JP2019210352A - (メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びそれを含む潤滑油 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びそれを含む潤滑油 Download PDF

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Abstract

【課題】安定性に優れた(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ならびにそれを含む潤滑油を提供すること。【解決手段】(A)アクリル酸エステルに由来する構造単位と、(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の少なくとも1つの構造単位とを有し、化学安定性試験における試験後酸価が1.0mgKOH/g以下である、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びそれを含む潤滑油に関する。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、その流動性、粘性、エステル基による親和性や密着性、良好な色調等の性質を利用して、可塑剤、潤滑油等の種々の用途に利用することが提案されている。特許文献1には、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を80〜100質量%含む(メタ)アクリル酸エステル重合体が記載されている。この重合体は、色調に優れ、可塑剤として使用できることが記載されている。また、特許文献2には、低温流動性の改善を目的として、重量平均分子量が500〜5,000であるアルキル(メタ)アクリレート系重合体が記載されている。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の種々の用途において、特に潤滑油等に使用する場合には、高い安定性が求められている。
特開2018−2941号公報 特開2016−17170号公報
本発明は、安定性に優れた(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ならびにそれを含む潤滑油を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。
すなわち本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体[以下、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)と表す]は、(A)アクリル酸エステルに由来する構造単位と;(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の少なくとも1つの構造単位と;を有し、下記の化学安定性試験における試験後酸価が1.0mgKOH/g以下である。
化学安定性試験:(メタ)アクリル酸エステル共重合体10gと撹拌子を試験管に入れ、水3000ppmを加えた後で密閉し、オイルバスの中で180℃まで昇温し、100時間撹拌加熱する
また、本発明の別の(メタ)アクリル酸エステル共重合体[以下、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)と表す]は、(A)アクリル酸エステルに由来する構造単位と;(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の少なくとも1つの構造単位と;を有し、上記(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の合計含有量が、共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、20質量%超である。
また、本発明の潤滑油は、上記何れかのアクリル酸エステル共重合体を含んでいる。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)、(II)ならびにそれを含む潤滑油によれば、安定性に優れた(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ならびにそれを含む潤滑油を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<(メタ)アクリル酸エステル共重合体>
1.(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)は、(A)アクリル酸エステルに由来する構造単位と;(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の少なくとも1つの構造単位と;を有し、化学安定性試験における試験後酸価が1.0mgKOH/g以下である。
上記化学安定性試験としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体10gと撹拌子を試験管に入れ、水3000ppmを加えた後で密閉し、オイルバスの中で180℃まで昇温し、100時間撹拌加熱する。
試験後酸価は、上記化学安定性試験後の(メタ)アクリル酸エステル共重合体を室温まで冷却し、通常の方法で測定する。具体的には、例えば、試料と滴定溶剤Aと指示薬溶液を均一な溶液になるまで混合後、KOH溶液で滴定し、溶液の色が黄橙色から緑色に変わるまでに要した溶液の量(V1)を読み取る。同様に試料なしで試験を行い、中和に要した量(V0)をブランクの値とし、これらの値を下の計算式に当てはめて、酸価を算出できる。
酸価(mgKOH/g)=(56.1×0.1×(V1−V0))/m [m:試料の質量(g)]
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)では、化学安定性試験における試験後酸価が1.0mgKOH/g以下であり、1.0mgKOH/g未満であることが好ましく、0.9mgKOH/g未満であることがより好ましく、0.8mgKOH/g未満であることがさらに好ましい。化学安定性試験における試験後酸価がこのような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の安定性が向上する。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)における(A)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、30質量%以上100質量%未満であることが好ましく、40質量%以上100質量%未満であることがより好ましい。また、(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の合計含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、0質量%超70質量%以下であることが好ましく、0質量%超60質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の安定性が向上する傾向にある。
