JP2015124233A - 含フッ素2ブロック共重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体蓄積性が低い含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを原料として用いて、良好な撥水撥油性を有する含フッ素2ブロック共重合体を提供する。【解決手段】(A法)トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合した後に、非フッ素ビニル系単量体を重合して含フッ素2ブロック共重合体を製造する方法、または、(B法)トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合した後に、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合して含フッ素2ブロック共重合体を製造する方法により製造される含フッ素2ブロック共重合体。【選択図】なし

Description

本発明は含フッ素ブロック共重合体に関する。さらに詳しくは、生体蓄積性の低い含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合体ブロックを含む含フッ素2ブロック共重合体に関する。
CH2=CHCO2CH2CH2−RfまたはCH2=C(CH3)CO2CH2CH2−Rfのような含フッ素(メタ)アクリル酸エステルは繊維用撥水撥油剤の原料モノマーとして多量に使用されている。しかしながら近年、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基(Rf)を有する上記モノマーは生体蓄積性が高いことから、その使用が困難となっている。この問題を回避するために、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを使用することが推奨されている。その一例として、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを使用した含フッ素ブロック共重合体が報告されている(特許文献1〜5)。
しかしながら、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素(メタ)アクリレートを原料として用いた含フッ素ブロック共重合体は、満足のいく機水撥油性能を発現しない場合があった。
一方ブロック重合体製造技術に関しては、リビングラジカル重合技術の進歩に伴い、重合体の分子量、分子末端、分子量分布、分子鎖分子配列を精密に制御することができるようになった。特に可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシドを介したラジカル重合(NMP)等に代表される制御リビングラジカル重合では、アニオン重合等における低温重合およびモノマーの厳密な精製が不要であり、またモノマーの適用範囲が広いといった特長がある。さらに通常のラジカル重合条件で容易に行うことができる利点があり(工業的汎用性)、種々の構造及び機能をもつブロック共重合体を容易に作製することが可能となっている(非特許文献1〜3)。
この中で、非特許文献1には、RAFT重合について、反応機構の検討、および置換基による反応性の検討などを含めて種々の研究がなされていることが記載されている。また、非特許文献2には、ATRPについても種々の研究がなされていることが記載されている。非特許文献3には、ニトロキシドが介在するリビングフリーラジカル重合によって、種々のビニル系モノマーの重合を制御する試みが記載されている。
特開2004-300313号 特開2006-63132号 特開2008-297522号 特開2009-242550号 特開2010-235784号 特許第4674604号
Moad, G. et al., Aust. J. Chem. 2005, 58, 379-410 Matyjaszewski, K. et al., Chem. Rev. 2001, 101, 2921-2990 Benoit, D. et al., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 3904 Koiry, B.P. et al., J. Fluorine Chem. 2013, 153, 137-142
本発明の目的は、生体蓄積性が低い含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを原料として用いて、良好な撥水撥油性を有する含フッ素2ブロック共重合体を提供することである。
生体蓄積性が低く環境負荷が小さい撥水撥油剤の原料モノマーとして、フルオロアルキル基が−(CF2CF2a(CF2CH2b−Cn2n+1である含フッ素(メタ)アクリル酸エステルが報告されている(特許文献6)。
上記式中のCH2基が環境中において脱HF反応を誘起し、ひき続き酸素酸化によって生体蓄積性の低い炭素数6以下のフルオルアルキル基断片に分解される。
しかしながら、このような含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含む含フッ素ブロック共重合体に関しては報告例が無かった。
本発明者らはこのような状況に鑑み鋭意研究した結果、RAFT重合によりフルオロアルキル基が−(CF2CF2a(CF2CH2b−Cn2n+1である含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を有する含フッ素2ブロック共重合体を容易かつ効率的に製造できることを見出した。
本発明によって、下記(A法)および(B法)のいずれかにより製造される含フッ素2ブロック共重合体が提供される:
(A法)
〔第一工程〕トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合し、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を製造する工程と、
〔第二工程〕前記第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合して含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程と
を含む製造方法;
(B法)
〔第一工程〕トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合し、非フッ素ビニル系単量体の重合体を製造する工程と、
〔第二工程〕前記第一工程で得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体存在下、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合して含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程と
を含む製造方法;
Figure 2015124233
(上記一般式(1)中、
1は水素原子またはメチル基であり、
aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数であり、
−Cn2n+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
−(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。)。
本発明によって提供される含フッ素2ブロック共重合体は良好な撥水撥油性能を有しており、表面処理剤、離型剤等に応用できる。
