JP6814301B2 - 電子銃および電子ビーム応用装置 - Google Patents
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Description
本発明は、電子顕微鏡をはじめとした電子線ビーム応用装置に用いるための電子銃、またはその電子銃を搭載した電子ビーム応用装置に関する。
微細な構造の可視化には走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)が広く用いられている。SEMは金属などの材料の形態観察や生体試料の微細な形状や形態の観察の他、半導体微細パターンの寸法検査や欠陥検査等にも用いられている。SEMでは、電子線を測定試料に照射しながら走査し、測定試料から放出される信号電子(二次電子及び/または反射電子)を検出することで走査像(SEM像)を得る。
SEM像の像質を決めるのは、主に像のざらつきと像のシャープネスの2点である。SEMでは電子銃から放射される電子ビームを収束レンズによりスポット状に収束させているが、像のざらつきは収束ビームの電流量に依存し、像のシャープネスは試料上に収束するスポットの大きさ(以下、スポット径という)に依存する。
スポット径は、電子ビームの光源の大きさと収束レンズで発生する収差に依存する。光源の大きさは電子源によって決まるので、電子照射系としては収束レンズの収差をいかに小さくするかが課題となる。収差とは、収束レンズの収束点で電子ビームが完全に一点に収束しない現象をいう。一般的なSEMの電子照射系を図1に示す。電子源101から引出電極102により電子が引き出され、加速電極103により所望の速度まで電子が加速されることにより、電子ビームが放出される。この電子ビームは、制御コイル104及び磁路105により形成される制御磁場レンズ106と、対物コイル107及び磁路108により形成される対物磁場レンズ109とを用いて、試料上に収束される。また、制御レンズ106と対物レンズ109との間には絞り111が設置されている。収束点112から発散する電子ビームの一部115は絞り111を通過することができず、試料に向けて照射される電子ビームはビーム取り込み角110に制限されている。
このようなSEMの電子照射系において、制御レンズ106、対物レンズ109のそれぞれにおいて電子ビームを収束させる際に収差が発生する。非特許文献1に示されるように、対物レンズ109の収束角113が大きくなるほど、対物レンズ109の収差は大きくなる。一方、対物レンズ109の収束角113が大きいと対物レンズ109の倍率は小さく、対物レンズ109の収束角113が小さいと対物レンズ109の倍率は大きい。このため、前段の制御レンズ106で生じた収差は、対物レンズ109の収束角113が小さいほど、より大きく投影されることになる。結果として、図1のような電子照射系では、制御レンズ106、対物レンズ109それぞれのレンズの収差及び対物レンズ109の倍率から、収差の影響を最小にする、すなわち最小のスポット径を与える最適な収束角となる条件が存在する。
なお、図1の電子照射系では説明の簡略化のため、レンズはそれぞれ制御レンズ、対物レンズとして2つの磁場レンズを使用した例を示したが、2つ以上のレンズを使ったり、また静電レンズを組み合わせたりすることは一般的である。また、図1の電子ビームにおいては制御レンズ106により収束点112を形成しているが、形成しない照射系もある。
SEM像の像質を高めるためには、電子照射系において最小のスポット径を与える条件において電流量を大きくとるようにすればよい。電流量を増やす1つの方法が、ビーム取り込み角110を大きくすることである。ビーム取り込み角110を大きくすることにより、より多くの電子が絞り111を通過することになり、電流量は増大する。このためには、制御レンズ106によって収束点112の位置を絞り111方向に制御することにより取り込み角110を大きくすることができる。このように制御した電子ビームの収束経路を図2Aに示す。収束点が収束点112aである場合には、電子ビームは経路120(点線)により試料上に収束する。一方、収束点が収束点112bである場合には電子ビームは経路121(実線)により試料上に収束する。このように、収束点112aから収束点112bに移動させることにより、ビーム取り込み角は大きくすることができるが、同時に収束角113も増加し、対物レンズ109で発生する収差が大きくなる。このことは、像のざらつきを抑えるために電流量を増加させようとすると、スポット径が増大し像のシャープネスが劣化してしまうことを意味する。
