以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本実施形態の熱交換器1は、例えば、車室内の空気調和を行う冷凍サイクルの一部を構成する蒸発器として使用されるものである。蒸発器は、冷凍サイクルを循環する第1流体としての冷媒と、熱交換器1を通過する第2流体としての空気との熱交換を行い、冷媒の蒸発潜熱により空気を冷却する。図1の矢印DRgは、熱交換器1の上下方向DRgを示している。
図1および図2に示すように、熱交換器1は、複数のコルゲートフィン10、複数本のチューブ20、第1〜第4ヘッダタンク21〜24、外枠部材25、および配管接続部材26などを備えている。これらの部材は、例えばアルミニウム合金で構成され、各部材同士がロウ付けにより接合されている。なお、コルゲートフィン10の表面には、後述するように複数の溝12b〜15cが形成されているが、図2では、見やすい図示にするために、その溝12b〜15cの図示が省略されている。
複数本のチューブ20は、チューブ配列方向DRstに所定の間隔をあけて並ぶように配列されている。そして、熱交換器1を通過する空気は、複数本のチューブ20の相互間に流れる。そのチューブ20の相互間では、その空気は、空気通過方向AFの一方側を上流側とし空気通過方向AFの他方側を下流側として流れる。その空気通過方向AFは、一方向であるチューブ配列方向DRstに交差する一交差方向である。
また、熱交換器1を通過する空気は、チューブ20の相互間を流れつつ、冷媒によって冷却され凝縮水を発生させる。つまり、その熱交換器1を通過する空気は、冷媒との熱交換により凝縮水を発生させる気体である。
また、複数本のチューブ20は、空気通過方向AFの一方側と他方側の2列に配列されている。複数本のチューブ20はいずれも、一端から他端に亘りチューブ延伸方向DRtに直線状に延びている。そのチューブ延伸方向DRtは上下方向DRgに必ずしも一致する必要はないが、本実施形態では、その上下方向DRgに一致している。要するに、本実施形態のチューブ20はいずれも、上下方向DRgすなわち鉛直方向に延びている。なお、空気通過方向AFとチューブ配列方向DRstとチューブ延伸方向DRtは互いに交差する方向であり、厳密には、互いに直交する方向である。
複数本のチューブ20は、上側の端部にて第1ヘッダタンク21または第2ヘッダタンク22に挿入され、下側の端部にて第3ヘッダタンク23または第4ヘッダタンク24に挿入されている。第1〜第4ヘッダタンク21〜24は、複数本のチューブ20に冷媒を分配し、また、複数本のチューブ20から流入する冷媒を集合させるものである。
複数本のチューブ20の相互間には空気が流れるので、そのチューブ20の相互間に形成される隙間は、空気が流れる空気通路となっている。そして、コルゲートフィン10は、その空気通路に設けられている。言い換えれば、コルゲートフィン10は、チューブ20の相互間に設けられている。従って、本実施形態のコルゲートフィン10は、チューブ20の外側に設けられるアウターフィンである。
コルゲートフィン10は、チューブ20の内側を流れる冷媒と、チューブ20の相互間に流れる空気との熱交換を促進するものである。詳しく言えば、コルゲートフィン10は、チューブ20の内側を流れる冷媒と、チューブ20の外側を流れる空気との伝熱面積を増大させることにより、その冷媒と空気との熱交換効率を高めるものである。
チューブ配列方向DRstにおいて、複数本のチューブ20と複数のコルゲートフィン10とが交互に並んだ部分の更に外側には、一対の外枠部材25が設けられている。その一対の外枠部材25のうちの一方には、配管接続部材26が固定されている。
その配管接続部材26には、冷媒が供給される冷媒入口27と、冷媒を排出するための冷媒出口28が設けられている。冷媒入口27から第1ヘッダタンク21に流入した冷媒は、第1〜第4ヘッダタンク21〜24と複数本のチューブ20とを所定の経路で流れ、冷媒出口28から流出する。その際、第1〜第4ヘッダタンク21〜24と複数本のチューブ20とを流れる冷媒の蒸発潜熱により、コルゲートフィン10が設けられた空気通路を流れる空気が冷却される。
図3および図4に示すように、コルゲートフィン10は、板状のプレート部材が曲げ成形などを施されることで形成されている。具体的には、コルゲートフィン10は、チューブ延伸方向DRtへ連続する波形状を成すように曲がって形成されている。
コルゲートフィン10は、複数の接合部12と、複数のフィン本体部13とを有している。その複数の接合部12はそれぞれ、コルゲートフィン10の波形状の頂部を構成し、チューブ配列方向DRstを向いたチューブ20の側面であるチューブ壁面201に接合される。すなわち、接合部12の板厚方向両側の表面のうちチューブ20に接合された側とは反対側の表面121は、チューブ20の相互間に形成された空気通路に露出している。その接合部12とチューブ20との接合は、具体的にはロウ付け接合である。なお、接合部12は、コルゲートフィン10の波形状の頂部を構成するので、フィンTOP部とも称される。
フィン本体部13は、コルゲートフィン10の波形状に沿って隣り合う接合部12同士の間に配置され、その接合部12同士をつなぐようにその接合部12のそれぞれに連結している。
また、フィン本体部13は、チューブ配列方向DRstにおけるフィン本体部13の両端部分においてR曲げされている。すなわち、フィン本体部13は、チューブ配列方向DRstにおけるフィン本体部13の両端部分にそれぞれ設けられた一対の湾曲連結部131と、その一対の湾曲連結部131の間に設けられた本体中間部132と有している。その一対の湾曲連結部131はそれぞれ、フィン本体部13の両隣りの接合部12に対し湾曲しつつ連結している。
なお、図3の実線L1、L2、L3、L4は、接合部12と湾曲連結部131と本体中間部132とルーバ14とのそれぞれの間の境界を示した仮想的な線であり、例えば溝などの具体的な形状を示すものではない。このことは、コルゲートフィン10を表した図2など他の斜視図でも同様である。
フィン本体部13は、フィン本体部13の一部が切り起こされた形状を成す複数のルーバ14を有している。この複数のルーバ14は空気通過方向AFに並んで配置されている。
この複数のルーバ14は、フィン本体部13のうち本体中間部132に含まれる。ルーバ14は、チューブ配列方向DRstにおけるルーバ14の中央部分を含むルーバ本体部141と、ルーバ一端部142と、ルーバ他端部143とを有している。本実施形態では、ルーバ一端部142とルーバ他端部143とを総称して、ルーバ端部142、143と呼ぶこととする。
なお、ルーバ14を上位概念として表現すれば、そのルーバ14は、コルゲートフィン10とコルゲートフィン10に接触する空気との伝熱促進のための切り起こし部14であると言える。また、このことに対応して、ルーバ本体部141を切り起こし本体部141と称し、ルーバ一端部142を切り起こし一端部142と称し、ルーバ他端部143を切り起こし他端部143と称してもよい。更に、その切り起こし一端部142と切り起こし他端部143とを総称して、切り起こし端部142、143と称してもよい。
ルーバ本体部141は、空気通過方向AFに対して傾斜した平板状を成し、ルーバ本体部141に沿うように空気を案内する。
ルーバ一端部142は、ルーバ本体部141からチューブ配列方向DRstの一方側へ延設された板状を成し、ルーバ14のうちチューブ配列方向DRstの一方側の端に設けられている。そして、ルーバ一端部142は、そのルーバ一端部142の板厚方向がルーバ本体部141の板厚方向に交差する方向となるように形成されている。
また、ルーバ一端部142は、チューブ配列方向DRstにおけるルーバ本体部141側とは反対側にて、フィン本体部13のうちルーバ14周りの部位を構成する湾曲連結部131へ連結している。そのルーバ一端部142が連結する湾曲連結部131は、本体中間部132を挟んで並ぶ一対の湾曲連結部131のうちチューブ配列方向DRstの一方側のものである。
