JP6813303B2 - (メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法に関する。より詳しくは、良好な可塑性を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法に関する。
低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造する方法として、200℃以上の高温でバルク重合する方法(特許文献1、非特許文献1)、150℃以上の高温において、溶液重合する方法(特許文献2、3、非特許文献2)、250℃以上の高温で、アクリル重合体を熱分解する方法(特許文献4)、が知られている。
一方、高温重合や、熱分解により製造される低分子量(メタ)アクリル酸重合体は、不可避的に末端ビニル結合を有し(非特許文献1)、さらに、熱安定性など耐久性の問題から末端ビニル基の含有量を低減させるために、水素添加などの工程が含まれることが知られている(特許文献4)。
米国特許第4414370号明細書 特開2004−18791号公報 特開2016−98284号公報 特開平11−240854号公報
河合道弘「高温重合によるマクロモノマーの合成とその反応性」、東亜合成研究年報、2002年、第5号、p.2−10 大畑正敏、外2名、「低分子量アクリル樹脂の特性に及ぼす重合温度の影響」、色材協会誌、2006年、第79巻、第7号、p.283−289
上記のとおり、種々の低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法が提案されている。一方、重合体の主鎖末端にビニル基が含まれる場合、酸化等に起因して経時的に色相(色調)が低下する虞があるが、用途によっては、ある程度の色相が要求されることから、重合体の主鎖末端のビニル基を低減することが可能な製造方法が必要になっている。上記引用文献3の方法によれば、重合体の主鎖末端のビニル基を低減若しくは無くすことが可能であるが、水素添加工程が必須となり、設備面や反応条件面での負荷が大きかった。
よって、本発明は、低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体を効率よく製造可能であり、水素添加工程を必須としなくても該重合体の主鎖末端のビニル基を低減することが可能である、低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行い、本発明に想到した。
すなわち、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステルを、アルコール存在下で重合する工程を含む(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法であって、該アルコールは1−ブタノール、及び/又は、2−ブタノールであり、重合温度が160〜170℃であり、該(メタ)アクリル酸エステル重合体の末端ビニル基の含有量が、該(メタ)アクリル酸エステル重合体における繰り返し単位に対して、0モル%以上、10モル%以下であり、該(メタ)アクリル酸エステル重合体の数平均分子量が3000未満であり、重量平均分子量が4500未満であり、該重合する工程で使用する全単量体成分において、該(メタ)アクリル酸エステルを使用する割合が80質量%以上、100質量%以下である、(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体を効率よく製造することが可能となる。また、水素添加工程を必須としなくても該重合体の主鎖末端のビニル基の含有量の低い低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造することが可能となる。上記低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体は、可塑剤などの用途に好ましく使用することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法>
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステルを、アルコール存在下で重合する工程(重合工程)を必須とする。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルを表す。
上記(メタ)アクリル酸エステルをCH=CRCOORと表したとき、Rは、水素原子またはメチル基であるが、Rは、炭素数1〜30の有機基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜18の有機基であり、さらに好ましくは炭素数1〜8の有機基である。
上記有機基としては、アルキル基(直鎖状、分岐状、環状等)、アルケニル基(直鎖状、分岐状、環状等)、アリール基、ヘテロアリール基等が例示され、これらは置換基を有していても良い。該置換基としては、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシ基、カルボキシエステル基、カルボキシアミド基、スルホン酸基、リン酸基、アルキル基、アリール基、アリール基、ヘテロアリール基等が例示され、置換基はさらに置換基を有していても良い。
なお、置換基を有する有機基を「置換の有機基」、置換基を有しない有機基を「無置換の有機基」ということがある。例えば、置換のアルキル基とは、アルキル基の水素原子の1または2以上が置換基で置換された構造を有する基を表す。