上記合計含有量は、(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位のうち、何れか1種類のみが含まれている場合には、その含有量であり、何れか2種類のみが含まれている場合には、その2種類の合計含有量であり、3種類すべてが含まれている場合には、3種類すべての合計含有量である。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)における(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、0質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の安定性が向上する傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)における(C)ビニルエーテルに由来する構造単位の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の安定性が向上する傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)における(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、0質量%以上80質量%以下であることが好ましく、0質量%以上超70質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の安定性が向上する傾向にある。
2.(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)と別の様態である、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)は、(A)アクリル酸エステルに由来する構造単位と;(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の少なくとも1つの構造単位と;を有し、上記(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の合計含有量が、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、20質量%超である。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)における(A)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、80質量%未満であり、30質量%以上80質量%未満であることが好ましく、40質量%以上80質量%未満であることがより好ましい。
また、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)における、(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の合計含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、20質量%超であり、20質量%超70質量%以下であることが好ましく、20質量%超60質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の安定性が向上する。
上記合計含有量は、(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位のうち、何れか1種類のみが含まれている場合には、その含有量であり、何れか2種類のみが含まれている場合には、その2種類の合計含有量であり、3種類すべてが含まれている場合には、3種類すべての合計含有量である。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)における(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の安定性が向上する傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)における(C)ビニルエーテルに由来する構造単位の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の安定性が向上する傾向にある。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)において(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位は必須ではないが、含まれている場合の含有量は、上記共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の安定性が向上する傾向にある。
3.(メタ)アクリル酸エステル[(A)アクリル酸エステルおよび/または(D)メタクリル酸エステル]
本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、(A)アクリル酸エステルおよび/または(D)メタクリル酸エステルを表す。また、「(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位」とは、(メタ)アクリル酸エステルの炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合に置き換わった構造の構造単位であり、典型的には(メタ)アクリル酸エステルが重合して形成される構造単位である。ただし、実際に(メタ)アクリル酸エステルが重合して形成された構造単位に限らず、(メタ)アクリル酸エステルの炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合に置き換わった構造の構造単位であれば、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位に該当する。例えば、アクリル酸エチル、CH=CHCOOC、に由来する構造単位は、−CH−CH(COOC)−、と表すことができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、特に制限は無いが、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を、−CH−CR(COOR)−と表したときに、Rは、水素原子またはメチル基であるが、Rは、炭素数1〜30の有機基であることが好ましく、炭素数1〜18の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜8の有機基であることがさらに好ましい。