この問題を解決するため制御レンズ106を電子源101に近づける方法が知られている。図2Bを用いて説明する。図2Aで説明したように、収束点が収束点112bである場合には電子ビームは経路121(点線)により試料上に収束する。これに対して、制御レンズ106を電子源101に近づけることで、広げたビーム取り込み角110を維持したまま、収束点をより電子源側の収束点112cに移動させることができ、収束角113を小さくすることができる。このときの電子ビームを経路122(実線)として示す。
特許文献1〜3はそれぞれ磁場レンズを一体化して構成する電子銃を開示する。また、特許文献4は、コンデンサレンズの磁場が熱電界放出電極を構成する陰極、抽出電極、陽極上に重畳されるように構成される粒子線装置を開示する。
L. Reimer, Scanning electron microscopy physics of image formation and microanalysis 2nd edition, Springer, (1998), p.21-34
J. Orloff, Handbook of Charged Particle Optics, CRC Press, New York (1997), p.275-318
特許文献3では電子源自体を電磁レンズが発生する磁場に浸漬し、また特許文献1、特許文献2では引出電極と加速電極の中間段に磁場レンズを生成する構成を開示する。特許文献3の構成あるいは特許文献2における引出電極と加速電極の間に磁場レンズのコイルを設置する構成のように、電子源と磁場発生源とを近接配置する場合には電子銃の真空立ち上げ時に磁場発生源を取り外す構造とならざるを得ない。電子銃を超高真空にするためには200℃程度まで昇温ベーキングする必要があるが、電磁コイルは熱に弱いため、ベーキングのたびにコイルを取り外す必要がある。コイルを取り外すたびに設置状況が変化するため、電子銃の安定動作には不向きとなる。
これに対し、特許文献1、特許文献2では、電子銃内に固定された電極を磁性体とすることで、電極をレンズの磁路としても兼用することで、電磁コイルを電子源から離れた位置に配置する構成を開示する。しかし、この場合は電極が磁路を兼ねることにより、電場と磁場で発生するレンズの軸をそれぞれ単独に調整することができない。軸ずれは収束点のずれ即ちスポット径の増大を引き起こし、像のシャープネスを劣化させるおそれがある。
このような軸ずれを起こさないようにするためには、電場と磁場を独立に調整できればよい。特許文献4は磁場を導く磁路と電極とを別の構造体で形成し、さらに磁場を導く磁路を電子源側に向けた構造例を開示する。しかし、このような構造もまた像のシャープネスの劣化を引き起こすおそれを有する。図2Cを用いて本発明の課題を説明する。
第1の磁路構造では、図1に示した電子照射系と同じく、制御電磁レンズを発生させる磁路105は電子ビームの光軸に向かって開口されている。これに対して、第2の磁路構造では、制御電磁レンズを発生させる磁路201は電子源101に向かって開口されている。なお、磁路201は電子源101とともに光軸に向かうように(すなわち、斜め上に向かって)開口されているが、この形状に限定されるものではない。それぞれの磁路構造における軸上磁場計算結果を軸上磁場分布210に示す。第1の磁路構造による磁場分布は破線211であり、第2の磁路構造による磁場分布は実線212である。コイルの位置は同じであっても磁路の形状を変えることで、磁場のピークを電子源側に移動させることができる。
ここで、軸上磁場分布210に示されるように、第1の磁路構造では電子源位置の磁場はほぼ0であるが、第2の磁路構造では電子源位置まで磁場が広がってしまっていることがわかる。このように、電子源が電磁レンズで発生した磁場に浸漬してしまうことで新たな課題が生ずる。電子源が磁場に浸漬していると、電子が電子源から引き出された直後の低速な状態から磁場の影響を受け始めることにより、電子源近傍の電子密度が高い状態での滞在時間が増えてしまい、電子間の静電反発力の影響が大きくなる。非特許文献2に示されるように、電子間の静電反発力の影響を長く受け続けることによって電子の持つエネルギーバラつきが大きくなり、電子ビームが一点で収束されにくくなる(色収差とよばれる)とともに、光源が大きくなるという現象が生じる。このような色収差の増加、及び光源が大きくなることは、像のシャープネスの劣化を生じさせることになる。
上記課題を解決する一実施形態としての電子銃は、電子源と、電子源から電子を引き出す引出電極と、電子源から引き出された電子を加速させる加速電極と、加速電極から放出される電子ビームを収束させる制御レンズを形成する第1コイル及び電子源側に開口を有する第1磁路と、電子源の設置位置における第1コイル及び第1磁路により発生される磁場を打ち消すための磁場発生源を有する。または、かかる電子銃を搭載する電子ビーム応用装置である。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかにされる。
