JP6801512B2 - 変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 - Google Patents
変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6801512B2 JP6801512B2 JP2017035082A JP2017035082A JP6801512B2 JP 6801512 B2 JP6801512 B2 JP 6801512B2 JP 2017035082 A JP2017035082 A JP 2017035082A JP 2017035082 A JP2017035082 A JP 2017035082A JP 6801512 B2 JP6801512 B2 JP 6801512B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- hydrocarbon resin
- range
- melt adhesive
- adhesive composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
例えば、特許文献1〜2では、炭化水素樹脂を水添することにより、色相を改善することが記載されている。
また、このような炭化水素樹脂水素化物は、炭化水素樹脂に元来含まれる不飽和結合が水素添加反応(水添)により飽和化されていることで、熱劣化等による色相の変化が少なく、さらに、臭気も改善されている。
また、ホットメルト粘接着剤は、配合物とした後、使用するまでの間、アプリケータのタンクなどで加熱状態で保持されることが通常であるが、熱劣化を起こしやすく、配合物とした直後に比べ、加熱状態で保持した後の粘着性能が低下することが課題となっている。
以下、本発明の変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物について詳細に説明する。
本発明の変性炭化水素樹脂は、炭化水素樹脂に水添して得られた変性炭化水素樹脂であり、重量平均分子量(Mw)が1,000〜4,000の範囲内であり、かつ、160℃3時間加熱時の分解生成物を蒸留水に吹き込んだ際の電気伝導度が2.5μS/cm以上15.0μS/cm以下であることを特徴とするものである。
ここで、上記重量平均分子量および電気伝導度が上記所定の範囲内であることにより、変性炭化水素樹脂が、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができる理由については、明確ではないが、以下のように推察される。
すなわち、変性炭化水素樹脂は、炭化水素樹脂に水添して得られたものであることで、炭化水素樹脂の酸化安定性を向上させることができる。それにより、ホットメルト粘接着剤組成物を加熱状態で保持したときの劣化を防止することができ、加熱状態で保持した後も粘着性能を維持することが可能となる。
また、変性炭化水素樹脂の上記電気伝導度は、変性炭化水素樹脂の酸化安定性を示すものであり、電気伝導度が高いほど酸化安定性が低いことを意味する。このため、電気伝導度の上限が上記の値であることで、上記変性炭化水素樹脂は、熱劣化しにくい優れた樹脂となる。その結果、上記変性炭化水素樹脂は、ホットメルト粘接着剤組成物の製造時および加熱時に良好な耐熱安定性を示し、加熱状態で保持した後の接着力に優れたホットメルト粘接着剤組成物を与えることができる。
一方、電気伝導度が低いと酸化安定性が良好となるが、電気伝導度が低すぎるとベースポリマーとの相溶性が悪くなる。このため、電気伝導度の下限が上記の値であることで、変性炭化水素樹脂は、ホットメルト粘接着剤組成物の製造時において溶融混合等によりベースポリマーと良好に混合することができる。さらに、上記変性炭化水素樹脂は、重量平均分子量の値が上述の範囲内であることで、ホットメルト粘接着剤組成物の製造時において溶融混合等によりベースポリマーと良好に混合することが容易である。したがって、優れた接着力を示すホットメルト粘接着剤組成物を与えることができる。
このようなことから、上記変性炭化水素樹脂は、水添により得られたものであり、さらに、重量平均分子量および電気伝導度が上記所定の範囲内であることで、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるのである。
以下、水添により変性する前の炭化水素樹脂(以下、単に、変性前樹脂と称する場合がある。)、これを水添により変性した炭化水素樹脂水素化物である変性炭化水素樹脂について詳細に説明する。
上記炭化水素樹脂は、水添により変性される前の原料樹脂である。
このような炭化水素樹脂としては、水添により変性されることで、加熱状態で保持した後においても優れた粘着性能を持つホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるものであればよい。
本発明においては、なかでも、上記炭化水素樹脂が、炭素数5の単量体単位を主成分として含む炭化水素樹脂であることが好ましい。上記所定の単量体単位を主成分として含む炭化水素樹脂は、水添により変性されることで、加熱状態で保持した後においても優れた粘着性能を持つホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるからである。
C5留分に含まれる単量体としては、例えば、1,3−ペンタジエン、イソプレン、シクロペンタジエンなどの炭素数4〜5の共役ジエン単量体を挙げることができ、なかでも本発明においては、上記単量体組成物がC5留分として1,3−ペンタジエンを含むものであること、すなわち、上記炭化水素樹脂が1,3−ペンタジエン単量体単位を含むものであることが好ましい。
