JP6914993B2 - モノクロメーターおよび荷電粒子線装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モノクロメーターおよび荷電粒子線装置に関する。
透過電子顕微鏡(TEM)における電子エネルギー損失分光(EELS)の高分解能化のために、モノクロメーターが用いられている。また、透過電子顕微鏡においてモノクロメーターにより電子線を単色化することで、透過電子顕微鏡像(TEM像)の情報限界を改善でき、原子分解能での物質の構造観察が可能である。また、走査透過電子顕微鏡(STEM)において、モノクロメーターと照射側の収差補正装置を用いて、原子スケールの空間分解能と高エネルギー分解能を両立させた高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF−STEM)とEELSを併用した物質の原子スケールの微小領域での電子状態分析が可能である。
モノクロメーターとして、シングルウィーンフィルター型とダブルウィーンフィルター型が知られている(例えば特許文献1参照)。
シングルウィーンフィルター型では、ウィーンフィルターを通った電子線がクロスオーバーする位置にスペクトルが形成される。エネルギー選択スリットは、スペクトルと共役な面に配置される。エネルギー選択スリットを通過した電子線は、スリット幅に応じた有限のエネルギー幅を持つ。そのため、モノクロメーターを通過した電子線の光源形状は、エネルギー分散方向に伸びた形状となる。したがって、高分解能STEM観察においては、空間分解能に異方性が現れる。また、高分解能TEM観察においても、試料に照射される電子線の仮想光源の形状が円ではなく、所定方向に伸びた形状となるため、電子線の干渉に異方性が現れる。
このように、シングルウィーンフィルター型では、エネルギーの分散が残留してしまう。これに対して、ダブルウィーンフィルター型では、モノクロメーターを通過した後の電子線の収束位置において、エネルギー分散をキャンセルできる。
特開2001−357809号公報
図4は、ダブルウィーンフィルター型のモノクロメーター2の構成を示す図である。なお、図4では、互いに異なるエネルギーの電子線の軌道を、実線と破線で表している。
モノクロメーター2は、ウィーンフィルター5と、エネルギー選択スリット6と、ウィーンフィルター7と、を有している。モノクロメーター2の入口には、静電レンズ4が配置され、モノクロメーター2の出口には静電レンズ8が配置されている。
電子源3から放出された電子線は静電レンズ4によって平行ビームとなり、ウィーンフィルター5により分光され、エネルギー選択スリット6上に電子線の速度分布に対応するスペクトルが形成される。エネルギー選択スリット6では、速度の揃った電子線を通過させる。これにより、電子線が単色化される。エネルギー選択スリット6を通過した電子線は、エネルギー選択スリット6のスリット幅に応じた有限のエネルギー幅を持つ。
エネルギー選択スリット6を通過した電子線は、ウィーンフィルター7によって平行ビームとなり、静電レンズ8によって一点に収束される。これにより、エネルギー分散がキャンセルされ、収束面において色消しとなる。色消しとなった電子線の収束面における仮想光源の形状は円となる。
このように、仮想光源の形状が円であり、かつ、単色化された電子線を試料上に収束させることによって、STEM像において、高空間分解能を実現でき、かつ、空間分解能は等方的となる。したがって、例えば、高空間分解能と高エネルギー分解能を両立させた、HAADF−STEMとEELSを併用した分析が可能となる。
また、試料の広範囲に電子線を照射するTEM像においては、円形の仮想光源によって電子線の干渉性が等方的となり、さらに、電子線の単色化によって色収差の影響が低減される。したがって、例えば、TEM像の高分解能化が可能となる。
しかしながら、ダブルウィーンフィルター型のモノクロメーター2では、上述したように、モノクロメーターを通過した後の電子線の収束面ではエネルギー分散がキャンセルされるが、その前後ではエネルギー分散が生じる。これは、モノクロメーター2を通過した電子線に角度分散が生じるためである。
すなわち、モノクロメーター2では、電子線のエネルギーの違いによって、光軸に対する電子線の角度に違いが生じる。図4に示す例では、異なるエネルギーの電子線は、静電レンズ8によって1点に収束されているが、静電レンズ8から収束面までの軌道は、光軸に対する角度が異なっており、角度分散が生じている。