上記置換または無置換の有機基としては、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基であることがより好ましく、置換または無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。有機基が置換基を有する場合、上記有機基の有する置換基の数、置換基の炭素数等は特に制限されないが、置換の有機基が全体として上記炭素数(1〜30、好ましくは、1〜18、より好ましくは1〜8)であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸ブチルなどのα−ヒドロキシアルキルアクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリル酸誘導体類;(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸トリパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、パーフルオロエチレンなどの(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル類;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのケイ素含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体類などが挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
上記重合工程で使用する(メタ)アクリル酸エステル(CH=CR(COOR))のうち、Rの炭素数が1〜30(好ましくは、1〜18、より好ましくは1〜8))の(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、全(メタ)アクリル酸エステル100モル部に対して、50〜100モル部であることが好ましく、80〜100モル部であることがさらに好ましく、90〜100モル部であることがよりさらに好ましい。
また、上記重合工程で使用する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体(以下、その他単量体という)を含んでもよい。その他単量体としては、少なくとも1つのラジカル重合性基を有する化合物であればよいが、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、メチレングルタル酸ジブチル等の不飽和ジカルボン酸エステル(モノ、ジ);(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の不飽和アミン化合物;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド等の不飽和アミド化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の、ビニルエステル類;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;スチレン、インデン等のビニル芳香族系単量体;オクテン、ブタジエン等の、オレフィン類;などが挙げられる。これらを使用する場合には、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記重合工程で使用する全単量体成分に対して、(メタ)アクリル酸エステルを使用する割合は80質量%以上、100質量%以下である。好ましくは、90質量%以上、100質量%以下使用することが好ましく、95質量%以上、100質量%以下使用することがより好ましく、100質量%使用する(すなわち、単量体としてすべて(メタ)アクリル酸エステルを使用すること)がよりさらに好ましい。また、上記重合工程で使用する全単量体成分に対して、その他単量体を使用する割合は0質量%以上、20質量%以下である。好ましくは、0質量%以上、10質量%以下使用することが好ましく、0質量%以上、5質量%以下使用することがより好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
上記重合工程における重合反応温度は、160〜170℃である。上記範囲内で重合すると、重合体の分子量を適切な範囲に設定しつつ、末端ビニル基の含有量が低く抑えられる。
上記重合工程は、炭素数4〜8のアルコールを必須として使用するが、該アルコールとしては1−ブタノール、2−ブタノールである。また、上記アルコールにおける炭化水素基部分は、アルキル基であることが好ましく、また、直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても良いが、直鎖状であることがより好ましい。上記アルコールを使用することで、上記重合工程で得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量を適切な範囲に設定しつつ、主鎖末端に含まれるビニル基の含有量を少なく設定することが可能である。
上記重合工程では、その他有機溶剤を併用することも可能である。その他有機溶媒としては、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、トルエンやベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチルや酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、エタノールやプロパノール等の炭素数4〜8以外のアルコール系溶媒などの種々のものが利用できるが、重合温度を考慮すると、100℃以上の沸点を有する溶剤を用いることが好ましい。なお、これらの溶剤は2種以上を組合せて使用することができる。また、上記アルコールとその他有機溶媒を併用する場合、上記アルコールとその他有機溶媒の質量比は、90/10〜10/90が好ましく、70/30〜10/90がより好ましく、50/50〜30/70がよりさらに好ましい。
