JPH10302692A - 荷電粒子線照射装置 - Google Patents

荷電粒子線照射装置

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JPH10302692A
JPH10302692A JP10922197A JP10922197A JPH10302692A JP H10302692 A JPH10302692 A JP H10302692A JP 10922197 A JP10922197 A JP 10922197A JP 10922197 A JP10922197 A JP 10922197A JP H10302692 A JPH10302692 A JP H10302692A
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charged particle
lens
particle beam
detector
sample
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JP10922197A
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Mitsugi Sato
佐藤  貢
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広範囲なプローブ電流の設定を可能にし、さら
に高分解能観察を妨げずに磁性体試料の観察を可能にす
る。 【解決手段】電子源と第一のビーム電流検出手段と第二
のビーム電流検出手段と、第一および第二のビーム電流
検出手段を切り換える手段と、収束レンズの動作範囲の
異なる第一の制御状態と第二の制御状態を選択する手段
を有し、第一と第二のビーム電流検出手段の間にある収
束レンズのレンズ強度に応じて、第一のビーム電流検出
手段と第二のビーム電流検出の切り換えを行う手段を設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子線装置に係り、
特に電子線の通過領域を制限する絞りの機械的な孔径を
変更することなく、高分解能像と大きなプローブ電流と
が得られ、また、いずれの条件においても電界放出形電
子源によるビーム電流の変動の影響を良好にキャンセル
でき、他にも、分解能を改善するために試料側に電子線
の収束発生させる形状の対物レンズでもって磁性体の観
察を可能にするに好適な荷電粒子線照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、荷電粒子線照射装置の1つである
電界放出形走査電子顕微鏡は、特開昭59−184440号に記
載のように電子源から試料までの間の2カ所に電子線の
変動を検出する手段を設け、加速電圧に応じて両検出手
段の信号を切り換え制御していた。これは試料からの構
造信号(画像信号)は電子線の変動で輝度変調を受ける
ため、このビーム電流の変動を検出して画像信号の変調
成分をキャンセルすれば、電子線に変動があってもこの
変動の影響を受けない良質な画像信号が得られるからで
ある。
【0003】この方式は、今日の電界放出形電子顕微鏡
では一般的に実施されており、通常は、電子銃直下に2
枚板構造の第1のビーム電流検出絞りを配置し、対物レ
ンズ部、もしくは、それよりも電子源側に1枚板構造の
第2のビーム電流検出絞りを配置していた。通常は、第
2のビーム電流検出手段はビーム制限絞り(試料上での
ビーム収束角を制限する絞り)と共用しており、必要な
プローブ電流(試料に照射される電子線の電流)に応じ
て直径の異なる複数の孔を選択できるようにしている。
【0004】ビーム電流検出手段の信号は最終のプロー
ブ電流の変動をなるべく反映する信号であることが望ま
しいため、従来技術では、高加速電圧でその条件が満た
される第2のビーム電流検出手段(ビーム制限絞り)の
信号を用いている。一方、第2のビーム電流検出手段
(ビーム制限絞り)は保守性の観点では1枚板構造にす
るのが望ましい。しかも低加速電圧では、ビーム照射に
よりビーム制限絞り板から発生する二次電子の量が増大
し、第2のビーム検出手段の信号が正確なビーム電流変
動を反映しなくなる。
【0005】このため、通常、このような加速電圧領域
においては、二次電子の発生を抑えるために図3に示さ
れるような2枚板構造にした第2のビーム電流検出手段
の信号に切り換えて画像の変調成分のキャンセル信号に
用いている。
【0006】さらに、上記従来技術に加えて、近年、分