図4に示すように、光軸付近の角度領域A1では、異なるエネルギーの電子線が重複し、電子線のエネルギーは均一となる。しかしながら、光軸からエネルギー分散方向に離れた角度領域A2では、異なるエネルギーの電子線が重複せず、電子線のエネルギーは不均一となる。そのため、モノクロメーターを通過した電子線の収束面の前後ではエネルギー分散が生じる。したがって、例えば、試料にデフォーカスした電子線を照射する場合に、角度領域A2の電子線は均一なエネルギーにならず、角度領域A2の電子線によって得られるTEM像にぼけが生じる。
このように、ダブルウィーンフィルター型のモノクロメーターでは、モノクロメーターを通過した電子線に角度分散が生じるため、角度分散を低減できるモノクロメーターが求められている。
(1)本発明に係るモノクロメーターの一態様は、
第1ウィーンフィルターと、
前記第1ウィーンフィルターの後段に配置された第2ウィーンフィルターと、
前記第2ウィーンフィルターの後段に配置された第3ウィーンフィルターと、
前記第3ウィーンフィルターの後段に配置された第4ウィーンフィルターと、
前記第1ウィーンフィルターと前記第2ウィーンフィルターとの間、および前記第3ウィーンフィルターと前記第4ウィーンフィルターとの間の少なくとも一方に配置されたエネルギー選択スリットと、
を含み、
前記第1ウィーンフィルターと前記第2ウィーンフィルターとは、第1対称面に関して対称に配置され、
前記第3ウィーンフィルターと前記第4ウィーンフィルターとは、第2対称面に関して
対称に配置され、
前記第1ウィーンフィルターおよび前記第2ウィーンフィルターの対と、前記第3ウィーンフィルターと前記第4ウィーンフィルターの対とは、第3対称面に関して対称に配置され、
前記第1ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さ、前記第2ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さ、前記第3ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さ、および前記第4ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さは、等しい。
このようなモノクロメーターでは、4段のウィーンフィルターによって、電子線の位置分散および角度分散を低減できる。
(2)本発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
上記のモノクロメーターを含む。
第1実施形態に係るモノクロメーターの構成を示す図。 第2実施形態に係るモノクロメーターの構成を示す図。 第3実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 ダブルウィーンフィルター型のモノクロメーターの構成を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. モノクロメーターの構成
まず、第1実施形態に係るモノクロメーターについて図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るモノクロメーター100の構成を示す図である。なお、図1では、異なるエネルギーの電子線の軌道を、実線と破線で表している。
モノクロメーター100は、図1に示すように、第1ウィーンフィルター10と、第2ウィーンフィルター20と、第3ウィーンフィルター30と、第4ウィーンフィルター40と、第1エネルギー選択スリット60と、第2エネルギー選択スリット62と、を含む。このように、モノクロメーター100は、4段のウィーンフィルターを備えている。モノクロメーター100は、第1静電レンズ4と第2静電レンズ8との間に配置されている。
第1ウィーンフィルター10の後段に第2ウィーンフィルター20が配置され、第2ウィーンフィルター20の後段に第3ウィーンフィルター30が配置され、第3ウィーンフィルター30の後段に第4ウィーンフィルター40が配置されている。すなわち、第1ウィーンフィルター10、第2ウィーンフィルター20、第3ウィーンフィルター30、および第4ウィーンフィルター40は、電子源3側からこの順で配置されている。
第1ウィーンフィルター10は、互いに直交する磁界と電界を用いたフィルターである。第1ウィーンフィルター10は、電子線の光路中に電磁場を発生させる。第1ウィーンフィルター10は、光軸に沿って進行する電子線の光路に互いに直交する電場および磁場を印加する。第2ウィーンフィルター20、第3ウィーンフィルター30、および第4ウィーンフィルター40も、第1ウィーンフィルター10と同様に、直交する磁界と電界を
用いたフィルターであり、電子線の光路中に電磁場を発生させる。
