JP2004111404A - 荷電粒子線照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
広範囲なプローブ電流の設定を可能にし、さらに高分解能観察を妨げずに磁性体試料の観察を可能にする。
【解決手段】
電子源と第一のビーム電流検出手段と第二のビーム電流検出手段と、第一および第二のビーム電流検出手段を切り換える手段と、収束レンズの動作範囲の異なる第一の制御状態と第二の制御状態を選択する手段を有し、第一と第二のビーム電流検出手段の間にある収束レンズのレンズ強度に応じて、第一のビーム電流検出手段と第二のビーム電流検出の切り換えを行う手段を設ける。
【選択図】図1
広範囲なプローブ電流の設定を可能にし、さらに高分解能観察を妨げずに磁性体試料の観察を可能にする。
【解決手段】
電子源と第一のビーム電流検出手段と第二のビーム電流検出手段と、第一および第二のビーム電流検出手段を切り換える手段と、収束レンズの動作範囲の異なる第一の制御状態と第二の制御状態を選択する手段を有し、第一と第二のビーム電流検出手段の間にある収束レンズのレンズ強度に応じて、第一のビーム電流検出手段と第二のビーム電流検出の切り換えを行う手段を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は電子線装置に係り、特に電子線の通過領域を制限する絞りの機械的な孔径を変更することなく、高分解能像と大きなプローブ電流とが得られ、また、いずれの条件においても電界放出形電子源によるビーム電流の変動の影響を良好にキャンセルでき、他にも、分解能を改善するために試料側に電子線の収束発生させる形状の対物レンズでもって磁性体の観察を可能にするに好適な荷電粒子線照射装置に関する。
従来、荷電粒子線照射装置の1つである電界放出形走査電子顕微鏡は、特開昭59−
184440号に記載のように電子源から試料までの間の2カ所に電子線の変動を検出する手段を設け、加速電圧に応じて両検出手段の信号を切り換え制御していた。これは試料からの構造信号(画像信号)は電子線の変動で輝度変調を受けるため、このビーム電流の変動を検出して画像信号の変調成分をキャンセルすれば、電子線に変動があってもこの変動の影響を受けない良質な画像信号が得られるからである。
184440号に記載のように電子源から試料までの間の2カ所に電子線の変動を検出する手段を設け、加速電圧に応じて両検出手段の信号を切り換え制御していた。これは試料からの構造信号(画像信号)は電子線の変動で輝度変調を受けるため、このビーム電流の変動を検出して画像信号の変調成分をキャンセルすれば、電子線に変動があってもこの変動の影響を受けない良質な画像信号が得られるからである。
この方式は、今日の電界放出形電子顕微鏡では一般的に実施されており、通常は、電子銃直下に2枚板構造の第1のビーム電流検出絞りを配置し、対物レンズ部、もしくは、それよりも電子源側に1枚板構造の第2のビーム電流検出絞りを配置していた。通常は、第2のビーム電流検出手段はビーム制限絞り(試料上でのビーム収束角を制限する絞り)と共用しており、必要なプローブ電流(試料に照射される電子線の電流)に応じて直径の異なる複数の孔を選択できるようにしている。
ビーム電流検出手段の信号は最終のプローブ電流の変動をなるべく反映する信号であることが望ましいため、従来技術では、高加速電圧でその条件が満たされる第2のビーム電流検出手段(ビーム制限絞り)の信号を用いている。一方、第2のビーム電流検出手段
(ビーム制限絞り)は保守性の観点では1枚板構造にするのが望ましい。しかも低加速電圧では、ビーム照射によりビーム制限絞り板から発生する二次電子の量が増大し、第2のビーム検出手段の信号が正確なビーム電流変動を反映しなくなる。
(ビーム制限絞り)は保守性の観点では1枚板構造にするのが望ましい。しかも低加速電圧では、ビーム照射によりビーム制限絞り板から発生する二次電子の量が増大し、第2のビーム検出手段の信号が正確なビーム電流変動を反映しなくなる。
このため、通常、このような加速電圧領域においては、二次電子の発生を抑えるために図3に示されるような2枚板構造にした第2のビーム電流検出手段の信号に切り換えて画像の変調成分のキャンセル信号に用いている。
さらに、上記従来技術に加えて、近年、分解能を高めるための手法として、対物レンズの磁界を試料側に発生させるべくレンズ磁極を形成する方式が用いられている。