解能を高めるための手法として、対物レンズの磁界を試
料側に発生させるべくレンズ磁極を形成する方式が用い
られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビーム
電流の変動が像に与える影響を除去しようとする上記従
来技術では、図9に示されるように第2のビーム電流検
出手段として用いている絞り板12に常にある一定量の
ビームが照射されて信号検出が可能であることを前提に
したものである。
【0008】ところが、試料に照射されるビーム電流
(プローブ電流)を広範囲に制御しようとすると、その
限界(プローブ電流を最大にできる限界)に近づくにつ
れて、図10に示されるように第2のビーム電流検出手
段の絞り板12に照射されるビームのほとんどが絞り1
2の孔を通過してしまい、第2のビーム電流検出手段で
はビームの電流検出が不可能になってしまう問題が生じ
る。さらに、従来は、大きなプローブ電流の可変範囲に
対応するため、必要な場合には第2のビーム電流検出手
段の絞りの孔を切り換える必要があったため、その都度
絞りの機械的軸調整を行う問題があった。
【0009】一方、プローブ電流(Ip)は光学系の光学
倍率(M)と試料上でのビームの収束半角(α)に対し
て、
【0010】
【数1】 Ip∝(M・α)2 (1) の関係にあるため、ビームの収束角(α)をある最適値
に保った状態を維持してプローブ電流(Ip)を増大させ
るには、式(1)より光学倍率(M)を増大させなけれ
ばならない。一般に、電界放出形電子源では電子源サイ
ズが非常に小さいため、プローブ電流が数pAから数十
pA程度と小さい通常の高分解能条件であっても、光学
倍率(M)は、せいぜい数十分の1程度である。このよ
うな電子光学系において、種々の分析で必要とされるn
Aオーダのプローブ電流を得ようとするとき、ビームの
収束角度(α)を一定に保ったままでは光学倍率(M)
を大きくしなければならず、場合によっては電子光学系
を拡大系として動作させなければならない。ところが、
電子光学系の光学倍率をこのように拡大系もしくは拡大
系に近い条件で動作させると、試料上を走査する電子線
が走査電子顕微鏡の設置環境の磁界変動に極めて敏感に
なり、装置の分解能が発揮できない問題が生じる。
【0011】また、分解能を上げるために、対物レンズ
の磁界を対物レンズ磁極よりも試料側に発生させる従来
技術では、高い分解能は得られるものの、試料がレンズ
磁界中に配置される構造から、鉄などに代表される磁性
体を観察しようとするとレンズ磁界が試料の磁気的性質
により乱されて、電子線が十分に絞れない欠点があっ
た。
【0012】本発明は、こうした従来技術の欠点を改良
すべく発案されたもので、加速電圧やプローブ電流を広
範囲に設定しても絞りの機械的調整を不要にし、かつビ
ーム電流の変動の影響を良好に除去するとともに、設置
環境の磁場変動の影響にも過敏になることなく、また、
レンズ磁界を試料側に発生させて高い分解能が得られる
とともに鉄などの磁性体の観察をも容易にすることがで
きる走査電子顕微鏡を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明では、まずビーム電流の検出手段を第1の
位置と第2の位置に配置するとともに、その信号選択を
決定するためのパラメータを収束手段(レンズ)の動作
条件とした。
【0014】本要件が満たされる電子光学系では、基本
的に絞りの孔の径の種類を複数個設ける必要がないた
め、1種類の孔径で全てのアプリケーションに対応でき
る。このため、第2のビーム電流検出手段の絞り孔は同
じ大きさのものを複数個(4個)設けてある。絞り孔の直
径が全て同じであるため、絞りのメンテナンス周期を絞
り孔の個数分だけ延ばすことが可能となる。
【0015】また光学倍率設定手段を備え、これによっ
て設定された光学倍率が、或る定められた値を超えた場
合、この定められた値をもってレンズ群の光学倍率を設
定するように制御する制御手段を備えた。
【0016】さらに、磁性体を観察したときに電子線が
絞れなくなる主な原因がレンズ磁界の乱れに起因して発
生する強烈な非点収差にあることから、磁性体を観察す
るときには非点補正コイルより試料側の光学条件を、通
常の高分解能条件から非点補正感度が増大する条件に切
り換えるようにした。
【0017】
【発明の実施の形態】図1から図8を用いて、本発明の
実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施例
の概略断面図である。以下の説明は荷電粒子線照射装置
