JP6803582B2 - 電気化学キャパシタ用電極形成材料 - Google Patents

電気化学キャパシタ用電極形成材料 Download PDF

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Description

本発明は、電気化学キャパシタ用電極形成材料に関する。
絶縁性のダイヤモンドにホウ素を高濃度にドープするとホールが生成し(p型半導体)、金属的導電性が付与されることが知られている。そして、ダイヤモンドにホウ素を高濃度にドープしたホウ素ドープダイヤモンド(BDD:Boron Doped Diamond)は、ダイヤモンド由来の高い物理的安定性及び化学的安定性、並びに優れた導電性を有するため、電極形成材料として使用することが知られている(例えば、特許文献1)。
ホウ素ドープダイヤモンド粒子を含む電極を備える電気化学キャパシタでは、電極と電解液とが接触する界面において、正負の電荷が極めて短い距離をおいて配向し、電気二重層を形成する。電気化学キャパシタは、この電気二重層の正負電荷を利用して電荷を蓄積する蓄電デバイスであり、非ファラディックな反応過程による電気二重層容量を有する。そのため、大電流で高速充放電が可能であり、繰り返し充放電を行っても劣化することがなく長寿命である。
しかし、電気化学キャパシタは、二次電池に比べて蓄電容量やエネルギー密度が小さいことが問題であった。
一方、金属酸化物を電極に用いた疑似二重層キャパシタでは、非ファラディックな反応過程による電気二重層容量に加えて、金属酸化物の表面や表面近傍において、酸化還元反応を伴うファラディックな反応過程により電荷を蓄積することができる。そのため、炭素系の電気二重層キャパシタに比べて多くの電荷を蓄積することができる。しかし、金属酸化物は印加可能なセル電圧が低いことが問題であった。また、金属酸化物として例えば酸化ルテニウムは稀少で高価であるため、コストが嵩むことも問題であった。
特開2008−133173号公報
従って、本発明の目的は、高い蓄電容量と高いエネルギー密度とを有する電気化学キャパシタの電極を形成するのに有用な、電気化学キャパシタ用電極形成材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い蓄電容量と高いエネルギー密度と高い出力密度とを有する電気化学キャパシタの電極を形成するのに有用な、電気化学キャパシタ用電極形成材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記電気化学キャパシタ用電極形成材料を含む、電気化学キャパシタ用電極を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記電気化学キャパシタ用電極形成材料を含むインクを提供することにある。
本発明の他の目的は、前記電極を備えた電気化学キャパシタを提供することにある。
本発明の他の目的は、前記電極を備えた電子機器、電動車両、又は蓄電装置を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ホウ素ドープナノダイヤモンド(以後、「BDND」と称する場合がある)は分散性に優れ、比表面積が大きく、その上、約2V近いセル電圧を印加することができるので、これを電極に用いた電気二重層キャパシタは、粒子径の大きなホウ素ドープダイヤモンド粒子を使用する場合に比べて、電極と電解液との界面に形成される電気二重層の面積が広がり、非ファラディックな反応過程による電気二重層容量が大きくなることがわかった
そして、BDNDと金属酸化物とを特定の割合で含む混合物を電極に用いると、BDNDが金属酸化物の凝集を抑制することにより、金属酸化物を単独で使用する場合より、高価な金属酸化物の使用量を抑制しつつ、金属酸化物の電気化学的に有効な面積を増大することができ、金属酸化物の単位量当たりの蓄電容量を向上して、エネルギー密度を向上することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、比表面積が110m2/g以上であり、且つ20℃における電気伝導度が5.0×10-3S/cm以上であるホウ素ドープナノダイヤモンド(A)と、金属酸化物(B)とを含み、前記(B)の含有量が、前記(A)と(B)の合計含有量の20〜95質量%である電気化学キャパシタ用電極形成材料を提供する。
本発明は、また、金属酸化物(B)が酸化ルテニウムである前記電気化学キャパシタ用電極形成材料を提供する。
本発明は、また、ホウ素ドープナノダイヤモンド(A)のメディアン径が200nm以下である前記電気化学キャパシタ用電極形成材料を提供する。
本発明は、また、金属酸化物(B)のメディアン径が1000nm以下である前記電気化学キャパシタ用電極形成材料を提供する。
本発明は、また、前記電気化学キャパシタ用電極形成材料と、バインダーとを含むインクを提供する。
本発明は、また、基材に、比表面積が110m2/g以上であり、且つ20℃における電気伝導度が5.0×10-3S/cm以上であるホウ素ドープナノダイヤモンド(A)と、金属酸化物(B)とが担持され、前記(B)の担持量が、前記(A)と(B)の合計担持量の20〜95質量%である電気化学キャパシタ用電極を提供する。
