JP6811810B2 - スライド軸受構造及び車両のリアトー制御装置。 - Google Patents

スライド軸受構造及び車両のリアトー制御装置。 Download PDF

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Description

本発明はスライド軸受構造及び車両のリアトー制御装置に関する。
自動車等の車両のリアトー制御装置として、円形断面の軸線方向孔を有する第1部材と、前記軸線方向孔内に軸線方向に移動可能に受容された軸部を含む第2部材とを有し、第1部材がゴムブッシュを介して車体の構成部品に連結され、第2部材がゴムブッシュを介して後輪に連結されているものが知られている(例えば、特許文献1)。
このようなリアトー制御装置では、第1部材と第2部材との互いの摺動部に金属製やプラスチック製のスライドブッシュが配置されている。
特開2011−131859号公報
リアトー制御装置においては、リアトー制御による第1部材と第2部材との相対的な軸線方向の変位時やサペンションストローク時にゴムブッシュが捩られ、その反力が第1部材及び第2部材に入力される。この作用により、スライドブッシュに偏荷重が作用し、スライドブッシュが局部的に摩耗、つまり偏摩耗を生じる。
スライドブッシュの偏摩耗は、第1部材と第2部材とが雄ねじ及び雌ねじによる送りねじにより相対的な軸線方向に変位するものでは、送りねじの相対アライメントを崩す原因になり、雄ねじ及び雌ねじに角度差が付くことによる引っ掛かりやフリクションの増加等を生じるおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、スライド軸受構造に径方向の偏荷重が作用しても、ブッシュが偏摩耗することを抑制することである。
本発明の一つの実施形態によるスライド軸受構造は、円形断面の軸線方向孔(36)を有する第1部材(30)と、前記軸線方向孔内に軸線方向に移動可能に受容された軸部(38)を含む第2部材(32)との間に設けられるスライド軸受構造(52)であって、前記軸部の外周面及び前記軸線方向孔の内周面の一方に固定された円筒形状のブッシュホルダ(54)と、前記ブッシュホルダ(54)により、周方向に変位可能に、且つ所定のストロークをもって軸線方向に変位可能に支持され、前記軸部の外周面及び前記軸線方向孔の内周面の他方に摺接する円筒形状のブッシュ(56)とを有し、前記ブッシュホルダは少なくとも一方の軸端部に周方向に間隔において設けられた複数のホルダ側突起部(60)を含み、前記ブッシュは前記ホルダ側突起部に対応する軸端部に周方向に間隔において設けられた複数のブッシュ側突起部(62)を含み、前記ブッシュホルダと前記ブッシュとの間の相対的な軸線方向の変位を前記ブッシュの回転変位に変換するように、前記ブッシュ側突起部及び前記ホルダ側突起部の少なくとも一方が非対称の形状である。
この構成によれば、スライド軸受構造に径方向の偏荷重が作用しても、ブッシュの偏摩耗が抑制される。
上記スライド軸受構造において、好ましくは、前記ブッシュ側突起部及び前記ホルダ側突起部の少なくとも一方は直角三角形状である。
この構成によれば、ブッシュホルダとブッシュとの間の相対的な軸線方向の変位がブッシュの回転変位に的確に変換され、ブッシュの偏摩耗が抑制される。
上記スライド軸受構造において、好ましくは、前記ブッシュ側突起部及び前記ホルダ側突起部の一方は直角三角形状であり、他方は矩形である。
この構成によれば、ブッシュホルダとブッシュとの間の相対的な軸線方向の変位がブッシュの回転変位に的確に変換され、ブッシュの偏摩耗が抑制される。
上記スライド軸受構造において、好ましくは、前記ブッシュホルダは両方の軸端部にフランジ部(58)を含み、前記フランジ部の少なくとも一方の内端面(58A)に前記ブッシュ側突起部が設けられ、前記ブッシュは、前記フランジ部の内端面に対向する外端面(56A)を含み、前記内端面と前記外端面との当接により前記ブッシュホルダに対する軸線方向の変位を前記所定のストロークに制限され、前記外端面の少なくとも一方に前記ブッシュ側突起部が設けられている。