しかしながら、ビーム電流の変動が像に与える影響を除去しようとする上記従来技術では、図9に示されるように第2のビーム電流検出手段として用いている絞り板12に常にある一定量のビームが照射されて信号検出が可能であることを前提にしたものである。
ところが、試料に照射されるビーム電流(プローブ電流)を広範囲に制御しようとすると、その限界(プローブ電流を最大にできる限界)に近づくにつれて、図10に示されるように第2のビーム電流検出手段の絞り板12に照射されるビームのほとんどが絞り12の孔を通過してしまい、第2のビーム電流検出手段ではビームの電流検出が不可能になってしまう問題が生じる。さらに、従来は、大きなプローブ電流の可変範囲に対応するため、必要な場合には第2のビーム電流検出手段の絞りの孔を切り換える必要があったため、その都度絞りの機械的軸調整を行う問題があった。
一方、プローブ電流(Ip) は光学系の光学倍率(M)と試料上でのビームの収束半角
(α)に対して、
(α)に対して、
(数1)
Ip∝(M・α)2 (1)
の関係にあるため、ビームの収束角(α)をある最適値に保った状態を維持してプローブ電流(Ip) を増大させるには、式(1)より光学倍率(M)を増大させなければならない。一般に、電界放出形電子源では電子源サイズが非常に小さいため、プローブ電流が数
pAから数十pA程度と小さい通常の高分解能条件であっても、光学倍率(M)は、せいぜい数十分の1程度である。このような電子光学系において、種々の分析で必要とされるnAオーダのプローブ電流を得ようとするとき、ビームの収束角度(α)を一定に保ったままでは光学倍率(M)を大きくしなければならず、場合によっては電子光学系を拡大系として動作させなければならない。ところが、電子光学系の光学倍率をこのように拡大系もしくは拡大系に近い条件で動作させると、試料上を走査する電子線が走査電子顕微鏡の設置環境の磁界変動に極めて敏感になり、装置の分解能が発揮できない問題が生じる。
Ip∝(M・α)2 (1)
の関係にあるため、ビームの収束角(α)をある最適値に保った状態を維持してプローブ電流(Ip) を増大させるには、式(1)より光学倍率(M)を増大させなければならない。一般に、電界放出形電子源では電子源サイズが非常に小さいため、プローブ電流が数
pAから数十pA程度と小さい通常の高分解能条件であっても、光学倍率(M)は、せいぜい数十分の1程度である。このような電子光学系において、種々の分析で必要とされるnAオーダのプローブ電流を得ようとするとき、ビームの収束角度(α)を一定に保ったままでは光学倍率(M)を大きくしなければならず、場合によっては電子光学系を拡大系として動作させなければならない。ところが、電子光学系の光学倍率をこのように拡大系もしくは拡大系に近い条件で動作させると、試料上を走査する電子線が走査電子顕微鏡の設置環境の磁界変動に極めて敏感になり、装置の分解能が発揮できない問題が生じる。
また、分解能を上げるために、対物レンズの磁界を対物レンズ磁極よりも試料側に発生させる従来技術では、高い分解能は得られるものの、試料がレンズ磁界中に配置される構造から、鉄などに代表される磁性体を観察しようとするとレンズ磁界が試料の磁気的性質により乱されて、電子線が十分に絞れない欠点があった。
本発明は、こうした従来技術の欠点を改良すべく発案されたもので、加速電圧やプローブ電流を広範囲に設定しても絞りの機械的調整を不要にし、かつビーム電流の変動の影響を良好に除去するとともに、設置環境の磁場変動の影響にも過敏になることなく、また、レンズ磁界を試料側に発生させて高い分解能が得られるとともに鉄などの磁性体の観察をも容易にすることができる走査電子顕微鏡を提供することにある。
上記した目的を達成するために本発明では、まずビーム電流の検出手段を第1の位置と第2の位置に配置するとともに、その信号選択を決定するためのパラメータを収束手段
(レンズ)の動作条件とした。
(レンズ)の動作条件とした。
本要件が満たされる電子光学系では、基本的に絞りの孔の径の種類を複数個設ける必要がないため、1種類の孔径で全てのアプリケーションに対応できる。このため、第2のビーム電流検出手段の絞り孔は同じ大きさのものを複数個(4個)設けてある。絞り孔の直径が全て同じであるため、絞りのメンテナンス周期を絞り孔の個数分だけ延ばすことが可能となる。
また光学倍率設定手段を備え、これによって設定された光学倍率が、或る定められた値を超えた場合、この定められた値をもってレンズ群の光学倍率を設定するように制御する制御手段を備えた。
