警告を発する、いわゆるP型(Proprietary-type)である。
受信機61は、第1受話器67を有する第1インタホン66を内蔵している。第1インタホン66は、受信機61に外付けで接続されていても良い。
住戸内および共用部の各部屋の天井およびエレベータシャフト内等に、火災感知器71が設置されている。火災感知器71は、熱、煙または炎を感知して、感知信号を出力する。共用廊下等の共用部に、押しボタン式の火災報知機73等が設置されている。火災報知機73は、ボタンが押されたことを感知した場合に、感知信号を出力する。火災報知機73の近傍に、非常連絡用の第2インタホン76が設置されている。第2インタホン76は、第2受話器77を備える。
警戒区域は、フロアごとに設定されている。一つのフロアが、複数の警戒区域に区切られている場合もある。一つの警戒区域内に設置された火災感知器71および火災報知機73は、同一の感知信号線72を介して受信機61に接続されている。受信機61は感知信号線72を介して受信した感知信号が所定の条件を満たす場合に、警告部62(図3参照)に警告を表示する。
第2インタホン76は、通話線75および受信機61を介して、第1インタホン66と接続されている。第1インタホン66と第2インタホン76とを使用することにより、火災報知機73の傍にいる人と、受信機61の傍にいる人との間で通話を行える。
図2は、点検システム10の構成を示す説明図である。点検システム10は、点検装置11、サーバ41およびクライアント31を備える。
点検装置11は、第1CPU(Central Processing Unit)12、主記憶装置13、補助記憶装置14、通信部15、第1取得部16、音声I/F(Interface)17、インタホン制御部18、およびバスを備える。通信部15は、送信部151を含む。本実施の形態の点検装置11は、消防設備点検を行う点検作業者が、点検対象の建物に持ち込んで設置し、点検終了後に持ち帰る、専用の装置である。
第1CPU12は、本実施の形態にかかるプログラムを実行する演算制御装置である。第1CPU12には、一または複数のCPUまたはマルチコアCPU等が使用される。第1CPU12は、バスを介して点検装置11を構成するハードウェア各部と接続されている。
主記憶装置13は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置13には、第1CPU12が行う処理の途中で必要な情報および第1CPU12で実行中のプログラムが一時的に保存される。
補助記憶装置14は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置14には、第1CPU12に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種情報が保存される。
通信部15は、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に基づいてネットワークに接続可能である。第1取得部16には、たとえば9本の接続部21が接続される。接続部21は、プローブ212およびプローブ212と第1取得部16との間を接続するケーブル211を備える。接続部21は第1取得部16に着脱可能であり、点検対象の受信機61に応じた長さおよび形状の接続部21を、点検作業者が適宜選択して使用できる。
音声I/F17は、スピーカ22およびマイク23に接続されており、音声の入出力を行う。インタホン制御部18は、インタホン制御線25を介して第1インタホン66のオンフック、オフフック、ダイヤル等を制御する制御信号を出力する。
サーバ41は、第3CPU42、主記憶装置43、補助記憶装置44、通信部45、時計46、およびバスを備える。本実施の形態のサーバ41は汎用のパーソナルコンピュータ、サーバマシン等の情報処理装置である。また、本実施の形態のサーバ41は、大型計算機上で動作する仮想マシンでも良い。
第3CPU42は、本実施の形態にかかるプログラムを実行する演算制御装置である。第3CPU42には、一または複数のCPUまたはマルチコアCPU等が使用される。第3CPU42は、バスを介してサーバ41を構成するハードウェア各部と接続されている。
主記憶装置43は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置43には、第3CPU42が行う処理の途中で必要な情報および第3CPU42で実行中のプログラムが一時的に保存される。