この構成によれば、簡素な構造のもとに、ブッシュホルダとブッシュとの間の相対的な軸線方向の変位がブッシュの回転変位に的確に変換され、ブッシュの偏摩耗が抑制される。
上記スライド軸受構造において、好ましくは、前記ホルダ側突起部は前記ブッシュホルダの両方の軸端部に設けられ、前記ブッシュ側突起部は前記ブッシュの両方の軸端部に設けられ、一方の前記軸端部の前記ホルダ側突起部及び前記ブッシュ突起部は、他方の前記軸端部の前記ホルダ側突起部及び前記ブッシュ突起部に対して周方向に互い違いに設けられている。
この構成によれば、ブッシュホルダとブッシュとの間の相対的な軸線方向の変位がブッシュの回転変位に小刻みに変換され、ブッシュの偏摩耗が効果的に抑制される。
本発明の一つの実施形態によるスライド軸受構造は、車両の左右の後輪のトー角を個別に変化させるリアトー制御装置(24)であって、上述の実施形態のスライド軸受構造を備え、前記第1部材及び前記第2部材の何れか一方がゴムブッシュ(26)を介して車体(28)に連結され、前記第1部材及び前記第2部材の何れか他方がゴムブッシュ27を介して車輪(12)の支持部材(14)に連結されている。
この構成によれば、リアトー制御装置に組み込まれているスライド軸受構造のブッシュの偏摩耗が抑制される。
本発明によるスライド軸受構造によれば、スライド軸受構造に径方向の偏荷重が作用しても、ブッシュの偏摩耗が抑制される。
本発明によるスライド軸受構造を組み込まれた車両用リアトー制御装置の一つの実施形態を示す断面図 本実施形態によるスライド軸受構造の断面図 本実施形態によるスライド軸受構造の分解斜視図 本実施形態によるスライド軸受構造の動作を説明する展開図 他の実施形態によるスライド軸受構造の断面図
以下に、本発明によるスライド軸受構造を組み込まれた車両用リアトー制御装置を有するリヤサスペンション装置の一つの実施形態を、図1〜図3を参照して説明する。
図1に示されているように、リヤサスペンション装置10は、ダブルウィッシュボーン型のものであり、後輪12を回転自在にしたナックル部材(後輪支持部材)14と、車体(不図示)に連結された一端とナックル部材14に連結された他端を含むアッパアーム16及びロアアーム18と、リアホイールハウス部材(車体)15に連結された一端及びナックル部材14に連結された他端を含むコイルばね付きダンパ20とを有する。
リヤサスペンション装置10は、更に、車両用リアトー制御装置24を有する。車両用リアトー制御装置24は、入筒構造の第1部材30及び第2部材32を有し、車体の構成部材であるリアサイドフレーム28とナックル部材14との間に設けられている。第1部材30及び第2部材32との間にゴムブーツ33が取り付けられている。
車両用リアトー制御装置24の詳細を、図2を参照して説明する。
第1部材30は、ゴムブッシュ26を介してリアサイドフレーム28(図1参照)に連結される基端部30Aを含む基端部材30B及び基端部材30Bの遊端部30Cに固定された円筒形状の遊端部材30Dを有する。遊端部材30Dは当該遊端部材30Dを軸線方向に貫通した円形断面の軸線方向孔36を有する。
第2部材32はゴムブッシュ27を介してナックル部材14(図1参照)に連結される基端部32A及び軸線方向孔36内に軸線方向に移動可能に受容された軸部38を有する。
基端部材30Bに電動モータ等による回転駆動部40が取り付けられている。回転駆動部40は軸部38に向けて軸線方向に突出した回転出力軸42を有する。回転出力軸42の外周面には雄ねじ44が形成されている。軸部38にはその遊端部38Aの端面に開口した孔46の内周面に雌ねじ48が形成されている。雄ねじ44は雌ねじ48にねじ係合している。これにより、回転出力軸42の回転によって第1部材30に対して第2部材32が軸線方向に変位する。この変位により、後輪12のトー角が変化する。
遊端部材30Dの遊端部30Eと軸部38の中間部との間には金属製或いはプラスチック製のスライドブッシュ(スラストブッシュ)50が設けられている。遊端部材30Dの中間部と軸部38の遊端部38Aとの間にはスライド軸受構造52が設けられている。