上記有機基としては、アルキル基(直鎖状、分岐状、環状等)、アルケニル基(直鎖状、分岐状、環状等)、アリール基、ヘテロアリール基等が例示され、これらは置換基を有していても良い。なお、置換基を有する有機基を「置換の有機基」、置換基を有しない有機基を「無置換の有機基」ということがある。例えば、置換のアルキル基とは、アルキル基の水素原子の1または2以上が置換基で置換された構造を有する基を表す。上記置換基としては、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシ基、カルボキシエステル基、カルボキシアミド基、スルホン酸基、リン酸基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が例示され、置換基はさらに置換基を有していても良い。なお、上記有機基が置換基を有する場合、上記有機基の有する置換基の数、置換基の炭素数等は特に制限されないが、置換の有機基が全体として上記炭素数(1〜30、好ましくは、1〜18、より好ましくは1〜8)であることが好ましい。
上記有機基としては、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基であることがより好ましく、置換または無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。
4.(B)カルボン酸ビニル
(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位についても、同様に、カルボン酸ビニルの炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合に置き換わった構造の構造単位であり、典型的にはカルボン酸ビニルが重合して形成される構造単位である(ただし、同様に、実際にカルボン酸ビニルが重合して形成された構造単位に限定されない)。
5.(C)ビニルエーテル
(C)ビニルエーテルに由来する構造単位についても、同様に、ビニルエーテルの炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合に置き換わった構造の構造単位であり、典型的にはビニルエーテルが重合して形成される構造単位である(ただし、同様に、実際にビニルエーテルが重合して形成された構造単位に限定されない)。
6.その他の単量体
後述する「その他の単量体」に由来する構造単位についても、同様に、その他の単量体の炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合に置き換わった構造の構造単位であり、典型的にはその他の単量体が重合して形成される構造単位である(ただし、同様に、実際にその他の単量体が重合して形成された構造単位に限定されない)。
7.平均分子量
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)で決定される数平均分子量が、好ましくは5000未満、より好ましくは3000未満、更に好ましくは2000未満、特に好ましくは1000未満である。また、GPCで決定される重量平均分子量が、好ましくは7500未満、より好ましくは4500未満、さらに好ましくは3000未満、特に好ましくは2000未満である。分子量が上記の範囲より外れると、粘度が高くなることから取扱い性が低下する傾向にあり、また、各種樹脂との相溶性が低下する傾向にある。なお、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーは、後述する条件で測定することができる。
8.酸価
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、酸価が0以上、0.5mgKOH/g以下であることが好ましく、0以上、0.3mgKOH/g以下であることがより好ましく、0以上、0.2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、色相がより良好になる傾向にあり、また、金属などに対する腐食性も十分に抑えられるため、潤滑剤としてより好ましく使用できる傾向にある。なお、酸価は、後述する条件で測定することができる。
9.イオウ分
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、イオウ分の含有量が、上記共重合体の質量に対し、硫黄原子換算(硫黄原子として計算することをいい、例えば−SH基でも、Sとして質量計算することをいう)で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。なお、本明細書において「イオウ分」とは、硫黄原子を含むイオン、化合物、基等をいう。本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、上記共重合体分子に結合しているイオウ分の含有量が上記範囲であることが好ましく、主鎖末端に含まれるイオウ分の含有量が上記範囲であることがより好ましい。上記共重合体に含まれる硫黄分が多くなると、上記共重合体の色調が低下する傾向にある。
10.リン分
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、リン分の含有量は、上記共重合体の質量に対し、リン原子換算(リン原子として計算することをいい、例えば−OPO(OH)基でも、Pとして質量計算することをいう)で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。なお、本明細書において「リン分」とは、リン原子を含むイオン、化合物、基等をいう。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、上記共重合体分子に結合しているリン分の含有量が上記範囲であることが好ましく、主鎖末端に含まれるリン分の含有量が、上記範囲であることがより好ましい。上記範囲であれば、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)の色調がより良好になる傾向にある。
イオウ分の含有量やリン分の含有量は、例えばICP発光分析法により定量することが可能である。本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)において、リン含有化合物やイオウ含有化合物が不純物として存在している場合、上記共重合体分子に結合しているリン分やイオウ分の含有量は、該不純物を液体クロマトグラフィーやガクスロマトグラフィーで定量し、ICP発光分析法の測定結果から除することにより算出しても良い。
11.金属分
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、金属分の含有量は、上記共重合体の質量に対し、金属原子換算(金属原子として計算することをいう)で0ppm以上、100ppm未満であることが好ましい。より好ましくは、0ppm以上、20ppm未満である。なお、金属原子とは周期律表の第1族から第12族までの原子をいう。上記金属分は、上記共重合体分子に結合していてもよく、結合していなくともよいが、結合していない金属分の含有量が上記範囲であることがより好ましい。上記範囲であれば、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)の色調がより良好になる傾向にある。金属分の含有量は、ICP発光分析法により定量することが可能である。
12.末端ビニル基の含有量