補助記憶装置44は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置44には、第3CPU42に実行させるプログラム、ログDB51、点検結果DB52およびプログラムの実行に必要な各種情報が保存される。
なお、ログDB51および点検結果DB52は、ネットワーク等を介してサーバ41に接続された別の記憶装置に記憶されても良い。各DBはそれぞれ異なる記憶装置に記憶されても良い。
通信部45は、サーバ41とネットワークとの間の通信を行うインターフェイスである。時計46は、ネットワークを介して自動的に時刻あわせを行うことが望ましい。
クライアント31は、第2CPU32、主記憶装置33、補助記憶装置34、通信部35、表示部37、入力部38、およびバスを備える。通信部35は、受信部352を含む。本実施の形態のクライアント31は、汎用のパソコン、タブレット、スマートフォン等の情報機器である。クライアント31は、点検作業用の専用端末でも良い。
第2CPU32は、本実施の形態にかかるプログラムを実行する演算制御装置である。第2CPU32には、一または複数のCPUまたはマルチコアCPU等が使用される。第2CPU32は、バスを介してサーバ41を構成するハードウェア各部と接続されている。
主記憶装置33は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置33には、第2CPU32が行う処理の途中で必要な情報および第2CPU32で実行中のプログラムが一時的に保存される。
補助記憶装置34は、SRAM、フラッシュメモリまたはハードディスク等の記憶装置である。補助記憶装置34には、第2CPU32に実行させるプログラムおよびプログラムの実行に必要な各種情報が保存される。
通信部45は、サーバ41とネットワークとの間の通信を行うインターフェイスである。時計46は、ネットワークを介して自動的に時刻あわせを行えることが望ましい。
通信部15は、LTE等の通信規格に基づいてネットワークに接続可能である。表示部37は、液晶表示パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等の表示パネルである。入力部38は、表示部37の表面に配置されたタッチセンサである。すなわち、表示部37と入力部38とは、一体になっていわゆるタッチパネルを構成する。
なお、表示部37にゴーグル型または眼鏡型のヘッドマウントディスプレイを使用しても良い。このようにする場合、入力部38にはユーザの手および腕の動きを検知するいわゆるモーションセンサ、音声入力を行うマイク、またはユーザの視線を検知する視線入力装置等を使用することが望ましい。ヘッドマウントディスプレイを使用することにより、点検作業者はクライアント31を手で持たずに点検作業を行うことができる。
図3は、点検装置11と受信機61との接続を示す説明図である。受信機61は、警戒区域ごとに警告部62、ラベル63およびコネクタ64を備える。ラベル63は、警戒区域の名称を示す。受信機61は、警戒区域の火災感知器71または火災報知機73から受信した感知信号が所定の条件を満たす場合にON信号、満たさない場合にOFF信号を示す火災信号を出力する。警告部62は、火災信号に基づいて警告を出力する表示器等である。コネクタ64は、火災信号を出力する。なお、図3において最下部のコネクタ64は、各警戒区域の警告部62の共通接地線に接続されている。
警戒区域の数が多い場合には、点検作業者は点検装置11に接続可能な数の警戒区域ごとに分けて点検作業を行う。
点検作業者は、接続部21をそれぞれの警戒区域のコネクタ64に接続する。なお、コネクタ64を備えない受信機61の点検を行う場合には、点検作業者は受信機61内部の配線等に接続部21を接続する。点検作業者は、第1受話器67の送話口にスピーカ22を、受話口にマイク23を、それぞれゴムバンド等を用いて固定する。
点検作業者は、点検装置11と受信機61の警告解除スイッチの配線との間を警告停止信号線26で接続する。点検作業者は、点検装置11と第1インタホン66との間をインタホン制御線25で接続する。以上により、点検装置11の設置が完了する。