なお、C5留分に含まれる単量体は、ナフサを熱分解した際にC5留分として含まれ得る単量体であればよい。例えば、上記C5留分に含まれる単量体としては、ナフサを熱分解してC5留分として得られた単量体に限定されるものではなく、他の合成方法等により得られた単量体であってもよい。
なお、上記単量体単位の含有割合は、変性炭化水素樹脂においても同様であり、当該含有割合の好適範囲も変性前樹脂と同様である。
なお、1,3−ペンタジエンにおけるシス/トランス異性体比は任意の比でよく、特に限定されない。
炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、10質量%〜35質量%の範囲内とすることができ、15質量%〜33質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも19質量%〜32質量%の範囲内であることが好ましく、特に、23質量%〜31質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明の変性炭化水素樹脂は、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるからである。
なお、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィンにおいて、これに該当する各化合物の割合は任意の割合でよく、特に限定されないが、少なくともシクロペンテンが含まれることが好ましく、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン中にシクロペンテンの占める割合が50質量%以上であることがより好ましい。
炭素数4〜8の非環式モノオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、5質量%〜30質量%の範囲内とすることができ、6質量%〜28質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも7量%〜26質量%の範囲内であることが好ましく、特に、8質量%〜24質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明の変性炭化水素樹脂は、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるからである。
なお、炭素数4〜8の非環式モノオレフィンにおいて、これに該当する各化合物(異性体を含む)の割合は任意の割合でよく、特に限定されないが、少なくとも2−メチル−2−ブテン、イソブチレン及びジイソブチレンからなる群から選択される少なくとも一種が含まれることが好ましく、炭素数4〜8の非環式モノオレフィン中に2−メチル−2−ブテン、イソブチレン及びジイソブチレンの合計量が占める割合が50質量%以上であることがより好ましい。
脂環式ジオレフィンは、その分子構造中にエチレン性不飽和結合を2つ以上と非芳香族性の環構造とを有する炭化水素化合物である。脂環式ジオレフィンの具体例としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエンの多量体、メチルシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンの多量体を挙げることができる。
脂環式ジオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、0質量%〜1質量%の範囲内とすることができ、0質量%〜0.8質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0質量%〜0.6質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0質量%〜0.4質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明の変性炭化水素樹脂は、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるからである。
芳香族モノオレフィンは、その分子構造中にエチレン性不飽和結合1つを有する芳香族化合物である。芳香族モノオレフィンの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、クマロンなどが挙げられる。
芳香族モノオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、0質量%〜40質量%の範囲内とすることができ、0質量%〜38質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0質量%〜36質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0質量%〜34質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明の変性炭化水素樹脂は、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるからである。
このようなその他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体は、前述した単量体以外で1,3−ペンタジエンなどと付加共重合され得る付加重合性を有する化合物であれば、特に限定されない。上記その他の単量体には、例えば、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエンなどの1,3−ペンタジエン以外の炭素数4〜6の不飽和炭化水素;シクロヘプテンなどの炭素数7以上の脂環式モノオレフィン;エチレン、プロピレン、ノネンなどの炭素数4〜8以外の非環式モノオレフィン等が包含される。