本発明は、また、蓄電容量が10F/g以上である前記電気化学キャパシタ用電極を提供する。
本発明は、また、前記電極を備えた電気化学キャパシタを提供する。
本発明は、また、前記電気化学キャパシタを備えた電子機器を提供する。
本発明は、また、前記電気化学キャパシタを備えた電動車両を提供する。
本発明は、また、前記電気化学キャパシタを備えた蓄電装置を提供する。
本発明の電気化学キャパシタ用電極形成材料は、BDND(A)と金属酸化物(B)とを特定の割合で含むため、前記(A)が前記(B)の凝集を抑制することができ、これにより、(B)単独の場合に比べて、(B)の電気化学的に有効な面積を大きくすることができる。
従って、本発明の電気化学キャパシタ用電極形成材料を用いて得られた電極を備える電気化学キャパシタは、前記(A)を単独で担持する電極を備える場合に比べて蓄電容量を向上することができる。また、前記(B)を単独で担持する電極を備える場合に比べて、金属酸化物の単位量当たりの蓄電容量を向上することができる。そのため、エネルギー密度を高め、出力密度を高めることができる。
そして、前記電気化学キャパシタを備えた(例えば、電源や補助電源として備えた)電子機器や電動車両は、蓄電容量が大きく、大電流で急速充放電が可能である。すなわち、大容量且つ高出力である。また、充放電効率が高く(若しくは、充放電に伴う電荷の損失が小さく)、充放電サイクル寿命が長い。
また、前記の大容量且つ高出力であり、充放電効率が高く、サイクル寿命が長い電気化学キャパシタを再生可能エネルギーの蓄電装置として利用すると、大容量を蓄電することができ、天候による発電ロスを防止して、長期に亘って安定的に電力を供給することができる。また、メンテナンスに係るコストも削減することができる。
調製例で得られたBDND(1)のUVラマンスペクトルデータを示す図である。 実施例及び比較例で得られた電極を使用した対称2電極セルの、1MのH2SO4中のCV測定(走査速度:10mV/s)結果を示す図である。 実施例及び比較例で得られた電極を使用した対称2電極セルの、1MのH2SO4中の蓄電容量−走査速度をプロットした図である。 実施例及び比較例で得られた電極を使用した対称2電極セルのラゴンプロットを示す図である。 電極における、BDNDとRuO2ナノ粒子(=RuO2NP)の合計担持量に対するRuO2ナノ粒子担持量の占める割合と、質量当たりの蓄電容量との関係を示す図である。
[電気化学キャパシタ用電極形成材料]
本発明の電気化学キャパシタ用電極形成材料(以後、「電極形成材料」と称する場合がある)は、BDND(A)と金属酸化物(B)とを含む。前記(B)の含有量は、前記(A)と(B)の合計含有量に対して20〜95質量%である。
前記(B)の含有量の下限は、蓄電容量(好ましくは、金属酸化物(B)の単位量当たりの蓄電容量、若しくはBDND(A)と金属酸化物(B)の合計含有量の単位量当たりの蓄電容量)を向上させることができ、高エネルギー密度を有する電極が得られる点で、好ましくは25質量%、より好ましくは30質量%、更に好ましくは40質量%、特に好ましくは45質量%である。また、前記(B)の含有量の上限は、蓄電容量(好ましくは、金属酸化物(B)の単位量当たりの蓄電容量、若しくはBDND(A)と金属酸化物(B)の合計含有量の単位量当たりの蓄電容量)を向上させることができ、高エネルギー密度を有する電極が得られると共に、電極の製造コストを削減することができる点で、好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%、特に好ましくは60質量%、最も好ましくは55質量%である。
また、前記(A)と(B)の合計含有量に対する前記(B)の含有量は、電極のエネルギー密度及び出力密度を向上させることができる点で、好ましくは25〜95質量%、より好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは45〜85質量%である。
本発明の電極形成材料は、BDND(A)以外にも他の炭素材料を含有していても良いが、電極形成材料に含まれる全炭素材料におけるBDND(A)の占める割合は、例えば60質量%以上であることが、高い電気伝導度を有し、比表面積が大きく、高いセル電圧(セル電圧は、例えば1.4以上、好ましくは1.5以上)を印加することができる点で好ましく、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
本発明の電極形成材料は、前記(A)と(B)以外にも、他の成分を1種又は2種以上含有することができる。他の成分としては、例えば、分散媒が挙げられる。前記分散媒としては、エタノール等のアルコールが好ましい。
本発明の電極形成材料は、例えば、BDND(A)と金属酸化物(B)とを、分散媒(例えば、エタノール等のアルコール等)中に分散させることにより製造することができる。電極形成材料中のBDND(A)と金属酸化物(B)の合計含有量は、分散媒1mLに対して、例えば1〜20mg程度、好ましくは5〜15mgである。
BDND(A)と金属酸化物(B)を分散媒中に分散させる際には、例えば、高剪断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等を使用することができる。