実施例1−1で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 比較例1−1で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 比較例1−2で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 実施例1−3で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 実施例2−1で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 実施例2−3で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の含フッ素2ブロック共重合体は、下記(A)法および(B)法のいずれかにより製造される含フッ素2ブロック共重合体である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」という語句は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を包含する概念として用いられる。また、化合物や溶媒について付される「非フッ素」なる語句は、「含フッ素」ではないこと、すなわち、分子内にフッ素原子を含まないことを明確にする意味で用いられる。
[(A)法]
まず、(A)法から説明する。
本発明で用いられる(A)法は、下記第一工程と、下記第二工程とを含む。
なお、後述する(B)法における第一工程および第二工程との区別のため、下記第一工程および第二工程は、それぞれ「(A)法第一工程」および「(A)法第二工程」と呼ばれる場合がある。
〔第一工程((A)法第一工程)〕
本発明で用いられる(A)法において、第一工程は、トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合し、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を製造する工程である:
Figure 2015124233
(上記一般式(1)中、
1は水素原子またはメチル基であり、
aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数であり、
−Cn2n+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
−(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。)。
(A)法第一工程で用いられる含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(1)において、R1は水素原子またはメチル基である。nは1〜6の整数であり、好ましくは2または4である。aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数である。特にaは1または2であることが好ましい。
このような含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(1)の具体例として、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,ll,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルメタクリレート、
が挙げられる。
特に、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレートまたは
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルメタクリレート
が好ましい。
(A)法第一工程において、トリチオ炭酸エステル化合物はRAFT剤として用いられる。(A)法第一工程で用いられるトリチオ炭酸エステル化合物は、特に限定はないものの、重合速度および重合収率の観点から、本発明では、下記一般式(2)で表されるものを好適に用いることができる。
Figure 2015124233
上記式(2)において、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、R2およびR3どちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。好ましいR2およびR3として、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−カルボキシエチル基等が挙げられる。R4は炭素数1〜18の直鎖状アルキル基である。トリチオ炭酸エステル化合物の耐加水分解性を考慮すると、R4として炭素数6〜18の直鎖状アルキル基が好ましい。
トリチオ炭酸エステル化合物の好適な具体例としては、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオ炭酸エステル、4−シアノ−4−〔(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル〕ペンタン酸、シアノメチルドデシルトリチオ炭酸エステル等が挙げられる。
ここで、従来技術には、クミルジチオベンゾエート、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートおよび2−シアノ−2−プロピルジチオベンゾエート等のジヂオベンゾエート化合物をRAFT化剤として用いるものが知られており、例えば、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独のRAFT重合例がいくつか、報告されている(非特許文献4およびその引用文献参照)。しかしながら、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルとしては、側鎖フルオロアルキル鎖が短い含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに限られており重合手法として一般性に欠ける。また非特許文献4で用いられている4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートの類似化合物である2−シアノ−2−プロピルジチオベンゾエートを用いた、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレートの60℃,16時間の重合実験(本発明者らが実施)では、重合率19%と不満足な結果であった。このような従来技術における問題点を回避すべく、本発明では、RAFT化剤として、トリチオ炭酸エステル化合物を用いるのである。
トリチオ炭酸エステル化合物の使用量の目安は、下式によって求めることができる。
W(RAFT)=W(FA)×M(RAFT)/MW(PFA)
ここで、
W(RAFT):トリチオ炭酸エステルの使用量(g)
W(FA):含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの使用量(g)
M(RAFT):トリチオ炭酸エステル化合物の分子量(g/mol)
MW(PFA):含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の目標分子量(g/mol)
である。
本発明における好適な態様においては、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対して、通常はおおよそ0.2〜15wt%のトリチオ炭酸エステル化合物が用いられる。