但し、上記その他の単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、上記所定の特性を有する変性炭化水素樹脂を得ることができるものであればよく、具体的には、通常、0質量%〜30質量%の範囲内であり、0質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましく、0質量%〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。本発明の変性炭化水素樹脂は、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるからである。
変性前樹脂を製造するために好適に用いられる方法としては、次に述べる、ハロゲン化アルミニウム(A)と、3級炭素原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化炭化水素(B1)及び炭素−炭素不飽和結合に隣接する炭素原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化炭化水素(B2)からなる群より選ばれるハロゲン化炭化水素(B)とを組み合わせて、重合触媒とし、上述の単量体混合物Aを重合する重合工程を有する方法を挙げることができる。
また、上記単量体混合物Aに含まれる各単量体の添加量は、炭化水素樹脂における各単量体単位の含有量と同様とすることができる。
したがって、変性前樹脂として、1,3−ペンタジエン単量体単位20質量%〜70質量%、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン単量体単位10質量%〜35質量%、炭素数4〜8の非環式モノオレフィン単量体単位5質量%〜30質量%、脂環式ジオレフィン単量体単位0質量%〜1質量%、及び芳香族モノオレフィン単量体単位0質量%〜40質量%を含む炭化水素樹脂を製造する場合、上記製造方法は、より具体的には、1,3−ペンタジエン20質量%〜70質量%、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン10質量%〜35質量%、炭素数4〜8の非環式モノオレフィン5質量%〜30質量%、脂環式ジオレフィン0質量%〜1質量%、及び芳香族モノオレフィン0質量%〜40質量%を含む単量体混合物Aを重合する重合工程を有する方法を挙げることができる。
ハロゲン化アルミニウム(A)の使用量は、特に限定されないが、重合性成分(単量体混合物A)100質量部に対し、好ましくは0.05質量部〜10質量部の範囲内、より好ましくは0.1質量部〜5質量部の範囲内である。
3級炭素原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化炭化水素(B1)の具体例としては、t−ブチルクロライド、t−ブチルブロマイド、2−クロロ−2−メチルブタン、トリフェニルメチルクロライドを挙げることができる。これらのなかでも、活性と取り扱いやすさとのバランスに優れる点で、t−ブチルクロライドが特に好適に用いられる。
炭素−炭素不飽和結合に隣接する炭素原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化炭化水素(B2)における不飽和結合としては、炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合が挙げられ、芳香族環などにおける炭素−炭素共役二重結合も含むものである。このような化合物の具体例としては、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、(1−クロロエチル)ベンゼン、アリルクロライド、3−クロロ−1−プロピン、3−クロロ−1−ブテン、3−クロロ−1−ブチン、ケイ皮クロライドが挙げられる。これらの化合物のなかでも、活性と取り扱いやすさとのバランスに優れる点で、ベンジルクロライドが好適に用いられる。なお、ハロゲン化炭化水素(B)は、1種類で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ハロゲン化炭化水素(B)の使用量は、ハロゲン化アルミニウム(A)に対するモル比で、好ましくは0.05〜50の範囲内、より好ましくは0.1〜10の範囲内である。
混合物aの調製方法は特に限定されず、それぞれ純粋な化合物を混合して目的の混合物aを得てもよいし、例えばナフサ分解物の留分などに由来する、目的の単量体を含む混合物を用いて、目的の混合物aを得てもよい。例えば、混合物aに1,3−ペンタジエンなどを配合するためには、イソプレンおよびシクロペンタジエン(その多量体を含む)を抽出した後のC5留分を好適に用いることができる。
混合物aと混合物Mと共に、ハロゲン化炭化水素(B)をさらに混合することが好ましい。これら3者の投入順序は特に制限されない。
上記その他の工程としては、例えば、重合工程後に、重合工程において重合停止剤を添加して、重合触媒を不活性化した際に生成する、溶媒に不溶な触媒残渣を濾過などにより除去する触媒残渣除去工程、重合工程による重合反応停止後、未反応の単量体と溶媒を除去し、さらに水蒸気蒸留などにより低分子量のオリゴマー成分を除去し、冷却することにより、固体状の変性前樹脂を得る回収工程等を有することができる。
また、上記その他の工程は、触媒残渣除去工程後、かつ、回収工程前に溶媒に不溶な触媒残渣を除去した後の触媒残渣除去混合物を吸着剤と接触させて、吸着剤処理混合物を得る接触処理工程を有するものであってもよい。上記接触処理工程を有することにより、変性前樹脂およびこれを水添して得られた変性炭化水素樹脂は、低臭気なものとすることができるからである。
なお、上記その他の工程については、後述する変性炭化水素樹脂の製造方法における水添工程後に行うものであってもよい。
上記変性炭化水素樹脂は、炭化水素樹脂である変性前樹脂を水添して得られた炭化水素樹脂水素化物である。