図4は、ログDB51のレコードレイアウトを示す説明図である。ログDB51は、日時と、点検装置11が取得した受信機61の状態とを関連づけて記録するDBである。ログDB51は、点検装置ID(Identification)フィールド、日時フィールドおよび状態フィールドを有する。状態フィールドは、区域1フィールドから区域8フィールドまでのサブフィールドを有する。ログDB51は、一回のデータ受信について、一つのレコードを有する。
点検装置IDフィールドには、各点検装置11に割り当てられた固有のIDが記録されている。日時フィールドには、サーバ41がデータを受信した日時が記録されている。状態フィールドの各サブフィールドには、第1取得部16が取得した受信機61の各警告部62の状態が記録されている。
図5は、点検結果DB52のレコードレイアウトを示す説明図である。点検結果DB52は、建物名、点検日、場所および点検結果を関連づけて記録するDBである。点検結果DB52は、建物名フィールド、点検日フィールド、場所フィールド、呼出番号フィールド、インタホンフィールドおよび点検結果フィールドを有する。点検結果DB52は一つの住戸等について一つのレコードを有する。点検結果DB52は一つの火災感知器71等について一つのレコードを有しても良い。
建物名フィールドには、点検対象の建物名が記録される。点検日フィールドには、点検日が記録される。場所フィールドには、建物内の場所名が記録される。呼出番号フィールドには、インタホンの呼出番号が記録される。インタホンフィールドには、インタホンの点検結果が記録される。点検結果フィールドには、点検作業者が判断した点検結果が記録される。インタホンフィールドおよび点検結果フィールドの初期値は、まだ点検を行っていないことを意味する「未」である。
図6は、クライアント31に表示する画面の例を示す説明図である。第2CPU32は、表示部37に図6に示す点検画面を表示する。点検画面は、URL(Uniform Resource Locator)欄88、点検装置ID欄81、接続状態欄82、インタホン欄89、開始ボタン83、終了ボタン84、8個の状態表示欄85、場所欄86、呼出番号欄90、および点検結果欄87を含む。
本実施の形態のプログラムは、サーバ41とクライアント31とが協調処理した結果をWEB(World Wide Web)ブラウザを用いて表示する、いわゆるWEBアプリである。URL欄88には、図6に示す画面を表示するためにクライアント31がアクセス中のURLが表示される。なお、プログラムはクライアント31にインストールされて、必要に応じてサーバ41との通信を行う、いわゆるネイティブアプリでも良い。
点検装置ID欄81には、使用する点検装置11のIDが表示される。接続状態欄82には、点検装置11とサーバ41との接続状態が表示される。インタホン欄89には、インタホンの点検結果が表示される。開始ボタン83は、点検装置11からのデータ取得を開始する指示を受け付ける。終了ボタン84は、点検装置11からのデータ取得を終了する指示を受け付ける。
状態表示欄85には、第1取得部16が取得した受信機61の各警告部62の状態が表示される。場所欄86は、点検対象のエリア名、フロア名等、点検中の場所の入力を受け付ける。場所欄86は、点検中の場所を取得する第3取得部の一例である。呼出番号欄90は、点検中の場所に設置されたインタホンの呼出番号の入力を受け付ける。点検結果欄87は、点検作業者が判断した点検結果の入力を受け付ける。
第2CPU32は、入力部38を介してURL欄88、点検装置ID欄81、場所欄86、呼出番号欄90および点検結果欄87に入力されたデータと、開始ボタン83および終了ボタン84への操作とを取得し、サーバ41に随時送信する。第2CPU32は、サーバ41から図6を使用して説明した点検画面の表示に必要なデータを受信し、表示部37に表示する。
図1から図6を使用して、点検システム10を用いた点検作業の概要を説明する。図3を使用して説明した点検装置11の設置を完了した点検作業者は、無線通信により点検装置11とサーバ41とを接続する。点検作業者は、クライアント31にインストールされたブラウザに所定のURLを入力して、図6を使用して説明した点検画面を表示する。点検作業者は、開始ボタン83を操作して、点検装置11からログDB51へのデータ記録を開始する。
点検作業者は、クライアント31および試験器97を持って、建物内の各所に設置された火災感知器71の近くに行く。点検作業者は、火災感知器71に、熱、煙、光等を発生する試験器97をかざす。火災感知器71は、感知信号を出力する。感知信号が所定の条件を満たす場合に、受信機61は、感知信号を受信した感知信号線72に対応する警告部62から警告を出力する。