(A)法第一工程で用いられるラジカル重合開始剤としては、当該工程を特段の不具合なく円滑に進めることができるものである限り特に限定されないものの、アゾ系ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。本発明で好適に用いられるアゾ系ラジカル重合開始剤の具体例として、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤はトリチオ炭酸エステル化合物に対して、5〜30モル%用いられる。より好ましくは10〜20モル%である。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。一方、30モル%より多い場合、不活性な(トリチオ炭酸エステル化合物フラグメントを重合体末端に含まない)含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が生成し易くなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の使用量は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの反応性によっても左右される。一般に、反応性が低い含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの場合は、ラジカル重合開始剤を多く使用する。逆に反応性が高い場合は少なく使用する。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合は、無溶媒(塊状)下で、または適当な有機溶媒中で行うことができる。重合反応に用いられる溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素溶媒が好適である。含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対して含フッ素溶媒は0〜300wt%、より好ましくは0から200wt%用いられる。300wt%より多い場合、重合速度の低下および重合収率の低下につながる場合がある。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合は、0〜150℃、好ましくは40〜100℃で行われる。さらに詳しくは、含フッ素アクリル酸エステルの重合は40〜80℃、含フッ素メタクリル酸エステルの重合は60〜100℃でそれぞれ行われるのが好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を越えると、不活性な(トリチオ炭酸エステル化合物フラグメントを重合体末端に含まない)含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が生成し易くなる傾向にある。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルをトリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤の存在下重合する際に用いられる反応容器としては、トリチオ炭酸エステル化合物の分解や、重合反応の停止等、重合反応を行う上での不具合が生じない限り特に限定はないものの、硼ケイ酸ガラス製反応容器が好ましい。ここで、本発明で用いることのできる硼ケイ酸ガラス製反応容器として、一般的に市販されている硼ケイ酸ガラス製反応容器を用いても良い場合があるが、重合反応途中でトリチオ炭酸エステル化合物が分解し重合反応が停止する場合があるため、安定的に高い重合収率を達成することができない場合が多い傾向にある。
上述の理由から、本発明において上記重合反応を行う際に用いられる反応容器の材質としては硼ケイ酸強化ガラスが推奨される。硼ケイ酸強化ガラスは硼ケイ酸ガラスを風冷強化することによって製造される。
第一工程の含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合が、硼ケイ酸強化ガラス製反応容器を用いることで容易かつ効率的に行うことができる要因は明らかではないが、おそらく容器表面がトリチオ炭酸エステル化合物に対して化学的または物理的に不活性な構造を有しているためと推測される。
好ましい反応容器の具体例として、耐圧ガラス工業株式会社製Hiper Glass(登録商標)シリンダー等が挙げられる。例えば、HPG−10、HPG−96、TEM−U1000N、TEM−V−100、TEM−V−200、TEM−V−300、TEM−V−500、TEM−4−B1−2L、TEM−4−B1−4L(何れも耐圧ガラス工業株式会社製)が挙げられる。
また、本発明において、本発明者らは、上記重合反応を行う際に用いられる反応容器として、硼ケイ酸強化ガラス製反応容器のほかに、ステンレス製反応容器も好適に用いることができることを確認している。
したがって、本発明においては、上記重合反応を、硼ケイ酸強化ガラス製反応容器またはステンレス製反応容器中で行うことが好ましい。
本発明において、(A)第一工程で得られる、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の具体例として、以下のものが挙げられる(下記式において、kは0でない適当な整数である。)。
Figure 2015124233
Figure 2015124233
本発明において、(A)第一工程で得られる、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の数平均分子量に特に制限はないが、製造コストや生産性を考慮すると通常は2,000〜100,000である。ここでいう数平均分子量とは、1H−NMRより求めた分子量である。この数平均分子量についての具体的な算出方法は後述する。
〔第二工程((A)法第二工程)〕
本発明で用いられる(A)法の製造方法において、第二工程は、前記(A)法第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合する工程である。
この第二工程は、具体的には、下記I法およびII法のうち何れかの方法により行うことができる:
I法:(A)法第一工程で得られた重合溶液に、非フッ素ビニル系単量体と、必要に応じて、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒およびラジカル重合開始剤とを加えて重合する方法;
II法:(A)法第一工程で製造した含フッ素マクロ開始剤を単離した後、これに非フッ素ビニル系単量体、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法。
(A)法第二工程で使用される非フッ素ビニル系単量体としては、第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体とブロック重合するものが用いられる。好適な非フッ素ビニル系単量体として、具体的には、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル、非フッ素芳香族ビニル化合物等から少なくとも1種の化合物が選ばれる。
非フッ素(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ベンジル等が例示される。
非フッ素芳香族ビニル化合物としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン等が例示される。
(A)法第二工程で用いられる溶媒は、上記第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体および非フッ素ビニル系単量体の溶解性を考慮し適宜選択される。例えば含フッ素溶媒、非フッ素溶媒または含フッ素溶媒と非フッ素溶媒の混合物が用いられる。含フッ素溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。非フッ素溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
I法では、第一工程で得られた重合溶液に必要に応じて上記溶媒を新たに加える。