また、160℃3時間加熱時の分解生成物を蒸留水に吹き込んだ際の電気伝導度とは、ISO6886に準拠したランシマット法による酸化安定性試験により測定される値である。ランシマット法(ISO6886)は通常、種々の油脂の酸化に対する耐性を測定することで、これら油脂の安定性を評価する試験法である。測定原理は、次の通りである。すなわち、試験管内の測定試料に対して空気を吹き込み、試料を加熱して熱分解させることにより加速的に経時変化させる。試料の酸化に伴って揮発性二次生成物質が生じてくる。試験管に吹き込まれた空気により二次生成物質が移送され、蒸留水を充填した測定セルに収集され、電気伝導度を測定する。これにより、一定時間加熱した際に発生する有機酸の総量が電気伝導度として測定される。酸化安定性試験には、自動油脂安定性試験装置(商品名:892プロフェッショナルランシマット、スイス・メトローム社製)を使用することができる。
ここで、オレフィンの水添率とは、変性前樹脂の全非芳香族性炭素−炭素二重結合のうち、水素化された割合をいうものである。
本発明において、上記水添率は、30%〜80%の範囲内とすることができ、35%〜75%の範囲内であることが好ましく、なかでも40%〜70%の範囲内であることが好ましい。水添率が上述の範囲内であることにより、本発明の変性炭化水素樹脂は、ベースポリマーとの相溶性に優れ、さらに、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができる。
なお、上記変性前樹脂中の炭素−炭素二重結合としては、非芳香族性炭素−炭素二重結合(主に主鎖の炭素−炭素二重結合)の他、芳香族性炭素−炭素二重結合(芳香環内の炭素−炭素二重結合)が存在するが、芳香族性炭素−炭素二重結合は出来るだけ水素化されていないのが好ましく、全芳香族性炭素−炭素二重結合のうち、水素化された割合としては、通常、10%以下、好ましくは7%以下、より好ましくは1%である。
また、オレフィンの水添率は、変性前樹脂および変性炭化水素樹脂が有するオレフィン量の差から求めることができる。ここで、各樹脂が有するオレフィン量については、1H−NMRスペクトル測定により求めることができる。1H−NMRスペクトル測定は、溶媒に重クロロホルムを用い、NMR測定装置としては、JMN−AL seriesAL400、JEOL社製を用いて行うことができる。
重量平均分子量およびZ平均分子量の測定は、より具体的には、測定装置として、東ソー社製「HLC−8320GPC」を使用し、カラムは東ソー社製「TSKgel SuperMultiporeHZ」を3本連結したものを用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃、1.0mL/minの流量で測定することができる。
本発明における軟化点は、例えば、変性炭化水素樹脂についてJIS K 6863に従い測定する値とすることができる。
なお、有機溶媒については、変性前樹脂の重合に用いた溶媒を用いてもよい。
水素化触媒として均一系触媒を用いると変性前樹脂の水素化の割合を高めることができ、当該均一系触媒としてはルテニウム均一系触媒が好ましい。反応温度は、100℃〜200℃の範囲内が好ましく、130℃〜195℃の範囲内がより好ましい。
水素化触媒として不均一系触媒を用いると変性前樹脂の水素化の割合を抑えることができ、当該不均一系触媒としてはニッケル不均一系触媒が好ましい。反応温度は、150℃〜300℃の範囲内が好ましく、180℃〜260℃の範囲内がより好ましい。
水素圧は、絶対圧力で、通常0.01MPa〜10MPaの範囲内、好ましくは0.05MPa〜6MPaの範囲内、さらに好ましくは0.1MPa〜5MPaの範囲内である。
なお、上記添加剤の含有量としては、上記変性炭化水素樹脂100質量部に対して、通常、1質量部以下とすることができる。
次に、本発明のホットメルト粘接着剤組成物について説明する。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、上述の変性炭化水素樹脂と、熱可塑性高分子化合物と、を有することを特徴とするものである。
以下、本発明のホットメルト粘接着剤組成物の各成分について詳細に説明する。
上記変性炭化水素樹脂の含有量としては、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を得ることができるものであればよい。
上記含有量は、例えば、熱可塑性高分子化合物100質量部に対する割合で、50質量部〜500質量部の範囲内とすることができ、なかでも80質量部〜400質量部の範囲内であることが好ましく、特に、100質量部〜300質量部の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、ホットメルト粘接着剤組成物は、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるものとなるからである。
上記熱可塑性高分子化合物としては、ホットメルト粘接着剤組成物にベースポリマーとして使用される公知の熱可塑性高分子化合物を使用できる。
このような熱可塑性高分子化合物としては、具体的には、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレンなどのゴム;低密度ポリエチレン、エチレン− 酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂;芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性エラストマー;などを用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記熱可塑性高分子化合物が、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体およびその水素添加物であることが好ましく、特に、芳香族ビニルがスチレンであるスチレン系ブロック共重合体およびその水素添加物であることが好ましく、なかでも特にスチレン系ブロック共重合体であることが好ましい。上記熱可塑性高分子化合物が上記共重合体であることにより、上記熱可塑性高分子化合物は、変性炭化水素樹脂との相溶性に優れたものとなる結果、優れた粘着性能を持ち、熱安定性に優れるホットメルト粘接着剤組成物を与えることができるからである。