上記重合工程における重合反応で使用する開始剤は特に限定されないが、開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジ−t−アミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーベンゾエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール、t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、等の有機過酸化物;過酸化水素などの無機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1、1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などのアゾ系開始剤などを使用することができる。
なお、重合開始剤として、ジアルキルパーオキシド、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイドから選択される1種または2種以上の有機過酸化物を使用すると、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量をより適切な範囲に設定しやすくなる傾向にあることからより好ましい。
上記開始剤の使用量は、上記重合工程で使用する単量体成分に対して、例えば、0.5〜10重量%である。上記の開始剤としては、10時間半減期温度が80〜200℃の化合物が好ましく、90〜140℃の化合物がより好ましい。
上記重合工程においては、連鎖移動剤を併用することも可能であるが、リン分やイオウ分が重合体に導入されたり、重合体組成物に混入した場合、(メタ)アクリル酸エステル重合体の色相が低下したり、可塑性等の諸物性が経時劣化しやすくなる傾向にあるため、リン化合物や硫黄化合物の使用量は極力抑えることが好ましい。なお、本発明において「イオウ分」および「リン分」とは、それぞれイオウ原子とリン原子を含むイオン、化合物、基等をいう。
連鎖移動剤としては、次亜リン酸(塩)、亜リン酸(塩)等のリン化合物;亜硫酸水素塩、メルカプトプロピオン酸(塩)、ドデカンチオール等の硫黄化合物;等が例示され、該リン化合物や硫黄化合物の使用量は、それぞれ上記開始剤に対して0質量%以上、50質量%未満に抑えることが好ましく、0質量%以上、20質量%未満に抑えることがより好ましく、0質量%以上、10質量%未満に抑えることがさらに好ましく、(メタ)アクリル酸エステルの使用量に対しては、0質量%以上、2質量%未満に抑えることが好ましく、0質量%以上、1質量%未満に抑えることがより好ましく、0質量%以上、0.5質量%未満に抑えることがさらに好ましい。
上記重合工程においては、金属成分を使用することも可能であるが、金属成分が重合体組成物に混入した場合、(メタ)アクリル酸エステル重合体の色相が低下したり、可塑性等の諸物性が経時劣化しやすくなる傾向にあるため、金属成分の添加も極力抑えることが好ましい。なお、本発明において「金属成分」とは、周期律表の第1族から第12族までの原子をいう。
金属成分としては、鉄、コバルト、マンガン等が例示され、該金属成分の使用量は、それぞれ上記開始剤に対して0.1質量%以上、10質量%未満に抑えることが好ましく、0.1質量%以上、5質量%未満に抑えることがより好ましく、(メタ)アクリル酸エステルの使用量に対しては、0.0005質量%以上、1質量%未満に抑えることが好ましく、0.0005質量%以上、0.01質量%未満に抑えることがより好ましい。
上記重合工程は、常圧下、減圧下、加圧下のいずれの条件下で行っても良いが、加圧下で行うことが好ましい。また、上記重合工程は、不活性雰囲気下で行っても良いが、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気下で行う場合、反応器(重合釜等)に、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどを添加しながら重合反応を実施しても良く、予め反応器を不活性気体で置換した後に重合反応を実施しても良い。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法は、上記重合工程を必須に含むが、その他の工程を含んでいても良い。例えば、精製工程、触媒不活性化工程、希釈工程、濃縮工程、抽出工程、水添工程、エステル交換工程、未反応原料の回収工程、反応生成物を溶剤や水で洗浄する工程(洗浄工程)、反応生成物を活性炭や無機吸着剤等の固体吸着剤で処理する工程、不純物を溶剤で抽出する工程、反応生成物や反応原料をろ過する工程、等が例示される。
なお、本発明の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステル重合体に含まれる主鎖末端のビニル基の含有量を低減できることから、還元工程を省略しても主鎖末端のビニル基の含有量の少ない(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造することが可能であるが、より主鎖末端のビニル基の含有量を低減するために必要に応じて、還元工程を設けても良い。その場合、還元反応時間や還元温度等の反応条件を穏やかに設定したり、還元触媒の使用料等を通常より低く設定することも可能である。還元工程は、公知の還元反応を適宜設定変更して実施することが可能である。
<(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物>
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物は、(メタ)アクリル酸エステル重合体を含む。上記(メタ)アクリル酸エステル重合体は、後述するように例えば本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法により製造することができる。上記(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物は、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体を35質量%以上、100質量%以下含むことが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物は、有機溶媒を含んでいても良い。