(BDND(A))
BDND(A)は、ナノダイヤモンド粒子(ND粒子)の表面にホウ素を含有する。前記BDNDは、好ましくは、ND粒子の表面に、ホウ素を含有するダイヤモンド層及び/又は炭素層が堆積した構成を有する。
BDND(A)におけるホウ素含有量は、例えば0.1〜100mg/g、好ましくは0.2〜50mg/g、特に好ましくは0.3〜10mg/g、最も好ましくは0.4〜5mg/g、とりわけ好ましくは0.5〜2mg/gである。BDND(A)が前記範囲でホウ素を含有すると、優れた導電性を発揮することができる。
BDND(A)の比表面積は110m2/g以上であり、好ましくは150m2/g以上、より好ましくは200m2/g以上、更に好ましくは300m2/g以上、更に好ましくは400m2/g以上、特に好ましくは500m2/g以上、最も好ましくは600m2/g以上である。尚、比表面積の上限は、例えば1500m2/gである。
BDND(A)の粒子径(D50、メディアン径)は、例えば200nm以下、好ましくは150nm以下、特に好ましくは120nm以下である。BDNDの粒子径の下限は、例えば1nmである。粒子径が上記範囲を上回ると比表面積が低下し、当該BDNDを含む電極の蓄電容量が低下する傾向がある。BDNDの粒子径は、動的光散乱法によって測定することができる。
BDND(A)の20℃における電気伝導度は5.0×10-3S/cm以上であり、好ましくは10×10-3S/cm以上、より好ましくは15×10-3S/cm以上、更に好ましくは20×10-3S/cm以上、特に好ましくは25×10-3S/cm以上、最も好ましくは30×10-3S/cm以上である。尚、20℃における電気伝導度の上限は、例えば1000S/cm程度である。
また、BDND(A)は、光源波長325nmのラマンスペクトルにおいて、1370〜1420cm-1、及び1580〜1620cm-1にバンドを有する。
BDND(A)は、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、レーザーCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)によって製造することができる。詳細には、必要に応じてキャリアガス(例えば、水素ガス、窒素ガス等)の存在下で、気化した状態の成膜材料(ホウ素源と炭素源)に、熱、プラズマ、紫外光、レーザー光などのエネルギーを付与して化学反応を励起・促進して、基材としてのND粒子の表面にホウ素を付着させる(若しくは、ホウ素を含有するダイヤモンド層及び/又は炭素層を積層する)ことによって製造することができる。本発明においては、なかでも、プラズマCVD法(特に、マイクロ波プラズマCVD法)が、不純物が少なく高品質なBDNDが得られる点で好ましい。
前記ホウ素源としては、ホウ素又はホウ素化合物を使用することができる。前記ホウ素化合物としては、例えば、酸化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、ホウ酸、ジボラン、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリプロポキシボラン、トリ(1,1−ジメチルエトキシ)ボラン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記炭素源としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記炭素源としては、ケトンとアルコールの混合物(例えば、アセトンとメタノール混合溶液)を使用することが、気化し易く、且つ上記ホウ素源の溶解性に優れる点で好ましい。ケトンとアルコールの混合比(v/v)は、例えば95/5〜60/40である。
また、成膜材料に含まれるホウ素源の濃度としては、炭素源に対して、例えば10000〜30000ppm、好ましくは15000〜25000ppmである。ホウ素源の濃度が上記範囲を上回ると、ダイヤモンド層及び/又は炭素層の結晶性が低下する傾向がある。一方、ホウ素源の濃度が上記範囲を下回ると、導電性が得られにくくなる傾向がある。
CVD法による処理時圧力は、例えば30〜80Torrである。
CVD法による処理時間(若しくは、成膜時間)は、例えば1〜24時間、好ましくは5〜12時間である。
CVD法によってND粒子の表面にホウ素をドープした(詳細には、ND粒子の表面にホウ素を含有するダイヤモンド層及び/又は炭素層を成長させた)後は、得られたBDNDに加熱処理を施して当該BDNDに含まれるダイヤモンド層及び/又は炭素層の構造を最適化することで、BDNDの比表面積を飛躍的に高めることができ、当該BDNDを含む電極の電気二重層容量を高めることができる点で好ましい。
前記加熱処理における加熱温度は、例えば400〜600℃、好ましくは400〜500℃である。また、加熱時間は、例えば1〜24時間、好ましくは5〜12時間である。
基材としてのND粒子の粒子径(D50、メディアン径)は、例えば50nm以下であり、好ましくは30nm以下、特に好ましくは20nm以下、最も好ましくは10nm以下である。基材としてのND粒子の粒子径の下限は、例えば1nmである。
