JP6811621B2 - バニラフレーバーの香味改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、バニラフレーバーの香味改善剤に関し、さらに詳しくはジメチルトリスルフィドを有効成分とするバニラフレーバーの香味改善剤、特にバニラフレーバーのバニラエキス感の改善剤、ならびにこれを含有させたバニラフレーバーおよびこれを含有させた飲食品に関する。
バニラはラン科バニラ属の蔓性植物である。バニラはランの仲間では珍しいつる性の植物であり、その長さは最大で60メートルにも達することがある。また、果実も長さ15〜20センチ程度のインゲン豆のような形状である。
この果実であるグリーンバニラビーンズはそのままでは香気を有さないが、長期間での樹上での成熟工程および、発酵・乾燥を繰り返すキュアリングを行うことにより、独特の甘い香りを有するようになる。このキュアリング工程後のバニラビーンズから抽出される香料は、主成分であるバニリンを初めとする多くの香気成分(アニスアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、バニリルエチルエーテルなど)を含有しており、それらの香りが複雑に絡み合った独特の甘い芳香を有する。そのためバニラビーンズから抽出される香料は、オイゲノールやグアヤコール等を原料とする化学合成や、リグニンの分解等により製造される安価な合成バニリンでは得られない芳香を必要とする高級菓子、香粧品等に広く用いられている。
しかしながら、このキュアリング等の工程は、一般的に6〜12ヶ月という長い熟成時間を要するうえ、天候や気温等の制約を大きく受けるため、バニラの品質を安定に保つことが困難であるとされている。従って、キュアリングの際の様々な条件が品質の良し悪しに大きく影響するため、良質な天然バニラは希少価値があり非常に高価である。
一方、オイゲノールやグアヤコール等を原料とする合成化合物やリグニンの発酵等により製造される合成バニリンを主体とするバニラフレーバーは、安価であり安定供給も可能である。しかしながら、バニラエキスの甘い香りは、バニリンを主成分に数百もの化学物質が絶妙な比率で配合されることで醸し出される香りであると言われているように、様々な香りが複雑に絡み合った独特の高級感ある甘い香味を人工的に再現することは困難である。バニラフレーバーは、安価に利用できる半面、香味的にはバニラエキスと比較して劣っており、特にバニラエキス感を再現することは難しい。そのため、消費者の嗜好に合ったより自然であり、バニラエキスの有する天然感および高級感のある良質な香味に改良された製品を開発することが極めて重要な課題となっている。
バニラビーンズの香気成分は、これまでも多くの分析がなされており、200成分以上が同定されている。例えば、非特許文献1の表−1および表−2には、ブルボン、タヒチ、バリ、ジャワ、メキシコ、トンガ、コスタリカ、ジャマイカといった各産地の各種バニラビーンズから同定された成分が記載されている。
バニラ香気を構成する上で重要な香料化合物として、非特許文献1の表−3には特許出願されたバニラ系合成香料が例示されている。また、特許文献1には、3−エトキシ−4−イソブチリロキシ−ベンズアルデヒドが本物のバニラ抽出物に近いより天然のバニラの香調を示すことが記載されている。さらに、特許文献2には、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ−3−エトキシ安息香酸メチルなどが、バニリン自体の香りとは全く異なる、非常に興味深い強いスパイス様又は果実様バニラ香気を発散することが記載されている。またさらに、特許文献3には、β−ダマセノンがバニラ香料組成物にドライフルーツ様香気を付与することが記載されている。
しかしながら、上記の香料化合物ではバニラエキスの有するバニラエキス感、天然感および高級感のある良質な香味に改善するには充分ではなかった。
また、バニラビーンズは上記のように長期間での樹上での成熟工程および、発酵・乾燥を繰り返すキュアリングを行うため、香気のばらつきが大きくなることが知られている。
高品質の天然バニラエキスを得るために、例えば、特許文献4には、バニラビーンズの抽出物を、タンパク質分解酵素、渋味・苦み分解酵素及びヘスペリジン分解酵素から選択される1種以上の酵素で処理することにより良好なバニラエキスを製造することが記載されている。また、特許文献5には、バニラビーンズの細断物を水及び/又は水溶性有機溶媒で抽出しバニラエキスを製造することが記載されている。さらに、特許文献6には、緑熟バニラ豆を高い乾燥温度中に晒し、溶媒で抽出し、および、ベータ−グルコシダーゼ酵素とともに処理する方法が記載されている。しかしながら、上記の改良技術では、天然感および高級感のあるバニラエキスを安定した品質で効率良く得ることは非常に困難であった。
そのために、香料化合物をバニラエキスに添加することにより、バニラフレーバーの香気の品質を安定的に供給することが求められていた。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されている香料化合物では、バニラエキスの有する天然感および高級感のある良質な香味香気のばらつきを改善するには不十分であった。よって、簡便な方法でバニラフレーバーに良質な香気を付与し、バニラフレーバーの品質を安定化する方法の開発に大きな期待が寄せられている。
