JP6239260B2 - 透過電子顕微鏡 - Google Patents

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本発明は、対物レンズの球面収差を補正する収差補正器を備えた透過電子顕微鏡に関する。
透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)は電子源から引き出した電子を高電圧で加速し、観察対象物質に照射し、透過させ、電磁レンズを用いて拡大・結像させることによって高い倍率の観察像を得る装置である。観察対象である試料は試料ホルダに取り付けられ、微動可能なゴニオメータによって観察位置を変えることができる。試料に照射し、透過する電子線は、試料内部の静電ポテンシャルによって位相変調を受け、散乱される電子と散乱せずに透過する電子に分かれる。対物レンズによって、散乱した電子と非散乱電子を再び集め、互いに干渉させる。干渉する電子間の位相差をフォーカス量の調整や位相変調器などによって最適化するとともに、複数段の投射レンズ系によって拡大し、フィルムやカメラなどの像検出系によって検出することで位相コントラストのある像が得られる。
TEMの空間分解能は対物レンズの収差によって制限されていることが多い。対物レンズは一般に磁界レンズであり、磁場が強いほど球面収差や色収差は小さくなる傾向がある。このとき磁界レンズの焦点距離は短くなるため、高い分解能で観察を行う場合には試料は対物レンズ磁場中に置かれることになる。対物レンズ中の磁場の大きさは1テスラを超えることがある。
空間分解能を高めるためには、対物レンズの球面収差を小さくする必要がある。対物レンズによって作られる磁場が電子線光軸に対して回転対称であると、球面収差係数の大きさが下限を持つため、空間分解能が制限され、略0.1nm以下の空間分解能が得られない。この課題は、たとえば、特許文献1に示された球面収差補正器を搭載することによって解決され、0.1nm以下の空間分解能が実現されている。特許文献1の球面収差補正器では、2組の多極子と伝達レンズの組み合わせによって負の球面収差を発生させ、対物レンズの球面収差を打ち消すとともに、他の開口収差の発生を抑えている。球面収差補正器が搭載されたTEMでは、試料を透過し対物レンズを通過した電子線が球面収差補正器に入射して球面収差が補正される。すなわち、対物レンズは電子源と球面収差補正器の間に設置される。球面収差が補正されると、空間分解能を制限する要因のひとつは対物レンズの色収差である。色収差は焦点距離が長くなるほど一般には大きくなる。
試料を透過する電子は、試料が作る磁場によっても散乱される。この散乱を捕らえると試料に関する磁気的な情報を得ることができ、このような観察法はローレンツ法と呼ばれている。試料内外の磁気的な情報は外部から磁場を加えると変化することが多く、試料の磁気情報の検出のためには試料へ外部磁場が影響しない状態で行うことが必要である。そのため観察試料は、対物レンズ磁場から十分離れた位置に設置する必要がある。すると、レンズの焦点距離は長くなり、対物レンズの磁場は小さくなるため、球面収差が大きくなって分解能は低下する。ローレンツ観察においても球面収差補正器によって球面収差を小さくできるが、焦点距離が長いため色収差が分解能制限因子となる。
特許文献2には、試料を対物レンズ中に置いた場合と対物レンズ外に置いた場合に、対物レンズの焦点距離が変わっても球面収差が補正できる球面収差補正器が示されている。
なお、球面収差補正器は、走査型TEMにも適用されている。走査型TEMとは、電子源から引き出した電子を加速した後、電子線を収束して試料を照射、走査し、透過した電子線を信号として検出することで像を得る装置である。この場合、電子線は、球面収差補正器で負の収差を作った後、対物レンズに入射し、全体として球面収差が補正される。したがって、対物レンズは球面収差補正器に対して電子源とは反対側に設置されることになる。特許文献3には、1つの球面収差補正器を、TEM、および走査型TEM(STEM)のために共用する発明が開示されている。