スチレン系ブロック共重合体としては、芳香族ビニルとしてスチレンを有するものであればよく、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が挙げられ、重量平均分子量が50,000〜350,000の範囲内で、スチレン単位含有量が5質量%〜50質量%の範囲内であるものが好ましく使用できる。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の場合、スチレン単位含有量が25質量%〜50質量%の範囲内のものが好ましく、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の場合は、スチレン単位含有量が10質量%〜30質量%の範囲内のものが好ましく使用できる。
なお、上記熱可塑性高分子化合物は、少なくとも1種を含むものであればよく、1種類のみを含むものであってもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ホットメルト粘接着剤組成物は、変性炭化水素樹脂および熱可塑性高分子化合物のみからなるものであってよいが、さらに、他の成分を含有するものであってもよい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物に含有され得る他の成分としては、抗酸化剤、香料、吸着剤等を挙げることができる。
また、他の成分として、可塑剤、ワックス、酸化防止剤、本発明の変性炭化水素樹脂以外の粘着付与樹脂、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤など、その他の配合剤を添加することができる。
なお、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、溶剤を含まない、無溶剤の組成物であることが好ましい。
したがって、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、種々の部材の接着に適用することが可能であり、しかも、省エネルギーで、生産性よく、保持力の高い接着を行うことができる。
試料となる変性炭化水素樹脂について、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析し、標準ポリスチレン換算値の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)を求め、分子量分布はMz/Mwの比で示した。なお、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析は、測定装置として、東ソー社製「HLC−8320GPC」を使用し、カラムは東ソー社製「TSKgel SuperMultiporeHZ」を3本連結したものを用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃、1.0mL/minの流量で測定した。
試料となる変性炭化水素樹脂について、JIS K 6863に従い測定した。
試料となる変性前樹脂および変性炭化水素樹脂について、1H−NMRスペクトル測定により各々のオレフィン量を求め、変性前後のオレフィン量の差に基づいてオレフィン水添率(%)を算出した。
なお、1H−NMRスペクトル測定では、溶媒に重クロロホルムを用い、NMR測定装置としてJMN−AL seriesAL400(JEOL社製)を用いた。
試料となる変性炭化水素樹脂について、ISO6886に準拠したランシマット法による酸化安定性試験により、電気伝導度を測定した。酸化安定性試験には、自動油脂安定性試験装置(商品名:892プロフェッショナルランシマット、スイス・メトローム社製)を使用した。測定条件を下記に示す。
測定条件
サンプル量:3.0g
空気流量:5.0L/h
蒸留水:60cc
加熱温度:160℃
加熱時間:3時間
電気伝導度が低いほうが酸化安定性が優れていることを意味する。
試料となる変性炭化水素樹脂を含むホットメルト粘接着剤組成物を用いて作製した粘接着剤シートについて、FINAT−1991 FTM−9(Quick−stick tack measurement)に準じて、23℃の雰囲気下でのループタックを測定し、タック性を評価した。値が高いほど良好である。
試料となる変性炭化水素樹脂を含むホットメルト粘接着剤組成物を用いて作製した粘接着剤シートについて、23℃で、被着体としてステンレス基材を使用してPSTC−1(粘着テープ委員会(米)による180°剥離接着試験)に準じて測定した。値が高いほど良好である。
試料となる変性炭化水素樹脂を含むホットメルト粘接着剤組成物について、目視にてホットメルト粘接着剤組成物の色相を観察した。透明性が高い色相であるほど、ホットメルト粘接着剤組成物調製時の熱劣化の程度が少なく、熱安定性に優れると判断できる。
重合反応器にシクロペンタン57.9部及びシクロペンテン25.4部の混合物を重合反応器に仕込み、60℃に昇温した後、塩化アルミニウム0.6部を添加した(混合物M1)。引き続き、1,3−ペンタジエン42.7部、イソブチレン8.7部、スチレン22.7部、C4−C6不飽和炭化水素0.5部、及びC4−C6飽和炭化水素7.4部からなる混合物a1と、t−ブチルクロライド0.2部とを、それぞれ、別のラインを通して、60分間に亘り温度(60℃)を維持して、前記混合物M1を含む重合反応器に連続的に添加しながら重合を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を重合反応器に添加して、重合反応を停止した。なお、重合反応時の重合反応器中の成分の種類及び量を表1にまとめて示した。重合停止により生成した沈殿物をろ過により除去し、変性前樹脂および未反応単量体等を含む重合体溶液を得た。