さらに、磁性体を観察したときに電子線が絞れなくなる主な原因がレンズ磁界の乱れに起因して発生する強烈な非点収差にあることから、磁性体を観察するときには非点補正コイルより試料側の光学条件を、通常の高分解能条件から非点補正感度が増大する条件に切り換えるようにした。
本発明の構成によれば、以下の効果がある。
まず、絞りの機械的な切り換えなしで、試料に照射できるプローブ電流を広範囲に設定できる。またいずれのプローブ電流条件或いは加速電圧条件のもとでもビーム電流の変動が画像信号に与える影響を除去できるとともに、広範囲に亘るプローブ電流の設定条件でも試料上でのビームスポットが外部磁場に過敏になることを防止できる。他にも試料上にレンズ磁界を漏洩させて高い分解能が得られる対物レンズでもって、通常の高分解能観察はもとより、磁性体試料の観察をも可能にできる。
図1から図8を用いて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施例の概略断面図である。以下の説明は荷電粒子線照射装置の中の1つである走査型電子顕微鏡を例にとって説明する。
陰極1と第一陽極3の間には、マイクロプロセッサ(CPU)50で制御される高電圧制御電源21により電圧が印加され、所定のエミッション電流が電界放出により陰極1から引き出される。陰極1と第二陽極4の間には、CPU50で制御される高電圧制御電源21により加速電圧が印加され、陰極1から放出された一次電子線2は加速されて後段のレンズ系に進行する。一次電子線2は、第一収束レンズ制御電源23で制御された第一収束レンズ5と第二収束レンズ制御電源26で制御された第二収束レンズ、および、対物レンズ制御電源29で制御された対物レンズ7により試料9に微小なスポットとして収束される。一次電子線2は、走査コイル制御電源27で制御された偏向コイル8a,8bにより試料上を二次元的に走査される。試料9に収束された一次電子線2に生じる非点収差は、非点収差補正コイル14で補正される。
なお本実施例の場合、これらの制御対象は制御CPU50で制御され、図示しない記憶媒体に記憶されているデータや、外部からの入力手段によって入力されるデータに基づいて各パラメータが設定される。
試料9からは、一次電子線2の照射により二次電子10が発生し、対物レンズ7の上部(電子源側)に進行する。対物レンズ7の電子源側には、互いに直交する電界(E)と磁界(B)を発生する直交電磁界発生器13が配置されており、一次電子線2に対しては、電界(E)と磁界(B)の偏向作用が打ち消し合い、試料から発生して進行してくる二次電子10に対しては、これを二次電子検出器15に偏向するように設定される。したがって、試料9から発生した二次電子10は、直交電磁界発生器13の作用により、二次電子検出器15の方向に偏向されて、効率良く二次電子検出器15に検出される。二次電子検出器15に検出された信号は、像信号増幅器28を通して制御CPU50に画像信号として取り込まれる。取り込まれた画像信号は、像表示装置30に試料の拡大像として表示されるほか、画像記録装置31に記録することができる。
第二陽極4を通過した一次電子線2は、図2に示される如く、まず、第一のビーム電流検出絞り11(第一の荷電粒子線検出器)に照射され、その一部が第一のビーム電流絞り11の孔を通過して第一収束レンズ5へと進行する。一次電子線2は、その後、図2の如く第一収束レンズで一度収束された後に第二のビーム電流検出絞り12(第二の荷電粒子線検出器)に照射され、その一部が後段のレンズ系へと進行する。第二のビーム電流検出絞り12には4個の同一直径の孔が明いており、各絞り孔は真空外から切り換えて位置調整できるため、ビーム照射でひとつの絞りの孔が汚れたときには次の孔に切り換えて設定できるようになっている。従来、複数の大きさの絞りを設けることで広い設定電流に対応していたのに対し、本発明の実施例は1つの大きさの絞りがあれば足り、同じ径の絞りを複数備えることが可能になるので、例えば従来のように1つの絞りが汚損によって使用不能になってもその都度取り出し洗浄を行う必要がない。
また、第一収束レンズ5で収束される一次電子線2の収束位置は、図2に示される領域Aの範囲で制御される第1の制御状態と領域Bで制御される第2の制御状態の2つの制御状態を切り換えて設定できる。