試料に照射するプローブ電流を大きくしても、試料上に収束するビームのスポット径を小さく維持できる結果として、ざらつきが少なくシャープネスの高いSEM像を得ることができる。また、プローブ電流の増加により、撮像の高速化も可能となる。
図3に、実施例1に係る電子銃300の模式図とその軸上磁場分布310とを示す。電子銃300は電子源101、引出電極102、加速電極103、制御レンズを形成するためのコイル104と磁路201、磁場打消し用のコイル301と磁路302を有する。
まず、この制御レンズ用コイル104は加速電極103よりも下側に配置されているので、電子銃ベーキングの際に取り外す必要がなく、電子銃の真空立ち上げがコイル着脱式の電子銃よりも簡便である。また、コイル104及び磁路105は電界を発生させる引出電極102および加速電極103とは独立して物理位置を調整可能であるため、電場によるレンズの軸と磁場によるレンズの軸とを独立して調整することができ、軸ずれによる像シャープネス劣化への影響を小さくすることができる。
また、図2Cの第2の磁路構造と同様に、大電流を取得するため、電子銃300では磁路201の開口を電子源側に向けて、磁場のピークを電子源寄りに形成している。このため電子源が磁場に浸漬してしまうのは前述の通りである。そこで、電子銃300ではコイル104とは逆向きの磁場を発生させる打消しコイル301をコイル104よりも上流に(電子源側に)設置する。打消しコイル301が発生する磁場はコイル104によって発生した磁場の裾を打ち消すことができればよいので、打消しコイル301の作る磁場はコイル104の作る磁場よりも空間的に広がっていてよい。そのため、打消しコイル301によって発生した磁場を導く磁路302は軸近傍にある必要はなく、打消しコイル301の径をコイル104の径よりも大きくとることができる。したがって、電子銃ベーキングの際に取り外す必要のない場所に設置することができる。例えば、打消しコイル301および磁路302は真空カラム内に設置する必要はなく、真空カラムの外側に設置することもできる。
軸上磁場分布310には、コイル104、磁路105の作った制御コイル磁場311(破線)と打消しコイル301、磁路302で作った打消しコイル磁場312(点線)を計算した結果を示している。実線はこれらの磁場を合成した合成磁場313である。制御コイルによって発生した磁場311と打消しコイルによって発生した磁場312とが合成されることで、制御コイル104によって発生した電子源近傍の磁場が打消しコイル301によって発生した磁場によって打ち消され、電子源近傍の磁場を小さくすることができる。これにより、静電反発力の増加による像シャープネス劣化を抑えることができ、大電流を取得した場合の像シャープネス劣化を最大20%抑制することができる。
なお、図3の例では打消しコイル301の配置は電子源位置としているが、上下(光軸)方向にずれていても構わない。その場合は電子源位置に打消しコイル301が発生する磁場のピーク位置が来るように磁路302の開口方向を調整することが望ましい。また、不要な磁場を発生させないためにも打消しコイル301の発生させる磁場はコイル104によって発生した磁場の裾を打ち消す最小限とすることが望ましい。ここで、巻線コイルにより発生させる磁場は、コイル巻数とコイルに流す電流の積に比例し、コイルの径に反比例する。そこで、さらに打消しコイル301のコイル巻数とコイルに流す電流の積をコイル104のコイル巻数とコイルに流す電流の積よりも小さくして、打消しコイル301の発生させる磁場を小さくする。
また、図3の例では打ち消し用の磁場を発生させるためにコイルを用いたが、制御コイル104と逆向きの磁場を生じさせる磁場発生源として永久磁石を用いることもできる。ただし、打消しコイル301を用いた方が、制御コイル104の磁場の大きさに合わせて発生する磁場の大きさを精度よく発生させられる利点がある。
図4に、実施例2に係る電子銃400の模式図とその軸上磁場分布410とを示す。引出電極102より下流に磁性体からなる磁気シールドを設置し電子源の磁場への浸漬を防ぐ。磁気シールド401は、中央部に電子ビームを通過させるための開口を有する磁性体の円盤である。軸上磁場分布410には、磁気シールド401を設置しない場合の軸上磁場411と磁気シールド401を設置した場合の軸上磁場412を計算した結果を示している。磁気シールド401を設置することで電子源近傍の磁場を小さくすることができる。
なお、より構造を簡便化するために、新たに磁気シールドを設置するのではなく、引出電極102自体を磁性体とし、磁気シールドとして活用することもできる。このような構成であっても電子源が磁場に浸漬することを抑制できる。