II法では、第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体に、上記溶媒を加える。
溶媒の使用量は、第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体と第二工程で加えられる非フッ素ビニル系単量体の重量和に対して、50〜300重量%が好ましい。50重量%未満では、重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり、攪拌混合が困難となる場合がある。300重量%を越えると、重合速度が遅くなり実用的でない場合がある。
非フッ素ビニル系単量体の重合は、0〜150℃、好ましくは40〜120℃で行われる。さらに詳しくは、非フッ素アクリル酸エステルの重合は40〜80℃、非フッ素メタクリル酸エステルの重合は60〜100℃、非フッ素芳香族ビニル系単量体の重合は60〜120℃でそれぞれ行われるのが好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を越えると、望まれない連鎖移動反応等がおこる場合がある。
(A)法第二工程では、必要に応じてラジカル重合開始剤を新たに加えて行う。
(A)法第二工程で用いられるラジカル重合開始剤としては、上記(A)法第一工程で用いられるアゾ系ラジカル重合開始剤と同様のものを用いることができ、具体的には2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
本発明における好適な態様において、ラジカル重合開始剤は、第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体に含まれるトリチオ炭酸エステル化合物のフラグメントに対して、通常は5〜35モル%、より好ましくは10〜30モル%用いられる。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。また30モル%より多い場合、非フッ素ビニル系単量体の単独重合体が副生し易くなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の使用量の大まかな目安は、非フッ素アクリル酸エステルの場合は、10〜15モル%、非フッ素メタクリル酸エステルおよび非フッ素芳香族ビニル化合物の場合は15〜30モル%である。
(A)法第二工程で用いられる反応容器としては硼ケイ酸ガラス製反応容器が好ましい。また硼ケイ酸強化ガラス製反応容器およびステンレス製反応容器も用いることができる。
[(B)法]
次に(B法)について説明する。
本発明で用いられる(B)法は、下記第一工程と、下記第二工程とを含む。
なお、上述の「(A)法第一工程」および「(A)法第二工程」との区別のため、下記第一工程および第二工程は、それぞれ「(B)法第一工程」および「(B)法第二工程」と呼ばれる場合がある。
〔第一工程((B)法第一工程)〕
本発明で用いられる(B)法において、第一工程は、トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合し非フッ素ビニル系単量体の重合体を製造する工程である。
(B)法第一工程で使用される非フッ素ビニル系単量体としては、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル、非フッ素芳香族ビニル化合物等から少なくとも1種の化合物が選ばれる。
ここで、(B)法第一工程で用いることのできる非フッ素ビニル系単量体は、前記(A)法第二工程で挙げられた非フッ素ビニル系単量体と同様である。
具体的には、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ベンジル等が例示される。
非フッ素芳香族ビニル化合物としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン等が例示される。
また、(B)法第一工程で用いることのできるトリチオ炭酸エステル化合物は、(A)法第一工程で挙げられたトリチオ炭酸エステル化合物と同様であり、(A)法第一工程の場合と同様、上述した一般式(2)で表される化合物を好適に用いることができる。
トリチオ炭酸エステル化合物の具体例としては、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオ炭酸エステル、4−シアノ−4−〔(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル〕ペンタン酸、シアノメチルドデシルトリチオ炭酸エステル等が例示される。
トリチオ炭酸エステル化合物の使用量の目安は、下式によって求めることができる。
W(RAFT)=W(A)×M(RAFT)/MW(PA)
ここで、
W(RAFT):トリチオ炭酸エステルの使用量(g)
W(A):非フッ素ビニル系単量体の使用量(g)
M(RAFT):トリチオ炭酸エステル化合物の分子量(g/mol)
MW(PA):非フッ素ビニル系単量体の重合体の目標分子量(g/mol)
である。
本発明における好適な態様においては、非フッ素ビニル系単量体に対して、通常はおおよそ0.2〜40wt%のトリチオ炭酸エステル化合物が用いられる。
(B)法第一工程で用いられる溶媒は、非フッ素ビニル系単量体の溶解性およびその重合体の溶解性を考慮し適宜選択される。例えば含フッ素溶媒、非フッ素溶媒または非フッ素溶媒の混合物を用いることができるが、非フッ素溶媒を単独で用いることが好ましい。含フッ素溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。非フッ素溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
溶媒の使用量は、非フッ素ビニル系単量体に対して0〜300重量%であるが、より好ましくは0〜200重量%である。300重量%以上では、重合速度が遅くなり実用的でない場合がある。
非フッ素ビニル系単量体の重合は、0〜150℃、好ましくは40〜120℃で行われる。さらに詳しくは、非フッ素アクリル酸エステルの重合は40〜80℃、非フッ素メタクリル酸エステルの重合は60〜100℃、非フッ素芳香族ビニル系単量体の重合は60〜120℃でそれぞれ行われるのが好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を超えると、望まれない連鎖移動反応等がおこる場合がある。
(B)法第一工程で使用できるラジカル重合開始剤として、前記(A)法第一工程で用いられるラジカル重合開始剤と同様のものが挙げられる。
例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が用いられる。ラジカル重合開始剤は、トリチオ炭酸エステル化合物に対して5〜35モル%用いられる。より好ましくは10〜30モル%である。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。一方、35モル%より多い場合、不活性な(すなわち、トリチオ炭酸エステル化含物フラグメントを重合体末端に含まない)非フッ素ビニル系単量体の単独重合体が副生し易くなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の使用量の大まかな目安は、非フッ素アクリル酸エステルの場合は、10〜15モル%、非フッ素メタクリル酸エステルおよび非フッ素芳香族ビニル化合物の場合は15〜30モル%である。
(B)法第一工程で用いられる反応容器としては硼ケイ酸ガラス製反応容器が好ましい。また硼ケイ酸強化ガラス製反応容器およびステンレス製反応容器も用いることができる。