の中の1つである走査型電子顕微鏡を例にとって説明す
る。
【0018】陰極1と第一陽極3の間には、マイクロプ
ロセッサ(CPU)50で制御される高電圧制御電源2
1により電圧が印加され、所定のエミッション電流が電
界放出により陰極1から引き出される。陰極1と第二陽
極4の間には、CPU50で制御される高電圧制御電源
21により加速電圧が印加され、陰極1から放出された
一次電子線2は加速されて後段のレンズ系に進行する。
一次電子線2は、第一収束レンズ制御電源23で制御さ
れた第一収束レンズ5と第二収束レンズ制御電源26で
制御された第二収束レンズ、および、対物レンズ制御電
源29で制御された対物レンズ7により試料9に微小な
スポットとして収束される。一次電子線2は、走査コイ
ル制御電源27で制御された偏向コイル8a,8bによ
り試料上を二次元的に走査される。試料9に収束された
一次電子線2に生じる非点収差は、非点収差補正コイル
14で補正される。
【0019】なお本実施例の場合、これらの制御対象は
制御CPU50で制御され、図示しない記憶媒体に記憶
されているデータや、外部からの入力手段によって入力
されるデータに基づいて各パラメータが設定される。
【0020】試料9からは、一次電子線2の照射により
二次電子10が発生し、対物レンズ7の上部(電子源
側)に進行する。対物レンズ7の電子源側には、互いに
直交する電界(E)と磁界(B)を発生する直交電磁界
発生器13が配置されており、一次電子線2に対して
は、電界(E)と磁界(B)の偏向作用が打ち消し合
い、試料から発生して進行してくる二次電子10に対し
ては、これを二次電子検出器15に偏向するように設定
される。したがって、試料9から発生した二次電子10
は、直交電磁界発生器13の作用により、二次電子検出
器15の方向に偏向されて、効率良く二次電子検出器1
5に検出される。二次電子検出器15に検出された信号
は、像信号増幅器28を通して制御CPU50に画像信
号として取り込まれる。取り込まれた画像信号は、像表
示装置30に試料の拡大像として表示されるほか、画像
記録装置31に記録することができる。
【0021】第二陽極4を通過した一次電子線2は、図
2に示される如く、まず、第一のビーム電流検出絞り1
1(第一の荷電粒子線検出器)に照射され、その一部が
第一のビーム電流絞り11の孔を通過して第一収束レン
ズ5へと進行する。一次電子線2は、その後、図2の如
く第一収束レンズで一度収束された後に第二のビーム電
流検出絞り12(第二の荷電粒子線検出器)に照射さ
れ、その一部が後段のレンズ系へと進行する。第二のビ
ーム電流検出絞り12には4個の同一直径の孔が明いて
おり、各絞り孔は真空外から切り換えて位置調整できる
ため、ビーム照射でひとつの絞りの孔が汚れたときには
次の孔に切り換えて設定できるようになっている。従
来、複数の大きさの絞りを設けることで広い設定電流に
対応していたのに対し、本発明の実施例は1つの大きさ
の絞りがあれば足り、同じ径の絞りを複数備えることが
可能になるので、例えば従来のように1つの絞りが汚損
によって使用不能になってもその都度取り出し洗浄を行
う必要がない。
【0022】また、第一収束レンズ5で収束される一次
電子線2の収束位置は、図2に示される領域Aの範囲で
制御される第1の制御状態と領域Bで制御される第2の
制御状態の2つの制御状態を切り換えて設定できる。
【0023】第一収束レンズが第一の制御状態(一次電
子線の収束位置が領域A:第一収束レンズ5のレンズ強
度大)で制御されているときには、第二のビーム電流検
出絞り12には、常にある一定値以上の電子ビームが照
射されており、この条件では一次電子線の試料での収束
角が第二のビーム電流検出絞りで制限される。この状態
では、加速電圧がある所定の値よりも高いときには、第
二のビーム電流検出絞り12の検出信号が第二のビーム
電流変動検出回路24を通して制御CPU50に取り込
まれ、加速電圧がある所定の値よりも低いときには、第
一のビーム電流検出絞り11の検出信号が第一のビーム
電流変動検出回路22を通して制御CPU50に取り込
まれる。取り込まれたビーム電流変動信号は画像信号と
演算されて、画像信号から一次電子線の電流変動に伴う
信号変動成分が除去される。第一のビーム電流検出絞り
11は図3の如く二枚板構成になっているため、加速電
圧の低い一次電子線2の照射で絞り板から発生した大量
の二次電子16は、二枚板構造のなかに吸収されるた
め、精度の高いビーム電流検出ができる。
【0024】第一収束レンズが第二の制御状態(一次電