特表2002−510431号公報 特開2009−224067号公報 国際公開第2012/014870号公報
発明者等は、TEMにおいて、試料を対物レンズ磁場中に置く観察と試料を対物レンズ外に置くローレンツ観察を両立することができればTEMの機能が拡大すると考えた。例えば、試料を、1つの対物レンズの磁場中位置、および対物レンズの磁場の影響がない位置にそれぞれ設置すると、球面収差の補正された観察として、試料に磁場が印加される高分解能観察、および試料に磁場が印加されないローレンツ法による観察が実現される。そこで発明者等は、電子源、対物レンズ、球面収差補正器の順に配置され、対物レンズの球面収差が補正されるTEMにおいて、対物レンズ中に試料を置く観察と対物レンズ磁場から離れた位置に試料をおくローレンツ観察を両立させるために、図1(a)及び図1(b)に示す新規な構成について検討した。
図1(a)は、収差補正された対物レンズ109aによりローレンツ観察を行うための試料面106、および傾斜照明のための偏向器105の配置を示す。対物レンズ109aの磁場中の試料面108に置かれた試料の観察のためには、電子線102の傾斜を行う偏向器105は対物レンズ109a直上に設置される。これは、偏向器105によって傾斜される電子線121bの傾斜角122bを収差補正機の調整に必要な角だけ大きく取るためである。試料ゴニオメータおよび試料ホルダは、磁場中に試料が保持されるように設置される。ローレンツ観察を行うために、磁場の影響のない位置(ローレンツ試料位置106)に試料を置く場合、新たなゴニオメータおよび試料ホルダが対物レンズ109aの上方に設置される。この場合、試料は、試料が磁場中に置かれる観察のために設置された偏向器105の長さだけ対物レンズ109aから離した位置に置く必要がある。試料位置106を対物レンズから離して設置すると、色収差が大きくなり、高い空間分解能が得られない。なお、符号103はコンデンサレンズ、符号112は球面収差補正を含む開口収差補正器、符号113は拡大レンズ系、符号114は像面、符号123aと123bは試料で散乱された電子の軌跡を示す。
そこで、高い空間分解能を得るため、図1(b)に示すように、偏向器104をローレンツ試料位置106より上方に対物レンズ109aから離して設置することも考えられるが、偏向器104が対物レンズ109aから離して設置されることになるため、特に高い加速電圧の電子線の場合には、必要な電子線傾斜角122aが実現できなくなる。なお、符号121aは偏向器104により試料面108に傾斜照明する電子軌道である。
図2に、球面収差が補正された加速電圧1000kVの超高圧電子顕微鏡において、ローレンツ試料位置を対物レンズ主面から55mm離して試料を置いた場合と、偏向器の長さ分だけ離して180mm離して設置した場合のローレンツ観察における位相コントラスト伝達関数の変調関数を示す。変調関数の値が0.135に減衰(閾値レベル)した地点を空間分解能と定義すると、分解能の値は0.18nmから0.35nmに低下することがわかる。これは、ローレンツ観察における対物レンズの焦点距離が長くなるため、色収差が大きくなったためである。
以上、本発明者等の検討によれば、電子源、対物レンズ、球面収差補正器の順に配置され、対物レンズの球面収差が補正されるTEMにおいて、対物レンズ中に試料を置く観察と対物レンズ磁場から離れた位置に試料をおくローレンツ観察を両立させる場合には上述した課題のあることが分かった。
本発明の目的は、球面収差など対物レンズの開口収差を補正する収差補正器を備えた透過電子顕微鏡において、開口収差が補正された対物レンズのレンズ磁場中に試料を置く観察と、開口収差が補正された対物レンズ磁場の外に試料を置くローレンツ観察を両立し、かつローレンツ観察の空間分解能を高めることのできる透過電子顕微鏡を提供することにある。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上
記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、電子源と、対物レ
ンズと、前記対物レンズの球面収差を補正する収差補正器とを備えた透過電子顕微鏡であ