図5に、実施例3に係る電子銃500の模式図とその軸上電位分布510とを示す。実施例3では中間電極を活用することで、制御レンズを実効的により電子源に近づけることを可能にする。磁場レンズでは、磁路の形状により磁場の形、コイルの巻き数、電流量により磁場の大きさが決まるため、レンズの形状を変えるには磁路の形状を変える必要がある。しかし、電子の進行方向は磁場と電場によって制御されるため、同じ磁場の形と大きさであっても、電子の速度が違えばその影響は異なる。すなわち、同じ磁場レンズであっても、収束作用を受ける電子の速度が速いほど、収束が遅くなり、収束点がレンズ主面より遠くなる。逆に、収束作用を受ける電子の速度が遅いほど、収束が早くなり、収束点がレンズ主面に近づく。
したがって、電子銃500では電子の収束を早くし、制御レンズの主面を電子源に近づけるため、引出電極102と加速電極103の間に中間電極501を設置し、その中間電極501の電位を制御する。制御に必要な電圧の条件を以下に説明する。軸上電位分布510において、中間電極がない場合の電位分布(模式図)511を点線にて示している。引出電極102と加速電極103との間は真空であるため、電位勾配はほぼ一定となる。ここで、中間電極501を設置し、(数1)で決まる電位に制御する。
電圧Vextは引出電極102に印加する電圧、電圧Vaccは加速電極103に印加する電圧、電圧Vmidは中間電極501に印加する電圧であり、それぞれ電子源を基準とした電位としてあらわす。距離d1は引出電極102と中間電極501との間の距離、距離d2は中間電極501と加速電極103との間の距離である。(数1)に示す電位に制御することで、電位勾配は軸上電位分布510の実線512に示すように変化し、引出電極102から加速電極103までの空間において、より引出電極102に近い側の電子の速度を遅くすることができる。このように中間電極501の電位を制御することで、より早い段階で電子が収束する軌道を取ることができる、即ち制御レンズの実効的な主面を電子源に近づけることができる。
像のシャープネスを劣化させないためには、コイル104と磁路201によって生成する磁場の電子源101近傍における大きさを抑制する必要がある。そのため、実施例1または実施例2の構成と組み合わせることが有効である。さらに、実施例2と組み合わせる場合の例として、中間電極501を磁性体とすることで、制御コイル104によって発生する磁場から電子源をシールドするための構造を兼ねさせることができる。
実施例4として、以上に説明した電子銃を搭載した電子ビーム応用装置について説明する。
図6に実施例1で述べた電子銃300を搭載した走査電子顕微鏡の構成例を示す。電子源101、引出電極102、加速電極103、制御レンズを形成するためのコイル104と磁路201、磁場打消し用のコイル301と磁路302を有する電子銃から放出される電子ビームを、絞り601にて制限し、対物コイル602で発生させた磁場を用いる対物レンズにより電子ビーム603を試料604上で収束させる。偏向器605を用いて収束したビームを試料上にスキャンしながら、検出器607を用いて、試料604から放出される二次電子606を検出することで走査電子顕微鏡像を得る。なお、図6では実施例1の電子銃を用いて説明したが、実施例2、実施例3、またはそれらの組み合わせである電子銃も同様に用いることができる。これにより、像のざらつきが小さく、シャープネスの高い電子顕微鏡像が得られる走査電子顕微鏡を実現できる。
図7は電子エネルギー測定装置の構成を示す図である。図7においても電子銃200を搭載した例を示している。電子線を試料604に照射するための基本構成は図6と同じであり、電子源101、引出電極102、加速電極103、制御レンズを形成するためのコイル104と磁路201、磁場打消し用のコイル301と磁路302を有する電子銃から発せられるビームを、絞り601にて制限し、対物コイル602で発生させた磁場を用いる対物レンズにより電子ビーム603を試料604上で収束させる。偏向器605を用いて収束したビームを試料上にスキャンしながら、試料604から放出される二次電子606のエネルギー分布をエネルギーアナライザ701により測定する。かかる構成により、オージェ分光装置、電子線エネルギー損失分光装置として測定を行うことができる。
