JP6798838B2 - アルコール飲料及びその製造方法 - Google Patents
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他方、アルコール飲料に添加されるアルコールは、一部の消費者にとっては好ましくないアルコール感、即ち、アルコール臭味、例えば、アルコール臭、刺激臭味、及び苦味を呈することがある。
飲料用エタノールと、
コリアンダー抽出物とを含んでなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が0g/100mL超過1.0g/100mL以下であるものである。
〔1〕 アルコール飲料であって、
飲料用エタノールと、
コリアンダー抽出物とを含んでなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が0g/100mL超過1.0g/100mL以下である、アルコール飲料。
〔2〕 前記コリアンダー抽出物の添加量が、0ppm超過70ppm以下である、〔1〕に記載のアルコール飲料。
〔3〕前記アルコール飲料のpHが2以上7未満である、〔1〕又は〔2〕に記載のアルコール飲料。
〔4〕アルコール飲料を製造する方法であって、
飲料用エタノールと、コリアンダー抽出物とを混合してなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が、0g/100mL超過1.0g/100mL以下に調製してなる、アルコール飲料の製造方法。
〔5〕 前記コリアンダー抽出物の添加量が、0ppm超過70ppm以下である、〔4〕に記載のアルコール飲料の製造方法。
〔6〕前記アルコール飲料のpHが2以上7未満である、〔4〕又は〔5〕に記載のアルコール飲料の製造方法。
〔7〕飲料用エタノールを含有するアルコール飲料のアルコール感を抑制する方法であって、
飲料用エタノールと、コリアンダー抽出物とを混合してなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が、0g/100mL超過1.0g/100mL以下に調製してなる、アルコール飲料のアルコール感抑制方法。
〔8〕 前記コリアンダー抽出物の添加量が、0ppm超過70ppm以下である、〔7〕に記載のアルコール飲料のアルコール感抑制方法。
〔9〕 前記アルコール飲料のpHが2以上7未満である、〔7〕又は〔8〕に記載のアルコール飲料のアルコール感抑制方法。
(コリアンダー抽出物)
コリアンダーとは、セリ目セリ科コエンドロ属コエンドロ種に属する植物の一種である。茎葉部には主に、デカナール、(E)−デカナール、(E)−2−ウンデカナール、2−ドデカナール、及び(E)−2−テトラデカナールを含んでなる。一方、種子には主に、リナロール、α−ピネン、γ−テルピネン、D−カンファー、及びゲラニオールを含んでなる。
また、コリアンダーハーブ及び香辛料は、抗菌、抗ウイルス、抗感染、食欲増進、消化促進、抗うつ、強壮、疲労回復、鎮痛、鎮經、皮膚炎緩和等の薬理的効果があるとされている。
アルコール感は、アルコール臭、アルコール刺激、アルコール味、及びアルコール苦味、アルコール辛味、アルコールえぐみ、飲料用エタノール固有の臭味(原料、醸造、蒸留工程に由来するものを包含)等を主として意味する。
糖類とは、食品成分としての糖類であり、具体的には、二糖類と単糖類である。二糖類には、砂糖、乳糖、麦芽糖等が挙げられる。一方、単糖類には、ブドウ糖、果糖等が挙げられる。
本発明にあっては、含有量は、本明細書において特にことわりがない限り、基本的に、mg/L、即ち、ppm(質量/体積)にて表す。
アルコール飲料は、好ましくは、アルコール飲料であり、主成分として、飲料用エタノールと、コリアンダー抽出物を含んでなり、糖類の含有量を所定の数値範囲としてなるものである。
コリアンダー抽出物は、エッセンス、エキス等の名称に拘泥せず、コリアンダー成分を含んでなる抽出物であればすべて使用する。
好ましい態様によれば、コリアンダー抽出物添加量は、アルコール飲料全質量に対して、0ppm超過、好ましくは10ppm以上、より好ましくは30ppm以上であり、好ましくは70pmm以下であり、より好ましくは50ppm以下である。