って、
前記対物レンズは、前記電子源と前記収差補正器との間に配置された第1対物レンズと
第2対物レンズとを含み、
前記第1対物レンズの上流側の実質的に前記第1対物レンズの磁場の影響のない位置には第1試料を保持する第1試料ホルダが配置され、
前記第2対物レンズの上流側には偏向器が、前記第2対物レンズの磁場内となる領域に
は第2試料を保持する第2試料ホルダが配置されることを特徴とする透過電子顕微鏡とす
る。
本発明によれば、球面収差など対物レンズの開口収差を補正する収差補正器を備えた透過電子顕微鏡において、開口収差が補正された対物レンズのレンズ磁場中に試料を置く観察と、開口収差が補正された対物レンズ磁場の外に試料を置くローレンツ観察を両立し、かつローレンツ観察の空間分解能を高めることのできる透過電子顕微鏡を提供することができる。
発明者等が検討した透過電子顕微鏡の対物レンズ、収差補正器、偏向器の構成の例を説明するための断面図であり、(a)は対物レンズと偏向器の上部にローレンツ試料が配置される場合、(b)は対物レンズと偏向器との間にローレンツ試料が配置される場合を示す。 対物レンズに対する試料位置を変えた時の電子顕微鏡位相コントラスト伝達関数の変調関数を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る透過電子顕微鏡の対物レンズ、収差補正器、偏向器の構成の例を説明するための断面図である。 本発明の実施例に係る透過電子顕微鏡の概略全体構成を説明するための部分断面図である。
ローレンツ観察を行うための試料面106は、磁場の影響のない範囲で出来るだけ対物レンズに近い位置にする必要がある。なお、試料面108における磁場強度と比較して1%未満であれば磁場の影響がないと見なすことができる。
一方、球面収差補正を含む開口収差補正器は、電子線を大きな角度で傾斜して試料を照明し、いわゆるディフラクトグラムタブローを取得して光軸、補正強度を調整する必要がある。ディフラクトグラムとは、アモルファスの試料の観察像をフーリエ変換したものである。必要な傾斜角度(数10mrad)を得るため、高い加速電圧の電子顕微鏡の場合、電子線の傾斜を行う偏向器は試料の直近、電子線上流側に配置する必要がある。ここで「上流」は電子源のある方向とする。
そこで、発明者等は上記要件を満たすために、電子源に近い方から順に、第1偏向器、試料面106、第1対物レンズ、第2偏向器、第2対物レンズ(試料面108)、球面収差補正を含む開口収差補正器を配置する構成に思い至った。この構成とすることにより、試料面106と第1対物レンズが近いため高分解能が得られ、また、第2偏向器と第2対物レンズが近いため必要な電子線傾斜角を得ることができる。なお、球面収差補正を含む開口収差補正器は、第1の対物レンズ及び第2の対物レンズの球面収差を補正する。さらに、ゴニオメータに保持された試料を照射する電子線を傾斜させる手段を複数具備し、該電子ビームを傾斜させる手段の少なくとも1つは、該少なくとも2つの対物レンズ間に備える。
図3に対物レンズ、収差補正器、偏向器の構成の例を示す。図3に示すように、球面収差補正を含む開口収差補正器112を備えた透過電子顕微鏡において、球面収差等の開口収差を有する対物レンズを電子源101と球面収差補正を含む開口収差補正器112の間に2組設置し、その第1の対物レンズ107と第2の対物レンズ109のための第1の試料面106、および第2の試料面108に観察試料を置く。記載を省略しているが、試料を微動するために第1のゴニオメータと第2のゴニオメータを設置する。第1の対物レンズ107は、第2の対物レンズ109より電子源101に近い位置に設置する。