また、重合体溶液の一部を取り出し、これを蒸留釜に仕込み、窒素雰囲気下で加熱し、重合溶媒と未反応単量体を除去し、変性前樹脂とした。
変性前樹脂が水添された変性炭化水素樹脂を含む重合体溶液を蒸留釜に仕込み、窒素雰囲気下で加熱し、重合溶媒と未反応単量体を除去した。次いで、200℃以上で、飽和水蒸気を吹き込みながら、低分子量のオリゴマー成分を留去した。
その後、酸化防止剤(BHT)を0.2部添加して、蒸留釜から溶融樹脂を取り出し、室温まで放冷して、実施例1の変性炭化水素樹脂を得た。
この実施例1の変性炭化水素樹脂を含むホットメルト粘接着剤組成物を、目視による色相評価に供した。試験結果は、表1に示した。
この粘接着剤シートについて、ループタック力及び剥離接着力を測定した。これらの測定結果は、表1にまとめて示した。
この粘接着剤シートについて、剥離接着力を測定した。この剥離接着力は、加熱状態で保持した後の剥離接着力とした。測定結果は、表1に示した。
重合反応器に添加する成分の種類及び量、重合温度および水添条件を下記表1に示すとおりにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜4の変性炭化水素樹脂をそれぞれ得た。なお、実施例1に記載のないジイソブチレン、ジシクロペンタジエン、トルエン、及びベンジルクロライドは、1,3−ペンタジエン等と共にt−ブチルクロライドと混合し、重合に供した。
得られた実施例2〜4及び比較例1〜4の変性炭化水素樹脂については、実施例1と同様の測定を行った。これらの測定結果は、下記表1にまとめて示した。
ホットメルト粘接着剤組成物を目視による色相評価に供し、粘接着剤シートについてループタック力及び剥離接着力を測定した。
Claims (3)
- 炭化水素樹脂に水添して得られた変性炭化水素樹脂であり、
前記炭化水素樹脂が、
1,3−ペンタジエン単量体単位20質量%〜70質量%、
炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン単量体単位10質量%〜35質量%、
炭素数4〜8の非環式モノオレフィン単量体単位5質量%〜30質量%、
脂環式ジオレフィン単量体単位0質量%〜1質量%、及び
芳香族モノオレフィン単量体単位0質量%〜40質量%を含む炭化水素樹脂であり、
重量平均分子量(Mw)が1,000〜4,000の範囲内であり、
160℃3時間加熱時の分解生成物を蒸留水に吹き込んだ際の電気伝導度が2.5μS/cm以上15.0μS/cm以下であり、
軟化点が50℃〜120℃の範囲内であり、
オレフィンの水添率が30%〜80%の範囲内であることを特徴とする変性炭化水素樹脂。 - 請求項1に記載の変性炭化水素樹脂と、
熱可塑性高分子化合物と、
を有することを特徴とするホットメルト粘接着剤組成物。 - 前記熱可塑性高分子化合物が、スチレン系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のホットメルト粘接着剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017035082A JP6801512B2 (ja) | 2017-02-27 | 2017-02-27 | 変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017035082A JP6801512B2 (ja) | 2017-02-27 | 2017-02-27 | 変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018141045A JP2018141045A (ja) | 2018-09-13 |
JP6801512B2 true JP6801512B2 (ja) | 2020-12-16 |
Family
ID=63526442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017035082A Active JP6801512B2 (ja) | 2017-02-27 | 2017-02-27 | 変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6801512B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7255137B2 (ja) * | 2018-10-30 | 2023-04-11 | 日本ゼオン株式会社 | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
JP7255136B2 (ja) * | 2018-10-30 | 2023-04-11 | 日本ゼオン株式会社 | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
CA3152486A1 (en) * | 2019-10-01 | 2021-04-08 | Yoshiaki Yamamoto | Hot melt adhesive composition, adhesive tape, and method for producing adhesive tape |
JPWO2022163394A1 (ja) * | 2021-01-28 | 2022-08-04 | ||