基材としてのND粒子としては、例えば、爆轟法ND(すなわち、爆轟法によって生成したND)や、高温高圧法ND(すなわち、高温高圧法によって生成したND)を使用することができる。本発明においては、なかでも、より比表面積が大きい点で爆轟法NDが好ましい。
(金属酸化物(B))
金属酸化物は、導電性を有し、ファラディックな反応(すなわち、酸化還元反応)により疑似容量が発生し得る化合物である。すなわち、疑似容量物質である。このような金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ルテニウム、酸化インジウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、なかでも、酸化ルテニウム(RuO2)が、高い電気伝導度を有すると共に、高い物理的安定性及び化学的安定性を有する点で好ましい。
金属酸化物(B)の粒子径(D50、メディアン径)は、例えば1000nm以下であることが、比表面積が大きいことにより、酸化還元反応の進行を促進することができ、疑似容量を増加させることができる点で好ましく、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である。すなわち、金属酸化物(B)はナノ粒子であることが好ましい。尚、粒子径の下限は、例えば1nmである。金属酸化物(B)の粒子径は、動的光散乱法によって測定することができる。
例えば、酸化ルテニウムナノ粒子は、ゾル−ゲル法により製造することができる。原料としては、塩化ルテニウムやルテニウムアルコキシド等が利用できる。塩化ルテニウムを原料として使用する場合には、加水分解により塩素が解離することにより、反応が不均一となる場合があるが、その場合には、加水分解抑制剤(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等)を使用して反応系内のpHを6〜8の範囲に保持することが好ましい。これにより、均一な酸化ルテニウムナノ粒子を製造することができる。
ゾル−ゲル法により得られた酸化ルテニウムナノ粒子は、例えば、水洗等を施して精製してもよい。
[インク]
本発明のインクは、上述の電極形成材料とバインダーとを含む。
前記バインダーとしては、電極形成材料に含まれるBDND(A)と金属酸化物(B)を、これらの導電性を損なうことなく、基材上に接着固定することができる化合物である。このようなバインダーとしては、例えば、高いプロトン導電性を有する高分子化合物(特に、スルホン酸基を有する高分子化合物)が挙げられる。本発明では、例えば、商品名「ナフィオン」(SIGMA-ALDRICH 社製)等の市販品を使用することができる。
前記バインダーの使用量としては、電極形成材料に含まれるBDND(A)と金属酸化物(B)の合計1質量部に対して、例えば0.1〜5質量部程度、好ましくは0.5〜2質量部である。
本発明のインクは、電極形成材料とバインダー以外にも他の成分を含有していてもよいが、インク全量における、電極形成材料(好ましくは、BDND(A)と金属酸化物(B)と分散媒)とバインダーの合計含有量の占める割合は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。尚、上限は100質量%である。すなわち、本発明のインクは、電極形成材料とバインダーのみからなるものであってもよい。
本発明のインクは、例えば、上述の電極形成材料(BDND(A)と金属酸化物(B)と分散媒を含む)とバインダーとを混合することにより製造することができる。尚、本発明では、予め、前記電極形成材料とバインダーを混合してインクを製造し、これを基材に塗布又は含浸させても良いし、前記電極形成材料とバインダーを段階的に基材に塗布又は含浸させて、基材上で前記電極形成材料とバインダーを混合させてインクを形成してもよい。
本発明のインクは、上記構成を有するため、電気化学キャパシタ用電極を形成する用途に好適に使用することができる。
[電気化学キャパシタ用電極]
本発明の電気化学キャパシタ用電極は、基材上に、上記BDND(A)と金属酸化物(B)とが担持されてなる。
前記電極に含まれるBDND(A)は、電圧を印加することで、非ファラディックな反応過程により電気二重層容量が発生する。そして、BDND(A)は上述の通り比表面積が大きいため、電気二重層の蓄電容量は大きい。
また、前記電極に含まれる金属酸化物(B)は、非ファラディックな反応過程により電気二重層容量が発生する。また、同時に、ファラディックな反応過程、すなわち、下記式(1)で示される酸化還元反応により、疑似容量が発生する。
Figure 0006803582
前記電子(e-)はBDND(A)から供給され、プロトン(H+)は電解質水溶液から供給される。
そのため、本発明の電気化学キャパシタ用電極では、下記[1]〜[3]を兼ね備えることによって、上記式(1)で表される酸化還元反応の進行を促進することができ、疑似容量を効率よく発生させることができ、蓄電容量を向上させることができる。
[1]金属酸化物(B)の担持量を増加させること
[2]プロトン(H+)を供給する電解液と金属酸化物(B)との接する面積を大きくすること