第2の試料面108は第2の対物レンズ109の中に試料が置かれるように配置する。これにより、第2の対物レンズ109によって試料が磁場中に置かれる観察が行える。第1の試料面106は第1の対物レンズ107の磁場の外に試料が置かれるよう配置される。これにより第1の対物レンズ107によってローレンツ観察が行える。第1の対物レンズ107によるローレンツ観察では、第2の対物レンズ109の励磁は行わず、その機能は実質的に無効とされる。第2の対物レンズ109による観察では、第1の対物レンズ107の励磁は行わず、その機能は実質的に無効とされる。球面収差補正を含む開口収差補正器112は、第1の対物レンズ107によって観察する場合は、第1の対物レンズ107の球面収差を補正し、一方、第2の対物レンズ109によって観察する場合は、第2の対物レンズ109の球面収差を補正する。
試料に電子線102を傾斜させて照射するための偏向器は、第2の対物レンズ109直近上流側と、第1の試料面106に置かれた試料の直近上流側にそれぞれ設置される。第2の対物レンズ109の球面収差を補正するときは、第2の偏向器105を用いて傾斜電子線を作って球面収差補正を含む開口収差補正器112を調整し、第1の対物レンズ107の球面収差を補正するときは、第1の偏向器104を用いて傾斜電子線を作って球面収差補正を含む収差補正器112を調整する。第2の偏向器105は第1の対物レンズ107と第2の対物レンズ109の間に設置される。なお、符号110は試料面106に置かれた試料により散乱された電子軌道、符号111は試料面108に置かれた試料により散乱された電子軌道である。
以上の構成によって、開口収差補正器112によって対物レンズの球面収差が補正された透過電子顕微鏡であって、試料を対物レンズ磁場中に置く観察と、試料を対物レンズ磁場の外に置くローレンツ観察が両立される。さらにローレンツ観察においては試料と対物レンズの間に偏向器を設置することなく距離を短くすることができるので、高い分解能実現が期待できる。また、試料を対物レンズ磁場中に置く観察のための第2の対物レンズの直近上流側に偏向器が設置できるので、対物レンズの球面収差補正を行う際に必要な偏向角が得られるようになる。
第2の偏向器105を第1の対物レンズ107と第2の対物レンズ109の間に設置することは以下の波及効果がある。第1の対物レンズ107により第1の試料面106に置いた試料のローレンツ観察を行う場合、第2の対物レンズは励磁を行わず実質的に機能を無効としている。第1の試料面106に置いた試料を透過した電子線は第1の対物レンズ107を通過した後、機能を無効にした第2の対物レンズ109中を通過することになる。第2の対物レンズ109に磁場が残留している場合、残留磁場によって電子線が変調を受ける可能性がある。第2の偏向器105を用いて、第2の対物レンズ109の残留磁場の光軸に電子線を通過させることができるので、第2の対物レンズ109の残留磁場による変調の影響を実質的に無効にすることができる。さらに、第2の偏向器105は、第1の対物レンズ107と球面収差補正を含む開口収差補正器112の光軸を合わせるためにも用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。
以下、本発明の実施例に係る透過電子顕微鏡について図4を用いて説明する。
図4は、本実施例に係る透過電子顕微鏡の概略全体構成図であり、電子源、コンデンサレンズ、対物レンズ、試料ゴニオメータ、傾斜照明のための偏向器、球面収差補正器、拡大レンズ、検出系、およびこれらの動作させるための高電圧源、電流源とその制御装置を含む構成例を示す。
電子源101に高電圧源201から電圧を印加して引き出され、加速された電子線は、コンデンサレンズ103によって、実質的に平行な電子線とされ、観察される試料106cもしくは試料108cを照射する。試料106cは対物レンズ107によって形成される磁場の実質的に外部に置かれ、試料に対物レンズ磁場が印加されない。試料108cは対物レンズ109によって形成される磁場中に置かれる。それぞれの試料は、試料ホルダ106b、もしくは108bに保持され、ゴニオメータ106aもしくは108aによって微動させられる。なお、位置を特定せず単に試料の観察だけ行うような場合には、必ずしもゴニオメータは必要ではなく、位置を変えたい試料に対してだけ備えればよい。