子線の収束位置が領域B:第一収束レンズ5のレンズ強
度小)で制御されているときには、第一のビーム電流検
出絞り11を通過した一次電子線2のかなりの部分、も
しくは、そのほとんどが第二のビーム電流検出絞り12
を通過する。この制御状態では、第二のビーム電流検出
絞り12が必ずしも試料上でのビーム収束角を制限せず
に、第一のビーム電流検出絞り11がビーム収束角を制
限する状態も発生する。第一収束レンズが第二の制御状
態で制御されている条件では、ビーム電流検出は加速電
圧に無関係に常に第一のビーム電流検出絞り11の信号
が選択される。したがって、第二のビーム電流検出手段
12で検出されるビーム電流が極わずか、もしくは完全
に0になっても、一次電子線2の変動による画像信号の
影響は良好に除去される。
【0025】また以上の説明ではレンズ強度と加速電圧
に基づいて第一のビーム電流検出絞り11と第二のビー
ム電流検出絞り12の切り替えを行っているが、レンズ
強度のみをそのパラメータとして両者の切り替えを行っ
ても良い。例えばビームの加速電圧が高い状態におい
て、ビーム電流の増減(例えば収束点の領域A,Bの切
り替え)を行う際には、収束点が領域Aにあれば第二の
ビーム電流検出絞り12でビーム電流の検出を行い、収
束点が領域Bにあれば第一のビーム電流検出絞り11で
ビーム電流の検出を行うようにすればよい。
【0026】さて、大きなビーム電流が得られる第二の
制御状態においては、試料9におけるビームの収束角α
を最適値(αopt)に保とうとすると、レンズ系(レンズ
群)の光学倍率(M)が非常に大きくなってしまう。光
学倍率(M)が大きくなるにつれて、試料上での一次電
子線の照射位置が外部の磁場変動に対して敏感に動くよ
うになるため、ビームの揺れにより分解能が極端に低下
してしまう。これを避けるために、光学倍率(M)にあ
る限界値(MLim)を設定し、光学倍率(M)がこの限界
値(MLim)以下の状況では、光学系の制御状態を試料上
でのビーム収束角が最適値αopt(最小スポットが得られ
る条件)になるように制御し、光学倍率(M)が限界値
(MLim)を越える状況では光学倍率(M)が予め定めた
限界値(MLim)と一致するよう制御状態を切り換える。
【0027】図4,図5,図6を用いて、光学倍率
(M)の制御について詳細に説明する。図4は、本実施
例の光学系における一次電子線2の軌道模式図である。
一次電子線2は、第一収束レンズ5と第二収束レンズ6
で各々焦点を結び、対物レンズ7で試料9に最終的なス
ポットを結ぶ。試料に照射されるプローブ電流は、第一
収束レンズ5の収束点P1と第二のビーム電流検出絞り
12との距離で決まる。すなわち、P1の位置が第二の
ビーム電流検出絞り12に近づくほど(収束点P1が第
二のビーム電流検出絞り12より電子源側にあるときに
は、b1 が大きくなるほど)大きなプローブ電流が得ら
れる。一方、第二収束レンズによる一次電子線2の収束
点P2の位置を制御することにより、試料上でのビーム
収束角度と光学系の光学倍率が制御できる。すなわち、
収束点P2を対物レンズ7に近づけるほど(b2 を大き
くするほど)ビームの収束角度(α)が小さくなると同
時に、光学倍率(M)は大きくなる。
【0028】プローブ電流Ipを大きくするにはb1
大きく設定する必要があるが、b1を大きくする(収束
点P1を第二の電流検出絞り12に近づける)と第二収
束レンズ6には大きな開口で一次電子線が入射される。
このとき、試料上でのビーム収束角(α)をある所定の
値(最適値αopt )に戻すには、第二収束レンズの焦点
2 を長くする必要が生じる。一方、光学倍率(M)が
その限界値(MLim)以下となる条件は、図4およびよく
知られたレンズ公式から、以下の式で表すことができ
る。
【0029】
【数2】
【0030】よって、必要なプローブ電流Ip を実現す
るために設定されたb1 に対して、最適値αopt の設定
に必要なb2(=bopt)の値が式(2)を満たす範囲で
はb2=bopt を設定し、b2=boptにすると式(2)
の条件が満たされない場合(プローブ電流が非常に大き
い場合)には、式(2)を満たすb2 の最大値が設定さ
れる。これにより、プローブ電流Ip に対して、ビーム
収束角と光学倍率Mとは図5の如く制御される。これに
より、プローブ電流Ip の設定条件にかかわらず外部磁
場の変動に過敏になることなく、光学系の動作条件が常
に最適状態に保たれる。また、外部磁場の変動に対する
一次電子線2の影響は加速電圧が高いほど小さくなるた