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)及び(II)では、末端ビニル基の含有量が0質量%以上1質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0質量%以上0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%以上0.3質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。上記範囲であれば、安定性が顕著に良好となる傾向にあり、例えば長時間、高温にさらされても分子量の変化や色目の変化が小さくなる傾向にある。末端ビニル基の含有量は、例えばH−NMRより、末端ビニル基と単量体構造のモル比を評価し、質量比に換算することにより算出することができる。
<(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物>
(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)または(II)を含む。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物は、例えば、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)または(II)を35質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、50質量%以上100質量%以下含むことがより好ましく、70質量%以上100質量%以下含むことがさらに好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物は、有機溶媒を含んでいても良い。有機溶媒としては、後述する本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の製造方法の重合に用いられる有機溶媒として例示するものが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物の有機溶媒の含有量は、例えば、0質量%以上65質量%以下であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物は、イオウ分の含有量が、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の各質量に対し、硫黄原子換算で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物は、リン分の含有量は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の各質量に対し、リン原子換算で0ppm以上、1000ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、100ppm未満であることがより好ましく、0ppm以上、10ppm未満であることがさらに好ましく、0ppm以上、2ppm未満であることが特に好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物は、金属分の含有量は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の各質量に対し、金属原子換算(金属原子として計算することをいう)で0ppm以上、100ppm未満であることが好ましい。より好ましくは、0ppm以上、20ppm未満である。なお、金属原子とは周期律表の第1族から第12族までの原子をいう。
<(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の製造方法>
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステルを必須とする単量体成分を重合する工程(重合工程)を必須とする。
上記製造方法において、(メタ)アクリル酸エステルとは上記のとおりであるが、(メタ)アクリル酸エステルをCH=CRCOOR、ただしRは水素原子またはメチル基である、で表した場合、Rの形態、好ましい形態は、特に言及する場合を除き、上記−CH−CR(COOR)−、におけるRの形態、好ましい形態と同様である。
上記重合工程で使用する単量体(単量体成分)に対する、(A)アクリル酸エステルを使用する割合は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の製造方法においては、30質量%以上100質量%未満であることが好ましく、40質量%以上100質量%未満であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の製造方法においては、80質量%未満であり、30質量%以上80質量%未満であることが好ましく、40質量%以上80質量%未満であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の安定性が向上する傾向にある。
上記重合工程で使用する単量体(単量体成分)に対する、(B)カルボン酸ビニル、(C)ビニルエーテル、および(D)メタクリル酸エステルの合計使用量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の製造方法においては、0質量%超70質量%以下であることが好ましく、0質量%超60質量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の製造方法においては、20質量%超であり、20質量%超70質量%以下であることが好ましく、20質量%超60質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の安定性が向上する傾向にある。
(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の合計使用量は、何れか1種類のみが含まれている場合には、その使用量であり、何れか2種類のみが含まれている場合には、その2種類の合計使用量であり、3種類すべてが含まれている場合には、3種類すべての合計使用量である。
上記重合工程で使用する単量体(単量体成分)に対する、(B)カルボン酸ビニルを使用する割合は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の製造方法においては、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、0質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の製造方法においては、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の安定性が向上する傾向にある。