ルーバ他端部143は、ルーバ本体部141からチューブ配列方向DRstの他方側へ延設された板状を成し、ルーバ14のうちチューブ配列方向DRstの他方側の端に設けられている。すなわち、ルーバ一端部142とルーバ他端部143との各配置に鑑みれば、それらのルーバ端部142、143はルーバ本体部141を挟んで一対を成すように配置され、ルーバ14のうちチューブ配列方向DRstの両端にそれぞれ設けられている。
また、ルーバ他端部143は、そのルーバ他端部143の板厚方向がルーバ本体部141の板厚方向に交差する方向となるように形成されている。
また、ルーバ他端部143は、チューブ配列方向DRstにおけるルーバ本体部141側とは反対側にて、フィン本体部13のうちルーバ14周りの部位を構成する湾曲連結部131へ連結している。そのルーバ他端部143が連結する湾曲連結部131は、本体中間部132を挟んで並ぶ一対の湾曲連結部131のうちチューブ配列方向DRstの他方側のものである。
また、図2および図3に示すように、1つのフィン本体部13が有する全部のルーバ14は、4つのルーバ群に分かれる。そして、各ルーバ群は、ルーバ本体部141が所定の間隔を空けて互いに平行に設けられた複数のルーバ14から構成されている。
そして、その4つのルーバ群を構成する複数のルーバ14は全体として、熱交換器1を通過する空気を図2の矢印FLfのように蛇行させるように案内する。言い換えれば、その矢印FLfのように流れる空気は、ルーバ14の相互間を通り抜けつつ蛇行する。このように空気が蛇行して流れることで、冷媒と空気との間における熱交換の性能向上が図られている。
フィン本体部13の本体中間部132は、上述の複数のルーバ14を含むが、そのルーバ14以外の部位は平板状に形成されている。具体的には、本体中間部132は、空気通過方向AFに沿うように形成された複数の平坦面15を有している。その複数の平坦面15は、ルーバ14に対し空気通過方向AFに並んで配置されている。すなわち、複数の平坦面15は、本体中間部132のうち空気通過方向AFの一方側の端に設けられた一方側平坦面151、空気通過方向AFの他方側の端に設けられた他方側平坦面152、および、中間平坦面153を含んでいる。その中間平坦面153は、本体中間部132が有する複数のルーバ14の間に設けられている。
図3および図5に示すように、コルゲートフィン10の表面(詳細には、板厚方向両側の表面)には、その表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状である親水性凹凸形状12a、131a、141a、142a、143a、15aが設けられている。コルゲートフィン10の表面の親水性凹凸形状12a、131a、141a、142a、143a、15aは、そのコルゲートフィン10の表面全体にわたって形成されている。なお、上記の凹凸形状が表面の親水性を高めるように形成されることとは、詳しく言えば、その表面が凹凸形状の無い平滑面である場合と比較して、その凹凸形状が表面の親水性を高めるように形成されることである。また、親水性凹凸形状12a、131a、141a、142a、143a、15aは、親水性凹凸形状12a〜15aと略して表示されることがある。
また、このコルゲートフィン10の表面の親水性凹凸形状12a〜15aは、所定の間隔をあけて並んだ複数の溝12b、131b、141b、142b、143b、15b、15cから構成されている。そして、その複数の溝12b、131b、141b、142b、143b、15b、15cは、所定の第1方向へ延びる溝と、その第1方向に交差する所定の第2方向へ延びる溝とからなる。
従って、親水性凹凸形状12a〜15aを構成する複数の溝12b、131b、141b、142b、143b、15b、15cは、その親水性凹凸形状12a〜15aに含まれる凹形状となっている。なお、複数の溝12b、131b、141b、142b、143b、15b、15cは、複数の溝12b〜15cと略して表示されることがある。また、本実施形態で参照する各図面では、説明のため、コルゲートフィン10の表面に設けられる複数の溝12b〜15cは模式的に大きく表されている。このことは、その溝12b〜15cを表した後述の各図面においても同様である。
具体的にコルゲートフィン10のうちの各部位について見れば、接合部12は、その接合部12の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状である親水性凹凸形状12aを、接合部12の板厚方向でチューブ20に接合された接合側とは反対側に有している。そして、その親水性凹凸形状12aは、接合部12の接合側とは反対側の表面121に形成された複数の溝12bから構成されている。
なお、コルゲートフィン10の単体においては、接合部12は、接合部12の板厚方向でチューブ20に接合された接合側にも親水性凹凸形状12aを有している。但し、熱交換器1においては接合部12はチューブ20に接合されるので、その接合部12の接合側に設けられた親水性凹凸形状12aの殆どはチューブ20に覆われる。
また、ルーバ一端部142は、そのルーバ一端部142の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状である親水性凹凸形状142aを、ルーバ一端部142の板厚方向の両側にそれぞれ有している。そして、その親水性凹凸形状142aは、ルーバ一端部142の表面に形成された複数の溝142bから構成されている。
また、ルーバ他端部143は、そのルーバ他端部143の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状である親水性凹凸形状143aを、ルーバ他端部143の板厚方向の両側にそれぞれ有している。そして、その親水性凹凸形状143aは、ルーバ他端部143の表面に形成された複数の溝143bから構成されている。
また、ルーバ本体部141は、そのルーバ本体部141の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状である親水性凹凸形状141aを、ルーバ本体部141の板厚方向の両側にそれぞれ有している。そして、その親水性凹凸形状141aは、ルーバ本体部141の表面に形成された複数の溝141bから構成されている。また、ルーバ本体部141に設けられた複数の溝141bの少なくとも何れかは、チューブ配列方向DRstに延びるように形成されている。
また、一対の湾曲連結部131は何れも、その湾曲連結部131の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状である親水性凹凸形状131aを、湾曲連結部131の板厚方向の両側にそれぞれ有している。そして、その親水性凹凸形状131aは、湾曲連結部131の表面に形成された複数の溝131bから構成されている。
また、フィン本体部13が有するそれぞれの平坦面15は、その平坦面15の親水性を高めるように形成された凹凸形状である親水性凹凸形状15aを有している。そして、その親水性凹凸形状15aは、平坦面15に形成された複数の溝15b、15cから構成されている。そして、その平坦面15の親水性を高めるように形成された複数の溝15b、15cに含まれる溝同士は互いに交差している。詳細には、平坦面15が有する複数の溝15b、15cは複数の第1平坦面溝15bと複数の第2平坦面溝15cとから構成される。
そして、複数の第1平坦面溝15bは、空気通過方向AFへ延びる横溝である。一方、複数の第2平坦面溝15cは、チューブ配列方向DRstへ延びる縦溝である。従って、複数の第1平坦面溝15bは、複数の第2平坦面溝15cと交差するように延びている。確認的に述べるが、このことは、一方側平坦面151、他方側平坦面152、および中間平坦面153の何れでも同様である。なお、上記のように平坦面15が有する複数の溝15b、15cに含まれる溝同士が互いに交差していることは、コルゲートフィン10のうち平坦面15以外の各部でも同様である。