このような少量の添加量であっても、コリアンダー抽出物により、アルコール臭味を高い次元において抑制することができる。しかも、製品の香味をそこなうことがなく、アルコール感を抑制することができる。
本発明におけるアルコール飲料は、アルコール飲料全質量に対して、「糖類」の含有量が0g/L超過1.0g/100mL以下であり、好ましくは、0.3g/100mL以上0.9g/100mL以下であり、より好ましくは、0.7g/100mL未満であり、0.5g/100mL未満である。
本発明にあっては、「糖類」は、原料(植物、野菜、果実等)及びその他添加剤由来の「糖類」であることが好ましく、また、上記糖類の含有量範囲であれば、「糖類」そのもの自体を添加してもよい。
飲料用エタノールは、アルコール飲料のベースとなるものであり、飲食用に適したものである。飲料用エタノールとしては、醸造酒又は蒸留酒(好ましい)であってよい。蒸留酒としては、単式又は複式を問わず、また、好ましくは、原料用アルコール、焼酎、ウォッカ、ジン、ラム、ウイスキー、コニャック、等であってよい。
別の好ましい態様によれば、アルコール飲料のpHは、2以上7未満であり、好ましくは、3以上5以下である。
本発明にあっては、アルコール飲料は、必要に応じて、任意成分を含んでなるものであってよい。任意成分としては、色素、果汁、エキス、香料、酸味料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、旨み成分、食物繊維、安定化剤、乳化剤等が挙げられる。これら任意成分は、厚生労働省、消費者庁等において定められたガイドライン及び関連法規(食品衛生法等)に規定されたものを用いる。
酸味料の具体例としては、アジピン酸、クエン酸、クエン酸(三)ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸及びこれらの塩(カリウム塩、ナトリウム塩)が挙げられる。酸味料は、pH調整剤としても使用可能である。
色素の具体例としては、カラメル、アントシアニン色素、フラボノイド色素、カロテノイド色素、キノン色素、ポリフィリン、ジケトン色素、ベタシアニン色素、アザフィロン色素、クチナシ色素等が挙げられる。
アルコール飲料は、実質的にアルコール(飲料用エタノール)を含むアルコールテイストの飲料である。アルコール飲料には、ビール又はビールテイスト飲料、ワイン、カクテル、酎ハイ又は酎ハイテイスト飲料、日本酒及び焼酎又は日本酒及び焼酎テイスト飲料等が挙げられ、好ましくは、ワイン、カクテル、酎ハイ又は酎ハイテイスト飲料、日本酒及び焼酎又は日本酒及び焼酎テイスト飲料、より好ましくは、ワイン、カクテル、酎ハイ又は酎ハイテイスト飲料、日本酒及び焼酎又は日本酒及び焼酎テイスト飲料等である。
アルコール飲料の製造方法は、飲料用エタノールと、コリアンダー抽出物とを混合してなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が、0g/100mL超過1.0g/100mL以下に調製してなることを含んでなるものである。
コリアンダー抽出物の形態は限定されるものではなく、例えば、香料や果汁の成分として混合してもよく、単一製剤として混合してもよい。
また、炭酸飲料として製造する場合には、炭酸ガスは、2.0vol以上3.5vol以下で充填することが好ましい。
好ましい別の態様によれば、飲料用エタノールを含有するアルコール飲料のアルコール感を抑制する方法であって、
飲料用エタノールと、コリアンダー抽出物とを混合してなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が、0g/100mL超過1.0g/100mL以下に調製してなるものである。
この内容は、飲料用エタノールを含有するアルコール飲料で説明したのと同様であってよい。
別の好ましい態様によれば、アルコール飲料を容器に詰めた容器詰飲料を提案することができる。容器詰飲料とすることにより、アルコール飲料におけるアルコール感を優位に抑制することができると伴に、アルコール飲料の提供利便性、流通利便性、保存性、品質劣化防止を図ることが可能となる。