特許第3574744号公報 特許第3934694号公報 特開2014−169393号公報 特開2001−181671号公報 特開2002−38188号公報 特表2012−511308号公報
特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料p348−366
本発明の目的は、上記の従来技術における問題点を解決し、バニラフレーバーのバニラエキス感を再現し、バニラフレーバーにおいて、バニラエキスの有する天然感および高級感のある良質な香味を有する新規なバニラ香味改善剤および、これを含有させたバニラフレーバーを提供することにある。
本願発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行ってきた結果、ジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに添加することにより、従来のバニラフレーバーに不足しているバニラエキス感、バニラフレーバーに、バニラエキスの有する天然感および高級感のある良質な香味が付与されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして本発明は以下のものを提供する。
(1)ジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに0.2ppb〜200ppbの濃度範囲の含有量となるように添加する、バニラの天然感、バニラの高級感およびバニラエキス感を改善したバニラフレーバーの製造方法。
(2)(1)に記載の方法で製造したバニラフレーバーをバニラ風味飲食品に添加するバニラ風味飲食品の製造方法であって、バニラ風味飲食品中、ジメチルトリスルフィドの含有量が0.2ppt〜200pptの濃度範囲となる、バニラ風味飲食品の製造方法。
(3)ジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに0.2ppb〜200ppbの含有量となるように添加する、バニラフレーバーのバニラの天然感、バニラの高級感およびバニラエキス感改善方法。

本発明のジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに添加することにより、良質で独特なバニラの香味である、バニラエキスの有する天然感および高級感のある良質な香味を付与ことができる。
本発明の実施の態様について更に詳しく説明する。
本発明で使用されるジメチルトリスルフィドは、ホップ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどに存在し、強く新鮮なオニオン臭を有する既知化合物である。特に、肉フレーバーに10ppb程度添加すると、ローストチキン香を有する肉フレーバーを作り出すことができる(印藤元一「合成香料 化学と商品知識」増版改訂版(2005)、株式会社化学工業日報社)。
ジメチルトリスルフィドは、タヒチ産バニラより検出されている(Food Research International (2012),46(1),p148−157)。しかしながら、ジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに添加することにより、バニラフレーバーの香味を改善すること、特に、従来のバニラフレーバーに不足しているバニラエキス感、バニラフレーバーに、バニラエキスの有する天然感および高級感のある良質な香味が付与されることは、上記文献に記載されていない。
本発明で使用されるジメチルトリスルフィドは、市販品を用いることができる。例えば、東京化成工業社製、和光純薬工業社製、PentaManufacturing社製などを挙げることができる。
本発明で使用されるバニラフレーバーは、バニラ抽出物、バニラ風味食品調合香料およびこれらの混合物を挙げることができる。
バニラ抽出物としては、バニラビーンズを水および/または水溶性有機溶媒を抽出溶媒として用い、または、超臨界炭酸ガスなどの超臨界ガスを抽出溶媒として用いて抽出することにより得られる抽出物が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類;アセトンのようなケトン類;及びエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどの多価アルコール類の中から選ばれる一種もしくは複数種の混合物を例示することができる。
さらに、バニラ抽出物の抽出原料となるバニラビーンズは、市場で一般的に入手できるものであれば、特に品種などは問わず、いずれのものを用いてもよい。このようなバニラビーンズとしては、例えば、マダガスカルバニラビーンズ、メキシカンバニラビーンズ、インドネシアバニラビーンズ、タヒチバニラビーンズ及びその他のハイブリッド種などを挙げることができる。