また、コルゲートフィン10の表面の複数の溝12b〜15cは、例えば、コルゲートフィン10が波形状に成形される前に形成される。そのため、図3に示すように、そのコルゲートフィン10の表面の複数の溝12b〜15cには、コルゲートフィン10を構成する複数の部位12、131、132,141,142,143にわたって連続して延びている溝が含まれている。
具体的に例示すれば、ルーバ一端部142が有する複数の溝142bのうちの少なくとも何れかは、一対の湾曲連結部131のうちルーバ一端部142に近い側である一方の湾曲連結部131が有する複数の溝131bの少なくとも何れかへ連結している。このことは、ルーバ一端部142の両面の何れでも同様である。また、ルーバ他端部143の複数の溝143bと、一対の湾曲連結部131のうちルーバ他端部143に近い側である他方の湾曲連結部131が有する複数の溝131bとの間の関係でも同様である。
詳細に言うと、ルーバ14が有する複数の溝141b、142b、143bのうちルーバ隣接部位まで到達している溝は何れも、そのルーバ隣接部位が有する何れかの溝に連結している。そのルーバ隣接部位とは、ルーバ14周りの部位であってルーバ14に隣接する部位であり、図3に示すように、一対の湾曲連結部131および複数の平坦面15がルーバ隣接部位に該当する。
ルーバ14のうちルーバ一端部142に着目すれば、上記一方の湾曲連結部131がルーバ一端部142に隣接している。そして、そのルーバ一端部142が有する複数の溝142bのうち上記一方の湾曲連結部131まで到達している溝は何れも、その一方の湾曲連結部131が有する何れかの溝131bに連結している。
これと同様に、ルーバ他端部143に着目すれば、上記他方の湾曲連結部131がルーバ他端部143に隣接している。そして、そのルーバ他端部143が有する複数の溝143bのうち上記他方の湾曲連結部131まで到達している溝は何れも、その他方の湾曲連結部131が有する何れかの溝131bに連結している。
また、ルーバ一端部142が有する複数の溝142bのうちの少なくとも何れかは、ルーバ本体部141が有する複数の溝141bのうちの少なくとも何れかへ連結している。それと共にルーバ他端部143でも、そのルーバ他端部143が有する複数の溝143bのうちの少なくとも何れかは、ルーバ本体部141が有する複数の溝141bのうちの少なくとも何れかへ連結している。
例えば、図3のP1部分および図6のP2部分では、一方の湾曲連結部131の溝131bと、ルーバ一端部142の溝142bとが互いに連結している。また、図3のP3部分では、ルーバ本体部141の溝141bと、ルーバ一端部142の溝142bとが互いに連結している。なお、図6の二点鎖線は、コルゲートフィン10の概略形状を表している。
また、図5に示すように、上記の親水性凹凸形状12a〜15aに含まれる凹形状の深さh、すなわち溝12b〜15cの溝深さhは、例えば10μm以上である。例えばフィン本体部13の平坦面15について言えば、複数の第1平坦面溝15bの溝深さhは10μm以上であり、複数の第2平坦面溝15cの溝深さhも10μm以上である。
これにより、コルゲートフィン10の表面の親水性を十分に高くすることが可能である。コルゲートフィン10の表面の親水性が高くなると、コルゲートフィン10の排水性が向上し、コルゲートフィン10の表面に凝縮水が滞留することが防がれる。従って、凝縮水の滞留により空気通路の通風抵抗が大きくなることが防がれるので、熱交換器1は熱交換性能を高めることができる。
次に、冷媒によって冷却された空気から生じる凝縮水の流れについて説明する。図4に示すように、各チューブ20が上下方向DRgに沿って配置されているので、凝縮水は、矢印F1、F2のように上側から下側へ、コルゲートフィン10の接合部12およびチューブ壁面201に沿って流れて熱交換器1の下部から熱交換器1外へ排水される。
このとき、フィン本体部13がチューブ20の相互間の空気通路を横断しているので、矢印F1のように流れる凝縮水は、ルーバ一端部142の表面を通ると共に、ルーバ14の相互間に形成された隙間を通り抜ける。これと同様に、矢印F2のように流れる凝縮水は、ルーバ他端部143の表面を通ると共に、ルーバ14の相互間に形成された隙間を通り抜ける。例えば、図4のA1部分では、矢印F1のように流れる凝縮水は、ルーバ一端部142の表面を通ってそのルーバ一端部142を越える。また、A2部分では、矢印F2のように流れる凝縮水は、ルーバ他端部143の表面を通ってそのルーバ他端部143を越える。
また、ルーバ14では冷媒と空気との熱交換が促進されるので、凝縮水はルーバ14で主に発生する。例えば、そのルーバ14のうちルーバ本体部141に付着した凝縮水Wcは、矢印Fa、Fbのようにルーバ本体部141の表面で濡れ広がる。
このようにルーバ本体部141で生じた凝縮水は、矢印Fcのように上側から流れる凝縮水とルーバ一端部142で合流し、チューブ壁面201または接合部12へと流れる。また、そのルーバ本体部141で生じた凝縮水は、矢印Fdのように上側から流れる凝縮水とルーバ他端部143で合流し、チューブ壁面201または接合部12へと流れる。
以上のような凝縮水の流れから、コルゲートフィン10では、矢印F1、F2で示す凝縮水の流れにおいて、チューブ壁面201への排水性と接合部12への排水性とが良好に確保される必要がある。
次に、本実施形態の熱交換器1の効果を説明するために、本実施形態と比較される比較例について説明する。図7に示すように、その比較例の熱交換器ではコルゲートフィン90の表面に親水性凹凸形状12a〜15aが設けられていない。すなわち、比較例のコルゲートフィン90は、その表面が親水性凹凸形状12a〜15aの無い平滑面で構成されており、それを除き本実施形態のコルゲートフィン10と同じである。また、比較例の熱交換器が有するコルゲートフィン90以外の各部品(例えばチューブ20等)は、本実施形態の熱交換器1のものと同じである。
図7および図8に示す比較例のコルゲートフィン90において、各ルーバ14では、空気と冷媒との熱交換性能が高いため、凝縮水の発生量が多い。この発生した凝縮水は、狭い隙間を形成するルーバ一端部142またはルーバ他端部143へ導かれる。それに加え、上側から接合部12またはチューブ壁面201に沿って流れる凝縮水も、そのルーバ一端部142またはルーバ他端部143へ導かれる。例えば図8では、上側からルーバ他端部143へ導かれる凝縮水の流れは矢印Fgで示されている。
比較例のコルゲートフィン90では、ルーバ一端部142およびルーバ他端部143の親水性が本実施形態に比して低いので、ルーバ一端部142またはルーバ他端部143から接合部12またはチューブ壁面201への排水が滞りやすい。例えば、図8の矢印Fh、Fiのようなルーバ他端部143から接合部12またはチューブ壁面201への排水が滞ると、ルーバ14の相互間の隙間に凝縮水Wcが滞留する。そして、その滞留した凝縮水Wcは矢印Fjのように、そのルーバ14の隙間全体に広がっていき、そのルーバ14の隙間全体が詰まることになる。
ここで、そのルーバ14の相互間に例えば凝縮水Wcが無ければ図9の矢印FLfのように空気がルーバ14に沿って蛇行する。しかし、上記のようにルーバ14の隙間が凝縮水Wcで詰まると、ルーバ14が機能せず、空気は図10の矢印FLnのように直線的に流れる。このように、ルーバ14の隙間が凝縮水Wcで詰まると、図9の矢印FLfのような空気の蛇行流れが維持されなくなるので、冷房性能の低下を招く。