[3]電子を供給するBDND(A)と金属酸化物(B)との接する面積を大きくすること
そして、前記(B)の担持量(若しくは、担持割合)が、前記(A)と(B)の合計含有量に対して20〜95質量%の範囲を下回ると(言い換えると、前記(A)の担持量が過剰となると)、疑似容量の低下により、電荷の蓄電容量を向上することが困難となる傾向がある。
一方、前記(B)の担持量(若しくは、担持割合)が、前記(A)と(B)の合計含有量に対して20〜95質量%の範囲を上回っても、前記(B)が、BDND(A)や電解液と効果的に接触することが困難となるため、疑似容量をより一層向上させる効果は得られず、かえって高価な(B)を過剰に使用することでコスト高となる傾向がある。
また、前記(B)の担持量(若しくは、担持割合)の増加により、セル電力(V)が低下する傾向がある。
従って、前記(A)と(B)の合計担持量に対する前記(B)の担持量は、蓄電容量(C)を一層向上させ、エネルギー密度(E)を向上させることができる点において、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上である。また、前記(B)の担持量の上限は、好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%、特に好ましくは60質量%、最も好ましくは55質量%である。
尚、エネルギー密度(E)とは、単位質量に蓄えられるエネルギー量であり、下記式(2)で求められる。
E(Wh/Kg)=CV2/2 (2)
(式中、Cは蓄電容量を示し、Vはセル電圧を示す)
前記(A)の担持量は、電極1cm2当たり、例えば0.5〜100mg程度、好ましくは1〜50mg、特に好ましくは2〜10mg、最も好ましくは2〜5mgである。
前記(B)の担持量は、電極1cm2当たり、例えば0.5〜100mg程度、好ましくは1〜50g、特に好ましくは2〜10mg、最も好ましくは2〜5mgである。
前記電極は上述の通り、高い電気二重層容量と高い疑似容量とを有することで、極めて優れた蓄電容量を有する。前記電極の蓄電容量は、例えば10F/g以上、好ましくは15F/g以上、特に好ましくは20F/g以上、最も好ましくは25F/g以上である。尚、蓄電容量の上限は、例えば30F/g程度である。
また、電極形成材料として活性炭を用いる通常の電極では、走査速度が大きくなるにつれて蓄電容量が急激に減少するが、前記電極によれば、BDND(A)は活性炭と異なり発達した細孔構造を持たないため、高速走査時でも電解質イオンの移動が容易であり、素早く電気二重層を形成することができる。そのため、走査速度が大きくなっても、蓄電容量の低下を抑制することができ、高速走査時にも蓄電容量を高く維持することができる。
更に、前記電極によれば、特に、前記(A)と(B)の合計担持量に対する(B)の担持量が20質量%を超え、95質量%以下(より好ましくは30〜95質量%、特に好ましくは40〜90質量%、最も好ましくは45〜85質量%)の場合において、出力密度(P)を向上させることができる。
尚、出力密度(P)は、単位質量当たり、1秒間に取り出せるエネルギー量であり、下記式(3)で求められる。
P(W/Kg)=3600×E/t (3)
[式中、Eはエネルギー密度(単位はWh/kg)を示し、tは時間(単位は秒)を示す]
前記電極は、例えば、上述のインク(電極形成材料とバインダーとを含む)を基材に塗布又は含浸させることにより製造することができる。
尚、電極形成材料とバインダーとは、前記の通り、これらを全て混合したもの(=インク)を使用して、一度に基材に塗布又は含浸させてもよいが、これらを段階的に基材に塗布又は含浸させても良い。例えば、上述の電極形成材料((A)と(B)と分散媒を含む)を基材に塗布又は含浸させ、次いで、バインダーを塗布又は含浸させてもよい。
上記(A)と(B)と分散媒とバインダーとを、一度に、或いは段階的に、基材に塗布若しくは含浸させた後は、乾燥処理を施して分散媒を蒸発させることが好ましい。
前記基材としては、絶縁性基材や導電性基材を使用することができる。絶縁性基材としては、例えば、シリコン基材、ガラス基材、石英基材、セラミックス基材、ダイヤモンド基材等が挙げられる。また、導電性基材としては、例えば、チタン、モリブデン、ニオブ、アルミニウム、ステンレス等の金属基材や、ガラス状炭素等のカーボン基材等が挙げられる。
前記電極は蓄電容量が大きいため、例えば、電子機器や電動車両等の電源或いは補助電源、蓄電装置等として使用される電気化学キャパシタにおいても好適に使用することができる。
[電気化学キャパシタ]
本発明の電気化学キャパシタは、上記電気化学キャパシタ用電極を備えることを特徴とする。また、上記電気化学キャパシタ用電極と共に、電解液とセパレーターとを備えることが好ましい。
前記電解液としては、水系電解液と非水系電解液を使用することができる。なかでも、耐電圧特性に優れる点で水系電解液が好ましい。水系電解液としては、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸等の酸の水溶液;水酸化ナトリウム、アンモニア等の塩基の水溶液;過塩素酸リチウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸アルミニウム、過塩素酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等の塩の水溶液等が挙げられる。