第1ウィーンフィルター10が発生させる電磁場、第2ウィーンフィルター20が発生させる電磁場、第3ウィーンフィルター30が発生させる電磁場、および第4ウィーンフィルター40が発生させる電磁場は、同一である。すなわち、第1ウィーンフィルター10が発生させる電磁場の強さ、第2ウィーンフィルター20が発生させる電磁場の強さ、第3ウィーンフィルター30が発生させる電磁場の強さ、および第4ウィーンフィルター40が発生させる電磁場の強さは、互いに等しく、かつ、第1ウィーンフィルター10が発生させる電磁場の向き、第2ウィーンフィルター20が発生させる電磁場の向き、第3ウィーンフィルター30が発生させる電磁場の向き、および第4ウィーンフィルター40が発生させる電磁場の向きは、同じである。なお、電磁場の強さが等しいとは、電場の強さが等しく、かつ、磁場の強さが等しいことをいう。また、電磁場の向きが同じとは、電場の向きが同じであり、かつ、磁場の向きが同じであることをいう。
第1ウィーンフィルター10の高さH1、第2ウィーンフィルター20の高さH2、第3ウィーンフィルター30の高さH3、および第4ウィーンフィルター40の高さH4は、互いに等しい。すなわち、H1:H2:H3:H4=1:1:1:1である。なお、ウィーンフィルターの高さは、フィルター長ともいえる。
第1ウィーンフィルター10と第2ウィーンフィルター20とは、第1対称面M1に関して対称に配置されている。第3ウィーンフィルター30と第4ウィーンフィルター40とは、第2対称面M2に関して対称に配置されている。第1ウィーンフィルター10と第2ウィーンフィルター20との間の距離は、第3ウィーンフィルター30と第4ウィーンフィルター40との間の距離と等しい。
第1ウィーンフィルター10と第2ウィーンフィルター20との対と、第3ウィーンフィルター30と第4ウィーンフィルター40との対とは、第3対称面M3に関して対称に配置されている。第2ウィーンフィルター20と第3対称面M3との間の距離は、第3対称面M3と第3ウィーンフィルター30との間の距離と等しい。
第1エネルギー選択スリット60は、第1ウィーンフィルター10と第2ウィーンフィルター20との間に配置されている。第1エネルギー選択スリット60は、第1対称面M1に配置されている。第1エネルギー選択スリット60は、有限のスリット幅を有している。
第2エネルギー選択スリット62は、第3ウィーンフィルター30と第4ウィーンフィルター40との間に配置されている。第2エネルギー選択スリット62は、第2対称面M2に配置されている。第2エネルギー選択スリット62は、有限のスリット幅を有している。
第1静電レンズ4は、モノクロメーター100の入口に設けられている。第1静電レンズ4は、第1ウィーンフィルター10の前段に配置されている。第1静電レンズ4は、電子源3から放出された電子線を平行化する。すなわち、第1静電レンズ4は、電子源3から放出された電子線を平行ビームとする。
第2静電レンズ8は、モノクロメーター100の出口に設けられている。第2静電レンズ8は、第4ウィーンフィルター40の後段に配置されている。第2静電レンズ8は、第4ウィーンフィルター40を通過した電子線を収束させる。
1.2. モノクロメーターの動作
次に、モノクロメーター100の動作を、図1に示す電子線の光線図を参照しながら説明する。
モノクロメーター100では、第1ウィーンフィルター10が発生させる電磁場、第2ウィーンフィルター20が発生させる電磁場、第3ウィーンフィルター30が発生させる電磁場、および第4ウィーンフィルター40が発生させる電磁場が、同一となるように、第1ウィーンフィルター10、第2ウィーンフィルター20、第3ウィーンフィルター30、および第4ウィーンフィルター40を動作させる。
電子源3から放出された電子線は、第1静電レンズ4によって平行ビームとなる。平行ビームとなった電子線は第1ウィーンフィルター10によって分光され、第1エネルギー選択スリット60上に電子線の速度分布に対応するスペクトルが形成される。第1エネルギー選択スリット60では、速度の揃った電子線を通過させる。これにより、電子線が単色化される。第1エネルギー選択スリット60を通過した電子線は、第1エネルギー選択スリット60のスリット幅に応じた有限のエネルギー幅を持つ。
第1エネルギー選択スリット60を通過した電子線は、第2ウィーンフィルター20によって平行ビームとなる。平行ビームとなった電子線は、第3ウィーンフィルター30によって分光され、第2エネルギー選択スリット62上に電子線の速度分布に対応するスペクトルが形成される。第2エネルギー選択スリット62を通過した電子線は、第4ウィーンフィルター40に入射する。
