JP6797907B2 - 有機エレクトロニクスデバイスの検査方法および分析方法、並びにその利用 - Google Patents

有機エレクトロニクスデバイスの検査方法および分析方法、並びにその利用 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロニクスデバイスの検査方法および分析方法、並びにその利用に関する。
有機エレクトロニクスデバイスにおいては、通電等の電気的な動作によって異常(例えば発光異常)が発現する場合がある。有機エレクトロニクスデバイスの量産過程において、このような異常の発生は歩留り率を悪化させる原因となる。
例えば、有機エレクトロニクスデバイスの発光異常を検査する方法としては、発光を観察したり電気特性を評価したりする方法が一般的である。そのような技術として特許文献1に記載の技術が挙げられる。
特許文献1には、互いに対向する一対の電極間に少なくとも1層の有機層が配置されている有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する製造方法において、凍結真空乾燥を経て得られた前記有機エレクトロルミネッセンス素子材料を用いて前記少なくとも1層を形成する有機層形成工程を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法が記載されている。特許文献1では、有機エレクトロルミネッセンス素子を定電流駆動させてダークスポットの発生についての評価を行っている。
また、有機エレクトロニクスデバイスの発光異常を検査する方法ではないが、顕微鏡を用いてサンプルを評価する方法としては、特許文献2〜6に記載の技術が挙げられる。
特許文献2には、基板上に感光性着色顔料レジストを塗布した試験サンプルを作成するサンプル作成工程と、前記試験サンプルを光学顕微鏡によって観察したサンプル画像を生成するサンプル画像生成工程と、前記サンプルに含まれる粗大粒子の個数を算出する粗大粒子算出工程とを有する感光性着色顔料レジストの管理方法が記載されている。
特許文献3には、ウエハの位置座標と色成分のデジタル値を検出させ、この検出した値(m)と位置(x,y)が、予め記録した最適なウエハ研磨終了点を示すウエハの色成分のデジタル値(n)とウエハ位置(x,y)の値に一致したときをウエハの研磨終点とすることを特徴とする、ウエハの研磨終点検出方法が記載されている。
特許文献4には、特定の化学式で表される電子輸送性材料および当該電子輸送性材料を含む層を備えることを特徴とする有機発光素子が記載されている。また、特許文献4では、ガラス上またはITO上に形成した蒸着薄膜を、微分干渉顕微鏡を用いて観察したことが記載されている。
特許文献5には、α−ピロンおよび/または特定の一般式で表されるα−ピロン誘導体を含むことを特徴とする有機素子が記載されている。特許文献5では、偏光顕微鏡または原子間力顕微鏡を用いて、蒸着膜におけるα−ピロン誘導体の結晶を観察することが記載されている。
特許文献6には、面内リターデーションおよび基材フィルム長手方向に対する配向角が特定の範囲内にある基材フィルム上に、防眩層を有する防眩性フィルムであって、該防眩層が突起形状を有し、該突起形状が基材フィルムの長手方向に周期を持たず不規則な形状で不規則に配置されており、かつ防眩層の算術平均粗さおよび防眩層の内部散乱に起因するヘイズが特定の範囲内であることを特徴とする防眩性フィルムが記載されている。特許文献6では、基材フィルムの欠点を微分干渉顕微鏡によって観察することが記載されている。
日本国公開特許公報「特開2004−288433号(2004年10月14日公開)」 日本国公開特許公報「特開2001−228622号(2001年8月24日公開)」 日本国公開特許公報「特開2000−183001号(2000年6月30日公開)」 日本国公開特許公報「特開2009−267315号(2009年11月12日公開)」 日本国公開特許公報「特開2007−305616号(2007年11月22日公開)」 日本国公開特許公報「特開2013−24964号(2013年2月4日公開)」
しかしながら、上述のような従来技術は、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現し得る異常箇所を非破壊にて検出するという観点からは改善の余地がある。
特許文献1に記載されているような発光異常検査方法は、素子に電圧を印加する工程を含んでいる。素子に電圧を印加した場合、ショートが生じること等によりデバイスが破壊されることがある。また、このようにショートが生じた場合、異常の発生原因を判断することができず、リペアを行うこともできない。
また、特許文献2〜6に記載の技術は、有機エレクトロニクスデバイスを検査するものではなく、フィルム単体または基板上に形成された膜を観察する技術である。一般的に有機エレクトロニクスデバイスにおいては、有機化合物を含む層が電極によって挟まれている。そのため、フィルム単体または基板上に形成された膜等の簡単な試験用サンプルの形態ではなく、デバイスの形態にて欠陥を直接観察することは困難であるということが当該分野における技術常識であった。そのため、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現し得る異常箇所を、破壊のリスクを伴わずに検出する方法は知られていなかった。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現し得る異常箇所を非破壊にて検出する検査方法を実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、光学的手法を用いて有機エレクトロニクスデバイスの欠陥を直接観察することにより、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現し得る異常箇所を非破壊にて検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明の一態様は、以下の構成からなるものである。