め、光学倍率(M)の限界値(MLim)の設定は、図6に
示されるように、加速電圧が高いほど大きな数値にして
もよい。このように、光学倍率(M)の限界値(MLim
を必要に応じて大きくとることによって、より広いプロ
ーブ電流設定範囲において、光学系の最適条件が維持で
きる。
【0031】本実施例では、図1に示されるように対物
レンズ7の磁極が試料側に開いており、磁極から試料側
に収束磁界を発生させている。こうした構造により、焦
点距離が短くなってレンズ収差が小くなる(高い分解能
が得られる)。また、非磁性の試料による通常の観察で
は、第二のビーム電流検出絞り12を通過した一次電子
線2は、図7の如く第2収束レンズ6で再び焦点を結
び、対物レンズ7により最小のビームスポットが得られ
る収束角(α=αopt)で試料上に収束される。
【0032】さて、このような対物レンズでもって磁性
体の観察を行うと、対物レンズ7から発生した収束磁界
は、試料9(磁性体)によって大きく乱されてしまう。
この結果、非磁性体試料による通常の観察では発生し得
ない強い非点収差が発生し、非点補正コイル14に流す
通常の電流範囲(ジュール熱によりコイルが破壊されな
い電流範囲)では補正不可能な状況に至り、像分解能が
極端に低下してしまう。このような状況を改善するため
に、本実施例では、通常の高分解能観察条件(ビーム収
束角αが最適値αopt になる光学動作条件)で制御する
第三の制御状態と、非点補正コイル14で補正できる非
点収差の量を第三の制御状態に比較して少なくとも二倍
以上になし得る第四の制御状態とを選択できるようにな
っている。ここで、第四の制御条件について図7および
図8を用いて詳細に説明する。非点収差補正コイル14
にある一定の電流を流したときに試料上のスポットに対
して補正できる非点補正量(補正効率)ηは、電子光学
の計算から以下のようになる。
【0033】
【数3】
【0034】ここで、Lscは非点補正コイル14と第二
収束レンズ6の焦点位置P2との距離を表す。したがっ
て、図8のように第二収束レンズ6の焦点距離(b2)を
長くして収束点P2を対物レンズ側に移動すれば、Lsc
が長くなると同時にa3(収束点P2と対物レンズ主面と
の距離)が短くなるため、式(3)から明らかなよう
に、その相乗効果で非点補正効率ηが増大する。
【0035】図8は、この方法により非点補正効率ηを
図7の場合(最高分解能条件)よりも大きくした一例で
ある。図7と図8の比較から明らかなように、図8の条
件では、ビーム収束角が図7の条件よりも小さくなっ
て、レンズ収差で制限される最高の分解能には至らない
が、非点収差が補正できる分だけ分解能の大幅な改善に
つながる。
【0036】本発明の実施例では図7の状態と図8の状
態を切り替える手段を設けることで、像観察に適した条
件を任意に選択することが可能になる。
【0037】また上記弊害の他の解決手段としては、異
なる2以上の非点収差補正強度を選択し得る手段を備え
ていても良い。具体的には通常の非点収差補正コイル
(図示せず)の他に通常の非点収差補正コイルよりも強
力な磁場を発生する第2の非点収差補正コイルを設ける
ことが考えられる。
【0038】
【発明の効果】本発明の構成によれば、以下の効果があ
る。
【0039】まず、絞りの機械的な切り換えなしで、試
料に照射できるプローブ電流を広範囲に設定できる。ま
たいずれのプローブ電流条件或いは加速電圧条件のもと
でもビーム電流の変動が画像信号に与える影響を除去で
きるとともに、広範囲に亘るプローブ電流の設定条件で
も試料上でのビームスポットが外部磁場に過敏になるこ
とを防止できる。他にも試料上にレンズ磁界を漏洩させ
て高い分解能が得られる対物レンズでもって、通常の高
分解能観察はもとより、磁性体試料の観察をも可能にで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例。
【図2】第一収束レンズの2つの制御状態を表す。
【図3】第一のビーム電流検出絞りの構造。
【図4】本発明の実施例における軌道の模式図。
【図5】プローブ電流(Ip)に対する、光学倍率(M)
とビーム収束角(α)の制御特性。
【図6】加速電圧と限界光学倍率(MLim)の関係。
【図7】非磁性体試料を用いた通常の高分解能像観察に
おける軌道の模式図。
【図8】磁性体試料の観察に適した軌道の模式図。
【図9】従来のビーム電流変動検出において前提となる
軌道模式図。
【図10】従来のビーム電流変動検出では解決困難な状
況を表す軌道模式図。
【符号の説明】