第4ウィーンフィルター40では、電子線が平行ビームとなるとともに、位置分散および角度分散がキャンセルされる。図1に示すように、第4ウィーンフィルター40において異なるエネルギーの電子線の軌道が一致し、位置分散および角度分散がキャンセルされる。
第4ウィーンフィルター40を通過した電子線は、第2静電レンズ8によって一点に収束される。モノクロメーター100では、電子線の位置分散および角度分散がキャンセルされるため、モノクロメーター100を通過した後の電子線の収束面およびその前後において、エネルギー分散がキャンセルされ、仮想光源の形状は円となる。
なお、位置分散とは、モノクロメーターにおいて、電子線のエネルギーが異なることにより、電子線の位置に違いが生じることである。また、角度分散とは、モノクロメーターにおいて、電子線のエネルギーが異なることにより、光軸に対する電子線の角度に違いが生じることである。
図1に示す例では、第1エネルギー選択スリット60および第2エネルギー選択スリット62の両方を用いる場合について説明したが、第1エネルギー選択スリット60のみを用いてもよいし、第2エネルギー選択スリット62のみを用いてもよい。これは、第1エネルギー選択スリット60および第2エネルギー選択スリット62が、光学的に等価であるためである。
1.3. 効果
モノクロメーター100では、第1ウィーンフィルター10と、第2ウィーンフィルター20と、第3ウィーンフィルター30と、第4ウィーンフィルター40と、を含み、第1ウィーンフィルター10が発生させる電磁場の向きおよび強さ、第2ウィーンフィルター20が発生させる電磁場の向きおよび強さ、第3ウィーンフィルター30が発生させる電磁場の向きおよび強さ、および第4ウィーンフィルター40が発生させる電磁場の向きおよび強さは、等しい。そのため、モノクロメーター100では、上述したように、電子
線の位置分散および角度分散を低減できる。この結果、例えば、デフォーカスした電子線を照射するTEM観察において、試料に対して均一なエネルギーの電子線を照射できる。また、例えば、電子線を強く縮小しない条件でのSTEM観察において、均一なエネルギーの電子線による電子線散乱が可能となり、HAADF−STEMでの色収差の異方性を解消できる。
ここで、例えば、図4に示すダブルウィーンフィルター型のモノクロメーター2では、電子線の角度を制限する絞りを挿入して、角度領域A1の電子線が絞りを通過するようにすることで、均一なエネルギーの電子線を取り出すことができる。
しかしながら、電子線をデフォーカスさせて電子線を広げ、試料の広範囲にわたって電子線を照射するTEM観察においては、絞りの挿入は試料に照射される電子線の強度の低下をもたらす。モノクロメーターを用いたTEM観察では、電子線の単色化で電流量が低下するため、絞りの挿入による電子線強度の低下は、著しい電子線の強度不足をまねいてしまう。
また、電子線をフォーカスさせて試料上を走査して像観察を行うSTEM観察においては、収束レンズを使って電子線を原子レベルまで縮小する。試料上で電子線を縮小することは、電子線の角度倍率を拡大することになるため、モノクロメーター2で生じた角度分散は拡大され、角度領域A1も拡大される。よって、電子線を強く収束するSTEM観察においては均一なエネルギーの電子線を得ることは容易である。
しかしながら、電子エネルギー損失分光(EELS)やエネルギー分散型X線分光(EDS)などの手法を用いた分析を行う場合には、電子線を強く収束しない場合がある。この場合、角度領域A1が小さくなり、試料に照射される電子線に角度分散が生じる。試料に照射される電子線に角度分散が生じると、HAADF−STEMで検出される広角に散乱した電子線のエネルギーは不均一となり、色収差の影響で分解能に異方性が生じるおそれがある。
モノクロメーター100では、上述したように、4段のウィーンフィルターによって電子線の角度分散を低減できるため、上記のような問題が生じない。
なお、上記では、モノクロメーター100が、電子線を単色化する場合について説明したが、モノクロメーター100は、イオンビームなどの電子線以外の荷電粒子線を単色化してもよい。
2. 第2実施形態
2.1. モノクロメーターの構成
次に、第2実施形態に係るモノクロメーターについて、図面を参照しながら説明する。図2は、第2実施形態に係るモノクロメーター200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係るモノクロメーター200において、第1実施形態に係るモノクロメーター100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