〔1〕光学的手法を用いて、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスの欠陥を評価することによって当該有機エレクトロニクスデバイスの異常箇所を検出する検出工程を含み、上記異常箇所は、電気的な動作によって発現するものであることを特徴とする有機エレクトロニクスデバイスの検査方法。
〔2〕上記光学的手法において、上記有機エレクトロニクスデバイスに照射する光源の波長域が紫外領域から赤外領域の間であることを特徴とする〔1〕に記載の検査方法。
〔3〕上記光学的手法は顕微鏡観察であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の検査方法。
〔4〕上記異常箇所は、発光異常部であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の検査方法。
〔5〕上記発光異常部は、ブライトスポットであることを特徴とする〔4〕に記載の検査方法。
〔6〕上記顕微鏡は微分干渉顕微鏡または共焦点顕微鏡であることを特徴とする〔3〕に記載の検査方法。
〔7〕上記検出工程において、上記有機エレクトロニクスデバイスの二次元画像または三次元画像を取得して画像解析処理を行うことを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の検査方法。
〔8〕上記欠陥は、形状または色の異常であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の検査方法。
〔9〕上記有機エレクトロニクスデバイスを、電子顕微鏡を用いて観察する電子顕微鏡観察工程を含むことを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の検査方法。
〔10〕有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所の分析方法であって、光学的手法を用いて、電気的な動作を施していない状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する第1の画像取得工程と、光学的手法を用いて、電気的な動作を施した状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する第2の画像取得工程と、上記第1の画像取得工程において得られた第1の画像および上記第2の画像取得工程において得られた第2の画像を比較する画像比較工程と、を含むことを特徴とする分析方法。
〔11〕上記有機エレクトロニクスデバイスの電子顕微鏡像を取得する第3の画像取得工程と、上記第3の画像取得工程において得られた第3の画像を、上記第1の画像および上記第2の画像の少なくとも一方と比較する工程と、をさらに含むことを特徴とする〔10〕に記載の分析方法。
〔12〕有機エレクトロニクスデバイスの欠陥の分類方法であって、〔10〕または〔11〕に記載の分析方法によって得られた、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスの欠陥と、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所との比較結果に基づいて、上記欠陥を分類する工程を含むことを特徴とする分類方法。
本発明の一態様によれば、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所を非破壊にて検出する検査方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る有機EL素子の構成の例を示す模式図である。 実施例における、光学顕微鏡および実体顕微鏡による観察結果を示す図である。 実施例における、微分干渉顕微鏡および実体顕微鏡による観察結果を示す図である。 図3を拡大した画像を示す図である。 実施例における、実体顕微鏡による観察結果を示す図である。 実施例における、微分干渉顕微鏡による観察結果を示す図である。 図6の(b)の領域FのSTEMによる断面観察結果を示す図である。 図7の領域Faを拡大した画像を示す図である。 図7の領域Fbを拡大した画像を示す図である。 図7の領域Fcを拡大した画像を示す図である。 図6の(a)の領域GのSTEMによる断面観察結果を示す図である。 図11の領域Gaを拡大した画像を示す図である。 図12をさらに拡大した画像を示す図である。 図11の領域Gbを拡大した画像を示す図である。 図11の領域Gcを拡大した画像を示す図である。 図11の領域Gdを拡大した画像を示す図である。 図11の領域Geを拡大した画像を示す図である。 図6の(a)の領域HのSTEMによる断面観察結果を示す図である。 図18の領域Haを拡大した画像を示す図である。 図18の領域Hbを拡大した画像を示す図である。 図18の領域Hcを拡大した画像を示す図である。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