また、比較例のコルゲートフィン90では、図11および図12に示すように、コルゲートフィン90の接合部12から、その接合部12の下側に位置するチューブ壁面201への排水が滞りやすい。例えば、図12の矢印Fkのような接合部12からルーバ他端部143を介したチューブ壁面201への排水が滞ると、チューブ延伸方向DRtに並ぶフィン本体部13同士の間に凝縮水Wcが滞留する。そして、その滞留した凝縮水Wcには、上側から矢印Fgのように流れる凝縮水Wcと、ルーバ14にて発生した凝縮水Wcとが加わる。そのため、フィン本体部13同士の間に滞留した凝縮水Wcは、矢印Fmのように、そのフィン本体部13同士の間の隙間においてチューブ配列方向DRstの全幅にわたって広がっていく。その結果、そのフィン本体部13同士の間の隙間が凝縮水Wcにより閉塞されることになる。
上記のようにフィン本体部13同士の間の隙間が凝縮水Wcで閉塞されると、図13のように、そのフィン本体部13同士の間の隙間が閉塞された箇所では、空気が塞き止められる。このように、比較例の熱交換器のうち幾つかの箇所にて、フィン本体部13同士の間の隙間が凝縮水Wcで閉塞されると、その分、熱交換器を通過する通風抵抗が増加し、熱交換器の性能低下を引き起こす。
これに対し、本実施形態の熱交換器1は、図7〜図13を用いて説明した比較例の熱交換器で発生しうる凝縮水Wcの滞留(言い換えれば、排水の滞り)を防止するように構成されている。そして、本実施形態では、凝縮水Wcの滞留を防止すること、すなわち凝縮水Wcの排水性を向上させることにより、熱交換器1の通風抵抗を低減し、熱交換器1の性能を向上させることができる。
例えば本実施形態によれば、図3に示すように、ルーバ一端部142は、そのルーバ一端部142の表面の親水性を高めるように形成された親水性凹凸形状142aを、ルーバ一端部142の板厚方向の両側にそれぞれ有している。そして、ルーバ他端部143は、そのルーバ他端部143の表面の親水性を高めるように形成された親水性凹凸形状143aを、ルーバ他端部143の板厚方向の両側にそれぞれ有している。
このようにルーバ一端部142およびルーバ他端部143の表面の親水性が高いことにより、ルーバ14に付着する凝縮水がルーバ一端部142とルーバ他端部143とのそれぞれで滞りにくくなる。そして、その凝縮水は速やかに、コルゲートフィン10の接合部12またはチューブ壁面201へ排水されることになる。すなわち、排水経路の一部となっているルーバ一端部142およびルーバ他端部143の排水を促進できる。
従って、凝縮水がコルゲートフィン10のルーバ14に滞留することを防止することが可能である。その結果、例えば、ルーバ14が空気を図2および図9の矢印FLfのように案内する機能が、ルーバ14に付着する凝縮水によって妨げられることを抑制することができる。
また、ルーバ一端部142が有する親水性凹凸形状142aの凹部としての溝142bが凝縮水を引っ張る力を生じるので、その溝142bが凝縮水を引っ張る力を利用し、ルーバ一端部142を流れる凝縮水の排水を促進することが可能である。このことは、ルーバ他端部143においても同様である。従って、ルーバ一端部142とルーバ他端部143との一方にしか親水性凹凸形状142a、143aがない構成と比較して、ルーバ14に凝縮水が滞留することを一層防止しやすい。
なお、上述したようにコルゲートフィン10の表面に凹凸形状を設けることで、その表面の親水性を高めることができるが、その親水性の向上により得られる作用を詳しく述べると、次のようなことが言える。すなわち、上記表面の親水性の向上により、その表面に付着する水の濡れ広がりを大きくできる。そして、図14に示すように、その水の膜厚Twを小さくし、その水の接触角Awを小さくすることができる。このような作用により、本実施形態の熱交換器1では凝縮水の排水が促進される。
また、本実施形態によれば、図3および図5に示すように、ルーバ一端部142は、そのルーバ一端部142の親水性凹凸形状142aを、ルーバ一端部142の板厚方向の両側にそれぞれ有している。従って、その親水性凹凸形状142aがルーバ一端部142の板厚方向の一方にしか設けられていない場合と比較して、ルーバ14に凝縮水が滞留することを防止するという効果をより大きく得ることができる。このことは、ルーバ他端部143においても同様である。
また、本実施形態によれば、図3および図4に示すように、フィン本体部13は、湾曲し接合部12に対し連結する一対の湾曲連結部131を、チューブ配列方向DRstにおけるフィン本体部13の両端部分にそれぞれ有している。そして、一対の湾曲連結部131は、その湾曲連結部131の表面の親水性を高めるように形成された親水性凹凸形状131aを、その湾曲連結部131の板厚方向の両側にそれぞれ有している。従って、湾曲連結部131の表面の親水性が高いことにより、その湾曲連結部131から接合部12またはチューブ壁面201への排水を促進することが可能である。
また、本実施形態によれば、ルーバ一端部142の親水性凹凸形状142aは複数の溝142bから構成されている。また、一対の湾曲連結部131のうちルーバ一端部142に近い側である一方の湾曲連結部131の親水性凹凸形状131aも複数の溝131bから構成されている。そして、ルーバ一端部142が有する複数の溝142bのうちの少なくとも何れかは、上記一方の湾曲連結部131が有する複数の溝131bのうちの少なくとも何れかへ連結している。
これにより、ルーバ一端部142に付着する凝縮水が上記一方の湾曲連結部131へ引っ張られ易くなるので、ルーバ14からの排水を促進することが可能である。従って、ルーバ14から上記一方の湾曲連結部131を介した接合部12またはチューブ壁面201への排水を促進することが可能である。例えば図6および図15の矢印Fn、Foで示すように流れる凝縮水Wcの排水を促進することが可能である。
なお、このようにルーバ14からの排水が促進されることは、ルーバ他端部143においても同様である。すなわち、本実施形態では、例えば図15の矢印Fp、Fqで示すようにルーバ他端部143を介して流れる凝縮水Wcの排水を促進することも可能である。
また、本実施形態によれば、図3および図4に示すように、接合部12は、その接合部12の表面の親水性を高めるように形成された親水性凹凸形状12aを、チューブ20に接合された側とは反対側に有している。従って、接合部12にて凝縮水の排水が滞りにくくなるので、ルーバ一端部142またはルーバ他端部143から接合部12への排水を促進することが可能である。
また、その接合部12の親水性凹凸形状12aを構成する複数の溝12bが、その接合部12の上側に連結する湾曲連結部131上から凝縮水を引っ張る。これによっても、例えば図16の矢印Frで示すように流れる凝縮水Wcの排水を促進することが可能である。
また、図16のXVII部分では、図3に示す湾曲連結部131の複数の溝131bが表面の凝縮水Wcを引っ張る。それと共に、湾曲連結部131の湾曲形状の凸側が斜め下側を向いているので、その湾曲形状に起因した引っ張り合いの力が湾曲連結部131上の凝縮水Wcに働く。そのため、図16および図17の矢印Fs、Ftで示すように湾曲連結部131からチューブ壁面201へ流れる凝縮水Wcの排水を促進することが可能である。
ここで、その湾曲連結部131の湾曲形状に起因した凝縮水Wcの引っ張り合いについて説明するための図が、図18として示されている。その図18に示すように、湾曲連結部131の湾曲形状の凹側に付着する凝縮水Wcの表面の曲率半径R1は、その湾曲形状の凸側に付着する凝縮水Wcの表面の曲率半径R2よりも大きくなる。これは、湾曲連結部131の湾曲形状の凸側の面とチューブ壁面201との間の角度θが鋭角になっているからである。そして、物理現象として水が角部に溜まる場合には、その角部を構成する二辺がなす角度が小さいほど、その水の表面の曲率半径は小さくなるからである。
このような曲率半径R1、R2の大小関係から、湾曲連結部131の湾曲形状の凹側よりも凸側において凝縮水Wcを引っ張る力が勝り、図16および図17の矢印Fs、Ftで示す流れの排水が促進される。