(B)法第一工程で得られる、非フッ素ビニル系単量体の重合体の数平均分子量に特に制限はないが、製造コストや生産性を考慮すると1,000〜100,000である。ここでいう数平均分子量とは、1H−NMRより求めた分子量である。この数平均分子量についての具体的な算出方法は後述する。
〔第二工程((B)法第二工程)〕
本発明で用いられる(B)法において、第二工程は、前記(B)法第一工程で得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体存在下、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合して含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程である:
Figure 2015124233
(上記一般式(1)中、
1は水素原子またはメチル基であり、
aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数であり、
−Cn2n+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
−(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。)。
ここで、(B)法第二工程において用いることのできる具体的な含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(1)として、前記(A)法第一工程で用いられる含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(1)と同様のものが挙げられる。
このような含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(1)の具体例として、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,ll,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルメタクリレート、
が挙げられる。
特に、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレートまたは
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルメタクリレート
が好ましい。
本発明において(B)法第二工程は、具体的には、下記I法およびII法のうち何れかの方法により行うことができる:
I法:(B)法第一工程で得られた重合溶液に、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルと、必要に応じて、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒またはその混合物、およびラジカル重合開始剤とを加えて重合する方法;
II法:(B)法第一工程で製造した非フッ素ビニル系単量体の重合体を単離した後、これに含フッ素(メタ)アクリル酸エステル、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒またはその混合物およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法。
(B)法第二工程で必要に応じて用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤が好んで用いられる。具体例として、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、第一工程で得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体に含まれるトリチオ炭酸エステル化合物のフラグメントに対して、通常は5〜35モル%、より好ましくは10〜30モル%用いられる。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。また30モル%より多い場合、含フッ素ビニル系単量体の単独重合体が副生し易くなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の使用量の大まかな目安は、非フッ素ビニル系単量体が非フッ素アクリル酸エステルの場合は、10〜15モル%、非フッ素メタクリル酸エステルおよび非フッ素芳香族ビニル化合物の場合は15〜30モル%である。
(B)法第二工程で用いられる溶媒は、上記(B)法第一工程で得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体および含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの溶解性を考慮し適宜選択される。例えば含フッ素溶媒、非フッ素溶媒または含フッ素溶媒と非フッ素溶媒の混合物が用いられる。含フッ素溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。非フッ素溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
I法では、上記(B)法第一工程で得られた重合溶液に上記溶媒を必要に応じて新たに加える。
II法では、上記(B)法第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体に、上記溶媒を加える。
溶媒の使用量は、上記(B)法第一工程で得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体と(B)法第二工程で加えられる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重量和に対して、50〜300重量%が好ましい。50重量%未満では、重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり、攪拌混合が困難となる場合がある。一方、300重量%を越えると、重合速度が遅くなり実用的でない場合がある。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合は、0〜150℃、好ましくは40〜120℃で行われる。さらに詳しくは、含フッ素アクリル酸エステルの重合は40〜80℃、含フッ素メタクリル酸エステルの重合は60〜100℃でそれぞれ行われるのが好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を越えると、望まれない連鎖移動反応等がおこる場合がある。
(B)法第二工程で用いられる反応容器としては、硼ケイ酸ガラス製反応容器または硼ケイ酸強化ガラス製反応容器が推奨される。硼ケイ酸強化ガラスは硼ケイ酸ガラスを風冷強化することによって製造される。また、ステンレス製反応容器も使用することができる。
本発明により製造される含フッ素2ブロック共重合体は、上述した(A)法および(B)法の何れによって得られたものであっても、ひとつの含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体ブロックとひとつの非フッ素ビニル系単量体重合体ブロックからなる。
本発明で製造しうる含フッ素2ブロック共重合体の組成は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロック1〜99モル%、非フッ素ビニル系単量体重合体ブロック99〜1モル%である。ここで、含フッ素2ブロック共重合体を構成する各単独重合体ブロックについて用いる「モル%」は、含フッ素2ブロック共重合体を構成する各構成単位のモル%を意味し、例えば、ある含フッ素2ブロック共重合体が、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロック40モル%と、非フッ素ビニル系単量体重合体ブロック60モル%とからなるという場合、その含フッ素2ブロック共重合体は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対応する構成単位40モル%と、非フッ素ビニル系単量体に対応する構成単位60モル%とからなることを意味する。