有機溶媒としては、上記本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法の重合に用いられる有機溶媒として例示するものが挙げられる。本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物の有機溶媒の含有量は、例えば、0質量%以上、65質量%以下であることが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物は、重合体組成物の固形分に対し、酸価が0以上、0.5mgKOH/g以下であることが好ましく、0以上、0.3mgKOH/g以下であることがより好ましく、0以上、0.2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、色相がより良好になる傾向にあり、また、金属などに対する腐食性も十分に抑えられるため、可塑剤としてより好ましく使用できる傾向にある。なお、酸価は、後述する条件で測定することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物において、イオウ分の含有量は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の質量に対し、硫黄原子換算(硫黄原子として計算することをいい、例えば−SH基でも、Sとして質量計算することをいう)で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物において、リン分の含有量は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の質量に対し、リン原子換算(リン原子として計算することをいい、例えば−OPO(OH)2基でも、Pとして質量計算することをいう)で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物において、金属成分の含有量は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の質量に対し、金属原子換算(金属原子として計算することをいう)で0ppm以上、100ppm未満であることが好ましい。より好ましくは、0ppm以上、20ppm未満である。
なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体組成物における、イオウ分の含有量、リン分の含有量および金属成分の含有量は、例えばICP発光分析法により定量することが可能である。
<(メタ)アクリル酸エステル重合体>
本発明において(メタ)アクリル酸エステル重合体とは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体であり、該(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位とは、(メタ)アクリル酸エステルの炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造単位であり、典型的には(メタ)アクリル酸エステルが重合して形成される構造単位である。ただし、実際に(メタ)アクリル酸エステルが重合して形成された構造に限らず、(メタ)アクリル酸エステルの炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造単位であれば、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位に該当する。例えば、アクリル酸エチル、CH=CHCOOC、に由来する構造単位は、−CHCH(COOC)−、と表すことができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を−CH−CR(COOR)−(ただし、Rは水素原子またはメチル基である)と表した場合、Rの好ましい形態は、特に言及する場合を除き、上記CH=CRCOORにおけるRの好ましい形態と同様である。
また、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、その他単量体に由来する構造単位を含んでも良い。その他単量体に由来する構造単位とは、その他単量体の炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造単位であり、典型的にはその他単量体が重合して形成される構造単位であるが、実際にその他単量体が重合して形成された構造単位に限定されない。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体において、全単量体に由来する構造単位に対する、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、およびその他単量体に由来する構造単位の割合は、使用する全単量体に対する、(メタ)アクリル酸エステルおよびその他単量体の好ましい割合と同様である。上記範囲の場合、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体のアクリル樹脂等との相溶性が向上する傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で決定される数平均分子量が、3000未満、更に好ましくは2000未満、特に好ましくは1000未満である。また、GPCで決定される重量平均分子量が、4500未満、さらに好ましくは3000未満、特に好ましくは2000未満である。分子量が上記の範囲より外れると、粘度が高くなることから取扱い性が低下する傾向にあり、また、各種樹脂との相溶性が低下する傾向にある。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは、後述する条件で測定することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の主鎖末端に含まれるビニル基の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体における繰り返し単位に対して、0モル%以上、10モル%以下であ、0モル%以上、8モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上、6モル%以下であることがさらに好ましい。