第一収束レンズが第一の制御状態(一次電子線の収束位置が領域A:第一収束レンズ5のレンズ強度大)で制御されているときには、第二のビーム電流検出絞り12には、常にある一定値以上の電子ビームが照射されており、この条件では一次電子線の試料での収束角が第二のビーム電流検出絞りで制限される。この状態では、加速電圧がある所定の値よりも高いときには、第二のビーム電流検出絞り12の検出信号が第二のビーム電流変動検出回路24を通して制御CPU50に取り込まれ、加速電圧がある所定の値よりも低いときには、第一のビーム電流検出絞り11の検出信号が第一のビーム電流変動検出回路22を通して制御CPU50に取り込まれる。取り込まれたビーム電流変動信号は画像信号と演算されて、画像信号から一次電子線の電流変動に伴う信号変動成分が除去される。第一のビーム電流検出絞り11は図3の如く二枚板構成になっているため、加速電圧の低い一次電子線2の照射で絞り板から発生した大量の二次電子16は、二枚板構造のなかに吸収されるため、精度の高いビーム電流検出ができる。
第一収束レンズが第二の制御状態(一次電子線の収束位置が領域B:第一収束レンズ5のレンズ強度小)で制御されているときには、第一のビーム電流検出絞り11を通過した一次電子線2のかなりの部分、もしくは、そのほとんどが第二のビーム電流検出絞り12を通過する。この制御状態では、第二のビーム電流検出絞り12が必ずしも試料上でのビーム収束角を制限せずに、第一のビーム電流検出絞り11がビーム収束角を制限する状態も発生する。第一収束レンズが第二の制御状態で制御されている条件では、ビーム電流検出は加速電圧に無関係に常に第一のビーム電流検出絞り11の信号が選択される。したがって、第二のビーム電流検出手段12で検出されるビーム電流が極わずか、もしくは完全に0になっても、一次電子線2の変動による画像信号の影響は良好に除去される。
また以上の説明ではレンズ強度と加速電圧に基づいて第一のビーム電流検出絞り11と第二のビーム電流検出絞り12の切り替えを行っているが、レンズ強度のみをそのパラメータとして両者の切り替えを行っても良い。例えばビームの加速電圧が高い状態において、ビーム電流の増減(例えば収束点の領域A,Bの切り替え)を行う際には、収束点が領域Aにあれば第二のビーム電流検出絞り12でビーム電流の検出を行い、収束点が領域Bにあれば第一のビーム電流検出絞り11でビーム電流の検出を行うようにすればよい。
さて、大きなビーム電流が得られる第二の制御状態においては、試料9におけるビームの収束角αを最適値(αopt) に保とうとすると、レンズ系(レンズ群)の光学倍率(M)が非常に大きくなってしまう。光学倍率(M)が大きくなるにつれて、試料上での一次電子線の照射位置が外部の磁場変動に対して敏感に動くようになるため、ビームの揺れにより分解能が極端に低下してしまう。これを避けるために、光学倍率(M)にある限界値
(MLim)を設定し、光学倍率(M)がこの限界値(MLim)以下の状況では、光学系の制御状態を試料上でのビーム収束角が最適値αopt(最小スポットが得られる条件)になるように制御し、光学倍率(M)が限界値(MLim)を越える状況では光学倍率(M)が予め定めた限界値(MLim)と一致するよう制御状態を切り換える。
(MLim)を設定し、光学倍率(M)がこの限界値(MLim)以下の状況では、光学系の制御状態を試料上でのビーム収束角が最適値αopt(最小スポットが得られる条件)になるように制御し、光学倍率(M)が限界値(MLim)を越える状況では光学倍率(M)が予め定めた限界値(MLim)と一致するよう制御状態を切り換える。
図4,図5,図6を用いて、光学倍率(M)の制御について詳細に説明する。図4は、本実施例の光学系における一次電子線2の軌道模式図である。一次電子線2は、第一収束レンズ5と第二収束レンズ6で各々焦点を結び、対物レンズ7で試料9に最終的なスポットを結ぶ。試料に照射されるプローブ電流は、第一収束レンズ5の収束点P1と第二のビーム電流検出絞り12との距離で決まる。すなわち、P1の位置が第二のビーム電流検出絞り12に近づくほど(収束点P1が第二のビーム電流検出絞り12より電子源側にあるときには、b1 が大きくなるほど)大きなプローブ電流が得られる。一方、第二収束レンズによる一次電子線2の収束点P2の位置を制御することにより、試料上でのビーム収束角度と光学系の光学倍率が制御できる。すなわち、収束点P2を対物レンズ7に近づけるほど(b2 を大きくするほど)ビームの収束角度(α)が小さくなると同時に、光学倍率(M)は大きくなる。
