JP6814611B2 - 多板式無励磁作動ブレーキ - Google Patents
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Description
このため、この多板式無励磁作動ブレーキは、部品点数や組立工程数が多く、生産性が低くなるという問題があった。
以下、本発明に係る多板式無励磁作動ブレーキの一実施の形態を図1〜図3によって詳細に説明する。
図1に示す多板式無励磁作動ブレーキ1は、図1において下側に位置する縦型モータ2のリアハウジング3に組み付けられている。この多板式無励磁作動ブレーキ1は、この縦型モータ2が停止したときにモータ軸4に制動力を付与し、モータ軸4を停止状態に保持するものである。
多板式無励磁作動ブレーキ1の上下方向に重なる複数の機能部品とは、最も下に位置するサイドプレート5と、最も上に位置するフィールドコア6と、これらの部品の間で上下方向に並ぶ第1のインナディスク7、アウタディスク8および第2のインナディスク9と、アーマチュア10などである。
縦型モータ2のリアハウジング3は、縦型モータ2の一方の軸端部を構成するもので、円筒状に形成されてモータ軸4と同一軸線上に位置付けられている。リアハウジング3の中空部は、モータ軸4と、後述する中立機構11の一部とを収容可能な大きさに形成されている。
第1のインナディスク7と第2のインナディスク9は、それぞれ円環状に形成されており、中空部内にハブ12が挿入されてモータ軸4と同一軸線上に位置する状態で、モータ軸4の軸線方向に所定の間隔をおいて並んでいる。第1のインナディスク7は、サイドプレート5と隣り合う位置に設けられている。第2のインナディスク9は、第1のインナディスク7の上方に設けられている。
第1および第2のインナディスク7,9の外周部の両面には、摩擦部材17が設けられている。
第1のインナディスク7と第2のインナディスク9との間、言い換えれば、互いに隣り合う一対のインナディスクどうしの間には、アウタディスク8が配置されている。アウタディスク8は、円環状に形成され、中空部内にハブ12が挿入されてモータ軸4と同一軸線上に位置付けられている。アウタディスク8の外周部であって、アウタディスク8を周方向に3等分する位置には、切欠き溝18がそれぞれ形成されている。
第1のインナディスク7と第2のインナディスク9のうち、上側に位置する第2のインナディスク9の上方近傍、言い換えれば、第1および第2のインナディスク7,9とアウタディスク8とからなる制動部22にモータ軸4の軸線方向の一端側から(上側から)対向する位置には、アーマチュア10が配置されている。アーマチュア10は、円環状に形成されており、中空部内にハブ12が挿入されてモータ軸4と同一軸線上に位置付けられている。
第1のインナディスク7と第2のインナディスク9のうち、下側に位置する第1のインナディスク7の下方近傍、言い換えれば、制動部22にモータ軸4の軸線方向の他端側から(下側から)対向する位置には、サイドプレート5が配置されている。
サイドプレート5は、リアハウジング3の軸端面の形状に倣う円環状に形成されており、図示していない複数のボルトによってリアハウジング3の軸端面に固定されている。すなわち、サイドプレート5は、ハブ12(モータ軸4)の回転方向への回転およびハブ12(モータ軸4)に対する軸線方向への移動が規制される状態でリアハウジング3に設置されている。サイドプレート5は、中空部内にハブ12が挿入されてモータ軸4と同一軸線上に位置付けられている。
連結用ボルト26は、この多板式無励磁作動ブレーキ1の主要部品を保持するためのもので、全ての第1のねじ孔24にそれぞれ螺着され、サイドプレート5にモータ軸4の軸線Cと平行になる状態で立てられている。連結用ボルト26と第1のねじ孔24との螺合部分は、接着剤(図示せず)によって緩み止めが施されている。
連結用ボルト26の基部には、円筒状のカラー21がそれぞれ嵌合している。カラー21の一端部(図1においては下端部)は、サイドプレート5における第1のねじ孔24の周囲に形成された凹部28に嵌合している。また、カラー21は、連結用ボルト26に螺合されてカラー21の他端に押し付けられた締結用ナット29によって、一端部側に向けて押されている。このため、カラー21は、連結用ボルト26の基部に固定されている。
このカラー21は、上述したアウタディスク8の切欠き溝18と、アーマチュア10の切欠き溝23とに移動自在に通されている。