重合体の主鎖末端に含まれるビニル基の含有量を少なく設定することで、酸化等に起因して色相低下を防ぐことができる。なお、末端ビニル基の含有量は、後述する条件で測定することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、酸価が0以上、0.5mgKOH/g以下であることが好ましく、0以上、0.3mgKOH/g以下であることがより好ましく、0以上、0.2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、色相がより良好になる傾向にあり、また、金属などに対する腐食性も十分に抑えられるため、可塑剤としてより好ましく使用できる傾向にある。なお、酸価は、後述する条件で測定することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、イオウ分の含有量が、重合体の質量に対し、硫黄原子換算で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、重合体分子に結合しているイオウ分の含有量が上記範囲であることが好ましく、主鎖末端に含まれるイオウ分の含有量が上記範囲であることがより好ましい。重合体に含まれるイオウ分が多くなると、重合体の色相が低下する傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、リン分の含有量は、重合体の質量に対し、リン原子換算で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、重合体分子に結合しているリン分の含有量が上記範囲であることが好ましく、主鎖末端に含まれるリン分の含有量が、上記範囲であることがより好ましい。上記範囲であれば、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の色相がより良好になる傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体において、リン含有化合物やイオウ含有化合物が不純物として存在している場合、重合体分子に結合しているリン分やイオウ分の含有量は、該不純物を液体クロマトグラフィーやガクスロマトグラフィーで定量し、ICP発光分析法の測定結果から除することにより算出しても良い。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、金属成分の含有量が、重合体の質量に対し、金属原子換算(金属原子として計算することをいう)で0ppm以上、100ppm未満であることが好ましい。より好ましくは、0ppm以上、20ppm未満である。上記金属分は、重合体分子に結合していてもよく、結合していなくともよいが、結合していない金属分の含有量が上記範囲であることがより好ましい。上記範囲であれば、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の色相がより良好になる傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、ハーゼン色数(APHA)で決定される初期の色相が、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下である。ハーゼン色数が上記の範囲より外れると、目視で黄変を確認しやすくなることから、外観を損なう傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法により製造することが可能であるが、他の方法で製造しても良い。
<(メタ)アクリル酸エステル重合体(組成物)の用途>
(可塑剤)
例えばアクリル樹脂フィルムは、透明性、耐候性、熱性形成などに優れることから、建材用途、光学用途など幅広い用途に使用されている。しかし、アクリル樹脂フィルムは、用途によっては耐折り曲げ性が不十分であったため、改善の要望があった。これに対しては、樹脂の各種性能を改善する目的で、可塑剤などの添加剤を用いることが行われている(例えば特開2003−171563号公報、特開2004−292650号公報など)。本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(組成物)は、アクリル樹脂に添加したときに、アクリル樹脂フィルム等の耐折り曲げ性の向上効果、耐ブリードアウト性を示すことから、樹脂フィルム等の可塑剤として好ましく使用することができる。
(その他の用途)
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(組成物)は、該重合体(組成物)の流動性、粘性、エステル基による親和性や密着性、良好な色相等の性質を利用して、オフセット印刷を目的とした印刷インキ溶剤、印刷インキ組成物及び印刷機用インキ洗浄剤、プラスチック添加剤、帯電防止剤、バイオディーゼル、燃料又はその添加剤、電気絶縁油、潤滑油、流出油回収剤、工業用洗浄剤、塗料用溶剤、ウレタン減粘剤、接着剤用溶剤、反応、分離精製及び抽出用溶剤、繊維工業用溶剤、などに利用することができる。
以下に、実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<分子量>
(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、以下の条件で測定を行った。
装置:東ソー HLC−8320
カラム:guardcolumn superHL、 TSKgel Super H2000
カラム温度:40℃
注入量:10μL
移動相:テトラヒドロフラン(和光純薬(株)社製、和光試薬特級、安定剤含有)
流速:0.6mL/min
検出器:RI
検量線:TSK standard POLYSTYRENE.