また、本発明で製造しうる含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量は、通常3,000〜300,000、好ましくは5,000〜200,000である。ここでいう数平均分子量とは、1H−NMRより求めた分子量である。
ここで、本発明で製造される含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量について、算出方法は特に限定されないものの、例えば、上記トリチオ炭酸エステル化合物に由来するHピークの積算値に対する、上記含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに由来するHピークの積算値の比および上記非フッ素ビニル系単量体に由来するHピークの積算値の比に基づき求めることができる。
ここで、この数平均分子量は、上記トリチオ炭酸エステル化合物で表される化合物の分子量をM1 、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの分子量をM2 、非フッ素ビニル系単量体の分子量をM3 、トリチオ炭酸エステル化合物で表される化合物に特徴的な適当なHピークの積算値および該ピークに対応するHの数をそれぞれI1 およびN1 、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに特徴的な適当なHピークの積算値および該ピークに対応するHの数をそれぞれI2およびN2、非フッ素ビニル系単量体に特徴的な適当なHピークの積算値および該ピークに対応するHの数をそれぞれI3 およびN3 として、下記式
Mn'=M1+〔M2×(I2/N2)/(I1/N1)〕+〔M3×(I3/N3)/(I1/N1)〕
で求められるMn'として求めることができる。ただ、本発明では、便宜上下記実施例に基づき、下記式
Mn=〔M2×(I2/N2)/(I1/N1)〕+〔M3×(I3/N3)/(I1/N1)〕
で求められるMnをもって、数平均分子量としてもよい。
また、上記(A)法第一工程で得られる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルおよび上記(B)法第一工程で得られる非フッ素ビニル系単量体の重合体の数平均分子量についても、同様の手順により求めることができる。
なお、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックおよび非フッ素ビニル系単量体重合体ブロックについての上記「モル%」についても、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに特徴的な適当なHピークの積算値と非フッ素ビニル系単量体に特徴的な適当なHピークの積算値に基づいて算出できる。
本発明により含フッ素2ブロック共重合体を容易かつ効率的に製造することができる。特に本発明の製造方法は、非フッ素ビニル系単量体の適用範囲が広く、良好な静的撥水撥油性および動的撥水撥油性能を有する表面処理剤の製造に応用できる。
次に実施例によって本発明を説明する。
〔GPC分析〕
カラム:Shodex(登録商標)KF−807L(昭和電工(株)製)×4本
測定温度:40℃
サンプル注入量:100μl
流出速度:1ml/min
溶離液:テトラヒドロフラン
〔分子量測定〕
含フッ素ブロック共重合体の数平均分子量は1H−NMRにより求めた。
装置:JEOL:JNM−LA300(日本電子株式会社)
溶媒:クロロホルム−d
ケミカルシフト:1HはTMS基準、19FはCFCl3基準
〔重合率〕
重合率=重合溶液の固形分濃度(実測値)/重合率100%を仮定したときの固形分濃度(計算値)
〔撥水撥油性能〕
スピンコーターによりブロック共重合体6wt%テトラヒドロフラン溶液をSUS304プレート(0.8*15*50mm)表面に塗布し、乾燥後DropMaster DM500(協和界面科学株式会社製)で、静的および動的接触角を測定した。
実施例で使用した化学品の略称を以下に示す。
AIBN:2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)〔和光純薬製〕
V−65:2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔和光純薬製〕
MTF:1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
CDSTSP:4−シアノ−4−〔(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル〕ペンタン酸(Aldrich社製:構造式を下記に示す。)
Figure 2015124233
FAAC4:3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルアクリレート
FAAC6:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート
FAAC10(2H):3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
BzMA:メタクリル酸ベンジル
BA:アクリル酸n−ブチル
LA:アクリル酸n−ドデシル
SA:アクリル酸n−オクタデシル
St:スチレン
(実施例1−1)
内容量300mlの硼ケイ酸硝子容器にマグネット攪拌子、MMA 30g、CDSTSP 0.56g、AIBN 45.7mgおよびトルエン20gを仕込んだ。液体窒素に反応容器を浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ストップコックを閉じた後、85℃のオイルバスにシリンダーを浸漬した。10時間後、反応容器を室温まで冷却しシリンダー内を大気圧に開放し、非フッ素ビニル系単量体の重合体の溶液(以下「重合溶液B1−1」)を得た。重合溶液の固形分濃度から重合率は97%であった。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
上記反応容器内の重合溶液B1−1に、FAAC10(2H) 40.0g、V−65 35mg、トルエン 40.0gを加えた。液体窒素に反応容器を浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ストップバルブを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを10時間浸漬した。反応容器を室温まで冷却し、容器内部を大気圧に開放し、重合溶液(以下「重合溶液B1−2」)を得た。内容物の固形分濃度から、第一工程を含めたトータルの重合率は94%であった。
得られた重合溶液B1−2をメタノールに滴下し、共重合体を再沈した。次いで固形物を80℃、5時間減圧乾燥し揮発成分を除去した。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、単峰性のピークが観察された。この結果から、得られた共重合物はMMA重合ブロックとFAAC10(2H)重合ブロックからなる2ブロック共重合体であることが確認された(図1参照)。また1H−NMR分析より、含フッ素ブロック共重合体の分子量および組成を求めた。
〔4.3ppmピーク(FAAC10(2H)重合ブロック)積分値と4.0ppmピーク(MMA重合ブロック)積分値の比から算出。また数平均分子量は、3.0〜3.4ppm付近に観察されるピーク(-S-C(=S)-S-CH 2-C11H23)および上記ピークの積分比から算出〕。