第1CPU12は、コネクタ64、接続部21および第1取得部16を介して、それぞれの警告部62の警告出力の有無を取得し、通信部15を介してサーバ41に送信する。
サーバ41は、ログDB51に新しいレコードを作成して、受信した情報を記録する。
第1CPU12は、所定の時間が経過した後に、警告停止信号線26を介して受信機61に警告停止信号を送信する。警告停止信号を受信した受信機61は、警告の出力を停止して、通常の状態に戻る。なお、自動的に警告の出力を停止する点検用のモード設定が可能な受信機61の点検を行う場合には、点検作業者は警告停止信号線26を接続しなくても良い。
第3CPU42は、ログDB51に記録された情報に基づいて、状態表示欄85に対応するデータを更新する。第2CPU32は、ネットワークを介して更新されたデータを取得し、表示部37の表示を更新する。なお、以下の説明では、「第3CPU42は状態表示欄85を更新する」のように簡略化して記載する場合がある。点検作業者は、表示部37を見て、受信機61が感知信号を受信したことを確認する。
受信機61が警告の出力を停止したことを確認した後に、点検作業者は、次の火災感知器71に試験器97をかざす。同様に、点検作業者は火災報知機73のボタンを押して感知信号を発生させ、受信機61が所定の反応をすることを確認する。
点検作業者は、入力部38を操作して点検中の場所および設置された第2インタホン76の呼出番号を場所欄86および呼出番号欄90に入力する。第2CPU32は、点検作業者が入力した情報をサーバ41に送信する。第3CPU42は、点検結果DB52に場所および呼出番号を記録する。
第3CPU42は、呼出番号を点検装置11に送信する。第1CPU12は、インタホン制御部18を介して、第1インタホン66をオフフック状態にして、呼出番号で指定された第2インタホン76を呼び出す。点検作業者入力した番号の第2インタホン76の呼出音が鳴る。
点検作業者は、第2受話器77を取る。第1CPU12は、インタホン制御部18を介して呼び出した第2インタホン76がオフフック状態になったことを検出し、音声I/F17を介してスピーカ22から試験用の音声を出力する。点検作業員は、第2受話器77の受話口から試験用の音声を聞き、送話口から応答する。
第1CPU12は、マイク23および音声I/F17を介して点検作業者の応答を取得し場合に、第2インタホン76およびインタホン用の配線設備等が正常に動作していると判定する。点検作業者が第2受話器77を取らない場合および点検作業者の応答を取得できない場合には、第1CPU12はインタホンに異常があると判定する。
第1CPU12は、インタホン制御部18およびインタホン制御線25を介して第1インタホン66をオンフック状態にする制御信号を出力する。点検作業者は、第2受話器77を元の場所に戻して、オンフック状態にする。
第1CPU12は、インタホンの状態の判定結果をサーバ41に送信する。サーバ41は、受信した情報を点検結果DB52のインタホンフィールドに記録する。第2CPU32は、インタホンフィールドに記録された情報を取得して、インタホン欄89に表示する。
一つの点検場所に設置された火災感知器71、火災報知機73および第2インタホン76の点検の終了後、点検作業者は入力部38を操作して、点検結果欄87に点検結果を入力する。第2CPU32は、点検結果をサーバ41に送信する。第3CPU42は、受信した点検結果を点検結果DB52の点検結果フィールドに記録する。
その後、点検作業者は場所欄86に次の点検場所を入力し、点検を開始する。以上により、点検作業者は各所に設置された火災検知器71の動作を一人で点検することが可能である。なお、点検作業者は一つの警戒区域全体を一つの点検場所としても、一つの警戒区域を複数の点検場所に分けても良い。
図7は、プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。第2CPU32は、図6を使用して説明した画面の場所欄86、呼出番号欄90および点検結果欄87に入力されたデータを、サーバ41に送信する(ステップS501)。なお、呼出番号欄90および点検結果欄87にデータが入力されていない場合、第2CPU32は当該欄が空欄である旨を送信する。第2CPU32は、サーバ41に図6を使用して説明した画面の更新要求を送信する(ステップS502)。