モノクロメーター200では、図2に示すように、第2ウィーンフィルター20と第3ウィーンフィルター30とが一体に構成されている。図2に示す例では、第2ウィーンフィルター20と第3ウィーンフィルター30とは一体となって、1つの第5ウィーンフィルター50を構成している。すなわち、モノクロメーター200は、3段のウィーンフィルターを備えている。
第5ウィーンフィルター50は、第1ウィーンフィルター10と第4ウィーンフィルター40との間に配置されている。
第5ウィーンフィルター50の高さH5は、第2ウィーンフィルター20の高さH2と第3ウィーンフィルター30の高さH3の和である。すなわち、第1ウィーンフィルター10の高さH1、第5ウィーンフィルター50の高さH5、第4ウィーンフィルターの高さH4は、H1:H5:H4=1:2:1の関係を有している。例えば、第5ウィーンフィルター50の電極および磁極の光軸に沿った長さは、第1ウィーンフィルター10の電極および磁極の光軸に沿った長さの2倍である。
第1ウィーンフィルター10と第5ウィーンフィルター50との間の距離は、第5ウィーンフィルター50と第4ウィーンフィルター40との間の距離と等しい。
第1ウィーンフィルター10と第1エネルギー選択スリット60との間の距離は、第1エネルギー選択スリット60と第5ウィーンフィルター50との間の距離と等しい。第5ウィーンフィルター50と第2エネルギー選択スリット62との間の距離は、第2エネルギー選択スリット62と第4ウィーンフィルター40との間の距離と等しい。
モノクロメーター200では、第2ウィーンフィルター20と第3ウィーンフィルター30とは一体に構成されているため、第3対称面M3は、光軸に沿った方向において、第5ウィーンフィルター50の中心に位置する。
2.2. モノクロメーターの動作
次に、モノクロメーター200の動作を、図2に示す電子線の光線図を参照しながら説明する。
モノクロメーター200では、第1ウィーンフィルター10が発生させる電磁場、第2ウィーンフィルター20が発生させる電磁場、第3ウィーンフィルター30が発生させる電磁場、および第4ウィーンフィルター40が発生させる電磁場が、同一となるように、第1ウィーンフィルター10、第5ウィーンフィルター50、および第4ウィーンフィルター40を動作させる。
電子源3から放出された電子線は、第1静電レンズ4によって平行ビームとなる。平行ビームとなった電子線は、第1ウィーンフィルター10によって分光され、第1エネルギー選択スリット60上に電子線の速度分布に対応するスペクトルが形成される。第1エネルギー選択スリット60では、速度の揃った電子線を通過させる。これにより、電子線が単色化される。第1エネルギー選択スリット60を通過した電子線は、第1エネルギー選択スリット60のスリット幅に応じた有限のエネルギー幅を持つ。
第1エネルギー選択スリット60を通過した電子線は第5ウィーンフィルター50によって分光され、第2エネルギー選択スリット62上に電子線の速度分布に対応するスペクトルが形成される。第2エネルギー選択スリット62を通過した電子線は、第4ウィーンフィルター40に入射する。
第4ウィーンフィルター40では、電子線が平行ビームとなるとともに、位置分散および角度分散がキャンセルされる。図2に示すように、第4ウィーンフィルター40において異なるエネルギーの電子線の軌道が一致し、位置分散および角度分散がキャンセルされる。
第4ウィーンフィルター40を通過した電子線は、第2静電レンズ8によって一点に収
束される。モノクロメーター200では、電子線の位置分散および角度分散がキャンセルされるため、モノクロメーター200を通過した後の電子線の収束面およびその前後において、エネルギー分散がキャンセルされ、仮想光源の形状は円となる。
2.3. 効果
モノクロメーター200では、第2ウィーンフィルター20と第3ウィーンフィルター30とが一体に構成されている。モノクロメーター200では、上述したモノクロメーター100と同様の作用効果を奏することができる。
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図3は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の構成を示す図である。
電子顕微鏡300には、試料に照射される電子線を単色化するためのモノクロメーター100が搭載されている。なお、図示はしないが、電子顕微鏡300には、モノクロメーター200が搭載されていてもよい。
電子顕微鏡300は、図3に示すように、電子源3と、絞り302と、第1静電レンズ4と、モノクロメーター100と、第2静電レンズ8と、加速管304と、照射レンズ系306と、試料ステージ308と、対物レンズ310と、投影レンズ系312と、検出器314と、を含む。