スライド軸受構造52は、軸部38の外周面に固定された円筒形状のブッシュホルダ54と、ブッシュホルダ54の外周面によって、周方向に変位可能に、且つ所定のストロークをもって軸線方向に変位可能に支持され、軸線方向孔36の内周面に、周方向に変位可能に且つ軸線方向に変位可能に摺接している。
ブッシュホルダ54は、アルミニウム等により構成され、図3に示されているように、両方の軸端部にフランジ部58を含む。各フランジ部58の内端面58Aには、周方向に間隔(所定ピッチ)において複数のホルダ側突起部60が設けられている。各ホルダ側突起部60は、ブッシュホルダ54の周方向外方から見て直角三角形状の突起であり、ブッシュホルダ54の周方向に見て非対称の形状である。
ブッシュ56はプラスチック等により構成され、各フランジ部58の内端面58Aに対向する外端面56Aを含む。ブッシュ56は、内端面58Aと外端面56Aとの当接により、ブッシュホルダ54に対する軸線方向の変位を所定のストロークに制限(規定)されている。ブッシュ56の各外端面(軸端部)56Aには、周方向に間隔(所定ピッチ)において複数のブッシュ側突起部62が設けられている。各ブッシュ側突起部62はブッシュ56の周方向外方から見て矩形の突起であり、対応するホルダ側突起部60に軸線方向に対向している。
各ホルダ側突起部60及び各ブッシュ側突起部62は互いに等ピッチに設けられている。更に、一方の軸端部の各ホルダ側突起部60及び各ブッシュ側突起部62と、他方の軸端部の各ホルダ側突起部60及び各ブッシュ側突起部62とは、周方向に互い違い(半ピッチずれ)に設けられている。
後輪12のトー角制御において、第1部材30に対して第2部材32が軸線方向に変位するたびに、図4(A)〜(C)に示されているように、ブッシュホルダ54に対してブッシュ56が軸線方向に変位する。この変位により、対応する各ホルダ側突起部60と各ブッシュ側突起部62が係合し、矩形の各ブッシュ側突起部62の角部が直角三角形の斜面に沿って滑ることにより、ブッシュホルダ54に対してブッシュ56が回転変位する。
これにより、スライド軸受構造52に径方向の偏荷重が作用しても、ブッシュ56の偏摩耗が抑制される。ブッシュ56の偏摩耗が抑制されることにより、雄ねじ44及び雌ねじ48による送りねじの相対アライメントが崩れ難くなり、雄ねじ44及び雌ねじ48に角度差が付くことによる引っ掛かりやフリクションの増加等が生じ難くなる。
一方の軸端部の各ホルダ側突起部60及び各ブッシュ側突起部62と、他方の軸端部の各ホルダ側突起部60及び各ブッシュ側突起部62とが周方向に互い違いに設けられていることにより、第1部材30に対する第2部材32の軸線方向の往復変位において、ブッシュ56がブッシュホルダ54に対して小刻みに回転変位する。これにより、ブッシュ56の偏摩耗の抑制が効果的に行われる。
次に、スライド軸受構造52の他の実施形態を、図5を参照して説明する。なお、図5において、図2に対応する部分は、図2に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
この実施形態では、軸線方向孔36の内周面にブッシュホルダ54が固定され、ブッシュホルダ54の内周面によってブッシュ56が周方向に変位可能に且つ所定のストロークをもって軸線方向に変位可能に支持され、軸部38の外周面に、周方向に変位可能に且つ軸線方向に変位可能に摺接している。
この実施形態でも、前述の実施形態と同様に、ブッシュホルダ54にホルダ側突起部60が設けられ、ブッシュ56にブッシュ側突起部62が設けられていることにより、前述の実施形態と同様の作用、効果が得られる。
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、ホルダ側突起部60及びブッシュ側突起部62は、ブッシュホルダ54及びブッシュ56の互いに対応する一方の軸端部材にのみに設けられていてもよい。ホルダ側突起部60が矩形で、ブッシュ側突起部62が直角三角形(非対称形状)であってもよい。第1部材30がナックル部材14に連結され、第2部材32が車体に連結されていてもよい。