プローブ電流Ip を大きくするにはb1 を大きく設定する必要があるが、b1 を大きくする(収束点P1を第二の電流検出絞り12に近づける)と第二収束レンズ6には大きな開口で一次電子線が入射される。このとき、試料上でのビーム収束角(α)をある所定の値(最適値αopt )に戻すには、第二収束レンズの焦点b2 を長くする必要が生じる。一方、光学倍率(M)がその限界値(MLim)以下となる条件は、図4およびよく知られたレンズ公式から、以下の式で表すことができる。
よって、必要なプローブ電流Ipを実現するために設定されたb1に対して、最適値αopt の設定に必要なb2(=bopt)の値が式(2)を満たす範囲ではb2=bopt を設定し、b2=boptにすると式(2)の条件が満たされない場合(プローブ電流が非常に大きい場合)には、式(2)を満たすb2 の最大値が設定される。これにより、プローブ電流Ip に対して、ビーム収束角と光学倍率Mとは図5の如く制御される。これにより、プローブ電流Ip の設定条件にかかわらず外部磁場の変動に過敏になることなく、光学系の動作条件が常に最適状態に保たれる。また、外部磁場の変動に対する一次電子線2の影響は加速電圧が高いほど小さくなるため、光学倍率(M)の限界値(MLim) の設定は、図6に示されるように、加速電圧が高いほど大きな数値にしてもよい。このように、光学倍率(M)の限界値(MLim)を必要に応じて大きくとることによって、より広いプローブ電流設定範囲において、光学系の最適条件が維持できる。
本実施例では、図1に示されるように対物レンズ7の磁極が試料側に開いており、磁極から試料側に収束磁界を発生させている。こうした構造により、焦点距離が短くなってレンズ収差が小くなる(高い分解能が得られる)。また、非磁性の試料による通常の観察では、第二のビーム電流検出絞り12を通過した一次電子線2は、図7の如く第2収束レンズ6で再び焦点を結び、対物レンズ7により最小のビームスポットが得られる収束角(α=αopt)で試料上に収束される。
さて、このような対物レンズでもって磁性体の観察を行うと、対物レンズ7から発生した収束磁界は、試料9(磁性体)によって大きく乱されてしまう。この結果、非磁性体試料による通常の観察では発生し得ない強い非点収差が発生し、非点補正コイル14に流す通常の電流範囲(ジュール熱によりコイルが破壊されない電流範囲)では補正不可能な状況に至り、像分解能が極端に低下してしまう。このような状況を改善するために、本実施例では、通常の高分解能観察条件(ビーム収束角αが最適値αopt になる光学動作条件)で制御する第三の制御状態と、非点補正コイル14で補正できる非点収差の量を第三の制御状態に比較して少なくとも二倍以上になし得る第四の制御状態とを選択できるようになっている。ここで、第四の制御条件について図7および図8を用いて詳細に説明する。
非点収差補正コイル14にある一定の電流を流したときに試料上のスポットに対して補正できる非点補正量(補正効率)ηは、電子光学の計算から以下のようになる。
ここで、Lscは非点補正コイル14と第二収束レンズ6の焦点位置P2との距離を表す。したがって、図8のように第二収束レンズ6の焦点距離(b2)を長くして収束点P2を対物レンズ側に移動すれば、Lscが長くなると同時にa3(収束点P2と対物レンズ主面との距離)が短くなるため、式(3)から明らかなように、その相乗効果で非点補正効率ηが増大する。
図8は、この方法により非点補正効率ηを図7の場合(最高分解能条件)よりも大きくした一例である。図7と図8の比較から明らかなように、図8の条件では、ビーム収束角が図7の条件よりも小さくなって、レンズ収差で制限される最高の分解能には至らないが、非点収差が補正できる分だけ分解能の大幅な改善につながる。
本発明の実施例では図7の状態と図8の状態を切り替える手段を設けることで、像観察に適した条件を任意に選択することが可能になる。
また上記弊害の他の解決手段としては、異なる2以上の非点収差補正強度を選択し得る手段を備えていても良い。具体的には通常の非点収差補正コイル(図示せず)の他に通常の非点収差補正コイルよりも強力な磁場を発生する第2の非点収差補正コイルを設けることが考えられる。