図8は電子線回折パターン測定装置の構成を示す図である。図8においても電子銃200を搭載した例を示している。電子線を試料604に照射するための基本構成は図6と同じであり、電子源101、引出電極102、加速電極103、制御レンズを形成するためのコイル104と磁路201、磁場打消し用のコイル301と磁路302からなる電子銃から発せられるビームを、絞り601にて制限し、対物コイル602で発生させた磁場を用いる対物レンズにより電子ビーム603を試料604上で収束させる。偏向器605を用いて収束したビームを試料上にスキャンしながら、試料604から放出される二次電子606の干渉パターン801を二次元に配置した検出器802を用いて測定することで、後方散乱電子回折装置として測定を行うことができる。
なお、図7、図8の構成においても、実施例1、実施例2、実施例3、またはそれらの組み合わせである電子銃を用いることもできる。これにより、高いシグナルノイズ比と高い空間分解能を両立した電子線ビーム応用分析が可能となる。また、高速な測定と高い空間分解能を両立した分析が可能となり、分析時間を20%程度短縮可能である。
101:電子源、102:引出電極、103:加速電極、104:制御コイル、105:磁路、106:制御レンズ、107:対物コイル、108:磁路、109:対物レンズ、111:絞り、201:磁路、300, 400, 500:電子銃、301:磁場打消し用コイル、302:磁路、401:磁気シールド、501:中間電極、601:絞り、602:対物コイル、604:試料、605:偏向器、606:二次電子、607:検出器、701:エネルギーアナライザ、802:二次元に配置した検出器。
Claims (15)
- 電子源と、
前記電子源から電子を引き出す引出電極と、
前記電子源から引き出された電子を加速させる加速電極と、
前記加速電極から放出される電子ビームを収束させる制御レンズを形成する第1コイル及び前記電子源側に開口を有する第1磁路と、
前記電子源の設置位置における前記第1コイル及び前記第1磁路により発生される磁場を打ち消すための磁場発生源とを有する電子銃。 - 請求項1において、
前記磁場発生源は、前記第1コイル及び前記第1磁路よりも前記電子源側に配置される電子銃。 - 請求項2において、
前記磁場発生源は、第2コイル及び第2磁路を有し、
前記第2コイルの径は前記第1コイルの径よりも大きくされる電子銃。 - 請求項3において、
前記第2コイルのコイル巻数とコイルに流す電流の積は、前記第1コイルのコイル巻数とコイルに流す電流の積よりも小さい電子銃。 - 請求項2において、
前記磁場発生源は、永久磁石である電子銃。 - 電子源と、
前記電子源から電子を引き出す引出電極と、
前記電子源から引き出された電子を加速させる加速電極と、
前記加速電極から放出される電子ビームを収束させる制御レンズを形成する第1コイル及び前記電子源側に開口を有する第1磁路と、
前記引出電極と前記加速電極との間に設けられた磁気シールドとを有する電子銃。 - 請求項7において、
前記磁気シールドに代えて、前記引出電極を磁性体で構成する電子銃。 - 請求項10において、
前記電子源の設置位置における前記第1コイル及び前記第1磁路により発生される磁場を打ち消すための磁場発生源を有する電子銃。 - 請求項10において、
前記中間電極を磁性体で構成する電子銃。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子銃と、
前記電子銃から放出される電子ビームを制限する絞りと、
前記電子ビームを試料上にスキャンする偏向器と、
前記電子ビームを試料上に収束させる対物レンズと、
前記電子ビームを照射した試料から発生する電子を検出する検出器とを有する電子ビーム応用装置。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子銃と、
前記電子銃から放出される電子ビームを制限する絞りと、
前記電子ビームを試料上にスキャンする偏向器と、
前記電子ビームを試料上に収束させる対物レンズと、
前記電子ビームを照射した試料から発生する電子のエネルギー分布を測定するエネルギーアナライザとを有する電子ビーム応用装置。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子銃と、
前記電子銃から放出される電子ビームを制限する絞りと、
前記電子ビームを試料上にスキャンする偏向器と、
前記電子ビームを試料上に収束させる対物レンズと、
前記電子ビームを照射した試料から発生する電子の干渉パターンを測定する二次元に配置した検出器とを有する電子ビーム応用装置。
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
PCT/JP2017/032276 WO2019049261A1 (ja) | 2017-09-07 | 2017-09-07 | 電子銃および電子ビーム応用装置 |
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