また、本実施形態によれば、図3に示すように、ルーバ本体部141は、そのルーバ本体部141の表面の親水性を高めるように形成された親水性凹凸形状141aを、そのルーバ本体部141の板厚方向の両側にそれぞれ有している。従って、図4の矢印Fa、Fbのようにルーバ本体部141の表面にて凝縮水Wcの濡れ広がりが促進される。そのため、ルーバ本体部141から凝縮水Wcがルーバ一端部142とルーバ他端部143とのそれぞれへ流れやすくなり、ルーバ14からの排水性を向上することが可能である。
また、本実施形態によれば、図3に示すように、コルゲートフィン10の平坦面15は、その平坦面15の親水性を高めるように形成された複数の第1平坦面溝15bと複数の第2平坦面溝15cとを有している。そして、複数の第1平坦面溝15bは、複数の第2平坦面溝15cと交差するように延びている。
従って、平坦面15上に付着した凝縮水Wcが第1平坦面溝15bと第2平坦面溝15cとに引っ張られつつ濡れ広がって、平坦面15周りの部位へと排水される。例えば図19の矢印F1u、F2u、F3uで示すように、平坦面15上に付着した凝縮水Wcは平坦面15からルーバ14の相互間の隙間を通って下側へ排水される。このとき、複数の第1平坦面溝15bと複数の第2平坦面溝15cとが交差しているので、平坦面15上の排水経路が多岐にわたって多くなり、平坦面15からの排水性を向上することが可能である。
例えば図20に示すように、複数の第1平坦面溝15bと複数の第2平坦面溝15cとが交差しているので、平坦面15上の凝縮水Wcの排水経路は、第1平坦面溝15bの一部と複数の第2平坦面溝15cの一部とが複数連結された経路として多数構成される。そのため、例えば矢印F1vに沿った経路も、矢印F2vに沿った経路も、凝縮水Wcの排水経路となり得る。このように凝縮水Wcの排水経路が多岐にわたって形成され、平坦面15からの排水性を向上することが可能である。
また、本実施形態によれば、図3に示すように、複数の第2平坦面溝15cは、チューブ配列方向DRstへ延びる縦溝である。従って、平坦面15上に付着した凝縮水Wcを第2平坦面溝15cがチューブ配列方向DRstへ引っ張るので、その凝縮水Wcは、コルゲートフィン10に隣接するチューブ20へと導かれ易くなる。そのため、平坦面15からの排水性を向上することが可能である。
また、本実施形態によれば、平坦面15には、複数の第2平坦面溝15cのほかに、空気通過方向AFへ延びる複数の第1平坦面溝15bも設けられている。従って、その第1平坦面溝15bによっても平坦面15の親水性が向上するので、平坦面15からの排水性を向上することが可能である。
また、本実施形態によれば、図1および図4に示すように、複数本のチューブ20は鉛直方向に延びている。従って、重力により、図4の矢印F1、F2のようにチューブ壁面201を伝わる凝縮水の排水性を向上することが可能である。
また、本実施形態によれば、図5に示す親水性凹凸形状12a〜15aに含まれる凹形状の深さhは、例えば10μm以上である。このようにすれば、その親水性凹凸形状12a〜15aによって生じる親水性が十分に確保され、その親水性凹凸形状12a〜15aを有する表面に付着する凝縮水を排水する排水効果を十分に発揮させることができる。例えば上記凹形状の深さhが10μm未満になると、排水性を良好に得るのに十分な親水性を確保しにくくなる。
また、本実施形態では、図5のB1部分および図21に示すように、コルゲートフィン10の一部分において、複数の溝12b〜15cのうち板厚方向の一方の表面に設けられた一方表面溝と、他方の表面に設けられた他方表面溝とが交互配置となっている。その交互配置とは、その一方表面溝と他方表面溝とが、上記板厚方向の一方または他方の表面に沿った方向に交互に並んで配置されていることである。別言すれば、その交互配置とは、一方表面溝が他方表面溝と同じ方向へ並び、且つ、その一方表面溝がその他方表面溝に対して上記板厚方向の一方に重ならないように配置されていることである。
このようにコルゲートフィン10のうち複数の溝12b〜15cが交互配置となっている部分では、板厚方向両側の表面それぞれに溝12b〜15cを形成したことに起因してコルゲートフィン10の板厚が局所的に小さくなることが抑えられる。従って、その交互配置となっている部分では、溝12b〜15cの形成に起因したコルゲートフィン10の強度低下を抑えることができる。なお、複数の溝12b〜15cが交互配置となっている部分、すなわち溝交互配置部分は、例えば接合部12、フィン本体部13、ルーバ14など、コルゲートフィン10の構成部位の何れに含まれていてもよい。
上述したように本実施形態ではコルゲートフィン10の表面に親水性凹凸形状12a〜15aが設けられているので、その表面の形状によって親水性の向上が図られている。また、そのような表面の形状は経年変化が小さい。そのため、経年による親水性の劣化が進行しにくく、コルゲートフィン10の表面の親水性を安定して発揮することができる。
例えば、親水性凹凸形状12a〜15aによる親水性が経年劣化しにくいことを確認した実験の結果が図22に示されている。この図22に示された実験では、親水性凹凸形状12a〜15aに相当する溝が形成された溝あり面と、凹凸形状の無い平滑面とのそれぞれに親水コーティングを施した上で、時間経過に従ったそれぞれの親水性の劣化の程度を測定している。例えば、面の親水性が高いほどその面に付着した水の接触角Aw(図14参照)は小さくなるので、溝あり面および平滑面の親水性は、各面に付着した水の接触角Awを測定することで測ることができる。図22では、溝あり面の親水性変化は実線Lmで示され、平滑面の親水性変化は破線Lnで示されている。この図22に示された実験の結果から、溝あり面では平滑面に比して親水性が経年劣化しにくいと言える。
なお、本実施形態では、コルゲートフィン10の表面に親水コーティングを施す等の化学的手法は為されておらず、その化学的手法は必須ではない。但し、親水性凹凸形状12a〜15aを設けることとその化学的手法とを組み合わせれば、親水性向上という効果が更に大きくなる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の第3実施形態以降の説明においても同様である。
図23に示すように、本実施形態では、コルゲートフィン10の表面に設けられた複数の溝12b〜15cの向きが第1実施形態とは異なる。具体的には、前述の第1実施形態の溝12b〜15cの殆どは、図3に示すように、空気通過方向AFに沿った向き又はそれに直交する向きに延びている。これに対し、本実施形態の溝12b〜15cの殆どは、図23に示すように、空気通過方向AFに対して傾斜した向きに延びている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図24に示すように、本実施形態では、空気通過方向AFに並んだルーバ14の相互間に形成されたルーバ隙間14cが、フィン本体部13に設けられている。このルーバ隙間14cは、ルーバ14が切り起こされた形状を成すことによって形成された切り起こし隙間であり、ルーバ14に隣接している。また、ルーバ14はチューブ配列方向DRstに延びた形状を成しているので、ルーバ隙間14cもチューブ配列方向DRstに延びた形状を成している。
本実施形態のコルゲートフィン10も第1実施形態のコルゲートフィン10もルーバ14を有するので、上記のようにルーバ隙間14cが設けられていることについては、本実施形態でも第1実施形態でも同様である。
但し、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、フィン本体部13が有する一対の湾曲連結部131に、切込み131cが形成されている。その切込み131cは、一対の湾曲連結部131のうちの少なくとも何れかに形成されていればよいが、本実施形態では、一対の湾曲連結部131の両方にそれぞれ形成されている。
具体的に、湾曲連結部131の切込み131cは、その湾曲連結部131に対してルーバ隙間14cから切り込まれた形状を成している。本実施形態では、切込み131cは、フィン本体部13に形成された複数のルーバ隙間14cのうちの一部のルーバ隙間14cに対応するように設けられている。そして、図24および図25に示すように、その切込み131cは、チューブ配列方向DRstにおけるルーバ14の幅Wfよりも外側へ及んでいる。