また、水系電解液は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で添加剤や水溶性有機溶媒を、それぞれ1種又は2種以上含んでいてもよい。前記添加剤としては、例えば、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の塩が挙げられる。また、前記水溶性有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ポリC2-4アルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール)等の多価アルコールや、ラクトン類等が挙げられる。
前記非水系電解液としては、例えば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩を含む、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル等の有機系電解液が挙げられる。
前記セパレーターとしては、例えば、PP、PEなどのポリオレフィン系セパレーター;不織布、ガラス繊維などの多孔質セパレーター等が挙げられる。
本発明の電気化学キャパシタは、電解液に浸漬した二枚のBDND電極間に電源を繋いで電圧を印加することで充放電できる。充電時は電解質イオンがBDND電極表面に吸着する。放電時にはBDND電極表面に吸着していた陽イオン並びに陰イオンが脱離して、電解液中に再び拡散する。充放電には、BDND電極の化学的変化を伴わないため、BDND電極が充放電により劣化することがなく、長寿命を保つことができる。
本発明の電気化学キャパシタは、蓄電容量が大きい。また、一般的な二次電池に比べて高速での充放電が可能である。すなわち、大容量且つ高出力である。その上、充放電サイクル寿命に優れる。そのため、例えば、電子機器や電動車両等において、電源或いは補助電源として有用である。また、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギー発電により得られた電力の蓄電装置、或いは電動車両の回生電力貯蔵システム等としても有用である。
[電子機器、電動車両、蓄電装置]
本発明の電子機器は、上記電気化学キャパシタを備えることを特徴とする。
また、本発明の電動車両は、上記電気化学キャパシタを備えることを特徴とする。
また、本発明の蓄電装置は、上記電気化学キャパシタを備えることを特徴とする。
前記電子機器には、例えば、モバイル機器、AV機器等が含まれる。
前記電動車両には、例えば、ハイブリッド自動車、電動自動車、電車、建設重機等が含まれる。
本発明の電子機器や電動車両は上記電気化学キャパシタを、例えば電源や補助電源として、備えるため、頻繁に充電する必要がない。また、急速充放電が可能である。更に、充放電を繰り返しても、劣化することがなく、メンテナンスに係るコストの削減に資する。さらにまた、本発明の電子機器や電動車両は、非常用電源としても利用することができる。
本発明の蓄電装置は、上記電気化学キャパシタを備えるため、長期に亘って安定的に、且つ大容量で蓄電することができ、天候による発電ロスを防止して、安定的に電力を供給する用途に使用することができる。また、急速充放電が可能であり、充放電効率が高い。更に、充放電サイクル寿命が長い。そのため、メンテナンスに係るコストの削減に資する。従って、本発明の蓄電装置によれば、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギー発電電力を貯蔵して、変動する発電電力を平準化して送電する、あるいは負荷の瞬時大電力を平準化することができ、自然エネルギー発電効率を向上することができる。また、電動車両が減速する際に、従来は熱として失われていたエネルギーを回生して、貯蔵する用途にも有用である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(BDNDの製造)
(生成工程)
まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器(鉄製容器、容積:15m3)の内部に設置して容器を密閉した。爆薬としては、TNTとRDXとの混合物(TNT/RDX(質量比)=50/50)0.50kgを使用した。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた。次に、室温で24時間静置して、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているND粗生成物(ND粒子の凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ND粗生成物を回収した。ND粗生成物の回収量は0.025kgであった。
(酸化処理工程)
次に、50℃の冷媒を循環させた凝縮器と前記凝縮器に接続されたアルカリトラップとを備えた反応器中において、1atm下、反応器を加熱しつつ、生成工程で得られたND粗生成物(3g)と濃硫酸(80.6g)と炭酸銅(触媒量)とを反応器に仕込んだ。