第3CPU42は、クライアント31からデータを受信したか否かを判定する(ステップS600)。受信したと判定した場合(ステップS600でYES)、第3CPU42は、場所欄86に入力されたデータをキーとして点検結果DB52を検索し、抽出したレコードに受信した受信したデータを記録する(ステップS601)。
なお、点検結果DB52に対応するレコードが記録されていない場合には、第3CPU42は点検結果DB52にレコードを追加し、受信したデータを記録するとともに、インタホンフィールドおよび点検結果フィールドに「未」を記録する。
受信第3CPU42は、呼出番号欄90のデータに変化があるかどうかを判定する(ステップS602)。変化があると判定した場合(ステップS602でYES)、第3CPU42は呼出番号を点検装置11に送信する(ステップS603)。第1CPU12は、呼出番号を割り込み処理により受信し、主記憶装置13または補助記憶装置14に記憶する。
第1CPU12は、接続部21を介して第1取得部16が取得する受信機61の状態に変化があるか否かを判定する(ステップS701)。変化がないと判定した場合(ステップS701でNO)、第1CPU12は前回のサーバ41との通信から所定の時間が経過しているか否かを判定する(ステップS702)。ここで所定の時間は点検装置11とサーバ41との接続がタイムアウトにより切断されることを防止できる程度の時間である。
経過していないと判定した場合(ステップS702でNO)、第1CPU12はステップS701に戻る。変化があると判定した場合(ステップS701でYES)、または、経過していると判定した場合(ステップS702でYES)、第1CPU12はサーバ41に受信機61の状態を送信する(ステップS703)。第1CPU12は、警告停止信号線26を介して受信機61に警告停止信号を送信する(ステップS704)。
受信してないと判定した場合(ステップS600でNO)、呼出番号に変化がないと判定した場合(ステップS602でNO)、または、ステップS603の終了後、第3CPU42は、点検装置11から受信機61の状態を受信しているか否かを判定する(ステップS610)。受信していると判定した場合(ステップS610でYES)、第3CPU42は、ログDB51にレコードを作成して受信したデータを記録する(ステップS611)。
受信してないと判定した場合(ステップS610でNO)、またはステップS611の終了後、第3CPU42はクライアント31からの更新要求を受信しているか否かを判定する(ステップS612)。受信していると判定した場合(ステップS612でYES)、第3CPU42は点検装置11から受信した最新のデータに基づいて状態表示欄85の表示を更新するデータをクライアント31に送信する(ステップS613)。
第2CPU32は、サーバ41から送信されたデータを受信する(ステップS505)。第2CPU32は、表示部37の表示を更新する(ステップS506)。第2CPU32は点検を終了するか否かを判定する(ステップS507)。たとえば、図示しない点検終了ボタンの選択を受け付けた場合、またはサーバ41との通信が遮断された場合等に、第2CPU32は点検を終了すると判定する。
点検を終了しないと判定した場合(ステップS507でNO)、第2CPU32はステップS501に戻る。点検を終了すると判定した場合(ステップS507でYES)、第2CPU32は処理を終了する。更新要求を受信していないと判定した場合(ステップS612でNO)、またはステップS613の終了後、第3CPU42はステップS600に戻る。
第1CPU12は、サーバ41から呼出番号を受信しているか否かを判定する(ステップS705)。受信していると判定した場合(ステップS705でYES)、第1CPU12はインタホン点検のサブルーチンを起動する(ステップS706)。インタホン点検のサブルーチンは、インタホンの動作を点検するサブルーチンである。受信していないと判定した場合(ステップS705でNO)、またはステップS706の終了後、第1CPU12はステップS701に戻る。
図8は、インタホン点検のサブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。第1CPU12は、インタホン制御部18を介して、第1インタホン66をオフフック状態にして、呼出番号で指定された第2インタホン76を呼び出す(ステップS710)。