〔1.検査方法〕
まず、本発明の一実施形態に係る有機エレクトロニクスデバイスの検査方法(以下、本検査方法と称する)の概要を説明する。本検査方法は、光学的手法を用いて、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスの欠陥を評価することによって当該有機エレクトロニクスデバイスの異常箇所を検出する検出工程を含み、上記異常箇所は、電気的な動作によって発現するものである。
本検査方法によれば、有機エレクトロニクスデバイスを、電気的な動作を施していない状態で評価するため、有機エレクトロニクスデバイスにおいて通電等によるショートが発生することがない。従って、有機エレクトロニクスデバイスを非破壊にて検査できる。また、有機エレクトロニクスデバイスの欠陥を評価することにより、電気的な動作を施していない状態であるにもかかわらず有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所を効率的に検出することができる。
有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所を、有機エレクトロニクスデバイスに電気的な動作を施さずに検出する方法は今まで知られていなかった。当該分野においては、(i)有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所は、当然、有機エレクトロニクスデバイスに電気的な動作を施した状態でなければ検出できないということ及び(ii)簡便な構成の試験サンプルならまだしも、基板および電極等が積層された複雑な構造のデバイスの形態では光学的手法によって直接観察することは不可能であるということが技術常識であった。これに対し、本発明者らは、驚くべきことに、デバイスの状態においても光学的手法による直接観察が可能であり、当該デバイスの欠陥を指標とすることで、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所を、電気的な動作を施していない状態であっても効率的に検出することができることを見出した。
<1−1.有機エレクトロニクスデバイス>
本検査方法は、有機エレクトロニクスデバイスを検査対象としている。本明細書において、有機エレクトロニクスデバイスとは、有機化合物を含む層が電極によって挟まれており、電気的に動作するデバイスを意味する。上記有機エレクトロニクスデバイスとしては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、有機EL素子)、有機電界効果トランジスタ(OFET)および有機太陽電池(OPV)等が挙げられる。例えば、有機エレクトロニクスデバイスは、有機化合物を含む発光層が基板によって封止されており、当該発光層が通電によって発光するデバイスであってもよく、その具体例としては有機EL素子が挙げられる。ここで、基板の材料はガラスであってもよく、樹脂であってもよく、金属であってもよい。
上記有機EL素子としては、陽極および陰極を備え、陽極および陰極の間に発光層が備えられている有機EL素子が挙げられる。
上記有機EL素子は、陽極および/または陰極の外側に基板を備えていてもよい。すなわち、陽極を積層させるための基板および/または陰極の上に配置される基板を備えていてもよい。上記陽極と上記発光層との間には、ホール輸送層が備えられていてもよい。また、上記陽極と上記ホール輸送層との間には、ホール注入層が備えられていてもよい。同様に、上記発光層と上記陰極との間には、電子輸送層が備えられていてもよい。また、上記陰極と電子輸送層との間には、電子注入層が備えられていてもよい。発光層、陽極、陰極、基板、ホール輸送層、ホール注入層、電子輸送層および電子注入層の材料としては、一般に有機EL素子で用いられている材料が挙げられる。
上記有機EL素子の構成は特に限定されないが、例えば図1に示される構成であってもよい。図1は、本実施形態に係る有機EL素子の構成の例を示す模式図である。なお、図1において、矢印αは、光が放出される方向を示している。
図1の(a)は、ボトムエミッション型の有機EL素子1aの構成を示す模式図である。有機EL素子1aにおいては、陽極2(透明電極)、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7および陰極8(アルミニウム層)が、この順番にて積層されている。有機EL素子1aは最外層にガラス15(基板)を備えており、陰極側のガラス15と陰極8との間には充填剤13および乾燥剤14を備えている。なお、有機EL素子1aは、充填剤13を備えずに、陰極側のガラス15と陰極8との間を中空とする構成であってもよい。有機EL素子1aは、陽極2の外層にカラーフィルターを備えていてもよい。
図1の(b)は、トップエミッション型の有機EL素子1bの構成を示す模式図である。有機EL素子1bでは、陽極2(透明電極)、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7が、この順番にて積層されている。有機EL素子1bは、電子注入層7の外側に陰極8(透明電極)を備えている。有機EL素子1bは、陽極2として透明電極の代わりに金属膜を備えていてもよい。なお、有機EL素子1bは、充填剤13を備えずに、陰極8側のガラス15と陰極8との間を中空とする構成であってもよい。有機EL素子1bは最外層にガラス15(基板)を備えており、ガラス15と充填剤13との間にはバリア層9を備えている。有機EL素子1bはバリア層9の外層にカラーフィルターを備えていてもよい。