上述したように、湾曲連結部131には切込み131cが形成されているので、その切込み131cが形成された切込み部分も排水経路として使え、その切込み部分周辺の領域の排水をスムーズに行うことが可能である。
例えば図25に示すように、凝縮水は、矢印F1、F2のように上側から下側へ、コルゲートフィン10の接合部12およびチューブ壁面201に沿って流れて熱交換器1の下部から熱交換器1外へ排水される。このとき、その排水経路は、仮に切込み131cが無ければ、ルーバ14の相互間を通って破線F1c、F2cの経路をたどることになる。これに対し、本実施形態において切込み131cが形成された切込み部分では、排水経路は、切込み131cを通って実線F1n、F2nの経路をたどる。従って、その切込み131cを通る排水経路に沿って流れる凝縮水は、切込み131cが無い場合と比較して円滑に流下する。このように、本実施形態では、切込み131cが設けられていることにより、上側から流れてくる凝縮水を熱交換器1外へスムーズに排出することが可能である。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図26に示すように、本実施形態では、コルゲートフィン10の表面全体のうち、ルーバ一端部142の表面とルーバ他端部143の表面とにだけ親水性凹凸形状142a、143aが設けられている。そして、そのルーバ一端部142とルーバ他端部143とを除いた部分は、凹凸形状の無い平滑面となっている。
なお、ルーバ端部142、143の親水性凹凸形状142a、143aは、そのルーバ端部142、143の板厚方向の少なくとも一方に形成されていればよいが、本実施形態では、ルーバ端部142、143の板厚方向の両側それぞれに形成されている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態または第3実施形態と組み合わせることも可能である。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
本実施形態では、図27に示すように、コルゲートフィン10は、そのコルゲートフィンのうち接合部12とその接合部12に隣接する接合隣接部分161とから構成されたチューブ側凸状部16を有している。そのチューブ側凸状部16は、そのチューブ側凸状部16に含まれる接合部12が接合されたチューブ20(図4参照)の側を凸側として曲がった形状を成している。チューブ側凸状部16は接合部12を含むので、コルゲートフィン10は、接合部12と同数のチューブ側凸状部16を有している。
接合隣接部分161は、接合部12を挟んで一対を成し、接合部12の両端それぞれから延設されている。この接合隣接部分161は、湾曲連結部131に含まれる。例えば、接合隣接部分161は、その湾曲連結部131の一部であってもよいし全部であってもよい。
チューブ側凸状部16は、そのチューブ側凸状部16の表面の親水性を高めるように形成された複数の親水性溝16a、16bを、チューブ20に接合された凸側と、その凸側とは反対側である凹側とにそれぞれ有している。すなわち、チューブ側凸状部16は、凸側に設けられた複数の親水性溝16aと、凹側に設けられた複数の親水性溝16bとを有している。なお、チューブ側凸状部16には接合部12が含まれるので、チューブ側凸状部16の親水性溝16a、16bには接合部12の溝12b(図3参照)が含まれる。また、チューブ側凸状部16の凸側は山側とも呼ばれ、チューブ側凸状部16の凹側は谷側とも呼ばれる。
そして、チューブ側凸状部16の凸側の親水性溝16aと凹側の親水性溝16bは、その形状に差異を有するように形成されている。具体的には、その凸側の親水性溝16aが有する溝深さDPaは、凹側の親水性溝16bが有する溝深さDPbよりも小さい。更に、凸側の親水性溝16aが有する溝幅WDaは、凹側の親水性溝16bが有する溝幅WDbよりも大きい。
なお、上記した「DPa<DPb」という溝深さDPa、DPbの大小関係は、チューブ側凸状部16の全体で成立していてもよいし、チューブ側凸状部16のうちの一部分で成立しているだけでもよい。また、上記した「WDa>WDb」という溝幅WDa、WDbの大小関係も、チューブ側凸状部16の全体で成立していてもよいし、チューブ側凸状部16のうちの一部分で成立しているだけでもよい。
また、チューブ側凸状部16における上記の溝深さDPa、DPbの大小関係および溝幅WDa、WDbの大小関係は、コルゲートフィン10のうちチューブ側凸状部16以外の部位にまで及んでいてもよいし、及んでいなくてもよい。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、チューブ側凸状部16の複数の親水性溝16a、16bのうちの凸側の親水性溝16aが有する溝深さDPaは、その複数の親水性溝16a、16bのうちの凹側の親水性溝16bが有する溝深さDPbよりも小さい。
従って、チューブ側凸状部16の親水性溝16a、16bが生じさせる毛細管力が「凸側<凹側」となるので、排水経路になるチューブ側凸状部16の凹側の表面へ水を集めやすくなる。その結果、熱交換器1から円滑に排水しやすくなる。また、チューブ側凸状部16のうちチューブ20に接合される凸側の表面において凹凸を小さくすることができ、コルゲートフィン10をチューブ20に対して確実に接合することが可能である。
また、チューブ側凸状部16において、凸側の親水性溝16aが有する溝幅WDaは、凹側の親水性溝16bが有する溝幅WDbよりも大きい。このことによっても、上記したようにチューブ側凸状部16の凹側の表面へ水を集めやすくなり、コルゲートフィン10をチューブ20に対して確実に接合することが可能である。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態または第3実施形態と組み合わせることも可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では図5に示すように、コルゲートフィン10の表面に形成された複数の溝12b〜15cの溝深さhは、例えば10μm以上であり、それが好ましい。しかしながら、その溝深さhが10μm以上であることが必須というわけではない。
(2)上述の各実施形態では例えば図3に示すように、コルゲートフィン10の表面の溝12b〜15cは何れも直線的に延びているが、それに限らず、例えば湾曲していても差し支えない。
また、その溝12b〜15cは、溝幅が均一な溝であっても不均一な溝であってもよい。また、その溝12b〜15cは、溝深さが均一な溝であっても不均一な溝であってもよい。
(3)上述の各実施形態では図3および図23に示すように、コルゲートフィン10の表面に設けられた複数の溝12b〜15cはそれぞれ、その表面の端から端まで連続して延びているが、これは一例である。例えば図28に示すように、複数の溝12b〜15cはそれぞれ断続的に分断されていても差し支えない。
(4)上述の各実施形態では図1および図4に示すように、熱交換器1は、チューブ20が鉛直方向DRgに延びる向きになるように配置されるが、その熱交換器1の設置向きに限定はない。例えば、図29に示すように、熱交換器1は、チューブ20が水平方向に延びる向きになるように配置されても差し支えない。
図29のように熱交換器1が配置された場合、ルーバ14から接合部12またはチューブ壁面201への排水では、例えば矢印Fwのように凝縮水Wcが流れる。従って、ルーバ14から接合部12またはチューブ壁面201への排水では、上述の第1および第2実施形態と同様の排水効果を得ることが可能である。すなわち、図29の熱交換器1でも、ルーバ14からの排水を促進することが可能である。そして、ルーバ14からの排水が促進されれば、上述の第1および第2実施形態と同様に、熱交換器1の性能低下を抑制し、ルーバ14における水膜厚さの低減により、熱交換器1の通風抵抗増加を抑制することが可能である。