第1CPU12は、呼び出された第2インタホン76がオフフック状態になったか否かを判定する(ステップS711)。オフフック状態になったと判定した場合(ステップS711でYES)、第1CPU12は、スピーカ22から試験用の音声を出力する(ステップS712)。
第1CPU12は、マイク23から点検作業者の返事が聞こえたか否かを判定する(ステップS713)。返事が聞こえたと判定した場合(ステップS713でYES)、第1CPU12はインタホンの点検結果が「正常」であると判定する(ステップS714)。返事が聞こえないと判定した場合(ステップS713でNO)、第1CPU12はインタホンの点検結果が「音声受信なし」であると判定する(ステップS715)。
所定の時間、たとえば60秒間経過しても第2インタホン76がオフフック状態になっていないと判定した場合(ステップS711でNO)、第1CPU12はインタホンの点検結果が「応答なし」であると判定する(ステップS706)。ステップS714、ステップS715またはステップS716の終了後、第1CPU12は第1インタホン66をオンフック状態にしてインタホン回線を切断する(ステップS717)。
第1CPU12は、点検結果をサーバ41に送信する(ステップS718)。その後、第1CPU12は処理を終了する。第3CPU42は、点検結果を受信する(ステップS621)。第3CPU42は、点検結果DB52のインタホンフィールドに点検結果を記録する(ステップS622)。
本実施の形態によると、各所に設置された火災検知器71およびインタホンの動作を一人で点検できる点検システム10を提供することが可能である。ログDB51および点検結果DB52のインタホンフィールドには点検結果が自動的に記録されるので、信頼性の高い検査履歴を保存できる点検システム10を提供することが可能である。
点検作業者が呼出番号欄90に呼出番号を入力した後に、第2インタホン76の呼出が行われるので、点検作業者は点検場所の状況に応じた順番で点検を行うことができる。また、現場での軽微な調整で復旧できる場合には、たとえば呼出番号欄90のデータを削除してから、再入力することにより、インタホンの点検をやりなおすことができる。
本実施の形態によると、建物の状況に応じて、一つの警戒区域全体を一つの点検場所として点検結果を記録することも、一つの警戒区域を複数の点検場所に分けて点検結果を記録することも可能な点検システム10を提供することが可能である。
点検結果欄87は、プルダウンメニュー等により「正常」「留守」等の定型的な入力を受け付けても良い。
ログDB51および点検結果DB52に記録されたデータは、たとえばCSV(Comma Separated Values)形式に変換して、汎用の表計算ソフトを用いて解析等を行うことができる。
[実施の形態2]
本実施の形態は、第2インタホン76側から発信してインタホンの点検を行う点検システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図9は、実施の形態2の消防設備点検の概要を示す説明図である。本実施の形態においては、マイク23とスピーカ22とは、音声伝達線28により接続されており、マイク23が検出した音声をスピーカ22から出力する。したがって、点検作業者は第2受話器77の送話口に向かって話した自分の声を、第1受話器67の受話口、マイク23、音声伝達線28、スピーカ22、第1受話器67の送話口および第2受話器77の受話口を介して聞くことができる。
なお、音声伝達線28の途中に、入力した音声を数秒遅れて出力する遅延機構を設けても良い。点検作業者は、自分の話す声と、管理室から戻ってきた声とを区別しやすくなる。スピーカ22、マイク23および音声伝達線28の代わりに、筒状の伝声管を使用しても良い。
点検作業者は、第2インタホン76から管理室に電話をかける。第1インタホン66がオフフックになり、第2受話器77の送話口に向かって話した自分の声が、受話口から戻ってくることにより、点検作業者はインタホンが正常に動作していることを確認し、点検結果欄87に入力する。
図10は、実施の形態2のプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。第2CPU32の動作、第3CPU42のステップS601までの動作、および第1CPU12のステップS704までの動作は、実施の形態1と同一であるので説明を省略する。