図1の(c)は、有機EL素子1cの構成を示す模式図である。有機EL素子1cでは、有機EL素子1aと同様に、陽極2(透明電極)、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7および陰極8(アルミニウム層)が、この順番にて積層されている。さらに、有機EL素子1cは、陽極2および陰極8の外側にバリア層9、ベースフィルム10、接着層11およびフィルム12(基板)を備えている。有機EL素子1cは、バリア層9およびベースフィルム10の代わりに超薄ガラスを備えていてもよい。有機EL素子1cは、ベースフィルム10の外層にカラーフィルターを備えていてもよい。
<1−2.光学的手法>
本検査方法では、光学的手法を用いて有機エレクトロニクスデバイスの欠陥を評価する。本明細書において、光学的手法とは、レンズおよび分光器等の光学素子を用いた分析方法を意味する。光学的手法として、具体的には、顕微鏡観察、カメラ撮影、光学的全視野計測法および分光分析法等が挙げられる。簡便に細部を観察できるという観点からは、光学的手法は、顕微鏡観察であることが好ましい。
顕微鏡としては、特に限定されないが、光学顕微鏡、実体顕微鏡、共焦点白色顕微鏡、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡、レーザー走査顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡およびマイクロスコープ等が挙げられる。なかでも、電気的な動作を施していない状態(例えば、非発光状態)の有機エレクトロニクスデバイスにおいても明瞭かつ高解像度の画像を得ることができるという観点からは、上記顕微鏡は微分干渉顕微鏡または共焦点顕微鏡(例えば、共焦点白色顕微鏡または共焦点レーザー顕微鏡)であることが好ましい。なお、顕微鏡としては、光学顕微鏡またはレーザー顕微鏡を微分干渉モードまたは共焦点モードに設定して用いることもできる。本明細書において、上記微分干渉顕微鏡は、微分干渉モードに設定された光学顕微鏡またはレーザー顕微鏡を包含する意味である。同様に、上記共焦点顕微鏡は、共焦点モードに設定された光学顕微鏡またはレーザー顕微鏡を包含する意味である。
上記有機エレクトロニクスデバイスに照射する光源の波長域は、特に限定されず、紫外領域から赤外領域の間であってもよいが、好ましくは可視光であり、より好ましくは380nm〜700nmの可視光であり、さらに好ましくは400nm〜600nmの可視光である。可視光であれば、簡便な光源により観察が可能であるため好ましい。
なお、顕微鏡観察は、デバイスのどちらの面から行われてもよい。
<1−3.検出工程>
上記検出工程は、光学的手法を用いて、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスの欠陥を評価することによって当該有機エレクトロニクスデバイスの異常箇所を検出する工程である。
本明細書において、「電気的な動作」とは、電圧の印加および通電を包含する意味である。また、上記「電気的な動作」とは、磁場の変化、圧力の印加、加熱もしくは加温、または光の照射によって電圧および電流が生じる動作を包含する意味である。
例えば、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスとは、非通電状態の有機エレクトロニクスデバイス(通電させていない状態の有機エレクトロニクスデバイス)または電圧を印加していない状態の有機エレクトロニクスデバイスであってもよい。一方、電気的な動作を施した状態の有機エレクトロニクスデバイスとは、通電状態の有機エレクトロニクスデバイス(通電させている状態の有機エレクトロニクスデバイス)または電圧を印加している状態の有機エレクトロニクスデバイスであってもよい。
上記電気的な動作を施していない状態は、非発光状態であってもよい。また、上記電気的な動作を施した状態は、発光状態であってもよい。本明細書において、非発光状態の有機エレクトロニクスデバイスとは、電気的な動作を施しておらず(例えば、電圧を印加しておらず)、発光していない状態を意味する。一方、発光状態の有機エレクトロニクスデバイスとは、電気的な動作を施しており(例えば、電圧を印加しており)、発光している状態を意味する。
本明細書において、欠陥とは、正常な有機エレクトロニクスデバイスとは異なる状態にある箇所であって電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスにおいて観察される箇所を意味する。当該欠陥として、例えば、形状の異常および色の異常が挙げられる。上記形状の異常は、傷、凹凸、穴および気泡等を含む。上記色の異常は、反射率の異常または濃淡の異常とも言える。なお、上記欠陥は、水分および/または不純物の混入を除く欠陥であってもよい。
本明細書において、異常箇所とは、有機エレクトロニクスデバイスの正常な領域に比べて異常が見られる領域を意味する。また、上記異常箇所は、電気的な動作によって発現するものを意味する。本明細書において、「電気的な動作によって発現する」とは、電気的な動作を施していない場合には現れないが、電気的な動作によって明らかになることを意味する。上記異常箇所は電気的な動作を施した状態の有機エレクトロニクスデバイスの異常箇所と言うこともできる。
上記異常箇所としては、発光異常部、特性異常部、ショート箇所および絶縁箇所が挙げられる。例えば、発光異常部は、電圧を印加していない状態ではそもそも発光していないため本来は確認できず、電圧を印加して発光させた場合に異常箇所として発現する。