上記重合工程で使用する単量体(単量体成分)に対する、(C)ビニルエーテルを使用する割合は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の製造方法においては、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の製造方法においては、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の安定性が向上する傾向にある。
上記重合工程で使用する単量体(単量体成分)に対する、(D)メタクリル酸エステルを使用する割合は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)の製造方法においては、0質量以上超80質量%以下であることが好ましく、0質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(II)の製造方法においては、(D)メタクリル酸エステルは必須ではないが、含まれている場合には、10質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲である場合に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の安定性が向上する傾向にある。
上記(メタ)アクリル酸エステル[(A)アクリル酸エステル、または(D)メタクリル酸エステル]としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸ブチルなどのα−ヒドロキシアルキルアクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリル酸誘導体類;(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸トリパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、パーフルオロエチレンなどの(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル類;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのケイ素含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体類などが挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
上記(B)カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
上記(C)ビニルエーテルとしては、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法で使用する単量体(単量体成分)は、(A)アクリル酸エステル、(B)カルボン酸ビニル、(C)ビニルエーテル、(D)メタクリル酸エステル以外の単量体(その他の単量体という)を含んでいても良い。その他の単量体としては、少なくとも一つのラジカル重合性基を有する化合物であれば良いが、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、メチレングルタル酸ジブチル等の不飽和ジカルボン酸エステル(モノ、ジ);(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の不飽和アミン化合物;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド等の不飽和アミド化合物;スチレン、インデン等のビニル芳香族系単量体;オクテン、ブタジエン等の、オレフィン類;などが挙げられる。これらを使用する場合には、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記重合工程で使用する単量体(単量体成分)に対する、その他の単量体を使用する割合は0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下使用することがより好ましく、0質量%以上5質量%以下使用することがさらに好ましい。
上記重合工程における重合反応は、ジアルキルパーオキシド、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイドから選択される1種または2種以上の過酸化物の存在下で実施される。上記の過酸化物の存在下で実施することにより、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量や、色調を適切な範囲にすることが可能となる。
上記過酸化物は、重合工程において、主として重合開始剤として作用する。
上記過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジ−t−アミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキシド;t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーベンゾエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキサイド;が例示される。
上記過酸化物は1種または2種以上で用いられる。上記重合工程における、上記過酸化物の使用量は、上記モノマー混合物に対して、例えば、0.5〜10質量%である。
上記過酸化物は、開封後の保管状態が悪いと過酸化物の酸価が経時的に増加し、そのような過酸化物を使用すると、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の酸価が増加する傾向にある。よって、上記過酸化物は開封後、極力不活性雰囲気下で保管すると共に、極力早期に使用することが好ましい。好ましくは、過酸化物は開封後3か月以内に使用することが好ましい。また、メーカーから購入する場合は、納品後、6ヶ月以内が好ましい。
上記重合工程においては、連鎖移動剤を併用することも可能である。連鎖移動剤としては、次亜リン酸(塩)、亜リン酸(塩)等のリン化合物;亜硫酸水素塩、メルカプトプロピオン酸(塩)、ドデカンチオール等の硫黄化合物;等が例示される。しかしながら、リン分やイオウ分が共重合体に導入されたり、共重合体組成物に混入した場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の色調が低下したり、可塑性等の諸物性が経時劣化しやすくなる傾向にあるため、リン化合物や硫黄化合物の使用量は極力抑えることが好ましい。
例えば、リン化合物や硫黄化合物の使用量をそれぞれ上記過酸化物に対して0質量%以上50質量%未満に抑えることが好ましく、0質量%以上20質量%未満に抑えることがより好ましく、0質量%以上10質量%未満に抑えることがさらに好ましい。
また、上記リン化合物や硫黄化合物の使用量は、(メタ)アクリル酸エステルの使用量に対して0質量%以上2質量%未満に抑えることが好ましく、0質量%以上1質量%未満に抑えることがより好ましく、0質量%以上0.5質量%未満に抑えることがさらに好ましい。