ステップS601の終了後、第3CPU42は、点検装置11から受信機61の状態を受信しているか否かを判定する(ステップS610)。以後の第3CPU42の処理も、実施の形態1と同一であるので、説明を省略する。
ステップS704の後、第1CPU12は第1インタホン66に着信があるか否かを判定する(ステップS721)。着信があると判定した場合(ステップS721でYES)、第1CPU12はインタホン制御部18およびインタホン制御線25を介して制御信号を送信し、第1インタホン66をオフフック状態にする(ステップS722)。
第1CPU12は、所定のタイマー時間の経過を待つ(ステップS723)。タイマー時間は、点検に必要な時間、たとえば30秒から数分間程度である。第1CPU12は、第1インタホン66をオンフック状態にする(ステップS724)。
着信がないと判定した場合(ステップS721でNO)、またはステップS724の終了後、第1CPU12はステップS701に戻る。
本実施の形態によると、音声I/F17は不要であり、インタホン制御部18はインタホンのオンフック、オフフックの操作を行うのみであるので、点検装置11を小型軽量化することができる。第1インタホン66の発信制御方法が不明であっても、点検作業を行える点検システム10を提供することができる。
[実施の形態3]
本実施の形態は、第1受話器67の接続用コネクタに点検装置11を接続する点検システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図11は、実施の形態3の点検装置11と受信機61との接続を示す説明図である。本実施の形態においては、点検作業者は第1受話器67を取り外し、通話試験線27を用いて点検装置11と第1インタホン66とを接続する。点検装置11は、通話試験線27を介して、第1インタホン66との間で音声信号を送受信する。
本実施の形態によると、スピーカ22およびマイク23を第1受話器67に接続する作業が不要であるので、設置が簡単な点検システム10を提供できる。
[実施の形態4]
本実施の形態は、点検装置11とクライアント31とが、サーバ41を介さずにデータの送受信を行う点検システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図12は、実施の形態4の消防設備点検の概要を示す説明図である。点検装置11とクライアント31は、無線通信により直接接続可能である。なお、点検装置11とクライアント31との間には、無線LAN(Local Area Network)ルータまたは公衆無線通信回線の中継器等が介在しても良い。
クライアント31の補助記憶装置34に、図4を使用して説明したログDB51および図5を使用して説明した点検結果DB52が記憶されている。ログDB51および点検結果DB52は、ネットワークを介してクライアント31に接続された外部のデータサーバ等に記憶されていても良い。
図13は、実施の形態4のプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。第1CPU12の動作は、ステップS703におけるデータの送信先がクライアント31である以外は図10を使用して説明した実施の形態2と同一であるので、説明を省略する。
第2CPU32は、図6を使用して説明した画面の場所欄86、呼出番号欄90および点検結果欄87への入力を受け付ける(ステップS531)。第2CPU32は、場所欄86に入力されたデータをキーとして点検結果DB52を検索し、抽出したレコードに受信した受信したデータを記録する(ステップS532)。
なお、点検結果DB52に対応するレコードが記録されていない場合には、第2CPU32は点検結果DB52にレコードを追加し、受信したデータを記録するとともに、インタホンフィールドおよび点検結果フィールドに「未」を記録する。
第2CPU32は、点検装置11がステップS703で送信したデータを受信する(ステップS533)。第2CPU32は、ログDB51にレコードを作成して受信したデータを記録する(ステップS534)。
第2CPU32は、表示部37の表示を更新する(ステップS535)。第2CPU32は点検を終了するか否かを判定する(ステップS536)。終了しないと判定した場合(ステップS536でNO)、第2CPU32はステップS531に戻る。終了すると判定した場合(ステップS536でYES)、第2CPU32は処理を終了する。