1…陰極、2…一次電子線、3…第一陽極、4…第二陽
極、5…第一収束レンズ、6…第二収束レンズ、7…対
物レンズ、8a,8b…偏向コイル、9…試料、10…
二次電子、11…第一のビーム電流検出絞り、12…第
二のビーム電流検出絞り、13…直交電磁界発生器、1
4…非点収差補正コイル、15…二次電子検出器、16
…二次電子、21…高電圧制御電源、22…第一のビー
ム電流検出回路、23…第一収束レンズ制御電源、24
…第二のビーム電流検出回路、25…非点補正コイル制
御電源、26…第二収束レンズ制御電源、27…走査コ
イル制御電源、28…像信号増幅器、29…対物レンズ
制御電源、30…画像表示装置、31…画像記録装置、
50…制御CPU。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子線を発生するための荷電粒子線源
    と、該荷電粒子線源より発生した荷電粒子線を収束する
    ためのレンズ群と、前記荷電粒子線源と、前記荷電粒子
    線を照射すべき試料との間に配置される第一の荷電粒子
    線検出器と、該荷電粒子線検出器より試料側であると共
    に前記レンズ群のレンズ間に配置される第二の荷電粒子
    線検出器を備えた荷電粒子線照射装置であって、前記レ
    ンズ群の内少なくとも1のレンズのレンズ動作条件に基
    づいて前記第一の荷電粒子検出器、及び前記第二の荷電
    粒子検出器の出力の何れか一方を選択し、検出を行うよ
    うに制御する制御手段を備えたことを特徴とする荷電粒
    子線照射装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記レンズ動作条件
    は、前記第一の荷電粒子検出器と前記第二の荷電粒子検
    出器の間に介在するレンズの動作条件であることを特徴
    とする荷電粒子線照射装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記レンズ動作条件
    は、前記第一の荷電粒子検出器と前記第二の荷電粒子検
    出器の間に介在するレンズのレンズ強度であって、前記
    制御手段は該レンズのレンズ強度が所定値以上である場
    合は第二の荷電粒子検出器を用いて検出し、前記レンズ
    強度が所定値未満である場合は前記第一の荷電粒子検出
    器を用いて検出を行うよう制御することを特徴とする荷
    電粒子照射装置。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記レンズ動作条件
    は、前記第一の荷電粒子検出器と前記第二の荷電粒子検
    出器の間に介在するレンズのレンズ強度であって、前記
    制御手段は、前記荷電粒子線に印加される加速電圧を認
    識する手段を備えると共に該手段によって得られた加速
    電圧及び前記レンズの動作条件に基づいて前記第一の荷
    電粒子線検出器、或いは前記第二の荷電粒子検出器を選
    択し、検出を行うよう制御することを特徴とする荷電粒
    子照射装置。
  5. 【請求項5】請求項1において、前記レンズ動作条件
    は、前記第一の荷電粒子検出器と前記第二の荷電粒子検
    出器の間に介在するレンズのレンズ強度であって、前記
    制御手段は、前記荷電粒子線に印加される加速電圧を認
    識する手段を備え前記レンズ強度が所定値未満である場
    合は前記第一の荷電粒子検出器をもって検出し、前記レ
    ンズ強度が所定値以上である場合は、前記認識する手段
    で得られた加速電圧が或る値以上であることを条件に前
    記第二の荷電粒子検出器をもって検出し、前記認識する
    手段で得られた加速電圧が或る値未満であることを条件
    に前記第一の荷電粒子検出器をもって検出するように制
    御することを特徴とする荷電粒子照射装置。
  6. 【請求項6】請求項1において、前記レンズ動作条件
    は、前記第一の荷電粒子検出器と前記第二の荷電粒子検
    出器の間に介在するレンズのレンズ強度であって、前記
    制御手段は前記レンズ群の光学倍率を設定する手段を備
    え、前記レンズ強度が前記所定値未満であることを条件
    として、前記レンズ群の光学倍率の設定値が或る定めら
    れた値を越える場合、前記レンズ群の光学倍率が或る定
    められた値以下になるように制御することを特徴とする
    荷電粒子照射装置。
  7. 【請求項7】請求項1において、前記レンズ動作条件