上記重合工程においては、同様に、金属成分の添加も極力抑えることが好ましい。金属成分の混入を抑制すると、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の色調や可塑性等の諸物性の経時劣化をより好ましく抑制できる傾向にある。本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体の質量に対し、金属原子換算(金属原子として計算することをいう)で0ppm以上100ppm未満であることが好ましい。より好ましくは、0ppm以上20ppm未満である。
上記重合工程は、溶剤を使用せずに実施することも可能であるが、色調が良好になる傾向にあることから、溶剤を使用することが好ましい。重合に用いられる有機溶剤としては、炭化水素系、エステル系、ケトン系、アルコール系、エーテル系などの種々のものが利用できるが、重合温度を考慮すると、100℃以上の沸点を有する溶剤を用いることが好ましい。なお、これらの溶剤は2種以上を組合せて使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の色調がより向上する傾向にあることから、単量体100質量部に対して50〜1000質量部の有機溶剤を使用することが好ましい。
上記重合工程は、反応温度を120℃以上、230℃以下で行う。上記範囲を外れると、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の色調が低下する傾向にある。好ましくは、130℃以上、220℃以下であり、より好ましくは、150℃以上、210℃以下である。なお、重合温度は一定で行う必要は無く、重合温度を変動させても良い。
上記重合工程は、常圧下、減圧下、加圧下のいずれの条件下で行っても良いが、加圧下で行うことが好ましい。また、上記重合工程は、不活性雰囲気下で行っても良いが、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気下で行う場合、反応器(重合釜等)に、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどを添加しながら重合反応を実施しても良く、予め反応器を不活性気体で置換した後に重合反応を実施しても良い。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)は、共重合体主鎖末端に不飽和二重結合が形成される傾向にある。例えば還元工程を設けることにより、主鎖末端の不飽和二重結合に水添処理しても良い。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)の製造方法は、上記重合工程を必須に含むが、その他の工程を含んでいても良い。例えば、精製工程、触媒不活性化工程、希釈工程、濃縮工程、抽出工程、水添工程、エステル交換工程、未反応原料の回収工程、反応生成物を溶剤や水で洗浄する工程(洗浄工程)、反応生成物を活性炭や無機吸着剤等の固体吸着剤で処理する工程、不純物を溶剤で抽出する工程、反応生成物や反応原料をろ過する工程、等が例示される。
<本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)、(II)ならびに、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)または(II)を含む組成物の用途>
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)、(II)ならびに、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)または(II)を含む組成物は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(組成物)の流動性、粘性、エステル基による親和性や密着性、良好な色調等の性質を利用して、オフセット印刷を目的とした印刷インキ溶剤、印刷インキ組成物及び印刷機用インキ洗浄剤、プラスチック添加剤、帯電防止剤、バイオディーゼル、燃料又はその添加剤、電気絶縁油、潤滑油、流出油回収剤、工業用洗浄剤、塗料用溶剤、ウレタン減粘剤、接着剤用溶剤、反応、分離精製及び抽出用溶剤、繊維工業用溶剤、などに利用することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<化学安定性試験>
(メタ)アクリル酸エステル重合体10gと撹拌子を試験管に入れ、水3000ppmを加えた後で密閉し、オイルバスの中で180℃まで昇温し、100時間撹拌加熱した。その後、室温まで冷却し、(メタ)アクリル酸エステル重合体の酸価を測定した。酸価の測定方法は後述する。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の分子量(重量平均分子量、数平均分子量)、末端ビニル基量、及び、酸価は、それぞれ以下の方法により行った。
<分子量測定>
重合体の重量平均分子量、数平均分子量は、以下の装置及び条件によりGPC(ゲルパーミネーションクロマトクラフィー)で測定した。
装置:東ソー HLC−8320
カラム:guardcolumn superHL、TSKgel Super H2000
カラム温度:40℃
注入量:10μL
移動相:テトラヒドロフラン(和光試薬特級 安定剤含有)
流速:0.6mL/min
検出器:RI
検量線:TSK standard POLYSTYRENE
<末端ビニル基量測定>
(メタ)アクリル酸エステル系重合体のH−NMRより、5.6ppm、6.2ppm付近の末端ビニル基由来のピークと4ppm付近の(メタ)アクリル酸エステルの酸素に近いメチレン鎖に由来するピークとの比より、繰り返し単位に対するビニル基のモル比(mol%)を求めた。
<酸価>
200mLナスフラスコに試料5gと滴定溶剤A[和光純薬工業(株)社製、2−プロパノール:49.0−50.0v/v%、トルエン:49.0−50.0v/v%溶液]100mL、指示薬溶液(p−ナフトールベンゼン0.1gを滴定溶剤Aに溶解させた溶液)0.5mLを入れ、均一な溶液になるまで振り混ぜた。
ビュレットを用いて0.1mol/L KOH/イソプロパノール(iPrOH)溶液で滴定し、溶液の色が黄橙色から緑色に変わるまでに要した溶液の量(V1)を読み取った。
同様に試料なしで試験を行い、中和に要した量(V0)をブランクの値とした。
これらの値を下の計算式に当てはめて、酸価を算出した。
酸価(mgKOH/g)=(56.1×0.1×(V1−V0))/m [m:試料の質量(g)]
<色調>
試験管に試料を10g加え、色差計(日本電色工業株式会社製:TZ6000)でハーゼン色数(APHA)を測定した。(規格:JIS K 0071−1)
<製造例1>
(重合工程)
容量2000mlの加圧式攪拌槽型反応装置に、溶媒として酢酸ブチル260質量部を加えて密栓し、窒素ガスにより加圧、解圧を繰り返して反応器内部を窒素で置換した。電熱ヒーターにより、反応器内温度を200℃まで昇温した後、パーブチルD[日油(株)社製、製品名:パーブチルD、開始剤]0.16質量部を酢酸ブチル(反応器へ初期添加した溶媒と同じ種類の溶媒)340質量部へ均一に混合した開始剤溶液と、2−エチルヘキシルアクリレート[(A)アクリル酸エステルに対応、以下2EHA]82.9質量部とエチルメタクリレート[(D)メタクリル酸エステルに対応、以下EMA]77.1質量部とを酢酸ブチル20質量部へ均一に混合したモノマー溶液を、高圧定量ポンプを用いてそれぞれ同時に反応器へ、2時間かけて連続的に投入し、反応器内の温度を200℃に保ったまま、60分間保持した。