本実施の形態によると、サーバ41を使用せずに点検システム10を提供することができる。
[実施の形態5]
本実施の形態は、受信機61からワイヤレスで火災信号を取得する点検システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図14は、実施の形態5の点検装置11と受信機61との接続を示す説明図である。本実施の形態の点検システム10は、送信機29を有する。送信機29と点検装置11内の第1取得部16とは、たとえばBLUETOOTH(登録商標)、無線LANまたは省電力無線等の無線通信プロトコルに基づいて通信する。
送信機29は、たとえば9本の接続部21を介して受信機61のコネクタ64に接続される。送信機29は、それぞれの接続部21から取得した信号を、パラレル−シリアル変換し、無線通信により送信する。点検装置11は、通信を介して送信機29が送信した信号を受信する。
本実施の形態によると、受信機61からワイヤレスで火災信号を取得する点検システム10を提供することができる。
受信機61自体が、火災信号を無線で送信する機能を有していても良い。この場合、点検作業者は所定のプロトコルに基づいて火災信号を受信するように点検装置11を設定する。受信機61が無線による制御を受け付ける場合には、インタホン制御線25、および警報停止信号線26の代わりに、無線通信を使用しても良い。
[実施の形態6]
図15は、実施の形態6の点検システム10の動作を示す機能ブロック図である。点検システム10は、情報処理装置31と、点検装置11とを備える。点検装置11は、第1取得部16と送信部151とを備える。第1取得部16は、複数の区域にそれぞれ設置された火災感知器71に接続されており火災感知器71からの信号を区域ごとに受信して、区域ごとに火災信号を出力する受信機61に接続し、区域ごとに火災信号の有無を取得する。送信部151は、第1取得部16が取得した火災信号の有無に変化が生じた場合に、前記区域ごとの火災信号の有無を送信する。
情報処理装置31は、受信部352と表示部37とを備える。受信部352は、区域ごとの火災信号の有無を受信する。表示部37は、受信部352が受信した前記区域ごとの火災信号の有無を表示する表示部。
[実施の形態7]
本実施の形態は、汎用のコンピュータ95とプログラム94とを組み合わせて動作させることにより、本実施の形態の点検システム10を実現する形態に関する。図16は、実施の形態7の点検システム10の構成を示す説明図である。図16を使用して、本実施の形態の構成を説明する。なお、実施の形態1と共通する部分の説明は省略する。
本実施の形態の点検システム10は、ネットワークを介して接続されたコンピュータ95、クライアント31およびサーバ41と、コンピュータ95に接続された第1取得部16、音声I/F17およびインタホン制御部18とを有する。
コンピュータ95は、第1CPU12、主記憶装置13、補助記憶装置14、通信部15、読取部91およびバスを備える。コンピュータ95は、ノートパソコン等の汎用の携帯情報機器である。コンピュータ95は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)等の汎用のI/Fを介して第1取得部16、音声I/F17およびインタホン制御部18に接続されている。
プログラム94は、可搬型記録媒体92に記録されている。第1CPU12は、読取部91を介してプログラム94を読み込み、補助記憶装置14に保存する。また第1CPU12は、コンピュータ95内に実装されたフラッシュメモリ等の半導体メモリ93に記憶されたプログラム94を読み出しても良い。さらに、第1CPU12は、通信部35および図示しないネットワークを介して接続される図示しない他のサーバコンピュータからプログラム94をダウンロードして補助記憶装置14に保存しても良い。
プログラム94は、コンピュータ95の制御プログラムとしてインストールされ、主記憶装置33にロードして実行される。これにより、コンピュータ95、第1取得部16、音声I/F17およびインタホン制御部18は、上述した点検装置11として機能する。
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。