(実施例1−2)
(第一工程:MMAの重合)
内容量96mlのHiper Glass(登録商標)シリンダー(HPG−96:耐圧ガラス工業株式会社製)にマグネット攪拌子、MMA 1.5g、CDSTSP 20mg、AIBN 1.7mgおよびトルエン 1.0gを仕込んだ。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、85℃のオイルバスにシリンダーを浸漬した。10時間後、シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放し、非フッ素ビニル系単量体の重合体の溶液(以下「重合溶液B2−1」)を得た。内容物の固形分濃度から重合率は96%であった。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
上記シリンダー内の重合溶液B2−1に、FAAC10(2H) 3.5g、V−65 1.3mg、トルエン 6.5gを加えた。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分問脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを10時間浸漬した。シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放した。内容物の固形分濃度から、第一工程を含めたトータルの重合率は91%であった。
(実施例1−3)
(第一工程:BzMAの重合)
BzMA 3.0g、CDSTSP 24mg、AIBN 2.0mgおよびトルエン 3.0gを仕込んだ以外は実施例1−2の第一工程と同様に行った。重合率は92%であった。
ここで、得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体の溶液を、以下「重合溶液B3−1」とする。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
上記シリンダー内の重合溶液B3−1に、FAAC10(2H) 3.0g、V−65 1.5mg、トルエン 6.0gを加えた以外は実施例1−2の第二工程と同様に行い、重合溶液(以下「重合溶液B3−2」)を得た。第一工程を含めたトータルの重合率は88%であった。
得られた重合溶液B3−2をメタノールに滴下し、共重合体を再沈した。次いで固形物を80℃、5時間減圧乾燥し揮発成分を除去した。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、単峰性のピークが観察された。この結果から、得られた共重合体はBzMA重合ブロックとFAAC10(2H)重合ブロックからなる2ブロック共重合体であることが確認された(図4参照)。また1H−NMR分析より、含フッ素ブロック共重合体の分子量および組成を求めた(4.3ppmピーク(FAAC10(2H))積分値と4.9ppmピーク(BzMA)積分値の比から算出)。
(実施例1−4)
(第一工程:BzMAの重合)
BzMA 1.5g、CDSTSP 20mg、AIBN 1.7mgおよびトルエン 1.5gを仕込んだ以外は、実施例1−3の第一工程と同様に行った。重合率は99%であった。
ここで、得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体の溶液を、以下「重合溶液B4−1」とする。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
上記シリンダー内の重合溶液B4−1に、FAAC10(2H) 3.5g、V−65 1.3mg、トルエン 6.0gを加えた以外は実施例1−3の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率は90%であった。
(比較例1−1)
FAAC10(2H)のかわりにFAAC4を用いた以外は実施例1−1と同様に行った。
第一工程の重合率は92%であり、第一工程を含めたトータルの重合率は95%であった。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、単峰性のピークが観察された(図2参照)。
(比較例1−2)
FAAC10(2H)のかわりにFAAC6を用いた以外は実施例1−1と同様に行った。
第一工程の重合率は95%であり、第一工程を含めたトータルの重合率は98%であった。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、単峰性のピークが観察された(図3参照)。
(実施例2−1)
(第一工程:FAAC10(2H)の重合)
内容量96mlのHiper Glass(登録商標)シリンダー(HPG−96:耐圧ガラス工業株式会社製)にマグネット攪拌子、FAAC10(2H) 4.0g、CDSTSP 0.10g、V−65 12.3mgおよびMTF 2.6gを仕込んだ。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを浸漬した。16時間後、シリンダーを室温まで冷却しシリンダー内を大気圧に開放し、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の溶液(以下「重合溶液A1−1」)を得た。重合溶液の固形分濃度から重合率は96%であった。
(第二工程:アクリル酸オクタデシルの重合)
上記シリンダー内の重合溶液A1−1に、アクリル酸オクタデシル 1.0g、V−65 6.2mg、MTF 2.0g、およびトルエン 1.0gを加えた。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを16時間浸漬した。シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放した。内容物の固形分濃度から、第一工程を含めたトータルの重合率は96%であった。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、単峰性のピークが観察された(図5参照)。
(実施例2−2)
(第一工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC10(2H) 2.0g、CDSTSP 50mg、V−65 6.2mgおよびMTF 1.3gを仕込んだ以外は実施例2−1の第一工程と同様に行った。重合率は98%であった。
ここで、得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の溶液を、以下「重合溶液A2−1」とする。
(第二工程:アクリル酸ドデシルの重合)
上記シリンダー内の重合溶液A2−1に、アクリル酸ドデシル 0.5g、V−65 3.1mg、MTF 1.0g、およびトルエン 0.5gを加えた以外は実施例2−1の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率96%であった。
(実施例2−3)
(第一工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC10(2H) 2.0g、CDSTSP 50mg、V−65 6.2mgおよびMTF 1.3gを仕込んだ以外は実施例2−1の第一工程と同様に行った。重合率は98%であった。
ここで、得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の溶液を、以下「重合溶液A3−1」とする。
(第二工程:スチレンの重合)