本明細書において、発光異常部とは、正常な発光領域に比べて異常が見られる領域を意味する。当該発光異常部として、例えば、非発光領域、または正常な発光領域に比べて発光が弱い領域、もしくは過剰な光を放出する領域等が挙げられる。上記発光異常部としては、具体的にはダークスポットおよびブライトスポット等が挙げられる。ダークスポットは非発光領域である。一方、ブライトスポットはダークスポット以外の発光異常領域である。例えば、実体顕微鏡像において発光状態の有機エレクトロニクスデバイスを観察した場合、ダークスポットは黒い点、ブライトスポットは白い点、灰色の点、周囲より暗い点または周囲より明るい点として観察される。また、ブライトスポットには、中心は暗いがその周囲が過剰発光している点も包含される。さらに、ブライトスポットには、ダークスポット以外の発光異常部が電気的な動作または経時的変化によってダークスポットに変化した点、および、中心が明るく周囲が暗いまたは発光が弱い点も包含される。
本発明者らは、有機エレクトロニクスデバイスにおいて異常箇所が発生する原因としては、断線、塗工ムラ、水分の侵入、異物の混入および基材の欠陥などを想定している。この中でも、本発明者らは、有機エレクトロニクスデバイスに存在する凹凸及び傷等の欠陥が、電気的な動作によって発現する異常箇所と関連しており、後述の実施例に示すように当該欠陥が上記異常箇所の約80%と一致することを見出した。つまり、電気的な動作によって発現する異常には様々な原因が存在するが、本発明者らは、当該欠陥を指標とすることによって効率的に上記異常箇所を検出可能であることを見出した。
本検査方法によれば、上記欠陥を指標とすることによって、電気的な動作によって発現する異常箇所を、電気的な動作を施していない状態であっても検出可能である。それゆえ、本検査方法によれば、上記異常箇所を非破壊にて検出可能である。例えば、本検査方法は、非発光状態であっても、発光異常部を検出可能である。
また、ブライトスポットの検出も有機エレクトロニクスデバイスの歩留まり向上において重要であるが、特許文献1では考慮されていない。本検査方法によれば、ブライトスポットも検出することができる。
上記欠陥は、有機エレクトロニクスデバイスに存在するものであれば、特に限定されない。例えば、上記検出工程において、上記有機エレクトロニクスデバイスの基板、陽極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層および陰極からなる群より選択される少なくとも1つの層の欠陥を評価してもよい。
また、本検査方法においては、欠陥の位置、個数、大きさ、深さ、色、形状および急峻さ等を評価してもよい。これにより、有機エレクトロニクスデバイスの良否判断を迅速に行うことができる。
上記検出工程において、上記有機エレクトロニクスデバイスの二次元画像または三次元画像を取得して画像解析処理を行ってもよい。これにより、上記欠陥の位置、個数、大きさ、深さ、色、形状および急峻さ等をより詳細に観察することができる。
<1−4.電子顕微鏡観察工程または走査型プローブ顕微鏡観察工程>
本検査方法は、上記有機エレクトロニクスデバイスを、電子顕微鏡を用いて観察する電子顕微鏡観察工程または走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて観察する走査型プローブ顕微鏡観察工程を含んでいてもよい。これにより、欠陥をより詳細に観察することができる。また、光学的手法では観察できない欠陥についても、より詳細に分析することができる。
上記電子顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)および走査透過型電子顕微鏡(STEM)等が挙げられる。表面の形状を観察するという観点からは、SEMが好ましい。また、有機エレクトロニクスデバイスの断面等を観察することによって欠陥をより詳細に評価するという観点からはTEMまたはSTEMが好ましい。また、観察対象に応じて、BF(Bright Field)−STEMまたはADF(Annular Dark Field)−STEMを使い分けてもよい。高コントラストで組成の情報を得るという観点からはHAADF(High-Angle Annular Dark Field)−STEMを用いてもよい。
上記SPMとしては、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)および走査型近接場光顕微鏡(SNOM)等が挙げられる。
〔2.分析方法〕
本発明の一実施形態に係る分析方法(以下、本分析方法と称する)は、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所の分析方法であって、光学的手法を用いて、電気的な動作を施していない状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する第1の画像取得工程と、光学的手法を用いて、電気的な動作を施した状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する第2の画像取得工程と、上記第1の画像取得工程において得られた第1の画像および上記第2の画像取得工程において得られた第2の画像を比較する画像比較工程と、を含む。なお、上記〔1.検査方法〕の項目にて既に説明した事項については、以下では説明を省略する。
