JP2003013958A - すべり軸受およびその製造方法 - Google Patents

すべり軸受およびその製造方法

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JP2003013958A
JP2003013958A JP2001193573A JP2001193573A JP2003013958A JP 2003013958 A JP2003013958 A JP 2003013958A JP 2001193573 A JP2001193573 A JP 2001193573A JP 2001193573 A JP2001193573 A JP 2001193573A JP 2003013958 A JP2003013958 A JP 2003013958A
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alloy
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Naoto Mizuno
直人 水野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐荷重性能と耐焼付性、異物埋収性などすべ
り軸受として必要な摺動性能を従来に無い高い水準で満
足させるすべり軸受を提供する。 【解決手段】 軸受合金1が裏金上に直接あるいは中間
層を介して積層して成る円弧形状または円筒形状のすべ
り軸受であって、その摺動面として、深さ3〜20μm
の周方向の条痕加工を有し且つ表面硬さがHv100未
満の軸受合金の上に、自己潤滑性を有し且つ表面硬さが
Hv1000以上の硬質膜2を0.5〜10μmの厚さ
で形成し、耐荷重性能と耐焼付性、異物埋収性などすべ
り軸受として必要な摺動性能を従来に無い高い水準で満
足させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や工作機械
等の各種機械装置の構造部品として使用されるすべり軸
受およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンの出力向上や燃費低
減、機械装置のコンパクト化などへの要求に対して、す
べり軸受の高面圧化が検討されてきた。これまでの高面
圧対応すべり軸受としては、高強度Cu軸受合金にPb
合金オーバレイめっきを付加した高強度ケルメットや、
スパッタリング法によって軸受合金の上に下地軸受合金
よりも硬質の表面層を形成したものなどが実用化されて
いる。
【0003】また、特開平5ー99228号公報に開示
されているように、油溜りとなるディンプルや油溝の付
与により、耐焼付性や馴染み性を向上させる取り組みな
ども見られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高強度
ケルメットに関しては、近年における環境負荷物質の使
用量低減の観点から、Pbの使用が規制される動きとな
っているので、馴染み性や耐焼付性を確保するためのP
b基オーバレイめっきを必要とする現在のケルメット軸
受の拡大採用については、今後は困難な状況になってお
り、この他、オーバレイ層の耐摩耗性に限界があるた
め、現状以上の高面圧化も難しくなってきている。
【0005】また、スパッタリング法を適用したすべり
軸受に関しては、表面の強度や耐摩耗性は向上するもの
の、馴染み性や異物埋収性に劣るばかりでなく、コスト
が高いという問題もあることから用途が限定されるもの
であった。
【0006】さらに、ディンプル状の油溜りや油溝の付
与に関しては、軸受合金の表面における油保持性を高
め、耐焼付性や馴染み性を補助する機能を有するが、高
面圧下での使用に対応するための軸受の疲労強度向上と
いう観点においては、これだけでは不十分であった。
【0007】
【発明の目的】本発明は、従来のすべり軸受における上
記課題に鑑みて成されたものであり、環境にも配慮し、
耐荷重性能と耐焼付性、異物埋収性などすべり軸受とし
て必要な摺動性能を従来に無い高い水準で満足させるす
べり軸受と、そのすべり軸受の製造方法を提供すること
を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるすべり軸
受は、請求項1として、軸受合金が裏金上に直接あるい
は中間層を介して積層して成る円弧形状または円筒形状
のすべり軸受であって、その摺動面として、深さ3〜2
0μmの周方向の条痕加工を有し且つ表面硬さがHv1
00未満の軸受合金の上に、自己潤滑性を有し且つ表面
硬さがHv1000以上の硬質膜が0.5〜10μmの
厚さで形成してある構成とし、請求項2として、摺動に
よる摩耗量が使用前の表面粗さパラメータRpk値に相
当する値となった時点で摺動面の投影面積に対する軸受
合金の露出部の面積が5%以上であり、且つ摺動による
摩耗量が使用前の表面粗さパラメータRpk値+Rk値
に相当する値となった時点で摺動面の投影面積に対する
軸受合金の露出部の面積が80%以下である構成とし、
請求項3として、条痕凸部を(硬質膜厚さ)<(研磨
量)<{(硬質膜厚さ)+(条痕初期深さ)} の関係を
満足する量だけ研磨して下地軸受合金を一部露出させて
ある構成とし、請求項4として、自己潤滑性を有する硬
質膜が、ダイヤモンドライクカーボンから成る膜または
炭化タングステンと炭素の積層材から成る膜である構成
としており、上記構成をもって従来の課題を解決するた
めの手段としている。
【0009】本発明に係わるすべり軸受の製造方法は、
請求項5として、軸受合金が裏金上に直接あるいは中間
層を介して積層して成る円弧形状または円筒形状のすべ
り軸受を製造するに際し、表面硬さがHv100未満の
軸受合金の表面に深さ3〜20μmの周方向の条痕加工
を施し、その上に自己潤滑性を有し且つ表面硬さがHv
1000以上の硬質膜を0.5〜10μmの厚さで形成
する構成とし、請求項6として、条痕凸部を(硬質膜厚
さ)<(研磨量)<{(硬質膜厚さ)+(条痕初期深
さ)}の関係を満足する量だけ研磨し、下地軸受合金を
一部露出させる構成とし、請求項7として、表面の硬質
膜として、ダイヤモンドライクカーボンから成る膜また
は炭化タングステンと炭素の積層材から成る膜をPVD
法およびCVD法のいずれか一方あるいは両方の組み合
わせにより形成する構成としており、上記構成をもって
従来の課題を解決するための手段としている。
【0010】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わるすべり軸受で
は、軸受合金が裏金上に直接あるいは中間層を介して積
層されて成る円弧形状または円筒形状のすべり軸受にお
いて、その摺動面として、図2に示すように、周方向の
条痕加工を有する軸受合金1の上に、自己潤滑性を結有
する硬質膜2を形成することで、高面圧下での摺動にお
ける軸受合金の疲労および摩耗を効果的に抑制する。ま
た、摺動面に条痕加工を設けているので、条痕凹部が油
溜りとなって焼付を防止するだけでなく、運転初期に条
痕の凸部が選択的に摩耗し、表面層よりも軟質な軸受合
金が一部露出することにより、すべり軸受として必要な
異物埋収性を確保する。
【0011】ここで、条痕の深さを3〜20μmとした
のは、同深さが3μm未満では、十分な油溜り効果が得
られず、同深さが20μmを超えると、馴染み前の条痕
凸部の局部当りが厳しくなり、初期の耐焼付性が低下す
る恐れがあるからである。
【0012】また、硬質膜の厚さを0.5〜10μmと
したのは、同厚さが0.5μm未満では、耐荷重性向上
の効果を長期間維持することが困難となり、同厚さが1
0μmを超えると、膜自体が脆くなり、衝撃的な入力が
あった際に割れや欠け、剥離が生じやすくなるほか、馴
染み面の形成に時間を要することによって初期の耐焼付
性が低下する恐れがあるからである。
【0013】さらに、軸受合金の表面硬さをHv100
未満としたのは、同表面硬さがHv100を超えると、
軸受合金が露出した後の異物埋収性が充分に確保でき
ず、潤滑油中の異物によって運転中に焼付を生じる恐れ
があるからである。そしてさらに、表面層の硬質膜の硬
さをHv1000以上としたのは、同表面硬さがHv1
000未満では、充分な耐荷重性や耐摩耗性が向上する
効果を得ることができないからである。
【0014】さらに、硬質膜に自己潤滑性を有するもの
を用いるので、運転初期の馴染み性がとくに優れたもの
となり、高速で高面圧下の摺動においても馴染み面の形
成前に焼付を生ずることなく、長期にわたって安定した
性能が得られる。
【0015】本発明の請求項2に係わるすべり軸受で
は、摺動による摩耗量が使用前の表面粗さパラメータR
pk値に相当する値となった時点での摺動面の投影面積
に対する軸受合金の露出部の面積と、摺動による摩耗量
が使用前の表面粗さパラメータRpk+Rk値に相当する
値となった時点での摺動面の投影面積に対する軸受合金
の露出部の面積を設定している。
【0016】Rpk値やRk値は、摺動面の性状を初期摩
耗部分と実質接触部、油溜り部分に分けて評価するパラ
メータとして広く認知されているものであり、以下にそ
の内容を説明する。
【0017】すなわち、図1に示すように、ある摩耗高
さ(μm)における摺動面の実質負荷長さ(実質接触
部)率Mrを%単位で各々横軸にとり、これらを結んだ
負荷曲線を求める。そして、負荷曲線上でMr値が40
%の幅をとり、その両端の高さの差が最小となるような
2点を求め、その2点を結ぶ直線を引く。この直線とM
r=0%の線との交点aと、負荷曲線のMr=0%の点
との高さの差がRpk値であり、この直線とMr=100
%の線との交点bと、先の交点a点との高さの差がRk
値である。
【0018】なお、Rpk値は、初期摩耗高さ、すなわ
ち初期馴染みにより摩耗する部分の高さを示し、Rk値
は、初期摩耗終了後から一般に摺動部品が長期の使用に
よって寿命を迎える摩耗量までの摩耗高さの差を示すも
のである。
【0019】そして、請求項2に係わるすべり軸受で
は、摺動による摩耗量がRpk値に相当する値となった
時点で、摺動面の投影面積に対する軸受合金の露出部の
面積を5%以上としている。つまり、この面積が5%未
満では、初期馴染み後の軸受の異物埋収性能が不足し、
使用環境によっては潤滑油中に混入した異物により焼付
が発生する恐れがあるからである。
【0020】また、摺動による摩耗量が使用前の軸受の
表面粗さパラメータRpk+Rk値に相当する値となった
時点で、摺動面の投影面積に対する軸受合金の露出部の
面積を80%以下としている。つまり、この値が80%
を超えると、軸受を長期間使用した際の表面の硬質膜の
残存率が少なくなり過ぎ、優れた耐荷重性や耐摩耗性が
充分に得られなくなるからである。
【0021】本発明の請求項3に係わるすべり軸受で
は、条痕凸部を(硬質膜厚さ)<(研磨量)<{(硬質
膜厚さ)+(条痕初期深さ)}の関係を満足する量だけ
研磨し、下地軸受合金を一部露出させている。
【0022】当該すべり軸受は、表面の硬質膜が自己潤
滑性を有すると共に、馴染み性に優れるため、通常は研
磨処理を施さなくても使用できるが、とくに、初期から
慣らし運転をせずに装置の使用限界付近の環境、すなわ
ち高速で且つ高負荷の環境で使用する場合などでは、上
記の研磨処理を予め施しておくことにより、長期にわた
って一層安定して使用し得るものとなる。
【0023】本発明の請求項4に係わるすべり軸受で
は、自己潤滑性のある硬質膜が、ダイヤモンドライクカ
ーボン(DLC)から成る膜、または炭化タングステン
と炭素の積層材(WC/C)から成る膜としているの
で、優れた耐摩耗性に加えて低摩擦性に優れたものとな
り、これにより摺動時の摩擦損失を一層低減し、馴染み
性や耐焼付性により優れたものとなる。
【0024】本発明の請求項5に係わるすべり軸受の製
造方法では、軸受合金が裏金上に直接あるいは中間層を
介して積層されて成る円弧形状または円筒形状のすべり
軸受を製造するに際し、表面硬さHv100未満の軸受
合金の表面に、深さ3〜20μmの周方向の条痕加工を
施し、その後、軸受合金の上に自己潤滑性を有し且つ表
面硬さHv1000以上の硬質膜を0.5〜10μmの
厚さで形成する。
【0025】これにより、高面圧下での摺動における軸
受合金の疲労および摩耗が効果的に抑制される。また、
摺動面に条痕加工を施すので、条痕凹部が油溜りとなっ
て焼付を防止するだけでなく、運転初期に条痕の凸部が
選択的に摩耗し、表面層よりも軟質な軸受合金が一部露
出することにより、すべり軸受として必要な異物埋収性
を確保する。
【0026】さらに、硬質膜に自己潤滑性を有するもの
を用いるので、運転初期の馴染み性がとくに優れたもの
となり、高速で高面圧下の摺動においても馴染み面の形
成前に焼付を生ずることなく、長期にわたって安定した
性能が得られる。なお、数値限定の根拠は請求項1に記
載した通りである。
【0027】本発明の請求項6に係わるすべり軸受の製
造方法では、(硬質膜厚さ)<(研磨量)<{(硬質膜
厚さ)+(条痕初期深さ)}の関係を満足する量だけ条
痕凸部を研磨し、下地軸受合金を一部露出させる。
【0028】当該すべり軸受は、表面の硬質膜が自己潤
滑性を有すると共に、馴染み性に優れるため、通常は研
磨処理を施さなくても使用できるが、とくに、初期から
慣らし運転をせずに装置の使用限界付近の環境、すなわ
ち高速で且つ高負荷の環境で使用する場合などでは、上
記の研磨処理を予め施しておくことにより、長期にわた
って一層安定して使用し得るものとなる。
【0029】本発明の請求項7に係わるすべり軸受の製
造方法では、表面に設ける硬質膜として、ダイヤモンド
ライクカーボンから成る膜または炭化タングステンと炭
素の積層材から成る膜を形成するにあたり、PVD法お
よびCVD法のいずれか一方あるいは両方を組合わせ
る。これにより、優れた耐摩耗性に加えて低摩擦性に優
れたものとなり、これにより摺動時の摩擦損失を一層低
減し、馴染み性や耐焼付性により優れたものとなる。
【0030】また、PVD法とCVD法では、膜の硬さ
や平滑性等の面で形成される被膜の特性が異なるため、
必要に応じてこれらの工法を適宜選択することで、より
使用目的に合ったすべり軸受が得られることとなる。
【0031】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わるすべり軸受に
よれば、環境負荷にも配慮したうえで、従来に無い高い
水準で強度や耐摩耗性、耐焼付性および異物埋収性など
のすべり軸受に必要な摺動性能を全て満足することがで
きるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0032】本発明の請求項2に係わるすべり軸受によ
れば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえ
に、耐荷重性、耐摩耗性および異物埋収性などをバラン
ス良く備えた特性を摺動初期から部品交換時まで安定し
て維持することができる。
【0033】本発明の請求項3に係わるすべり軸受によ
れば、請求項1および2と同様の効果を得ることができ
るうえに、初期から慣らし運転をせずに装置の使用限界
付近の環境すなわち高速で且つ高負荷の環境で使用する
場合等においても、長期にわたって一層安定して使用す
ることができる。
【0034】本発明の請求項4に係わるすべり軸受によ
れば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができるう
えに、優れた耐摩耗性に加えて優れた低摩擦性を得るこ
とができ、摺動時の摩擦損失を一層低減することができ
ると共に、馴染み性や耐焼付性により優れたすべり軸受
とすることができる。
【0035】本発明の請求項5に係わるすべり軸受の製
造方法によれば、環境負荷にも配慮したうえで、従来に
無い高い水準で強度や耐摩耗性、耐焼付性および異物埋
収性などの必要な摺動性能を全て満足するすべり軸受を
得ることができるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0036】本発明の請求項6に係わるすべり軸受の製
造方法によれば、請求項5と同様の効果を得ることがで
きるうえに、初期から慣らし運転をせずに装置の使用限
界付近の環境、すなわち高速で且つ高負荷の環境で使用
する場合でも長期にわたって一層安定して使用すること
が可能なすべり軸受を得ることができる。
【0037】本発明の請求項7に係わるすべり軸受の製
造方法によれば、請求項5および6と同様の効果を得る
ことができるうえに、優れた耐摩耗性に加えて優れた低
摩擦性を備え、且つ摺動時の摩擦損失を一層低減するこ
とができると共に、馴染み性や耐焼付性により優れたす
べり軸受を得ることができる。また、膜の形成方法を適
宜選択することで、使用目的に適合したすべり軸受を得
ることができる。
【0038】
【実施例】(実施例1〜4、比較例1〜6)アルミニウ
ム系の軸受合金を連続鋳造によって厚さ20mmの板状
材として鋳造し、各鋳造ビレットの上下面を1mm面切
削し、続いて冷間圧延によって厚さ8mmまで圧下し
た。この状態で200〜300℃の熱処理を行ってひず
みを除去した。こののち、上記の軸受合金と厚さ1mm
の純アルミニウム板とを、各々の密着面を清浄してから
クラッドし、さらに、冷間圧延によって厚さ1mmまで
圧下した。
【0039】そして、上記積層材を焼鈍した後、裏金と
なる鋼板の上に軸受合金が表面層側となるようにクラッ
ドし、そのクラッド材を切断後、エンジン用の半割軸受
形状に成形した。続いて、軸受合金の表面に表1のA欄
に示す深さの周方向の条痕加工を施した後、この上に表
1のB欄に示す条件で硬質膜を形成した。
【0040】以上の結果、軸受合金層と表面層の合計層
厚さが約0.3mmで、全体の厚さが約1.5mmのす
べり軸受を得た。
【0041】(実施例5)アルミニウム系の軸受合金を
連続鋳造によって厚さ20mmの板状材として鋳造し、
各鋳造ビレットの上下面を1mm面切削し、続いて冷間
圧延によって厚さ8mmまで圧下した。この状態で20
0〜300℃の熱処理を行ってひずみを除去した。この
のち、上記の軸受合金と厚さ1mmの純アルミニウム板
とを、各々の密着面を清浄してからクラッドし、さら
に、冷間圧延によって厚さ1mmまで圧下した。
【0042】そして、上記積層材を焼鈍した後、裏金と
なる鋼板の上に軸受合金が表面層側となるようにクラッ
ドし、そのクラッド材を切断後、エンジン用の半割軸受
形状に成形した。続いて、軸受合金の表面に表1のA欄
に示す深さの周方向の条痕加工を施した後、軸受合金の
上に表1のB欄に示す条件で硬質膜を形成した。さら
に、形成した硬質膜の下にある軸受合金層が約20%露
出するまで研磨加工を施した。
【0043】以上の結果、軸受合金層と表面層の合計層
厚さが約0.3mmで、全体の厚さが約1.5mmのす
べり軸受を得た。
【0044】(比較例7)アルミニウム系の軸受合金を
連続鋳造によって厚さ20mmの板状材として鋳造し、
各鋳造ビレットの上下面を1mm面切削し、続いて冷間
圧延によって厚さ8mmまで圧下した。この状態で20
0〜300℃の熱処理を行ってひずみを除去した。この
のち、上記の軸受合金と厚さ1mmの純アルミニウム板
とを、各々の密着面を清浄してからクラッドし、さら
に、冷間圧延によって厚さ1mmまで圧下した。
【0045】そして、上記積層材を焼鈍した後、裏金と
なる鋼板の上に軸受合金が表面層側となるようにクラッ
ドし、そのクラッド材を切断後、エンジン用の半割軸受
形状に成形した。続いて、軸受合金の表面に表1のA欄
に示す深さの周方向の条痕加工を施した後、この上にポ
リアミドイミドをバインダーとし、且つ潤滑成分として
二硫化モリブデンを含む被膜をスプレー塗布した後、1
90℃で焼成し、厚さ約5μmの表面層を形成した。
【0046】以上の結果、軸受合金層と表面層の合計層
厚さが約0.3mmで、全体の厚さが約1.5mmのす
べり軸受を得た。
【0047】(比較例8)アルミニウム系の軸受合金を
連続鋳造によって厚さ20mmの板状材として鋳造し、
各鋳造ビレットの上下面を1mm面切削し、続いて冷間
圧延によって厚さ8mmまで圧下した。この状態で20
0〜300℃の熱処理を行ってひずみを除去した。この
のち、上記の軸受合金と厚さ1mmの純アルミニウム板
とを、各々の密着面を清浄してからクラッドし、さら
に、冷間圧延によって厚さ1mmまで圧下した。
【0048】そして、上記積層材を焼鈍した後、裏金と
なる鋼板の上に軸受合金が表面層側となるようにクラッ
ドし、そのクラッド材を切断後、エンジン用の半割軸受
形状に成形した。続いて、軸受合金の表面に表1のA欄
に示す深さの周方向の条痕加工を施した。
【0049】以上の結果、軸受合金層と表面層の合計層
厚さが約0.3mmで、全体の厚さが約1.5mmのす
べり軸受を得た。
【0050】
【表1】
【0051】(耐焼付性試験)実施例1〜5および比較
例1〜8で得たすべり軸受を表2に示す条件で耐焼付性
試験に供した。その結果を表3に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】表3から明らかなように、本発明の実施例
1〜5のすべり軸受は、いずれも優れた耐焼付性を有し
ていることがわかる。これに対して、条痕深さが本発明
の条件から外れている比較例1および2のすべり軸受
は、実施例1〜5のすべり軸受よりも耐焼付性が劣って
いる。
【0055】また、表面層の材質が実施例1〜5と異な
って自己潤滑性が充分でない比較例3および6のすべり
軸受においても、摺動中の摩擦力増加により実施例1〜
5のすべり軸受と比較して耐焼付性が低下している。
【0056】さらに、表面層の厚さが本発明の条件から
外れている比較例4および5のすべり軸受のうち、とく
に表面層が厚すぎて初期馴染み性が劣る比較例5のすべ
り軸受にあっては、実施例1〜5のすべり軸受と比較し
て耐焼付性が劣っていることがわかる。
【0057】(耐疲労試験)実施例1〜5および比較例
1〜8で得たすべり軸受を表4に示す条件でアンダーウ
ッド試験に供した。その結果を表5に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】表5から明らかなように、条痕深さが本発
明の条件から外れている比較例1および2のすべり軸受
は、本発明の実施例1〜5のすべり軸受よりも耐疲労性
が劣っている。これは、比較例1については、油溜り効
果の不足が摺動性に悪影響を与えたものと考えられ、比
較例2については、馴染み前の条痕凸部の局部当りが厳
しくなることが摺動性に悪影響を与えたものと考えられ
る。
【0061】また、表面層の厚さが実施例1〜5の範囲
よりも薄い比較例4のすべり軸受においても、実施例1
〜5のすべり軸受と比較して耐疲労性が低下している。
これは、摺動中に硬質膜の残存量が少なくなり過ぎ、高
面圧に耐えることが困難になることによるものと考えら
れる。
【0062】さらに、表面層の材質が本発明の実施例1
〜5と異なり、硬度や潤滑性が不足する比較例6、表面
層が潤滑性を有するものの硬度や耐摩耗性が不足する比
較例7、表面の硬質層を設けない比較例8のいずれも、
実施例1漢と比較して耐疲労性が劣る結果となってい
る。
【0063】これらの試験結果により、本発明によるす
べり軸受は、従来にない高い水準で耐焼付性と耐疲労性
を同時に成立させていることが明らかであり、従来の各
種軸受合金では達成不可能であった性能を有しているこ
とが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面粗さパラメータRpk値およびRk値の説
明図である。
【図2】本発明に係わるすべり軸受の摺動面を説明する
断面図である。
【符号の説明】
1 軸受合金 2 硬質膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 28/04 C23C 28/04 Fターム(参考) 3J011 AA07 AA20 BA01 BA13 CA01 CA05 DA02 JA02 KA02 MA06 QA03 QA04 SB04 SB14 SD01 SE02 4K029 AA02 AA27 BA34 BA57 BB02 BC02 BD04 CA00 4K030 AA09 BA27 BA36 CA02 FA01 FA10 LA23 4K044 AA06 AB10 BA18 BB03 BC01 BC06 CA07 CA13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受合金が裏金上に直接あるいは中間層
    を介して積層して成る円弧形状または円筒形状のすべり
    軸受であって、その摺動面として、深さ3〜20μmの
    周方向の条痕加工を有し且つ表面硬さがHv100未満
    の軸受合金の上に、自己潤滑性を有し且つ表面硬さがH
    v1000以上の硬質膜が0.5〜10μmの厚さで形
    成してあることを特徴とするすべり軸受。
  2. 【請求項2】 摺動による摩耗量が使用前の表面粗さパ
    ラメータRpk値に相当する値となった時点で摺動面の
    投影面積に対する軸受合金の露出部の面積が5%以上で
    あり、且つ摺動による摩耗量が使用前の表面粗さパラメ
    ータRpk値+Rk値に相当する値となった時点で摺動
    面の投影面積に対する軸受合金の露出部の面積が80%
    以下であることを特徴とする請求項1に記載のすべり軸
    受。
  3. 【請求項3】 条痕凸部を(硬質膜厚さ)<(研磨量)
    <{(硬質膜厚さ)+(条痕初期深さ)} の関係を満足
    する量だけ研磨して下地軸受合金を一部露出させてある
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のすべり軸
    受。
  4. 【請求項4】 自己潤滑性を有する硬質膜が、ダイヤモ
    ンドライクカーボンから成る膜または炭化タングステン
    と炭素の積層材から成る膜であることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載のすべり軸受。
  5. 【請求項5】 軸受合金が裏金上に直接あるいは中間層
    を介して積層して成る円弧形状または円筒形状のすべり
    軸受を製造するに際し、表面硬さがHv100未満の軸
    受合金の表面に深さ3〜20μmの周方向の条痕加工を
    施し、その上に自己潤滑性を有し且つ表面硬さがHv1
    000以上の硬質膜を0.5〜10μmの厚さで形成す
    ることを特徴とするすべり軸受の製造方法。
  6. 【請求項6】 条痕凸部を(硬質膜厚さ)<(研磨量)
    <{(硬質膜厚さ)+(条痕初期深さ)}の関係を満足す
    る量だけ研磨し、下地軸受合金を一部露出させることを
    特徴とする請求項5に記載のすべり軸受の製造方法。
  7. 【請求項7】 表面の硬質膜として、ダイヤモンドライ
    クカーボンから成る膜または炭化タングステンと炭素の
    積層材から成る膜をPVD法およびCVD法のいずれか
    一方あるいは両方の組み合わせにより形成することを特
    徴とする請求項5または6に記載のすべり軸受の製造方
    法。
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