連結用ボルト26は、位置決め用ナット32が螺合されている状態で取付け板31の貫通孔34に挿通されている。第1の固定用ナット33は、このように貫通孔34に挿通された連結用ボルト26の先端部に螺合され、取付け板31を位置決め用ナット32に押し付けている。
フィールドコア6は、円環状に形成され、中空部にモータ軸4が挿入されてモータ軸4と同一軸線上に位置する状態で連結用ボルト26を介してサイドプレート5に固定されている。
このフィールドコア6の内周部には、非貫通穴からなる複数のばね挿入凹部35が形成されている。これらのばね挿入凹部35は、フィールドコア6を周方向に6等分する位置にそれぞれ形成されている。これらのばね挿入凹部35の中には制動ばね36が挿入されている。制動ばね36は、アーマチュア10を制動部22に接近する方向である第1の方向へ付勢するもので、圧縮コイルばねによって構成されている。この圧縮コイルばねの素線の断面形状は四角形である。
中立機構11は、詳細は後述するが、上述したエアギャップGに相当する隙間を第1、第2のインナディスク7,9とアウタディスク8の両側となる4箇所に振り分け、図3に示すように、第1、第2のインナディスク7,9とアウタディスク8とを中立位置に保持する。図4に示す非制動状態において、サイドプレート5と第1のインナディスク7との間には、第1の隙間g1が形成されている。第1のインナディスク7とアウタディスク8との間には第2の隙間g2が形成されている。アウタディスク8と第2のインナディスク9との間には第3の隙間g3が形成されている。第2のインナディスク9とアーマチュア10との間には第4の隙間g4が形成されている。ここでは、第1〜第4の隙間g1〜g4の幅をそれぞれエアギャップGの1/4とする場合について説明する。なお、第1〜第4の隙間g1〜g4の幅は、エアギャップGの1/4に限定されることはなく、適宜変更することができる。
第1の保持部43は、図2に示すように、サイドプレート5とリアハウジング3の中空部内に収容された有底円筒状の連結部材51を使用して構成されている。連結部材51は、円環状の板状部51aと、この板状部51aの外周縁から第2の方向に(図2において上方に)延びる円筒部51bとを有している。この連結部材51は、板状部51aがハブ12の軸端面12cと対向する状態で、円筒部51bを軸線方向に貫通する3本の第1の固定用ボルト52によって、第1のインナディスク7に固定されている。固定用ボルト52は、第1のインナディスク7のねじ孔7aに螺着されている。連結部材51の円筒部51bは、この連結部材51が第1のインナディスク7に固定された状態において、周方向の全域にわたって第1のインナディスク7に当接する。
支持ボルト61における、第2の貫通孔57から突出した部位は、シム59の貫通孔59aおよびリング60の貫通孔60aに移動自在に挿通され、ハブ12のねじ孔64に螺着されている。すなわち、支持ボルト61は、一端部がハブ12の軸端部に固定されるとともに他端部が板状部51aを移動自在に貫通する状態でハブ12から第1の方向に延びている。
このため、第1の隙間g1の幅をエアギャップGの1/4とするためには、第5の隙間g5の幅を変えることによって実施することができる。第5の隙間g5の幅は、シム59やリング60を厚みが異なるものに変えることによって変更することができる。
第2の保持部44は、図2に示すように、連結部材51の第2のボルト挿通孔54に移動自在に挿通されたインナディスク位置調整ボルト55と、このインナディスク位置調整ボルト55が移動自在に貫通する状態で第1のインナディスク7と第2のインナディスク9との間に設けられた第2の戻しばね65とを有している。インナディスク位置調整ボルト55は、本発明でいう「第2のロッド」に相当するもので、モータ軸4の軸線方向と平行に延びる状態で一端部(上端部)が第2のインナディスク9(一対のインナディスクのうち一方のインナディスク)のねじ孔66に螺着されている。このインナディスク位置調整ボルト55の一端部は、第3の固定用ナット67が螺合しており、この第3の固定用ナット67が締め込まれることによって第2のインナディスク9に固定されている。第3の固定用ナット67と第2の戻しばね65との間にはばね受け板68が設けられている。
この実施の形態においては、インナディスク位置調整ボルト55と第4の固定用ナット71とが本発明でいう「第2の規制部材」に相当する。