その後、冷却し、反応器内の圧力が十分に低下したことを確認した後、解圧して内容物を取り出し、溶媒を除去した。さらに残存溶媒や残存モノマー等の低沸点成分を減圧留去することで、無色透明の重合体を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。さらに吸着剤処理工程を実施し、無色透明の重合体[(メタ)アクリル酸エステル共重合体(1)]を得た。
得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(1)の重量平均分子量は1800、重合度7.4、末端ビニル基は3.3mol%、酸価は0.07mgKOH/gであった。
<製造例2>
実施例1において、EMAをプロピオン酸ビニル[(B)カルボン酸ビニルに対応]77.1質量部に変更した他は、実施例1と同様にして無色透明の重合体[(メタ)アクリル酸エステル共重合体(2)]を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(2)の重量平均分子量は2300、重合度は9.5、末端ビニル基量は4.2mol%、酸価は0.11mgKOH/gであった。
<製造例3>
実施例1において、2EHAを56.0質量部、EMAをブチルメタクリレート[(D)メタクリル酸エステルに対応、以下BMA)104.0質量部に変更した他は、実施例1と同様にして無色透明の重合体[(メタ)アクリル酸エステル共重合体(3)]を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(3)の重量平均分子量は1340、重合度は6.7、末端ビニル基量は3.4mol%、酸価は0.05mgKOH/gであった。
<製造例4>
実施例1において、2EHAを120質量部、EMAをブチルビニルエーテル[(C)ビニルエーテルに対応]40質量部に変更した他は、実施例1と同様にして無色透明の重合体[(メタ)アクリル酸エステル共重合体(4)]を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(4)の重量平均分子量は1500、重合度は6.8、末端ビニル基量は5.2mol%、酸価は0.13mgKOH/gであった。
<製造例5>
実施例1において、EMAを16質量部、2EHAを144質量部に変更した他は、実施例1と同様にして無色透明の重合体[(メタ)アクリル酸エステル共重合体(5)]を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(5)の重量平均分子量は1970、重合度は8.1、末端ビニル基量は2.3mol%、酸価は0.08mgKOH/gであった。
<比較製造例1>
実施例1において、EMA、2EHAをブチルアクリレート160質量部に変更した他は、実施例1と同様にして無色透明の重合体[(メタ)アクリル酸エステル重合体(6)]を得た。なお、残存単量体は1000ppm未満であった。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(6)の重量平均分子量は1940、重合度は9.4、末端ビニル基量は3.1mol%、酸価は0.07mgKOH/gであった。
<実施例1>
製造例1で得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(1)に対し、上述した化学安定性試験を行った。
すなわち、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(1)10gと撹拌子を試験管に入れ、水3000ppmを加えた後で密閉し、オイルバスの中で180℃まで昇温し、100時間撹拌加熱した。その後、室温まで冷却し、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(1)の酸価(試験後酸価)を測定した。
<実施例2〜5>
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(1)の代わりに、下表にて対応する各(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いる他は実施例1と同様にして、化学安定性試験を実施し、試験後酸価を測定した。
<比較例1>
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(1)の代わりに、下表にて対応する(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いる他は実施例1と同様にして、化学安定性試験を実施し、試験後酸価を測定した。
Figure 2019210352
表1に示すように、実施例の(メタ)アクリル酸エステル共重合体では、化学安定性試験における試験後酸価が1.0mgKOH/g以下となった。また、(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の合計含有量が、共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、20質量%超である実施例1〜4では、試験後酸価が0.7mgKOH/g以下となった。これらの結果から、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(I)ならびに(II)は、安定性に優れることが明らかとなった。

Claims (3)

  1. (A)アクリル酸エステルに由来する構造単位と、
    (B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の少なくとも1つの構造単位とを有し、
    下記の化学安定性試験における試験後酸価が1.0mgKOH/g以下である、
    (メタ)アクリル酸エステル共重合体。
    化学安定性試験:(メタ)アクリル酸エステル共重合体10gと撹拌子を試験管に入れ、水3000ppmを加えた後で密閉し、オイルバスの中で180℃まで昇温し、100時間撹拌加熱する
  2. (A)アクリル酸エステルに由来する構造単位と、
    (B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の少なくとも1つの構造単位とを有し、
    前記(B)カルボン酸ビニルに由来する構造単位、(C)ビニルエーテルに由来する構造単位、および(D)メタクリル酸エステルに由来する構造単位の合計含有量が、共重合体に含まれる単量体に由来する構造単位100質量%中、20質量%超である、
    (メタ)アクリル酸エステル共重合体。
  3. 請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む、潤滑油。
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