本分析方法によれば、第1の画像における電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスの欠陥と、第2の画像における電気的な動作を施した状態の有機エレクトロニクスデバイスの実際の異常箇所(電気的な動作によって実際に発現した異常箇所)とを対比することにより、欠陥と異常箇所との関連性をより詳細に分析することができる。
<2−1.第1の画像取得工程>
上記第1の画像取得工程は、光学的手法を用いて、電気的な動作を施していない状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する工程である。本明細書において、第1の画像取得工程にて得られた画像を第1の画像と称する。
上記第1の画像においては、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスにおける欠陥を確認することができる。上記第1の画像取得工程においては、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスにおいても明瞭かつ高解像度の画像を得ることができるという観点からは、光学的手法は微分干渉顕微鏡または共焦点顕微鏡であることが好ましい。
<2−2.第2の画像取得工程>
上記第2の画像取得工程は、光学的手法を用いて、電気的な動作を施した状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する工程である。本明細書において、第2の画像取得工程にて得られた画像を第2の画像と称する。
上記第2の画像においては、電気的な動作を施した状態の有機エレクトロニクスデバイスにおける実際の異常箇所を確認することができる。上記第2の画像取得工程においては、電気的な動作を施した状態の有機エレクトロニクスデバイスの画像を簡便に得ることができるという観点からは、光学的手法は顕微鏡であることが好ましく、実体顕微鏡、マイクロスコープまたは蛍光顕微鏡であることがより好ましい。
<2−3.画像比較工程>
上記画像比較工程は、上記第1の画像取得工程において得られた第1の画像および上記第2の画像取得工程において得られた第2の画像を比較する工程である。上記画像比較工程によって、有機エレクトロニクスデバイスにおける欠陥と異常箇所との関連性をより詳細に分析することができる。
例えば、上記画像比較工程において、上記第1の画像における欠陥の位置および/または個数と、上記第2の画像における異常箇所の位置および/または個数とを比較することができる。これにより、欠陥による異常箇所への影響を分析することができる。また、上記画像比較工程において、上記第1の画像における欠陥の大きさ、深さ、色、形状および急峻さ等の状態と、上記第2の画像における異常箇所とを比較することもできる。これにより、欠陥の種類による異常箇所への影響を分析することができる。例えば、欠陥が大きいほど、異常箇所が大きいのか、あるいは、欠陥の大きさは異常箇所の大きさに影響がないのか等を調べることができる。また、欠陥の種類と、異常箇所の種類(例えば、ダークスポットおよびブライトスポット)との関係性を調べることもできる。
さらに、このような分析方法によって蓄積されたデータを有機エレクトロニクスデバイスの良否判定に利用することにより、有機エレクトロニクスデバイスの歩留まりを向上させることができる。従って、本分析方法は、データの取得方法としても利用できる。
なお、上記画像比較工程では、第1の画像における欠陥と第2の画像における異常箇所とを正確に対比するために、位置合わせを行うことが好ましい。位置合わせの方法は、特に限定されず、例えば、有機エレクトロニクスデバイスに位置合わせのための印を付ける方法が挙げられる。従って、本分析方法は、上記第1の画像取得工程の前に、位置合わせのための印を付ける工程を含んでいてもよい。位置合わせのための印をつける方法としては、例えば、レーザーによってマーキングする方法が挙げられる。
レーザーによってマーキングする方法は基本的に非破壊で行うことができる。すなわち、上記方法では、基板を除去せずに観察対象面からレーザーを照射してマーキングを行うことができる。なお、観察対象面は、光が取り出せる面であれば、いずれの面であってもよい。さらに、光の取り出しが片方の面からしか行えない場合でも、当該面だけでなく、当該面の反対側の面からもレーザーを照射してマーキングすることがある。また、有機エレクトロニクスデバイスの観察対象となる面の基板またはその反対側の基板を除去してもよい。光の取り出し面およびその反対側の面、いずれの面の基板を除去してマーキングを行ってもよいとも言える。
<2−4.第3の画像取得工程>
本分析方法は、上記有機エレクトロニクスデバイスの電子顕微鏡像を取得する第3の画像取得工程を含んでいてもよい。また、第3の画像取得工程では、電子顕微鏡像の代わりに走査型プローブ顕微鏡像を取得してもよい。本明細書において、第3の画像取得工程にて得られた電子顕微鏡像または走査型プローブ顕微鏡像を第3の画像と称する。また、上記第3の画像取得工程において得られた第3の画像を、上記第1の画像および上記第2の画像の少なくとも一方と比較する工程と、をさらに含んでいてもよい。これにより、第1の画像における欠陥をさらに詳細に分析することができる。例えば、欠陥の大きさ、深さ、色、形状および急峻さ等を第3の画像においてさらに詳細に分析することができる。また、この結果を第2の画像と比較することにより、欠陥の状態と異常箇所との関連性をさらに詳細に分析することができる。