    は、前記第一の荷電粒子検出器と前記第二の荷電粒子検
    出器の間に介在するレンズのレンズ強度であって、前記
    制御手段は前記レンズ群の光学倍率を設定する手段と前
    記荷電粒子線に印加される加速電圧を認識する手段を備
    え、前記レンズ強度が所定値未満であることを条件とし
    て、前記レンズ群の光学倍率の設定値がある定められた
    値を越える場合、前記レンズ群の光学倍率が或る定めら
    れた値以下になるように制御すると共に、この或る定め
    られた値は前記加速電圧が高いほど大きな値となるよう
    に制御することを特徴とする荷電粒子照射装置。
  8. 【請求項8】請求項1において、前記第二の荷電粒子線
    検出器は、前記荷電粒子線の軌道上に配置され前記荷電
    粒子線の通過孔を有すると共に、該通過孔以外の箇所に
    照射された荷電粒子線を検出するものであって、同じ通
    過孔を少なくとも2つ備えてなることを特徴とする荷電
    粒子照射装置。
  9. 【請求項9】荷電粒子線を発生するための荷電粒子線源
    と、該荷電粒子線源より発生した荷電粒子線を収束する
    ためのレンズ群を備えた荷電粒子線照射装置であって、 前記レンズ群の光学倍率を設定する手段と、該設定する
    手段によって設定された前記レンズ群の設定値が或る定
    められた値以下である場合、該設定値をもって前記レン
    ズ群の光学倍率を設定し、前記設定値が或る定められた
    値を超える場合、該或る定められた値をもって前記レン
    ズ群の光学倍率を設定するように制御する制御手段を備
    えてなることを特徴とする荷電粒子線照射装置。
  10. 【請求項10】請求項9において、前記制御手段は、前
    記設定値が或る定められた値以下である場合、前記荷電
    粒子線を照射すべき試料上での荷電粒子線の収束角を維
    持しつつ、前記設定値をもって前記レンズ群の光学倍率
    を設定するように制御することを特徴とする荷電粒子線
    照射装置。
  11. 【請求項11】請求項9において、前記制御手段は、前
    記荷電粒子線に印加される加速電圧を認識する手段を備
    えると共に前記或る決められた値を前記認識されている
    加速電圧が高いほど大きな値となるように設定すること
    を特徴とする荷電粒子線照射装置。
  12. 【請求項12】請求項9において、前記制御手段は、前
    記レンズ群のうち少なくとも1つのレンズのレンズ強度
    を変化させることで前記荷電粒子線量を変化させる手段
    を備えてなることを特徴とする荷電粒子線照射装置。
  13. 【請求項13】荷電粒子線を放出させる荷電粒子源と前
    記荷電粒子線を試料に収束し照射する2段以上から構成
    されるレンズ群と、前記収束された荷電粒子線の試料上
    における非点収差を補正する補正手段とを備えた荷電粒
    子線照射装置において、 前記レンズ群のうち試料に近接したレンズより前記荷電
    粒子源側に形成される収束点を少なくとも2箇所に設定
    するための選択手段を備えたことを特徴とする荷電粒子
    照射装置。
  14. 【請求項14】請求項13において、前記非点収差補正
    手段は前記収束点より前記荷電粒子線側に配置され、前
    記選択手段によって選択し得る箇所は少なくとも試料上
    の前記荷電粒子線の収束角を維持し得る範囲と、それ以
    外の範囲に設定されていることを特徴とする荷電粒子線
    照射装置。
  15. 【請求項15】荷電粒子線を放出させる荷電粒子源と前
    記荷電粒子線を試料に収束し照射する2段以上から構成
    されるレンズ群と、前記収束された荷電粒子線の試料上
    における非点収差を補正する補正手段とを備えた荷電粒
    子線照射装置において、 前記補正手段は少なくとも2以上の励磁状態を選択的に
    切り替えるための手段を備えてなることを特徴とする荷
    電粒子線照射装置。
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JP2008052935A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Hitachi High-Technologies Corp 走査電子顕微鏡

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