第3の保持部45は、図3および図4に示すように、サイドプレート5の外周部に立てて設けられたアウタディスク位置調整ボルト27と、このアウタディスク位置調整ボルト27が移動自在に貫通する状態でサイドプレート5とアウタディスク8との間に設けられた第3の戻しばね72とを有している。
アウタディスク位置調整ボルト27は、モータ軸4の軸線方向に延びる状態で一端部がサイドプレート5の3箇所の第2のねじ孔25にそれぞれ螺着されている。このため、第3の保持部45は、3本のアウタディスク位置調整ボルト27と、3個の第3の戻しばね72とを有している。
アウタディスク位置調整ボルト27の他端側であって頭部27aを除く他の部分は、アウタディスク8に穿設されたボルト挿通孔76に移動自在に挿通されている。この実施の形態において、アウタディスク位置調整ボルト27の頭部27aは、このアウタディスク位置調整ボルト27の抜け止めとして機能している。
第3の戻しばね72は、本発明でいう「第3のばね部材」に相当するものである。この第3の戻しばね72は、圧縮コイルばねからなり、アウタディスク8の下面と第5の固定用ナット74側のばね受け板75との間に圧縮された状態で配置されている。このため、第3の戻しばね72は、アウタディスク8を第2の方向に付勢している。
このため、サイドプレート5と隣り合う第1のインナディスク7を中立位置に位置付けるにあたってシム59やリング60を厚みの異なるものに交換したり、リング60とハブ12との間隔を変えることによって、正確にかつ簡単に行うことができる。
このため、インナディスク位置調整ボルト55の全長あるいは第4の固定用ナット71の位置を変えることによって、一対の第1および第2のインナディスク7,9のうち、一方の第1のインナディスク7に対する他方の第2のインナディスク9の位置を調整することができる。したがって、この実施の形態によれば、第2のインナディスク9を中立位置に位置付けるにあたって、正確にかつ簡単に行うことができる。
このため、アウタディスク位置調整ボルト27の全長あるいは頭部27aの位置を変えることによって、サイドプレート5に対するアウタディスク8の位置を調整することができる。したがって、この実施の形態によれば、アウタディスク8を中立位置に位置付けるにあたって、正確にかつ簡単に行うことができる。
本発明に係る多板式無励磁作動ブレーキ1は、図5〜図8に示すように構成することができる。図5〜図8において、図1〜図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図5〜図8に示す多板式無励磁作動ブレーキ81は、縦型モータ2の下端側に位置するリアハウジング3の下面に装着されている。この多板式無励磁作動ブレーキ81は、第1の実施の形態で示した多板式無励磁作動ブレーキ1とは、リアハウジング3に取付ける際の方向が上下逆になっていることにおいて異なり、その他の構成において一致している。
図5〜図8に示すように構成した場合であっても第1の実施の形態を採るときと同等の効果が得られる。
第1の規制部材の第1のストッパーは、図9に示すように構成することができる。図9において、図1〜図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図7に示す連結部材51は、第2の方向への移動を規制するためにストッパプレート82と調整ボルト83とを備えている。ストッパプレート82は円環状に形成され、連結部材51の板状部51aとハブ12との間に配置されて中空部内にモータ軸4が通された状態で、板状部51aに固定用ボルト84によって固定されている。調整ボルト83と固定用ボルト84は、板状部51aの周方向において、図示していない3本の支持ボルト61を挟む位置にそれぞれ設けられている。このため、この実施の形態による板状部51aには、3本の支持ボルト61と、3本の調整ボルト83と、3本の固定用ボルト84とが設けられている。
調整ボルト83は、ストッパプレート82と板状部51aとの間の間隔を調整するためのもので、板状部51aのねじ孔87に螺合しており、先端がストッパプレート82に接触した状態で固定用ナット88によって板状部51aに固定されている。
このため、この実施の形態によれば、ストッパプレート82とハブ12との間の第5の隙間g5の幅を簡単かつ正確に調整することができる。