(5)上述の各実施形態では、熱交換器1は、蒸発器として使用されるものとして説明されているが、これに限らない。各実施形態の熱交換器1は、水の排出が必要なものであれば、蒸発器以外の熱交換器であっても差し支えない。
例えば、熱交換器1は、蒸発器ではなく、被水する環境に設けられる熱交換器であってもよい。具体例を挙げるとすれば、車両のエンジンルーム内に設置される空調用凝縮器およびラジエータは、車両走行中などに水を被る場合があるので、被水する環境に設けられる熱交換器に該当する。
(6)上述の各実施形態において、チューブ20内を流れる第1流体は冷媒であるが、その第1流体が冷媒以外の流体であることも想定される。また、チューブ20の相互間に流れる第2流体は空気であるが、その第2流体が空気以外の流体であることも想定される。
(7)上述の第1実施形態では例えば図3および図5に示すように、コルゲートフィン10の表面の親水性凹凸形状12a〜15aは、そのコルゲートフィン10の表面全体にわたって形成されているが、その表面において部分的に形成されていることも考え得る。親水性凹凸形状12a〜15aが全く無い場合と比較すれば、親水性および排水性の向上を図ることは可能だからである。
例えば、親水性凹凸形状12a〜15aは、コルゲートフィン10の板厚方向両側の表面ではなく、その板厚方向の一方の表面だけに形成されていることも考え得る。すなわち、ルーバ端部142、143について言えば、ルーバ端部142、143はそれぞれ、親水性凹凸形状142a、143aを、そのルーバ端部142、143の板厚方向の少なくとも一方に有していればよい。また、湾曲連結部131について言えば、湾曲連結部131は、親水性凹凸形状131aを、湾曲連結部131の板厚方向の少なくとも一方に有していればよい。また、ルーバ本体部141について言えば、ルーバ本体部141は、親水性凹凸形状141aを、ルーバ本体部141の板厚方向の少なくとも一方に有していればよい。
例えば、親水性凹凸形状12a〜15aがコルゲートフィン10の板厚方向の一方の表面だけに形成されている構成では、親水性凹凸形状12a〜15aを図30に示すように形成することができる。その図30では、親水性凹凸形状12a〜15aを構成する複数の溝12b〜15cの溝深さhは、その溝12b〜15cが形成された部位の板厚の1/2以上とされている。
また、別の見方として、親水性凹凸形状12a〜15aは、コルゲートフィン10のうちの特定の部位だけに形成されていることも考え得る。例えば、親水性凹凸形状12a〜15aは、コルゲートフィン10のうち、ルーバ一端部142とルーバ他端部143との一方にだけ設けられ、他の部位には設けられていなくてもよい。
すなわち、図26に示すようにルーバ端部142、143の両方にだけ親水性凹凸形状142a、143aが設けられた第4実施形態は一例であり、その親水性凹凸形状142a、143aはルーバ端部142、143の一方に設けられているだけでもよい。要するに、ルーバ14のうちチューブ配列方向DRstの少なくとも一方の端に設けられたルーバ端部142、143が、親水性凹凸形状142a、143aを有していればよい。別言すれば、ルーバ一端部142とルーバ他端部143との少なくとも一方が、親水性凹凸形状142a、143aを有していればよい。
(8)上述の第1実施形態において図5のB1部分および図21に示すように、コルゲートフィン10が有する複数の溝12b〜15cのうちの一方表面溝と他方表面溝とが交互配置となっているのは、コルゲートフィン10の一部分であるが、これは一例である。例えば、コルゲートフィン10の全体にわたって、一方表面溝と他方表面溝とが交互配置となっていても差し支えない。
(9)上述の第3実施形態では図24に示すように、湾曲連結部131の切込み131cは、フィン本体部13に形成された複数のルーバ隙間14cのうちの一部のルーバ隙間14cに対応するように設けられているが、これは一例である。例えば、その切込み131cは、フィン本体部13に形成された複数のルーバ隙間14cの全部に対応するように配置され、そのルーバ隙間14c毎に設けられていても差し支えない。
(10)上述の第5実施形態では図27に示すように、チューブ側凸状部16の複数の親水性溝16a、16bは、「DPa<DPb」という溝深さDPa、DPbの大小関係と、「WDa>WDb」という溝幅WDa、WDbの大小関係との両方を備える。しかしながら、これは一例である。例えば、その溝深さDPa、DPbの大小関係と溝幅WDa、WDbの大小関係とうちの一方は備えられ、他方は備えられなくても差し支えない。
(11)上述の各実施形態では例えば図3に示すように、コルゲートフィン10は、伝熱促進のための切り起こし部14としてルーバを有しているが、その切り起こし部14は、例えば図31〜図34に示すように、ルーバ以外のものであってもよい。
具体的に図31および図32には、切り起こし部14がスリットを形成するスリットフィンが示されている。そのスリットフィンでは、例えば切り起こし端部142、143に親水性凹凸形状142a、143aが形成されている。すなわち、図32のC1部分とC2部分とに親水性凹凸形状142a、143aが形成されている。
また、図33には、切り起こし部14が三角形状の通気口を形成する三角フィンが示されている。その三角フィンでも、上記のスリットフィンと同様に親水性凹凸形状142a、143aが形成されている。なお、図33では、切り起こし部14およびその周辺が抜粋して図示されており、コルゲートフィン10の波形状は図示されていない。
また、図34には、波形状の一部分がオフセットするようにずらされることで切り起こし部14が形成されたオフセットフィンが示されている。そのオフセットフィンでは、図34の(c)に示すように、切り起こし一端部142に親水性凹凸形状142aが形成されている。すなわち、図34の(c)に示されたC3部分に親水性凹凸形状142aが形成されている。なお、図34の(c)はオフセットフィンの完成品を示しており、図34の(a)(b)(c)の全体はオフセットフィンの製造過程を示している。すなわち、図34の(a)に示すように、先ず波形状のフィン材料が準備され、次に、図34の(b)に示すように、そのフィン材料のうち、点ハッチングが付された切り起こし部14になる部位14dが、それ以外の部位に対しずれるように切り起こされる。その結果、図34の(c)に示すオフセットフィンが得られる。
確認的に述べるが、上記した図31および図32のスリットフィン、図33の三角フィン、図34のオフセットフィンは何れも、波形状を成しているので、コルゲートフィン10の一種である。また、図31〜図34の各コルゲートフィン10でも、切り起こし端部142、143だけでなくコルゲートフィン10の全体に親水性凹凸形状12a〜15aが形成されていて差し支えない。
(12)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、第1流体が流れる複数本のチューブは一方向に並ぶ。コルゲートフィンの切り起こし部は、第2流体を案内する切り起こし本体部と、切り起こし端部とを有する。その切り起こし端部は、切り起こし本体部から延設された板状を成し切り起こし部のうち上記一方向の少なくとも一方の端に設けられている。また、切り起こし端部は、その切り起こし端部の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状を、その切り起こし端部の板厚方向の少なくとも一方に有する。
また、第2の観点によれば、切り起こし端部は、切り起こし部のうち上記一方向の両端にそれぞれ設けられている。そして、上記のように、その切り起こし端部は、凹凸形状を切り起こし端部の板厚方向の少なくとも一方に有する。従って、切り起こし部の両端それぞれで表面の親水性向上により切り起こし部に付着する水が滞りにくくなる。そのため、上記第1の観点の構成に比して更に、コルゲートフィンの切り起こし部に水が滞留することを防止しやすくなる。