上記電子顕微鏡像または走査型プローブ顕微鏡像としては、上述の<1−4.電子顕微鏡観察工程または走査型プローブ顕微鏡観察工程>にて例示した電子顕微鏡または走査型プローブ顕微鏡によって得られた観察像が挙げられる。また、第3の画像と、上記第1の画像および上記第2の画像との比較のための位置合わせには、上述の<2−3.画像比較工程>において説明した位置合わせ方法を用いることができる。
〔3.分類方法〕
本発明の一実施形態に係る分類方法(以下、本分類方法と称する)は、有機エレクトロニクスデバイスの欠陥の分類方法であって、上記分析方法によって得られた、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスの欠陥と、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所との比較結果に基づいて、上記欠陥を分類する工程を含む。なお、上記〔1.検査方法〕および〔2.分析方法〕の項目にて既に説明した事項については、以下では説明を省略する。
本分類方法によれば、有機エレクトロニクスデバイスの欠陥と、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所との関連性に基づいて、上記欠陥を分類することができる。当該関連性は、上述の分析方法によって得られた結果を利用することができる。
例えば、上記有機エレクトロニクスデバイスの欠陥の種類と、上記有機エレクトロニクスデバイスの異常箇所の種類とを比較することによって、電気的な動作を施していない状態におけるどのような欠陥が、電気的な動作を施した状態においてどのような異常箇所となり得るのかを知ることができる。これによって、特定の異常箇所となり得る欠陥を分類することができる。上記欠陥の分類は、欠陥の大きさ、深さ、色、形状および急峻さ等に基づいて行われてもよい。
また、上記第1の画像と、上記第2の画像および/または上記第3の画像とから、有機エレクトロニクスデバイスの欠陥の種類と、上記有機エレクトロニクスデバイスの異常箇所の種類とを比較することによって、欠陥が異常箇所となり得るか否か、または、異常箇所の発生要因を推察することもできる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔1.光学顕微鏡による発光異常部の検出〕
光学顕微鏡を用いて有機EL素子を観察した。光源としてはハロゲンランプを用い、対物レンズの倍率は100倍とした。なお、上記有機EL素子は、図1の(a)に相当する構成を有する。有機EL素子には通電させず、非発光状態にて観察した。
さらに、実体顕微鏡(オリンパス社製、ズーム式システム実体顕微鏡SZX16)を用いて上記有機EL素子を観察した。上記有機EL素子に4.5Vの電圧を印加することによって発光させた。光源は使用しなかった。
結果を図2に示す。図2は、光学顕微鏡および実体顕微鏡による観察結果を示す図である。図2の(a)は光学顕微鏡による観察結果を示しており、図2の(b)は、実体顕微鏡による観察結果を示している。図2の(a)の矢印で示す欠陥は、図2の(b)において丸で囲まれたブライトスポットと一致していた。
〔2.微分干渉顕微鏡による発光異常部の検出〕
微分干渉顕微鏡を用いて有機EL素子を観察した。光源としてはキセノンランプを用い、対物レンズの倍率は20倍および50倍とした。なお、上記有機EL素子は、図1の(a)に相当する構成を有する。有機EL素子には通電させず、非発光状態にて観察した。
また、実際の発光異常部を確認するために、実体顕微鏡(オリンパス社製、ズーム式システム実体顕微鏡SZX16)を用いて上記有機EL素子を観察した。上記有機EL素子に3.5〜4.5Vの電圧を印加することによって発光させた。光源は使用しなかった。対物レンズの倍率は1.0倍、接眼レンズの倍率は10倍とし、観察倍率は7〜115倍とした。
なお、微分干渉顕微鏡による観察領域と同じ領域を実体顕微鏡においても観察できるように位置合わせを行った。具体的には、有機EL素子中の有機膜およびアルミニウム膜にレーザーを用いて印を付けることにより、位置合わせを行った。
結果を図3〜6に示す。図3は、微分干渉顕微鏡および実体顕微鏡による観察結果を示す図である。図4は、図3を拡大した画像を示す図である。図3の(a)および図4の(a)は、微分干渉顕微鏡による観察結果を示し、図3の(b)および図4の(b)は、実体顕微鏡による観察結果を示す。図中の符号EaおよびEbは、上述のレーザーによる印を指す。
この結果によれば、微分干渉顕微鏡による観察結果における欠陥と実体顕微鏡による観察結果における発光異常部とは、約80%一致していた。従って、本発明によれば、非発光状態においても有機エレクトロニクスデバイスの発光異常部を効率的に検出できることがわかる。
より詳細な分析結果を図5および6に示す。図5は、実体顕微鏡による観察結果を示す図である。図6は、微分干渉顕微鏡による観察結果を示す図である。図6の(a)〜(d)は、それぞれ図5の領域A〜Dに対応している。
ここで、実線の丸で囲まれた領域は、微分干渉顕微鏡による観察結果における欠陥と実体顕微鏡による観察結果における発光異常部とが一致していた箇所のうちの代表例を示している。例えば、図6の(a)の領域Hは、図5の領域Aにおいてもダークスポットとして確認できる。また、図6の(b)の領域Kは、図5の領域Bにおいても白い点が確認できる。これは、ブライトスポットであることがわかる。
一方、点線の丸で囲まれた領域は、微分干渉顕微鏡による観察結果と実体顕微鏡による観察結果とで見え方が異なった領域を示している。例えば、図6の(b)の領域Fは、微分干渉顕微鏡では確認できないが、図5の領域Bにおいてはダークスポットとして確認できる。また、図6の(a)の領域Gは微かに点が確認できるが、図5の領域Aにおいてはダークスポットではない。図6の(a)の領域Iおよび図6の(c)の領域Mは、凹部であると考えられる。また、図6の(b)の領域Jおよび図6の(d)の領域Nは、異物またはホール(穴)であると考えられる。図6の(c)の領域Lは、浅い凹部であると考えられる。