上述した第1および第2の実施の形態を採るにあたり使用する連結部材51は、図10に示すように構成することができる。
図10に示す連結部材51は、円環状の板状部51aと、この板状部51aの外周部分から第1のインナディスク7(図示せず)に向けて延びる複数の連結部91とによって構成されている。
連結部材51をこのように構成したとしても、上述した実施の形態と同等の効果が得られる。
Claims (4)
- 被制動物となる回転体と、
前記回転体に対して軸線方向への移動が許容された状態で前記回転体と一体に回転する複数のインナディスクと、
互いに隣り合う一対の前記インナディスクどうしの間に配置され、前記回転体の回転方向への回転が規制された状態で前記回転体に対する前記軸線方向への移動が許容されたアウタディスクと、
前記複数のインナディスクと前記アウタディスクとからなる制動部に前記軸線方向の一端側から対向する位置に配置され、前記回転体の回転方向への回転が規制されるとともに前記回転体に対する前記軸線方向への移動が許容されたアーマチュアと、
前記制動部に前記軸線方向の他端側から対向する位置に配置され、前記回転体の回転方向への回転および前記回転体に対する前記軸線方向への移動が規制されたサイドプレートと、
前記アーマチュアを前記制動部に接近する方向である第1の方向へ付勢する制動ばねと、
通電状態と非通電状態とが切り換えられる電磁コイルを有し、この電磁コイルに通電されることにより前記アーマチュアが前記第1の方向とは反対方向である第2の方向へ吸引されて前記制動部から離れて吸着されるフィールドコアと、
前記電磁コイルに通電されている状態で前記インナディスクを前記アウタディスク、前記サイドプレートおよびアーマチュアに接触することがない中立位置に保持する中立機構とを備え、
前記中立機構は、
前記サイドプレートと隣り合う前記インナディスクに固定された連結部材と、
この連結部材を前記第2の方向へ付勢する第1のばね部材と、
前記連結部材の前記第1の方向への移動を許容するとともに前記第2の方向への移動を所定の位置で規制する第1の規制部材と、
互いに隣り合う一対の前記インナディスクどうしの間に設けられ、これらのインナディスクを間隔が拡がる方向へ付勢する第2のばね部材と、
前記第2のばね部材によって付勢される一対のインナディスクの間隔が狭くなる方向への移動を許容するとともに、これらのインナディスクの間隔が拡がる方向への移動を予め定めた間隔で規制する第2の規制部材と、
前記アウタディスクを前記第2の方向へ付勢する第3のばね部材と、
前記アウタディスクの前記第1の方向への移動を許容するとともに、前記第2の方向への移動を所定の位置で規制する第3の規制部材とを備えている多板式無励磁作動ブレーキ。 - 請求項1記載の多板式無励磁作動ブレーキにおいて、
前記回転体は、円筒状に形成され、
前記連結部材は、前記回転体の軸端面と対向する板状部を有し、
前記第1の規制部材は、
一端部が前記回転体の軸端部に固定されるとともに他端部が前記板状部を移動自在に貫通する状態で前記第1の方向に延びる第1のロッドと、
前記板状部における前記回転体の軸端面と対向する位置に取付けられた第1のストッパーとを有していることを特徴とする多板式無励磁作動ブレーキ。 - 請求項1または請求項2記載の多板式無励磁作動ブレーキにおいて、
前記第2の規制部材は、
前記軸線方向に延びる状態で一端部が前記一対のインナディスクのうち一方のインナディスクに螺着され、他端側が他方のインナディスクを移動自在に貫通するボルトからなる第2のロッドと、
前記第2のロッドにおける前記他方のインナディスクから突出した他端部に設けられて前記第2のロッドの抜け止めとなる第2のストッパーとを有していることを特徴とする多板式無励磁作動ブレーキ。 - 請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の多板式無励磁作動ブレーキにおいて、
前記第3の規制部材は、
前記軸線方向に延びる状態で一端部が前記アウタディスクと前記サイドプレートとのうちいずれか一方の部材に螺着され、他端側が他方の部材を移動自在に貫通するボルトからなる第3のロッドと、
前記第3のロッドにおける前記他方の部材から突出した他端部に設けられて前記第3のロッドの抜け止めとなる第3のストッパーとを有していることを特徴とする多板式無励磁作動ブレーキ。
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