球面収差補正を含む開口収差補正器112は、対物レンズ107および対物レンズ109に対して、電子源101とは反対側に設置される。対物レンズ107によって試料106cを観察する場合には、球面収差補正を含む開口収差補正器112によって、対物レンズ107の球面収差が補正される。このとき、電流源206からの出力電流を遮断し、対物レンズ109の励磁は行わず、対物レンズ109の機能は実質的に無効とされる。一方、対物レンズ109によって試料108cを観察する場合には、球面収差補正を含む開口収差補正器112によって、対物レンズ109の球面収差が補正される。このとき、電流源204からの電流を遮断し、対物レンズ107の励磁は行わず、実質的にその機能は無効とされる。球面収差補正器を構成する多極子や伝達レンズ系の構成は、公知の構成を用いることができる。なお、符号100は電子顕微鏡筒、符号202〜208は電流源である。
試料を透過した電子線は対物レンズ107もしくは対物レンズ109、および球面収差補を含む開口収差補正器112を通過した後、拡大レンズ系113によって拡大され、略像面に置かれた検出系115によって像として検出される。検出手段は例えばCCDカメラを用いることができ、のぞき窓を備えた蛍光板を合わせて備えてもよい。これらの対物レンズや球面収差補正を含む開口収差補正器などの制御は制御装置210によって行われる。
観察試料を対物レンズの磁場中に置く観察の場合、球面収差補正を含む開口収差補正器の光軸、補正強度の調整のためには、偏向器105を用いる。試料108cは、例えばアモルファスタングステンを用いることができ、この試料108cに偏向器105によって約40mradで傾斜する電子線を作って照射する。傾斜方向は光軸に対して回転させる。傾斜方向を変えて得られたアモルファスタングステン像のフーリエ変換からディフラクトグラムタブローを形成し、球面収差補正を含む開口収差補正器112の調整を行う。加速電圧1000kVの電子線を試料108c上で傾斜角40mradの傾斜角として得るには、約60ターン、および約90ターンのコイルを、対物レンズのポールピースや磁路を避けるように試料上約100mmと70mmの位置に配置して偏向器105とし、約1アンペアの電流を流すことによって得ることができる。このとき、偏向器105により形成された傾斜角と対物レンズ試料前磁場による偏向角の合算が試料に対する傾斜角として得られる。対物レンズ109の光軸に電子線を通す調整のために、偏向器105以外に偏向器を別途設けてもよい。収差補正器調整のための電子線偏向角に比較して、対物レンズの光軸調整のための電子線偏向量は一般に小さく、偏向器105による大きな角度を偏向とはその傾斜制御量が異なるためである。
観察試料を対物レンズ107の磁場の外に置く観察の場合、球面収差補正を含む開口収差補正器112の光軸、補正強度の調整のためには、偏向器104を用いる。試料106cとして、たとえばアモルファスタングステン膜を用いることができ、偏向器104によって約10mradで傾斜照明する電子線を作って照射する。傾斜方向は光軸に対して回転させる。傾斜方向を変えて得られたアモルファス膜像のフーリエ変換からディフラクトグラムタブローを形成し、球面収差補正を含む開口収差補正器112の調整を行う。加速電圧1000kVの電子線を試料106c上で傾斜角10mradの傾斜角は、約30ターン、および約60ターンのコイルを、試料上約55mmと25mmの位置に配置して偏向器104とし、約1アンペアの電流を流すことによって得ることができる。対物レンズ107の光軸に電子線を通す調整のためには、偏向器104以外に独立に設けた偏向器を用いてもよい。
上記、対物レンズ107の収差を球面収差補正を含む開口収差補正器112によって補正する場合、対物レンズ107と球面収差補正を含む開口収差補正器112の間には、実質的に無効にされた対物レンズ109、および偏向器105が位置している。電流源206からの電流の供給を遮断することによって対物レンズの機能を無効化しているが、電流を完全に遮断しても、対物レンズ109を構成する磁石材料の残留磁化によって、対物レンズ109中の磁場の大きさは完全には0とみなせない場合がある。対物レンズ107の光軸と対物レンズ109の残留磁場の光軸が一致していない場合は、対物レンズ107の光軸を通過した電子線が対物レンズ109の残留磁界によって光軸に対して非対称な偏向作用を受けることになる。この非対称な偏向は対物レンズ109残留磁場の光軸に電子線を通過させることによって実質的に消失させることができる。これのために、偏向器105を用いることができる。実質的に無効とされた対物レンズ109に微弱な電流を流したときに起こる像の回転中心に偏向器105を用いて光軸調整すればよい。