また、上記結果から、微分干渉顕微鏡による観察結果は、図2に示したような光学顕微鏡による観察結果と比べて、凹凸に関する情報をさらに鮮明に取得できることがわかる。
〔3.走査透過型電子顕微鏡(STEM)による断面観察〕
上記〔2.微分干渉顕微鏡による発光異常部の検出〕において用いた有機EL素子の欠陥をより詳細に分析するため、STEMによる断面観察を行った。結果を図7〜21に示す。図7〜21の(a)は、BF−STEM像を示し、図7〜21の(b)は、HAADF−STEM像を示す。
図7は、図6の(b)の領域FのSTEMによる断面観察結果を示す図である。図8は、図7の領域Faを拡大した画像を示す図である。図9は、図7の領域Fbを拡大した画像を示す図である。図10は、図7の領域Fcを拡大した画像を示す図である。図9の(b)の矢印Oにて示される箇所および図10の(b)の矢印Pにて示される箇所は、ITO層(陽極)における凹凸である可能性がある。
また、図11は、図6の(a)の領域GのSTEMによる断面観察結果を示す図である。図12は、図11の領域Gaを拡大した画像を示す図である。図13は、図12をさらに拡大した画像を示す図である。図14は、図11の領域Gbを拡大した画像を示す図である。図15は、図11の領域Gcを拡大した画像を示す図である。図16は、図11の領域Gdを拡大した画像を示す図である。図17は、図11の領域Geを拡大した画像を示す図である。図13の(b)の矢印Qで示される箇所は、アルミニウム層(陰極)とITO層(陽極)との距離が近いため、過電流による異常が生じている可能性がある。
また、図18は、図6の(a)の領域HのSTEMによる断面観察結果を示す図である。図19は、図18の領域Haを拡大した画像を示す図である。図20は、図18の領域Hbを拡大した画像を示す図である。図21は、図18の領域Hcを拡大した画像を示す図である。図19の(b)の矢印Rで示される箇所および図21の(b)の矢印Sで示される箇所は、ITO層(陽極)における凹凸である可能性がある。
このように、光学的な直接観察と、電子顕微鏡による断面観察とを組み合わせることによって、欠陥と発光異常部との関係をより詳細に分析することができる。
本発明は、主に有機エレクトロニクスデバイス分野において利用することができる。
1a、1b、1c 有機EL素子(有機エレクトロニクスデバイス)
2 陽極
3 ホール注入層
4 ホール輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
12 フィルム(基板)
15 ガラス(基板)

Claims (9)

  1. 有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所の分析方法であって、
    光学的手法を用いて、電気的な動作を施していない状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する第1の画像取得工程と、
    光学的手法を用いて、電気的な動作を施した状態の上記有機エレクトロニクスデバイスの画像を取得する第2の画像取得工程と、
    上記第1の画像取得工程において得られた第1の画像および上記第2の画像取得工程において得られた第2の画像を比較する画像比較工程と、
    上記有機エレクトロニクスデバイスの電子顕微鏡像を取得する第3の画像取得工程と、
    上記第3の画像取得工程において得られた第3の画像を、上記第1の画像および上記第2の画像の少なくとも一方と比較する工程と、を含むことを特徴とする分析方法。
  2. 上記光学的手法において、上記有機エレクトロニクスデバイスに照射する光源の波長域が紫外領域から赤外領域の間であることを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  3. 上記光学的手法は、顕微鏡観察であることを特徴とする請求項1または2に記載の分析方法。
  4. 上記異常箇所は、発光異常部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析方法。
  5. 上記発光異常部は、ブライトスポットであることを特徴とする請求項4に記載の分析方法。
  6. 上記顕微鏡は微分干渉顕微鏡または共焦点顕微鏡であることを特徴とする請求項3に記載の分析方法。
  7. 上記第1の画像取得工程において、上記有機エレクトロニクスデバイスの二次元画像または三次元画像を取得して画像解析処理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の分析方法。
  8. 有機エレクトロニクスデバイスの欠陥の分類方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析方法によって得られた、電気的な動作を施していない状態の有機エレクトロニクスデバイスの欠陥と、有機エレクトロニクスデバイスの電気的な動作によって発現する異常箇所との比較結果に基づいて、上記欠陥を分類する工程を含むことを特徴とする分類方法。
  9. 上記欠陥は、形状または色の異常であることを特徴とする請求項8に記載の分類方法。
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