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
10 :リヤサスペンション装置
12 :後輪
14 :ナックル部材(支持部材)
15 :リアホイールハウス部材(車体)
16 :アッパアーム
18 :ロアアーム
20 :コイルばね付きダンパ
24 :車両用リアトー制御装置
26 :ゴムブッシュ
27 :ゴムブッシュ
28 :リアサイドフレーム(車体)
30 :第1部材
30A :基端部
30B :基端部材
30C :遊端部
30D :遊端部材
30E :遊端部
32 :第2部材
32A :基端部
33 :ゴムブーツ
36 :軸線方向孔
38 :軸部
38A :遊端部
40 :回転駆動部
42 :回転出力軸
44 :雄ねじ
46 :孔
48 :雌ねじ
50 :スライドブッシュ
52 :スライド軸受構造
54 :ブッシュホルダ
56 :ブッシュ
56A :外端面
58 :フランジ部
58A :内端面
60 :ホルダ側突起部
62 :ブッシュ側突起部

Claims (6)

  1. 円形断面の軸線方向孔を有する第1部材と、前記軸線方向孔内に軸線方向に移動可能に受容された軸部を含む第2部材との間に設けられるスライド軸受構造であって、
    前記軸部の外周面及び前記軸線方向孔の内周面の一方に固定された円筒形状のブッシュホルダと、
    前記ブッシュホルダにより、周方向に変位可能に、且つ所定のストロークをもって軸線方向に変位可能に支持され、前記軸部の外周面及び前記軸線方向孔の内周面の他方に摺接する円筒形状のブッシュとを有し、
    前記ブッシュホルダは少なくとも一方の軸端部に周方向に間隔において設けられた複数のホルダ側突起部を含み、
    前記ブッシュは前記ホルダ側突起部に対応する軸端部に周方向に間隔において設けられた複数のブッシュ側突起部を含み、
    前記ブッシュホルダと前記ブッシュとの間の相対的な軸線方向の変位を前記ブッシュの回転変位に変換するように、前記ブッシュ側突起部及び前記ホルダ側突起部の少なくとも一方が非対称の形状であるスライド軸受構造。
  2. 前記ブッシュ側突起部及び前記ホルダ側突起部の少なくとも一方は直角三角形状である請求項1に記載のスライド軸受構造。
  3. 前記ブッシュ側突起部及び前記ホルダ側突起部の一方は直角三角形状であり、他方は矩形である請求項1に記載のスライド軸受構造。
  4. 前記ブッシュホルダは両方の軸端部にフランジ部を含み、前記フランジ部の少なくとも一方の内端面に前記ブッシュ側突起部が設けられ、
    前記ブッシュは、前記フランジ部の内端面に対向する外端面を含み、前記内端面と前記外端面との当接により、前記ブッシュホルダに対する軸線方向の変位を前記所定のストロークに制限され、前記外端面の少なくとも一方に前記ブッシュ側突起部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載のスライド軸受構造。
  5. 前記ホルダ側突起部は前記ブッシュホルダの両方の軸端部に設けられ、前記ブッシュ側突起部は前記ブッシュの両方の軸端部に設けられ、
    一方の前記軸端部の前記ホルダ側突起部及び前記ブッシュ突起部は、他方の前記軸端部の前記ホルダ側突起部及び前記ブッシュ突起部に対して周方向に互い違いに設けられている請求項1から4の何れか一項に記載のスライド軸受構造。
  6. 車両の左右の後輪のトー角を個別に変化させるリアトー制御装置であって、
    請求項1から5の何れか一項に記載のスライド軸受構造を備え、
    前記第1部材及び前記第2部材の何れか一方がゴムブッシュを介して車体の構成部品に連結され、前記第1部材及び前記第2部材の何れか他方がゴムブッシュを介して後輪の支持部材に連結されているリアトー制御装置。
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