JPWO2022163395A1 (ja) * | 2021-01-28 | 2022-08-04 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0625214B2 (ja) * | 1987-07-30 | 1994-04-06 | 丸善石油化学株式会社 | 水素化石油樹脂の製法 |
EP0794202B2 (en) * | 1996-03-06 | 2004-03-31 | Eastman Chemical Resins, Inc. | Aliphatic petroleum-based resins and hot melt pressure sentitive adhesive containing same |
US10988644B2 (en) * | 2015-06-30 | 2021-04-27 | Kolon Industries, Inc. | Hydrocarbon resin, method for preparing hydrocarbon resin, and adhesive composition |
-
2017
- 2017-02-27 JP JP2017035082A patent/JP6801512B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018141045A (ja) | 2018-09-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7259890B2 (ja) | 変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 | |
JP6801512B2 (ja) | 変性炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 | |
JP6787332B2 (ja) | 変性炭化水素樹脂及びその製造方法、並びにホットメルト粘接着剤組成物 | |
US5171793A (en) | Hydrogenated resins, adhesive formulations and process for production of resins | |
JP7468348B2 (ja) | ホットメルト粘接着剤組成物 | |
JP6102436B2 (ja) | 炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 | |
EP3098242B1 (en) | Block copolymer composition and adhesive composition | |
JP3379448B2 (ja) | 水素化c9系石油樹脂の製造方法および当該製造方法により得られた水素化c9系石油樹脂 | |
JPS6392611A (ja) | 水素化石油樹脂とその接着剤中に於ける使用 | |
TW200426166A (en) | Process for the production of hydrogenated petroleum resin | |
JP6328536B2 (ja) | 粘接着剤組成物 | |
JP7283397B2 (ja) | 炭化水素樹脂およびその水素化物、ならびにこれらを用いたホットメルト粘接着剤組成物 | |
WO2022163394A1 (ja) | 炭化水素樹脂およびホットメルト粘接着剤組成物 | |
JPH08157794A (ja) | スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体用粘着付与剤および粘着剤組成物 | |
JP3578179B2 (ja) | スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体用粘着付与剤およびその粘着剤組成物 | |
JP3427912B2 (ja) | スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体用粘着付与剤、その製造方法および粘着剤組成物 | |
JP2002037975A (ja) | スチレン系ブロック共重合体用改質剤ならびに該改質剤を含有してなる粘着剤組成物およびシーリング材組成物。 | |
JPH0533243B2 (ja) | ||
KR20160001424A (ko) | 석유수지, 이를 포함하는 점착제 조성물 및 점착테이프 | |
KR102122943B1 (ko) | 점착제 조성물 및 이를 포함하는 점착테이프 | |
JPWO2004065439A1 (ja) | 石油樹脂、その製造方法および接着剤組成物 | |
JP2023095383A (ja) | 炭化水素樹脂の製造方法 | |
JP2004026903A (ja) | 共重合体水素添加物、その製造方法及びそれを用いたホットメルト接着剤組成物 | |
JPH021782A (ja) | 粘着剤組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190930 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200630 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200804 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200827 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20201027 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20201109 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6801512 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |