JP2010025480A - 熱交換器および熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結露水の扁平伝熱管に対する付着量を小さく抑える構成を採用する場合であっても、通風抵抗を小さく抑えつつ、フィン上の結露水の排水を促すことが可能な空気調和装置の熱交換器および熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】フィン7は、空気流れ方向下流側に向かうにつれて下方に傾斜している下流側傾斜部72と、空気流れ方向において下流側傾斜部よりも上流側において水平方向に広がっている水平部73と、を有している。このフィン7は、第1扁平伝熱管51および第2扁平伝熱管52が貫通している。
【選択図】図2
【解決手段】フィン7は、空気流れ方向下流側に向かうにつれて下方に傾斜している下流側傾斜部72と、空気流れ方向において下流側傾斜部よりも上流側において水平方向に広がっている水平部73と、を有している。このフィン7は、第1扁平伝熱管51および第2扁平伝熱管52が貫通している。
【選択図】図2
Description
本発明は、空気調和装置に用いられ、空冷式でかつ強制通風式の熱交換器および熱交換器の製造方法に関する。
空気調和装置の熱交換器としては、例えば、水平方向に延びた伝熱管が複数本鉛直方向に並べられており、各伝熱管の間にフィンが配置されてなる、いわゆる積層型の熱交換器が用いられている。
このような積層型の熱交換器としては、例えば、以下の特許文献1に示すように、水平方向に延びている扁平伝熱管と、この扁平伝熱管が延びる方向に直行する面状に広がっており扁平伝熱管によって貫通されているフィンと、を有するものが提案されている。この特許文献1の熱交換器によると、扁平伝熱管の延びる方向と交差する方向を空気流方向としつつ、扁平伝熱管の扁平面を水平方向から傾斜させて風下側が風上側よりも下方に位置するように配置している。そして、フィンには、伝熱性能を向上させるために波形の起伏部が設けられており、その起伏部の稜線は、鉛直方向に延びている。
この熱交換器では、熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する場合に、周囲空気に含まれる水分が結露水となってフィン面上に生じ、扁平伝熱管の上面に溜まることがあるが、その場合であっても、風下側が下方になるように扁平伝熱管が傾斜しているため、凝縮水の排水を促すことができるようにしている。これにより、扁平伝熱管上に結露水が滞留している場合よりも、排水を促した場合のほうが、熱交換器を通過する空気抵抗を小さく抑えることができ、熱交換効率を向上させることができている。
特開2005−121318号公報
上述の特許文献1に記載の熱交換器では、扁平伝熱管とフィンが交互に積層された構成を有しており、扁平伝熱管の上面に溜まりがちであっても、風下側が下方になるように扁平伝熱管を傾斜させて配置することで凝縮水の排水を促すようにしている。
しかし、熱交換器における扁平伝熱管に付着する結露水をできるだけ低減したい場合には、上記特許文献1で提案されているように傾斜して配置するだけでは不十分な場合がある。
これに対して、扁平伝熱管の長手方向が鉛直方向となるように設けると、それに対応して設けられるフィンが水平方向に広がっている部分を有することになるため、熱交換器の通風抵抗を小さく抑えるためには、フィン上に溜まる結露水を排水させることが必要になる。
本発明の課題は、結露水の扁平伝熱管に対する付着量を小さく抑える構成を採用する場合であっても、通風抵抗を小さく抑えつつ、フィン上の結露水の排水を促すことが可能な空気調和装置の熱交換器および熱交換器の製造方法を提供することにある。
第1発明の熱交換器は、空気調和装置に用いられ、空冷式でかつ強制通風式の熱交換器であって、第1扁平伝熱管、第2扁平伝熱管およびフィンを備えている。第1扁平伝熱管は、第1扁平面を有しており、鉛直方向に冷媒を流す。この第1扁平面は、強制通風により水平方向に生じる空気流れ方向に対して平行でかつ鉛直方向に広がった面である。第2扁平伝熱管は、第2扁平面を有し、第1扁平伝熱管の冷媒流れ方向と平行な方向に冷媒を流す。この第2扁平伝熱管は、第2扁平面が第1扁平面と面平行となるように第2扁平面および第1扁平面の板厚方向において重なって配置されている。第2扁平面は、空気流れ方向に対して平行でかつ鉛直方向に広がった面である。フィンは、空気流れ方向下流側に向かうにつれて下方に傾斜している下流側傾斜部と、空気流れ方向において下流側傾斜部よりも上流側において水平方向に広がっている水平部と、を有している。このフィンは、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管が貫通している。ここで、水平には、正確な水平だけに限られず、水平方向から僅かに傾斜する場合も含まれ、実質的に水平であればよい。また、鉛直は、正確な鉛直だけに限られず、鉛直方向から僅かに傾斜する場合も含まれ、実質的に鉛直であればよい。
この熱交換器では、第1偏平伝熱管も第2扁平伝熱管も、いずれも扁平面が鉛直方向に広がっているため、結露水が表面に滞留しにくくなっている。また、水平方向から傾斜させて配置されている場合と比較して、水平方向に流れている空気流れに対する通風抵抗を小さく抑えることができる。フィンの水平部は、空気流れ方向に沿うように水平方向に広がっているため、この水平部における通風抵抗を小さく抑えることができている。そして、フィンは、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管が貫通しているため、熱交換に有効な伝熱面積を第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の表面積だけでなく、さらにフィンの表面積が含まれるように拡大させることができている。フィンの下流側には、下流側傾斜部が設けられているため、水平部の上に結露水が滞留しがちな状況であっても、この結露水を、空気流れによって下流側の下流側傾斜部にまで導くことで、排水を促すことができる。
このように、結露水の扁平伝熱管に対する付着量および通風抵抗を小さく抑えつつ、フィン上の結露水の排水を促すことが可能になる。
第2発明の熱交換器は、第1発明の熱交換器において、フィンは、空気流れ方向において第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の下流側端部よりもさらに下流側に延びている部分を有している。
この熱交換器では、フィンのうち、伝熱管の下流側に位置している部分に結露水を沿わせて排水させることができる。
第3発明の熱交換器は、第1発明または第2発明の熱交換器において、下流側傾斜部は、空気流れ方向において第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の下流側端部近傍から、フィンの下流側端部まで延びている。
この熱交換器では、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管において生じた結露水が空気流れによって第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の下流側に導かれた後は、下流側傾斜部がこの結露水をフィンの下流側端部まで運ぶことができ、結露水の滞留が生じないように円滑に排水させることが可能になる。
第4発明の熱交換器は、第1発明から第3発明のいずれかの熱交換器において、フィンは、水平部よりも空気流れ方向の上流側において、上流側に向かうにつれて下方に傾斜している上流側傾斜部をさらに有している。
この熱交換器では、結露水が上流側近傍で生じた場合であっても、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の下流側端部まで導く必要無く上流側傾斜部によって排水させることができるようになる。
第5発明の熱交換器は、第1発明から第4発明のいずれかの熱交換器において、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の上部同士を接続する上部ヘッダと、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の下部同士を接続する下部ヘッダと、をさらに備えている。
この熱交換器では、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管において通過する冷媒の方向が鉛直方向となる場合であっても、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管に流れる冷媒量の隔たりを小さく抑えることができる。
第6発明の熱交換器は、第1発明から第5発明のいずれかの熱交換器において、第1扁平伝熱管、第2扁平伝熱管およびフィンは、アルミもしくはアルミ合金から形成されている。
この熱交換器では、扁平伝熱管およびフィンの両方をアルミ製とすることで、材料コストを低く抑えることが可能になる。
第7発明の熱交換器の製造方法は、空気調和装置に用いられ、空冷式でかつ強制通風式の熱交換器の製造方法であって、以下のステップを備えている。第1扁平伝熱管を設けるステップでは、第1扁平伝熱管内を流れる冷媒の流れ方向が鉛直方向となり、第1扁平伝熱管が有する第1扁平面の広がりが強制通風により水平方向に生じる空気流れ方向に対して平行でかつ鉛直方向となるように、第1扁平伝熱管を設ける。第2扁平伝熱管を設けるステップでは、第2扁平伝熱管内を流れる冷媒の流れ方向が鉛直方向となり、第2扁平伝熱管が有する第2扁平面が第1扁平面に対して面平行となる位置であって板厚方向において重なって配置されるように、第2扁平伝熱管を設ける。フィンを取り付けるステップでは、フィンの有している第1貫通孔に第1扁平伝熱管を貫通させつつ、フィンの有している第2貫通孔に第2扁平伝熱管を貫通させて、フィンの板厚方向が鉛直方向を向いた水平部と空気流れ方向下流側に向かうにつれて下方に傾斜している下流側傾斜部とを有するように、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管に対してフィンを取り付ける。水平部および下流側傾斜部は、板厚方向にプレスするプレス加工により形成される。ここで、水平には、正確な水平だけに限られず、水平方向から僅かに傾斜する場合も含まれ、実質的に水平であればよい。また、鉛直は、正確な鉛直だけに限られず、鉛直方向から僅かに傾斜する場合も含まれ、実質的に鉛直であればよい。
この熱交換器では、第1偏平伝熱管も第2扁平伝熱管も、いずれも扁平面が鉛直方向に広がっているため、結露水が表面に滞留しにくくなっている。また、水平方向から傾斜させて配置されている場合と比較して、水平方向に流れている空気流れに対する通風抵抗を小さく抑えることができる。フィンの水平部は、空気流れ方向に沿うように水平方向に広がっているため、この水平部における通風抵抗を小さく抑えることができている。そして、フィンは、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管が貫通しているため、熱交換に有効な伝熱面積を第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の表面積だけでなく、さらにフィンの表面積が含まれるように拡大させることができている。フィンの下流側には、下流側傾斜部が設けられているため、水平部の上に結露水が滞留しがちな状況であっても、この結露水を、空気流れによって下流側の下流側傾斜部にまで導くことで、排水を促すことができる。
このように、結露水の扁平伝熱管に対する付着量および通風抵抗を小さく抑えつつ、フィン上の結露水の排水を促すことができる熱交換器のフィンを、板厚方向にプレス加工することで容易に形成することができる。
第8発明の熱交換器の製造方法は、第7発明の熱交換器の製造方法において、第1貫通孔、第2貫通孔、水平部および下流側傾斜部は、プレス加工により同時に形成される。
この熱交換器では、板厚方向に一度プレスするだけで、第1貫通孔、前記第2貫通孔、水平部および下流側傾斜部を同時に形成することができ、製造が容易になる。
第9発明の熱交換器の製造方法は、第7発明または第8発明の熱交換器の製造方法において、第1扁平伝熱管を拡管させることにより第1貫通孔を第1扁平伝熱管に固定させつつ、第2扁平伝熱管を拡管させることにより第2貫通孔を第2扁平伝熱管に固定させるステップをさらに備えている。
この熱交換器では、拡管によって得られた熱交換器では、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管に対するフィンの密着性を向上させることができるため、伝熱効率を向上させることができる。
第1発明では、結露水の扁平伝熱管に対する付着量および通風抵抗を小さく抑えつつ、フィン上の結露水の排水を促すことが可能になる。
第2発明では、フィンのうち、伝熱管の下流側に位置している部分に結露水を沿わせて排水させることができる。
第3発明では、結露水の滞留が生じないように円滑に排水させることが可能になる。
第4発明では、結露水が上流側近傍で生じた場合であっても、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管の下流側端部まで導く必要無く排水させることができる。
第5発明では、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管に流れる冷媒量の隔たりを小さく抑えることができる。
第6発明では、材料コストを低く抑えることが可能になる。
第7発明では、板厚方向にプレス加工することで熱交換器のフィンを容易に形成することができる。
第8発明では、製造が容易になる。
第9発明では、第1扁平伝熱管および第2扁平伝熱管に対するフィンの密着性を向上させることができるため、伝熱効率を向上させることができる。
<1>本発明の熱交換器が用いられる空気調和装置について
本発明の熱交換器は、少なくとも空気調和装置における冷媒の蒸発器として用いることができるものである。本発明の熱交換器は、冷房運転と暖房運転とを切り換えることができる空気調和装置に用いられる場合には、冷媒の蒸発器として機能することができるだけでなく、冷媒の放熱器として機能することができるものであってもよい。
本発明の熱交換器は、少なくとも空気調和装置における冷媒の蒸発器として用いることができるものである。本発明の熱交換器は、冷房運転と暖房運転とを切り換えることができる空気調和装置に用いられる場合には、冷媒の蒸発器として機能することができるだけでなく、冷媒の放熱器として機能することができるものであってもよい。
本発明の熱交換器は、空冷式でかつ強制通風式の熱交換器である。このため、空気調和装置には、本発明の熱交換器に対して空気流れを供給する送風機(図示せず)が備わっている。
ここで、送風機は、自己が生じさせる空気流れ方向に対して、熱交換器の下流側に配置されていてもよいし、上流側に配置されていてもよい。また、送風機が形成する空気流れは、送風流路を形成する他の部材等によって自在に空気流れ方向の向きを変更できる。ここでは、そのようにして自在に向きを変更した後で、熱交換器を通過する際には、熱交換器を略水平方向に通過するように配置されている。
そして、本発明の熱交換器が空気調和装置において冷媒の蒸発器として機能している際に、送風機から空気が供給される状態では、熱交換器は、送風機によって供給される空気を利用して熱交換が行われる。ここでの熱交換では、送風機によって供給される空気の熱によって、伝熱管の内部を流れる冷媒が暖められて、蒸発する。他方、熱交換器に供給され、熱交換器を通過した空気は、伝熱管の内部を流れる冷媒の熱によって冷やされて、温度が低下する。この際、熱交換器の表面温度が、供給される空気の温度よりも低い状態となっていることから、供給される空気が冷やされる際に、熱交換器の表面に結露水が生じることがある。
本発明の熱交換器は、結露水等の熱交換器表面に付着した水の排水を促す構造を有する熱交換器を提供するものである。
以下、本発明の一実施形態である熱交換器について、図面を参照しつつ説明する。
<2>熱交換器
(全体構成)
図1に、熱交換器1の外観斜視図を示す。
(全体構成)
図1に、熱交換器1の外観斜視図を示す。
なお、図1に示されるように熱交換器1が見える側を正面側とし、背面側、左側面側、右側面側、上面側および底面側は正面側を基準として把握されるものとして、以下、説明する。
図2に、熱交換器1の側面図を示す。
図3に、フィン7の平面図を示す。
図4に、フィン7の厚み方向の断面形状についての断面図を示す。
熱交換器1は、分流ヘッダ2、合流ヘッダ3、扁平伝熱管5およびフィン7を備えている。
分流ヘッダ2は、水平方向を軸方向とする円柱形状であって、図1中においてR1で示す方向から、液状態の冷媒や気液二相状態の冷媒が送り込まれる。そして、分流ヘッダ2に供給された冷媒は、扁平伝熱管5の複数の流路に別れて、合流ヘッダ3まで流れる。
合流ヘッダ3は、軸方向を分流ヘッダ2の軸方向と平行に設けられた円柱形状であって、分流ヘッダ2と空気流れ方向成分において同様の位置であって鉛直上方に設けられており、扁平伝熱管5の複数の流路から流れてきた冷媒を合流させ、図1中においてR2で示す方向に冷媒を送り出す。
扁平伝熱管5は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成形されており、正面視左側と正面視右側においてそれぞれ空気流れ方向であって鉛直方向に広がる扁平面を有しており、分流ヘッダ2と合流ヘッダ3とを接続している。この扁平伝熱管5は、長手方向が空気流れ方向に対して直交する向きであって鉛直方向となるように伸びている。このように、扁平伝熱管5は、扁平面が鉛直方向に広がっているため、結露水が表面に滞留しにくくなっている。そして、扁平伝熱管5は、例えば、図1に示す第1扁平伝熱管51と第2扁平伝熱管52のように、扁平面の板厚方向に所定間隔で平行に複数並べられている。このように、偏平伝熱管5は、扁平面が水平に広がっているため、水平方向から傾斜して配置される場合と比較して、水平方向に流れている空気流れに対する通風抵抗を小さく抑えることができる。扁平伝熱管5は、いずれも空気流れ方向に直交する方向であって鉛直方向に向けて冷媒を流す流路が複数個空気流れ方向に並んで設けられた、いわゆる多穴管と呼ばれる伝熱管となっている。また、冷媒流路の管径は、非常に小さく、1つが、250μm×250μmの正方形状となっており、いわゆるマイクロチャンネル熱交換器となっている。
フィン7は、図3、図4に示すように、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、上流側傾斜部71、下流側傾斜部72、水平部73、貫通孔Qを有している。上流側傾斜部71は、空気流れ方向の上流側で左右に延びており、空気流れ方向の上流側に向かうにつれて下方に位置するように傾斜して設けられている。下流側傾斜部72は、空気流れ方向の下流側で左右に延びており、空気流れ方向の下流側に向かうにつれて下方に位置するように傾斜して設けられている。水平部73は、上流側傾斜部71の下流端と、下流側傾斜部72の上流端とを水平面によって接続している。貫通孔Qは、上流側傾斜部71と、下流側傾斜部72と、隣接する2つの水平部73とによって囲まれた開口であって、上述した第1扁平伝熱管51や第2扁平伝熱管52を水平部73の板厚方向に貫通させるための開口である。このフィン7の肉厚は、0.1mmである。
ここで、フィン7の水平部73の空気流れ方向の長さは、扁平伝熱管5の空気流れ方向の長さと等しくなるように設けられている。このため、フィン7を扁平伝熱管5に取り付けた状態では、上流側傾斜部71は、扁平伝熱管5に対してより上流側に突出した状態となる。また、下流側傾斜部72は、扁平伝熱管5に対してより下流側に突出した状態となる。これにより、フィン7は、水平部73だけでなく、扁平伝熱管5の上流側と下流側においても熱交換を行うことができる面積を確保している。
フィン7は、図3に示す平面視状態における上方と下方とからプレスされることによって形成されるものであって、プレス加工によって得られる。このプレス加工時には、上方と下方とからプレスされることにより、貫通孔Qを設けるだけでなく、水平部73に対して傾斜している上流側傾斜部71および下流側傾斜部72の傾斜を同時に形成する。このため、フィン7は、製造が容易になっている。
フィン7は、長手方向が鉛直方向となるように第1扁平伝熱管51、第2扁平伝熱管52等が並べられた状態で、上方から貫通孔Qに扁平伝熱管5を挿入しつつ、複数枚がスタッキングされる。そして、フィン7がスタッキングされた状態で、扁平伝熱管5の内部から拡管処理されることで、フィン7と扁平伝熱管5とが密着した状態で固着される。これにより、扁平伝熱管5を流れる冷媒の熱がより効率的にフィン7に伝えられ、熱交換効率を向上させることができる。
(冷媒の流れ)
以上の構成を有する熱交換器1に対して冷媒が流れ込み、熱交換器1から冷媒が流れ出る態様を説明する。
以上の構成を有する熱交換器1に対して冷媒が流れ込み、熱交換器1から冷媒が流れ出る態様を説明する。
まず、分流ヘッダ2に対して液冷媒もしくは気液二相状態の冷媒が流入し、各第1扁平伝熱管51、第2扁平伝熱管52等の各冷媒流路に概ね均等に分流される。
第1扁平伝熱管51、第2扁平伝熱管52の各冷媒流路を流れる間に、送風機によって供給される空気によってフィン7および扁平伝熱管5自体が暖められることで、内部を流れている冷媒も暖められる。このようにして冷媒に熱が加わることで、冷媒流路を通過する過程で、冷媒は徐々に蒸発して気相状態となっていく。なお、この過程において、熱交換器1の表面は、冷媒の熱によって冷やされた空気中の水分が結露水となって付着した状態となっている。
そして、ほぼ気相状態となった冷媒は、各冷媒流路を通過した後、合流ヘッダ3によって合流され、1つの冷媒流れとなって、熱交換器1から流出していく。
(結露水の排水)
上述のように、熱交換器1が冷媒の蒸発器として機能している場合には、熱交換器1の表面に結露水が生じる。そして、この結露水は、熱交換器1の通風抵抗を増大させるため、熱交換器1の表面に滞留し続けてしまうと、熱交換効率を良好に保つことができなくなってしまう。
上述のように、熱交換器1が冷媒の蒸発器として機能している場合には、熱交換器1の表面に結露水が生じる。そして、この結露水は、熱交換器1の通風抵抗を増大させるため、熱交換器1の表面に滞留し続けてしまうと、熱交換効率を良好に保つことができなくなってしまう。
これに対して、本実施形態の熱交換器1のフィン7では、空気流れ方向の下流側に向かうにつれて下方に位置するように傾斜している下流側傾斜部72が設けられている。このため、このため、フィン7の水平部73や扁平伝熱管5の表面に付着した結露水は、空気流れによって下流側の下流側傾斜部72まで導かれ、下流側傾斜部72の傾斜に沿って流れ落ちるようになっている。このため、熱交換器1において生じた結露水は、熱交換器1の表面において滞留することなく、空気流れと下流側傾斜部72とによって、排水が促されており、熱交換器1の通風抵抗を小さく抑えることができている。
なお、熱交換器1の上流側で生じた結露水については、空気流れによって下流側傾斜部72まで導かれる必要なく、上流側傾斜部71の傾斜面に沿って下方への排水を促すことができる。
<3>本実施形態の熱交換器の特徴
従来の熱交換器901は、例えば、図8に示すように、冷媒流路を有する複数本が並んでいる扁平伝熱管905と、その扁平伝熱管905の間に配置されたフィン907によって構成されている。この従来の熱交換器901では、熱交換器901の表面で生じた結露水がフィン907に付着した場合に、フィン907の空気流れ下流端において結露水が保持されてしまい、空気流れが供給されても結露水がフィン907の下流端に存在し続けるため、通風抵抗が増大してしまっている。
従来の熱交換器901は、例えば、図8に示すように、冷媒流路を有する複数本が並んでいる扁平伝熱管905と、その扁平伝熱管905の間に配置されたフィン907によって構成されている。この従来の熱交換器901では、熱交換器901の表面で生じた結露水がフィン907に付着した場合に、フィン907の空気流れ下流端において結露水が保持されてしまい、空気流れが供給されても結露水がフィン907の下流端に存在し続けるため、通風抵抗が増大してしまっている。
これに対して、本実施形態の熱交換器1は、扁平伝熱管5の下流側に下流側傾斜部72が設けられているため、フィン7の下流端で結露水が保持されにくく、通風抵抗の増大を抑えることができる。このため、フィン7の下流側傾斜部72の下流端に導かれる結露水は、すでに下流側傾斜部72の傾斜面を沿って流れる際に勢いがついているため、フィン7の下流側傾斜部72の下流端における表面張力によって保持されることなく、フィン7から離れていき、排水される。
これにより、結露水がフィン7上において滞留することによる通風抵抗を小さく抑えることができている。このため、熱交換器1に滞留している結露水を少なくして、通風抵抗を小さく抑え、熱交換効率を向上させることができている。
<4>変形例
上記実施形態では、本発明の一実施形態を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、以下のような種々の変更が可能である。
上記実施形態では、本発明の一実施形態を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、以下のような種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態の熱交換器1では、フィン7の下流側傾斜部72だけでなく上流側傾斜部71をも備えた場合を例に挙げて説明した。
上記実施形態の熱交換器1では、フィン7の下流側傾斜部72だけでなく上流側傾斜部71をも備えた場合を例に挙げて説明した。
しかし,本発明はこれに限られるものではない。例えば、図5に示す熱交換器201のようなフィン207を有していてもよい。
このフィン207は、図6および図7に示すように、貫通孔Q、水平部273および下流側傾斜部272を有している点については、上記実施形態のフィン7と同様である。
しかし、このフィン207には、上記実施形態でいう上流側傾斜部71が設けられていない。このように、上流側傾斜部71が設けられていない場合であっても、特に、熱交換器207の上流側においては、結露水が少ないため、空気流れの通風抵抗が特段増大することはない。また、送風機による空気流れが最初に当たる水平部273が、空気流れ方向に対して直交しているため、最初の通風抵抗をより小さく抑えて熱交換効率を向上させることもできている。
本発明の熱交換器は、結露水の排水を促して通風抵抗を小さく抑えることが可能になるため、空気調和装置において冷媒の蒸発器として機能することが可能な熱交換器に適用する場合に特に有用である。
1 熱交換器
2 分流ヘッダ
3 合流ヘッダ
5 扁平伝熱管
7 フィン
51、52、 第1、第2扁平伝熱管
71〜72 第1フィン〜第2フィン
Q 貫通孔
2 分流ヘッダ
3 合流ヘッダ
5 扁平伝熱管
7 フィン
51、52、 第1、第2扁平伝熱管
71〜72 第1フィン〜第2フィン
Q 貫通孔
Claims (9)
- 空気調和装置に用いられ、空冷式でかつ強制通風式の熱交換器(1)であって、
前記強制通風により水平方向に生じる空気流れ方向に対して平行でかつ鉛直方向に広がった面である第1扁平面を有し、鉛直方向に冷媒を流す第1扁平伝熱管(51)と、
前記空気流れ方向に対して平行でかつ鉛直方向に広がった面である第2扁平面を有し、前記第2扁平面が前記第1扁平面と面平行となるように前記第2扁平面および前記第1扁平面の板厚方向において重なって配置され、前記第1扁平伝熱管の冷媒流れ方向と平行な方向に冷媒を流す第2扁平伝熱管(52)と、
前記空気流れ方向下流側に向かうにつれて下方に傾斜している下流側傾斜部(72)と、前記空気流れ方向において前記下流側傾斜部よりも上流側において水平方向に広がっている水平部(73)と、を有し、前記第1扁平伝熱管および前記第2扁平伝熱管が貫通しているフィン(7)と、
を備えた熱交換器(1)。 - 前記フィン(7)は、前記空気流れ方向において前記第1扁平伝熱管(51)および前記第2扁平伝熱管(52)の下流側端部よりもさらに下流側に延びている部分を有している、
請求項1に記載の熱交換器(1)。 - 前記下流側傾斜部(72)は、前記空気流れ方向において前記第1扁平伝熱管(51)および前記第2扁平伝熱管(52)の下流側端部近傍から、前記フィン(7)の下流側端部まで延びている、
請求項1または2に記載の熱交換器(1)。 - 前記フィン(7)は、前記水平部(73)よりも前記空気流れ方向の上流側において、上流側に向かうにつれて下方に傾斜している上流側傾斜部(71)をさらに有している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器(1)。 - 前記第1扁平伝熱管(51)および前記第2扁平伝熱管(52)の上部同士を接続する上部ヘッダ(3)と、
前記第1扁平伝熱管(51)および前記第2扁平伝熱管(52)の下部同士を接続する下部ヘッダ(2)と、
をさらに備えた、
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器(1)。 - 前記第1扁平伝熱管(51)、前記第2扁平伝熱管(52)および前記フィン(7)は、アルミもしくはアルミ合金から形成されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器(1)。 - 空気調和装置に用いられ、空冷式でかつ強制通風式の熱交換器(1)の製造方法であって、
第1扁平伝熱管(51)内を流れる冷媒の流れ方向が鉛直方向となり、前記第1扁平伝熱管が有する第1扁平面の広がりが前記強制通風により水平方向に生じる空気流れ方向に対して平行でかつ鉛直方向となるように、前記第1扁平伝熱管(51)を設けるステップと、
第2扁平伝熱管(52)内を流れる冷媒の流れ方向が鉛直方向となり、前記第2扁平伝熱管が有する第2扁平面が前記第1扁平面に対して面平行となる位置であって板厚方向において重なって配置されるように、前記第2扁平伝熱管(52)を設けるステップと、
フィン(7)の有している第1貫通孔(Q)に前記第1扁平伝熱管(51)を貫通させつつ、前記フィンの有している第2貫通孔(Q)に前記第2扁平伝熱管(52)を貫通させて、前記フィンの板厚方向が鉛直方向を向いた水平部(73)と前記空気流れ方向下流側に向かうにつれて下方に傾斜している下流側傾斜部(72)とを有するように前記第1扁平伝熱管(51)および前記第2扁平伝熱管(52)に前記フィン(7)を取り付けるステップと、
前記水平部(73)および前記下流側傾斜部(72)を、板厚方向にプレスするプレス加工により形成するステップと、
を備えた熱交換器(1)の製造方法。 - 前記第1貫通孔(Q)、前記第2貫通孔(Q)、前記水平部(73)および前記下流側傾斜部(72)は、プレス加工により同時に形成される、
請求項7に記載の熱交換器(1)の製造方法。 - 前記第1扁平伝熱管(51)を拡管させることにより前記第1貫通孔(Q)を前記第1扁平伝熱管(51)に固定させつつ、前記第2扁平伝熱管(52)を拡管させることにより前記第2貫通孔(Q)を前記第2扁平伝熱管(52)に固定させるステップをさらに備えた、
請求項7または8に記載の熱交換器(1)の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2008189195A JP2010025480A (ja) | 2008-07-22 | 2008-07-22 | 熱交換器および熱交換器の製造方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN103366838A (zh) * | 2013-07-17 | 2013-10-23 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 一种熔盐堆缓冲盐自然循环冷却系统 |
JP2014159884A (ja) * | 2013-02-19 | 2014-09-04 | Showa Denko Kk | 蒸発器 |
JPWO2020012577A1 (ja) * | 2018-07-11 | 2020-12-17 | 三菱電機株式会社 | 熱交換器、熱交換器ユニット、及び冷凍サイクル装置 |
-
2008
- 2008-07-22 JP JP2008189195A patent/JP2010025480A/ja active Pending
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