そこへ、発煙硝酸(20.4g、前記濃硫酸と硝酸の割合が80/20(前者/後者;質量比)となる量)を滴下した。反応の進行に伴って蒸発した硝酸、及び生成したH2Oは凝縮器で凝縮して反応器内に戻した。一方、NO、NO2、CO、及びCO2は凝縮器に接続されたアルカリトラップで捕集した。このとき、反応温度は150℃であった。
反応開始から48時間経過後、反応器の加熱を停止し、反応器内を室温まで冷却した。冷却後、デカンテーションにより、固形分(ND凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
(解砕工程)
次に、ビーズミル(商品名「ウルトラアペックスミルUAM−015」、寿工業(株)製)を使用して、前工程を経て得られたスラリー300mLを解砕処理に付した。本処理では、解砕メディアとしてジルコニアビーズ(直径:0.03mm)を使用し、ミル容器内に充填されるビーズの量はミル容器の容積に対して60%とし、ミル容器内で回転するローターピンの周速は10m/sとした。また、装置を循環させるスラリーの流速を10L/hとして90分間の解砕処理を行った。
(遠心分離工程)
次に、上述の解砕工程を経たNDを含有する溶液から、遠心力の作用を利用した分級操作によって粗大粒子を除去した(遠心分離処理)。本工程の遠心分離処理において、遠心力は20000×gとし、遠心時間は10分とした。これにより、黒色透明のND水分散液(1)を得た。
(乾燥工程)
次に、遠心分離工程で得られたND水分散液(1)からエバポレーターを使用して液分を蒸発させた後、残留固形分を乾燥用オーブンを使用して120℃で加熱して乾燥させた。
以上のようにして、ND(1)(粉体、動的光散乱法によって測定したメディアン径(粒径D50):5nm)を得た。
(ホウ素ドープ工程)
得られたND(1)を基材として、MPCVD法により、下記条件下でホウ素をドープした。原料溶液として、炭素源としてのアセトン/メタノール混合溶液(9:1,v/v)に、トリメトキシボランを、炭素原子に対するホウ素原子濃度が20000ppmとなる割合で添加したものを使用した。これにより、BDND(1)を得た。
<MPCVD条件>
マイクロ波出力:1300W
圧力:50Torr
水素ガス流量:400sccm
成長時間:8時間
(粒子径、比表面積、及び電気伝導度の測定)
得られたBDND(1)の粒子径(D50)を動的光散乱法によって測定した。その結果、111nmであった。
また、BET比表面積を窒素吸着法により測定した。その結果、182.0m2/gであった。
更に、20℃において、内径1mmのガラスキャピラリーにBDND(1)を充填し、両端の直流抵抗から電気伝導度を算出した。その結果、0.100S/cmであった。
また、BDND(1)のUVラマンスペクトル(光源波長:325nm)測定結果より、BDND(1)では、sp2炭素由来のDバンドおよびGバンドが顕著に観察された(図1、)。
更に、BDND(1)の元素分析をICP−AES法により行った結果、620mg/kgのホウ素が含まれていることがわかった。
以上の結果より、BDND(1)はナノダイヤモンド粒子の表面にホウ素を含むsp2炭素層が堆積された構造を有する複合体であることが示唆された。
調製例2(酸化ルテニウムナノ粒子の製造)
0.1MのRuCl3100mLに、1MのNaOH水溶液30mLを、0.5mL/分の速度で添加した。その後、12時間撹拌した。
その後、反応液を遠心分離処理(7500rpm×15分)に付して水分を除去し、更に、吸引濾過により濾液を除去して、濾物を得た。
得られた濾物を水で洗浄し、減圧乾燥(0.08MPa、120℃で12時間以上)に付して、酸化ルテニウムナノ粒子(1)を得た。得られた酸化ルテニウムナノ粒子(1)の粒子径(D50)を動的光散乱法によって測定した。その結果、50nmであった。
実施例1(電極形成材料の製造)
得られたBDND(1)5mgと、酸化ルテニウムナノ粒子(1)5mgとを、0.5mLの30質量%エタノールに分散させて、電極形成材料(1)(B/(A+B):50%)を得た。
得られた電極形成材料(1)20μLを、集電体であるガラス状炭素基材上にキャストし、60℃で加熱乾燥した後、5質量%ナフィオン(疎水性テフロン(登録商標)骨格にスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖が結合した構成を有するパーフルオロカーボン)10μLを最表面にキャストして電極(1)を得た(電極1cm2当たりのBDND担持量:2.9mg、酸化ルテニウムナノ粒子2.9mg)。
実施例2
BDND(1)8mgと、酸化ルテニウムナノ粒子(1)2mgとを使用した以外は実施例1と同様にして、電極形成材料(2)(B/(A+B):20%)を得、電極(2)を得た(電極1cm2当たりのBDND担持量:4.6mg、酸化ルテニウムナノ粒子1.1mg)。
実施例3
BDND(1)2mgと、酸化ルテニウムナノ粒子(1)8mgとを使用した以外は実施例1と同様にして、電極形成材料(3)(B/(A+B):80%)を得、電極(3)を得た(電極1cm2当たりのBDND担持量:1.1mg、酸化ルテニウムナノ粒子4.6mg)。