電子源3は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する。電子源3は、例えば、公知の電子銃である。
第1静電レンズ4は、モノクロメーター100の前段に設けられ、電子源3から射出された電子線の軌道(すなわち、モノクロメーター100に対する電子線の入射角度)を調整する。
モノクロメーター100は、電子顕微鏡300の照射系に組み込まれている。モノクロメーター100によって、電子線が単色化される。
第2静電レンズ8は、モノクロメーター100の後段に設けられ、試料に照射される電子線の軌道を調整する。
モノクロメーター100で単色化された電子線は、加速管304によって加速され、照射レンズ系306によって試料ステージ308に保持された試料に照射される。照射レンズ系306は、複数のコンデンサーレンズで構成されている。
対物レンズ310は、試料を透過した電子線を結像させる。投影レンズ系312は、対物レンズ310によって結像された像をさらに拡大し、検出器314上に結像させる。
検出器314は、投影レンズ系312によって結像されたTEM像を検出する。
なお、図3に示す例では、モノクロメーター100が加速管304の前段に配置されていたが、例えば、モノクロメーター100が加速管304の後段に配置されてもよい。
また、上記では、モノクロメーター100を含む荷電粒子線装置として、透過電子顕微鏡(TEM)である電子顕微鏡300を説明したが、モノクロメーター100を含む荷電粒子線装置は透過電子顕微鏡に限定されない。モノクロメーター100を含む荷電粒子線
装置としては、例えば、走査透過電子顕微鏡(STEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、収束イオンビーム装置(FIB装置)などが挙げられる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…モノクロメーター、3…電子源、4…第1静電レンズ、5…ウィーンフィルター、6…エネルギー選択スリット、7…ウィーンフィルター、8…第2静電レンズ、10…第1ウィーンフィルター、20…第2ウィーンフィルター、30…第3ウィーンフィルター、40…第4ウィーンフィルター、50…第5ウィーンフィルター、60…第1エネルギー選択スリット、62…第2エネルギー選択スリット、100…モノクロメーター、200…モノクロメーター、300…電子顕微鏡、302…絞り、304…加速管、306…照射レンズ系、308…試料ステージ、310…対物レンズ、312…投影レンズ系、314…検出器

Claims (4)

  1. 第1ウィーンフィルターと、
    前記第1ウィーンフィルターの後段に配置された第2ウィーンフィルターと、
    前記第2ウィーンフィルターの後段に配置された第3ウィーンフィルターと、
    前記第3ウィーンフィルターの後段に配置された第4ウィーンフィルターと、
    前記第1ウィーンフィルターと前記第2ウィーンフィルターとの間、および前記第3ウィーンフィルターと前記第4ウィーンフィルターとの間の少なくとも一方に配置されたエネルギー選択スリットと、
    を含み、
    前記第1ウィーンフィルターと前記第2ウィーンフィルターとは、第1対称面に関して対称に配置され、
    前記第3ウィーンフィルターと前記第4ウィーンフィルターとは、第2対称面に関して対称に配置され、
    前記第1ウィーンフィルターおよび前記第2ウィーンフィルターの対と、前記第3ウィーンフィルターと前記第4ウィーンフィルターの対とは、第3対称面に関して対称に配置され、
    前記第1ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さ、前記第2ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さ、前記第3ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さ、および前記第4ウィーンフィルターが発生させる電磁場の向きおよび強さは、等しい、モノクロメーター。
  2. 請求項1において、
    前記エネルギー選択スリットは、前記第1対称面および前記第2対称面に配置されている、モノクロメーター。
  3. 請求項1または2において、
    前記第2ウィーンフィルターと前記第3ウィーンフィルターとは、一体に設けられている、モノクロメーター。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のモノクロメーターを含む、荷電粒子線装置。
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