上記シリンダー内の重合溶液A3−1に、スチレン 1.0g、AIBN 2.1mg、トルエン 1.5gを加え、80℃のオイルバスにシリンダーを16時間浸漬した以外は実施例2−1の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率は81%であった。
得られた重合体を再沈精製した後、GPCにより分析したところ二峰性のピークが観察された(図6参照)。この結果から、共重合物はFAAC10(2H)重合ブロックとスチレン重合ブロックからなるブロック共重合体と少量のポリスチレンの混合物であることが確認された。
(比較例2−1)
(第一工程:FAAC6の重合)
FAAC10(2H)の代わりに、FAAC6を用いた以外は実施例2−1の第一工程と同様に行った。重合率は99%であった。
(第二工程:アクリル酸オクタデシルの重合)
実施例2−1の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率は98%であった。
(比較例2−2)
(第一工程:FAAC6の重合)
FAAC10(2H)の代わりにFAAC6 2.0gを用いた以外は実施例2−3の第一工程と同様に行った。重合率は97%であった。
(第二工程:スチレンの重合)
実施例2−3の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率は81%であった。
Figure 2015124233
Figure 2015124233
しかしながら、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを原料として用いた含フッ素ブロック共重合体は、満足のいく水撥油性能を発現しない場合があった。
この第二工程は、具体的には、下記I法およびII法のうち何れかの方法により行うことができる:
I法:(A)法第一工程で得られた重合溶液に、非フッ素ビニル系単量体と、必要に応じて、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒およびラジカル重合開始剤とを加えて重合する方法;
II法:(A)法第一工程で製造した含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを単離した後、これに非フッ素ビニル系単量体、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法。
(B)法第一工程で使用できるラジカル重合開始剤として、前記(A)法第一工程で用いられるラジカル重合開始剤と同様のものが挙げられる。
例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が用いられる。ラジカル重合開始剤は、トリチオ炭酸エステル化合物に対して5〜35モル%用いられる。より好ましくは10〜30モル%である。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。一方、35モル%より多い場合、不活性な(すなわち、トリチオ炭酸エステル化物フラグメントを重合体末端に含まない)非フッ素ビニル系単量体の単独重合体が副生し易くなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の使用量の大まかな目安は、非フッ素アクリル酸エステルの場合は、10〜15モル%、非フッ素メタクリル酸エステルおよび非フッ素芳香族ビニル化合物の場合は15〜30モル%である。
本発明で製造しうる含フッ素2ブロック共重合体の組成は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック1〜99モル%、非フッ素ビニル系単量体重合体ブロック99〜1モル%である。ここで、含フッ素2ブロック共重合体を構成する各合体ブロックについて用いる「モル%」は、含フッ素2ブロック共重合体を構成する各構成単位のモル%を意味し、例えば、ある含フッ素2ブロック共重合体が、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック40モル%と、非フッ素ビニル系単量体重合体ブロック60モル%とからなるという場合、その含フッ素2ブロック共重合体は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対応する構成単位40モル%と、非フッ素ビニル系単量体に対応する構成単位60モル%とからなることを意味する。
なお、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロックおよび非フッ素ビニル系単量体重合体ブロックについての上記「モル%」についても、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに特徴的な適当なHピークの積算値と非フッ素ビニル系単量体に特徴的な適当なHピークの積算値に基づいて算出できる。

Claims (4)

  1. 下記(A法)および(B法)のいずれかにより製造される含フッ素2ブロック共重合体:
    (A法)
    〔第一工程〕トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合し、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を製造する工程と、
    〔第二工程〕前記第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合して含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程と
    を含む製造方法;
    (B法)
    〔第一工程〕トリチオ炭酸エステル化合物およびラジカル重合開始剤存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合し、非フッ素ビニル系単量体の重合体を製造する工程と、
    〔第二工程〕前記第一工程で得られた非フッ素ビニル系単量体の重合体存在下、下記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合して含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程と
    を含む製造方法;
    Figure 2015124233
    (上記一般式(1)中、
    1は水素原子またはメチル基であり、
    aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数であり、
    −Cn2n+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
    −(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。)。
  2. 前記トリチオ炭酸エステル化合物が下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1記載の含フッ素2ブロック共重合体:
    Figure 2015124233
    (上記一般式(2)中、
    2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、かつR2およびR3どちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。
    4は炭素数1〜18の直鎖状アルキル基である。)。
  3. 前記ラジカル重合開始剤がアゾ系ラジカル重合開始剤である、請求項1記載の含フッ素2ブロック共重合体。
  4. 数平均分子量が5,000〜200,000である請求項1記載の含フッ素2ブロック共重合体。
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