比較例1
BDND(1)10mg使用し、酸化ルテニウムナノ粒子(1)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして、電極形成材料(4)(B/(A+B):0%)を得、電極(4)を得た(電極1cm2当たりのBDND担持量:5.7mg、酸化ルテニウムナノ粒子0mg)。
比較例2
酸化ルテニウムナノ粒子(1)10mg使用し、BDND(1)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして、電極形成材料(5)(B/(A+B):100%)を得、電極(5)を得た(電極1cm2当たりのBDND担持量:0mg、酸化ルテニウムナノ粒子5.7mg)。
[評価1]
実施例及び比較例で得られた電極を使用した対称2電極セルを用いて、1MのH2SO4中のCV測定(cyclic voltammetry、走査速度:10mV/s)を行った。電極電位を0Vから直線的に掃引し、酸素及び水素が発生しない範囲をセル電圧とした。結果を図2に示す。
セル電圧を下記表にまとめて示す。
Figure 0006803582
図2より、電極へRuO2ナノ粒子を担持させると、0.7V付近にピークが見られ、このことから、RuO2ナノ粒子の酸化還元反応が起きて疑似容量が発生していることがわかる。従って、電極へRuO2ナノ粒子を担持させると、セル電圧は低下するが、電流密度が増加することがわかる。
[評価2]
実施例及び比較例で得られた電極を使用した対称2電極セル(1MのH2SO4)を用いて、走査速度を10mV/sから10000mV/sの範囲で変更した場合の蓄電容量の変化を測定した。結果を図3に示す。
図3より、実施例で得られた電極は、RuO2ナノ粒子の担持割合を20質量%から増加させると、RuO2ナノ粒子の担持割合の増加に伴い蓄電容量が増加すること、50〜80質量%辺りをピークに、RuO2ナノ粒子の担持割合が100質量%の場合より蓄電容量が向上すること、高速走査時でも蓄電容量が低下しにくいことが確認できた。
[評価3]
実施例及び比較例で得られた電極を使用した対称2電極セル(1MのH2SO4)のラゴンプロット(出力密度を100W/Kgから10000W/Kgの範囲で変更した場合のエネルギー密度Wh/Kgの変化)を図4に示す。
図4から、実施例で得られた電極は、RuO2ナノ粒子の担持割合を20質量%から増加させると、RuO2ナノ粒子の担持割合の増加に伴いエネルギー密度及び出力密度が向上すること、50〜80質量%辺りをピークに、RuO2ナノ粒子の担持割合が100質量%の場合より、高いエネルギー密度及び出力密度を有することがわかる。
[評価4]
実施例及び比較例で得られた電極を使用した対称2電極セルの、1MのH2SO4、走査速度10mV/sにおける、RuO2ナノ粒子の担持割合と、質量当たりの蓄電容量(F/g)の関係を図5に示す。
図5より、実施例で得られた電極は、RuO2ナノ粒子の担持割合を20質量%から増加させると、RuO2ナノ粒子の担持割合の増加に伴い質量当たりの蓄電容量が増加すること、50〜80質量%辺りをピークに、RuO2ナノ粒子の担持割合が100質量%の場合より、質量当たりの蓄電容量が向上することがわかる。
以上より、本発明の電極を利用すれば、コンパクトで高出力なデバイスを、安価に作製することができる。

Claims (11)

  1. 比表面積が110m2/g以上であり、且つ20℃における電気伝導度が5.0×10-3S/cm以上であるホウ素ドープナノダイヤモンド(A)と、金属酸化物(B)とを含み、前記(B)の含有量が、前記(A)と(B)の合計含有量の45〜95質量%である電気化学キャパシタ用電極形成材料。
  2. 金属酸化物(B)が酸化ルテニウムである、請求項1に記載の電気化学キャパシタ用電極形成材料。
  3. ホウ素ドープナノダイヤモンド(A)のメディアン径が200nm以下である、請求項1又は2に記載の電気化学キャパシタ用電極形成材料。
  4. 金属酸化物(B)のメディアン径が1000nm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の電気化学キャパシタ用電極形成材料。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の電気化学キャパシタ用電極形成材料と、バインダーとを含むインク。
  6. 基材に、比表面積が110m2/g以上であり、且つ20℃における電気伝導度が5.0×10-3S/cm以上であるホウ素ドープナノダイヤモンド(A)と、金属酸化物(B)とが担持され、前記(B)の担持量が、前記(A)と(B)の合計担持量の45〜95質量%である電気化学キャパシタ用電極。
  7. 蓄電容量が10F/g以上である、請求項6に記載の電気化学キャパシタ用電極。
  8. 請求項6又は7に記載の電極を備えた電気化学キャパシタ。
  9. 請求項8に記載の電気化学キャパシタを備えた電子機器。
  10. 請求項8に記載の電気化学キャパシタを備えた電動車両。
  11. 請求項8に記載の電気化学キャパシタを備えた蓄電装置。
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