1…陰極、2…一次電子線、3…第一陽極、4…第二陽極、5…第一収束レンズ、6…第二収束レンズ、7…対物レンズ、8a,8b…偏向コイル、9…試料、10…二次電子、11…第一のビーム電流検出絞り、12…第二のビーム電流検出絞り、13…直交電磁界発生器、14…非点収差補正コイル、15…二次電子検出器、16…二次電子、21…高電圧制御電源、22…第一のビーム電流検出回路、23…第一収束レンズ制御電源、
24…第二のビーム電流検出回路、25…非点補正コイル制御電源、26…第二収束レンズ制御電源、27…走査コイル制御電源、28…像信号増幅器、29…対物レンズ制御電源、30…画像表示装置、31…画像記録装置、50…制御CPU。
24…第二のビーム電流検出回路、25…非点補正コイル制御電源、26…第二収束レンズ制御電源、27…走査コイル制御電源、28…像信号増幅器、29…対物レンズ制御電源、30…画像表示装置、31…画像記録装置、50…制御CPU。
Claims (7)
- 荷電粒子線を発生するための荷電粒子線源と、該荷電粒子線源より発生した荷
電粒子線を収束するためのレンズ群を備えた荷電粒子線照射装置であって、
前記レンズ群の光学倍率を設定する手段と、該設定する手段によって設定され
た前記レンズ群の設定値が或る定められた値以下である場合、該設定値をもって
前記レンズ群の光学倍率を設定し、前記設定値が或る定められた値を超える場合
、該或る定められた値をもって前記レンズ群の光学倍率を設定するように制御す
る制御手段を備えてなることを特徴とする荷電粒子線照射装置。 - 請求項1において、前記制御手段は、前記設定値が或る定められた値以下であ
る場合、前記荷電粒子線を照射すべき試料上での荷電粒子線の収束角を維持しつ
つ、前記設定値をもって前記レンズ群の光学倍率を設定するように制御すること
を特徴とする荷電粒子線照射装置。 - 請求項1において、前記制御手段は、前記荷電粒子線に印加される加速電圧を
認識する手段を備えると共に前記或る決められた値を前記認識されている加速電
圧が高いほど大きな値となるように設定することを特徴とする荷電粒子線照射装
置。 - 請求項1において、前記制御手段は、前記レンズ群のうち少なくとも1つのレ
ンズのレンズ強度を変化させることで前記荷電粒子線量を変化させる手段を備え
てなることを特徴とする荷電粒子線照射装置。 - 荷電粒子線を放出させる荷電粒子源と前記荷電粒子線を試料に収束し照射する
2段以上から構成されるレンズ群と、前記収束された荷電粒子線の試料上におけ
る非点収差を補正する補正手段とを備えた荷電粒子線照射装置において、
前記レンズ群のうち試料に近接したレンズより前記荷電粒子源側に形成される
収束点を少なくとも2箇所に設定するための選択手段を備えたことを特徴とする
荷電粒子照射装置。 - 請求項5において、前記非点収差補正手段は前記収束点より前記荷電粒子線
側に配置され、前記選択手段によって選択し得る箇所は少なくとも試料上の前記
荷電粒子線の収束角を維持し得る範囲と、それ以外の範囲に設定されていること
を特徴とする荷電粒子線照射装置。 - 荷電粒子線を放出させる荷電粒子源と前記荷電粒子線を試料に収束し照射する
2段以上から構成されるレンズ群と、前記収束された荷電粒子線の試料上におけ
る非点収差を補正する補正手段とを備えた荷電粒子線照射装置において、
前記補正手段は少なくとも2以上の励磁状態を選択的に切り替えるための手段
を備えてなることを特徴とする荷電粒子線照射装置。
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JP2006294389A (ja) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Hitachi High-Technologies Corp | 走査透過電子顕微鏡装置 |
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2004
- 2004-01-08 JP JP2004002558A patent/JP2004111404A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006294389A (ja) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Hitachi High-Technologies Corp | 走査透過電子顕微鏡装置 |
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