また、第3の観点によれば、フィン本体部は、湾曲し接合部に対し連結する一対の湾曲連結部を、上記一方向におけるフィン本体部の両端部分にそれぞれ有する。そして、一対の湾曲連結部は、その湾曲連結部の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状を、その湾曲連結部の板厚方向の少なくとも一方に有する。従って、湾曲連結部の表面の親水性が高いことにより、その湾曲連結部から接合部またはチューブ壁面への排水を促進することが可能である。
また、第4の観点によれば、上記一方向の少なくとも一方の端に設けられた切り起こし端部には、切り起こし部のうち上記一方向の一方側の端に設けられた切り起こし一端部が含まれる。その切り起こし一端部の凹凸形状は複数の溝から構成され、一対の湾曲連結部のうち切り起こし一端部に近い側である一方の湾曲連結部の凹凸形状も複数の溝から構成される。そして、切り起こし一端部が有する複数の溝のうちの少なくとも何れかは、一方の湾曲連結部が有する複数の溝のうちの少なくとも何れかへ連結している。これにより、切り起こし一端部に付着する水が一方の湾曲連結部へ引っ張られ易くなるので、切り起こし部からの排水を促進することが可能である。従って、切り起こし部から一方の湾曲連結部を介した接合部またはチューブ壁面への排水を促進することが可能である。
また、第5の観点によれば、フィン本体部は、湾曲し接合部に対し連結する一対の湾曲連結部を、上記一方向におけるフィン本体部の両端部分にそれぞれ有する。そして、フィン本体部には、切り起こし部が切り起こされた形状を成すことによって形成された切り起こし隙間が切り起こし部に隣接して設けられている。一対の湾曲連結部のうちの少なくとも何れかには、その湾曲連結部に対して切り起こし隙間から切り込まれた形状の切込みが形成され、その切込みは、上記一方向における切り起こし部の幅よりも外側へ及んでいる。従って、その切込みが形成された切込み部分も排水経路として使え、その切込み部分周辺の領域の排水をスムーズに行うことが可能である。
また、第6の観点によれば、接合部は、その接合部の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状を、チューブに接合された側とは反対側に有する。従って、接合部にて排水が滞りにくくなるので、切り起こし部から接合部への排水を促進することが可能である。
また、第7の観点によれば、コルゲートフィンのうち接合部とその接合部に隣接する部分とから構成され且つその接合部が接合されたチューブの側を凸側として曲がった形状を成すチューブ側凸状部が設けられている。そのチューブ側凸状部は、そのチューブ側凸状部の表面の親水性を高めるように形成された複数の親水性溝を、チューブに接合された凸側と、その凸側とは反対側である凹側とにそれぞれ有する。そして、複数の親水性溝のうちの凸側の親水性溝が有する溝深さは、複数の親水性溝のうちの凹側の親水性溝が有する溝深さよりも小さい。
従って、チューブ側凸状部の親水性溝が生じさせる毛細管力が「凸側<凹側」となるので、排水経路になるチューブ側凸状部の凹側の表面へ水を集めやすくなる。その結果、熱交換器から円滑に排水しやすくなる。また、チューブ側凸状部のうちチューブに接合される凸側の表面において凹凸を小さくすることができ、コルゲートフィンをチューブに対して確実に接合することが可能である。
また、第8の観点によれば、コルゲートフィンのうち接合部とその接合部に隣接する部分とから構成され且つその接合部が接合されたチューブの側を凸側として曲がった形状を成すチューブ側凸状部が設けられている。そのチューブ側凸状部は、そのチューブ側凸状部の表面の親水性を高めるように形成された複数の親水性溝を、チューブに接合された凸側と、その凸側とは反対側である凹側とにそれぞれ有する。そして、複数の親水性溝のうちの凸側の親水性溝が有する溝幅は、複数の親水性溝のうちの凹側の親水性溝が有する溝幅よりも大きい。
従って、上記第7の観点と同様に、チューブ側凸状部の凹側の表面へ水を集めやすくなり、コルゲートフィンをチューブに対して確実に接合することが可能である。
また、第9の観点によれば、切り起こし本体部は、その切り起こし本体部の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状を、その切り起こし本体部の板厚方向の少なくとも一方に有する。従って、切り起こし本体部の表面にて水が濡れ広がって切り起こし部から流れ出やすくなり、切り起こし部からの排水性を向上することが可能である。
また、第10の観点によれば、チューブの相互間では、第2流体は、上記一方向に交差する一交差方向の一方側を上流側としその一交差方向の他方側を下流側として流れる。フィン本体部は、上記一交差方向に沿うように形成された平坦面を有する。その平坦面は、その平坦面の親水性を高めるように形成された複数の縦溝を有し、その複数の縦溝は上記一方向へ延びている。従って、平坦面上に付着した水を縦溝が上記一方向へ引っ張るので、その水は、コルゲートフィンに隣接するチューブへと導かれ易くなる。そのため、平坦面からの排水性を向上することが可能である。
また、第11の観点によれば、平坦面は、その平坦面の親水性を高めるように形成された複数の横溝を有し、その複数の横溝は、複数の縦溝と交差し上記一交差方向へ延びている。従って、平坦面上に付着した水が縦溝と横溝とに引っ張られつつ濡れ広がって、平坦面周りの部位へと排水される。このとき、複数の縦溝と複数の横溝とが交差しているので、平坦面上の排水経路が多岐にわたって多くなり、平坦面からの排水性を向上することが可能である。
また、第12の観点によれば、平坦面は、その平坦面の親水性を高めるように形成された複数の横溝を有し、その複数の横溝は上記一交差方向へ延びている。従って、その横溝による平坦面の親水性向上によって、平坦面からの排水性を向上することが可能である。
また、第13の観点によれば、第2流体は、第1流体との熱交換により凝縮水を発生させる気体である。
また、第14の観点によれば、熱交換器は、被水する環境に設けられる。
また、第15の観点によれば、複数本のチューブは鉛直方向に延びる。従って、重力により、チューブ壁面を伝わる水の排水性を向上することが可能である。
また、第16の観点によれば、上記凹凸形状に含まれる凹形状の深さは10μm以上である。これによれば、上記凹凸形状によって生じる親水性が十分に確保され、その凹凸形状を有する表面に付着する水を排水する排水効果を十分に発揮させることができる。
また、第17の観点によれば、複数の縦溝に含まれる溝の深さは10μm以上であり、複数の横溝に含まれる溝の深さも10μm以上である。これによれば、縦溝と横溝とが生じる親水性が十分に確保され、平坦面に付着する水を排水する排水効果を十分に発揮させることができる。
また、第18の観点によれば、切り起こし端部は、その切り起こし端部の凹凸形状を、切り起こし端部の板厚方向の両側にそれぞれ有する。従って、その凹凸形状が切り起こし端部の板厚方向の一方にしか設けられていない場合と比較して、コルゲートフィンの切り起こし部に水が滞留することを防止するという効果をより大きく得ることができる。
また、第19の観点によれば、上記伝熱促進のための切り起こし部はルーバである。
また、第20の観点によれば、コルゲートフィンの切り起こし部は、第2流体を案内する切り起こし本体部と、切り起こし端部とを有する。その切り起こし端部は、切り起こし本体部から延設された板状を成し切り起こし部のうち上記一方向の少なくとも一方の端に設けられている。また、切り起こし端部は、その切り起こし端部の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状を、その切り起こし端部の板厚方向の少なくとも一方に有する。