<末端ビニル基量>
(メタ)アクリル酸エステル重合体のH−NMRより、5.6ppm、6.2ppm付近の末端ビニル基由来のピークと4ppm付近の(メタ)アクリル酸エステルの酸素に近いメチレン鎖に由来するピークの比より、繰り返し単位に対するビニル基のモル比(mol%)を求めた。
<酸価>
200mLナスフラスコに試料5gと滴定溶剤A(和光純薬工業(株)社製、2−プロパノール:49.0−50.0v/v%、トルエン:49.0−50.0v/v%溶液)100mL、指示薬溶液(p−ナフトールベンゼン0.1gを滴定溶剤Aに溶解させた溶液)0.5mLを入れ、均一な溶液になるまで降り混ぜた。
ビュレットを用いて0.1mol/L KOH/イソプロパノール(iPrOH)溶液で滴定し、溶液の色が黄橙色から緑色に変わるまでに要した溶液の量(V1)を読み取った。
同様に試料なしで試験を行い、中和に要した量(V0)をブランクの値とした。
これらの値を下の計算式に当てはめて、酸価を算出した。
酸価(mgKOH/g)=(56.1×0.1×(V1−V0))/m (m:試料の質量(g))
<色相>
試験管に試料を10g加え、色差計(日本電色工業株式会社製:TZ6000)でハーゼン色数(APHA)を測定した。(規格:JIS K 0071−1)
<色相安定性>
試料1gを20mlのガラス製サンプル管に秤取し、循環式熱風乾燥機により、200℃で1時間加熱した。その後、目視で外観(色相)の変化を観察した。
○:変化なし
×:黄変。
〔製造例1〕
容量1000mlの加圧式撹拌槽型反応器に、溶媒として1−ブタノール178質量部を加えて密閉し、窒素ガスにより加圧、解圧を繰り返して反応器内部を窒素で置換した。電熱ヒーターにより、反応器内温度を170℃にまで昇温した後、ジ−t−ブチルパーオキシド(日油(株)社製、製品名:パーブチルD、開始剤)3.0質量部を1−ブタノール(反応器へ初期添加した溶媒と同じ種類の溶媒)290質量部へ均一に混合した開始剤溶液と、エチルアクリレート((メタ)アクリル酸エステル、以下EA。)59質量部を1−ブタノール(反応器へ初期添加した溶媒と同じ種類の溶媒)59質量部へ均一に混合したモノマー溶液を、高圧定量ポンプを用いてそれぞれ同時に反応器へ、2時間かけて連続的に投入し、反応器内の温度を170℃に保ったまま、30分間保持した。
その後、冷却し、反応器内の圧力が十分に低下したことを確認した後、解圧して内容物を取出し、溶媒を除去した。さらに、残存溶媒や残存モノマー等の低沸点成分を減圧除去することで無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(1))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(1)の重量平均分子量は420、数平均分子量は360、重合度は3.6、末端ビニル基量は0.01mol%未満、酸価は0.13mgKOH/g、色相(APHA)は57であった。
〔製造例2〕
製造例1において、反応温度を130℃に変更した他は、製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(2))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(2)の重量平均分子量は2150、数平均分子量は1220、重合度は12.2、末端ビニル基量は6.6mol%、酸価は0.07mgKOH/g、色相(APHA)は30であった。
〔製造例3〕
製造例1において、開始剤量を2.0質量%に変更した他は、製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(3))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(3)の重量平均分子量は980、数平均分子量は660、重合度は6.6、末端ビニル基量は4.3mol%、酸価は0.10mgKOH/g、色相(APHA)は19であった。
〔製造例4〕
製造例1において、反応温度を160℃、開始剤量を2.0質量%に変更した他は、製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(4))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(4)の重量平均分子量は1300、数平均分子量は810、重合度は8.1、末端ビニル基量は5.5mol%、酸価は0.08mgKOH/g、色相(APHA)は19であった。
〔製造例5〕
製造例1において、反応温度を160℃、開始剤量を2.5質量%、開始剤溶液の滴下時間を2時間半に延長した他は、製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(5))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(5)の重量平均分子量は1310、数平均分子量は810、重合度は8.1、末端ビニル基量は0.01mol%未満、酸価は0.07mgKOH/g、色相(APHA)は27であった。
〔製造例6〕
製造例5において、(メタ)アクリル酸エステルをn−ブチルアクリレート(以下、BA。)に変更した他は、製造例5と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(6))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(6)の重量平均分子量は1290、数平均分子量は820、重合度は6.4、末端ビニル基量は0.01mol%未満、酸価は0.07mgKOH/g、色相(APHA)は25であった。
〔製造例7〕
製造例1において、溶媒を2−ブタノール、反応温度を160℃、開始剤量を2.0質量%に変更した他は、製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(7))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(7)の重量平均分子量は960、数平均分子量は610、重合度は6.1、末端ビニル基量は5.4mol%、酸価は0.04mgKOH/g、色相(APHA)は18であった。