容器は、内容物が漏洩しない材料であれば、ビニール、プラスチック、ガラス、金属、紙、木又は皮等で、様々な形状で形成された容器に詰めることができる。より好ましい態様によれば、容器の内外に、光、熱、酸素、紫外線等を遮断するための素材(たとえば、金属箔)を備えたものであってよい。
下記〔表1〕の処方に従って、実施例と比較例によるアルコール飲料を調製した。
食品官能評価能力のある男女合わせて6名のパネルにより、実施例及び比較例のアルコール飲料を以下の基準で評価し、その平均値を得て、その結果を、下記表2に記載した。
アルコール感抑制効果について、以下の評価基準(三点評価)で評価して平均値を下記〔表1〕に記載した。
評価点0:比較例1を基準にしてアルコール抑制効果を認識できなかった。
評価点1:比較例1を基準にしてアルコール抑制効果をやや認識した。
評価点2:比較例1を基準にしてアルコール抑制効果を認識した。
実施例1は、ボディー感があり、ややまろやかであり、アルコール苦味が低減したと感じられた。
実施例2は、アルコール感抑制が認められ、戻り香が明らかにマスキングされていたと感じられた。
実施例3は、全体的に味にまとまりがあり、アルコールの苦味が抑制されていたと感じられた。
実施例4は、アルコール感抑制が認められ、グリーン調の香味によりアルコール感がマスキングされていたと感じられた。
実施例5は、アルコール臭抑制が認められ、全体的に味のバランスが良いと感じられた。
実施例6は、グリーン調の香味が、リンゴ香味と相俟って、アルコール感抑制が認められた。
比較例1は、アルコール臭及び苦味が感じられた。
比較例2は、最後にややアルコール苦味があり、戻り香がし、アルコール感抑制が認められなかった。
比較例3は、参考例0と比較して、レモン香味は薄く、エタノール臭がし、苦みがあって、アルコール飲料としては適さないものであった。
本発明によれば、コリアンダー抽出物を含有し、糖類の含有量を0g/100mL超過0.5g/100mL以下とすることにより、アルコール感を優位に抑制することができ、アルコール飲料の香味を損なうことない、アルコール飲料を提供することができる。
Claims (9)
- アルコール飲料であって、
飲料用エタノールと、
コリアンダー抽出物と、
糖類と、を含んでなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、前記糖類の含有量が0g/100mL超過1.0g/100mL以下であり、
前記コリアンダー抽出物の添加量が、10ppm以上70ppm以下である、アルコール飲料。 - 前記アルコール飲料が容器詰めアルコール飲料である、請求項1に記載のアルコール飲料。
- 前記アルコール飲料のpHが2以上7未満である、請求項1又は2に記載のアルコール飲料。
- アルコール飲料を製造する方法であって、
飲料用エタノールと、コリアンダー抽出物と、糖類とを混合してなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が0g/100mL超過1.0g/100mL以下に調製してなり、
前記コリアンダー抽出物の添加量が10ppm以上70ppm以下に調製してなる、アルコール飲料の製造方法。 - 前記アルコール飲料が容器詰めアルコール飲料である、請求項4に記載のアルコール飲料の製造方法。
- 前記アルコール飲料のpHが2以上7未満である、請求項4又は5に記載のアルコール飲料の製造方法。
- 飲料用エタノールを含有するアルコール飲料のアルコール感を抑制する方法であって、
飲料用エタノールと、コリアンダー抽出物と、糖類とを混合してなり、
前記アルコール飲料の全質量に対して、糖類の含有量が、0g/100mL超過1.0g/100mL以下に調製してなり、
前記コリアンダー抽出物の添加量が10ppm以上70ppm以下に調製してなる、アルコール飲料のアルコール感抑制方法。 - 前記アルコール飲料が容器詰めアルコール飲料である、請求項7に記載のアルコール飲料のアルコール感抑制方法。
- 前記アルコール飲料のpHが2以上7未満である、請求項7又は8に記載のアルコール飲料のアルコール感抑制方法。
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