バニラ風味食品調合香料に使用する合成香料は、非特許文献1に記載されている合成香料を使用するのが望ましい。例えば、2−ブチルテトラヒドロフラン、アニスアルコール、アニスアルデヒド、酢酸アニシル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アニソール、p−クレゾール、ベンズアルデヒド、グアヤコール、4−メチルグアヤコール、4−エチルグアヤコール、4−ビニルグアヤコール、オイゲノール、アセトフェノン、1,3−ブタンジオール、ジアセチル、アセトイン、フェノール、マルトール、2−アセチルフラン、3−メチル−2−シクロヘキセノン、バニリン、エチルバニリン、バニリン酸、バニリルアルコール、イソバニリン、2−フェニルエチルアルコール、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸、桂皮アルデヒド、バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、4−ヒドロキシベンジルメチルエーテル、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−メチルペンタナール、ジヒドロクマリン、2,3−ジヒドロ−2,5−ジメチルフラン、3−メチルシクロペンタノン、4−エチル安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、3,5−ジヒドロキシ−6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−ピラン−4−オン、2,4−ヘキサンジオン、3−メチルノナン−2,4−ジオン、2,4−デカジエナール、2,3−ジヒドロキシベンゾフラン、アセトバニロン、2−メチル−3−ペンタノン、酢酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル酪酸、ペンタデカン酸、5−メチル−2(3H)−フラノン、5−メチル−2−フルフラール、フルフラール、フルフリルアルコール、バレルアルデヒド、酪酸エチル、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトンなどを挙げることができる。
本発明のバニラエキス感とは、バニラエキスの持つ天然物特有の複雑な深みのことをいう。バニラエキスは、多くの成分が複雑に絡み合って独特な深みを有している。既存のバニラフレーバーは、バニラエキス特有のバニラエキス感が不足していた。また、バニラフレーバーの天然感とは、バニラが有する甘く独特であり自然でマイルドな香味を示す。さらに、バニラフレーバーの高級感とは、様々な香りが複雑に絡み合うことにより有するバニラ特有の甘い香味を言う。
本発明で使用されるバニラフレーバーに、ジメチルトリスルフィドを0.2ppb〜200ppb、好ましくは0.2ppb〜150ppb、さらに好ましくは、0.5ppb〜100ppb、より好ましくは1ppb〜20ppbを含有させることにより、バニラフレーバーにバニラエキス感、天然感および高級感を付与し、香味を改善することができる。
バニラフレーバーに対するジメチルトリスルフィドの含有量が0.2ppb未満であると、バニラフレーバーの香味を良質に改善するに至らない。また、バニラフレーバーに対するジメチルトリスルフィドの含有量が200ppbを越えると、ジメチルトリスルフィドそのものが有する強く新鮮なオニオン臭の香気が付与されてしまい、本来バニラフレーバーが有する香味とは異質なものとなってしまう。
本発明で使用されるバニラ風味飲食品に、ジメチルトリスルフィドを0.2ppt〜200ppt、好ましくは0.2ppt〜150ppt、さらに好ましくは、0.5ppt〜100ppt、より好ましくは1ppt〜20pptを含有させることにより、バニラ風味飲食品にバニラエキス感、天然感および高級感を付与し、バニラ風味を改善することができる。
バニラ風味飲食品に対するジメチルトリスルフィドの含有量が0.2ppt未満であると、バニラ風味飲食品のバニラ風味を良質に改善するに至らない。また、バニラ風味飲食品に対するジメチルトリスルフィドの含有量が200pptを越えると、ジメチルトリスルフィドそのものが有する強く新鮮なオニオン臭の香気が付与されてしまい、バニラ風味飲食品のバニラ風味を損失させてしまう。
本発明で得られたバニラフレーバーは、そのままで飲食品類、香粧品類、保健・衛生・医薬品類に添加して利用することができるが、所望により、これに乳化剤、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルおよび蔗糖脂肪酸エステルなどを添加し、ホモジナイズすることにより乳化状態にすることや、さらに、アラビアガム、澱粉、デキストリン、キサンタンガム、サイクロデキストリンなどの粉末化助剤と混合して噴霧乾燥および真空乾燥などの乾燥手段を用いて乾燥することにより、乳化形態あるいは粉末形態として使用することができる。
本発明で得られたバニラフレーバーは、飲食品類などに良質な、特徴あるバニラの香味を付与することができる。
例えば、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料類などの飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディーなどの冷菓類;ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類;和洋菓子類、ジャム類、チューインガム類、パン類、コーヒー、ココア、紅茶、お茶、タバコなどの嗜好品類;和風スープ類、洋風スープ類などのスープ類;風味調味料、各種インスタント飲料・食品類、各種スナック食品類などに、本発明のバニラフレーバーの適当量を添加することにより、良質な香味が付与された飲食品類を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1:加熱処理バニラエキスの製造方法
軟水2000gと95%エタノール2000gを混合し、バニラビーンズ(マダガスカル産、10mm短軸細断品)500gを投入し、80℃で6時間カラム循環抽出し、30℃まで冷却した。No.2濾紙(ADVANTEC社製 粒子径5μ、30cm)にセルロースパウダー300gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過を行い、清澄なバニラ抽出液3750gを得た。
上記バニラ抽出液300gに砂糖混合果糖ぶどう糖液糖300gを加え、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、140(±2)℃にて2時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して、加熱処理バニラエキスを得た(参考品1)。
実施例1:バニラフレーバーへのジメチルトリスルフィドの添加効果
表1に示す、バニラ風味食品調合香料を調製した。これを参考品2とした。
Figure 0006811621
また、表2に示す処方により、バニラフレーバーを調製した。これを参考品3とした。
Figure 0006811621
上記のバニラフレーバーにジメチルトリスルフィドをエタノールで希釈した1質量%溶液を10μg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度0.1ppb:比較品1)、20μg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度0.2ppb:本発明品1)、50μg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度0.5ppb:本発明品2)、0.1mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度1ppb:本発明品3)、0.5mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度5ppb:本発明品4)、2mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度20ppb:本発明品5)、10mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度100ppb:本発明品6)、20mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度200ppb:本発明品7)50mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度500ppb:比較品2)を添加することにより、比較品1および2、本発明品1〜7の新規なバニラフレーバーを調製した。
それぞれのバニラフレーバーをよく訓練されたパネラー10名により香味評価を行った。香味評価は、30mlサンプル瓶に前記のバニラフレーバーを用意し、参考品3を対象として瓶口の香気およびその溶液をにおい紙につけて評価を行った。
香気評点は参考品3と比較して、バニラの天然感の評価は、−1:バニラの天然感が劣る、0:大差なし、1:わずかながらバニラの天然感を有する、2:バニラの天然感を有する、3:良好なバニラの天然感を有する、として採点した。また、バニラの高級感の評価は、−1:バニラの高級感が劣る、0:大差なし、1:わずかながらバニラの高級感を有する、2:バニラの高級感を有する、3:良好なバニラの高級感を有する、として採点した。さらに、バニラエキス感の評価は、−1:バニラエキス感が劣る、0:大差なし、1:わずかながらバニラエキス感を有する、2:バニラエキス感を有する、3:良好なバニラエキス感を有する、として採点した。そのパネラー10名の平均点を表3に示す。
Figure 0006811621
表3の結果から明らかなように、比較品1についてはジメチルトリスルフィドの添加効果はさほどみられず、本発明品1〜7はジメチルトリスルフィドの添加により、参考品3と比較して、バニラの天然感、高級感が付与され、良質なバニラエキス感の香味が得られた。一方、比較品2ではバニラの天然感、高級感が損なわれ、バニラエキス感も喪失され、オニオン臭の香気が感じられた。
参考例2:バニラ抽出物の製造方法
5Lの4つ口フラスコに、約1cmにカットしたマダガスカルバニラビーンズ400g、95%エタノール1160g、5%水酸化ナトリウム水溶液80g及び水760gを仕込み、フラスコ内の温度60〜65℃で4時間撹拌しながら抽出する。抽出終了後、25℃に冷却し、一夜放置する。サラシ布でデカント分離することにより、バニラ抽出物1500gを得た(参考品4)。
実施例2:バニラ抽出物へのジメチルトリスルフィドの添加効果