〔製造例8〕
製造例1において、溶媒を酢酸n−ブチルと1−ブタノールの混合溶媒(酢酸n−ブチル/1−ブタノール=3/1)、反応温度を200℃、開始剤量を5.0質量%に変更した他は、製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(8))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体(8)の重量平均分子量は1040、数平均分子量は690、重合度は6.9、末端ビニル基量は4.5mol%、酸価は0.10mgKOH/g、色相(APHA)は38であった。
〔比較製造例1〕
製造例1において、溶媒を酢酸n−ブチル、反応温度を200℃に変更した他は、製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル比較重合体(1))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル比較重合体(1)の重量平均分子量は1350、数平均分子量は820、重合度は8.2、末端ビニル基量は10.2mol%、酸価は0.10mgKOH/g、色相(APHA)は11であった。
〔比較製造例2〕
比較製造例1において、(メタ)アクリル酸エステルをn−ブチルアクリレート(以下、BA。)に変更した他は、比較製造例1と同様にして無色透明の重合体(本発明の(メタ)アクリル酸エステル比較重合体(2))を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル比較重合体(2)の重量平均分子量は1630、数平均分子量は1040、重合度は8.1、末端ビニル基量は14.8mol%未満、酸価は0.03mgKOH/g、色相(APHA)は17であった。
Figure 0006813303
<耐折り曲げ試験>
得られた試験片を180度折り曲げて、折り曲げ部の変化を目視で評価を行った。
○:折り曲げ部に白化は見られない。
×:折り曲げ部に白化が見られる、もしくは、割れが生じる。
<耐ブリードアウト試験>
得られた試験片を室内に保管し、1週間後に耐ブリードアウト性を評価した。
○:ブリードアウトなし
×:ブリードアウトあり。
〔実施例1〕
ポリメタクリル酸メチル(アルドリッチ社製、質量平均分子量35万)100質量部に対し、製造例1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(1)を10質量部添加後、溶融混練し、得られた樹脂を、押し出し機を用いて0.5mmのフィルム試験片を得た。この試験片について耐折り曲げ性試験及び耐ブリードアウト性試験を行った。結果を表2に示す。
〔実施例2〜8、比較例1〕
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステル重合体(1)の代わりに、下表にて対応する各(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いる他は実施例1と同様にして、フィルム試験片を得た。この試験片について耐折り曲げ性試験及び耐ブリードアウト性試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006813303
表1において、製造例1〜8および比較製造例1〜2の結果から、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法は、水素添加工程を必須としなくても主鎖末端ビニル基の少ない低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体を提供できることが明らかとなった。
また、表2の結果から、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、アクリル樹脂フィルムの耐折り曲げ性が良好であり、耐ブリードアウト性にも優れることが明らかとなった。
さらに、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、良好な色相を有していたことから、例えばアクリル樹脂フィルムの可塑剤として好ましく使用できることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸エステルを、アルコール存在下で重合する工程を含む(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法であって、
    該アルコールは1−ブタノール、及び/又は、2−ブタノールであり、
    重合温度が160〜170℃であり、
    該(メタ)アクリル酸エステル重合体の末端ビニル基の含有量が、該(メタ)アクリル酸エステル重合体における繰り返し単位に対して、0モル%以上、10モル%以下であり、
    該(メタ)アクリル酸エステル重合体の数平均分子量が3000未満であり、重量平均分子量が4500未満であり、
    該重合する工程で使用する全単量体成分において、該(メタ)アクリル酸エステルを使用する割合が80質量%以上、100質量%以下である、
    (メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体の数平均分子量が1000未満であり、重量平均分子量が2000未満である、
    請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体の末端ビニル基の含有量が、該(メタ)アクリル酸エステル重合体における繰り返し単位に対して、0モル%以上、6モル%以下である、
    請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。
  4. 前記重合する工程で使用する全単量体成分において、前記(メタ)アクリル酸エステルを使用する割合が90質量%以上、100質量%以下である、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。

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