本発明の実施例を、試料に対して電子線を実質的に平行に照射する透過電子顕微鏡に対して説明したが、透過電子顕微鏡が、電子線を収束、照射し、走査する走査型透過電子顕微鏡の機能をあわせて具備していてもよい。また、本実施例では、磁場印加試料の上流側にローレンツ試料を配置する構成としたが、それぞれの対物レンズ等を含め、磁場印加試料をローレンツ試料の上流側に配置することもできる。
以上本実施例によれば、球面収差など対物レンズの開口収差を補正する収差補正器を備えた透過電子顕微鏡において、開口収差が補正された対物レンズのレンズ磁場中に試料を置く観察と、開口収差が補正された対物レンズ磁場の外に試料を置くローレンツ観察を両立し、かつローレンツ観察の空間分解能を高めることのできる透過電子顕微鏡を提供することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
100…電子顕微鏡筒、101…電子源、102…電子線、103…コンデンサレンズ、104,105…偏向器、106…試料が磁場外におかれるときの試料面、106a,108a…ゴニオメータ、106b,108b…試料ホルダ、106c,108c…試料、107…第1の対物レンズ、108…試料が磁場中におかれるときの試料面、109…第2の対物レンズ、109a…対物レンズ、110…試料面106に置かれた試料により散乱された電子の軌道、111…試料面108に置かれた試料により散乱された電子の軌道、112…収差補正器、113…拡大レンズ系、114…像面、115…検出系、121a…偏向器104により試料面108に傾斜照明する電子線軌道、121b…偏向器105により試料面108に傾斜照明する電子線軌道、122a,122b…電子線傾斜照明角、123a,123b…試料面106に置かれた試料により散乱された電子の軌道、201…高電圧源、202〜208…電流源、210…制御装置。

Claims (5)

  1. 電子源と、対物レンズと、前記対物レンズの球面収差を補正する収差補正器とを備えた
    透過電子顕微鏡であって、
    前記対物レンズは、前記電子源と前記収差補正器との間に配置された第1対物レンズと
    第2対物レンズとを含み、
    前記第1対物レンズの上流側の実質的に前記第1対物レンズの磁場の影響のない位置には第1試料を保持する第1試料ホルダが配置され、
    前記第2対物レンズの上流側には偏向器が、前記第2対物レンズの磁場内となる領域に
    は第2試料を保持する第2試料ホルダが配置されることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  2. 請求項1記載の透過電子顕微鏡において、
    前記第1試料又は前記第2試料、或いはその両者を移動させるためのゴニオメータを備
    えたことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  3. 請求項1又は2に記載の透過電子顕微鏡において、
    前記第1試料ホルダの上流側には前記偏向器とは異なる偏向器が更に備えられているこ
    とを特徴とする透過電子顕微鏡。
  4. 請求項1乃至の何れか一項に記載の透過電子顕微鏡において、
    前記偏向器は前記第1対物レンズと前記第2対物レンズとの間に備えられていることを
    特徴とする透過電子顕微鏡。
  5. 請求項1乃至の何れか一項に記載の透過電子顕微鏡において、
    前記電子源から引き出された電子線を走査する走査手段が更に備えられていることを特
    徴とする透過電子顕微鏡。
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