上記のバニラ抽出物(参考品4)を1000gに、ジメチルトリスルフィドをエタノールで希釈した1質量%溶液を10μg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度0.1ppb:比較品3)、20μg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度0.2ppb:本発明品8)、50μg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度0.5ppb:本発明品9)、0.1mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度1ppb:本発明品10)、0.5mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度5ppb:本発明品11)、2mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度20ppb:本発明品12)、10mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度100ppb:本発明品13)、20mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度200ppb:本発明品14)50mg(ジメチルトリスルフィドの添加濃度500ppb:比較品4)を添加することにより、比較品3および4、本発明品8〜14の新規なバニラフレーバーを調製した。
それぞれのバニラフレーバーをよく訓練されたパネラー10名により香味評価を行った。香味評価は、実施例1と同様に行った。
香気評点は参考品4と比較し、バニラの天然感の評価、バニラの高級感の評価、バニラエキス感の評価は実施例1の評価と同様に採点した。そのパネラー10名の平均点を表4に示す。
Figure 0006811621
表4の結果から明らかなように、比較品3についてはジメチルトリスルフィドの添加効果はさほどみられず、本発明品8〜14はジメチルトリスルフィドの添加により、参考品4と比較して、バニラの天然感、高級感が付与され、良質なバニラエキス感の香味が得られた。一方、比較品4ではバニラの天然感、高級感が損なわれ、オニオン臭の香気が感じられた。
実施例3:バニラアイスクリームへのジメチルトリスルフィドの添加効果
表5の処方により、バニラアイスクリームを常法に従い調製した。
Figure 0006811621
実施例1のバニラフレーバーを添加していないバニラアイスクリームを参考品5とし、比較品1、2のバニラフレーバーを添加したバニラアイスクリームを比較品5、6とし、本発明品1〜7のバニラフレーバーを添加したバニラアイスクリームを本発明品15〜21とした。
それぞれのバニラアイスクリームをよく訓練されたパネラー10名により官能評価を行った。官能評点は参考品5と比較して、バニラの天然感の評価は、−1:バニラの天然感が劣る、0:大差なし、1:わずかながらバニラの天然感を有する、2:バニラの天然感を有する、3:良好なバニラの天然感を有する、として採点した。また、バニラの高級感の評価は、−1:バニラの高級感が劣る、0:大差なし、1:わずかながらバニラの高級感を有する、2:バニラの高級感を有する、3:良好なバニラの高級感を有する、として採点した。さらに、バニラエキス感の評価は、−1:バニラエキス感が劣る、0:大差なし、1:わずかながらバニラエキス感を有する、2:バニラエキス感を有する、3:良好なバニラエキス感を有する、として採点した。そのパネラー10名の平均点を表6に示す。
Figure 0006811621
表6の結果から明らかなように、比較品5についてはジメチルトリスルフィドの添加効果はさほどみられず、本発明品15〜21はジメチルトリスルフィドの添加により、参考品5と比較して、バニラの天然感、高級感が付与され、良質なバニラエキス感が得られた。一方、比較品6ではバニラの天然感、高級感が損なわれ、オニオン臭の香気が感じられた。
実施例4:加糖牛乳へのジメチルトリスルフィドの添加効果
以下の表7に示す処方によりバニラ風味加糖牛乳を調製した。
Figure 0006811621
上記加糖牛乳に、バニラフレーバーとして参考品3、比較品1および本発明品4を配合し、参考品3を添加した加糖牛乳を対象品(参考品6)として、比較品7(比較品1を配合した加糖牛乳)および本発明品22(本発明品4を配合した加糖牛乳)についてよく訓練されたパネラー10名にて官能評価を行った。その結果、パネラー10名全員が、比較品7は、参考品6と大差なかったが、本発明品22は参考品6と比較して、バニラの天然感、高級感が付与され、良質なバニラエキス感が得られ好ましいとの評価であった。

Claims (3)

  1. ジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに0.2ppb〜200ppbの濃度範囲の含有量となるように添加する、バニラの天然感、バニラの高級感およびバニラエキス感を改善したバニラフレーバーの製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法で製造したバニラフレーバーをバニラ風味飲食品に添加するバニラ風味飲食品の製造方法であって、
    バニラ風味飲食品中、ジメチルトリスルフィドの含有量が0.2ppt〜200pptの濃度範囲となる、バニラ風味飲食品の製造方法。
  3. ジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに0.2ppb〜200ppbの含有量となるように添加する、バニラフレーバーのバニラの天然感、バニラの高級感およびバニラエキス感改善方法。
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